JP3383718B2 - 大豆蛋白を原料とした生成物の製造方法 - Google Patents

大豆蛋白を原料とした生成物の製造方法

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JP3383718B2 JP02688895A JP2688895A JP3383718B2 JP 3383718 B2 JP3383718 B2 JP 3383718B2 JP 02688895 A JP02688895 A JP 02688895A JP 2688895 A JP2688895 A JP 2688895A JP 3383718 B2 JP3383718 B2 JP 3383718B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大豆蛋白を原料とした
生成物の製造方法に関する。
【0002】本発明において、大豆蛋白とは、大豆から
抽出し分離した抽出大豆蛋白および分離大豆蛋白を意味
し、大豆蛋白を原料とした生成物とは、前記大豆蛋白を
原料とした食品、畜産用飼料および水産養殖用の餌料等
を意味する。
【0003】
【従来の技術】一般に、豆類の1種である大豆中には、
ダイジン、ダイゼイン、ゲニスチン、ゲニステイン等か
らなるイソフラボン化合物が含有されている。
【0004】このイソフラボン化合物は、次の一般式お
よび組成表により示される。
【0005】 これらのイソフラボン化合物のうち、ダイゼインはダイ
ジンから配糖体であるグルコースを分解されたアグリコ
ンであり、ゲニステインはゲニスチンから配糖体である
グルコースを分解されたアグリコンである。
【0006】一方、醤油や味噌の製造工程中に、大豆中
のイソフラボン化合物より配糖体が加水分解されて、ア
グリコンが生成しているという報告(木原 清:醤研、
Vol.16、No.5、190頁(1990))があ
る。
【0007】しかしながら、この報告によれば、脱脂大
豆を蒸煮する工程や製麹工程において配糖体の加水分解
がある程度進むものの、醤油粕や豆味噌では配糖体がほ
とんど分解しているものであり、豆類を原料とした食品
の製造方法として利用することが困難であった。
【0008】また、イソフラボン化合物の配糖体が加水
分解されたアグリコンに関する薬理作用について多くの
報告がなされている。
【0009】例えば、ゲニステインがチロシンキナーゼ
阻害剤(TK阻害剤)であることが明らかにされた。チ
ロシンキナーゼが癌遺伝子による癌化の誘導に必須であ
ることから、TK阻害剤であるゲニステインには制癌効
果が確認され、その有効性が注目されている(秋山ら:
生化学、59巻9号、1016頁(1987))。
【0010】また、フィンランドのヘルマン・アドレル
クロイツらの報告(Am J Clin Nutr1991 53 1093 〜110
0およびClinica Chimica Acta 199:263〜278 1991参
照)によると、伝統的な日本食、特に味噌等の大豆製品
を多く摂取している日本人が欧米人に比べて乳癌や前立
腺癌や大腸癌になるリスクが低く、また、死亡率が少な
いことが確認されており、更に、伝統的な日本食を多く
摂取している日本人が欧米人に比べて尿中のゲニステイ
ンの排泄量が32倍にも達していることも確認されてお
り、日常の食事の摂取方法により癌羅病リスクが低減す
ることが示唆されている。
【0011】これらのことより、制癌効果のある大豆イ
ソフラボン化合物の配糖体が加水分解されたアグリコ
ン、特にゲニステインを含有するする食品を日常摂取す
ることが、癌予防の見地より重要である。
【0012】また、イソフラボン化合物のエストロゲン
作用にも注目されており、骨粗鬆症治療効果や免疫抑制
効果があることが確認されている。特に、イソフラボン
アグリコンであるゲニステインにはエストロゲン作用が
あり、この作用により、骨量の減少抑制(骨吸収抑制)
が可能となる。
【0013】したがって、大豆中のイソフラボン化合物
に関連する数多くの提案が特開昭62−126186号
公報、特開平1−258669号公報、特開平5−17
0756号公報等においてなされている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭62−126186号公報に記載の方法によれば、
得られるイソフラボン化合物はほとんど配糖体を有する
ダイジン、ゲニスチンであり、アグリコンの少ないもの
であり、前記の薬理効果の優れた食料品等を得ることが
できない。
【0015】また、前記特開平1−258669号公報
に記載の方法は、大豆自体の持つ酵素の1種であるβ−
グルコシダーゼの力によりイソフラボン化合物の配糖体
を分解する方法であるが、アグリコンの生成比率が低か
った。
【0016】また、前記特開平5−170756号公報
に記載の方法は、醤油粕または醤油油に生成されたイソ
フラボンアグリコンからイソフラボン化合物を抽出する
方法である。前述の通り、醤油の製造工程中にイソフラ
ボンアグリコンは生成し、しかも生成比率は非常に高い
ものであるが、次のような不都合がある。すなわち、イ
ソフラボンアグリコンは不溶性のため、醤油粕の方に存
在することとなり、醤油粕そのものは食品として供する
ことはできないので、食品の製造方法として採用するこ
とができない。また、製造初期における豆味噌中にもイ
ソフラボンアグリコンが生成しているが、豆味噌は高塩
分食品であり、多量に食することはできない問題があ
る。
【0017】前記のような薬理作用の優れたイソフラボ
ンのアグリコンとりわけゲニステインを多量に含有する
食品を多量に摂取することができれば、人の健康維持の
面、癌予防の面において優れた効果を発揮する食生活を
送ることができるが、従来においてはこの需要を満たす
食品がない。
【0018】そこで、豆類を原料として制癌効果、骨粗
鬆症治療効果や免疫抑制効果等に優れており、しかも多
量に食することのできる食品の出現が望まれている。特
に、我国においても食生活の欧米化の影響により乳癌の
発病数、死亡率が年々増加している傾向にあるために、
前記の効果を有する食品の出現が望まれている。また、
このような食品を製造する場合には、製造効率がよく、
安価にイソフラボンのアグリコンとりわけゲニステイン
を多量に含有する食品を製造することのできる製造方法
の出現が望まれている。
【0019】また、今日においてはイソフラボンのアグ
リコンとりわけゲニステインそのものを医薬に用いるこ
とが提案されており、その医薬を製造するためにはイソ
フラボンのアグリコンとりわけゲニステインを高い濃度
で含有する素材の出現が望まれている。
【0020】また、骨粗鬆症についてみれば、カルシウ
ムの体内への吸収を阻害するフィチン酸を豆類中より除
去するとよい。
【0021】すなわち、豆類の1種である大豆中には、
フィチン酸が約1〜2重量%含まれている。このフィチ
ン酸は大豆を原料とした生成物中にも残留し、生成物中
に含有されているビタミンB類の活性を抑えて、生成物
中に含有されているミネラル等の吸収を阻害するもので
ある。更に説明すると、フィチン酸はミオ−イノシトー
ルの水酸基のすべてにリン酸基が結合した化合物であ
り、栄養上重要な微量金属とキレート結合して難溶性の
化合物を生成する。そのため、高フィチン酸食物を摂取
した人や動物は、この種の金属、例えばカルシウム、マ
グネシウム、鉄、亜鉛等の正常な腸管内吸収が妨害され
て、一連の欠乏障害を起こすこととなる。また、大豆蛋
白質分離物を含む生成物中に存在するフィチン酸は、単
胃動物による食物中の亜鉛の利用を妨害することも見出
だされている。更に、フィチン酸は、カルシウム等の金
属イオンを活性化因子とするα−アミラーゼやペプシ
ン、トリプシン等を含む胃腸消化管内の種々の消化酵素
に対しても阻害作用を有することが知られており、生成
物中からの除去が望まれている。
【0022】しかしながら、従来においてはこのフィチ
ン酸を良好に除去することができなかった。
【0023】本発明はこれらの点に鑑みてなされたもの
であり、大豆蛋白を原料として制癌効果、骨粗鬆症治療
効果や免疫抑制効果等に優れており、しかも多量に食す
ることができ、製造効率も優れており、製造コストも安
価な食品、畜産用飼料および水産養殖用の餌料等からな
る大豆蛋白を原料とした生成物の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0024】本発明の他の目的は、イソフラボンのアグ
リコンとりわけゲニステインを高い濃度で含有する素材
であって、ゲニステインを主成分とする医薬品の原料と
して利用することができ、しかもゲニステインを高濃度
で含有する医薬を容易にかつ安価に製造することのでき
る素材からなる大豆蛋白を原料とした生成物の製造方法
を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するために鋭意研究し、下の表1に示す4種類の大
豆蛋白のうち、抽出大豆蛋白および分離大豆蛋白を原料
として利用することにより、製造効率良く、安価に食
品、畜産用飼料および水産養殖用の餌料等からなる大豆
蛋白を原料とした生成物や、イソフラボンのアグリコン
とりわけゲニステインを高濃度で含有する医薬を容易に
かつ安価に製造することのできる素材等を製造できるこ
とを究明した。
【0026】すなわち、大豆中のイソフラボン化合物の
うち、脱脂大豆(大豆粕)、抽出大豆蛋白、分離大豆蛋
白、濃縮大豆蛋白からなる大豆蛋白中におけるダイジン
とダイゼインとの組合せおよびゲニスチンとゲニステイ
ンとの組合せの含有成分量および成分比率は下の表1に
示す成分の通りである。
【0027】 この表1より、大豆蛋白中においては、ダイジン、ゲニ
スチンの含有量が多く、これらのアグリコンであるダイ
ゼイン、ゲニステインの含有量が少ないことがわかる。
そして、表1に示す4種類の大豆蛋白のうち、抽出大豆
蛋白には脱脂大豆に比較してダイジンが約1.8倍、ゲ
ニスチンが約2.1倍も含有されており、分離大豆蛋白
には脱脂大豆に比較してゲニスチンが約1.4倍も含有
されており、これらを原料として利用することにより、
製造効率良く、安価に大豆蛋白を原料とした生成物を製
造できる。これらの抽出大豆蛋白および分離大豆蛋白に
は、後述するその製法上、水溶性の配糖体イソフラボン
化合物が濃縮された状態で多量に含有されており、この
配糖体イソフラボン化合物を麹菌によりアグリコンに変
化させることにより、アグリコンを多量に含むイソフラ
ボン化合物を歩留りよく、安価に生成することができ
る。また、これらの抽出大豆蛋白および分離大豆蛋白を
抽出する大豆自身を、遺伝子操作によってイソフラボン
化合物を多量に含有するように変種された種子から生産
して、通常の大豆に比較してイソフラボン化合物を多量
に含有するものを利用するようにすると、本発明の製造
方法の原料となる前記抽出大豆蛋白および分離大豆蛋白
をイソフラボン化合物を多量に含有するようにさせて、
本発明によって生成される生成物内にアグリコンをより
一層多量に含むイソフラボン化合物を歩留りよく、しか
も安価に生成することができる。
【0028】このようにして製造されたアグリコンを多
量に含むイソフラボン化合物を濃縮することにより、イ
ソフラボンのアグリコンとりわけゲニステインを高濃度
で含有する素材を得れば、その素材をゲニステインを主
成分とする医薬品の原料として利用することができ、し
かもゲニステインを高濃度で含有する医薬を容易にかつ
安価に製造することができる。
【0029】この研究に基づき、前記目的を達成するた
めに、請求項1に記載の本発明の大豆蛋白を原料とした
生成物の製造方法は、抽出大豆蛋白および分離大豆蛋白
の少なくとも一方からなる大豆蛋白に麹菌を接種して製
麹し、この製麹処理による生成物に加水することにより
当該生成物中の蛋白質を加水分解するとともに前記大豆
蛋白中のイソフラボン化合物の配糖体を分解して、アグ
リコンを多量に含むイソフラボン化合物を生成して、前
記大豆蛋白を原料とした生成物を製造することを特徴と
している。
【0030】また、請求項2に記載の本発明の大豆蛋白
を原料とした生成物の製造方法は、抽出大豆蛋白および
分離大豆蛋白の少なくとも一方からなる大豆蛋白に麹菌
を接種して製麹し、この製麹処理による生成物に加水す
ることにより当該生成物中の蛋白質を加水分解するとと
もに前記大豆蛋白中のイソフラボン化合物の配糖体を分
解して、アグリコンを多量に含むイソフラボン化合物を
生成し、その後前記アグリコンを濃縮してアグリコンの
濃度の高い前記大豆蛋白を原料とした生成物を製造する
ことを特徴とする。
【0031】また、請求項3に記載の本発明の大豆蛋白
を原料とした生成物の製造方法は、抽出大豆蛋白および
分離大豆蛋白の少なくとも一方からなる大豆蛋白に麹菌
を接種して製麹し、この製麹処理による生成物に加水す
ることにより当該生成物中の蛋白質を加水分解するとと
もに前記大豆蛋白中のイソフラボン化合物の配糖体を分
解して、アグリコンを多量に含むイソフラボン化合物を
生成し、その後前記アグリコンに含まれているゲニステ
インを分画・濃縮してゲニステインの濃度の高い前記大
豆蛋白を原料とした生成物を製造することを特徴とす
る。
【0032】また、請求項4に記載の本発明の大豆蛋白
を原料とした生成物の製造方法は、抽出大豆蛋白および
分離大豆蛋白の少なくとも一方からなる大豆蛋白に麹菌
を接種して製麹し、この製麹処理による生成物に加水す
ることにより当該生成物中の蛋白質を加水分解するとと
もに前記大豆蛋白中のイソフラボン化合物の配糖体を分
解して、アグリコンを多量に含むイソフラボン化合物を
生成し、かつ、前記大豆蛋白中のフィチン酸を除去し
て、前記大豆蛋白を原料とした生成物を製造することを
特徴としている。
【0033】
【作用】請求項1に記載の本発明の大豆蛋白を原料とし
た生成物の製造方法によれば、大豆蛋白に麹菌を接種し
て製麹することにより麹菌を増殖させて大豆蛋白中のイ
ソフラボン化合物の配糖体を分解し、更に製麹処理によ
る生成物に加水することにより当該生成物中の蛋白質を
加水分解すると同時に前記大豆蛋白中のイソフラボン化
合物の配糖体を分解して、アグリコンを多量に含むイソ
フラボン化合物を生成することができる。
【0034】請求項2に記載の本発明の大豆蛋白を原料
とした生成物の製造方法によれば、請求項1によって製
造されたアグリコンを多量に含むイソフラボン化合物に
大してアグリコンを濃縮することにより、アグリコンが
高濃度の素材を生成することができる。
【0035】請求項3に記載の本発明の大豆蛋白を原料
とした生成物の製造方法によれば、請求項1によって製
造されたアグリコンを多量に含むイソフラボン化合物に
大してゲニステインを分画・濃縮することにより、ゲニ
ステインが高濃度の素材を生成することができる。
【0036】また、請求項4に記載の本発明の大豆蛋白
を原料とした生成物の製造方法によれば、大豆蛋白に麹
菌を接種して製麹することにより麹菌を増殖させて豆類
中のイソフラボン化合物の配糖体を分解するとともに大
豆蛋白中のフィチン酸を除去し、更に製麹処理による生
成物に加水することにより当該生成物中の蛋白質を加水
分解するとともに前記大豆蛋白中のイソフラボン化合物
の配糖体を分解して、アグリコンを多量に含むイソフラ
ボン化合物を生成するとともに大豆蛋白中のフィチン酸
を除去することができる。
【0037】このように本発明方法によれば、それぞれ
イソフラボン化合物の含有率が高い抽出大豆蛋白および
分離大豆蛋白を原料としているために、アグリコンを多
量に含むイソフラボン化合物を歩留りよく、安価に生成
することができる。これにより、イソフラボンのアグリ
コンとりわけゲニステインを多量に含有する制癌効果に
優れた食品を安価に製造することができる。また、イソ
フラボンのアグリコンとりわけゲニステインを高濃度で
含有する素材を得れば、その素材をゲニステインを主成
分とする医薬品の原料として利用することができ、しか
もゲニステインを高濃度で含有する医薬を容易にかつ安
価に製造することができる。また、併せて大豆蛋白中の
フィチン酸を除去することができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1について説明す
る。
【0039】図1は本発明により抽出大豆蛋白および分
離大豆蛋白の少なくとも一方からなる大豆蛋白中のイソ
フラボン化合物の配糖体を分解して、アグリコンを多量
に含むイソフラボン化合物を生成した生成物の製造方法
の1実施例、そのアグリコンを多量に含むイソフラボン
化合物を生成した生成物に対してアグリコンの濃縮また
はゲニステインの分画・濃縮を行なって、イソフラボン
のアグリコンとりわけゲニステインを高濃度で含有する
素材を製造する製造方法の実施例および同時に大豆蛋白
中のフィチン酸を除去した生成物の製造方法の1実施例
を示す工程図である。すなわち、同一の製造方法によ
り、前記請求項1から請求項4に記載の本発明をそれぞ
れ実施することができる。
【0040】まず、請求項1に記載の発明すなわちアグ
リコンを多量に含むイソフラボン化合物を生成した生成
物を製造する場合について説明する。
【0041】図1の工程に沿って説明すると、先ず原料
となる抽出大豆蛋白および分離大豆蛋白の少なくとも一
方を用意する。
【0042】一方の、抽出大豆蛋白は脱脂大豆を水抽出
し、遠心分離して得た抽出液を減圧濃縮後、噴霧乾燥し
て得られたものである。この水抽出により、含有されて
いる水溶性の配糖体イソフラボン化合物が脱脂大豆より
抽出され、濃縮された状態で抽出大豆蛋白中に多量に含
有させられる。このような抽出大豆蛋白としては、例え
ば、市販されている日清製油株式会社製商品名ソルピー
NY等を利用することができる。この抽出大豆蛋白は粉
末状であるので、後に行なわれる本発明による製麹処理
を効果的に行なわせるために、水を少しずつ加えながら
攪拌することにより直径1〜2mmから10mm前後の粒状
とするとよい。例えば、抽出大豆蛋白200gに対して
水を200ml加える程度とするとよい。また、エクスト
ルーダ等を利用することにより、大豆蛋白の膨化成型を
行なって、麹菌の菌糸を良好に育成できるようにしても
よい。更に、粉末状の大豆蛋白に水を加えて混練してブ
ロック状に形成し、その後平板状あるいは棒状にミンチ
して成型するようにしてもよい。
【0043】他方の分離大豆蛋白は、脱脂大豆を水また
は希アルカリ(0.02〜0.1%水酸化ナトリウム)
で抽出し、遠心分離により不溶物を除去した後、塩酸で
pH4.2〜4.5に調整して蛋白質を等電沈殿させ
る。この沈殿物を遠心分離して得たカード状の分離物を
水洗後、水酸化ナトリウムで中和して溶解させ、加熱・
噴霧乾燥して得られたものである。この水または希アル
カリ抽出により、含有されている水溶性の配糖体イソフ
ラボン化合物が脱脂大豆より抽出され、濃縮された状態
で抽出大豆蛋白中に多量に含有させられる。分離大豆蛋
白としては、例えば、市販されているフジピュリナプロ
テイン株式会社製商品名フジプロE等を利用することが
できる。この分離大豆蛋白も前記抽出大豆蛋白と同様に
粉末状であるので、後に行なわれる本発明による製麹処
理を効果的に行なわせるために、水を少しずつ加えなが
ら攪拌することにより、直径1〜2mmから10mm前後の
粒状とするとよい。分離大豆蛋白と水の分量は前記抽出
大豆蛋白の場合と同様とする程度でよい。
【0044】このようにして原料として用意された抽出
大豆蛋白および分離大豆蛋白の少なくとも一方(以下、
抽出大豆蛋白等という)に対して、本発明方法が以下の
ようにして行なわれる。
【0045】即ち、前記のようにして水を加えて粒状と
された抽出大豆蛋白等に、粉状の抽出大豆蛋白等に麹菌
からなる種麹を所定重量比だけ混合したものを所定量加
え、全体の水分が35〜50重量%好ましくは42〜4
4重量%程度になるように調整しながら両者が均一とな
るまで混合する。これらの重量比は例えば、抽出大豆蛋
白等200gに対して水を200ml加えて攪拌したもの
に、粉状の抽出大豆蛋白等の50gに麹菌0.3gを混
合させるとよい。水分を多く含んだ粒状の抽出大豆蛋白
等に、乾燥している粉状の抽出大豆蛋白等を加えること
により、表面の水分活性を低下させて麹菌以外の雑菌に
よる汚染を防止して、製麹を行なうことができるように
なる。
【0046】その後、混合物を製麹装置内に投入して、
28〜32℃程度に加温した状態で所定時間保持し、水
分が35〜50重量%好ましくは42〜44重量%と低
水分量の抽出大豆蛋白等を麹菌により発酵させて、抽出
大豆蛋白等の中のイソフラボン化合物の配糖体を分解し
てアグリコンを生成させるのに必要十分な酵素が生成さ
れるまで製麹を行なう。
【0047】この場合、抽出大豆蛋白等に麹菌が増殖す
ることにより麹菌が作り出すβ−グルコシターゼという
イソフラボン化合物の配糖体を分解する酵素が抽出大豆
蛋白等の中のイソフラボン化合物の配糖体を分解してイ
ソフラボンのアグリコンを生成する。
【0048】この製麹に用いる麹菌としては、古くから
の日本独特の発酵食品やテンペに用いられている麹菌で
あり、食品として安全なアスペルギルス・ウサミ、アス
ペルギルス・カワチ、アスペルギルス・アワモリ、アス
ペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・オリゼー、ア
スペルギルス・ニガー等アスペルギルス属およびリゾー
プス属等からなる麹菌を用いるとよい。
【0049】この発酵時間については、使用する麹菌の
種類に応じて、少なくとも24時間以上であり、抽出大
豆蛋白等の中のイソフラボン化合物の配糖体を十分に分
解させるに十分な発酵時間とするとよい。
【0050】次に、製麹終了後の生成物に対して、水分
が50重量%程度となるように加水してから30〜65
℃好ましくは50℃程度に加温した状態で所定時間保持
し、生成物中に含まれるβ−グルコシターゼの分解作用
により抽出大豆蛋白等の中に含まれるイソフラボン化合
物の配糖体を十分に低減させることによりイソフラボン
のアグリコンを生成させながら加水分解を行なう。
【0051】この蛋白質の加水分解については、使用す
る麹菌の種類に応じて、抽出大豆蛋白等の中のイソフラ
ボン化合物の配糖体を十分に低減させるに十分な加水分
解時間ならびに加水分解温度とするとよい。
【0052】表2は、実施例1として抽出大豆蛋白20
0gに対して水を200ml加えて攪拌したものに、粉状
の抽出大豆蛋白の50gに麹菌(アスペルギルス・ニガ
ー)0.3gを混合させた原料に対して、30℃で48
時間の製麹を施し、その生成物の重量と同重量の水を加
えて更に50℃で48時間の蛋白質の加水分解を施して
なる抽出大豆蛋白におけるイソフラボン化合物の含有量
を示し、実施例2として分離大豆蛋白200gに対して
水を200ml加えて攪拌したものに、粉状の分離大豆蛋
白の50gに麹菌(アスペルギルス・ニガー)0.3g
を混合させた原料に対して、30℃で48時間の製麹を
施し、その生成物の重量と同重量の水を加えて更に50
℃で48時間の蛋白質の加水分解を施してなる分離大豆
蛋白におけるイソフラボン化合物の含有量を示し、比較
例として無処理の脱脂大豆に対して本発明と同様に麹菌
(アスペルギルス・ニガー)を用いて30℃で48時間
の製麹を施し、その生成物の重量と同重量の水を加えて
更に30℃で48時間の蛋白質の加水分解を施してなる
脱脂大豆におけるイソフラボン化合物の含有量を示して
いる。
【0053】このようにすれば、発酵の初期において有
機酸を生成して抽出大豆蛋白等の中の雑菌の増殖を抑制
し、2次汚染の心配がなくなり、抽出大豆蛋白等を原料
とした生成物を大量生産することができる。また、低水
分としなくともイソフラボン化合物の配糖体を十分に低
減させる処理を施すことができる。
【0054】 この、表2によれば、無処理の脱脂大豆を原料とした比
較例においても、イソフラボン化合物のアグリコンであ
るダイゼインおよびゲニステインが70mgおよび64mg
と、表1に示す無処理の脱脂大豆に比較すると、約1
3.2倍および14.5倍となり、大きく増大されてい
る。この比較例に対し、抽出大豆蛋白を原料とした本発
明の実施例1においては、イソフラボン化合物のアグリ
コンであるダイゼインおよびゲニステインが124mgお
よび203mgと、比較例の約1.8倍および3.2倍と
なり、更に大きく増大されている。また、分離大豆蛋白
を原料とした本発明の実施例2においては、イソフラボ
ン化合物のアグリコンの一方のダイゼインは67mgと前
記比較例とほぼ同じであり、他方のゲニステインは13
3.1mgと、比較例の約2.1倍となり、更に大きく増
大されている。
【0055】このように本発明によれば、大豆中のイソ
フラボン化合物のうち薬理作用の高いアグリコンを極め
て高い生成比率をもって製造することができる。
【0056】特に、実施例1および実施例2において
は、制癌効果の高いゲニステインを極めて高い生成比率
をもって製造することができ、このゲニステインを添加
した健康食品を製造する場合には、各実施例の原料が入
手しやすく、製造も容易で、ゲニステインを多量に含有
させた制癌効果の高い食品を安価に提供することができ
る。
【0057】次に、請求項2および請求項3に記載の発
明すなわちイソフラボンのアグリコンとりわけゲニステ
インを高濃度で含有する素材を製造する場合について図
1について説明する。
【0058】図1に示すように、請求項2並びに請求項
3に記載の発明の製造工程は、前記の請求項1に記載の
発明の製造工程の製麹工程、加水工程および分解工程ま
では同様にして行なうことにより、アグリコンを多量に
含むイソフラボン化合物を生成する。
【0059】その後、このようにして生成されたアグリ
コンを多量に含むイソフラボン化合物に対して、請求項
2に記載の発明においては、アグリコンの濃縮を行なっ
て、イソフラボンのアグリコンを高濃度で含有する素材
を製造する。この場合、図1に示すように、分解工程の
後に、生成物を乾燥し粉砕することにより、その後のア
グリコンの濃縮を効率的に行なうようにするとよい。勿
論、生成物の乾燥工程および粉砕工程を省略してもよ
い。
【0060】また、請求項3に記載の発明においては、
アグリコンの濃縮を行ない、更にゲニステインの分画・
濃縮を行なって、ゲニステインを高濃度で含有する素材
を製造する。
【0061】アグリコンの濃縮やゲニステインの分画・
濃縮は、有機溶剤による抽出、非イオン吸着樹脂、凍結
乾燥、減圧濃縮等の公知の手段の1種若しくは複数を組
合せて行なうとよい。
【0062】前記有機溶剤による抽出は、請求項1に従
って抽出大豆蛋白等から生成されたアグリコンを多量に
含むイソフラボン化合物からアグリコンを有機溶剤によ
り抽出するものである。この有機溶剤としては、アルコ
ール、含水アルコール、エチルエーテル、エタノール、
酢酸エチル、クロロホルム、メチルイソブチルケトン、
ブタノール等が挙げられる。この方法によれば、ダイゼ
インとゲニステインとからなるアグリコンは分画されな
いで一緒に濃縮される。
【0063】前記非イオン吸着樹脂はいわゆるカラムク
ロマトグラフィー等によるものであり、請求項1に従っ
て抽出大豆蛋白等から生成されたアグリコンを多量に含
むイソフラボン化合物をカラム樹脂に吸着させ、その後
エタノール等の溶剤によりアグリコンを溶出速度の差に
基づいてダイゼインとゲニステインとに分画して溶出さ
せる。前記カラム樹脂としては、ダイゼインとゲニステ
インとに分画して溶出させることができるものであれば
よく、例えば、多孔性スチレン−ジビニルベンゼン樹脂
(三菱化成工業株式会社製商品名:ダイヤイオンPH−
20、ローム・アンド・ハース社製商品名:アンバーラ
イトXAD−2,XAD−4、住友化学工業株式会社製
商品名:デュオライトS−861,S−862)を挙げ
ることができる。
【0064】前記有機溶剤による抽出を行なってアグリ
コンを濃縮し、それに前記高速液体クロマトグラフィー
によるダイゼインとゲニステインとに分画した溶出を連
続して行なうことにより、ゲニステインに的を絞って、
ゲニステインが極めて高い濃度に濃縮された素材を生成
することができる。
【0065】このようにしてアグリコンを多量に含むイ
ソフラボン化合物を濃縮することにより、イソフラボン
のアグリコンとりわけゲニステインを高濃度で含有する
素材を得ることができ、その素材をゲニステインを主成
分とする医薬品の原料として利用することができ、しか
もゲニステインを高濃度で含有する医薬を容易にかつ安
価に製造することもできる。
【0066】次に、請求項4に記載の発明すなわちアグ
リコンを多量に含むイソフラボン化合物を生成した生成
物を製造すると同時に抽出大豆蛋白等の中のフィチン酸
を除去した生成物を製造する場合について説明する。
【0067】この請求項4に記載の発明の製造工程は前
記の請求項1に記載の発明の製造工程と同様にして行な
われるものであるが、製麹工程、加水工程および分解工
程において、それぞれアグリコンを多量に含むイソフラ
ボン化合物を生成すると同時に抽出大豆蛋白等の中のフ
ィチン酸を除去するものである。
【0068】以下、これらの各工程について説明する。
【0069】製麹工程においては、抽出大豆蛋白等と麹
菌との混合物を製麹装置内に投入して、28〜32℃に
加温した状態で所定時間保持し、水分が35〜50重量
%好ましくは42〜44重量%と低水分量の抽出大豆蛋
白等を麹菌により発酵させて、抽出大豆蛋白等の中のフ
ィチン酸を十分に低減させるのに必要十分な酵素が生成
されるまで製麹を行なう。
【0070】この場合、抽出大豆蛋白等に麹菌が増殖す
ることにより麹菌が作り出すフィターゼやフォスファタ
ーゼというフィチン酸を分解する酵素が抽出大豆蛋白等
の中に生成される。
【0071】すなわち、ミオ−イノシトールの水酸基の
すべてにリン酸基が結合した化合物であるフィチン酸よ
りフィチン酸を分解する酵素が前記リン酸基を遊離させ
て、イノシトール5リン酸、イノシトール4リン酸、イ
ノシトール3リン酸、イノシトール2リン酸、イノシト
ール1リン酸およびイノシトールの単独若しくは複数を
生成させて、前記フィチン酸を除去する。
【0072】この製麹に用いる麹菌としては、古くから
の日本独特の発酵食品やテンペに用いられている麹菌で
あり、食品として安全なアスペルギルス・ウサミ、アス
ペルギルス・カワチ、アスペルギルス・アワモリ、アス
ペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・オリゼー、ア
スペルギルス・ニガー等アスペルギルス属およびリゾー
プス属のフィターゼ力価およびフォスファターゼ力価の
高い麹菌を用いるとよい。
【0073】この発酵時間については、使用する麹菌の
種類に応じて、少なくとも24時間以上であり、抽出大
豆蛋白等の中のフィチン酸を十分に除去させるのに必要
十分な酵素を生成させる時間とするとよい。
【0074】次の加水工程および分解工程においては、
製麹終了後の生成物に加水してから30〜65℃好まし
くは50℃程度に加温した状態で所定時間保持し、加水
分解を行ない生成物中に含まれるフィターゼやフォスフ
ァターゼの分解作用により抽出大豆蛋白等の中に含まれ
るフィチン酸を十分に低減させる。
【0075】この蛋白質の加水分解については、使用す
る麹菌の種類に応じて、抽出大豆蛋白等の中のフィチン
酸を十分に除去させるに十分な加水分解時間ならびに加
水分解温度とするとよい。
【0076】また、フィチン酸の除去は、イノシトール
6リン酸からなるフィチン酸からリン酸基を少なくとも
1基遊離させることにより行なわれるが、少なくとも2
基のリン酸基を遊離させたイノシトール4リン酸、イノ
シトール3リン酸、イノシトール2リン酸、イノシトー
ル1リン酸およびイノシトールは水溶性を有し、大豆蛋
白を原料とした生成物中に含有されているカルシウム等
からなるミネラルの吸収を大きく促進させる作用があ
る。
【0077】更に説明すると、前記イノシトール6リン
酸およびイノシトール5リン酸は、イオン結合が強く、
結合したカルシウムを溶出させなくなり、カルシウムの
吸収作用を大きく抑えてしまうものである。これに対
し、イノシトール4リン酸からイノシトール1リン酸
は、カルシウムを良好に結合させるとともに、必要な時
には結合したカルシウムを容易に溶出させる適度な親和
力を有するものであり、前記したようなカルシウムの吸
収を促進させるという特徴的な作用を発揮するものであ
る。
【0078】したがって、イノシトール6リン酸からな
るフィチン酸からリン酸基を少なくとも2基遊離させる
ことにより、イノシトール4リン酸、イノシトール3リ
ン酸、イノシトール2リン酸、イノシトール1リン酸お
よびイノシトールの単独または複数を得て、フィチン酸
を除去して、ミネラルの吸収がより効率的に行なわれる
生成物を得るようにするとよい。この場合、発酵時間お
よび加水分解時間ならびに加水分解温度を、大豆蛋白の
種類、状態、特性、分量、麹菌の種類、状態、特性、分
量、生成物の種類、特性等に応じて調整することによ
り、フィチン酸から遊離させるリン酸基数を制御すると
よい。
【0079】表3は、抽出大豆蛋白中のフィチン酸の含
有量を、無処理の大豆粕の場合、2種類の焼酎麹(Aは
アスペルギルス・ニガー、Bはアスペルギルス・アワモ
リ)を用いて抽出大豆蛋白に対して30℃で48時間の
製麹を施し、更に各生成物の重量と同重量の水を加えて
更に50℃で48時間の蛋白質の加水分解を施してなる
抽出大豆蛋白Aおよび抽出大豆蛋白Bの場合並びに従来
のアルコール洗浄処理を施してなる大豆粕の場合につい
てそれぞれ示している。
【0080】 この、表3によれば、無処理の大豆粕中のフィチン酸量
が約1%の999mgであるのに比較して、本発明方法に
従って焼酎麹処理を施し、その後各生成物の重量と同重
量の水を加えて更に50℃で48時間の蛋白質の加水分
解を施してなる抽出大豆蛋白AおよびBの中のフィチン
酸量は検出されない程度、即ちにフィチン酸が全部分解
される程度まで低減されている。
【0081】一方、従来のアルコール洗浄処理を施した
大豆粕中のフィチン酸量は1150mgで全く減少してい
ない。
【0082】このように本発明によれば、抽出大豆蛋白
等の中のイソフラボン化合物のうち薬理作用の高いアグ
リコンを極めて高い生成比率をもって製造すると同時に
抽出大豆蛋白等の中のフィチン酸を大きく若しくは完全
に近く低減することができる。
【0083】また、イソフラボンのアグリコンとりわけ
ゲニステインを高濃度で含有する素材を容易にかつ安価
に得ることができる。
【0084】以上説明したように、本発明によって製造
された抽出大豆蛋白等を原料とした生成物は、食塩を添
加することなく製造されているために、極めて低塩分の
食品となり、食品として供する場合、多量に食すること
が可能である。そして、その食品中には制癌効果、骨粗
鬆症治療効果や免疫抑制効果等に優れているイソフラボ
ンのアグリコンが多量に含有されているものであり、人
の健康維持の面並びに発癌防止の面において優れた効果
を発揮する食生活を送ることができる。
【0085】更に、本発明方法によれば、それぞれイソ
フラボン化合物の含有率が高い抽出大豆蛋白および分離
大豆蛋白を原料としているために、アグリコンを多量に
含むイソフラボン化合物を歩留りよく、安価に生成する
ことができ、これによりイソフラボンのアグリコンとり
わけゲニステインを多量に含有する制癌効果に優れた食
品を安価に製造することができる。
【0086】更に、本発明方法によれば、イソフラボン
のアグリコンとりわけゲニステインを高濃度で含有する
素材を容易にかつ安価に得ることができるので、その素
材をゲニステインを主成分とする医薬品の原料として利
用することができ、しかも、ゲニステインを高濃度で含
有する医薬を容易にかつ安価に製造することができる。
【0087】特に、腸内にイソフラボンを分解する酵素
を有していない人が本発明のゲニステインを高濃度で含
有する食品や医薬を摂取したり服用することにより、ゲ
ニステインを直接体内に吸収汁粉とができ、これにより
健康維持の面並びに発癌防止の面において優れた効果を
有する生活を送ることができる。
【0088】また、骨粗鬆症についてみれば、一方のイ
ソフラボンのアグリコンが骨量の減少を防止する効果を
発揮し、他方のフィチン酸が除去されたことにより発育
促進作用や抗脂肪肝作用を有する有用なビタミンB類等
の活性を高く維持されて、当該抽出大豆蛋白等の中に含
有されているカルシウムの吸収が促進される効果が発揮
され、更にこれらの効果が相乗的に発揮されることによ
り、骨粗鬆症治療効果に極めて優れた食品となる。特
に、ホルモンの関係により骨粗鬆症になりやすい人の食
事療法に採用すると効果が発揮される。
【0089】また、このようにして製造された抽出大豆
蛋白等を飼料等として利用する場合には、図1に示すよ
うに、前記実施例のようにして製造された抽出大豆蛋白
等をそれぞれ乾燥させ、その後粉砕することにより、薬
理作用の高い粉砕抽出大豆蛋白等として、畜産用飼料や
水産養殖用の餌料の原料等の製品とする。また、このよ
うな畜産用飼料や水産養殖用の餌料の原料等の製品をよ
り安価に製造するためには、前記表2に示す比較例のよ
うに脱脂大豆を原料として利用するとよい。
【0090】このように請求項1および請求項2に記載
の本発明によれば、生きている麹菌を増殖させて、抽出
大豆蛋白等の中のイソフラボン化合物のうち薬理作用の
高いアグリコンを極めて高い生成比率をもって製造した
り、抽出大豆蛋白等の中のフィチン酸を除去したり、更
に蛋白質を加水分解するものであるために、抽出大豆蛋
白等が固形状または液状であっても容易にアグリコンを
生成したりフィチン酸を除去することができ、製造工程
も簡単となり、製造コストも低廉となる。そして、請求
項1に記載の発明によって安価に製造される生成物を利
用して、請求項3および請求項4に記載の本発明におい
ては、イソフラボンのアグリコンとりわけゲニステイン
を高濃度で含有する素材を容易にかつ安価に得ることが
できるので、その素材をゲニステインを主成分とする医
薬品の原料として利用することができ、ゲニステインを
高濃度で含有する医薬を容易にかつ安価に製造すること
ができる。
【0091】また、本発明においては従来の製麹装置を
そのまま利用して実施することができ、生産ベースの装
置を特に製造する必要もなく、汎用性の高いものであ
る。
【0092】なお、本発明は前記各実施例に限定される
ものではなく、必要に応じて変更することができる。
【0093】
【発明の効果】このように本発明は構成され作用するも
のであるから、大豆蛋白を原料として制癌効果、骨粗鬆
症治療効果や免疫抑制効果等に優れている食品、畜産用
飼料および水産養殖用の餌料等を製造することができ
る。また、蛋白質を加水分解しているため、生産された
食品、畜産用飼料および水産養殖用の餌料等が消化しや
すく、しかも吸収しやすいため、蛋白質の利用効率が高
い栄養的に優れている面も有しており、しかも、食塩の
添加がないので多量に食することができる。更に、イソ
フラボン化合物の含有率の高い抽出大豆蛋白を原料とし
ているために、優れた製造効率で安価に食品、畜産用飼
料および水産養殖用の餌料等を製造することができる。
特に、イソフラボンのアグリコンとりわけゲニステイン
を多量に含有する制癌効果に優れた食品を安価に製造す
ることができる等の効果を奏する。
【0094】また、本発明は、イソフラボンのアグリコ
ンとりわけゲニステインを高い濃度で含有する素材を極
めて容易にかつ安価に製造することができ、その素材を
ゲニステインを主成分とする医薬品の原料として利用す
ることができ、しかもゲニステインを高濃度で含有する
医薬を容易にかつ安価に製造することのできる素材を生
成することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により大豆蛋白中のイソフラボン化合物
のうち薬理作用の高いアグリコンを生成する製造方法の
1実施例および同時に大豆蛋白中のフィチン酸を除去し
た生成物の製造方法の1実施例を示す工程図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07D 311/40 C07D 311/40 C12P 17/12 C12P 17/12 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23J 3/16 - 3/34 A23L 1/20 C07D 311/36 - 311/40 C12P 17/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抽出大豆蛋白および分離大豆蛋白の少な
    くとも一方からなる大豆蛋白に麹菌を接種して製麹し、
    この製麹処理による生成物に加水することにより当該生
    成物中の蛋白質を加水分解するとともに前記大豆蛋白中
    のイソフラボン化合物の配糖体を分解して、アグリコン
    を多量に含むイソフラボン化合物を生成して、前記大豆
    蛋白を原料とした生成物を製造することを特徴とする大
    豆蛋白を原料とした生成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 抽出大豆蛋白および分離大豆蛋白の少な
    くとも一方からなる大豆蛋白に麹菌を接種して製麹し、
    この製麹処理による生成物に加水することにより当該生
    成物中の蛋白質を加水分解するとともに前記大豆蛋白中
    のイソフラボン化合物の配糖体を分解して、アグリコン
    を多量に含むイソフラボン化合物を生成し、その後前記
    アグリコンを濃縮してアグリコンの濃度の高い前記大豆
    蛋白を原料とした生成物を製造することを特徴とする大
    豆蛋白を原料とした生成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 抽出大豆蛋白および分離大豆蛋白の少な
    くとも一方からなる大豆蛋白に麹菌を接種して製麹し、
    この製麹処理による生成物に加水することにより当該生
    成物中の蛋白質を加水分解するとともに前記大豆蛋白中
    のイソフラボン化合物の配糖体を分解して、アグリコン
    を多量に含むイソフラボン化合物を生成し、その後前記
    アグリコンに含まれているゲニステインを分画・濃縮し
    てゲニステインの濃度の高い前記大豆蛋白を原料とした
    生成物を製造することを特徴とする大豆蛋白を原料とし
    た生成物の製造方法。
  4. 【請求項4】抽出大豆蛋白および分離大豆蛋白の少なく
    とも一方からなる大豆蛋白に麹菌を接種して製麹し、こ
    の製麹処理による生成物に加水することにより当該生成
    物中の蛋白質を加水分解するとともに前記大豆蛋白中の
    イソフラボン化合物の配糖体を分解して、アグリコンを
    多量に含むイソフラボン化合物を生成し、かつ、前記大
    豆蛋白中のフィチン酸を除去して、前記大豆蛋白を原料
    とした生成物を製造することを特徴とする大豆蛋白を原
    料とした生成物の製造方法。
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