JP4556868B2 - 仔稚魚用飼料及びこれに用いる低フィチン植物蛋白加水分解物の製造法 - Google Patents

仔稚魚用飼料及びこれに用いる低フィチン植物蛋白加水分解物の製造法 Download PDF

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Description

本発明は、フィチン酸を低減化した低フィチン植物蛋白加水分解物を用いた仔稚魚用飼料を提供するものである。また、このフィチン酸を低減化した低フィチン植物蛋白加水分解物の製造法に関するものである。
従来から、養魚用飼料の蛋白原料として大豆原料(大豆粕、豆乳、大豆蛋白等)が利用されてきた。
そして、大豆中に含まれるフィチン酸を除去すれば飼料効率が上がることが知られるようになってきた。
フィチン酸を除去或いは分解する発明として、例えば、(a)飼料(特開平11−000164号公報、特開平8−205785号公報)、(b)脱脂大豆、おからなどの大豆由来飼料材料(特開平9−140334号公報)、(c)大豆蛋白(本願出願人による特開2000−300185号公報、特開4503002号公報)や(d)豆乳(特開昭59−166049号公報、本願出願人による特開2000−245340号公報)などが知られている。
しかし、低フィチン蛋白加水分解物を養魚用飼料に用いることは行われていない。
一方、本出願人は、大豆蛋白原料を酵素を用いて加水分解して得られる蛋白加水分解物を養魚用飼料として用いることを研究してきた。例えば、仔稚魚の生残率を高める餌として特開平7−227223号公報に記載の発明、特開平8−51937号公報に記載の発明などをして来た。そして、更に仔稚魚の生残率を高めるために大豆蛋白加水分解物の改良を研究したものである。
一方、大豆蛋白加水分解物に関して本願出願人は腎疾患患者用に樹脂を利用してフィチン酸を除去した低フィチン植物蛋白加水分解物を開示してきた(特開平8−092123号公報)。
他方、大豆蛋白に麹菌を接種して醗酵させ蛋白分解とフィターゼ処理を行って低フィチン植物蛋白加水分解物を製造することも知られている(特開平9−023822号公報)。
その他、大豆蛋白原料を酵素処理する際に粗酵素を用いるため蛋白分解酵素とフィターゼが同じに作用したり、あるいは蛋白酵素分解とフィターゼ処理を組み合わせた発明もあるが酵素分解された大豆蛋白を養魚用に用いることなど開示も教示もしていない(特開昭51−125300号公報、特開2002−51706号公報など)。
以上のように養魚用飼料に大豆蛋白加水分解物を用いることは本出願人が研究を重ねてきたところであり、低フィチン大豆蛋白加水分解物も研究されてきたが、これらを養魚用飼料、特に仔稚魚に用いることは知られていない。
ところで、大豆のフィチン酸を除去する方法は(1)塩を利用して大豆蛋白の水抽出過程でフィチン酸を除去するもの(特開平8−173052号公報、特開平9−121780号公報等)、(2)フィターゼ等でフィチン酸を分解する方法、(3)樹脂などに吸着させて除去する方法(特開2001−163800号公報)などがあり、(1)や(3)の方法に比べて(2)の方法が工程が煩雑でなく工業的に有利である。
そして、この(2)フィターゼ等を用いてフィチン酸を分解する方法の対象に関して、(a)飼料などの用途としての大豆、脱脂大豆などが多く知られ、(b)や豆乳や分離大豆蛋白も幾つか知られているが、(c)植物蛋白加水分解物混合物に関してはあまり知られていない。
例えば、(a)飼料(特開平11−000164号公報、特開平8−205785号公報、)、(b)脱脂大豆、おからなどの大豆由来飼料材料(特開平9−140334号公報)、大豆蛋白(本願出願人による特開2000−300185号公報、特開4503002号公報)や豆乳(特開昭59−166049号公報、本願出願人による特開2000−245340号公報)などが知られている。
しかし、(c)低フィチン植物蛋白加水分解物に関してはあまり知られておらず、例えば、本願出願人による特開平8−092123号公報には、樹脂を利用する方法を開示している。
また、特開平9−023822号公報には、分離大豆蛋白質に麹菌を接種して醗酵させ酵素分解とフィターゼ処理を同時に行いフィチン酸含有量の低いペプチド生成物を得る方法が開示されている。
しかし、本願発明のようにフィチン酸を検出限界以下までする方法は知られていない。
本発明者らが研究を進めていくなかで、消化吸収機能の発達が不充分な仔魚や稚魚や生後生まれてすぐの魚用として植物蛋白加水分解物を利用するには、ペプチド生成物では不十分であり、消化吸収性の優れた植物蛋白加水分解物であってフィチン酸が極めて少ないものが要求されていることがわかってきた。そこで、本発明は、フィチン酸含有量が極めて少ない、低フィチン植物蛋白加水分解物、更に好ましくはフィチン酸が検出限界以下の低フィチン植物蛋白加水分解物を得ることを目的とした。
そして、かかる低フィチン植物蛋白加水分解物を用いた稚魚用飼料を目的とした。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、飼料に用いる大豆蛋白加水分解物に含まれるフィチン酸を少なくすることにより仔稚魚の生残率を高め、稚魚の生育を促進する知見を得て本発明を完成するに到った。
また、次の知見を得て低フィチン植物蛋白加水分解物を完成した。
即ち、本出願人は先に樹脂処理による低フィチン酸植物蛋白加水分解物(特開平8−092123号公報)を完成したが、フィチン酸含有量を検出限界以下にするには樹脂処理が煩雑であった。
一方、本出願人は大豆蛋白をフィターゼ処理して低フィチン酸大豆蛋白を製造した(特開2000−300185号公報)が、この低フィチン酸大豆蛋白を単に酵素分解してもフィチン酸含有量が検出限界以下というきわめて低い大豆蛋白加水分解物を得ることは困難であった。
そこで、更に鋭意研究の結果、先に大豆蛋白を特定の分子量範囲に酵素分解し、その後でフィターゼ処理を行うことにより極めてフィチン酸の少ない(検出限界以下)の大豆蛋白加水分解物が得られる知見を得た。
また、大豆蛋白を酵素分解するに際して、大豆蛋白を大豆原料から水抽出した後、乾燥しないで酵素分解処理すれば、先にフィターゼ処理し、その後で酵素分解したものでもフィチン酸を検出限界以下まで除去できる知見を得た。
さらに意外なことに、これらフィチン酸含有量が検出限界以下という極めて少ない大豆蛋白加水分解物が単に酵素分解した大豆蛋白加水分解物に比べて風味に優れる知見を得た。
本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
即ち、本発明は、フィチン酸含有量が0.05重量%以下(乾燥固形分中)である低フィチン植物蛋白加水分解物を飼料原料に含有することを特徴とする仔稚魚用飼料である。
低フィチン植物蛋白加水分解物は、平均分子量200〜10,000の植物たん白加水分解物が適当である。
また、本発明は、(a)蛋白分解酵素を用いて蛋白質を分解する工程及び(b)フィチン酸を分解する酵素を用いてフィチン酸を分解する工程を含むことを特徴とする低フィチン植物蛋白加水分解物の製造法である。
蛋白を蛋白分解酵素を用いて分解した後、フィチン酸を分解する酵素を用いてフィチン酸を分解することが好ましい。
未乾燥蛋白をフィチン酸を分解する酵素を用いて分解した後、蛋白分解酵素を用いて蛋白質を分解することが好ましい。
フィチン酸を分解する酵素はフィターゼが好ましい。
フィターゼ処理するpHは6〜9が好ましい。
低フィチン植物蛋白加水分解物の平均分子量は200〜10000が好ましい。
低フィチン植物蛋白加水分解物中のフィチン酸の含量が乾燥固形分当たりバナドモリブデン酸吸光光度法(検出限界5mg/100g)でフィチン酸が検出されないことが好ましい。
まず、仔稚魚用飼料について説明する。
本発明の仔稚魚用飼料に用いる低フィチン植物蛋白加水分解物は乾燥固形分中フィチン酸含有量が0.05重量%以下、好ましくは0.01重量%以下、更に好ましくは0.004重量%以下(検出限界以下)が適当である。
植物たん白加水分解物中に含まれるフィチン酸の量が少ないほど仔稚魚の生残率が向上し好ましい。また、稚魚の成長を促進させ、糞に粘りを与え、水の糞による濁りを防止する効果がある。
本発明の仔稚魚用飼料に用いる低フィチン植物蛋白加水分解物の、平均分子量は200〜10,000(好ましくは300〜5,000)のものが適当である。分子量が大きいものでは仔稚魚の生育促進効果や生存率を高める効果が劣り、分子量が小さくなりアミノ酸までなると飼料の浸透圧が上昇したり、溶解しやすくなる等して飼料として適当でなくなる。
養魚用飼料だけなら分子量は比較的大きな大豆蛋白加水分解物でもよいが、養魚用魚が仔稚魚であるほど平均分子量が小さいものが好ましく、とくに卵からふ化したばかりの仔魚では分子量の小さなオリゴペプチド混合物が好ましい。
本発明の飼料は、組成としてたん白成分を40〜70重量%、好ましくは約50〜60重量%を含有するものが適当である。
本発明の飼料は、低フィチン植物たん白加水分解物を1重量%〜30重量%、好ましくは3〜25重量%含むことが適当である。通常、本発明の飼料中のたん白成分の内の3重量%以上、好ましくは10〜80重量%を前述の低フィチン植物蛋白加水分解物で置換したものが適当である。置換割合が多くなると該飼料を顆粒化することが困難となる。
本発明の飼料中低フィチン植物蛋白加水分解物が少ないと仔稚魚の生存率と稚魚の成長率を高める効果が少なく、多過ぎるとむしろ生育阻害を起こすので好ましくない。これは、マダイ、ひらめ等養殖種苗生産が困難な魚に共通するものであり、他の魚の養殖とは異なるものである。
尚、低フィチン植物蛋白加水分解物以外のたん白質成分としてはオキアミ、魚類ミール類、鶏卵加工品、牛乳加工品、ゼラチン、魚粉、魚介類エキス、酵母エキス、魚卵エキスを併用することができる。
本発明の飼料には、前述の低フィチン植物蛋白加水分解物、その他のたん白質の他、炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラル、n−3高度不飽和脂肪酸および大豆レシチン等のリン脂質を含有することができる。
n−3高度不飽和脂肪酸はひらめのような海水魚に必須の脂肪酸であり、大豆レシチン等の飼料性リン脂質は仔稚魚の養殖に必要な成分であるので本発明の飼料に含むことが出来る。
本発明の飼料の形態は魚の摂取しやすい粒経、浮遊性、沈降速度を持ちしかも水中で栄養素が溶出せず、消化管で消化吸収されるようなものが好ましく、特にひらめやエビなどの仔魚用にはマイクロカプセル化等により微粒子飼料とすることが好ましい。
平均分子量200〜10,000の低フィチン植物蛋白加水分解物をマイクロカプセル化する方法は、例えば加水分解物の水溶液をスプレー乾燥する方法が採用できる。また、必要に応じて海水への溶出性、浮遊性、分散性を調整するために、スプレー前に油脂を添加することもできるし、スプレー後に硬化油脂を添加後撹拌してコーティングするなどして調製することもできる。
本発明の飼料は仔稚魚の日齢により仔稚魚期に生物餌料と併用もしくは単独で適量を30分〜1時間間隔で給餌することが出来る。
次に、以上のような仔稚魚の飼料に用いる低フィチン植物蛋白加水分解物の製造法のひとつを以下に記す。
(植物蛋白原料)
本発明に用いる植物蛋白は公知の植物蛋白を利用することが出来るが、穀類、油糧趣旨蛋白が入手容易であり、特に大豆蛋白は工業的に大量生産されているので好ましい蛋白原料のひとつである。
以下、フィチン酸を若干含む大豆蛋白を用いる例を説明するが、この方法は他の植物蛋白にも応用できる方法である。
本発明の低フィチン植物蛋白加水分解物の製造に用いる大豆蛋白原料は、豆乳(脱脂豆乳も含む。以下同じ。)、濃縮豆乳、濃縮大豆蛋白、分離大豆蛋白、脱脂大豆等、大豆蛋白を含むものであれば可能である。
脱脂大豆は蛋白変性を伴わない若しくは蛋白変性が軽度である加工処理を行った所謂低変性脱脂大豆が好ましく、品種、産地等には限定されない。一般的には、n−ヘキサンを抽出溶剤として低温抽出処理を行った脱脂大豆が原料として適当であり、特にNSI(窒素可溶係数)が60以上、好ましくは80以上の低変性脱脂大豆が好ましい。
(大豆蛋白の酵素分解)
大豆蛋白の酵素分解の方法は、大豆蛋白を水系下(大豆蛋白スラリーもしくは溶液)に酵素を用いて加水分解して得ることが出来る。
例えば、低変成大豆蛋白を利用する場合、酵素処理に供する大豆蛋白溶液の濃度は1重量%〜30重量%、好ましくは5〜15重量%、より好ましくは8〜12重量%が適当である。この濃度が低くても酵素分解に支障はないが、生産性が落ちて好ましくない。
本発明に用いる蛋白分解酵素(プロテアーゼ)は、エキソプロテアーゼ又はエンドプロテアーゼを単独又は併用することができ、動物起源、植物起源あるいは微生物起源は問わない。具体的には、セリンプロテアーゼ(動物由来のトリプシン、キモトリプシン、微生物由来のズブチリシン、カルボキシペプチダーゼ等)、チオールプロテアーゼ(植物由来のパパイン、フィシン、ブロメライン等)、カルボキシプロテアーゼ(動物由来のペプシン等)を用いることができる。更に、具体的にはアスペルギルス・オリゼ起源の「プロチンFN」(大和化成株製)、ストレプトマイセス・グリセウス起源の「アクチナーゼ」(科研製薬株製)、バチルス・リケホルミス由来の「アルカラーゼ」(ノボ社製)、バチルス・ズブチルス由来の「プロチンA」(大和化成株製)。また、エンドプロテアーゼを含有する酵素としては、天野製薬(株)製、「プロテアーゼS」や大和化成(株)製、「プロチンAC−10」やビオプラーゼ(ナガゼ生化学工業株式会社)等を例示できるが、エキソおよびエンドプロテアーゼを含有する蛋白分解酵素として天野製薬(株)製、「プロテアーゼM」が例示できる。
本発明の加水分解の条件は用いる蛋白分解酵素の種類により多少異なるが、概してその蛋白分解酵素の作用pH域、作用温度域、最適反応時間で、大豆蛋白を加水分解するに充分な量を用いることが好ましい。脂質代謝改善剤とともに塩分制限食(例えば、経管栄養食等)の用途を考慮した場合は、pHが5〜10、好ましくはpH6〜9であれば中和による塩の生成を軽減できて好ましい。
加水分解の程度は、平均分子量200〜10000、好ましくは300〜5000が適当である。目的や用途により加水分解の程度を調整することができる。例えば、食餌や飼料の場合であれば比較的大きな分子量でも支障はないが、養魚用飼料として利用する場合で仔稚魚用飼料として利用する場合は消化しやすい低い分子量が好ましく、平均分子量200〜5000、より好ましくは200〜2000程度が適当である。
(フィチン酸分解酵素によるフィチン酸分解)
本発明に用いるフィチン酸を分解する酵素としては、小麦や馬鈴薯等の植物に由来する酵素あるいは腸管等の動物臓器に由来する酵素、細菌、酵母、かび、放線菌等の微生物起源の酵素で、フィチン酸分解活性を有するフィターゼやホスファターゼ等の酵素を用いることができる。
フィチン酸を分解する酵素としては、フィターゼやフォスファターゼが適当であるがフィターゼがより好ましい。フィターゼは、アスペルギルス属、リゾプス属、サッカロミセス属、ムコール属、ゲオトリカム属等の各種のフィターゼ生産能を有する菌株由来のものを利用することができる。好ましくはアスペルギルス属由来のものが適当であり、より好ましくはアスペルギルス(Aspergillus)属:アスペルギルス フィキューム(Aspergillus ficuum)由来のフィターゼ、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)由来のフィターゼ及びアスペルギルス テレウス(Aspergillus terreus)由来のフィターゼよりなる群から選ぶことができる。大豆中のフィチン酸をイノシトールに分解するにはエステル基を切断する必要があり、それを行う酵素がフィターゼである。
また酸性ホスファターゼとして真菌類由来の酸性ホスファターゼを利用することも可能である。即ち、アスペルギルス フィキューム(Aspergillus ficuum)由来の酸性ホスファターゼ、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)由来の酸性ホスファターゼ及びアスペルギルステレウス(Aspergillus terreus)由来の酸性ホスファターゼよりなる群から選ばぶことができる。
酵素処理によるフィチン酸の分解反応は非常に温和な条件下で実施できるため蛋白質への影響は極めて少ない。例えば、本発明の酵素反応は、30〜60℃で0.1〜30時間行えばよい。
本発明ではフィチン酸分解反応時のpHが特に重要で、pH6〜9、好ましくは6.2〜8.5、更に好ましくはpH6.2〜7で実施するのが良い。pH6.0未満で処理された大豆蛋白は、その溶解性が低下し、風味が悪くなり好ましくない。また、pHが9.0を越えても風味が悪くなり好ましくない。上記pH範囲内でフィチン酸を分解することにより、より良好にフィチン酸が低減された大豆蛋白を製造することが可能である。
従って本発明で好適に用いられる酵素はpH6以上の中性乃至アルカリ性pH域でフィチン酸及びフィチン酸塩を分解可能な酵素が好ましいが、その起源は特に限定されず前述の酵素を用いることが出きる。
酵素は粉末状や液体状の形態にかかわらず使用可能で、大豆蛋白中の粗蛋白重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜2重量%、より好ましくは、0.1〜1重量%程度の添加にて実施されるが、酵素力価として0.1〜100U/g粗大豆蛋白、好ましくは0.5〜20U/g粗大豆蛋白、より好ましくは1〜10U/g粗大豆蛋白程度のフィターゼが添加されるのが好ましい。尚、酵素活性は、4mMフィチン酸ナトリウムを含む0.2M Tris−HCl緩衝液(pH6.5)0.5ml、蒸留水0.4ml及び酵素液0.1mlからなる反応液を37℃で30分間反応させ、10%TCA1.0mlを加え反応を停止する。この反応液中の無機リン酸含量をFiske−Subbarow方法により定量した。上記条件にて1分間に1μmolの無機リン酸を遊離させる酵素量を1ユニット(U)とした。
本発明においては、蛋白分解酵素を用いて蛋白質を分解する工程と、フィチン酸を分解する酵素を用いてフィチン酸を分解する工程を含んでいれば、その順番はどのように組合せてもよく、これらの工程を経ることによって、低フィチン化、すなわち植物蛋白加水分解物中のフィチン酸含量が乾燥固形分当たり0.5%以下、0.2%以下とすることができる。さらに、フィチン酸含量を検出限界5mg/100g以下とするには、蛋白質の酵素分解蛋白質を酵素分解した後でフィターゼ処理を行うことが低フィチン植物蛋白加水分解物を製造する上でより好ましい。一方、蛋白質にフィターゼ処理を行ったあとに蛋白質を酵素分解しても、フィチン酸含量を検出限界5mg/100g以下にすることは困難である。しかし前述のように未変成大豆蛋白を用いる場合であれば、該大豆蛋白溶液(粉末乾燥しない)に前述のようにフィターゼを作用させてフィチン酸を分解した後で前述のように蛋白酵素分解してもフィチン酸含量が検出限界以下の目的の低フィチン植物蛋白加水分解物を得ることができる。
以上のようにして得られた低フィチン植物蛋白加水分解物の平均分子量は200〜10000、好ましくは300〜5000が適当である。
また、フィチン酸含量は低フィチン植物蛋白加水分解物の乾燥固形分中、バナドモリブデン酸吸光光度法(検出限界5mg/100g)で0.5%以下、好ましくはフィチン酸が検出されないものである。
以下、実施例により発明の実施態様を説明する。
まず、餌に関して説明する。
〔製造例1〕(低フィチン酸大豆たん白加水分解物の製造)
脱脂大豆10重量部に7倍加水し、50℃、pH7で30分撹拌しながら抽出した後、遠心分離機にてオカラと豆乳を分離し、豆乳を硫酸でpH4.5に調整後、遠心分離し等電点沈殿たん白質とホエーたん白に分離後、等電点沈殿たん白質に対して4倍加水後、NaOHでpH6.0に調整し、8%濃度の大豆たん白溶液50重量部を調製した。
この大豆たん白溶液を50℃に加温し、フィターゼ分解酵素「スミチームPHY」新日本化学工業(株)製0.04重量部を添加して60分反応させた。この反応液を150℃で7秒間殺菌後、50℃に冷却し、NaOHでpH7.0に調整し、プロテアーゼM」天野製薬(株)製0.16重量部を添加させ5時間反応させた。pH6.5に調整し、150℃で7秒間殺菌後、ただちにスプレードライヤーで粉末乾燥させた。
この粉末中のフィチン酸(メソイノシットヘキサリン酸)含量をバナドモリブデン酸吸光光度法で測定したところ検出されなかった(検出限界5mg/100g)。平均分子量は電気泳動法で測定した結果約500であった。
〔製造例2〕(フィチン酸除去しない大豆たん白加水分解物の製造)
分離大豆たん白(不二製油(株)製「フジプローR」)100重量部(以下、部)をpH7の5%水溶液となし、プロチンFN(大和化成(株)製:アスペルギルス属起源)1部を用いて、50℃で5時間酵素分解した後、70℃で30分間加熱して酵素を失活させ、冷却後遠心分離して得た上澄みを噴霧乾燥して大豆たん白加水分解物を製造した。尚、このものは、TCA(トリクロロ酢酸)可溶率(15%TCA可溶窒素/全窒素の価に100を乗じた価)は100で、平均分子量は676であった。
〔実施例1および比較例1〕
・実施例1
38日齢ひらめ仔稚魚を予備飼育水槽より300尾宛100L実験水槽に移したものを5槽準備し、実験水槽とした。実験期間中海水の温度は17℃に保持した。
実験飼料として前記製造例1と同様にして製造した低フィチン大豆たん白加水分解物を表1のひらめ養殖飼料に0、2.5、5.0、10.0、20.0重量部をカゼインと表1に示すように置換して添加、常法により微粒子飼料とした。表1に実験飼料組成を示す。単位は重量部である。5群はコントロールである。
39日齢より実験を開始し、給餌は午前9時より1時間毎に16時まで8回、17時には生物餌料としてアルテミアを与え、1日9回給餌した。飼料量は日齢が経つにつれて養殖飼料0.31g〜0.50g/回/魚、アルテミアは55〜80匹/回/魚とした。
実験開始後14日、52日齢時の仔稚魚約50尾の体長、生残尾数、色素異常率を測定した。
・比較例1
実験飼料として前記製造例2と同様にして製造した、フィチン酸除去をしていない大豆たん白加水分解物を用い、実施例1と同じ方法によりひらめを養殖した。
Figure 0004556868
実施例1および比較例1の結果は表2の通りであった。
Figure 0004556868
実施例1の結果より、低フィチン酸大豆たん白加水分解物を添加した1〜4群はコントロールの5群に比べていずれも生育が促進され、とくに1〜3群では有意差が認められた。生残数においても5群に比べて1〜4群では良い傾向が見られた。又、色素異常率は各群に差なく、大豆たん白加水分解物を与えた群においても異常は認められなかった。
また、下記比較例1に比べてもフィチン酸含有量の低い大豆蛋白加水分解物(オリゴペプチド混合物)は生残率が大きく上昇した。
〔製造例3〕
分離大豆蛋白質(不二製油(株)製「ニューフジプロ−R」)100重量部を水900部に溶かし、これに蛋白質分解酵素(大和化成株式会社製「プロチン」)を2部加え、50℃で5時間インキュベートした後、遠心分離(5000rpm×30分)にて不溶物を除去し、更に80℃で30分加熱して酵素失活と殺菌を行い、凍結乾燥して酵素分解物(SH)を得た。
アクリル系弱塩基性陰イオン交換樹脂(住友化学工業(株)製「KA890」)を直径1.4cmのカラムに高さ15cmまで充填(樹脂容積23cm2)し、5%カセイソーダ液50ml及びイオン交換水500mlを通液し洗浄を行った。
一方、上述の酵素分解物(SH)をイオン交換水で溶解し、10%塩酸にてpHを4.5に調整し、最終蛋白濃度が10%になるようにイオン交換水にて調整した。
上記調製液をKA890を充填し洗浄しておいたカラムの上部より51ml/hrにて通液し、カラム下部より溶出される処理液を分取した。
酵素分解液を通液し、その量が1219ml(蛋白量として121.9g、樹脂1ml当り5.3g)となるまでの酵素分解液、即ちフィチン酸が完全に樹脂に吸着除去されている溶出液を集め、凍結乾燥し、低リン含量の酵素分解物(SHR)を得た。モハメッドらの方法(Cereal Chem.63.475.1986)にてフィチン酸含量を測定した。その結果フィチン酸は検出されなかった(検出限界0.005重量%)。
〔実施例2および比較例2〕
製造例3で得られた低フィチン大豆たん白加水分解物および製造例2で得られたフィチン酸除去されていない大豆たん白加水分解物を用いて親エビから得た受精卵をふ化させ、Zoea1ステージまで予備飼育したものを用いて飼育実験を行った。
飼育条件は表3に示したように1リットルのビーカーにZoea1を100尾収容し、微粒子飼料を用いて室温で飼育した。試験飼料の組成は表4に示した通りである。
試験飼料として製造例3および製造例2と同様にして製造した各大豆たん白加水分解物をそれぞれ表4のクルマエビ養殖飼料に10.0重量部をカゼイン(コントロール)と置換して添加、常法により微粒子飼料とした。
尚、幼生の成長指数(Growth index:到達した成長ステージ)及び生残率で添加効果を判定した。結果は表5に示す通りである。
Figure 0004556868
Figure 0004556868
Figure 0004556868
この結果、ポストラーバの体長(11日目に測定)は製造例3の低フィチン大豆蛋白加水分解物添加区が無添加区や製造例2の大豆蛋白加水分解物添加区との間に差が認められなかったが、生残率、成長指数には低フィチン大豆蛋白加水分解物添加区が良い傾向が認められた。
生後70〜80日目のひらめ稚魚を1区当たり20尾を20L実験水槽に移したものを3槽準備し飼育実験を行なった。実験期間中飼育水温度は18℃に保持した。
実験飼料としては、市販のヒラメ飼料((株)ヒガシマル製EP飼料、種苗用S−6)をベースに調製した。すなわち市販飼料を加温し、これに前記製造例1で製造した低フィチン大豆たん白加水分解物および製造例2で製造したフィターゼ未処理の大豆たん白加水分解物を付着させるようにコーティングしてから、乾燥して実験飼料とした。表6に市販飼料の組成と大豆蛋白加水分解物を付加した実験飼料の組成を示す。
Figure 0004556868
全長が平均で80.3mm、魚体重が4.4g、体重/全長=55.5mg/mmの稚魚を用いて実験を開始し、給餌は午前9時より6時間毎に1日4回給餌した。実験開始後10日、20日経過後の仔稚魚60尾の体長、魚体重を測定し、体重/全長を測定結果より算出した。
Figure 0004556868
Figure 0004556868
Figure 0004556868
この結果、対照区、大豆蛋白加水分解物添加に比べ、低フィチン大豆蛋白加水分解物添加区では10日目で平均体重/体長(mg/mm)での伸びが高く、生育の促進効果が認められた。さらに20日目では、体重/体長(mg/mm)において、最大の固体も観察された。最小も対照区、大豆蛋白加水分解物添加に比べ、高い値となったが、固体も大きな魚に餌が集中するせいか、固体間のバラツキが多く、平均では対照区とあまり変わらない結果となった。
(飼育経過)
飼育期間の水温、給餌量、摂餌状況を下記に記載する。
糞便の状態が、対照区は給餌後の糞便の状態が下痢便状態で水槽の水が濁るのに対して、大豆蛋白加水分解物および低フィチン大豆蛋白加水分解物添加区では糞便は形を保った軟便状態で、水槽の水はきれいなままであった。さらに、低フィチン大豆蛋白加水分解物の方が、糞の粘りけがあり糞の量が多い傾向にあった。
Figure 0004556868
次に、低フィチン大豆蛋白加水分解物の実施例を説明する。
脱脂大豆10kgに7倍加水し、50℃、pH7で30分撹拌しながら抽出した後、遠心分離機にてオカラと豆乳を分離した後、豆乳を硫酸でpH4.5に調整後、遠心分離し等電点沈殿蛋白質とホエー蛋白に分離後、等電点沈殿蛋白質に対して4倍加水後、NaOHでpH7.0に調整し、8%濃度の蛋白液50リットルを調整した。
この蛋白液に蛋白分解酵素「プロテアーゼS」と「プロテアーゼM」(天野製薬(株)製)をそれぞれ160gを添加し、50℃で5時間反応させ、加水分解した(15%TCA可溶率85%)。次にpHを6.0に調整し、フィチン酸分解酵素「スミチームPHY」(新日本化学工業(株)製)40gを添加して50℃で60分反応させた後、NaOHでpH6.5に調整し、150℃で7秒間殺菌後、ただちにスプレードライヤーで粉末乾燥させた。
この粉末中のフィチン酸(メソイノシットヘキサリン酸)含量をバナドモリブデン酸吸光光度法で測定したところ検出されず(検出限界5mg/100g)、極めて良好にフィチン酸を低減できた。
脱脂大豆10kgに7倍加水し、50℃、pH7で30分撹拌しながら抽出した後、遠心分離機にてオカラと豆乳を分離した後、豆乳を硫酸でpH4.5に調整後、遠心分離し等電点沈殿蛋白質とホエー蛋白に分離後、等電点沈殿蛋白質に対して4倍加水後、NaOHでpH6.0に調整し、8%濃度の蛋白液50リットルを調整した。
この蛋白液を50℃に加温し、フィターゼ分解酵素「スミチームPHY」新日本化学工業(株)製40gを添加して60分反応させた後、NaOHでpH7.0に調整し、プロテアーゼM」天野製薬(株)製160gを添加させ5時間反応させた。pH6.5に調整し、150℃で7秒間殺菌後、ただちにスプレードライヤーで粉末乾燥させた。
この粉末中のフィチン酸(メソイノシットヘキサリン酸)含量をバナドモリブデン酸吸光光度法で測定したところ検出されず(検出限界5mg/100g)、極めて良好にフィチン酸を低減できた。
脱脂大豆10kgに7倍加水し、50℃、pH7で30分撹拌しながら抽出した後、遠心分離機にてオカラと豆乳を分離した後、豆乳を硫酸でpH4.5に調整後、遠心分離し等電点沈殿蛋白質とホエー蛋白に分離後、等電点沈殿蛋白質に対して4倍加水後、NaOHでpH6.0に調整し、8%濃度の蛋白液50リットルを調整し、ただちにスプレードライヤーで粉末乾燥させた。
この蛋白液を8%溶液に調整し、50℃に加温し、フィターゼ分解酵素「スミチームPHY」新日本化学工業(株)製40gを添加して60分反応させた後、NaOHでpH7.0に調整し、プロテアーゼM」天野製薬(株)製160gを添加させ5時間反応させた。pH6.5に調整し、150℃で7秒間殺菌後、ただちにスプレードライヤーで粉末乾燥させた。
この粉末中のフィチン酸(メソイノシットヘキサリン酸)含量をバナドモリブデン酸吸光光度法で測定したところ、フィチン酸は0.5%まで低減されていた(検出限界5mg/100g)。
脱脂大豆10kgに7倍加水し、50℃、pH7で30分撹拌しながら抽出した後、遠心分離機にてオカラと豆乳を分離した後、豆乳を硫酸でpH4.5に調整後、遠心分離し等電点沈殿蛋白質とホエー蛋白に分離後、等電点沈殿蛋白質に対して4倍加水後、NaOHでpH6.0に調整し、8%濃度の蛋白液50リットルを調整した。
この蛋白液を50℃に加温し、フィターゼ分解酵素「スミチームPHY」新日本化学工業(株)製40gを添加して60分反応させた後、ただちにスプレードライヤーで粉末乾燥させた。
この溶液を8%に調整し、NaOHでpH7.0に調整し、プロテアーゼM」天野製薬(株)製160gを添加させ5時間反応させ、150℃で7秒間殺菌後、ただちにスプレードライヤーで粉末乾燥させた。
この粉末中のフィチン酸(メソイノシットヘキサリン酸)含量をバナドモリブデン酸吸光光度法で測定したところ、フィチン酸は0.2%まで低減されていた(検出限界5mg/100g)。
脱脂大豆10kgに7倍加水し、50℃、pH7で30分撹拌しながら抽出した後、遠心分離機にてオカラと豆乳を分離した後、豆乳を硫酸でpH4.5に調整後、遠心分離し等電点沈殿蛋白質とホエー蛋白に分離後、等電点沈殿蛋白質に対して4倍加水後、NaOHでpH6.0に調整し、8%濃度の蛋白液50リットルを調整した。
この蛋白液を50℃に加温し、フィターゼ分解酵素「スミチームPHY」新日本化学工業(株)製40gを添加して60分反応させた後、ただちにスプレードライヤーで粉末乾燥させた。
この溶液を8%に調整し、NaOHでpH7.0に調整し、プロテアーゼM」天野製薬(株)製160gを添加させ5時間反応させ(反応時pH6.2)、その後、再びフィターゼ分解酵素「スミチームPHY」新日本化学工業(株)製40gを添加して60分反応させた後150℃で7秒間殺菌後、ただちにスプレードライヤーで粉末乾燥させた。
この粉末中のフィチン酸(メソイノシットヘキサリン酸)含量をバナドモリブデン酸吸光光度法で測定したところ、フィチン酸は0.2%まで低減されていた(検出限界5mg/100g)。
一旦粉末乾燥した分離大豆蛋白(不二製油(株)製、「ニューフジプロ−R」)30kgをpH7.0の10%水溶液とし、蛋白分解酵素「プロテアーゼS」天野製薬(株)製1.2kgならびに「プロテアーゼM」天野製薬(株)製0.3kgを作用させ50℃で5時間加水分解(15%TCA可溶率85%)した後、pHを6.0に調整しフィターゼ分解酵素「スミチームPHY」新日本化学工業(株)製 0.6kg添加し45℃で2時間加水分解を行なった。
この分解液を連続処理可能な高速遠心分離機に100リットル/時間の送液速度に調整し、生じる沈降成分を分離除去した。得られた遠心上清液(固形分の収率は70%)をpH6.5に調整し、150℃で7秒間殺菌後、ただちにスプレードライヤーで粉末乾燥させた。
この粉末中のフィチン酸(メソイノシットヘキサリン酸)含量をバナドモリブデン酸吸光光度法で測定したところ検出されず(検出限界5mg/100g)、極めて良好にフィチン酸を低減できた。
本発明の飼料を給餌することにより、仔稚魚の生育を促進し、大幅に生残率を高めることができるようになったものである。
特に、養魚が困難とされる仔稚魚の生残率を高めることが出きるようになり、従来養魚が困難とされた魚の養殖が可能になったものである。
また、ある程度成長した稚魚の生育を促進し、糞を粘りのあるものとし水の濁りを防止できるようになり、生育環境が改善されたものである。
また、このような飼量に適した低フィチン植物蛋白加水分解物が可能になったものである。
即ち、本発明により、フィチン酸含有量が極めて少なく、さらにはバナドモリブデン酸吸光光度法で検出限界以下という低フィチン植物蛋白加水分解物が可能になったものである。また、樹脂吸着法による低フィチン大豆蛋白加水分解物に比べ本発明の方法による低フィチン植物蛋白加水分解物は風味に優れる(フィチン酸の分解物によると推察される)ものである。
また、本発明の低フィチン植物蛋白加水分解物は分子量が小さくフィチン酸が極めて少ないので消化吸収機能の発達が不充分な稚魚や生後生まれてすぐの動物用の飼料に用いると消化吸収性に優れカルシウムなどの微量金属の吸収を促進し極めて有効である。

Claims (9)

  1. フィチン酸含有量が5mg/100g以下である、植物たん白加水分解物を飼料原料に含有することを特徴とする仔稚魚用飼料。
  2. 糞による水のにごりの防止用である、請求項1記載の仔稚魚用飼料。
  3. 植物たん白加水分解物が平均分子量200〜10,000の植物たん白加水分解物である請求項1〜2いずれかに記載の仔稚魚用飼料。
  4. 植物たん白加水分解物が、大豆たん白を加水分解したものである、請求項1〜3いずれか1項に記載の仔稚魚用飼料。
  5. 大豆蛋白を蛋白分解酵素を用いて分解した後、フィチン酸を分解する酵素を用いてフィチン酸を分解する請求項4の仔稚魚用飼料の製造法。
  6. 未乾燥大豆蛋白をフィチン酸を分解する酵素を用いて分解した後、蛋白分解酵素を用いて蛋白質を分解する請求項4の仔稚魚用飼料の製造法。
  7. フィチン酸を分解する酵素がフィターゼである請求項5〜6いずれか1項に記載の製造法。
  8. フィターゼ処理するpHが6〜9である請求項5〜7いずれか1項に記載の製造法。
  9. 植物たん白質加水分解物の平均分子量が200〜10000である請求項5〜8のいずれかの製造法。
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