JP3403795B2 - 穀類を原料とした生成物およびその製造方法 - Google Patents
穀類を原料とした生成物およびその製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、穀類を原料とした生成
物およびその製造方法に係り、特に、穀類による人体に
対するアレルギーを低減することのできる穀類を原料と
した生成物およびその製造方法に関する。
物およびその製造方法に係り、特に、穀類による人体に
対するアレルギーを低減することのできる穀類を原料と
した生成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、大豆等の豆科の豆類、米、麦、
とうもろこし等やこれらの粕類を原料とする穀類を原料
とした各種の生成物(食品)が人体に対する有用な蛋白
源として用いられている。
とうもろこし等やこれらの粕類を原料とする穀類を原料
とした各種の生成物(食品)が人体に対する有用な蛋白
源として用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、食物
(食品)アレルギーと称される食物によるアトピー性皮
膚炎の症状に代表されるアレルギー疾患に罹患する人が
増加している。
(食品)アレルギーと称される食物によるアトピー性皮
膚炎の症状に代表されるアレルギー疾患に罹患する人が
増加している。
【0004】一般に、アレルギーは、I型からIV型に
分類されているが、食物アレルギーはこのうちI型に分
類されるものが圧倒的に多い。このI型はアレルギーの
中でも最も多いタイプで、IgE(免疫グロブリンE)
と称されるアレルギーの原因物質である抗体物質(アレ
ルゲン)が関与していることが知られている。
分類されているが、食物アレルギーはこのうちI型に分
類されるものが圧倒的に多い。このI型はアレルギーの
中でも最も多いタイプで、IgE(免疫グロブリンE)
と称されるアレルギーの原因物質である抗体物質(アレ
ルゲン)が関与していることが知られている。
【0005】食物アレルギーの多くは、乳児期に、卵、
牛乳、大豆、肉等からなる成長に必須な高栄養価の食品
がアレルゲンとなって集中して発生するとともに、近年
では、成人の間で、米、小麦等からなる穀類からなる食
品がアレルゲンとなって発生することが知られている。
牛乳、大豆、肉等からなる成長に必須な高栄養価の食品
がアレルゲンとなって集中して発生するとともに、近年
では、成人の間で、米、小麦等からなる穀類からなる食
品がアレルゲンとなって発生することが知られている。
【0006】ここで穀類のアレルゲンの成分について穀
類の一種である大豆を例示して説明する。
類の一種である大豆を例示して説明する。
【0007】まず、大豆の蛋白質の構成について説明す
る。
る。
【0008】大豆中の蛋白質は、分子量8000〜60
0000ダルトンの蛋白質により構成されており、蛋白
質の約80%は、大豆グロブリンあるいは酸沈殿蛋白質
であるといわれている。そして、大豆グロブリンの主成
分は、11S(subunit)−グロブリン(glo
bulin)と7S−グロブリンであり、その他、分子
量の小さい2S−グロブリン、分子量の大きい15S−
グロブリン等からなり、11S−グロブリンと7S−グ
ロブリンとにより全体の約70%が構成されている。
0000ダルトンの蛋白質により構成されており、蛋白
質の約80%は、大豆グロブリンあるいは酸沈殿蛋白質
であるといわれている。そして、大豆グロブリンの主成
分は、11S(subunit)−グロブリン(glo
bulin)と7S−グロブリンであり、その他、分子
量の小さい2S−グロブリン、分子量の大きい15S−
グロブリン等からなり、11S−グロブリンと7S−グ
ロブリンとにより全体の約70%が構成されている。
【0009】そして、大豆のアレルゲン成分は、以下に
記す表Aに示すように、分子量30000ダルトンの7
S−グロブリンに、アトピー性皮膚炎に代表される食物
アレルギー患者の発病頻度が最も高いことが報告されて
いる(小川ら:ビタミン栄養化学、37号、555〜5
65頁(1991))。
記す表Aに示すように、分子量30000ダルトンの7
S−グロブリンに、アトピー性皮膚炎に代表される食物
アレルギー患者の発病頻度が最も高いことが報告されて
いる(小川ら:ビタミン栄養化学、37号、555〜5
65頁(1991))。
【0010】
そこで、従来においては、これらの穀類の蛋白質からな
るアレルゲンを低減するためにプロテアーゼ等の分解酵
素を用いた方法が提案されている。このような従来のプ
ロテアーゼ等の分解酵素を用いた方法では、分解酵素の
価格が極めて高価であるとともに、専用の製造設備を必
要とし、経済的負担が大きいという問題点があった。
るアレルゲンを低減するためにプロテアーゼ等の分解酵
素を用いた方法が提案されている。このような従来のプ
ロテアーゼ等の分解酵素を用いた方法では、分解酵素の
価格が極めて高価であるとともに、専用の製造設備を必
要とし、経済的負担が大きいという問題点があった。
【0011】そこで、穀類を原料とした低アレルゲンの
生成物を経済的負担を伴わず、かつ、大量に製すること
のできる製造方法の出現が望まれている。
生成物を経済的負担を伴わず、かつ、大量に製すること
のできる製造方法の出現が望まれている。
【0012】一方、大豆および大豆粕中には、フィチン
酸が約1〜2重量%含まれており、このフィチン酸は大
豆を原料とした生成物中にも残留し、生成物中に含有さ
れているビタミンB類の活性を抑えて、生成物中に含有
されているミネラル等の吸収を阻害するものである。
酸が約1〜2重量%含まれており、このフィチン酸は大
豆を原料とした生成物中にも残留し、生成物中に含有さ
れているビタミンB類の活性を抑えて、生成物中に含有
されているミネラル等の吸収を阻害するものである。
【0013】更に説明すると、フィチン酸はミオ−イノ
シトールの水酸基のすべてにリン酸基が結合した化合物
であり、栄養上重要な微量金属とキレート結合して難溶
性の化合物を生成する。そのため、高フィチン酸食物を
摂取した人や動物は、この種の金属、例えばカルシウ
ム、マグネシウム、鉄、亜鉛等の正常な腸管内吸収が妨
害されて、一連の欠乏障害を起こすこととなる。
シトールの水酸基のすべてにリン酸基が結合した化合物
であり、栄養上重要な微量金属とキレート結合して難溶
性の化合物を生成する。そのため、高フィチン酸食物を
摂取した人や動物は、この種の金属、例えばカルシウ
ム、マグネシウム、鉄、亜鉛等の正常な腸管内吸収が妨
害されて、一連の欠乏障害を起こすこととなる。
【0014】また、大豆蛋白質分離物を含む生成物中に
存在するフィチン酸は、単胃動物による食物中の亜鉛の
利用を妨害することも見出だされている。更に、フィチ
ン酸は、カルシウム等の金属イオンを活性化因子とする
α−アミラーゼやペプシン、トリプシン等を含む胃腸消
化管内の種々の消化酵素に対しても阻害作用を有するこ
とが知られており、生成物中からの除去が望まれてい
る。
存在するフィチン酸は、単胃動物による食物中の亜鉛の
利用を妨害することも見出だされている。更に、フィチ
ン酸は、カルシウム等の金属イオンを活性化因子とする
α−アミラーゼやペプシン、トリプシン等を含む胃腸消
化管内の種々の消化酵素に対しても阻害作用を有するこ
とが知られており、生成物中からの除去が望まれてい
る。
【0015】そこで、従来においては、これらの大豆お
よび大豆粕中からフィチン酸を除去するための様々な方
法が提案されている。
よび大豆粕中からフィチン酸を除去するための様々な方
法が提案されている。
【0016】その従来方法を大別すると、限外濾過法、
イオン交換樹脂法、化学的方法、酵素処理法を列挙する
ことができる。
イオン交換樹脂法、化学的方法、酵素処理法を列挙する
ことができる。
【0017】しかしながら、前記限外濾過法において
は、操作中に濾過膜表面にペプチドが溜まり、濾過速度
が遅くなって効率が悪くなるという問題がある。
は、操作中に濾過膜表面にペプチドが溜まり、濾過速度
が遅くなって効率が悪くなるという問題がある。
【0018】また、イオン交換樹脂で蛋白液を処理する
イオン交換樹脂法においては、操作が煩雑であるととも
に、蛋白質の収量が悪いという問題がある。
イオン交換樹脂法においては、操作が煩雑であるととも
に、蛋白質の収量が悪いという問題がある。
【0019】また、大豆および大豆粕を酸やアルコール
で洗浄する化学的方法においては、製造操作が煩雑で、
その上、大量の廃液の処理にコストや手間が掛かってし
まうという問題がある。
で洗浄する化学的方法においては、製造操作が煩雑で、
その上、大量の廃液の処理にコストや手間が掛かってし
まうという問題がある。
【0020】また、特開平1−27706号公報に記載
されているような酵素処理法においては、酵素を用いて
フィチン酸の含有量を低下させるものであるために、大
豆等の原料をスラリまたは水溶液としなければ、前記酵
素のフィチン酸分解活性を発揮させることができないも
のであった。すなわち、酵素は大豆等の固形物に対して
は接触できないという問題点があった。
されているような酵素処理法においては、酵素を用いて
フィチン酸の含有量を低下させるものであるために、大
豆等の原料をスラリまたは水溶液としなければ、前記酵
素のフィチン酸分解活性を発揮させることができないも
のであった。すなわち、酵素は大豆等の固形物に対して
は接触できないという問題点があった。
【0021】そのため前記公報のように液状の豆乳を製
造する場合には、原料を液状の豆乳とした後に酵素を添
加すればよいので問題はないが、固形状の生成物を製造
する場合には、原料を液状物とする工程が必要があり、
更に、フィチン酸の分解処理後に液状物を固形物にする
後工程も必要となり、製造工程が複雑となり、コストも
高いものとなる等の問題点があった。更に説明すると、
固形の生成物にとっては、原料を液状とすることにより
蛋白質の含有量が低下するので、高蛋白質の固形の生成
物を得るためには技術レベルの高い濃縮作業を施す必要
があり、コストが非常に高いものとなるという問題点が
あった。
造する場合には、原料を液状の豆乳とした後に酵素を添
加すればよいので問題はないが、固形状の生成物を製造
する場合には、原料を液状物とする工程が必要があり、
更に、フィチン酸の分解処理後に液状物を固形物にする
後工程も必要となり、製造工程が複雑となり、コストも
高いものとなる等の問題点があった。更に説明すると、
固形の生成物にとっては、原料を液状とすることにより
蛋白質の含有量が低下するので、高蛋白質の固形の生成
物を得るためには技術レベルの高い濃縮作業を施す必要
があり、コストが非常に高いものとなるという問題点が
あった。
【0022】また、大豆中には、ダイジン、ダイゼイ
ン、ゲニスチン、ゲニステイン等からなるイソフラボン
化合物が含有されている。
ン、ゲニスチン、ゲニステイン等からなるイソフラボン
化合物が含有されている。
【0023】このイソフラボン化合物は、次の一般式お
よび組成表により示される。
よび組成表により示される。
【0024】
これらのイソフラボン化合物のうち、ダイゼインはダイ
ジンから配糖体であるグルコースを分解されたアグリコ
ン類であり、ゲニステインはゲニスチンから配糖体であ
るグルコースを分解されたアグリコン類である。そし
て、これらのイソフラボン化合物のうち、脱脂大豆中に
おけるダイジンとダイゼインとの組合せおよびゲニスチ
ンとゲニステインとの組合せの含有成分量および成分比
率は次の表Bに示す成分の通りである。
ジンから配糖体であるグルコースを分解されたアグリコ
ン類であり、ゲニステインはゲニスチンから配糖体であ
るグルコースを分解されたアグリコン類である。そし
て、これらのイソフラボン化合物のうち、脱脂大豆中に
おけるダイジンとダイゼインとの組合せおよびゲニスチ
ンとゲニステインとの組合せの含有成分量および成分比
率は次の表Bに示す成分の通りである。
【0025】
この表Bより、大豆においては、ダイジン、ゲニスチン
の含有量が多く、これらのアグリコン類であるダイゼイ
ン、ゲニステインの含有量が少ないことがわかる。
の含有量が多く、これらのアグリコン類であるダイゼイ
ン、ゲニステインの含有量が少ないことがわかる。
【0026】一方、醤油や味噌の製造工程中に、大豆中
のイソフラボン化合物より配糖体が加水分解されて、ア
グリコン類が生成しているという報告(木原 清:醤
研、Vol.16、No.5、190頁(1990))
がある。
のイソフラボン化合物より配糖体が加水分解されて、ア
グリコン類が生成しているという報告(木原 清:醤
研、Vol.16、No.5、190頁(1990))
がある。
【0027】しかしながら、この報告によれば、脱脂大
豆を蒸煮することや製麹工程で配糖体の加水分解がある
程度進むものの、醤油粕や豆味噌では配糖体がほとんど
分解しているものであり、豆類を原料とした食品の製造
方法として利用することが困難であった。
豆を蒸煮することや製麹工程で配糖体の加水分解がある
程度進むものの、醤油粕や豆味噌では配糖体がほとんど
分解しているものであり、豆類を原料とした食品の製造
方法として利用することが困難であった。
【0028】また、イソフラボン化合物の配糖体が加水
分解されたアグリコン類に関する薬理作用について多く
の報告がなされている。
分解されたアグリコン類に関する薬理作用について多く
の報告がなされている。
【0029】例えば、ゲニステインがチロシンキナーゼ
阻害剤(TK阻害剤)であることが明らかにされた。チ
ロシンキナーゼが癌遺伝子による癌化の誘導に必須であ
ることから、TK阻害剤であるゲニステインには制癌効
果が確認され、その有効性が注目されている(秋山ら:
生化学、59巻9号、1016頁(1987))。
阻害剤(TK阻害剤)であることが明らかにされた。チ
ロシンキナーゼが癌遺伝子による癌化の誘導に必須であ
ることから、TK阻害剤であるゲニステインには制癌効
果が確認され、その有効性が注目されている(秋山ら:
生化学、59巻9号、1016頁(1987))。
【0030】また、イソフラボン化合物のエストロゲン
作用にも注目されており、骨粗鬆症治療効果や免疫抑制
効果があることが確認されている。特に、イソフラボン
アグリコンであるゲニステインにはエストロゲン作用が
あり、この作用により、カルシウム放出の減少(骨吸収
抑制)が可能となる。
作用にも注目されており、骨粗鬆症治療効果や免疫抑制
効果があることが確認されている。特に、イソフラボン
アグリコンであるゲニステインにはエストロゲン作用が
あり、この作用により、カルシウム放出の減少(骨吸収
抑制)が可能となる。
【0031】したがって、大豆中のイソフラボン化合物
に関連する数多くの提案が特開昭62−126186号
公報、特開平1−258669号公報、特開平5−17
0756号公報等においてなされている。
に関連する数多くの提案が特開昭62−126186号
公報、特開平1−258669号公報、特開平5−17
0756号公報等においてなされている。
【0032】しかしながら、前記特開昭62−1261
86号公報に記載の方法によれば、得られるイソフラボ
ン化合物はほとんど配糖体を有するダイジン、ゲニスチ
ンであり、アグリコン類の少ないものであり、前記の薬
理効果の優れた食料品等を得ることができない。
86号公報に記載の方法によれば、得られるイソフラボ
ン化合物はほとんど配糖体を有するダイジン、ゲニスチ
ンであり、アグリコン類の少ないものであり、前記の薬
理効果の優れた食料品等を得ることができない。
【0033】また、前記特開平1−258669号公報
に記載の方法は、大豆自体の持つ酵素の1種であるβ−
グルコシダーゼの力によりイソフラボン化合物の配糖体
を分解する方法であるが、アグリコン類の生成比率が低
かった。
に記載の方法は、大豆自体の持つ酵素の1種であるβ−
グルコシダーゼの力によりイソフラボン化合物の配糖体
を分解する方法であるが、アグリコン類の生成比率が低
かった。
【0034】また、前記特開平5−170756号公報
に記載の方法は、醤油粕または醤油油に生成されたイソ
フラボンアグリコンからイソフラボン化合物を抽出する
方法である。前述の通り、醤油の製造工程中にイソフラ
ボンアグリコンは生成し、しかも生成比率は非常に高い
ものであるが、次のような不都合がある。すなわち、イ
ソフラボンアグリコンは不溶性のため、醤油粕の方に存
在することとなり、醤油粕そのものは食品として供する
ことはできないので、食品の製造方法として採用するこ
とができない。また、製造初期における豆味噌中にもイ
ソフラボンアグリコンが生成しているが、豆味噌は高塩
分食品であり、多量に食することはできない問題があ
る。
に記載の方法は、醤油粕または醤油油に生成されたイソ
フラボンアグリコンからイソフラボン化合物を抽出する
方法である。前述の通り、醤油の製造工程中にイソフラ
ボンアグリコンは生成し、しかも生成比率は非常に高い
ものであるが、次のような不都合がある。すなわち、イ
ソフラボンアグリコンは不溶性のため、醤油粕の方に存
在することとなり、醤油粕そのものは食品として供する
ことはできないので、食品の製造方法として採用するこ
とができない。また、製造初期における豆味噌中にもイ
ソフラボンアグリコンが生成しているが、豆味噌は高塩
分食品であり、多量に食することはできない問題があ
る。
【0035】前記のような薬理作用の優れたイソフラボ
ンのアグリコン類を多量に含有する食品を多量に摂取す
ることができれば、人の健康維持の面において優れた効
果を発揮する食生活を送ることができるが、従来におい
てはこの需要を満たす食品がない。
ンのアグリコン類を多量に含有する食品を多量に摂取す
ることができれば、人の健康維持の面において優れた効
果を発揮する食生活を送ることができるが、従来におい
てはこの需要を満たす食品がない。
【0036】そこで、豆類を原料として制癌効果、骨粗
鬆症治療効果や免疫抑制効果等に優れており、しかも多
量に食することのできる食品の出現が望まれている。
鬆症治療効果や免疫抑制効果等に優れており、しかも多
量に食することのできる食品の出現が望まれている。
【0037】また、骨粗鬆症についてみれば、カルシウ
ムの体内への吸収を阻害するフィチン酸を豆類中より除
去するとよい。
ムの体内への吸収を阻害するフィチン酸を豆類中より除
去するとよい。
【0038】すなわち、豆類の1種である大豆中には、
フィチン酸が約1〜2重量%含まれている。このフィチ
ン酸は大豆を原料とした生成物中にも残留し、生成物中
に含有されているビタミンB類の活性を抑えて、生成物
中に含有されているミネラル等の吸収を阻害するもので
ある。更に説明すると、フィチン酸はミオ−イノシトー
ルの水酸基のすべてにリン酸基が結合した化合物であ
り、栄養上重要な微量金属とキレート結合して難溶性の
化合物を生成する。そのため、高フィチン酸食物を摂取
した人や動物は、この種の金属、例えばカルシウム、マ
グネシウム、鉄、亜鉛等の正常な腸管内吸収が妨害され
て、一連の欠乏障害を起こすこととなる。また、大豆蛋
白質分離物を含む生成物中に存在するフィチン酸は、単
胃動物による食物中の亜鉛の利用を妨害することも見出
だされている。更に、フィチン酸は、カルシウム等の金
属イオンを活性化因子とするα−アミラーゼやペプシ
ン、トリプシン等を含む胃腸消化管内の種々の消化酵素
に対しても阻害作用を有することが知られており、生成
物中からの除去が望まれている。
フィチン酸が約1〜2重量%含まれている。このフィチ
ン酸は大豆を原料とした生成物中にも残留し、生成物中
に含有されているビタミンB類の活性を抑えて、生成物
中に含有されているミネラル等の吸収を阻害するもので
ある。更に説明すると、フィチン酸はミオ−イノシトー
ルの水酸基のすべてにリン酸基が結合した化合物であ
り、栄養上重要な微量金属とキレート結合して難溶性の
化合物を生成する。そのため、高フィチン酸食物を摂取
した人や動物は、この種の金属、例えばカルシウム、マ
グネシウム、鉄、亜鉛等の正常な腸管内吸収が妨害され
て、一連の欠乏障害を起こすこととなる。また、大豆蛋
白質分離物を含む生成物中に存在するフィチン酸は、単
胃動物による食物中の亜鉛の利用を妨害することも見出
だされている。更に、フィチン酸は、カルシウム等の金
属イオンを活性化因子とするα−アミラーゼやペプシ
ン、トリプシン等を含む胃腸消化管内の種々の消化酵素
に対しても阻害作用を有することが知られており、生成
物中からの除去が望まれている。
【0039】しかしながら、従来においてはこのフィチ
ン酸を良好に除去することができなかった。
ン酸を良好に除去することができなかった。
【0040】本発明はこれらの点に鑑みてなされたもの
であり、従来の穀類に含まれるアレルゲン成分を低減
し、食物アレルギーの発生を低減することができ、しか
も多量に食することのできる食品、畜産用飼料および水
産養殖用の餌料等に好適な生成物を提供するとともに、
これらの生成物を効率的に、かつ、良好に製することの
できる穀類を原料とした生成物およびその製造方法を提
供することを主たる目的とする。
であり、従来の穀類に含まれるアレルゲン成分を低減
し、食物アレルギーの発生を低減することができ、しか
も多量に食することのできる食品、畜産用飼料および水
産養殖用の餌料等に好適な生成物を提供するとともに、
これらの生成物を効率的に、かつ、良好に製することの
できる穀類を原料とした生成物およびその製造方法を提
供することを主たる目的とする。
【0041】本発明の他の目的は、穀類から前記アレル
ゲン成分を低減させるとともに、フィチン酸を除去した
り、このフィチン酸の除去と同時もしくは単独でイソフ
ラボン化合物の配糖体を分解して、アグリコン類を多量
に含むイソフラボン化合物を生成し、しかも多量に食す
ることのできる食品、畜産用飼料および水産養殖用の餌
料等に好適な生成物を提供するとともに、これらの生成
物を効率的に、かつ、良好に製することのできる穀類を
原料とした生成物およびその製造方法を提供することに
ある。
ゲン成分を低減させるとともに、フィチン酸を除去した
り、このフィチン酸の除去と同時もしくは単独でイソフ
ラボン化合物の配糖体を分解して、アグリコン類を多量
に含むイソフラボン化合物を生成し、しかも多量に食す
ることのできる食品、畜産用飼料および水産養殖用の餌
料等に好適な生成物を提供するとともに、これらの生成
物を効率的に、かつ、良好に製することのできる穀類を
原料とした生成物およびその製造方法を提供することに
ある。
【0042】本発明の更に他の目的は、人もしくは動物
のアレルギーの発生を抑えることができる生成物を提供
したり、このアレルギー発生の抑制に加えて、第1に穀
類中のフィチン酸を、穀類の状態を固形状に保持した状
態で容易に分解除去することができ、生成物中に含有さ
れているビタミンB類等の活性を高く維持して、当該生
成物中に含有されているミネラルの吸収が容易であり、
更にその吸収を促進可能な生成物とすることおよび/ま
たは穀類を原料として制癌効果、骨粗鬆症治療効果や免
疫抑制効果等に優れており、しかも多量に食することの
できる食品、畜産用飼料および水産養殖用の餌料等に好
適な生成物を提供するとともに、これらの生成物を効率
的に、かつ、良好に製することのできる穀類を原料とし
た生成物の製造方法を提供することにある。
のアレルギーの発生を抑えることができる生成物を提供
したり、このアレルギー発生の抑制に加えて、第1に穀
類中のフィチン酸を、穀類の状態を固形状に保持した状
態で容易に分解除去することができ、生成物中に含有さ
れているビタミンB類等の活性を高く維持して、当該生
成物中に含有されているミネラルの吸収が容易であり、
更にその吸収を促進可能な生成物とすることおよび/ま
たは穀類を原料として制癌効果、骨粗鬆症治療効果や免
疫抑制効果等に優れており、しかも多量に食することの
できる食品、畜産用飼料および水産養殖用の餌料等に好
適な生成物を提供するとともに、これらの生成物を効率
的に、かつ、良好に製することのできる穀類を原料とし
た生成物の製造方法を提供することにある。
【0043】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ため、本発明者らは、食物アレルギーの発生を低減する
ことのできる穀類を原料とした生成物の製造方法につい
て鋭意研究を行った結果、穀類に麹菌を接種して製麹
し、その後加水分解することにより、穀類中に含まれる
アレルゲン成分を低減し得ることを見い出し、本発明を
完成したものである。
ため、本発明者らは、食物アレルギーの発生を低減する
ことのできる穀類を原料とした生成物の製造方法につい
て鋭意研究を行った結果、穀類に麹菌を接種して製麹
し、その後加水分解することにより、穀類中に含まれる
アレルゲン成分を低減し得ることを見い出し、本発明を
完成したものである。
【0044】すなわち、請求項1に記載の本発明の穀類
を原料とした生成物は、穀類に麹菌を接種して製麹し、
この製麹処理による生成物に加水することにより当該生
成物中の蛋白質を加水分解するとともに穀類中のアレル
ゲンを低減せしめたことを特徴としている。
を原料とした生成物は、穀類に麹菌を接種して製麹し、
この製麹処理による生成物に加水することにより当該生
成物中の蛋白質を加水分解するとともに穀類中のアレル
ゲンを低減せしめたことを特徴としている。
【0045】そして、請求項2に記載の穀類を原料とし
た生成物の製造方法は、請求項1に記載の本発明の穀類
を原料とした生成物を製造する場合において、豆類に麹
菌を接種して製麹し、この製麹処理による生成物に加水
することにより加水分解して、前記豆類中のアレルゲン
を低減することを特徴としている。
た生成物の製造方法は、請求項1に記載の本発明の穀類
を原料とした生成物を製造する場合において、豆類に麹
菌を接種して製麹し、この製麹処理による生成物に加水
することにより加水分解して、前記豆類中のアレルゲン
を低減することを特徴としている。
【0046】さらに、請求項3に記載の本発明の穀類を
原料とした生成物は、穀類に麹菌を接種して製麹し、こ
の製麹処理による生成物に加水することにより当該生成
物中の蛋白質を加水分解するとともに穀類中のアレルゲ
ンおよびフィチン酸を低減せしめたことを特徴としてい
る。
原料とした生成物は、穀類に麹菌を接種して製麹し、こ
の製麹処理による生成物に加水することにより当該生成
物中の蛋白質を加水分解するとともに穀類中のアレルゲ
ンおよびフィチン酸を低減せしめたことを特徴としてい
る。
【0047】また、請求項4に記載の本発明の穀類を原
料とした生成物の製造方法は、請求項3に記載の本発明
の穀類を原料とした生成物を製造する場合において、豆
類に麹菌を接種して製麹し、この製麹処理による生成物
に加水することにより加水分解して、前記豆類中のアレ
ルゲンおよびフィチン酸を低減することを特徴としてい
る。
料とした生成物の製造方法は、請求項3に記載の本発明
の穀類を原料とした生成物を製造する場合において、豆
類に麹菌を接種して製麹し、この製麹処理による生成物
に加水することにより加水分解して、前記豆類中のアレ
ルゲンおよびフィチン酸を低減することを特徴としてい
る。
【0048】また、請求項5に記載の穀類を原料とした
生成物の製造方法は、請求項4において、フィチン酸か
ら少なくとも2基のリン酸基を遊離させて、イノシトー
ル4リン酸、イノシトール3リン酸、イノシトール2リ
ン酸、イノシトール1リン酸およびイノシトールの単独
若しくは複数を精製して前記フィチン酸を低減すること
を特徴としている。
生成物の製造方法は、請求項4において、フィチン酸か
ら少なくとも2基のリン酸基を遊離させて、イノシトー
ル4リン酸、イノシトール3リン酸、イノシトール2リ
ン酸、イノシトール1リン酸およびイノシトールの単独
若しくは複数を精製して前記フィチン酸を低減すること
を特徴としている。
【0049】また、請求項6に記載の本発明の穀類を原
料とした生成物は、豆類に麹菌を接種して製麹し、この
製麹処理による生成物に加水することにより当該生成物
中の蛋白質を加水分解するとともに豆類中のアレルゲン
を低減せしめるとともに、アグリコン類を多量に含むイ
ソフラボン化合物を含有せしめたことを特徴としてい
る。
料とした生成物は、豆類に麹菌を接種して製麹し、この
製麹処理による生成物に加水することにより当該生成物
中の蛋白質を加水分解するとともに豆類中のアレルゲン
を低減せしめるとともに、アグリコン類を多量に含むイ
ソフラボン化合物を含有せしめたことを特徴としてい
る。
【0050】また、請求項7に記載の本発明の穀類を原
料とした生成物の製造方法は、請求項6に記載の本発明
の穀類を原料とした生成物を製造する場合において、豆
類に麹菌を接種して製麹し、この製麹処理による生成物
に加水することにより加水分解して、前記豆類中のアレ
ルゲンを低減するとともに、前記豆類中のイソフラボン
化合物の配糖体を分解し、アグリコン類を多量に含むイ
ソフラボン化合物を生成することを特徴としている。
料とした生成物の製造方法は、請求項6に記載の本発明
の穀類を原料とした生成物を製造する場合において、豆
類に麹菌を接種して製麹し、この製麹処理による生成物
に加水することにより加水分解して、前記豆類中のアレ
ルゲンを低減するとともに、前記豆類中のイソフラボン
化合物の配糖体を分解し、アグリコン類を多量に含むイ
ソフラボン化合物を生成することを特徴としている。
【0051】また、請求項8に記載の本発明の穀類を原
料とした生成物は、豆類に麹菌を接種して製麹し、この
製麹処理による生成物に加水することにより当該生成物
中の蛋白質を加水分解するとともに豆類中のアレルゲン
およびフィチン酸を低減せしめるとともに、アグリコン
類を多量に含むイソフラボン化合物を含有せしめたこと
を特徴としている。
料とした生成物は、豆類に麹菌を接種して製麹し、この
製麹処理による生成物に加水することにより当該生成物
中の蛋白質を加水分解するとともに豆類中のアレルゲン
およびフィチン酸を低減せしめるとともに、アグリコン
類を多量に含むイソフラボン化合物を含有せしめたこと
を特徴としている。
【0052】また、請求項9に記載の本発明の穀類を原
料とした生成物の製造方法は、請求項8に記載の本発明
の穀類を原料とした生成物を製造する場合において、豆
類に麹菌を接種して製麹し、この製麹処理による生成物
に加水することにより加水分解して、前記豆類中のアレ
ルゲンおよびフィチン酸を低減するとともに、イソフラ
ボン化合物の配糖体を分解して、アグリコン類を多量に
含むイソフラボン化合物を生成することを特徴としてい
る。
料とした生成物の製造方法は、請求項8に記載の本発明
の穀類を原料とした生成物を製造する場合において、豆
類に麹菌を接種して製麹し、この製麹処理による生成物
に加水することにより加水分解して、前記豆類中のアレ
ルゲンおよびフィチン酸を低減するとともに、イソフラ
ボン化合物の配糖体を分解して、アグリコン類を多量に
含むイソフラボン化合物を生成することを特徴としてい
る。
【0053】本発明の原料として用いられる穀類の具体
例としては、大豆等の豆科の豆類、米、麦、とうもろこ
しやこれらの粕類等を例示することができる。
例としては、大豆等の豆科の豆類、米、麦、とうもろこ
しやこれらの粕類等を例示することができる。
【0054】そして、本発明により製せられる生成物と
しては、前記穀類を原料とした各種の食品(例えば、豆
腐や豆乳等)、畜産用飼料および水産養殖用餌料等を例
示することができる。
しては、前記穀類を原料とした各種の食品(例えば、豆
腐や豆乳等)、畜産用飼料および水産養殖用餌料等を例
示することができる。
【0055】さらに、本発明の製麹に用いる麹菌として
は、古くからの日本独特の発酵食品やテンペに用いられ
ている麹菌であり、食品として安全なアスペルギルス・
ウサミ、アスペルギルス・カワチ、アスペルギルス・ア
ワモリ、アスペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・
オリゼー、アスペルギルス・ニガー等アスペルギルス属
およびリゾープス属のフィターゼ力価およびフォスファ
ターゼ力価の高い麹菌を例示することができる。
は、古くからの日本独特の発酵食品やテンペに用いられ
ている麹菌であり、食品として安全なアスペルギルス・
ウサミ、アスペルギルス・カワチ、アスペルギルス・ア
ワモリ、アスペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・
オリゼー、アスペルギルス・ニガー等アスペルギルス属
およびリゾープス属のフィターゼ力価およびフォスファ
ターゼ力価の高い麹菌を例示することができる。
【0056】
【作用】請求項1に記載の本発明の穀類を原料とした生
成物を請求項2に記載の本発明の穀類を原料とした生成
物の製造方法に従って製造することにより、麹菌を増殖
させて穀類中のアレルゲンをより低減することができ、
食物アレルギーの発病率のより少ない生成物を効率よく
製することができる。
成物を請求項2に記載の本発明の穀類を原料とした生成
物の製造方法に従って製造することにより、麹菌を増殖
させて穀類中のアレルゲンをより低減することができ、
食物アレルギーの発病率のより少ない生成物を効率よく
製することができる。
【0057】請求項3に記載の本発明の穀類を原料とし
た生成物を請求項4に記載の本発明の穀類を原料とした
生成物の製造方法に従って製造することにより、麹菌を
増殖させて穀類中のアレルゲンおよびフィチン酸をより
低減することができ、食物アレルギーの発病率がより少
ないとともに、発育促進作用や抗脂肪肝作用を有する有
用なビタミンB類等の活性を高く維持するとともにミネ
ラル等の吸収により優れた生成物を効率よく製すること
ができる。
た生成物を請求項4に記載の本発明の穀類を原料とした
生成物の製造方法に従って製造することにより、麹菌を
増殖させて穀類中のアレルゲンおよびフィチン酸をより
低減することができ、食物アレルギーの発病率がより少
ないとともに、発育促進作用や抗脂肪肝作用を有する有
用なビタミンB類等の活性を高く維持するとともにミネ
ラル等の吸収により優れた生成物を効率よく製すること
ができる。
【0058】請求項3に記載の本発明の穀類を原料とし
た生成物を請求項5に記載の本発明の穀類を原料とした
生成物の製造方法に従って製造することにより、麹菌を
増殖させて穀類中のアレルゲンを低減するとともに、イ
ノシトール4リン酸、イノシトール3リン酸、イノシト
ール2リン酸、イノシトール1リン酸およびイノシトー
ルの単独若しくは複数からなる組合せは、穀類を原料と
した生成物中に含有されているミネラルの吸収を促進さ
せることができ、食物アレルギーの発病率がより少ない
とともに、ミネラル等の吸収にさらに優れた生成物を効
率よく製することができる。
た生成物を請求項5に記載の本発明の穀類を原料とした
生成物の製造方法に従って製造することにより、麹菌を
増殖させて穀類中のアレルゲンを低減するとともに、イ
ノシトール4リン酸、イノシトール3リン酸、イノシト
ール2リン酸、イノシトール1リン酸およびイノシトー
ルの単独若しくは複数からなる組合せは、穀類を原料と
した生成物中に含有されているミネラルの吸収を促進さ
せることができ、食物アレルギーの発病率がより少ない
とともに、ミネラル等の吸収にさらに優れた生成物を効
率よく製することができる。
【0059】請求項6に記載の本発明の穀類を原料とし
た生成物を請求項7に記載の本発明の穀類を原料とした
生成物の製造方法に従って製造することにより、麹菌を
増殖させて穀類中のアレルゲンを低減するとともに、原
料中のイソフラボン化合物の配糖体を分解してアグリコ
ン類を多量に含むイソフラボン化合物を生成することが
でき、食物アレルギーが少なく、制癌効果、骨粗鬆症治
療効果や免疫抑制効果等に優れた生成物を効率よく製す
ることができる。
た生成物を請求項7に記載の本発明の穀類を原料とした
生成物の製造方法に従って製造することにより、麹菌を
増殖させて穀類中のアレルゲンを低減するとともに、原
料中のイソフラボン化合物の配糖体を分解してアグリコ
ン類を多量に含むイソフラボン化合物を生成することが
でき、食物アレルギーが少なく、制癌効果、骨粗鬆症治
療効果や免疫抑制効果等に優れた生成物を効率よく製す
ることができる。
【0060】請求項8に記載の本発明の穀類を原料とし
た生成物を請求項9に記載の本発明の穀類を原料とした
生成物の製造方法に従って製造することにより、麹菌を
増殖させて穀類中のアレルゲンおよびフィチン酸を低減
するとともに、原料中のイソフラボン化合物の配糖体を
分解してアグリコン類を多量に含むイソフラボン化合物
を生成することができ、食物アレルギーがより少なく、
制癌効果、骨粗鬆症治療効果や免疫抑制効果等に優れ、
かつ、ミネラル等の吸収により優れた生成物を効率よく
製することができる。
た生成物を請求項9に記載の本発明の穀類を原料とした
生成物の製造方法に従って製造することにより、麹菌を
増殖させて穀類中のアレルゲンおよびフィチン酸を低減
するとともに、原料中のイソフラボン化合物の配糖体を
分解してアグリコン類を多量に含むイソフラボン化合物
を生成することができ、食物アレルギーがより少なく、
制癌効果、骨粗鬆症治療効果や免疫抑制効果等に優れ、
かつ、ミネラル等の吸収により優れた生成物を効率よく
製することができる。
【0061】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。
れに限定されるものではない。
【0062】以下の各実施例においては、本発明に係る
穀類を原料とした生成物およびその製造方法を合わせて
説明する。
穀類を原料とした生成物およびその製造方法を合わせて
説明する。
【0063】実施例
本実施例は、本発明により穀類中のアレルゲンを低減し
た生成物およびその製造方法の一実施例、穀類中のアレ
ルゲンを低減するとともにフィチン酸を除去した生成物
およびその製造方法の一実施例、穀類中のアレルゲンを
低減するとともにフィチン酸から少なくとも2基のリン
酸基を遊離させて前記フィチン酸を除去した生成物およ
びその製造方法の一実施例、穀類中のアレルゲンを低減
するとともにイソフラボン化合物の配糖体を分解してア
グリコン類を多量に含むイソフラボン化合物を生成した
生成物およびその製造方法の一実施例、穀類中のアレル
ゲンを低減するとともにイソフラボン化合物の配糖体を
分解してアグリコン類を多量に含むイソフラボン化合物
を生成するとともに穀類中のフィチン酸を除去した生成
物およびその製造方法の一実施例を示すものであり、図
1は、その工程図である。すなわち、同一の製造方法に
より、前記請求項1、3、6、8に記載の何れか1項に
記載の本発明の生成物をそれぞれ製することができる。
た生成物およびその製造方法の一実施例、穀類中のアレ
ルゲンを低減するとともにフィチン酸を除去した生成物
およびその製造方法の一実施例、穀類中のアレルゲンを
低減するとともにフィチン酸から少なくとも2基のリン
酸基を遊離させて前記フィチン酸を除去した生成物およ
びその製造方法の一実施例、穀類中のアレルゲンを低減
するとともにイソフラボン化合物の配糖体を分解してア
グリコン類を多量に含むイソフラボン化合物を生成した
生成物およびその製造方法の一実施例、穀類中のアレル
ゲンを低減するとともにイソフラボン化合物の配糖体を
分解してアグリコン類を多量に含むイソフラボン化合物
を生成するとともに穀類中のフィチン酸を除去した生成
物およびその製造方法の一実施例を示すものであり、図
1は、その工程図である。すなわち、同一の製造方法に
より、前記請求項1、3、6、8に記載の何れか1項に
記載の本発明の生成物をそれぞれ製することができる。
【0064】以下、この各請求項に対応する各実施例に
ついて、穀類を代表する大豆粕を用いた場合を例示して
具体的に説明する。
ついて、穀類を代表する大豆粕を用いた場合を例示して
具体的に説明する。
【0065】まず、請求項2に記載の発明、すなわち、
請求項1に記載のアレルゲンを低減せしめた生成物を製
造する場合について説明する。
請求項1に記載のアレルゲンを低減せしめた生成物を製
造する場合について説明する。
【0066】実施例1
本実施例について、図1の工程に沿って説明すると、先
ず大豆粕を蒸煮する。この蒸煮を施すことにより、麹菌
の増殖が容易となる。また、この大豆粕の蒸煮は製造目
的等に応じてバッチ式や連続式で行うと良い。
ず大豆粕を蒸煮する。この蒸煮を施すことにより、麹菌
の増殖が容易となる。また、この大豆粕の蒸煮は製造目
的等に応じてバッチ式や連続式で行うと良い。
【0067】そして、この蒸煮が終了した大豆粕を一旦
冷却して、大豆粕中の水分量を麹菌が増殖可能な量(例
えば、40重量%)とする。
冷却して、大豆粕中の水分量を麹菌が増殖可能な量(例
えば、40重量%)とする。
【0068】このようにして水分量を整えられた大豆粕
に対して、本発明方法が以下のようにして行なわれる。
に対して、本発明方法が以下のようにして行なわれる。
【0069】すなわち、蒸煮が終了した大豆粕単体に、
安価な麹菌からなる種麹、本実施例においては焼酎麹菌
(アスペルギルス・ニガー)を所定重量比だけ接種し、
両者が均一となるまで混合する。
安価な麹菌からなる種麹、本実施例においては焼酎麹菌
(アスペルギルス・ニガー)を所定重量比だけ接種し、
両者が均一となるまで混合する。
【0070】その後、混合物を製麹装置内に投入して、
28〜30℃に加温した状態で所定時間保持し、水分が
40重量%と低水分量の大豆粕を麹菌により発酵させて
製麹を行なう。本実施例においては、製麹時間(発酵時
間)を少なくとも24時間以上とした。
28〜30℃に加温した状態で所定時間保持し、水分が
40重量%と低水分量の大豆粕を麹菌により発酵させて
製麹を行なう。本実施例においては、製麹時間(発酵時
間)を少なくとも24時間以上とした。
【0071】つぎに、製麹終了後の生成物に加水工程で
加水してから分解工程において30〜45℃に加温した
状態で所定時間保持し、大豆粕中に含まれるアレルゲ
ン、特に、分子量30000ダルトンの7S−グロブリ
ンを十分に低減させるように加水分解を行なう。本実施
例においては、加水分解時間を少なくとも1時間以上と
した。
加水してから分解工程において30〜45℃に加温した
状態で所定時間保持し、大豆粕中に含まれるアレルゲ
ン、特に、分子量30000ダルトンの7S−グロブリ
ンを十分に低減させるように加水分解を行なう。本実施
例においては、加水分解時間を少なくとも1時間以上と
した。
【0072】なお、前記製麹時間および加水分解時間な
らびにこれらの温度については、使用する麹菌の種類に
応じて、大豆粕中のアレルゲンを十分に低減させるに十
分な時間ならびに温度とするとよい。
らびにこれらの温度については、使用する麹菌の種類に
応じて、大豆粕中のアレルゲンを十分に低減させるに十
分な時間ならびに温度とするとよい。
【0073】また、このようにして製造された生成物
は、図1に示すように、分解工程により低アレルゲン化
された生成物を乾燥させ、その後粉砕することにより粉
砕大豆粕とすることにより、薬理作用の高い食品の原料
および畜産用飼料や水産養殖用の餌料の原料等の製品と
される。
は、図1に示すように、分解工程により低アレルゲン化
された生成物を乾燥させ、その後粉砕することにより粉
砕大豆粕とすることにより、薬理作用の高い食品の原料
および畜産用飼料や水産養殖用の餌料の原料等の製品と
される。
【0074】なお、製麹に用いる麹菌としては、古くか
らの日本独特の発酵食品やテンペに用いられている麹菌
であり、食品として安全なアスペルギルス・ウサミ、ア
スペルギルス・カワチ、アスペルギルス・アワモリ、ア
スペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・オリゼー、
アスペルギルス・ニガー等アスペルギルス属およびリゾ
ープス属のフィターゼ力価およびフォスファターゼ力価
の高い麹菌を例示することができ、これ等の麹菌は経済
性、生産性、取扱性、アレルゲン除去性等の点から好ま
しい。
らの日本独特の発酵食品やテンペに用いられている麹菌
であり、食品として安全なアスペルギルス・ウサミ、ア
スペルギルス・カワチ、アスペルギルス・アワモリ、ア
スペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・オリゼー、
アスペルギルス・ニガー等アスペルギルス属およびリゾ
ープス属のフィターゼ力価およびフォスファターゼ力価
の高い麹菌を例示することができ、これ等の麹菌は経済
性、生産性、取扱性、アレルゲン除去性等の点から好ま
しい。
【0075】この方法によれば、安価な麹菌を用いて従
来の製麹装置をそのまま利用して実施することができ、
専用の生産設備を特に製造する必要もなく、汎用性が高
く、製造工程も簡単となり、製造コストも低廉となると
ともに、発酵の初期において有機酸を生成して大豆粕中
の雑菌の増殖を抑制し、2次汚染の心配がなくなり、大
豆粕を原料とした生成物を大量生産することができる。
来の製麹装置をそのまま利用して実施することができ、
専用の生産設備を特に製造する必要もなく、汎用性が高
く、製造工程も簡単となり、製造コストも低廉となると
ともに、発酵の初期において有機酸を生成して大豆粕中
の雑菌の増殖を抑制し、2次汚染の心配がなくなり、大
豆粕を原料とした生成物を大量生産することができる。
【0076】つぎに、本実施例の製造方法により得られ
た生成物の特性を評価するために、大豆粕中のアレルゲ
ン成分である大豆蛋白質の分子量分布とその量とについ
て、本発明に基づく大豆粕と従来の無処理の大豆粕とに
対して、それぞれSDS−12.5%ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動を行い電気泳動図を得、これをデンシド
メータで各バンドの量的な解析(分子量のピークの大き
さは、バンドの濃さとバンドの幅により決定される)を
行ったところ、本発明に基づく大豆粕については図2に
示すような大豆蛋白質の分子量分布が得られ、従来の無
処理の大豆粕については図3に示すような大豆蛋白質の
分子量分布が得られた。なお、本実験に用いた本発明に
基づく大豆粕の製麹時間は48時間、分解時間24時間
のものを用いた。
た生成物の特性を評価するために、大豆粕中のアレルゲ
ン成分である大豆蛋白質の分子量分布とその量とについ
て、本発明に基づく大豆粕と従来の無処理の大豆粕とに
対して、それぞれSDS−12.5%ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動を行い電気泳動図を得、これをデンシド
メータで各バンドの量的な解析(分子量のピークの大き
さは、バンドの濃さとバンドの幅により決定される)を
行ったところ、本発明に基づく大豆粕については図2に
示すような大豆蛋白質の分子量分布が得られ、従来の無
処理の大豆粕については図3に示すような大豆蛋白質の
分子量分布が得られた。なお、本実験に用いた本発明に
基づく大豆粕の製麹時間は48時間、分解時間24時間
のものを用いた。
【0077】図2と図3とを比較すると、従来の無処理
の生成物には、分子量30000ダルトン以上のものが
多量に含有されているが、本発明による生成物は、分子
量30000ダルトン以下のものとなり、特に、食物ア
レルギーの発生頻度が最も大きい、分子量30000ダ
ルトンの7S−グロブリンを確実により低減できること
が判明した。
の生成物には、分子量30000ダルトン以上のものが
多量に含有されているが、本発明による生成物は、分子
量30000ダルトン以下のものとなり、特に、食物ア
レルギーの発生頻度が最も大きい、分子量30000ダ
ルトンの7S−グロブリンを確実により低減できること
が判明した。
【0078】また、分解時間を長くすることにより、蛋
白質の低分子量化がより促進する傾向となることが確認
できた。
白質の低分子量化がより促進する傾向となることが確認
できた。
【0079】すなわち、本発明によれば、安価な麹菌を
用いて穀類のアレルゲン成分である高分子量の蛋白質を
低分子量化して低減し、食物アレルギーの発生を確実に
低減し、食物アレルギーの少ない多量の低アレルゲンの
生成物を低コストで製することができる。
用いて穀類のアレルゲン成分である高分子量の蛋白質を
低分子量化して低減し、食物アレルギーの発生を確実に
低減し、食物アレルギーの少ない多量の低アレルゲンの
生成物を低コストで製することができる。
【0080】つぎに、請求項4に記載の発明、すなわ
ち、請求項3に記載のアレルゲンを低減するとともにフ
ィチン酸を除去した生成物を製造する場合について詳し
く説明する。
ち、請求項3に記載のアレルゲンを低減するとともにフ
ィチン酸を除去した生成物を製造する場合について詳し
く説明する。
【0081】実施例2
本実施例の製造工程は、前記実施例1の製造工程と同様
にして行われるものであるが、アレルゲンを低減すると
同時にフィチン酸を除去するものである。
にして行われるものであるが、アレルゲンを低減すると
同時にフィチン酸を除去するものである。
【0082】以下、これらの各工程について説明する。
【0083】本実施例について、図1の工程に沿って説
明すると、先ず大豆粕を蒸煮する。この蒸煮を施すこと
により、麹菌の増殖が容易となる。また、この大豆粕の
蒸煮は製造目的等に応じてバッチ式や連続式で行うと良
い。
明すると、先ず大豆粕を蒸煮する。この蒸煮を施すこと
により、麹菌の増殖が容易となる。また、この大豆粕の
蒸煮は製造目的等に応じてバッチ式や連続式で行うと良
い。
【0084】そして、この蒸煮が終了した大豆粕を一旦
冷却して、大豆粕中の水分量を麹菌が増殖可能な量(例
えば、40重量%)とする。
冷却して、大豆粕中の水分量を麹菌が増殖可能な量(例
えば、40重量%)とする。
【0085】このようにして水分量を整えられた大豆粕
に対して、本発明方法が以下のようにして行なわれる。
に対して、本発明方法が以下のようにして行なわれる。
【0086】すなわち、蒸煮が終了した大豆粕単体に、
安価な麹菌からなる種麹、本実施例においては焼酎麹菌
(アスペルギルス・ニガー)を所定重量比だけ接種し、
両者が均一となるまで混合する。
安価な麹菌からなる種麹、本実施例においては焼酎麹菌
(アスペルギルス・ニガー)を所定重量比だけ接種し、
両者が均一となるまで混合する。
【0087】その後、混合物を製麹装置内に投入して、
28〜30℃に加温した状態で所定時間保持し、水分が
40重量%と低水分量の大豆粕を麹菌により発酵させて
製麹を行なう。本実施例においては、製麹時間(発酵時
間)を少なくとも24時間以上とした。
28〜30℃に加温した状態で所定時間保持し、水分が
40重量%と低水分量の大豆粕を麹菌により発酵させて
製麹を行なう。本実施例においては、製麹時間(発酵時
間)を少なくとも24時間以上とした。
【0088】つぎに、製麹終了後の生成物に対して加水
工程で加水してから分解工程において30〜45℃に加
温した状態で所定時間保持し、大豆粕中に含まれるアレ
ルゲン、特に、分子量30000ダルトンの7S−グロ
ブリンを十分に低減させるとともに、生成物中に含まれ
るフィターゼ、フォスファターゼ、プロテアーゼの分解
作用によりフィチン酸を十分に低減または除去させるよ
うに加水分解を行なう。本実施例においては、加水分解
時間を少なくとも1時間以上とした。
工程で加水してから分解工程において30〜45℃に加
温した状態で所定時間保持し、大豆粕中に含まれるアレ
ルゲン、特に、分子量30000ダルトンの7S−グロ
ブリンを十分に低減させるとともに、生成物中に含まれ
るフィターゼ、フォスファターゼ、プロテアーゼの分解
作用によりフィチン酸を十分に低減または除去させるよ
うに加水分解を行なう。本実施例においては、加水分解
時間を少なくとも1時間以上とした。
【0089】なお、前記製麹時間および加水分解時間な
らびにこれらの温度については、使用する麹菌の種類等
に応じて、大豆粕中のアレルゲンを十分に低減させると
ともに、フィチン酸を十分に低減または除去させるに十
分な時間ならびに温度とするとよい。
らびにこれらの温度については、使用する麹菌の種類等
に応じて、大豆粕中のアレルゲンを十分に低減させると
ともに、フィチン酸を十分に低減または除去させるに十
分な時間ならびに温度とするとよい。
【0090】また、このようにして製造された生成物
は、図1に示すように、分解工程により低アレルゲン化
および低フィチン酸化された生成物を乾燥させ、その後
粉砕することにより粉砕大豆粕とすることにより、薬理
作用の高い食品の原料および畜産用飼料や水産養殖用の
餌料の原料等の製品とされる。
は、図1に示すように、分解工程により低アレルゲン化
および低フィチン酸化された生成物を乾燥させ、その後
粉砕することにより粉砕大豆粕とすることにより、薬理
作用の高い食品の原料および畜産用飼料や水産養殖用の
餌料の原料等の製品とされる。
【0091】なお、製麹に用いる麹菌としては、古くか
らの日本独特の発酵食品やテンペに用いられている麹菌
であり、食品として安全なアスペルギルス・ウサミ、ア
スペルギルス・カワチ、アスペルギルス・アワモリ、ア
スペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・オリゼー、
アスペルギルス・ニガー等アスペルギルス属およびリゾ
ープス属のフィターゼ力価およびフォスファターゼ力価
の高い麹菌を例示することができ、これ等の麹菌が経済
性、生産性、取扱性、アレルゲン除去性、フィチン酸の
除去性等の点から好ましい。
らの日本独特の発酵食品やテンペに用いられている麹菌
であり、食品として安全なアスペルギルス・ウサミ、ア
スペルギルス・カワチ、アスペルギルス・アワモリ、ア
スペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・オリゼー、
アスペルギルス・ニガー等アスペルギルス属およびリゾ
ープス属のフィターゼ力価およびフォスファターゼ力価
の高い麹菌を例示することができ、これ等の麹菌が経済
性、生産性、取扱性、アレルゲン除去性、フィチン酸の
除去性等の点から好ましい。
【0092】この方法によれば、前述した実施例1と同
様に、安価な麹菌を用いて従来の製麹装置をそのまま利
用して実施することができ、専用の生産設備を特に製造
する必要もなく、汎用性が高く、製造工程も簡単とな
り、製造コストも低廉となるとともに、発酵の初期にお
いて有機酸を生成して大豆粕中の雑菌の増殖を抑制し、
2次汚染の心配がなくなり、大豆粕を原料とした生成物
を大量生産することができるとともに、低水分としなく
とも十分なフィチン酸の低減または除去処理を施すこと
ができる。
様に、安価な麹菌を用いて従来の製麹装置をそのまま利
用して実施することができ、専用の生産設備を特に製造
する必要もなく、汎用性が高く、製造工程も簡単とな
り、製造コストも低廉となるとともに、発酵の初期にお
いて有機酸を生成して大豆粕中の雑菌の増殖を抑制し、
2次汚染の心配がなくなり、大豆粕を原料とした生成物
を大量生産することができるとともに、低水分としなく
とも十分なフィチン酸の低減または除去処理を施すこと
ができる。
【0093】つぎに、本実施例の製造方法により得られ
た生成物の特性を評価するために、実施例1と同様にし
て大豆粕中のアレルゲン成分である大豆蛋白質の分子量
分布とその量とについて調査したところ、実施例1とほ
ぼ同様の結果を得られることが判明した。なお、アレル
ゲンの低減については、前記実施例1とほぼ同様なので
詳しい説明を省略し、フィチン酸低減の作用のみについ
て説明する。
た生成物の特性を評価するために、実施例1と同様にし
て大豆粕中のアレルゲン成分である大豆蛋白質の分子量
分布とその量とについて調査したところ、実施例1とほ
ぼ同様の結果を得られることが判明した。なお、アレル
ゲンの低減については、前記実施例1とほぼ同様なので
詳しい説明を省略し、フィチン酸低減の作用のみについ
て説明する。
【0094】本実施例においては、大豆粕に麹菌が増殖
することにより麹菌が作り出すフィターゼやフォスファ
ターゼというフィチン酸を分解する酵素が大豆粕中のフ
ィチン酸を分解除去する。
することにより麹菌が作り出すフィターゼやフォスファ
ターゼというフィチン酸を分解する酵素が大豆粕中のフ
ィチン酸を分解除去する。
【0095】すなわち、ミオ−イノシトールの水酸基の
すべてにリン酸基が結合した化合物であるフィチン酸よ
りフィチン酸を分解する酵素が前記リン酸基を遊離させ
て、イノシトール5リン酸、イノシトール4リン酸、イ
ノシトール3リン酸、イノシトール2リン酸、イノシト
ール1リン酸およびイノシトールの単独若しくは複数を
生成させて、前記フィチン酸を低減または除去する。
すべてにリン酸基が結合した化合物であるフィチン酸よ
りフィチン酸を分解する酵素が前記リン酸基を遊離させ
て、イノシトール5リン酸、イノシトール4リン酸、イ
ノシトール3リン酸、イノシトール2リン酸、イノシト
ール1リン酸およびイノシトールの単独若しくは複数を
生成させて、前記フィチン酸を低減または除去する。
【0096】また、フィチン酸の除去は、イノシトール
6リン酸からなるフィチン酸からリン酸基を少なくとも
1基遊離させることにより行なわれるが、少なくとも2
基のリン酸基を遊離させたイノシトール4リン酸、イノ
シトール3リン酸、イノシトール2リン酸、イノシトー
ル1リン酸およびイノシトールは水溶性を有し、穀類を
原料とした生成物中に含有されているカルシウム等から
なるミネラルの吸収を大きく促進させる作用がある。
6リン酸からなるフィチン酸からリン酸基を少なくとも
1基遊離させることにより行なわれるが、少なくとも2
基のリン酸基を遊離させたイノシトール4リン酸、イノ
シトール3リン酸、イノシトール2リン酸、イノシトー
ル1リン酸およびイノシトールは水溶性を有し、穀類を
原料とした生成物中に含有されているカルシウム等から
なるミネラルの吸収を大きく促進させる作用がある。
【0097】更に説明すると、前記イノシトール6リン
酸およびイノシトール5リン酸は、イオン結合が強く、
結合したカルシウムを溶出させなくなり、カルシウムの
吸収作用を大きく抑えてしまうものである。これに対
し、イノシトール4リン酸からイノシトール1リン酸
は、カルシウムを良好に結合させるとともに、必要な時
には結合したカルシウムを容易に溶出させる適度な親和
力を有するものであり、前記したようなカルシウムの吸
収を促進させるという特徴的な作用を発揮するものであ
る。
酸およびイノシトール5リン酸は、イオン結合が強く、
結合したカルシウムを溶出させなくなり、カルシウムの
吸収作用を大きく抑えてしまうものである。これに対
し、イノシトール4リン酸からイノシトール1リン酸
は、カルシウムを良好に結合させるとともに、必要な時
には結合したカルシウムを容易に溶出させる適度な親和
力を有するものであり、前記したようなカルシウムの吸
収を促進させるという特徴的な作用を発揮するものであ
る。
【0098】つぎに、本実施例の製造方法により得られ
た生成物の他の特性を評価するために、2種類の焼酎麹
を用いて大豆粕に対して30℃で48時間の製麹を施し
た後40℃で48時間の加水分解を施してなる本発明の
大豆粕Aa(焼酎麹菌アスペルギルス・ニガーで処理)
および大豆粕Ba(焼酎麹菌アスペルギルス・アワモリ
で処理)について100gの大豆粕中のフィチン酸の含
有量について調査した。この調査結果を表1に、無処理
大豆粕および従来のアルコール洗浄処理を施してなる大
豆粕のフィチン酸含有量とともに示す。
た生成物の他の特性を評価するために、2種類の焼酎麹
を用いて大豆粕に対して30℃で48時間の製麹を施し
た後40℃で48時間の加水分解を施してなる本発明の
大豆粕Aa(焼酎麹菌アスペルギルス・ニガーで処理)
および大豆粕Ba(焼酎麹菌アスペルギルス・アワモリ
で処理)について100gの大豆粕中のフィチン酸の含
有量について調査した。この調査結果を表1に、無処理
大豆粕および従来のアルコール洗浄処理を施してなる大
豆粕のフィチン酸含有量とともに示す。
【0099】表1に示すように、無処理の大豆粕中のフ
ィチン酸量が約1%の999mgであるのに比較して、本
発明方法に従って焼酎麹処理を施した大豆粕Aaおよび
Ba中のフィチン酸は検出されない程度、すなわち、フ
ィチン酸が全部分解される程度まで低減されていること
が判明した。また、従来のアルコール洗浄処理を施した
大豆粕中のフィチン酸量は1150mgであり全く減少
していない。
ィチン酸量が約1%の999mgであるのに比較して、本
発明方法に従って焼酎麹処理を施した大豆粕Aaおよび
Ba中のフィチン酸は検出されない程度、すなわち、フ
ィチン酸が全部分解される程度まで低減されていること
が判明した。また、従来のアルコール洗浄処理を施した
大豆粕中のフィチン酸量は1150mgであり全く減少
していない。
【0100】さらに、本発明に基づく大豆粕Aaおよび
Baと従来の無処理の大豆粕に対して、それぞれイオン
交換クロマトグラフィー法により分析したところ、本発
明に基づく大豆粕AaおよびBaについては両者とも図
4に示すようなフィチン酸分解物のクロマト溶出パター
ンが得られ、従来の無処理の大豆粕については図5に示
すようなフィチン酸分解物のクロマト溶出パターンが得
られた。
Baと従来の無処理の大豆粕に対して、それぞれイオン
交換クロマトグラフィー法により分析したところ、本発
明に基づく大豆粕AaおよびBaについては両者とも図
4に示すようなフィチン酸分解物のクロマト溶出パター
ンが得られ、従来の無処理の大豆粕については図5に示
すようなフィチン酸分解物のクロマト溶出パターンが得
られた。
【0101】図4と図5とを比較すると、本発明に基づ
く大豆粕AaおよびBaの方は、穀類を原料とした生成
物中に含有されているカルシウム等からなるミネラルの
吸収を大きく促進させる作用があるイノシトール4リン
酸、イノシトール3リン酸、イノシトール2リン酸、イ
ノシトール1リン酸および無機リンが溶出されていて、
ミネラルの吸収を阻害するイノシトール5リン酸および
フィチン酸はほとんど溶出されておらず、大豆粕中に含
有されている発育促進作用や抗脂肪肝作用を有する有用
なビタミンB類等の活性を高く維持されて、当該大豆粕
中に含有されているミネラル等の吸収が容易な大豆粕で
あることがわかる。このうち、無機リンは有機リンから
無機リンに変化して溶出されたものであり、体内に良好
に吸収され易くなり、大豆粕中に含まれている栄養素で
あるリンが体内に吸収されることとなり、食品または飼
料等として栄養分を増大させるものである。
く大豆粕AaおよびBaの方は、穀類を原料とした生成
物中に含有されているカルシウム等からなるミネラルの
吸収を大きく促進させる作用があるイノシトール4リン
酸、イノシトール3リン酸、イノシトール2リン酸、イ
ノシトール1リン酸および無機リンが溶出されていて、
ミネラルの吸収を阻害するイノシトール5リン酸および
フィチン酸はほとんど溶出されておらず、大豆粕中に含
有されている発育促進作用や抗脂肪肝作用を有する有用
なビタミンB類等の活性を高く維持されて、当該大豆粕
中に含有されているミネラル等の吸収が容易な大豆粕で
あることがわかる。このうち、無機リンは有機リンから
無機リンに変化して溶出されたものであり、体内に良好
に吸収され易くなり、大豆粕中に含まれている栄養素で
あるリンが体内に吸収されることとなり、食品または飼
料等として栄養分を増大させるものである。
【0102】これに対し、従来の無処理の大豆粕の方
は、イノシトール4リン酸、イノシトール3リン酸、イ
ノシトール2リン酸およびイノシトール1リン酸に加え
て、ミネラルの吸収を阻害するイノシトール5リン酸お
よびフィチン酸も溶出されており、本発明の大豆粕に比
べてミネラルの吸収効率が非常に劣るものであることが
わかる。
は、イノシトール4リン酸、イノシトール3リン酸、イ
ノシトール2リン酸およびイノシトール1リン酸に加え
て、ミネラルの吸収を阻害するイノシトール5リン酸お
よびフィチン酸も溶出されており、本発明の大豆粕に比
べてミネラルの吸収効率が非常に劣るものであることが
わかる。
【0103】このようにして本発明に従ってフィチン酸
を大きく若しくは完全に近く低減された大豆粕は、大豆
粕中に含有されている発育促進作用や抗脂肪肝作用を有
する有用なビタミンB類等の活性を高く維持されて、当
該大豆粕中に含有されているミネラル等の吸収が容易な
大豆粕となる。
を大きく若しくは完全に近く低減された大豆粕は、大豆
粕中に含有されている発育促進作用や抗脂肪肝作用を有
する有用なビタミンB類等の活性を高く維持されて、当
該大豆粕中に含有されているミネラル等の吸収が容易な
大豆粕となる。
【0104】このように本発明によれば、前述した実施
例1と同様の作用効果を奏するとともに、生きている麹
菌を増殖させて穀類中のアレルゲンの低減およびフィチ
ン酸の低減または除去の両者を同一工程で行うことがで
きので、アレルゲンおよびフィチン酸の両者の低減によ
る相乗効果を合わせ持つ穀類を原料とした低アレルゲン
の生成物を経済的負担を増加させることなく、効率よく
製することができる。そして、生きている麹菌を増殖さ
せて穀類中のフィチン酸を除去するものであるために、
穀類が固形状または液状であっても容易にフィチン酸を
除去することができ、従来方法の固形状の生成物を製造
する場合に発生していた次の問題点、すなわち原料を液
状とする工程が必要があり、さらに、フィチン酸の分解
処理後に液状物を固形物にする後工程も必要となり、製
造工程が複雑となり、コストも高いものとなる等の問題
点を確実に解消することができる。
例1と同様の作用効果を奏するとともに、生きている麹
菌を増殖させて穀類中のアレルゲンの低減およびフィチ
ン酸の低減または除去の両者を同一工程で行うことがで
きので、アレルゲンおよびフィチン酸の両者の低減によ
る相乗効果を合わせ持つ穀類を原料とした低アレルゲン
の生成物を経済的負担を増加させることなく、効率よく
製することができる。そして、生きている麹菌を増殖さ
せて穀類中のフィチン酸を除去するものであるために、
穀類が固形状または液状であっても容易にフィチン酸を
除去することができ、従来方法の固形状の生成物を製造
する場合に発生していた次の問題点、すなわち原料を液
状とする工程が必要があり、さらに、フィチン酸の分解
処理後に液状物を固形物にする後工程も必要となり、製
造工程が複雑となり、コストも高いものとなる等の問題
点を確実に解消することができる。
【0105】すなわち、食物アレルギーが少なく、発育
促進作用や抗脂肪肝作用を有する有用なビタミンB類等
の活性を高く維持するとともにミネラル等の吸収に優れ
た生成物を製することができる。
促進作用や抗脂肪肝作用を有する有用なビタミンB類等
の活性を高く維持するとともにミネラル等の吸収に優れ
た生成物を製することができる。
【0106】なお、フィチン酸の低減のみを図る場合に
は、加水工程と分解工程とを省略することが可能であ
る。
は、加水工程と分解工程とを省略することが可能であ
る。
【0107】つぎに、請求項5に記載の発明、すなわ
ち、請求項3に記載のアレルゲンを低減するとともにフ
ィチン酸を除去した生成物を他の方法により製造する場
合について説明する。なお、アレルゲンの低減およびフ
ィチン酸の低減の作用については前述した実施例1およ
び実施例2と同様であるので説明を省略する。
ち、請求項3に記載のアレルゲンを低減するとともにフ
ィチン酸を除去した生成物を他の方法により製造する場
合について説明する。なお、アレルゲンの低減およびフ
ィチン酸の低減の作用については前述した実施例1およ
び実施例2と同様であるので説明を省略する。
【0108】実施例3
本実施例の製造工程は、前記実施例1および実施例2に
記載の発明の製造工程と同様にして行われるものである
が、アレルゲンを低減すると同時にイノシトール6リン
酸からなるフィチン酸からリン酸基を少なくとも2基遊
離させることにより、イノシトール4リン酸、イノシト
ール3リン酸、イノシトール2リン酸、イノシトール1
リン酸およびイノシトールの単独または複数を積極的に
得て、フィチン酸を低減または除去し、ミネラルの吸収
がより効率的に行なわれる生成物を得るものである。
記載の発明の製造工程と同様にして行われるものである
が、アレルゲンを低減すると同時にイノシトール6リン
酸からなるフィチン酸からリン酸基を少なくとも2基遊
離させることにより、イノシトール4リン酸、イノシト
ール3リン酸、イノシトール2リン酸、イノシトール1
リン酸およびイノシトールの単独または複数を積極的に
得て、フィチン酸を低減または除去し、ミネラルの吸収
がより効率的に行なわれる生成物を得るものである。
【0109】この場合、発酵時間および分解時間を、穀
物の種類、状態、特性、分量、麹菌の種類、状態、特
性、分量、生成物の種類、特性等に応じて調整すること
により、フィチン酸から遊離させるリン酸基数を制御す
るとよい。その他の構成および作用効果は前記実施例1
および実施例2と同様である。
物の種類、状態、特性、分量、麹菌の種類、状態、特
性、分量、生成物の種類、特性等に応じて調整すること
により、フィチン酸から遊離させるリン酸基数を制御す
るとよい。その他の構成および作用効果は前記実施例1
および実施例2と同様である。
【0110】すなわち、食物アレルギーがより少なく、
発育促進作用や抗脂肪肝作用を有する有用なビタミンB
類等の活性を高く維持するとともにミネラル等の吸収に
より優れた生成物を製することができる。
発育促進作用や抗脂肪肝作用を有する有用なビタミンB
類等の活性を高く維持するとともにミネラル等の吸収に
より優れた生成物を製することができる。
【0111】なお、フィチン酸の低減のみを図る場合に
は、加水工程と分解工程とを省略することが可能であ
る。
は、加水工程と分解工程とを省略することが可能であ
る。
【0112】つぎに、請求項7に記載の発明、すなわ
ち、請求項6に記載のアレルゲンを低減するとともにイ
ソフラボン化合物の配糖体を分解して、アグリコン類を
多量に含むイソフラボン化合物を生成した生成物を製造
する場合について説明する。
ち、請求項6に記載のアレルゲンを低減するとともにイ
ソフラボン化合物の配糖体を分解して、アグリコン類を
多量に含むイソフラボン化合物を生成した生成物を製造
する場合について説明する。
【0113】実施例4
本実施例の製造工程は、前記実施例1から実施例3の製
造工程と同様にして行なわれるものであるが、アレルゲ
ンを低減すると同時にアグリコン類を多量に含むイソフ
ラボン化合物を生成するものである。
造工程と同様にして行なわれるものであるが、アレルゲ
ンを低減すると同時にアグリコン類を多量に含むイソフ
ラボン化合物を生成するものである。
【0114】以下、これらの各工程について説明する。
【0115】本実施例について、図1の工程に沿って説
明すると、先ず大豆粕を蒸煮する。この蒸煮を施すこと
により、麹菌の増殖が容易となる。また、この大豆粕の
蒸煮は製造目的等に応じてバッチ式や連続式で行うと良
い。
明すると、先ず大豆粕を蒸煮する。この蒸煮を施すこと
により、麹菌の増殖が容易となる。また、この大豆粕の
蒸煮は製造目的等に応じてバッチ式や連続式で行うと良
い。
【0116】そして、この蒸煮が終了した大豆粕を一旦
冷却して、大豆粕中の水分量を麹菌が増殖可能な量(例
えば、40重量%)とさせる。
冷却して、大豆粕中の水分量を麹菌が増殖可能な量(例
えば、40重量%)とさせる。
【0117】このようにして水分量を整えられた大豆粕
に対して、本発明方法が以下のようにして行なわれる。
に対して、本発明方法が以下のようにして行なわれる。
【0118】すなわち、蒸煮が終了した大豆粕単体に、
安価な麹菌からなる種麹、本実施例においては焼酎麹菌
(アスペルギルス・ニガー)を所定重量比だけ接種し、
両者が均一となるまで混合する。
安価な麹菌からなる種麹、本実施例においては焼酎麹菌
(アスペルギルス・ニガー)を所定重量比だけ接種し、
両者が均一となるまで混合する。
【0119】その後、混合物を製麹装置内に投入して、
28〜30℃に加温した状態で所定時間保持し、水分が
40重量%と低水分量の大豆粕を麹菌により発酵させて
製麹を行なう。本実施例においては、製麹時間(発酵時
間)を少なくとも24時間以上とした。
28〜30℃に加温した状態で所定時間保持し、水分が
40重量%と低水分量の大豆粕を麹菌により発酵させて
製麹を行なう。本実施例においては、製麹時間(発酵時
間)を少なくとも24時間以上とした。
【0120】つぎに、製麹終了後の生成物に対して加水
工程で加水してから分解工程において30〜45℃に加
温した状態で所定時間保持し、大豆粕中に含まれるアレ
ルゲン、特に、分子量30000ダルトンの7S−グロ
ブリンを十分に低減させるとともに、大豆粕中のイソフ
ラボン化合物の配糖体を分解してアグリコン類を生成さ
せるように加水分解を行なう。本実施例においては、加
水分解時間を少なくとも1時間以上とした。
工程で加水してから分解工程において30〜45℃に加
温した状態で所定時間保持し、大豆粕中に含まれるアレ
ルゲン、特に、分子量30000ダルトンの7S−グロ
ブリンを十分に低減させるとともに、大豆粕中のイソフ
ラボン化合物の配糖体を分解してアグリコン類を生成さ
せるように加水分解を行なう。本実施例においては、加
水分解時間を少なくとも1時間以上とした。
【0121】なお、前記製麹時間および加水分解時間な
らびにこれらの温度については、使用する麹菌の種類等
に応じて、大豆粕中のアレルゲンを十分に低減させると
ともに、大豆粕中のイソフラボン化合物の配糖体を分解
してアグリコン類を生成させるに十分な時間ならびに温
度とするとよい。
らびにこれらの温度については、使用する麹菌の種類等
に応じて、大豆粕中のアレルゲンを十分に低減させると
ともに、大豆粕中のイソフラボン化合物の配糖体を分解
してアグリコン類を生成させるに十分な時間ならびに温
度とするとよい。
【0122】また、このようにして製造された生成物
は、図1に示すように、分解工程により低アレルゲン化
および低フィチン酸化された生成物を乾燥させ、その後
粉砕することにより粉砕大豆粕とすることにより、薬理
作用の高い食品の原料および畜産用飼料や水産養殖用の
餌料の原料等の製品とされる。
は、図1に示すように、分解工程により低アレルゲン化
および低フィチン酸化された生成物を乾燥させ、その後
粉砕することにより粉砕大豆粕とすることにより、薬理
作用の高い食品の原料および畜産用飼料や水産養殖用の
餌料の原料等の製品とされる。
【0123】この製麹に用いる麹菌としては、古くから
の日本独特の発酵食品やテンペに用いられている麹菌で
あり、食品として安全なアスペルギルス・ウサミ、アス
ペルギルス・カワチ、アスペルギルス・アワモリ、アス
ペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・オリゼー、ア
スペルギルス・ニガー等アスペルギルス属およびリゾー
プス属のフィターゼ力価およびフォスファターゼ力価の
高い麹菌等を例示することができ、これ等の麹菌が経済
性、生産性、取扱性、アレルゲン除去性、イソフラボン
化合物の配糖体除去性等の点から好ましい。
の日本独特の発酵食品やテンペに用いられている麹菌で
あり、食品として安全なアスペルギルス・ウサミ、アス
ペルギルス・カワチ、アスペルギルス・アワモリ、アス
ペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・オリゼー、ア
スペルギルス・ニガー等アスペルギルス属およびリゾー
プス属のフィターゼ力価およびフォスファターゼ力価の
高い麹菌等を例示することができ、これ等の麹菌が経済
性、生産性、取扱性、アレルゲン除去性、イソフラボン
化合物の配糖体除去性等の点から好ましい。
【0124】すなわち、本実施例においては、前記実施
例1から実施例3と全く同様にして行ない、つぎに、製
麹終了後の生成物に対して加水工程で加水してから分解
工程において30〜65℃に加温した状態で所定時間保
持し、生成物中に含まれるβ−グルコシターゼの分解作
用により大豆粕中に含まれているイソフラボン化合物の
配糖体を十分に低減させることによりイソフラボンのア
グリコン類を生成させながら加水分解を行なうようにな
っている。
例1から実施例3と全く同様にして行ない、つぎに、製
麹終了後の生成物に対して加水工程で加水してから分解
工程において30〜65℃に加温した状態で所定時間保
持し、生成物中に含まれるβ−グルコシターゼの分解作
用により大豆粕中に含まれているイソフラボン化合物の
配糖体を十分に低減させることによりイソフラボンのア
グリコン類を生成させながら加水分解を行なうようにな
っている。
【0125】このように本発明によれば、前述した実施
例1と同様の作用効果を奏するとともに、生きている麹
菌を増殖させて穀類中のアレルゲンの低減およびイソフ
ラボン化合物の配糖体を十分に低減させることによりイ
ソフラボンのアグリコン類を生成させることができると
ともに、発酵の初期において有機酸を生成して大豆粕中
の雑菌の増殖を抑制し、2次汚染の心配がなくなり、大
豆粕を原料とした低アレルゲンの生成物を大量生産する
ことができる。また、低水分としなくともイソフラボン
化合物の配糖体を十分に低減させる処理を施すことがで
きる。
例1と同様の作用効果を奏するとともに、生きている麹
菌を増殖させて穀類中のアレルゲンの低減およびイソフ
ラボン化合物の配糖体を十分に低減させることによりイ
ソフラボンのアグリコン類を生成させることができると
ともに、発酵の初期において有機酸を生成して大豆粕中
の雑菌の増殖を抑制し、2次汚染の心配がなくなり、大
豆粕を原料とした低アレルゲンの生成物を大量生産する
ことができる。また、低水分としなくともイソフラボン
化合物の配糖体を十分に低減させる処理を施すことがで
きる。
【0126】つぎに、本実施例の製造方法により得られ
た生成物の特性を評価するために、100gの大豆粕中
のイソフラボン化合物の含有量について調査した。この
調査結果を表2に示す。
た生成物の特性を評価するために、100gの大豆粕中
のイソフラボン化合物の含有量について調査した。この
調査結果を表2に示す。
【0127】表2に示すように、イソフラボン化合物の
アグリコン類であるダイゼインおよびゲニステインが7
4mgおよび59mgと、表Bに示す従来例に比較すると約
23倍および14倍となり、大きく増大されていること
が判明した。
アグリコン類であるダイゼインおよびゲニステインが7
4mgおよび59mgと、表Bに示す従来例に比較すると約
23倍および14倍となり、大きく増大されていること
が判明した。
【0128】また、分解時間を長くすることにより、イ
ソフラボン化合物のアグリコン類であるダイゼインおよ
びゲニステインが増加する傾向となることが確認でき
た。このことは製麹終了後の分解時間を24時間以上行
なうことで、さらにダイゼインおよびゲニステインの生
成量を増大させることが可能である。なお、アレルゲン
低減の作用は前記実施例1から実施例3とほぼ同様であ
り、その説明は省略する。
ソフラボン化合物のアグリコン類であるダイゼインおよ
びゲニステインが増加する傾向となることが確認でき
た。このことは製麹終了後の分解時間を24時間以上行
なうことで、さらにダイゼインおよびゲニステインの生
成量を増大させることが可能である。なお、アレルゲン
低減の作用は前記実施例1から実施例3とほぼ同様であ
り、その説明は省略する。
【0129】このように本発明によれば、前述した各実
施例と同様にアレルゲンを低減するとともに、イソフラ
ボン化合物のうち薬理作用の高いアグリコン類を極めて
高い生成比率をもって製造することができ、かつ、低水
分としなくともイソフラボン化合物の配糖体を十分に低
減することができる。
施例と同様にアレルゲンを低減するとともに、イソフラ
ボン化合物のうち薬理作用の高いアグリコン類を極めて
高い生成比率をもって製造することができ、かつ、低水
分としなくともイソフラボン化合物の配糖体を十分に低
減することができる。
【0130】すなわち、食物アレルギーが少なく、制癌
効果、骨粗鬆症治療効果や免疫抑制効果等に優れた生成
物を製することができる。
効果、骨粗鬆症治療効果や免疫抑制効果等に優れた生成
物を製することができる。
【0131】なお、アグリコン類を多量に含むイソフラ
ボン化合物のみを生成する場合には、加水工程と分解工
程とを省略することが可能である。
ボン化合物のみを生成する場合には、加水工程と分解工
程とを省略することが可能である。
【0132】つぎに、請求項9に記載の発明、すなわ
ち、請求項8に記載のアレルゲンを低減するとともにア
グリコン類を多量に含むイソフラボン化合物を生成した
生成物を製造すると同時に大豆粕中のフィチン酸を除去
した生成物を製造する場合について説明する。
ち、請求項8に記載のアレルゲンを低減するとともにア
グリコン類を多量に含むイソフラボン化合物を生成した
生成物を製造すると同時に大豆粕中のフィチン酸を除去
した生成物を製造する場合について説明する。
【0133】実施例5
本実施例の製造工程は、前記実施例1から実施例4の製
造工程と同様にして行なわれるものであるが、アレルゲ
ンを低減するとともにアグリコン類を多量に含むイソフ
ラボン化合物を生成すると同時に大豆粕中のフィチン酸
を除去するものである。
造工程と同様にして行なわれるものであるが、アレルゲ
ンを低減するとともにアグリコン類を多量に含むイソフ
ラボン化合物を生成すると同時に大豆粕中のフィチン酸
を除去するものである。
【0134】以下、これらの各工程について説明する。
【0135】本実施例について、図1の工程に沿って説
明すると、先ず大豆粕を蒸煮する。この蒸煮を施すこと
により、麹菌の増殖が容易となる。また、この大豆粕の
蒸煮は製造目的等に応じてバッチ式や連続式で行うと良
い。
明すると、先ず大豆粕を蒸煮する。この蒸煮を施すこと
により、麹菌の増殖が容易となる。また、この大豆粕の
蒸煮は製造目的等に応じてバッチ式や連続式で行うと良
い。
【0136】そして、この蒸煮が終了した大豆粕を一旦
冷却して、大豆粕中の水分量を麹菌が増殖可能な量(例
えば、40重量%)とさせる。
冷却して、大豆粕中の水分量を麹菌が増殖可能な量(例
えば、40重量%)とさせる。
【0137】このようにして水分量を整えられた大豆粕
に対して、本発明方法が以下のようにして行なわれる。
に対して、本発明方法が以下のようにして行なわれる。
【0138】すなわち、蒸煮が終了した大豆粕単体に、
安価な麹菌からなる種麹、本実施例においては焼酎麹菌
(アスペルギルス・ニガー)を所定重量比だけ接種し、
両者が均一となるまで混合する。
安価な麹菌からなる種麹、本実施例においては焼酎麹菌
(アスペルギルス・ニガー)を所定重量比だけ接種し、
両者が均一となるまで混合する。
【0139】その後、混合物を製麹装置内に投入して、
28〜30℃に加温した状態で所定時間保持し、水分が
40重量%と低水分量の大豆粕を麹菌により発酵させて
製麹を行なう。本実施例においては、製麹時間(発酵時
間)を少なくとも24時間以上とした。
28〜30℃に加温した状態で所定時間保持し、水分が
40重量%と低水分量の大豆粕を麹菌により発酵させて
製麹を行なう。本実施例においては、製麹時間(発酵時
間)を少なくとも24時間以上とした。
【0140】つぎに、製麹終了後の生成物に対して加水
工程で加水してから分解工程において30〜55℃に加
温した状態で所定時間保持し、大豆粕中に含まれるアレ
ルゲン、特に、分子量30000ダルトンの7S−グロ
ブリンを十分に低減させるとともに、大豆粕中のイソフ
ラボン化合物の配糖体を分解してアグリコン類を生成
し、かつ、フィチン酸を十分に低減または除去させるよ
うに加水分解を行なう。本実施例においては、加水分解
時間を少なくとも1時間以上とした。
工程で加水してから分解工程において30〜55℃に加
温した状態で所定時間保持し、大豆粕中に含まれるアレ
ルゲン、特に、分子量30000ダルトンの7S−グロ
ブリンを十分に低減させるとともに、大豆粕中のイソフ
ラボン化合物の配糖体を分解してアグリコン類を生成
し、かつ、フィチン酸を十分に低減または除去させるよ
うに加水分解を行なう。本実施例においては、加水分解
時間を少なくとも1時間以上とした。
【0141】なお、前記製麹時間および加水分解時間な
らびにこれらの温度については、使用する麹菌の種類等
に応じて、大豆粕中のアレルゲンを十分に低減させると
ともに、大豆粕中のイソフラボン化合物の配糖体を分解
してアグリコン類を生成させ、かつ、フィチン酸を十分
に低減または除去させるに十分な時間ならびに温度とす
るとよい。
らびにこれらの温度については、使用する麹菌の種類等
に応じて、大豆粕中のアレルゲンを十分に低減させると
ともに、大豆粕中のイソフラボン化合物の配糖体を分解
してアグリコン類を生成させ、かつ、フィチン酸を十分
に低減または除去させるに十分な時間ならびに温度とす
るとよい。
【0142】また、このようにして製造された生成物
は、図1に示すように、分解工程により低アレルゲン化
および多量のイソフラボンのアグリコン類を含みかつフ
ィチン酸を低減した生成物を乾燥させ、その後粉砕する
ことにより粉砕大豆粕とすることにより、薬理作用の高
い食品の原料および畜産用飼料や水産養殖用の餌料の原
料等の製品とされる。
は、図1に示すように、分解工程により低アレルゲン化
および多量のイソフラボンのアグリコン類を含みかつフ
ィチン酸を低減した生成物を乾燥させ、その後粉砕する
ことにより粉砕大豆粕とすることにより、薬理作用の高
い食品の原料および畜産用飼料や水産養殖用の餌料の原
料等の製品とされる。
【0143】この場合、大豆粕に麹菌が増殖することに
より麹菌が作り出すβ−グルコシターゼというイソフラ
ボン化合物の配糖体を分解する酵素が大豆粕中のイソフ
ラボン化合物の配糖体を分解してイソフラボンのアグリ
コン類を生成するとともに、麹菌が作り出すフィターゼ
やフォスファターゼというフィチン酸を分解する酵素が
大豆粕中のフィチン酸を分解除去する。
より麹菌が作り出すβ−グルコシターゼというイソフラ
ボン化合物の配糖体を分解する酵素が大豆粕中のイソフ
ラボン化合物の配糖体を分解してイソフラボンのアグリ
コン類を生成するとともに、麹菌が作り出すフィターゼ
やフォスファターゼというフィチン酸を分解する酵素が
大豆粕中のフィチン酸を分解除去する。
【0144】この製麹に用いる麹菌としては、古くから
の日本独特の発酵食品やテンペに用いられている麹菌で
あり、食品として安全なアスペルギルス・ウサミ、アス
ペルギルス・カワチ、アスペルギルス・アワモリ、アス
ペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・オリゼー、ア
スペルギルス・ニガー等アスペルギルス属およびリゾー
プス属のフィターゼ力価およびフォスファターゼ力価の
高い麹菌等を例示することができ、これ等の麹菌が経済
性、生産性、取扱性、アレルゲン除去性、イソフラボン
化合物の配糖体除去性、フィチン酸除去性等の点から好
ましい。
の日本独特の発酵食品やテンペに用いられている麹菌で
あり、食品として安全なアスペルギルス・ウサミ、アス
ペルギルス・カワチ、アスペルギルス・アワモリ、アス
ペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・オリゼー、ア
スペルギルス・ニガー等アスペルギルス属およびリゾー
プス属のフィターゼ力価およびフォスファターゼ力価の
高い麹菌等を例示することができ、これ等の麹菌が経済
性、生産性、取扱性、アレルゲン除去性、イソフラボン
化合物の配糖体除去性、フィチン酸除去性等の点から好
ましい。
【0145】このようにすれば、発酵の初期において有
機酸を生成して大豆粕中の雑菌の増殖を抑制し、2次汚
染の心配がなくなり、大豆粕を原料とした低アレルゲン
の生成物を大量生産することができる。また、低水分と
しなくともイソフラボン化合物の配糖体およびフィチン
酸を十分に低減させる処理を施すことができる。その他
の構成および作用効果は前記実施例1から実施例4と同
様である。
機酸を生成して大豆粕中の雑菌の増殖を抑制し、2次汚
染の心配がなくなり、大豆粕を原料とした低アレルゲン
の生成物を大量生産することができる。また、低水分と
しなくともイソフラボン化合物の配糖体およびフィチン
酸を十分に低減させる処理を施すことができる。その他
の構成および作用効果は前記実施例1から実施例4と同
様である。
【0146】すなわち、食物アレルギーがより少なく、
制癌効果、骨粗鬆症治療効果や免疫抑制効果等に優れ、
かつ、発育促進作用や抗脂肪肝作用を有する有用なビタ
ミンB類等の活性を高く維持するとともにミネラル等の
吸収により優れた生成物を製することができる。
制癌効果、骨粗鬆症治療効果や免疫抑制効果等に優れ、
かつ、発育促進作用や抗脂肪肝作用を有する有用なビタ
ミンB類等の活性を高く維持するとともにミネラル等の
吸収により優れた生成物を製することができる。
【0147】なお、フィチン酸の低減とアグリコン類を
多量に含むイソフラボン化合物の生成のみを図る場合に
は、加水工程と分解工程とを省略することが可能であ
る。
多量に含むイソフラボン化合物の生成のみを図る場合に
は、加水工程と分解工程とを省略することが可能であ
る。
【0148】
以上それぞれ説明したように、各本発明によって製造さ
れた穀類を原料とした生成物は、食塩を添加することな
く製造されているために、極めて低塩分の食品となり、
食品として供する場合、多量に食することが可能であ
る。そして、その食品中には、アレルゲン成分が少ない
ものや、アレルゲン成分が少ないとともにミネラルの吸
収がより効率的に行なわれる相乗効果を有するものや、
アレルゲン成分が少ないとともにミネラルの吸収がより
効率的に行なわれるとともに制癌効果、骨粗鬆症治療効
果や免疫抑制効果等に優れているイソフラボンのアグリ
コン類が多量に含有されているものであり、人の健康維
持の面において優れた効果を発揮する食生活を送ること
ができる。特に骨粗鬆症についてみれば、一方のイソフ
ラボンのアグリコン類が骨量の減少を防止する効果を発
揮し、他方のフィチン酸が除去されたことにより発育促
進作用や抗脂肪肝作用を有する有用なビタミンB類等の
活性を高く維持されて、当該豆類中に含有されているカ
ルシウムの吸収が促進される効果が発揮され、更にこれ
らの効果が相乗的に発揮されることにより、骨粗鬆症治
療効果に極めて優れた食品となる。特に、ホルモンの関
係により骨粗鬆症になりやすい人の食事療法に採用する
と効果が発揮される。
れた穀類を原料とした生成物は、食塩を添加することな
く製造されているために、極めて低塩分の食品となり、
食品として供する場合、多量に食することが可能であ
る。そして、その食品中には、アレルゲン成分が少ない
ものや、アレルゲン成分が少ないとともにミネラルの吸
収がより効率的に行なわれる相乗効果を有するものや、
アレルゲン成分が少ないとともにミネラルの吸収がより
効率的に行なわれるとともに制癌効果、骨粗鬆症治療効
果や免疫抑制効果等に優れているイソフラボンのアグリ
コン類が多量に含有されているものであり、人の健康維
持の面において優れた効果を発揮する食生活を送ること
ができる。特に骨粗鬆症についてみれば、一方のイソフ
ラボンのアグリコン類が骨量の減少を防止する効果を発
揮し、他方のフィチン酸が除去されたことにより発育促
進作用や抗脂肪肝作用を有する有用なビタミンB類等の
活性を高く維持されて、当該豆類中に含有されているカ
ルシウムの吸収が促進される効果が発揮され、更にこれ
らの効果が相乗的に発揮されることにより、骨粗鬆症治
療効果に極めて優れた食品となる。特に、ホルモンの関
係により骨粗鬆症になりやすい人の食事療法に採用する
と効果が発揮される。
【0149】なお、前記各実施例においては、大豆粕に
対して本発明を適用した場合を示したが、本発明はフィ
チン酸を含有する穀類を原料としたあらゆる生成物、す
なわち人の食料から養殖用の飼料、餌料までに対して同
様にして適用することができる。さらに、粕類を原料と
して得られる各種の濃縮蛋白類の製造にも同様にして適
用することができる。
対して本発明を適用した場合を示したが、本発明はフィ
チン酸を含有する穀類を原料としたあらゆる生成物、す
なわち人の食料から養殖用の飼料、餌料までに対して同
様にして適用することができる。さらに、粕類を原料と
して得られる各種の濃縮蛋白類の製造にも同様にして適
用することができる。
【0150】また、本発明は、前記実施例に限定される
ものではなく、必要に応じて変更することができる。
ものではなく、必要に応じて変更することができる。
【0151】
【発明の効果】このように本発明は構成され作用するも
のであるから、麹菌により穀類を原料とする食物アレル
ギーの発生を確実に低減させた生成物を得ることがで
き、製造工程も簡単であり、製造コストも低廉となる等
の極めて優れた効果を奏する。そして、穀類から前記ア
レルゲン成分を低減させるとともに、フィチン酸を除去
したり、このフィチン酸の除去と同時もしくは単独でイ
ソフラボン化合物の配糖体を分解して、アグリコン類を
多量に含むイソフラボン化合物を生成することができる
という等の極めて優れた効果を奏する。
のであるから、麹菌により穀類を原料とする食物アレル
ギーの発生を確実に低減させた生成物を得ることがで
き、製造工程も簡単であり、製造コストも低廉となる等
の極めて優れた効果を奏する。そして、穀類から前記ア
レルゲン成分を低減させるとともに、フィチン酸を除去
したり、このフィチン酸の除去と同時もしくは単独でイ
ソフラボン化合物の配糖体を分解して、アグリコン類を
多量に含むイソフラボン化合物を生成することができる
という等の極めて優れた効果を奏する。
【0152】さらに、人もしくは動物のアレルギーの発
生を抑えることができる生成物を提供したり、このアレ
ルギー発生の抑制に加えて、第1に穀類中のフィチン酸
を、穀類の状態を固形状に保持した状態で容易に除去除
去することができ、生成物中に含有されているビタミン
B類等の活性を高く維持して、当該生成物中に含有され
ているミネラルの吸収が容易であり、更にその吸収を促
進可能な生成物とすることおよび/または穀類を原料と
して制癌効果、骨粗鬆症治療効果や免疫抑制効果等に優
れており、しかも多量に食することのできる食品、畜産
用飼料および水産養殖用の餌料等からなる生成物を生成
することができるという等の極めて優れた効果を奏す
る。
生を抑えることができる生成物を提供したり、このアレ
ルギー発生の抑制に加えて、第1に穀類中のフィチン酸
を、穀類の状態を固形状に保持した状態で容易に除去除
去することができ、生成物中に含有されているビタミン
B類等の活性を高く維持して、当該生成物中に含有され
ているミネラルの吸収が容易であり、更にその吸収を促
進可能な生成物とすることおよび/または穀類を原料と
して制癌効果、骨粗鬆症治療効果や免疫抑制効果等に優
れており、しかも多量に食することのできる食品、畜産
用飼料および水産養殖用の餌料等からなる生成物を生成
することができるという等の極めて優れた効果を奏す
る。
【図1】本発明に係る穀類を原料とした生成物の製造方
法の一実施例を示す工程図
法の一実施例を示す工程図
【図2】本発明に係る穀類を原料とした生成物の製造方
法の一実施例を用いた場合の大豆粕中のアレルゲン成分
である蛋白質の分子量分布とその量との関係を示す線図
法の一実施例を用いた場合の大豆粕中のアレルゲン成分
である蛋白質の分子量分布とその量との関係を示す線図
【図3】従来の無処理の大豆粕中のアレルゲン成分であ
る蛋白質の分子量分布とその量との関係を示す線図
る蛋白質の分子量分布とその量との関係を示す線図
【図4】本発明に係る大豆粕中のフィチン酸を除去した
生成物に対するフィチン酸分解物のクロマト溶出パター
ンを示す線図
生成物に対するフィチン酸分解物のクロマト溶出パター
ンを示す線図
【図5】従来の無処理の大豆粕中のフィチン酸を除去し
た生成物に対するフィチン酸分解物のクロマト溶出パタ
ーンを示す線図
た生成物に対するフィチン酸分解物のクロマト溶出パタ
ーンを示す線図
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI
C07D 311/36 C07D 311/36
311/40 311/40
(56)参考文献 特開 平7−203890(JP,A)
特開 昭56−45417(JP,A)
特開 平4−23958(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
A23L 1/10
Claims (9)
- 【請求項1】 穀類に麹菌を接種して製麹し、この製麹
処理による生成物に加水することにより当該生成物中の
蛋白質を加水分解するとともに穀類中のアレルゲンを低
減せしめたことを特徴とする穀類を原料とした生成物。 - 【請求項2】 豆類に麹菌を接種して製麹し、この製麹
処理による生成物に加水することにより加水分解して、
前記豆類中のアレルゲンを低減することを特徴とする請
求項1に記載の穀類を原料とした生成物の製造方法。 - 【請求項3】 穀類に麹菌を接種して製麹し、この製麹
処理による生成物に加水することにより当該生成物中の
蛋白質を加水分解するとともに穀類中のアレルゲンおよ
びフィチン酸を低減せしめたことを特徴とする穀類を原
料とした生成物。 - 【請求項4】 豆類に麹菌を接種して製麹し、この製麹
処理による生成物に加水することにより加水分解して、
前記豆類中のアレルゲンおよびフィチン酸を低減するこ
とを特徴とする請求項3に記載の穀類を原料とした生成
物の製造方法。 - 【請求項5】 フィチン酸から少なくとも2基のリン酸
基を遊離させて、イノシトール4リン酸、イノシトール
3リン酸、イノシトール2リン酸、イノシトール1リン
酸およびイノシトールの単独若しくは複数を精製して前
記フィチン酸を低減することを特徴とする請求項4に記
載の穀類を原料とした生成物の製造方法。 - 【請求項6】 豆類に麹菌を接種して製麹し、この製麹
処理による生成物に加水することにより当該生成物中の
蛋白質を加水分解するとともに豆類中のアレルゲンを低
減せしめるとともに、アグリコン類を多量に含むイソフ
ラボン化合物を含有せしめたことを特徴とする穀類を原
料とした生成物。 - 【請求項7】 豆類に麹菌を接種して製麹し、この製麹
処理による生成物に加水することにより加水分解して、
前記豆類中のアレルゲンを低減するとともに、前記豆類
中のイソフラボン化合物の配糖体を分解し、アグリコン
類を多量に含むイソフラボン化合物を生成することを特
徴とする請求項6に記載の穀類を原料とした生成物の製
造方法。 - 【請求項8】 豆類に麹菌を接種して製麹し、この製麹
処理による生成物に加水することにより当該生成物中の
蛋白質を加水分解するとともに豆類中のアレルゲンおよ
びフィチン酸を低減せしめるとともに、アグリコン類を
多量に含むイソフラボン化合物を含有せしめたことを特
徴とする穀類を原料とした生成物。 - 【請求項9】 豆類に麹菌を接種して製麹し、この製麹
処理による生成物に加水することにより加水分解して、
前記豆類中のアレルゲンおよびフィチン酸を低減すると
ともに、イソフラボン化合物の配糖体を分解して、アグ
リコン類を多量に含むイソフラボン化合物を生成するこ
とを特徴とする請求項8に記載の穀類を原料とした生成
物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03238594A JP3403795B2 (ja) | 1994-03-02 | 1994-03-02 | 穀類を原料とした生成物およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03238594A JP3403795B2 (ja) | 1994-03-02 | 1994-03-02 | 穀類を原料とした生成物およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07236439A JPH07236439A (ja) | 1995-09-12 |
JP3403795B2 true JP3403795B2 (ja) | 2003-05-06 |
Family
ID=12357497
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03238594A Expired - Fee Related JP3403795B2 (ja) | 1994-03-02 | 1994-03-02 | 穀類を原料とした生成物およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3403795B2 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6579561B2 (en) | 1996-08-09 | 2003-06-17 | Protein Technologies International, Inc. | Aglucone isoflavone enriched vegetable flour and vegetable grit and process for making the same from a vegetable material containing isoflavone |
US6521282B1 (en) | 1996-08-09 | 2003-02-18 | Protein Technologies International, Inc. | Aglucone isoflavone enriched vegetable flour and grit |
EP0922395A4 (en) * | 1997-04-01 | 1999-12-22 | Nichimo Kk | PRODUCT COMPRISING A HEALTH-FRIENDLY INGREDIENT AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME |
US6703051B1 (en) | 1998-10-13 | 2004-03-09 | Solae, Llc | Process for separating and recovering protein and isoflavones from a plant material |
BR0011093A (pt) * | 1999-05-31 | 2002-03-19 | Nestle Sa | Produtos de cereal que têm baixo teor de ácido fìtico |
US7067147B2 (en) * | 2000-05-08 | 2006-06-27 | The Iams Company | Hypoallergenic dietary companion animal composition containing hydrolyzed poultry protein |
CA2377666A1 (en) * | 2000-07-18 | 2002-01-24 | Minoru Takebe | Stem cell reinforcing material |
JP4604174B2 (ja) * | 2004-02-05 | 2010-12-22 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 発酵ソバ食品及びその製造法 |
JP2006342128A (ja) * | 2005-06-10 | 2006-12-21 | Chikuno Shokuhin Kogyo Kk | アルコール性肝疾患と非アルコール性脂肪性肝炎の治療と予防へのイノシトールリン酸類の応用 |
-
1994
- 1994-03-02 JP JP03238594A patent/JP3403795B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07236439A (ja) | 1995-09-12 |
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