JP3383424B2 - ドリップ吸収共押出シート、熱成形容器、及びこれらの製造方法 - Google Patents

ドリップ吸収共押出シート、熱成形容器、及びこれらの製造方法

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JP3383424B2 JP18519994A JP18519994A JP3383424B2 JP 3383424 B2 JP3383424 B2 JP 3383424B2 JP 18519994 A JP18519994 A JP 18519994A JP 18519994 A JP18519994 A JP 18519994A JP 3383424 B2 JP3383424 B2 JP 3383424B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、魚肉や生肉類の包装に
おいて、ドリップを有効に吸収し、品質保持性を向上さ
せることのできるドリップ吸収共押出シート及びその製
造方法、並びに前記ドリップ吸収共押出シートを熱成形
してなる、発泡倍率の向上した熱成形容器及びその製造
方法に関するものであって、食品包装分野において有効
に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来より、魚肉や生肉類などを熱成形容
器に充填する包装方法が広く行なわれている。しかしな
がら、魚肉や生肉類などからドリップが生じて、包装外
観が損なわれるという問題があり、またドリップは腐敗
し易いので、品質保持上からも問題となっている。
【0003】そこでドリップ吸水紙等を、魚肉や生肉類
などと容器との間に敷くことが行なわれている。しかし
ながら、吸水紙が魚肉や生肉類などに付着したり、吸水
紙も汚れるという問題があると共に、吸水紙自体も腐敗
し易く、衛生上の問題が生じている。
【0004】そこで吸収ドリップが腐敗するという問題
に対しては、抗菌物質を混練したシート成形容器が用い
ることが提案されているが、抗菌剤と食品とが直接接触
するので、食品の安全上好ましくない。一方、吸水紙が
魚肉や生肉類などに付着したり、吸水紙も汚れたりする
という問題に対しては、親水性・通水性シートを合成樹
脂シートに高吸水性樹脂を含む接着剤層により積層する
技術が開示されている(特開昭60-198231 号公報)。し
かしながら、この場合、親水性・通水性シートと合成樹
脂シートとを別々に製造するため、製造工程が複雑とな
るという問題がある。また、接着剤中の高吸水性樹脂が
吸水して膨潤しなければ吸水能力が上がらず、膨潤させ
ると接着強度が低下するという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のこの
ような問題を解消し、魚肉や生肉類などの包装において
ドリップを有効に吸収し、品質保持性を向上させること
のできるドリップ吸収共押出シート及びその製造方法、
並びに前記ドリップ吸収共押出シートを熱成形してなる
熱成形容器及びその製造方法を提供することを目的とす
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は第1
に、ポリオレフィン系樹脂90〜10重量%と無機フィ
ラー10重量%〜90重量%との混合物に更に発泡剤を
配合した樹脂組成物からなる基材層(A)の片面又は両
面に、ポリオレフィン系樹脂90〜10重量%と無機フ
ィラー10重量%〜90重量%との混合物に界面活性剤
を配合した組成物からなる通水性かつ通気性層(B)が
少なくとも一層設けられており、更にポリオレフィン系
樹脂からなる非通水性かつ非通気性層(C)が、前記層
(B)のうちの一層が一方の表面層を形成するような位
置に設けられており、かつ外部と基材層(A)とをつな
ぐ貫通孔が形成されていることを特徴とするドリップ吸
収共押出シートを提供するものである。
【0007】本発明は第2に、基材層(A)が、吸水性
樹脂を含むものである、前記本発明の第1のドリップ吸
収共押出シートを提供するものである。
【0008】本発明は第3に、基材層(A)が、消臭剤
及び/又は抗菌剤を含むものである、前記本発明の第1
のドリップ吸収共押出シートを提供するものである。
【0009】本発明は第4に、ポリオレフィン系樹脂9
0〜10重量%と無機フィラー10重量%〜90重量%
との混合物に更に発泡剤を配合した樹脂組成物と、ポリ
オレフィン系樹脂90〜10重量%と無機フィラー10
重量%〜90重量%との混合物に界面活性剤を配合した
組成物と、ポリオレフィン系樹脂とを、前記樹脂組成物
からなる基材層(A)の片面又は両面に、前記組成物か
らなる通水性かつ通気性層(B)が少なくとも一層設け
られ、更に前記ポリオレフィン系樹脂からなる非通水性
かつ非通気性層(C)が、前記層(B)のうちの一層が
一方の表面層を形成するような位置に設けられるように
発泡共押出して、製膜することを特徴とする、前記本発
明の第1のドリップ吸収共押出シートの製造方法を提供
するものである。
【0010】本発明は第5に、ポリオレフィン系樹脂9
0〜10重量%と無機フィラー10重量%〜90重量%
との混合物に更に発泡剤を配合した樹脂組成物が、さら
に吸水性樹脂を含むものである、前記本発明の第2のド
リップ吸収共押出シートの製造方法を提供するものであ
る。
【0011】本発明は第6に、ポリオレフィン系樹脂9
0〜10重量%と無機フィラー10重量%〜90重量%
との混合物に更に発泡剤を配合した樹脂組成物が、さら
に消臭剤及び/又は抗菌剤を含むものである、前記本発
明の第3のドリップ吸収共押出シートの製造方法を提供
するものである。
【0012】本発明は第7に、前記本発明の第1のドリ
ップ吸収共押出シート熱成形して熱成形容器を得るに
あたり、熱成形の際に、一方の表面層を構成する通水性
かつ通気性層(B)の溶融張力が、他方の表面層を構成
するポリオレフィン系樹脂からなる非通水性かつ非通気
層(C)の溶融張力よりも高くなるようにし、かつ前
記層(C)側を雌金型側として熱成形することを特徴と
する熱成形容器の製造方法を提供するものである。
【0013】本発明は第8に、前記本発明の第2のドリ
ップ吸収共押出シート熱成形して熱成形容器を得るに
あたり、熱成形の際に、一方の表面層を構成する通水性
かつ通気性層(B)の溶融張力が、他方の表面層を構成
するポリオレフィン系樹脂からなる非通水性かつ非通気
層(C)の溶融張力よりも高くなるようにし、かつ前
記層(C)側を雌金型側として熱成形することを特徴と
する熱成形容器の製造方法を提供するものである。
【0014】本発明は第9に、前記本発明の第3のドリ
ップ吸収共押出シート熱成形して熱成形容器を得るに
あたり、熱成形の際に、一方の表面層を構成する通水性
かつ通気性層(B)の溶融張力が、他方の表面層を構成
するポリオレフィン系樹脂からなる非通水性かつ非通気
層(C)の溶融張力よりも高くなるようにし、かつ前
記層(C)側を雌金型側として熱成形することを特徴と
する熱成形容器の製造方法を提供するものである。
【0015】本発明は第10に、前記本発明の第7の方
法により得られる、発泡倍率の向上した熱成形容器を提
供するものである。
【0016】本発明は第11に、前記本発明の第8の方
法により得られる、発泡倍率の向上した熱成形容器を提
供するものである。
【0017】本発明は第12に、前記本発明の第9の方
法により得られる、発泡倍率の向上した熱成形容器を提
供するものである。
【0018】以下、まず本発明の第1のドリップ吸収共
押出シートについて説明する。本発明の第1のドリップ
吸収共押出シートは、基材層(A)の片面又は両面に、
通水性かつ通気性層(B)が少なくとも一層設けられて
おり、更に非通水性かつ非通気性層(C)が、前記通水
性かつ通気性層(B)のうちの一層が一方の表面層を形
成するような位置に設けられており、かつ外部と基材層
(A)とをつなぐ貫通孔が形成されていることを特徴と
するものである。従って、非通水性かつ非通気性層
(C)が設けられているので、一方の表面層が、通水性
かつ通気性層(B)であり、他方の表面層が、非通水性
かつ非通気性層(C)となる。
【0019】ここで基材層(A)は、シートの基材層を
構成する層であって、ポリオレフィン系樹脂と無機フィ
ラーとの混合物に、更に発泡剤を配合した樹脂組成物か
らなる層である。ポリオレフィン系樹脂としては特に制
限はないが、例えば高密度ポリエチレン,中密度ポリエ
チレン,低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹
脂、ポリスチレン、ポリプロピレン系樹脂(ランダム,
ブロック又はホモポリプロピレン)など、さらにはこれ
らの混合物を挙げることができる。これらの中でもポリ
エチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂との混合物、特
に低密度ポリエチレンとホモポリプロピレンとの混合物
を用いることが好ましい。この場合、両者の混合割合
は、前者:後者=5:95〜70:30(重量比)であ
る。これらポリオレフィン系樹脂のメルトインデックス
(MI)は特に限定はないが、通常、0.1〜7g/1
0分のものが用いられる。
【0020】次に、無機フィラー(無機充填剤)として
は、タルク,炭酸カルシウム,シリカ,アルミナ,ゼオ
ライト又はこれらの混合物を用いることができ、特にタ
ルクが最も好ましい。
【0021】また、発泡剤としては、分解性発泡剤であ
ると揮発性発泡剤であるとを問わないが、通常は分解性
発泡剤が用いられ、例えば重炭酸ナトリウムなどの無機
化合物、アゾジカルボンアミド,アゾビスイソブチロニ
トリル,ジアゾアミノベンゼンなどのアゾ化合物、その
他、ニトロソ化合物、スルホニルヒドラジド化合物、液
化炭酸ガスなどの炭化水素系発泡剤、水又はこれらの混
合物を用いることができる。
【0022】本発明の第1において、基材層(A)にお
けるポリオレフィン系樹脂と無機フィラーとの配合割合
は、前者90〜10重量%に対し、後者10重量%〜9
0重量%の割合、好ましくは前者80〜20重量%に対
し、後者20重量%〜80重量%の割合である。無機フ
ィラーの配合割合が少な過ぎると、層(A)においては
連続気泡性の発泡状態が得られず、全て独立気泡になる
ため、層(B)の連通孔の孔径が全く拡大されず、この
結果、層(B)の通水性に劣るばかりか、シートのドリ
ップ吸水性能にも劣るものとなる。一方、無機フィラー
の配合割合が多過ぎると、共押出し製膜時において著し
い流動不良をきたし、共押出し製膜性が阻害されるので
好ましくない。
【0023】また、本発明の第1において、発泡剤の添
加量については特に制限はなく、発泡層となる基材樹脂
からなる層(A)の発泡倍率にあわせて添加すればよい
が、通常は基材樹脂からなる層(A)の成分中、0.1
〜5重量%、好ましくは0.6〜2重量%である。
【0024】なお、上記した如き基材層(A)には、吸
水性樹脂を配合することもできる。吸水性樹脂として
は、アクリル系共重合体,デンプン系共重合体,セルロ
ース系重合体,ポリビニルアルコール系樹脂,エチレン
−ビニルアルコール共重合体,ポリエチレンオキサイド
樹脂又はこれらの混合物を用いることができる。吸水性
樹脂の添加量は特に制限はないが、通常は基材樹脂から
なる層(A)の成分中、1〜10重量%、好ましくは2
〜6重量%である。吸水性樹脂の添加量が少な過ぎる
と、充分な保水性が得られず、一方、吸水性樹脂の添加
量が多過ぎると、成膜性が損なわれ、シートが鮫肌とな
るため好ましくない。
【0025】また、上記した如き基材層(A)には、使
用目的に応じて、消臭剤及び/又は抗菌剤を添加するこ
ともできる。消臭剤としては、例えばポリフェノール系
樹脂,多孔質シリカ,ゼオライト,キチン,キトサン,
サイクロデキストリン,ソルビトール系消臭剤,活性炭
などを用いることができる。また、抗菌剤としては、例
えばポリフェノール系樹脂,金属担持ゼオライト,有機
窒素硫黄ハロゲン化合物,金属担持シリカゲル,テルペ
ン系抗菌剤,フェノール系抗菌剤,安息香酸系抗菌剤,
ソルビン酸系抗菌剤,チアベンダゾール,ポリリジン,
デヒドロ酢酸系抗菌剤,プロタミン,プロピオン酸系抗
菌剤などを用いることができる。
【0026】基材層(A)を構成する成分には、上記消
臭剤と抗菌剤のいずれか一方、或いは両方を添加するこ
とができる。また、消臭剤及び/又は抗菌剤は、吸水性
樹脂と併用することもできる。なお、消臭剤及び/又は
抗菌剤の添加量は、使用目的に応じて適宜選定すれば良
いが、通常は基材層(A)を構成する成分(すなわち、
ポリオレフィン系樹脂、無機フィラー、発泡剤)の合計
100重量部に対して、0.01〜1重量部、好ましく
は0.1〜0.5重量部である。
【0027】上記した如き基材層(A)は、シートの基
材となる層であって、連続気泡を有し、かつ吸水性を有
する層である。
【0028】次に、本発明においては、上記した如き層
(A)の片面又は両面に、通水性かつ通気性層(B)が
少なくとも一層設けられている。ここで通水性かつ通気
性層(B)は、ポリオレフィン系樹脂と無機フィラーと
の混合物に界面活性剤を配合した組成物からなる層であ
って、通水性かつ通気性を有する層である。
【0029】ポリオレフィン系樹脂と無機フィラーとし
ては、上記基材層(A)における説明中に記載したもの
が挙げられ、通常、基材層(A)に用いたものと同じも
のが用いられるが、基材層(A)に用いたものとは異な
るものを用いてもよい。この通水性かつ通気性層(B)
におけるポリオレフィン系樹脂と無機フィラーとの配合
割合は、前者90〜10重量%に対し、後者10重量%
〜90重量%の割合、好ましくは前者80〜20重量%
に対し、後者20重量%〜80重量%の割合である。
【0030】無機フィラーの配合割合が少な過ぎると、
これにより通水性かつ通気性層(B)の通水性、通気性
が不充分となるばかりか、この結果、製膜時に基材層
(A)からの発泡ガスが、通水性かつ通気性層(B)を
通って抜けにくくなり、基材層(A)の発泡を阻害する
と共に、発泡ガスの出口となることによる通水性かつ通
気性層(B)の通水性、通気性の向上をも阻害すること
となるため、好ましくない。一方、無機フィラーの配合
割合が多過ぎると、製膜時において基材層(A)で発生
したガスが抜けてしまい、基材層(A)の発泡が行われ
ないため、基材層(A)に空間ができず、ドリップ吸水
性能の高いシートとならない。また、共押出し製膜性も
阻害されるので好ましくない。
【0031】次に、界面活性剤は、通水性を向上させる
ために添加するものであり、具体的には例えばソルビタ
ン脂肪酸エステル,脂肪酸ジエタノールアミド,ジグリ
セリン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン・グリセリ
ン・モノ脂肪酸エステル,モノグリセリン脂肪酸エステ
ルなどが挙げられ、上記ポリオレフィン系樹脂の湿潤性
を向上させる界面活性剤であれば、すべて使用すること
ができる。
【0032】この通水性かつ通気性層(B)における界
面活性剤の添加量は特に制限はないが、通常、ポリオレ
フィン系樹脂と無機フィラーとの混合物100重量部に
対し、界面活性剤を0.01〜2重量部、好ましくは
0.1〜0.5重量部添加する。界面活性剤の添加量が
少な過ぎると通水性がなく、一方、界面活性剤の添加量
が多過ぎると衛生上問題となるため、好ましくない。な
お、本発明の基材層(A)と通水性かつ通気性層(B)
は、本発明の目的を損なわない範囲において、公知の各
種添加剤を含んだものであってもよい。
【0033】本発明の第1〜第3のドリップ吸収共押出
シートは、基材層(A)の片面又は両面に、通水性かつ
通気性層(B)が少なくとも一層設けられており、更に
非通水性かつ非通気性層(C)が、前記通水性かつ通気
性層(B)のうちの一層が一方の表面層を形成するよう
な位置に設けられていることを特徴とするものである。
【0034】この非通水性かつ非通気性層(C)は、ポ
リオレフィン系樹脂からなるものであって、非通水性か
つ非通気性のものである。ここで非通水性かつ非通気性
とは、実質上全く通水性も通気性をも有しないものを言
う。この層(C)には、無機フィラーは含まれず、その
ため貫通孔はない。
【0035】非通水性かつ非通気性層(C)におけるポ
リオレフィン系樹脂としては、上記基材層(A)におけ
る説明中に記載したものが挙げられ、通常、基材層
(A)や通水性かつ通気性層(B)に用いたものと同じ
ものが用いられるが、基材層(A)及び/又は通水性か
つ通気性層(B)に用いたものとは異なるものを用いて
もよい。
【0036】本発明の第1〜第3のドリップ吸収共押出
シートは、基材層(A)の片面又は両面に、通水性かつ
通気性層(B)が少なくとも一層設けられており、更に
非通水性かつ非通気性層(C)が、前記通水性かつ通気
性層(B)のうちの一層が一方の表面層を形成するよう
な位置に設けられていることを特徴とするものであっ
て、通常、層〜4層構造のものである。なお、前記し
た如く、非通水性かつ非通気性層(C)が設けられてい
るので、一方の表面層が、通水性かつ通気性層(B)で
あり、他方の表面層が、非通水性かつ非通気性層(C)
となる。
【0037】このような本発明の第1〜第3のドリップ
吸収共押出しシートの構造を具体的に例示すると、以下
のような多層シートが挙げられる。 3層構造のもの:B−A−C 4層構造のもの:B−A−B−C
【0038】上記の如き構造を有する本発明の第1〜第
3のドリップ吸収共押出シートの各層の厚みは、層数や
用途などによって異なるが、通常、B−A−C構造の3
層シートの場合、層(A),層(B),層(C)の比
は、それぞれ順に5〜40:90〜20:5〜40であ
る。また、シートの総厚みは特に制限はないが、通常、
0.1〜1.0mm程度である。
【0039】さらに、本発明の第1〜第3のドリップ吸
収共押出シートは、外部と基材層(A)とをつなぐ貫通
孔が形成されているものである。この貫通孔は、連続気
泡を有し、かつ吸水性を有する基材層(A)から、シー
ト表面の通水性かつ通気性層(B)までを貫通する孔で
ある。このような貫通孔の存在により、ドリップ吸収性
に優れたものとなっており、また、基材層(A)に消臭
剤及び/又は抗菌剤を添加しても、食品と直接接触する
おそれがなく、安全性も問題のないものとなっている。
【0040】上記した如き本発明の第1〜第3のドリッ
プ吸収共押出シートは、種々の方法により製造すること
ができるが、以下に示す本発明の第4〜第6に示す方法
により効率よく製造することができる。
【0041】すなわち、本発明の第4は、ポリオレフィ
ン系樹脂90〜10重量%と無機フィラー10重量%〜
90重量%との混合物に更に発泡剤を配合した樹脂組成
物と、ポリオレフィン系樹脂90〜10重量%と無機フ
ィラー10重量%〜90重量%との混合物に界面活性剤
を配合した組成物と、ポリオレフィン系樹脂とを、前記
樹脂組成物からなる基材層(A)の片面又は両面に、前
記組成物からなる通水性かつ通気性層(B)が少なくと
も一層設けられ、更に前記ポリオレフィン系樹脂からな
る非通水性かつ非通気性層(C)が、前記層(B)のう
ちの一層が一方の表面層を形成するような位置に設けら
れるように発泡共押出して、製膜することを特徴とす
る、前記本発明の第1のドリップ吸収共押出シートの製
造方法である。
【0042】また、本発明の第5は、上記本発明の第4
における樹脂組成物(基材層(A)を構成するもの)
に、吸水性樹脂を含んだものであり、本発明の第6は同
じく消臭剤及び/又は抗菌剤を含んだものである。
【0043】本発明の第4〜第6において、層(A),
層(B)及び層(C)における原料成分(ポリオレフィ
ン系樹脂,無機フィラー,発泡剤,界面活性剤)及び添
加成分(吸水性樹脂,消臭剤,抗菌剤など)は、前記本
発明の第1において述べた通りのものである。なお、本
発明の基材層(A)と通水性かつ通気性層(B)を構成
する原料成分には、本発明の目的を損なわない範囲にお
いて、公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0044】本発明の第4〜第6は、そのような原料成
分を、上記樹脂組成物からなる基材層(A)の片面又は
両面に、上記組成物からなる通水性かつ通気性層(B)
が少なくとも一層設けられ、更に上記ポリオレフィン系
樹脂からなる非通水性かつ非通気性層(C)が、上記層
(B)のうちの一層が一方の表面層を形成するような位
置に設けられるように発泡共押出して、製膜することを
特徴とするものである。
【0045】製膜の仕方は共押出法によるものであり、
共押出法にはマルチマニホールド法,マルチスロッド
法,フィードブロック法等があるが、本発明の第4〜第
6ではいずれの方法をも使用することができる。なお、
共押出するにあたっては、各層を構成する原料成分を予
め公知のバンバリーミキサー,単軸・二軸混練機等を用
いて溶融混練し、得られたペレットを、各層それぞれの
押出機を用い、共通のダイを用いて共押出すればよい。
このような共押出法は、熱圧着などによる貼り合わせ法
に比べて、成形の際に亀裂が生じたり、シートが破断す
ることが少なく、また効率的であって、食品衛生上など
からも極めて好ましいものであるが、本発明ではさらに
意味がある。以下、説明する。
【0046】ここで本発明の方法におけるドリップ吸収
共押出シートの形成課程について、層(A),層(B)
及び層(C)(B−A−C構造)の3層構造の場合を例
にとって説明する。まず、ダイ直後において、通水性か
つ通気性層(B)には無機フィラーが入っているので、
僅かに連通孔が開いている状態である。一方、基材層
(A)では発泡剤による圧縮ガスが微分散している状態
である。
【0047】次に、この軟化シートの冷却途上におい
て、基材層(A)では圧縮ガスが膨張し、無機フィラー
が入っているので連続気泡となっている。一方、層
(C)は、非通水性及び非通気性であるので、基材層
(A)で発生した圧縮ガスの一部は、基材(A)層の連
通孔を通り、さらに通水性かつ通気性層(B)を通り抜
けて外部へ出ようとする。この際に、圧縮ガスの一部
は、通水性かつ通気性層(B)と外部とを貫通している
連通孔をより広げるように働く(従って、層(B)の通
水性が向上することとなる。)。
【0048】この結果、共押出し時に基材層(A)より
発生した発泡ガスの一部が、シート表面の通水性かつ通
気性層(B)の間隙を縫って外部へ出る時に、外部と基
材層(A)をつなぐ貫通孔が形成されるものであり、こ
のような方法により本発明の第1〜第3に示すドリップ
吸収共押出シートが得られる。
【0049】このようにして形成されたシート(自然冷
却などの手段により冷却されたシート)にドリップを滴
下すると、シート表面の通水性かつ通気性層(B)の連
通孔に毛細現象によりドリップが入り込み、速やかに基
材層(A)内の発泡部に拡散すると共に、その内部の吸
水性樹脂により吸着される。吸着により膨張した吸水性
樹脂は発泡部内部に拡がるので保水能力が高まる。
【0050】本発明は、このようにして得られたドリッ
プ吸収共押出シートをさらに熱成形してなる熱成形容器
の製造方法(本発明の第7〜9)と熱成形容器(本発明
の第10〜12)をも提供するものである。すなわち、
本発明の第7は、前記本発明の第1のドリップ吸収共押
出シート熱成形して熱成形容器を得るにあたり、熱成
形の際に、一方の表面層を構成する通水性かつ通気性層
(B)の溶融張力が、他方の表面層を構成するポリオレ
フィン系樹脂からなる非通水性かつ非通気性層(C)の
溶融張力よりも高くなるようにし、かつ前記層(C)側
を雌金型側として熱成形することを特徴とする熱成形容
器の製造方法を提供するものである。
【0051】また、本発明の第8は、前記本発明の第2
のドリップ吸収共押出シート熱成形して熱成形容器を
得るにあたり、熱成形の際に、一方の表面層を構成する
通水性かつ通気性層(B)の溶融張力が、他方の表面層
を構成するポリオレフィン系樹脂からなる非通水性かつ
非通気性層(C)の溶融張力よりも高くなるようにし、
かつ前記層(C)側を雌金型側として熱成形することを
特徴とする熱成形容器の製造方法を提供するものであ
り、換言すれば本発明の第7において、基材層(A)
が、吸水性樹脂を含むものであるドリップ吸収共押出シ
ートを用いた点に特色を有するものである。
【0052】同様に、本発明の第9は、本発明の第7に
おいて、基材層(A)が、消臭剤及び/又は抗菌剤を含
むものであるドリップ吸収共押出シートを用いた点に特
色を有するものである。
【0053】本発明の第7〜第9では、本発明の第1〜
第3のドリップ吸収共押出シート用いる必要があり、
このようなシートを用いない場合には、本発明の目的を
達成することはできない。本発明の第7〜第9では、こ
のようなシートを熱成形して熱成形容器を得るにあた
り、熱成形の際に、一方の表面層を構成する通水性かつ
通気性層(B)の溶融張力が、他方の表面層を構成する
ポリオレフィン系樹脂からなる非通水性かつ非通気性
(C)の溶融張力よりも高くなるようにし、かつ前記層
(C)側を雌金型側として熱成形することを特徴とする
ものである。
【0054】熱成形は、通常行なわれる真空成形,圧空
成形,真空圧空成形,マッチモールド成形,両面真空成
形等の公知の熱成形手段により行なうことができる。な
お、成形条件としても特に制限はなく、通常の成形条件
でよい。本発明の第7〜第9では、熱成形の際に、一方
の表面層を構成する通水性かつ通気性層(B)の溶融張
力が、他方の表面層を構成する前記層(C)の溶融張力
よりも高くなるようにすることが必要である。
【0055】一方の表面層を構成する通水性かつ通気性
層(B)の溶融張力が、他方の表面層を構成する前記層
(C)の溶融張力よりも高くなるようにするには、層
(B)の溶融張力が層(C)の溶融張力より高くなるよ
う、シート両面の加熱温度を調節すればよい。例えば、
容器内側となるシート表面(層(B)側)の温度を10
0〜130℃とし、容器外側となるシート表面(層
(C)側)の温度を140〜180℃として、容器外側
となるシート表面(層(C)側)の温度が高くなるよう
に、好ましくは40℃程度高くなるように、上下ヒータ
ーの温度を調節すればよい。なお、プラグアシスト成形
の場合は、シート両面の温度は同じにしておき、プラグ
冷却により、層(B)の溶融張力を層(C)の溶融張力
よりも高くしても良い。
【0056】さらに、本発明の第7〜第9では、層
(C)側を雌金型側として熱成形することが必要であ
る。ここで熱成形容器の金型形状は特に制限はなく、目
的とする製品形状に合わせて適宜選定すればよい。この
ようにして熱成形すると、層(C)は型通りに賦形され
るが、層(B)は溶融張力が高いので容易に賦形されな
い。従って、層(A)が減圧状態になるので、層(B)
の連通孔より外気が層(A)に内に導入され、層(A)
内の発泡倍率が高まり、より吸水性能の高い熱成形容器
が得られる。すなわち、シートを熱成形する際に、層
(B)の連通孔より外気が層(A)に内に導入され、層
(A)内の発泡倍率が高められることになる。この結
果、ドリップ吸収共押出しシート原反より厚い発泡層を
有する熱成形容器が得られる。
【0057】このようにして本発明の第10〜第12に
示すような、発泡倍率の向上した熱成形容器が得られ
る。ここで熱成形容器の形状は特に制限はなく、目的や
用途に合わせて適宜選定すればよい。例えばカップ状や
トレー状の容器が挙げられる。
【0058】
【実施例】次に本発明を、実施例により詳しく説明する
が、本発明の範囲はこれによって制限されるものではな
い。
【0059】実施例1 ポリオレフィン系樹脂としてのポリプロピレン樹脂(商
品名:出光ポリプロE−100G、出光石油化学株式会
社製)80重量部と低密度ポリエチレン(商品名:三菱
油化(株)低密度ポリエチレンHE−30)20重量部
との混合物、無機フィラーとしてのタルク(商品名:タ
ルクJET−S、浅田製粉社製)及び発泡剤としてのア
ゾジカルボンアミド(商品名:ビニホールAW# 9、永
和化成社製)を、それぞれ重量比で49.5対49.5
対1の割合で配合したものに対して、界面活性剤として
ラウリン酸ソルビタンエステル(商品名:レオドールS
P−L10、花王社製)を0.2重量%の割合で添加した
ものを用意し、これを樹脂温度160〜210℃にて混
練し、ペレットを得、このペレットを基材層(A)用樹
脂組成物とした。
【0060】また、基材層(A)に用いたと同一のポリ
オレフィン系樹脂(ポリプロピレン樹脂80重量部と低
密度ポリエチレン20重量部との混合物)と無機フィラ
ーとを1対1の重量比で混合したものを用意し、これを
樹脂温度160〜210℃にて混練し、ペレットを得、
このペレットを通水性かつ通気性層(B)用組成物とし
た。さらに、層(A)及び層(B)で用いたと同じポリ
オレフィン系樹脂のみを単軸押出機にて、樹脂温度18
0〜230℃にて混練し、層(C)は通常のペレットを
用いた。
【0061】上記3種のペレットを用いて共押出を行な
った。共押出は、フィードブロック法による3種3層共
押出しを行なった。なお、シート引き取りは、3本冷却
ロールでのタッチロール方式で行なった。上記各ペレッ
トを、それぞれの押出機(層(A)用には90mmφの
押出機を用い、層(B)と層(C)用には、それぞれ5
0mmφの押出機)に投入し、通常のTダイを用い、押
出機温度220℃にて共押出を行ない、次いでロールで
冷却しながら巻き取って、シート厚み0.8mmの共押
出シートを得た。シートの層比は、層(B)、層
(A)、層(C)の順に、5対90対5とした。その結
果、製膜時の外観として、発泡ガスが層(B)側よりわ
ずかに大気中へ抜け、外部と層(A)を貫通する孔が形
成されていた。得られたシートは外観が良好であり、発
泡層の発泡倍率は2.5倍であった。
【0062】得られたドリップ吸収共押出シートに、
0.9%食塩水をドリップ代替品として、シートの層
(B)側に2ml滴下したところ、1分以内にシート内
に全て吸収され、外観上、食塩水滴下以前と全く相違な
かった。
【0063】比較例1 実施例1で得られたシートの層(C)側に、実施例1と
同様にして0.9%食塩水をドリップ代替品として、シ
ートの層(B)側に2ml滴下したところ、1分後にお
いても全くドリップが吸収されずに残存していた。
【0064】実施例2 ポリオレフィン系樹脂としてのポリプロピレン樹脂(商
品名:出光ポリプロE−100G、出光石油化学株式会
社製)80重量部と低密度ポリエチレン(商品名:三菱
油化(株)低密度ポリエチレンHE−30)20重量部
との混合物、無機フィラーとしてのタルク(商品名:タ
ルクJET−S、浅田製粉社製)、発泡剤としてのアゾ
ジカルボンアミド(商品名:ビニホールAW# 9、永和
化成社製)及び吸水性樹脂としてのアクリル系共重合体
(商品名:アクアキープ10SH、住友精化社製)を、
それぞれ重量比で48対48対1対3の割合で配合した
ものを、直径120mmの単軸押出機にて、樹脂温度1
80〜220℃にて混練し、ペレットを得、このペレッ
トを基材層(A)用樹脂組成物とした。
【0065】また、基材層(A)に用いたと同一のポリ
オレフィン系樹脂、無機フィラー、さらに界面活性剤と
してラウリン酸ソルビタンエステル(商品名:レオドー
ルSP−L10、花王社製)を用い、ポリオレフィン系
樹脂と無機フィラーとを1対1の重量比で混合したもの
に対し、前記界面活性剤を0.2重量%の割合で添加した
ものを用意し、上記と同様に単軸押出機にて、樹脂温度
180〜210℃にて混練し、ペレットを得、このペレ
ットを通水性かつ通気性層(B)用組成物とした。さら
に、層(A)及び層(B)で用いたと同じポリオレフィ
ン系樹脂のみを単軸押出機にて、樹脂温度180〜22
0℃にて混練し、ペレットとして層(C)用樹脂とし
た。
【0066】上記3種のペレットを用いて共押出を行な
った。共押出は、フィードブロック法による3種3層共
押出しを行なった。なお、シート引き取りは、3本冷却
ロールでのタッチロール方式で行なった。上記各ペレッ
トを、それぞれの押出機(層(A)用には90mmφの
押出機を用い、層(B)と層(C)用には、それぞれ9
0mmφの押出機)に投入し、通常のTダイを用い、押
出機温度180〜220℃にて共押出を行ない、次いで
ロールで冷却しながら巻き取って、シート厚み1mmの
ドリップ吸収共押出シートを得た。シートの層比は、層
(A)、層(B)、層(C)の順に、15対70対15
とした。その結果、製膜時の外観として、発泡ガスが層
(B)側よりわずかに大気中へ抜け、外部と層(A)を
貫通する孔が形成された。得られたシートは外観が良好
であり、発泡層の発泡倍率は2.5倍であった。
【0067】実施例3 実施例2において、層(B)におけるポリオレフィン系
樹脂と無機フィラーとの配合比率を9:1としたこと以
外は、全て実施例2と同様にして行ない、ドリップ吸収
シートを作製した。その結果、製膜時の外観として発泡
ガスが層(B)側より抜けにくくなり、層(B)と層
(A)との間にガス溜りが生じ、タッチロールの直前に
予備冷却ロールを置くことにより解決された。
【0068】実施例4 実施例2において、層(B)におけるポリオレフィン系
樹脂と無機フィラーとの配合比率を1:9としたこと以
外は、全て実施例2と同様にして行ない、ドリップ吸収
シートを作製した。その結果、製膜時において層(A)
で発生した発泡ガスが多く抜けてしまい、層(A)の発
泡倍率が1.5倍に低下し、層(A)の空間率において限
界と考えられた。
【0069】実施例5 実施例2において、層(A)におけるポリオレフィン系
樹脂と無機フィラーとの配合比率を9:1としたこと以
外は、全て実施例2と同様にして行ない、ドリップ吸収
シートを作製した。その結果、製膜時において層(A)
で発生した発泡ガスが、発泡状態の独立気泡率が高くな
るため、層(B)層連通孔の孔径が拡大されることが少
なくなり、シートのドリップ吸収性能の低下が始まっ
た。
【0070】実施例6 実施例2において、層(A)におけるポリオレフィン系
樹脂と無機フィラーとの配合比率を1:9としたこと以
外は、全て実施例2と同様にして行ない、ドリップ吸収
シートを作製した。その結果、製膜時においてわずかな
多層流動における界面状態が乱れ、外観状態保持におけ
る限界と考えられた。
【0071】実施例7 実施例2により得られた総厚み1mmのドリップ吸収共
押出シートの熱成形を行なった。金型形状は、開口径7
2mm,底部直径65mm,深さ30mmのカップ型の
ものを用い、容器内側となるシート表面(層(B)側)
の温度を120℃とし、容器外側となるシート表面(層
(C)側)の温度を155℃となるように、上下ヒータ
ーの温度を調節し、真空成形を行ない、熱成形容器を得
た。その結果、熱成形容器の発泡部〔層(A)〕の平均
発泡倍率は5倍程度まで増大した。この熱成形容器に0.
9%食塩水をドリップ代替品として2ml滴下したとこ
ろ、1分以内にシート内に全て吸収され、外観上、食塩
水滴下以前と全く相違がなかった。
【0072】実施例8 実施例2において、層(A)に抗菌剤として上野製薬社
製のデヒドロ酢酸ナトリウムを、実施例2の層(A)の
樹脂組成物100重量部に対して0.05重量部の割合で
加えたこと以外は、実施例2と全て同様にして行ない、
多層シートを作製した。次に、このようにして作製した
シートを用いたこと以外は、実施例7における熱成形方
法と同様な熱成形方法により熱成形容器を作製した。得
られ熱成形容器に、冷凍マグロ肉を30gの長方体状に
切ったものを入れ、オーバーラップ包装した後、5℃に
て保管し、保管当日,3日後,1週間後,2週間後,3
週間後におけるマグロ肉1g当たりの生菌数を、常法と
して用いられるポテトデキストロース寒天培地による混
釈平板培養法により測定した。結果を第1表に示す。
【0073】
【表1】
【0074】第1表に示したように、マグロのドリップ
は見られず、また1週間後においても初期生菌と同オー
ダーの数であった。
【0075】比較例2 実施例2において、層(B)におけるポリオレフィン系
樹脂と無機フィラーとの配合比率を9.5:0.5としたこ
と以外は、全て実施例2と同様にして行ない、ドリップ
吸収シートを作製した。その結果、製膜時の外観とし
て、層(A)で発生した発泡ガスが、層(B)より全く
出なくなり、層(B)の通水性及び通気性に支障をきた
した。
【0076】比較例3 実施例2において、層(B)におけるポリオレフィン系
樹脂と無機フィラーとの配合比率を0.5:9.5としたこ
と以外は、全て実施例2と同様にして行ない、ドリップ
吸収シートを作製した。その結果、製膜時において層
(A)で発生した発泡ガスが全て抜けてしまい、層
(A)の発泡倍率は1となった。従って、層(A)にお
ける空間がなくなり、吸水性が全くないシートとなっ
た。
【0077】比較例4 実施例2において、層(A)におけるポリオレフィン系
樹脂と無機フィラーとの配合比率を9.5:0.5としたこ
と以外は、全て実施例2と同様にして行ない、ドリップ
吸収シートを作製した。その結果、製膜時において、層
(A)が全て独立気泡になったため、層(B)の連通孔
の孔径が全く拡大されず、ドリップ吸収性能が著しく低
下した。
【0078】比較例5 実施例2において、層(A)におけるポリオレフィン系
樹脂と無機フィラーとの配合比率を0.5:9.5としたこ
と以外は、全て実施例2と同様にして行ない、ドリップ
吸収シートを作製した。その結果、製膜時において著し
い流動不良をきたし、製膜が不可能であった。
【0079】比較例6 実施例2により得られた総厚み1mmのシートの熱成形
を行なった。金型形状は開口径72mm,底部直径65
mm,深さ30mmのカップ型のものを用い、シート両
面〔容器内側となるシート表面(層(B)側)と容器外
側となるシート表面(層(C)側のいずれも〕の表面温
度を155℃となるように、上下ヒーターの温度を調節
し、真空成形を行なった。その結果、熱成形容器の発泡
部〔層(A)〕の平均発泡倍率は、シートと同じく2.5
倍のままであった。続いて、この熱成形容器に0.9%食
塩水をドリップ代替品として2ml滴下したところ、5
分間経過後も約1mlは吸収されずに容器に残留した。
なお、この比較例6は実施例7に対する比較例である。
【0080】比較例7 実施例2で得られた抗菌剤を配合していないシートにつ
いて、実施例7と同様な熱成形法により熱成形容器を作
製した。以下、実施例8と同様にして冷凍マグロ肉をこ
の熱成形容器に入れ、実施例8と同様にして生菌数の経
時変化を測定した。結果を第2表に示す。
【0081】
【表2】
【0082】第2表に示したように、第1表に示される
実施例8に比較して、菌の増殖が速かった。
【0083】比較例8 市販のPSPトレイに、実施例8と同様にして冷凍マグ
ロ肉を30g載せ、生菌数の経時変化及び外観を調べ
た。結果を第3表に示す。
【0084】
【表3】
【0085】その結果、第3表に示すように、実施例8
及び比較例7に比し、菌の増殖が非常に速く、またドリ
ップによるトレイの汚損が3日後より目立った。
【0086】
【発明の効果】本発明のドリップ吸収共押出シートは、
共押出し時に基材層(A)より発生した発泡ガスの一部
が、シート表面の通水性かつ通気性層(B)の間隙を縫
って外部へ出る時に、外部と基材層(A)をつなぐ貫通
孔が形成されたものであって、連続気泡を有し、かつ吸
水性を有する基材層(A)から、シート表面の通水性か
つ通気性層(B)までを貫通する貫通孔を有しており、
このような貫通孔の存在により、ドリップ吸収性に優れ
たものとなっている。また、本発明のドリップ吸収共押
出シートは、貫通孔を形成する際に、シート表面の通水
性かつ通気性層(B)の連通孔がより広げられており、
シート表面の通水性かつ通気性層(B)の通水性が向上
したものとなっている。
【0087】このような本発明のドリップ吸収共押出シ
ートにドリップを滴下すると、シート表面の通水性かつ
通気性層(B)の連通孔に、毛細現象によりドリップが
入り込み、速やかに基材層(A)内の発泡部に拡散する
と共に、その内部の吸水性樹脂に速やかに吸着される。
吸着により膨張した吸水性樹脂は発泡部内部に拡がるの
で吸水能力が低下しない。従って、ドリップ吸水速度や
ドリップ吸水能力などの吸水性能に優れたものとなって
いる。
【0088】また、本発明の熱成形容器の製造方法によ
れば、層(B)は溶融張力が高いので容易に賦形され
ず、従って、層(A)が減圧状態になるので、層(B)
の連通孔より外気が層(A)に内に導入され、層(A)
内の発泡倍率が高まり、より吸水性能の高い熱成形容器
が得られる。すなわち、シートを熱成形する際に、層
(B)の連通孔より外気が層(A)に内に導入され、層
(A)内の発泡倍率が高められることになる。この結
果、ドリップ吸収共押出しシート原反より、厚い発泡層
を有する熱成形容器が得られる。また、本発明の熱成形
容器の製造方法によれば、熱成形により、連通孔がより
貫通され、その結果、層(A)の発泡倍率が高められ、
保水能力が向上する。
【0089】さらに、基材層(A)として、消臭剤及び
/又は抗菌剤を含むシート或いは熱成形容器の場合に
は、生菌の増殖を抑制することができ、ドリップによる
汚染の低減されたものとなる。しかもこの基材層(A)
は、貫通孔を介して外部と連通することによりドリップ
を取込んで、内部の吸水性樹脂に速やかに吸着するもの
であり、シート或いは熱成形容器の表面に設けられては
いないため、食品の安全衛生上からも問題がない。
【0090】以上のように、本発明のドリップ吸収共押
出シート或いは熱成形容器は、ドリップ吸収速度とドリ
ップ吸収能力が高いものとなっている。従って、ドリッ
プが有効に吸収されていて、食品の品質保持性が高く、
また魚肉や生肉類の包装において表面外観の向上したも
のとなっている。さらに、本発明のドリップ吸収共押出
シートや熱成形容器は、安全衛生上に優れており、しか
も簡単な方法により製造することができる。従って、本
発明は食品等の包装分野で極めて有効に利用することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B29K 23:00 B29K 23:00 105:04 105:04 105:06 105:06 B29L 9:00 B29L 9:00 22:00 22:00

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂90〜10重量%
    と無機フィラー10重量%〜90重量%との混合物に更
    に発泡剤を配合した樹脂組成物からなる基材層(A)の
    片面又は両面に、ポリオレフィン系樹脂90〜10重量
    %と無機フィラー10重量%〜90重量%との混合物に
    界面活性剤を配合した組成物からなる通水性かつ通気性
    層(B)が少なくとも一層設けられており、更にポリオ
    レフィン系樹脂からなる非通水性かつ非通気性層(C)
    が、前記層(B)のうちの一層が一方の表面層を形成す
    るような位置に設けられており、かつ外部と基材層
    (A)とをつなぐ貫通孔が形成されていることを特徴と
    するドリップ吸収共押出シート。
  2. 【請求項2】 基材層(A)が、吸水性樹脂を含むもの
    である請求項1記載のドリップ吸収共押出シート。
  3. 【請求項3】 基材層(A)が、消臭剤及び/又は抗菌
    剤を含むものである請求項1記載のドリップ吸収共押出
    シート。
  4. 【請求項4】 ポリオレフィン系樹脂90〜10重量%
    と無機フィラー10重量%〜90重量%との混合物に更
    に発泡剤を配合した樹脂組成物と、ポリオレフィン系樹
    脂90〜10重量%と無機フィラー10重量%〜90重
    量%との混合物に界面活性剤を配合した組成物と、ポリ
    オレフィン系樹脂とを、前記樹脂組成物からなる基材層
    (A)の片面又は両面に、前記組成物からなる通水性か
    つ通気性層(B)が少なくとも一層設けられ、更に前記
    ポリオレフィン系樹脂からなる非通水性かつ非通気性層
    (C)が、前記層(B)のうちの一層が一方の表面層を
    形成するような位置に設けられるように発泡共押出し
    て、製膜することを特徴とする、請求項1記載のドリッ
    プ吸収共押出シートの製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン系樹脂90〜10重量%
    と無機フィラー10重量%〜90重量%との混合物に更
    に発泡剤を配合した樹脂組成物が、さらに吸水性樹脂を
    含むものである請求項2記載のドリップ吸収共押出シー
    トの製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィン系樹脂90〜10重量%
    と無機フィラー10重量%〜90重量%との混合物に更
    に発泡剤を配合した樹脂組成物が、さらに消臭剤及び/
    又は抗菌剤を含むものである請求項3記載のドリップ吸
    収共押出シートの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のドリップ吸収共押出シー
    熱成形して熱成形容器を得るにあたり、熱成形の際
    に、一方の表面層を構成する通水性かつ通気性層(B)
    の溶融張力が、他方の表面層を構成するポリオレフィン
    系樹脂からなる非通水性かつ非通気性層(C)の溶融張
    力よりも高くなるようにし、かつ前記層(C)側を雌金
    型側として熱成形することを特徴とする熱成形容器の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 請求項2記載のドリップ吸収共押出シー
    熱成形して熱成形容器を得るにあたり、熱成形の際
    に、一方の表面層を構成する通水性かつ通気性層(B)
    の溶融張力が、他方の表面層を構成するポリオレフィン
    系樹脂からなる非通水性かつ非通気性層(C)の溶融張
    力よりも高くなるようにし、かつ前記層(C)側を雌金
    型側として熱成形することを特徴とする熱成形容器の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 請求項3記載のドリップ吸収共押出シー
    熱成形して熱成形容器を得るにあたり、熱成形の際
    に、一方の表面層を構成する通水性かつ通気性層(B)
    の溶融張力が、他方の表面層を構成するポリオレフィン
    系樹脂からなる非通水性かつ非通気性層(C)の溶融張
    力よりも高くなるようにし、かつ前記層(C)側を雌金
    型側として熱成形することを特徴とする熱成形容器の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 請求項7記載の方法により得られる、
    発泡倍率の向上した熱成形容器。
  11. 【請求項11】 請求項8記載の方法により得られる、
    発泡倍率の向上した熱成形容器。
  12. 【請求項12】 請求項9記載の方法により得られる、
    発泡倍率の向上した熱成形容器。
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