JP3382678B2 - 包装材料 - Google Patents

包装材料

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JP3382678B2
JP3382678B2 JP22273493A JP22273493A JP3382678B2 JP 3382678 B2 JP3382678 B2 JP 3382678B2 JP 22273493 A JP22273493 A JP 22273493A JP 22273493 A JP22273493 A JP 22273493A JP 3382678 B2 JP3382678 B2 JP 3382678B2
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、包装材料に関し、更に
詳しく言うと、使用目的に応じて多種多様な構造(形状
及び構成)に成形加工された、ポリプロピレン樹脂組成
物系の包装材料であって、包装内容物の風味や品質の保
持性に優れ、特に、飲食の際に包装材料と共に熱湯や電
子レンジ等で加熱又は加温処理するタイプのレトルトパ
ウチ食品や他の調理済食品等の包装材料をはじめとする
各種の食品、飲料あるいは医薬品等の包装分野に好適に
利用することができるように改善された包装材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】包装材料の素材としては、従来から各種
の樹脂(樹脂組成物)からなるものが知られているが、
食品等の包装材料にはポリエチレンやポリプロピレンが
最も汎用されている。中でもポリプロピレンは、ポリエ
チレンに比べて一般に強度及び耐熱性に優れ、特に、表
面硬度が高いので傷がつきにくく、ヒンジ効果により繰
り返し曲げに非常に強いなどの優れた性質を有してい
る。また、耐油性や化学的安定性(食品、飲料等の内容
物に対する安定性)、ガスや水、温水、熱水、スチーム
等に対するバリアー性(内容物に対する保護性能)にも
優れ、更にまた、成形加工性も良好で、ポリマーの分子
構造、分子量等の選択や厚み等の成形形態によって適度
な柔軟性を持たせたり、硬質の容器類となすことも容易
であるなど種々の利点を有していることから、食品や飲
料、あるいは、医薬品等の包装材料の素材として好適で
あり、特に、飲食の際に熱水、沸騰水、電子レンジ等で
加熱するタイプの調理済食品(レトルトパウチ食品、電
子レンジ加熱食品等)の包装材料(機密性密封容器、蓋
付き容器等)の基材や素材としてその用途を広げてい
る。
【0003】こうしたポリプロピレン系の包装材料は、
用途に応じて、フィルム、シート、袋、チューブ、ある
いは、ボトル、カップ、トレーなど多種多様な形状及び
構造の容器類等として用いられ、また、場合に応じて、
単層構造のものや例えば他の樹脂やアルミニウム等との
多層構造のものとして利用される。
【0004】しかしながら、このような従来のポリプロ
ピレン系の包装材料においては、その原料として用いる
ポリプロピレン樹脂組成物を溶融押出等の高温成形した
際に臭気等の原因となる分解物が生じやすく、そのため
特に食品や飲料の包装材料として用いた際に内容物の風
味や品質を損なうことがあり、特に、この異味異臭の発
生は、レトルト食品や電子レンジ加熱食品のように内容
物を包装材料と共に加熱する場合にはしばしば深刻な問
題となる。
【0005】そこで、こうしたレトルトや電子レンジ等
による加熱によっても異味異臭の発生がなく、内容食品
の風味や品質の保持性に優れた包装材料の開発が望まれ
ている。
【0006】このような包装材による異味異臭の発生の
問題を解決するために、従来、ポリプロピレン樹脂(樹
脂組成物)にある種の添加剤を添加し、臭気レベルを低
減しようとする試みがなされてきており、例えば、フェ
ノール系、リン系あるいはイオウ系の酸化防止剤を添加
する方法(特開昭57−185330号公報、同57−
185331号公報、同57−185332号公報)、
あるいは、フェノール系化合物若しくはリン系化合物と
ある種の金属化合物を添加する方法(特開昭60−10
4145号公報)などが提案されている。
【0007】しかしながら、このように添加剤だけに頼
る方法では、そのポリプロピレン樹脂組成物を溶融押出
等の高温成形した際に臭気等の原因となる分解物の生成
を十分に抑制することが困難であり、臭気レベルの低減
には限界がある。したがって、こうした従来法では、上
記異味異臭の発生等の問題を十分に満足に解決すること
はできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、使用
目的に応じて多種多様な形態(形状及び構造)に成形加
工された、ポリプロピレン樹脂系の包装材料であって、
従来のポリプロピレン樹脂系包装材料において問題とな
っていたポリプロピレン樹脂組成物に由来する臭気レベ
ルの低減をはかるとともにそのような臭気を予め除去す
る技術を開発し、例えば食品等の包装に用いた際に前記
異味異臭の発生が十分に少なく、包装内容物の風味や品
質の保持性に優れ、したがって、特に、飲食の際に包装
材料と共に熱湯や電子レンジ等で加熱又は加温処理する
タイプのレトルト食品や調理済食品等の包装材料をはじ
めとする各種の食品、飲料あるいは医薬品等の包装分野
に有利に利用することができるように改善された包装材
料を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来のポリ
プロピレン系包装材料において問題となっていた前記異
味異臭の発生が少なく、食品等の包装内容物の風味や品
質の保持性に優れたポリプロピレン系の包装材料を開発
すべく鋭意研究を行った。
【0010】その結果、ポリプロピレンに少なくとも特
定のフェノール系化合物とリン系化合物とを特定の割合
で添加してなる樹脂組成物を少なくとも溶融押出成形し
て、所望の形態の成形品あるいはその中間成形材とした
後に、包装内容物を充填する前のいずれかの時点におい
て予め40〜160℃という特定の温度で熱処理を施す
ことによって、ポリプロピレン樹脂組成物に由来する前
記異味異臭の発生を著しく低減することができ、食品等
の包装内容物の風味や品質の保持性に優れた多種多様な
形態のポリプロピレン系の包装材料を容易に得ることが
できることを見いだし、これらの知見に基づいて本発明
を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、ポリプロピレン10
0重量部に対して、下記一般式
【0012】
【化3】 (式中、R1及びR2は水素原子又は炭素数1〜8のアル
キル基を表わす。)で表わされる化合物Aを0.01〜
1.0重量部かつ下記一般式
【0013】
【化4】 (式中、R3は炭素数1〜8のアルキル基を表わし、R4
及びR5は一方が水素原子、他方が炭素数1〜8のアル
キル基を表わす。)で表わされる化合物Bを0.01〜
1.0重量部含有するポリプロピレン樹脂組成物からな
り、溶融押出成形後に、40℃以上160℃以下の温度
にて熱処理を行ったことを特徴とする包装材料を提供す
るものである。
【0014】化合物A及び化合物Bとししては各種の化
合物が用いられ、特に限定されるものではないが、化合
物Aとしてはペンタエリスリチル−テトラキス[3−
(3,5−ジ−ターシャリ−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]が、化合物Bとしてはトリス
(2,4−ジ−ターシャリ−ブチルフェニル)ホスファ
イトが好適に用いられる。
【0015】ポリプロピレン樹脂としては、アイソタク
チック、シンジオタクチック、アタクチック等のタクシ
ティーや分子構造の違い及び分子量範囲等によって多種
多様なものが知られており、また、プロピレンの単独重
合体の他にもエチレンやブテン等の他のオレフィンをコ
モノマーとして重合された各種の共重合体がある。本発
明においては、これらの各種のポリプロピレン樹脂のう
ちどのようなものを用いてもよく、目的に応じて所望の
1種又は2種以上のものを選定し用いることができる
が、通常は、樹脂組成物の溶融押出時の流動性や熱成形
加工性等と成形物の機械的強度(引張強度、耐応力破壊
性等)とのバランス等の点から、JISK6758に従
って測定したメルトフローインデックス(MFI)が
0.40〜55g/10分の範囲にあるものが好適に使
用される。
【0016】前記添加剤として用いる化合物Aとして好
適に用いられるペンタエリスリチル−テトラキス[3−
(3,5−ジ−ターシャリ−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]は、下記の化学式:
【0017】
【化5】 で表される化合物であり、これはフェノール系の酸化防
止剤の1種として知られており、市販品としては、例え
ば、商品名IRGANOX 1010(日本チバガイギ
ー社製)などがある。
【0018】一方、前記添加剤として用いる化合物Bと
して好適に用いられるトリス(2,4−ジ−ターシャリ
−ブチルフェニル)ホスファイトは、下記の化学式:
【0019】
【化6】 で表される化合物であり、これはリン系の酸化防止剤の
1種として知られており、市販品としては、例えば、商
品名IRGAFOS 168(日本チバガイギー社製)
などがある。
【0020】原料として用いる前記樹脂組成物は、前記
ポリプロピレン樹脂に、少なくとも化合物Aと化合物B
を添加することによって得ることができるが、その際、
化合物Aと化合物Bとを共にポリプロピレン100重量
部あたり0.01〜1.0重量部含有させることが重要
である。ここで、もし、ポリプロピレン100重量部あ
たりの化合物Aあるいは化合物Bの含有量が0.01重
量部未満であると、たとえ化合物Aと化合物Bのうちの
いずれか一方のみが上記の所定の含有量(0.01〜
1.0重量部)の範囲にあっても、化合物Aと化合物B
との組み合わせ効果による十分な酸化防止効果や熱分解
抑制効果が発揮されず、特に溶融押出成形時にポリプロ
ピレン樹脂組成物若しくはポリプロピレン樹脂自体の酸
化分解や熱分解の抑制が不十分となり、その結果、成形
後の成形物に異味異臭の原因となる分解物が多量に含ま
れるため、その後、前記所定の熱処理を行っても臭気
(異味異臭)のレベルを十分に低減することができなく
なり、本発明の目的を十分に達成することができない。
もちろん、化合物Aと化合物Bの含有量が共に上記の基
準で、0.01重量部未満の場合にも、同様に本発明の
目的を達成することができない。また、化合物Aと化合
物Bのいずれか一方の含有量を、上記の基準で1.0重
量部より多くしたり、あるいは、化合物Aと化合物Bの
合計含有量を上記の基準で2.0重量部より多くして
も、それに見合った酸化防止効果の向上は得られない
し、かえって製造コストの点で不利になり、また、場合
によっては、成形加工時に発煙を生じたり、資材表面に
ブリードを生じるなどの悪影響が現れることがある。
【0021】いずれにしても、化合物Aの含有量と化合
物Bの含有量を共に上記の特定の範囲に選定した上で、
前記特定の熱処理を行うことによってはじめて本発明の
効果(異味異臭の低減効果)を十分に達成することがで
きるのである。なお、化合物Aと化合物Bの好ましい含
有量は、共に、ポリプロピレン100重量部あたり0.
01〜0.3重量部である。
【0022】なお、前記原料樹脂組成物には、必要に応
じて本発明の目的を阻害しない範囲で、上記の所定の成
分(ポリプロピレン樹脂、化合物A及び化合物B)以外
の他の成分(ポリプロピレン樹脂以外の他の樹脂や常用
の添加剤等)を適宜添加含有させてもよい。
【0023】このような他の添加剤としては、例えば、
上記化合物A及び化合物B以外の酸化防止剤(補助的な
酸化防止成分)、中和剤、光安定性剤、紫外線吸収剤、
重金属不活性剤、可塑剤、造核剤、アンチブロッキング
剤、顔料、滑剤、発泡剤、防カビ剤、吸着剤、その他の
無機充填剤などを例示することができる。また、ポリプ
ロピレン樹脂以外の他の樹脂としては、例えば、ポリエ
チレンなどを例示することができる。これらは、必要に
応じて、1種又は2種以上を適量添加含有させることが
できる。
【0024】前記所定の組成の原料樹脂組成物を構成す
るに当たって、少なくとも1種又は2種以上の所定のポ
リプロピレン樹脂と化合物Aと化合物Bを混合するが、
この混合は均一に行うことが望ましい。これらの成分を
均一に混合する手段、方式としては特に制限はなく、通
常の加熱機構を備えた混練機や加熱混練機構を有する押
出(成形)機等によって好適になすことができ、もちろ
ん、溶融押出(成形)機にこれら所定の成分を供給して
溶融混合と押出成形を同時に実施してもよい。なお、こ
の混合(混練)の温度は、通常、樹脂の溶融温度付近か
それ以上の温度で実施するがよく、一般には、例えば、
180〜280℃の温度範囲で行うのが好適である。
【0025】すなわち、前記原料樹脂組成物の調製は、
溶融押出成形工程の前に予め行ってもよいし、溶融押出
機によって行ってよい。通常は、工程の簡略化のために
溶融押出機による方式が好適に採用される。
【0026】本発明においては、前記のようにして調製
した所定の原料樹脂組成物を、少なくとも、溶融押出成
形し、必要に応じて更に任意の成形加工を行って所望の
各種の形態(形状、構成、あるいは構造)の成形体とす
る。
【0027】この成形体は、前記原料樹脂組成物(ポリ
プロピレン樹脂組成物)の1種又は2種以上のみからな
るのポリプロピレン樹脂組成物単独成形体としてもよい
し、該ポリプロピレン樹脂組成物の成形物と他の素材
(例えば、他の樹脂や樹脂組成物やアルミニウム等)か
らなる複合構造成形体としてもよく、例えば、前記ポリ
プロピレン樹脂組成物からなる層を少なくとも1層以上
有する単層のあるいは多層のフィルム、シート、袋、チ
ューブあるいは単層構造のボトル、トレー、カップ等の
成形容器やその蓋材あるいは部材等の任意の形態の成形
構造物とすることができる。なお、多層構造のものにつ
いては、前記ポリプロピレン樹脂組成物からなる層を表
面層(容器となったときの最内層)に有するものが、そ
の後の熱処理による効果をより一層効果的に発揮させる
ことができるなどの点から好ましい。
【0028】この溶融押出成形は、樹脂の溶融機構を備
えた一軸押出機、二軸押出機等の通常の溶融押出機を用
いて行うことができ、また、いうまでもなく、溶融押出
機と適当な金型や加熱ロール等の任意の成形加工機構を
組み合わせて、所望の形態の成形体に成形加工してもよ
い。また、このように溶融押出成形した成形体を必要に
応じて更に任意の成形加工手段によって所望の構造の成
形体に加工してもよい。
【0029】例えば、フィルムやシート状のものは、溶
融押出成形、あるいは溶融押出(成形)後に、例えば、
プレス成形、カレンダー成形、キャスト成形などによっ
て好適に得られ、チューブ状のものやボトル等の成形容
器類は、溶融押出(成形)を伴うかあるいはその後の各
種の成形手段、例えば、ブロー成形、射出成形、キャス
ト成形等によって好適に得ることができる。また、予め
成形したシートを、例えば、真空成形、圧空成形あるい
は真空圧空成形等によって成形加工し、例えばトレー状
のものやカップ状のもの、あるいは蓋材などの任意の形
状の成形容器類とすることもできる。
【0030】袋状のものは、例えば、上記によって成形
したフィルムやチューブを熱シールや接着等によって袋
状のものに成形することによって容易に製造することが
できる。
【0031】このうち多層の成形体は、上記の押出成
形、ブロー成形、射出成形等に際して、前記樹脂組成物
と他の樹脂等を所望の層構成になるように同時に溶融押
出することにことによって容易に得ることができる。更
には、フィルムやシート等については、例えば、ドライ
ラミネーション、エクストルージョンラミネーション、
エクストルージョンコーティング、ホットメルトラミネ
ーション等の種々の積層技術によって製造することもで
きる。なお、これらの積層体は、2種以上の樹脂からな
るものはもとより、例えばアルミニウム層等の樹脂以外
の層を有するものとしてもよい。また、これらの成形体
は、発泡樹脂からなる形態とすることもできる。
【0032】以上のようにして、前記特定の組成を有す
るポリプロピレン樹脂組成物を用いているという以外
は、従来の包装材料製品、その部材あるいは中間製品に
相当する多種多様な形態の成形体を得る。
【0033】本発明において重要な点のひとつは、こう
して少なくとも溶融押出成形によって成形した成形体に
対して、前記所定の温度範囲で熱処理を施し、目的とす
る所望の包装材料とする点である。
【0034】なお、この熱処理は、包装する内容物を充
填する前に行う。なぜなら、内容物を充填してこの熱処
理を行うと、該熱処理の際にその包装材料から発生した
臭気(異味異臭)が内容物に移行するなどして、本発明
の効果が発揮できなくなるからである。すなわち、この
熱処理によって、包装材料となる成形体に含まれている
臭気成分(特にポリプロピレン樹脂組成物の溶融押出成
形時やその後の熱成形工程に生じた分解物に由来する異
味異臭の原因となる成分)を予め十分に除去することに
よって本発明の効果が十分に発揮されるのである。
【0035】前記熱処理は、通常の空気中での加熱処理
はもとより任意の方式で行うことができるが、中でも通
常は、送風加熱処理若しくは熱風処理、減圧加熱処理、
沸騰水、熱水若しくは温水処理、水蒸気処理などによっ
て好適に行うことができ、こうした熱処理方式によって
効果の促進、処理時間の短縮化が可能となる。なお、こ
の熱処理は、例えば、容器成形時の加熱処理やエージン
グ処理、ラミネートあるいは成形体への印刷時の溶剤等
の乾燥処理やエージング処理などの溶融押出成形後の
的な成形加工における加熱処理若しくは工程と同時に
あるいは連続して行ってよい。いずれにしても、この所
定の熱処理は、40℃以上160℃以下の温度範囲で行
うことが重要である。なお、この熱処理は少なくとも所
定のポリプロピレン樹脂組成物に対して行うことが肝要
である。したがって、多層構造のものなど層状のものに
ついては、該ポリプロピレン樹脂組成物層の温度が上記
の温度範囲になるようにして行えばよい。
【0036】この熱処理の温度があまり低いと、その効
果(異味異臭の低減効果等)が十分に発揮されなかった
り、あるいは効果が現れたとしても極めて長時間の処理
が必要となり実用的でない。一般に、この熱処理の際の
処理温度が高いほど、効果が明確に現れ処理時間の短縮
化が可能となるが、あまり高い温度、特に樹脂の融点以
上の温度で長時間さらすと熱分解や酸化分解により生じ
た生成物によって異味異臭が逆に強くなることがある
し、また、容器等の形状が定まったものでは変形が生じ
ることがある。しかしながら、樹脂の融点以上の温度で
あっても短時間の処理であれば、異味異臭の改善(低
減)を行うことができる。こうした点を総合的に考慮し
た結果、この熱処理は、上記のように40〜160℃の
温度で行うのが適当であると判定された。
【0037】なお、この熱処理におけるより好適な温度
は、対象物の形状、厚み、構成、処理方式(熱処理雰囲
気等)などによって異なるので、これらを含めた他の条
件に応じて適宜定めればよい。処理時間も同様である
が、通常40℃では24時間以上、80℃では1時間以
上、120℃では1分以上、160℃では10秒以上と
することが好ましい。
【0038】以上のようにして、所定の熱処理を行うこ
とによって包装材料となる成形体に含まれている異味異
臭の原因となる成分を十分に除去することができ、所望
の目的として包装材料を得ることができる。こうして得
られた多種多様な形態の包装材は、そのまま、あるい
は、更に所望の構造の包装材料製品に加工若しくは構成
され、前記各種の内容物の包装分野に好適に利用するこ
とができる。
【0039】このように、本発明の包装材料は、内容物
を長期間包装保存しても、異味異臭の発生を十分に抑制
することができ、特に、飲食時に加熱するタイプの食品
類(レトルト食品や電子レンジ食品等)の包装に用いて
もその加熱時に異味異臭の発生が著しく少なく、内容物
の風味や品質の保持性に優れた高性能の包装材料であ
り、特に、食品類や医薬品(血液、輸液等の含む)の包
装に有利に利用することができる。
【0040】
【実施例】以下に、本発明の実施例及びその比較例を示
し、これらによって本発明を更に具体的に説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】実施例1及び比較例1〜16 ポリプロピレンホモパウダー(メルトフローインデック
ス0.5g/10分)100重量部に次の添加剤 商品名 IRGANOX 1010 日本チバガイギ
ー社製(化合物A) BHT 2,6−ジ−ターシャリ−ブチル−4−メチ
ルフェノール 商品名 SANDSTAB P−EPQ サンド社製 商品名 IRGANOX 1076 日本チバガイギ
ー社製 商品名 MARK 329K アデカ・アーガス化学
社製 商品名 MARK P アデカ・アーガス化学社製 商品名 IRGAFOS 168 日本チバガイギー
社製(化合物B) 商品名 MARK AO−80 アデカ・アーガス化
学社製 商品名 MARK HP−10 アデカ・アーガス化
学社製 を単独系では0.3重量部、2種混合系では0.15重
量部ずつ添加し、260℃で造粒後、更にTダイ押出機
によって0.5mm厚のシートとした。これを細断した
もの15gに150mlの純水を加え、ガラス製バイア
ルビンで121℃30分間処理し、室温まで冷却後、ガ
ラス濾過機で濾過した溶液の異味異臭を評価した。異味
異臭の評価は標準品との比較により、その異味異臭強度
について以下のように5段階で評価し、表1のシートの
欄の結果を得た。 評価点:評価基準 5:強い 4:やや強い 3:標準と同じ 2:やや弱い 1:弱い
【0042】更に、このシートを350℃で30秒かけ
て真空圧空成形して口径78mm、高さ34mmの容器
を成形した。この容器を細切後、同様に官能検査を行な
い、表1の容器の欄の結果を得た。
【0043】
【表1】 以上の結果からIRGANOX 1010+IRGAF
OS 168系(実施例1)はシート状態でも他に比較
して異味異臭が少ないが、熱処理工程(この場合容器へ
の熱成形工程)が入ることにより、されに異味異臭が減
少していることがわかる。
【0044】実施例2及び比較例17 ポリプロピレンホモパウダー(メルトフローインデック
ス0.5g/10分)100重量部に対してIRGAN
OX 1010 0.15重量部、IRGAFOS 1
68を0.15重量部、ステアリン酸カルシウム0.1
0重量部を加え、ペレタイズした。この原料を用いて
0.8mm厚のシートを作製した。以下のような条件で
乾燥を行い、その異味異臭強度について官能評価した。
【0045】評価方法は処理したシートを細切後、その
15gに無味無臭の純水を225ml加え、ガラス製密
閉バイアルビンで121℃で30分処理した。室温まで
冷却後ガラス製濾過機で濾過後、この処理水(濾液)を
2,4,8,16倍・・・と希釈していき、各々の希釈
倍で、3点比較法により、他の2つの標準の水と区別で
きる最大希釈倍率で評価した。最大希釈倍率はパネリス
ト8名で行い、確率1/3の二項検定により危険率5%
で決定した。すなわちこの評価では、希釈倍率が小さい
ほど異味異臭が弱いことを示す。表2にその結果を示
す。
【0046】比較例18 実施例2のIRGANOX 168をMARK Pに変
更した以外は全て実施例2と同様にして異味異臭強度に
ついて官能評価した。表2にその結果を示す。
【0047】
【表2】 なお、実施例及び比較例において用いた添加剤の構造と
物性を次に示す。
【0048】
【化7】
【0049】
【化8】
【0050】
【発明の効果】本発明の包装材料は、ポリプロピレン樹
脂に特定の添加剤を組み合わせてこれを特定の割合で添
加してなる樹脂組成物を原料として用い、これを少なく
とも溶融押出成形して得た特定の組成の樹脂組成物から
なる成形体に対して、特定の温度範囲で熱処理を行って
いるので、このポリプロピレン系包装材料では、従来の
ポリプロピレン系包装材料において問題となっていた異
味異臭の発生が著しく低減される。
【0051】したがって、本発明によると、内容物を長
期間包装保存しても、異味異臭の発生を十分に抑制する
ことができ、特に、飲食時に加熱するタイプの食品類
(レトルト食品や電子レンジ食品等)の包装に用いても
その加熱時に異味異臭の発生が著しく少なく、内容物の
風味や品質の保持性に優れた高性能の包装材料であっ
て、特に、食品類や医薬品(血液、輸液等の含む)の包
装に有利に利用することができる包装材料を提供するこ
とができる。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン100重量部に対して、
    下記一般式 【化1】 (式中、R1及びR2は水素原子又は炭素数1〜8のアル
    キル基を表わす。)で表わされる化合物Aを0.01〜
    1.0重量部かつ下記一般式 【化2】 (式中、R3は炭素数1〜8のアルキル基を表わし、R4
    及びR5は一方が水素原子、他方が炭素数1〜8のアル
    キル基を表わす。)で表わされる化合物Bを0.01〜
    1.0重量部含有するポリプロピレン樹脂組成物からな
    り、溶融押出成形後に、40℃以上160℃以下の温度
    にて熱処理を行ったことを特徴とする包装材料。
  2. 【請求項2】 化合物Aがペンタエリスリチル−テトラ
    キス[3−(3,5−ジ−ターシャリ−ブチル−4−ヒ
    ドロキシフェニルプロピオネート]であり、化合物Bが
    トリス(2,4−ジ−ターシャリ−ブチルフェニル)ホ
    スファイトである請求項1記載の包装材料。
  3. 【請求項3】 包装材料が単層又は多層構造物あるいは
    単層部分と多層部分を同時に有する成形構造物であり、
    成形構造物の表面の全面又は所望の部分面が、溶融押出
    成形後に熱処理を施されたポリプロピレン樹脂組成物か
    らなっている請求項1又は2記載の包装材料。
  4. 【請求項4】 前記包装材料がフィルム若しくはシート
    である請求項1〜3いずれか記載の包装材料。
  5. 【請求項5】 前記包装材料が袋若しくはチューブであ
    る請求項1〜4いずれか記載の包装材料。
  6. 【請求項6】 前記包装材料が成形容器である請求項1
    〜4いずれか記載の包装材料。
  7. 【請求項7】 前記成形容器が、ボトル、カップ又はト
    レーである請求項6記載の包装材料。
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