JP4008238B2 - 乳製品用積層容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳飲料あるいは生乳の二次加工製品等の乳製品用積層容器に関し、さらに詳しくは、内容物に対して臭気、味覚の影響を与えず、剛性、耐熱性、耐衝撃性等に優れた乳製品用積層容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から乳等省令の対象に定められている各種乳製品、あるいは、乳飲料等の原材料としてはポリスチレン系樹脂やポリエチレン系樹脂が用いられている。
ポリスチレン系樹脂容器は高剛性で透明性に優れ、内容物に対して、臭気、味覚への影響が少ない特長を有するが、低温時の耐衝撃性に乏しく落下等によって破損する問題があり、また、高温時の耐熱性も十分ではないため、加熱殺菌処理の際に温度を上げることができない、あるいは、使用時に電子レンジでの加温ができない等の問題があった。
【0003】
一方、ポリエチレン系樹脂容器は、臭気や味覚の影響が少なく包装容器の材料として優れているが、比較的剛性が低いため容器の薄肉化や、サイズ、形状に対して制約があり、また、高温時の耐熱性も十分ではなく、加熱殺菌処理温度を高温にすることができない、あるいは、電子レンジでの加温ができないという問題があった。
【0004】
ポリプロピレン系樹脂容器は、剛性、耐衝撃性を有すると共に、耐熱性に優れ、容器の適用範囲が広いが、従来のチーグラー・ナッタ型触媒の存在下で重合して得られたプロピレン系重合体中には、触媒や、製造プロセスの関係から揮発性炭化水素や低分子量成分(オリゴマー成分など)等が付随する問題がある。
この低分子量成分やポリマー中に含まれる残留溶剤による揮発性炭化水素成分は、加工時の発煙、異臭等の発生原因となるばかりか、加工後においても、内容物に対して香り、味覚に対して影響を与え易い問題があった。
【0005】
この問題を解決するために、重合後に低分子量成分を洗浄除去する方法や(特公昭53−4107、特公昭58−41283など)、塊状重合後の液相部分を分離除去する方法(特開平10−17612、特開平10−17613など)等が提案されているが、いずれの方法を用いても、得られる共重合体中のオリゴマー成分や揮発性成分の含有量は充分といえるレベルではなく、品質の優れたプロピレン系重合体の出現が望まれていた。
【0006】
プロピレン系重合体の揮発性炭化水素やオリゴマー成分の削減は、重合段階においてのみでなく、重合後のパウダ−やペレット段階で処理する方法も有効であり、その効果は認められるが、本発明の目的とする製品を得るためには、高レベルの含量低減を達成する必要があり、除去処理にかかるコスト高や、処理による品質への影響を甘受する必要があった。
【0007】
したがって、従来においては、プロピレン系重合体を乳製品容器に用いることは得策でないというのが一般的常識であった。この対応策として、ポリプロピレン層の内面に、臭気や味覚に対する影響の少ないポリエチレン樹脂層を積層してプロピレン系重合体と内容物との直接接触を回避することが考えられているが、この場合は内層のポリエチレン樹脂層と基層のポリプロピレン系樹脂層とを接合する接着層が必要となり、層数や原材料数が増加し、ひいては容器の製造コストアップや端材のリサイクルも不利となるのが現状であった。
【0008】
とりわけ容器の内容物に対する臭気、味覚の影響は、近年、食品に係わる重大な消費者クレ−ムの発生要因となっており、特に、電子レンジ等で加熱して食用とされる加熱商品の増加を受けて消費者自身の感度が高まり、プロピレン系重合体の製造メ−カ−に対する臭気、味覚に関する要求レベルはますます厳しくなってきている。
現在のところ、剛性、耐衝撃性、耐熱性等のプロピレン系重合体本来の容器性能を損なわずに容器の臭気や味覚に対する上記要請を満たす容器は得られていないのが実情である
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決し、内容物に対して臭気、味覚の影響を与えず、剛性、耐熱性、耐衝撃性が共に優れたプロピレン系重合体からなる乳製品用積層容器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、メタロセン系触媒によって重合された特定のプロピレン系重合体を内層に用いることにより、内容物に対して臭気、味覚の影響を与えず、剛性、耐熱性、耐衝撃性に優れたプロピレン系積層容器が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は、充填物と接触する内層と、その外方に積層される基層とを有し、内層がメタロセン型触媒によって重合されたプロピレン系重合体によって形成されてなることを特徴とする乳製品用積層容器を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、内層をプロピレン単独重合体又はプロピレン含有量が90重量%以上のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体からなるプロピレン系重合体によって形成してなる上記の乳製品用積層容器、内層をMFRが0.5〜50g/10分のプロピレン系重合体によって形成してなる上記の乳製品用積層容器、内層を炭素数6〜10の揮発性炭化水素の含有量が50ppm以下、炭素数12〜30のオリゴマ−成分の含有量(Wo)が60ppm以下であるプロピレン系重合体によって形成してなる上記の乳製品用積層容器、及び、内層を炭素数12〜30のオリゴマー成分の含有量(Wo)とMFR(単位:g/10分)とが下記式(1)を満たすプロピレン系重合体によって形成してなる上記の乳製品用積層容器を提供するものである。
Wo≦6×exp(0.023×MFR) 式(1)
【0013】
さらに、本発明は、内層を融点(Tm)が110〜155℃、23℃におけるキシレン可溶分量(CXS、単位:重量%)と融点(Tm、単位:℃)とが下記式(2)又は(3)を満たすプロピレン系重合体によって形成してなる上記の乳製品用積層容器を提供するものである。
125≦Tm≦155の場合
CXS≦−0.05×Tm+7.76 式(2)
110≦Tm<125の場合
【0014】
さらに、また、本発明は、内層が下記添加剤(a)〜(c)の少なくとも一種が配合されたプロピレン系重合体によって形成してなる上記の乳製品用積層容器を提供するものである。
(a)フェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダードアミン系安定剤、
(b)中和剤、
(c)リン系酸化防止剤。
【0015】
また、本発明は、基層が二層以上の多層構造からなる上記の乳製品用積層容器、基層を構成する少なくとも一層がチーグラー・ナッタ型触媒を用いて重合された結晶性プロピレン系樹脂によって形成されてなる上記の乳製品用積層容器、基層を構成する少なくとも一層を樹脂成分100重量部に対して充填剤を5〜400重量部含有するプロピレン系複合樹脂からなる上記の乳製品用積層容器、及び、基層を構成する少なくとも一層が発泡されてなる上記の乳製品用積層容器を提供するものである。
【0016】
さらに、本発明は、乳製品用積層容器が接着樹脂層/ガスバリア−樹脂層/接着脂層からなる層構造が介装されてなる上記の乳製品用積層容器、積層容器がシートの二次加工による成形、ブロー成形、射出延伸ブロ−成形、又は、射出成形によって成形されてなる上記の乳製品用積層容器、及び、乳製品が乳飲料又は生乳の二次加工製品である上記の乳製品用積層容器を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の乳製品用積層容器は、充填物と接触する内層と、その外方に位置する基層とを有し、内層が特定のプロピレン系重合体により形成される。積層容器の各層の形態、及び、それぞれの層の構成成分を以下に詳述する。
【0018】
[1]内層
本発明の乳製品用積層容器の内層は、プロピレン系重合体によって形成される。本発明におけるプロピレン系重合体は、メタロセン系触媒によって重合されたプロピレンの単独重合体、及び/又は、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体であって、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体及びこれらの混合物が挙げられる。
これらの中では、内容物への臭気、味等の影響の観点から、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、及びこれらの混合物が好ましい。
【0019】
プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体におけるプロピレン以外のα−オレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等が挙げられる。
プロピレンの含有量は、内容物への臭気、味等の影響の点から、90重量%以上、好ましくは95重量%以上が望ましい。なお、本発明の目的を逸脱しない範囲において、ポリエチレン等のポリオレフィンが含まれてもよい。
【0020】
<プロピレン系重合体の物性>
内層のプロピレン系重合体は、JIS−K−6758ポリプロピレン試験方法(条件:230℃、荷重2.16Kgf)によるMFRが0.5〜50g/10分、好ましくは2〜30g/10分である。プロピレン系重合体のMFRが0.5g/10分未満では多層シ−ト成形時の押出性が低下し、できあがった積層シ−トには表面荒れが発生し易く、また、共押出し性が低下するため、層構造の均一性や構成比精度が得難くなり、一方、MFRが50g/10分を越えると同じく共押出し性が悪くなって層構造の均一性や構成比精度が得難くなる。
【0021】
また、内層のプロピレン系重合体は、炭素数6〜10の揮発性炭化水素含有量は50ppm(重量基準)以下、好ましくは30ppm以下、より好ましくは10ppm以下のものが望ましい。炭素数6〜10の揮発性炭化水素含有量が50ppmを超えると、該プロピレン系積層容器中で、内容物である各種の乳製品、乳飲料を充填や加熱殺菌する際、あるいは保存時に臭気がつき易くなり好ましくない。
なお、本発明における揮発性炭化水素は、主に、重合時に使用する溶剤、モノマー、原料由来の不純物等であるが、各種添加剤を含有する樹脂組成物やその成形品の場合は、これらに加えて、当該添加剤や混入機械油などの分解物に由来する揮発性炭化水素等を含んだ概念である。
【0022】
炭素数6〜10の揮発性炭化水素含有量の測定は、プロピレン系重合体を裁断して小片とし、その一定量を210℃に加熱して発生する揮発成分をガスクロマトグラフによって分析し、n−ヘプタン等を標準物質とした検量線を用いて換算することによって炭素数6〜10の炭化水素含有量の測定を行うことができる。
【0023】
また、内層のプロピレン系重合体は、炭素数12〜30のオリゴマ−成分含有量(Wo)は60ppm(重量基準)以下、好ましくは30ppm以下、より好ましくは10ppm以下のものが望ましい。炭素数12〜30のオリゴマー含有量が60ppmを超えると、成形時に発煙したり、充填や加熱殺菌する際、あるいは保存時に内容物の味覚が損なわれる場合があり好ましくない。
炭素数12〜30のオリゴマー成分は主に、重合時に生成する低分子量オリゴマーであるが、各種添加剤を含有するプロピレン系重合体組成物やその成形品の場合は、重合時に生成する低分子量オリゴマーの他に、添加剤及びその分解物、成形加工時に混入する機械油、潤滑油等も含む概念である。具体的には、抽出・ガスクログラフ分析による測定で確認できる炭素数12〜30のオリゴマーをいう。
【0024】
炭素数12〜30のオリゴマー成分含有量(Wo)の測定は、プロピレン系重合体を裁断して小片とした後、凍結粉砕して粉体とし、その一定量をn−ヘキサンを用いて加熱還流抽出を行い、得られた抽出液を冷却濾過して析出した固形分をロータリーエバポレーター等の乾燥機を用いて乾固した後、n−ヘキサンを加えて超音波洗浄機を用いて抽出操作を行い、得られた抽出液をガスクロマトグラフ/質量分析法によって炭素数12〜30のオリゴマー含有量を測定することによって行うことができる。
【0025】
さらに、プロピレン系重合体は、炭素数12〜30のオリゴマー成分含有量(Wo)とMFRが下記式(1)を満たすことが、特に好ましい。
Wo≦6×exp(0.023×MFR) 式(1)
一般に、オリゴマーなどの低分子量成分含有量は、ポリマーの平均分子量によって大きな影響を受けることが知られている。平均分子量がある程度よりも高ければ、その影響は少ないが、平均分子量が低い場合、低分子量成分含有量が指数関数的に増加する傾向にある。
上記式(1)は、ポリマーの平均分子量を表す指標としてMFR(メルトインデックスともいう)を用い、実験測定値から得られる経験に基づいて設定を行ったものである。
【0026】
また、プロピレン系重合体は、融点(Tm)が110〜155℃、好ましくは120〜155℃の範囲にあるものである。
【0027】
また、23℃キシレン可溶分量(CXS)と融点(Tm)の関係が、下記式(2)又は(3)を満たすことが好ましい。従来、CXSとは、低結晶性成分を生み出す触媒により生成したポリマーの量を示す指標と捉えられているが、メタロセン型触媒を用いた、融点の低い、特に120℃以下の融点を有するプロピレン系重合体の場合には、均質な活性点によるポリマーであっても統計的な分布により、相当量のCXS成分が生じる。本発明に用いるプロピレン系重合体は、従来のプロピレン系重合体と比較してCXSが少ないものであり、本発明の下記一般式は、実験測定値から得られる経験に基づき設定を行なったものである。
125℃≦Tm≦155℃の場合
CXS(重量%)≦−0.05Tm+7.76 式(2)
110℃≦Tm<125℃の場合
【0028】
<プロピレン系重合体の製造>
本発明に用いるプロピレン系重合体を得るためには、メタロセン型触媒が用いられる。メタロセン型触媒はメタロセン錯体を用いた触媒が用いられ、自体としては公知の触媒が使用でき、例えば、以下に述べる成分[A]、[B]及び必要に応じて使用する成分[C]を組み合わせて得られるものを挙げることができる。
成分[A]メタロセン錯体:
共役五員環配位子を少なくとも一個有する周期律表第4〜6族の遷移金属化合物
成分[B]助触媒:
化合物[B]とメタロセン錯体[A]を反応させることにより、該メタロセン錯体[A]を活性化することのできる化合物
成分[C]有機アルミニウム化合物。
【0029】
メタロセン型触媒は、メタロセン錯体を担体に担持して又は不担持のままで使用できるが、担持型のメタロセン型触媒を使用することが好ましい。メタロセン錯体を担持する担体の具体例としては、粉末状の助触媒、あるいは、シリカ、アルミナ等の無機酸化物もしくはポリプロピレン系重合体等の有機物を挙げることができる。
担持型のメタロセン型触媒としては、成分[A]を粉末状体に担持したもの、あるいは必要に応じてさらに成分[C]有機アルミニウム化合物と接触させたものなどが挙げられる。
【0030】
担持型メタロセン型触媒の特に好ましい例としては、担体が助触媒の機能を兼ねたイオン交換性層状ケイ酸塩であるものが挙げられる。
上記の成分[A]としては、具体的には、次の一般式[1]で表されるメタロセン錯体を使用することができる。
Q(C5H4-aR1 a)(C5H4-bR2 b)MXY [1]
【0031】
上記の一般式[1]において、Qは二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を表す。Mは周期律表第4〜6族遷移金属を表し、中でもチタン、ジルコニウム、ハフニウムが好ましい。
X及びYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基又は炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基を示す。
【0032】
R1及びR2はそれぞれ独立して、炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン、炭素数1〜30のハロゲン含有炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基又はホウ素含有炭化水素基を示す。また、隣接する2個のR1又は2個のR2がそれぞれ結合してC4〜C10環を形成していてもよい。a及びbは、0≦a≦4、0≦b≦4を満足する整数である。
【0033】
2個の共役五員環配位子の間を架橋する結合性基Qは、例としてアルキレン基、アルキリデン基、シリレン基、ゲルミレン基等が挙げられる。これらは水素原子がアルキル基、ハロゲン等で置換されたものであってもよい。
【0034】
メタロセン錯体として、具体的には次の化合物を挙げることができる。
(1)メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(2)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(3)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(4)エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(5)メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
(6)エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド
(7)エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド
(8)エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(9)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(10)ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
(11)ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド
(12)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(13)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(14)メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリド
(15)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド
(16)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(17)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(18)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(19)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(20)ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(21)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド
(22)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド
(23)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(24)ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
(25)ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
【0035】
また、チタニウム化合物、ハフニウム化合物などの他の第4、5、6族遷移金属化合物についても上記と同様の化合物が挙げられる。本発明の触媒成分及び触媒については、これらの化合物を併用してもよい。
【0036】
成分[B]として好ましいイオン交換性層状ケイ酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。イオン交換性層状ケイ酸塩として粘土化合物を使用することができ、粘土化合物の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
(1)1:1型層が主要な構成層であるディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族
(2)2:1型層が主要な構成層であるモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群。
【0037】
珪酸塩は、上記(1)、(2)の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型層構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトであることが特に好ましい。
【0038】
珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理により状態を調整することが可能であり、また好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。
具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理等が挙げられる。酸処理は表面の不純物を取り除く他、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では珪酸塩の結晶構造が破壊され、構造の変化をもたらす。また塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離を変えることができる。イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと置換することにより、層間が拡大した状態の層状物質を得ることもできる。
【0039】
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、リン酸、酢酸から選択される。処理に用いる塩類及び酸は、2種以上であってもよい。塩類処理と酸処理を組み合わせる場合においては、塩類処理を行った後、酸処理を行う方法、酸処理を行った後塩類処理を行う方法、及び塩類処理と酸処理を同時に行う方法がある。
【0040】
塩類及び酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類及び酸の濃度は、0.1〜80重量%、処理温度は室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成している物質の溶出を制御することにより、本発明に適する珪酸塩を製造することが可能である。
また、塩類及び酸は、一般的には水溶液で用いられる。処理条件としては、酸処理あるいは酸と塩の共存下処理を少なくとも一度行うことが好ましく、酸濃度が1〜12モル/リットル、好ましくは2〜8モル/リットルで行う。この様に、比較的に酸濃度が高い条件下で、処理温度、処理時間の制御により、所望の珪酸塩を得ることが可能であり、好ましい方法である。硫酸を使用した場合で例えると、好ましくは、18〜58重量%の濃度となる。
【0041】
本発明では、好ましくは上記酸処理又は酸と塩の共存処理を行うが、処理前、処理間、処理後に粉砕や造粒等で形状制御を行ってもよい。また、アルカリ処理や有機物処理などの化学処理を併用してもよい。
これら珪酸塩には、通常吸着水及び層間水が含まれる。本発明においては、これらの吸着水及び層間水を除去して使用するのが好ましい。
ここで吸着水とは、珪酸塩化合物粒子の表面あるいは結晶破面に吸着された水で、層間水は結晶の層間に存在する水である。本発明では、加熱処理によりこれらの吸着水及び/又は層間水を除去して使用される。
【0042】
珪酸塩の吸着水及び層間水の加熱脱水処理方法は特に制限されないが、加熱脱水、気体流通下の加熱脱水、減圧下の加熱脱水及び有機溶媒との共沸脱水等の方法が用いられる。加熱の際の温度は、珪酸塩の種類にもより一概に規定できないが、層間水が残存しないように、100℃以上、好ましくは150℃以上であるが、構造破壊を生じるような高温条件(加熱時間にもよるが例えば800℃以上)は好ましくない。
【0043】
また、気体流通下の加熱脱水の場合、通常、不活性ガスを用いるが、空気による熱処理も可能である。加熱時間は珪酸塩化合物粒子の熱処理温度との関係で選択されるが、一般には、通常1分以上、好ましくは1時間以上である。その際、除去した後の珪酸塩の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下であることが好ましい。
【0044】
以上のように、本発明において、珪酸塩として特に好ましいものは、塩類処理及び/又は酸処理を行って得られた水分含有率が1重量%以下のイオン交換性層状珪酸塩である。
【0045】
成分[C]は有機アルミニウム化合物である。有機アルミニウム化合物は一般式(AlR4 pX3-p)qで示される化合物が適当である。
本発明では、この式で表される化合物を単独で、複数種混合してあるいは併用して使用することができることはいうまでもない。また、この使用は触媒調製時だけでなく、予備重合あるいは重合時にも可能である。この式中、R4は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Xは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。pは1〜3までの、qは1〜2までの整数である。R4としてはアルキル基が好ましく、またXは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が好ましい。これらのうち、好ましくは、p=3、q=1のトリアルキルアルミニウム及びp=2、q=1のジアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、R4が炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
【0046】
本発明に使用されるメタロセン型触媒は、本重合が行われる前に予備重合処理することが望ましい。予備重合に供されるモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン、1,3−ブタジエン等のジエン化合物、スチレン、ジビニルベンゼン等のビニル化合物を用いることができる。この予備重合は、不活性溶媒中で穏和な条件で行うことが好ましく、固体触媒1gあたり、0.01〜1000g、好ましくは0.1〜100gの重合体が生成するように行うことが望ましい。
【0047】
重合反応は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の溶媒存在下、あるいは不存在下に行われる。温度は−50〜250℃の範囲であり、圧力は特に制限されない。
【0048】
また、重合系内に分子量調節剤として水素を存在させてもよい。更に、重合温度、分子量調節剤の濃度等を変えて多段階で重合させてもよい。重合終了後、得られたプロピレン系重合体を、不活性溶剤や液状α−オレフィンなどを用いて、洗浄を行ってもよい。
【0049】
本発明の乳製品用積層容器の内層に用いられるプロピレン系重合体は、炭素数12〜30のオリゴマー成分の含有量が少ないことが特徴である。更には揮発性炭化水素の含有量が少ないことも特徴である。
【0050】
かかるプロピレン系重合体としては、次の方法で得られたものが好ましい。
(1)ポリプロピレン系重合体に後述の添加剤(a)〜(c)の少なくとも一種を添加して、後処理でオリゴマー成分含有量を所定量以下にする方法、
(2)ポリプロピレン系重合体中のオリゴマー成分含有量を後処理で所定量以下にしてから後述の添加剤(a)〜(c)の少なくとも一種を添加する方法、
(3)ポリプロピレン系重合体のオリゴマー成分含有量を所定量以下になるように重合してから後述の添加剤(a)〜(c)の少なくとも一種を添加する方法。
【0051】
本発明は、上記(1)〜(3)のいずれの方法を用いてもよい。ポリプロピレン系重合体の炭素数12〜30のオリゴマー成分含有量や炭素数6〜10の揮発性炭化水素含有量を減少させる具体的方法としては、
(a)スラリー重合でオリゴマー分を除去し、かつドライヤーで乾燥を強化して揮発性炭化水素含有量を低減する方法、
(b)重合の滞留時間を短くしてオリゴマー成分の生成を押さえ、かつドライヤーで乾燥を強化して揮発性炭化水素含有量を低減する方法、
(c)プロピレン等の低沸点溶媒による洗浄工程を設けてオリゴマー含有量を低減し、かつドライヤーで乾燥を強化して揮発性炭化水素含有量を低減する方法等が挙げられる。
【0052】
上記(c)の洗浄工程においては、メタロセン型触媒を用いた重合終了後、得られたプロピレン系重合体を、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの不活性飽和炭化水素溶剤や液状α−オレフィンなどを用いて、さらに好ましくは、炭素数3又は4の不活性炭化水素溶剤や液状α−オレフィンを用いて、洗浄を行うことができる。洗浄方法としては、特に制限はなく、撹拌槽での接触処理後上澄みのデカンテーション、向流洗浄、サイクロンによる洗浄液との分離など、公知の方法を用いることができる。
【0053】
また、洗浄前あるいは洗浄と同時に、触媒の失活剤を添加してもよい。失活剤に関しては、特に制限はなく、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類など、あるいはこれらの混合物を用いることができる。
【0054】
また、上記の樹脂パウダーの乾燥を強化する方法としては、乾燥処理温度が60〜100℃、乾燥時間が1〜4時間であり、さらに脱臭処理として、ペレットの温風乾燥の処理方法を組み合わせてもよい。
【0055】
本発明の乳製品用積層容器の内層のプロピレン系重合体には、添加剤を配合することが望ましく、添加剤としては、(a)フェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダードアミン系安定剤、(b)中和剤並びに(c)リン系酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種類以上の添加剤を配合してプロピレン系重合体組成物とすることができる。
【0056】
内層のプロピレン系重合体が、フェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダードアミン系安定剤を含有しない場合には乳製品用容器等の成形加工時にやけが発生し不具合が生じる場合があり、さらにその臭気が内容物に移る場合があり問題となる。
【0057】
また、中和剤を含有しない場合、プロピレンの重合触媒、プロセスによっては、不純物として残る触媒残差の影響を受けることが懸念され、また、中和剤は分散剤としても機能し顔料などの分散性を向上させる。さらに、リン系酸化防止剤は、成形加工時のプロピレン系重合体組成物の劣化を防止し、やけの抑止、臭気発生の抑制に効果があるばかりでなく、変色の抑制にも効果がある。すなわち、乳等省令の対象に定められている各種乳製品、乳飲料は、白色顔料で着色する場合が多いが、経時変化などにより黄色に変色する場合がある。これに対してリン系酸化防止剤は変色を抑制する効果があり、有用である。リン系酸化防止剤の代わりにラクトン系酸化防止剤、ビタミンEを代用することができる。
【0058】
フェノール系酸化防止剤としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等を挙げることができる。
【0059】
フェノール系酸化防止剤の配合量は、プロピレン系重合体100重量部あたり0.01〜0.5重量部、好ましくは0.02〜0.3重量部である。この量未満では製品の耐熱老化性十分ではなく、一方、過剰では、不経済であるばかりか変色の問題、ブリードの問題が発生し好ましくない。
【0060】
また、ヒンダードアミン系安定剤としては、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ〔[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2、4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルー4−4ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]〕、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸のビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)エステル、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバゲート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの重縮合物、ポリ[(N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン)−(4−モルホリノ−1,3,5−トリアジン2,6−ジイル)]、1,1’−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ドデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、トリス(1,2,2,6,6−ペタンメチル−4−ピペリジル)−ドデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペタンメチル−4−ピペリジル)セバゲートなどが挙げられる。また、これらヒンダードアミン系酸化防止剤は単独でも2種類以上を併用してもよい。特に、分子量500以上のものが相溶性および効果の優秀性の点で好ましい。これらの中でも最も適した化合物は、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ〔[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2、4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルー4−4ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]〕、ポリ[(N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン)−(4−モルホリノ−1,3,5−トリアジン2,6−ジイル)]、が好適である。
【0061】
ヒンダードアミン成分の配合量は、プロピレン系重合体100重量部あたり0.01〜0.4重量部、好ましくは0.02〜0.3重量部である。この量未満では製品の耐熱老化性十分ではなく、一方、過剰では、不経済であるばかりか変色の問題、ブリードの問題が発生し好ましくない。
【0062】
中和剤としては、脂肪酸金属塩、ハイドロタルサイト、水酸化金属塩が挙げられ、単独で用いても、2種類以上併用して用いてもよい。中和剤の配合量は、プロピレン系重合体100重量部あたり0.01〜0.2重量部、好ましくは0.02〜0.1重量部である。この量未満では金型、成形機等の腐蝕を防止する効果が十分でなく、一方、過剰では、不経済で有るばかりでなく、ブリード等の問題が発生する。脂肪酸金属塩、ハイドロタルサイト及び水酸化金属塩の具体例は以下の通りである。
【0063】
本発明で用いることのできる脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、べへン酸カルシウム、べへン酸マグネシウム、べへン酸亜鉛、べへン酸アルミニウム、べへン酸リチウム、同様のラウリン酸金属塩、モンタン酸金属塩、メリシン酸金属塩、セロチン酸金属塩、リグノセリン酸金属塩、ヒドロキシステアリン酸金属塩等が挙げられる。これらの中では、性能と入手の簡便さより、とりわけステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、べへン酸マグネシウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸カルシウム等の金属石鹸が好ましい。これらの金属塩は、カルボン酸化合物と金属水酸化物を反応させた後水洗、脱水、乾燥する合成法(復分解法)や、水を使わず直接反応させる方法(直接法)で製造することができる。なお、脂肪酸金属塩の代わりにステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸マグネシウム等を使用することもできる。
【0064】
本発明で用いることのできるハイドロタルサイト類としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ビスマス等の含水塩基性炭酸塩又は結晶水を含まないもので、天然物及び合成品が含まれる。天然物としては、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oの構造のものが挙げられる。また、合成品としては、Mg0.7Al0.3(OH)2(CO3)0.15・0.54H2O、Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O、Mg4.2Al2(OH)12.4CO3、Zn6Al2(OH)16CO3・4H2O、Ca6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg14Bi2(OH)29.6・4.2H2O等が挙げられる。
【0065】
本発明で用いることのできる水酸化金属塩としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、リチウムアルミニウム複合水酸化物塩を挙げることができる。
【0066】
リン系酸化防止剤としては、樹脂組成物の酸化安定剤として一般に用いられるリン系酸化防止剤を、特に制限なく挙げることができる。具体的には、トリス(ミックスド、モノ及びジノニルフェニル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)フォスフェイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルフォスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4−ジ−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−ブチルフェニル)−4−4’−ビフェニレンフォスフォナイトペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,6−ジ−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロフォスファイト、メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシル−フォスファイト等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上を併用して用いてもよい。これらの中では、より好ましい化合物として、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−ブチルフェニル)−4−4’−ビフェニレンフォスフォナイトペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,6−ジ−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロフォスファイト及びメチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシル−フォスファイトの化合物が好適例である。
【0067】
リン系酸化防止剤の配合量は、プロピレン系重合体100重量部あたり0.01〜0.25重量部、好ましくは0.02〜0.2重量部である。この量未満では製品の耐熱老化性十分ではなく、一方、過剰では、不経済であるばかりか変色の問題、ブリードの問題が発生し好ましくない。
【0068】
本発明における内層の層厚み比は、内層と基層、及び、必要に応じて付加される第三層の積層体の全厚に対して、内層が1%以上50%未満で、かつ5μm以上、好ましくは10μm以上の層厚を有することが望ましい。層構成比が1%未満ないしは層厚が5μm未満の場合は内層以外の内部の層が影響を受け内容物に対して臭気、味覚の影響を抑える効果が発現されにくくなる。
【0069】
[2]内層以外の層
本発明の積層容器1においては、図1に示すように、内層2の外側に基層3が積層形成される。また、必要に応じて、図2に示すように、基層3の外側に内層2の成形材料であるプロピレン系重合体をさらに積層したサンドイッチ構造とすることもでき、必要に応じて、内層2と基層3の間に、又は、基層3の外周に他の機能層(図示せず)を積層することもできる。
【0070】
これら基層は、剛性、耐熱性、耐寒性、断熱性、耐衝撃性等の容器に要求される機械的、又は、物理的特性を付与する機能を担い、あるいは、軽量性等を保持するための層であり、公知の熱可塑性樹脂から合目的的に選択される。内層との親和性の点でプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
【0071】
プロピレン系樹脂としてはプロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンとの共重合体であって、例えばプロピレンホモ重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体が挙げられる。
また、それらの単独又は2種以上のブレンドであっても、さらにポリエチレンや熱可塑性エラストマ−などがブレンドされていてもよい。プロピレン系樹脂としては、特に、塩化チタン、チタンアルコキシドを出発材料として構成されたいわゆるチタン系チーグラー・ナッタ型触媒を用いて得られた結晶性プロピレン系樹脂が好ましい。
【0072】
以下に、基層に用いる樹脂としてプロピレン系樹脂を例にとり、基層として好ましい態様を示す。
【0073】
プロピレン系樹脂には充填剤を配合することができ、複合樹脂として用いることができる。複合樹脂としてはその層を構成する樹脂成分100重量部に対して充填剤が5〜400重量部、好ましくは10〜400重量部、さらに好ましくは10〜100重量部を含有する。充填剤としては、無機粉体系では、シリカ、タルク、マイカ、クレー等の天然系、及び炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、珪酸ナトリウム、珪酸カルシウム等の珪酸塩、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ、ゼオライト等の酸化物、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム等の塩類、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。有機粉体系では、フェノール樹脂粉、エボナイト粉等が、繊維系では、各種ガラス、パルプ、アスベスト、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0074】
さらに、プロピレン系樹脂からなる層は発泡されていてもよい。プロピレン系樹脂の発泡層としては、プロピレン系樹脂に予め発泡剤を混合し、これを成形して発泡させる方法が挙げられる。ここで使用される発泡剤としては、加熱により分解してガスを発生する化学発泡剤では、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノベンゼン、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルカルバジド、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩、クエン酸ナトリウム等の有機酸塩等が、加熱と圧力制御によりガス化する物理発泡剤では、プロパン、ブタン、ペンタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、トリクロロモノフルオロメタン、メタノール、エタノール、水等が挙げられる。
【0075】
これら発泡剤は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。発泡剤の配合量は、シ−ト成形の場合はプロピレン系樹脂100重量部に対し1.0重量部以下、好ましくは0.5重量部以下で、これらの発泡剤と、通常使用される発泡助剤、発泡核剤等を併用してもよい。プロピレン系樹脂発泡層発泡倍率は、好ましくは5.0倍以下、さらに好ましくは3.0倍以下である。これは、発泡倍率が5.0倍を越える場合には連続気泡が増大することにより、プロピレン系積層シ−トの熱成形時のドローダウン性が低下するためである。
【0076】
なお、これらプロピレン系樹脂、プロピレン系複合樹脂、プロピレン系発泡樹脂からなる層はそれぞれ一般に配合される添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、分散剤、核剤、着色剤、腐食防止剤等を目的に応じて適時添加されていてもよい。
【0077】
本発明の積層容器の基層は、上記のプロピレン系樹脂層、プロピレン系複合樹脂層、プロピレン系樹脂発泡層から1種類が選択されて単層を形成してもよいし、必要に応じて複数種類選択されて、二層以上の多層を形成してもよい。多層としては例えばプロピレン系複合樹脂層/プロピレン系樹脂層/プロピレン系複合樹脂層の2種3層構成、あるいはプロピレン系複合樹脂層/プロピレン系樹脂発泡層/プロピレン系複合樹脂層の2種3層構成が好適な層構成として挙げられる。
【0078】
本発明の積層容器1は、内層2と基層3の他に、両者の間、あるいは、基層3の外側に機能層として第三層を設けることができる。本発明のポリプロピレン系積層容器1における第三層としては、ガスバリアー層を挙げることができる。ガスバリアー層としては、接着樹脂層/ガスバリア−樹脂層/接着樹脂層の層構成として、これを基層と内層の間に介装することができる。また、プロピレン系樹脂層/接着樹脂層/ガスバリア−樹脂層/接着樹脂層/プロピレン系樹脂層の3種5層構成、あるいは、プロピレン系複合樹脂層/接着樹脂層/ガスバリア−樹脂層/接着樹脂層/プロピレン系複合樹脂層の3種5層構成として内層2に積層することができる。
【0079】
[3]積層容器
本発明の積層容器1の好ましい製造方法として、シ−トの熱成形による二次加工方法、ブロ−成形方法、二色成形やサンドイッチ成形による多層射出成形方法等の溶融ないしは半溶融状態で積層する方法、さらに本発明で内層2に用いるプロピレン系重合体からなる所定のフィルムないしはシ−トを別途作成し、熱ラミネーションし、あるいは、射出成形、ブロー成形時に金型内にフィルム(シート)をインサ−トして成形体の表面に熱融着して本発明の積層容器とする方法が挙げられる。
【0080】
シ−トを二次加工する熱成形では、ダイスよりシート状に溶融押出して内層2と基層3、必要に応じて第三層の積層体を共押出によって形成させる工程を含む方法を採用することができる。
【0081】
共押し出しによって各層を積層する方法は、ダイスより押出される前に前記した各層を形成する樹脂材料を溶融状態で積層する方法であれば、いずれでもよい。一般的には、各材料をそれぞれの押出機で溶融混練した後にダイス内で積層するマルチマニホールド方式や、ダイスに流入させる前に積層するフィードブロック方式(コンバイニングアダプター方式)等を用いることができる。
本発明の積層容器を熱成形するためのポリプロピレン系重合体積層シートとしては、全厚は使用目的等に応じた厚みを調整すればよいが、0.1mm〜3.0mm、好ましくは0.15mm〜2.0mmである。
【0082】
容器の形状は、各種カップ、トレイ、皿、椀形等の形を挙げることができる。ここで、熱成形とは、シート等を加熱して軟化させた後に、金型形状に成形する方法である。熱成形による成形方法としては、真空あるいは圧空を用い、必要により、更にプラグを併せて用いて金型形状に成形する方法(ストレート法、ドレープ法、エアスリップ法、スナップバック法、プラグアシスト法など)やプレス成形する方法等が挙げられる。熱成形温度や真空度、圧空の圧力又は成形速度等の各種条件は、プラグ形状や金型形状又は原料シートの性質等により適宜設定される。
【0083】
また、上記で説明したプロピレン系重合体を少なくとも容器の内層に用いてブロー成形することによって得ることもできる。ブロー成形は公知の方法で行うことができ、ダイレクトブロー法、インジェクションブロー法、ホット延伸ブロー法、コールド延伸ブロー法等によって成形される。ダイレクトブロ−法においては複数の押出機から同時に各層材料を押出し、多層ダイを用いて多層パリソンを射出し、金型でパリソンを閉じ賦形する多層ブロー成形により得られ、一方インジェクションブロー法、ホット延伸ブロー法、コールド延伸ブロー法においては多層のプリフォ−ムを用いて加熱・賦形することにより得られる。
【0084】
得られた積層容器は、乳飲料、生乳の二次加工製品などの各種乳製品に対して臭気、味覚へ与える影響が極めて少なく、剛性、耐熱性、衝撃特性にも優れている。
【0085】
従って、本発明の積層容器は、味及び不純物の混入を少しでも嫌う用途、具体的には乳等省令等に挙げられている牛乳容器、発酵乳容器、乳酸飲料容器、乳飲料容器及びこれら類似品容器等の乳製品用容器として適する。
【0086】
【実施例】
次の実施例は、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限りこれら実施例によって制約を受けるものではない。なお、以下の実施例における物性等の測定は次の方法に従った。
【0087】
1.キシレン可溶分量(CXS)
まず、試料を電子天秤にて秤量して500mLの平底フラスコに入れ、工業用キシレンを300mL加えた。予め140℃に調温したオイルバスに浸け、約1時間置いて溶解させた。次に、フラスコを取り出し、予め23℃に調温したオイルバスに1時間浸けた後に、ろ過により上澄み液を回収し、110℃で減圧下4時間で溶媒除去/乾燥を行うことによりキシレン可溶分量(重量%)を求めた。
【0088】
2.炭素数12〜30のオリゴマー成分含有量(Wo)
「高分子分析ハンドブック」(紀伊国屋書店刊、1995年初版第1刷、p.51、183)の記載に基づき、下記の手法で測定した。ポリマー2.5gを凍結粉砕し、ノルマルヘキサン100mLを加え1時間加熱還流、さらに冷却濾過した後に、ロータリーエバポレーターにより脱溶剤して乾固し、その後再びノルマルヘキサン4mLに溶かして超音波にて抽出後、次の条件でガスクロマトグラフ/質量分析法(SIM)で測定した。
装置;HP−GCD
カラム;HP−1 0.23mm×30m
温度;100℃→5℃/分→300℃
注入量;1μL スプリットレス
検出;SIM(m/Z=43,57モニター m/Z=43にて定量(C18換算絶対検量線法、絶対検量線法は、JIS K0123に準拠した)
【0089】
3.MFR(メルトフローレート)
JIS−K−6758ポリプロピレン試験方法(条件:230℃、荷重2.16Kgf)により測定した。
【0090】
4.融点(Tm)
セイコー社製DSC測定装置を用い、試料(約5mg)を採り200℃で5分間融解後、40℃まで10℃/minの速度で降温して結晶化した後に、さらに10℃/minで200℃まで昇温して融解したときの融解ピーク温度で評価した。
【0091】
5.揮発性炭化水素含有量
ペレット試料を数mm角の小片に切断し5mgの試料を用い、以下の条件で熱分解してガスクロマトグラフにより分析した。
(i)熱分解条件
熱分解装置;島津製作所社製PYR−1A
熱分解温度;210℃
パイプ温度;100℃
(ii)ガスクロマトグラフの条件
装置;島津製作所社製G−C14B
カラム;化学品検査協会製G−100(40m、組成;Methyl
Silicone、極性;無極性、膜厚;1μm)
カラム温度;60℃→150℃
検量線;n−ヘプタン換算で行った。
【0092】
6.臭いの試験法
熱成形による160mLのカップ容器に料理用アルミホイルで口部を覆うことで容器内部の空気を密閉し、80℃に加温した東洋精機製ギアオーブンに2時間入れ加熱する。加熱後取り出し、10分以内に料理用アルミホイルの被覆を外し容器内部の臭いを嗅ぎ、次の臭いの基準に従い評価を行った。
臭いの基準
0級:感じない
1級:やっと感じる
2級:感じられる
3級:楽に感じる
4級:強く臭う
【0093】
7.味の試験法
熱成形による160mLのカップ容器に蒸留水150mL入れ、料理用アルミホイルで口元を被覆した。その後、1つは冷蔵庫で24時間保管した。もう1つは80℃で2時間加温した後、室温で1時間放冷したあと冷蔵庫で24時間保管した。また、清潔な臭いのない共栓付き広口ガラス瓶300mLに蒸留水150mLを入れ比較対象用とした。それぞれを処理後にガラス瓶(広口瓶)の対象品と比較して官能検査を行った。判定基準は、ガラス瓶入り蒸留水と比較し味の差を感じた人の数で表した(1/10=10人中1人)。
【0094】
[実施例1]
(触媒の調整)
1)メタロセン化合物の合成
(r)−ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ハフニウムジクロリドの合成は、特開平11−240909号公報に記載の方法に準じて行った。
【0095】
2)化学処理イオン交換性層状珪酸塩の調製
10リットルの攪拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧ろ過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、ろ過した。この洗浄操作を、洗浄液(ろ液)のpHが、3.5を超えるまで実施した。
回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は、705gであった。得られた化学処理イオン交換性層状ケイ酸塩の組成(モル)比は、Al/Si=0.129、Mg/Si=0.018、Fe/Si=0.013であった。
先に化学処理した珪酸塩は、キルン乾燥機によりさらに乾燥(乾燥温度:200℃)を実施した。
【0096】
3)固体触媒の調製
先に化学処理したモンモリロナイトを減圧下、200℃で、2時間加熱処理を実施した。また、内容積3リットルの攪拌翼のついたガラス製反応器に上記で得た乾燥モンモリロナイト200gを導入し、ノルマルヘプタン、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(10mmol)を加え、室温で攪拌した。1時間後、ノルマルヘプタンにて洗浄(残液率1%未満)し、スラリーを2000mLに調製した。
次に、あらかじめ(r)−ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ハフニウムジクロリド3mmolのトルエンスラリー870mLとトリイソブチルアルミニウム(30mmol)のヘプタン溶液42.6mLを室温にて1時間反応させておいた混合液を、モンモリロナイトスラリーに加え、1時間攪拌した。
続いて、窒素で十分置換を行った内容積10リットルの攪拌式オートクレーブにノルマルヘプタン2.1リットルを導入し、40℃に保持した。そこに先に調製したモンモリロナイト/錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後、プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。回収した予備重合触媒スラリーから、上澄みを約3リットル除き、トリイソブチルアルミニウム(30mmol)のヘプタン溶液を170mL添加し、10分間撹拌した後に、40℃にて減圧下熱処理した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレンが2.03gを含む予備重合触媒が得られた。
【0097】
(ポリプロピレン単独重合体の製造)
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これに、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘキサン溶液を500mL(0.12mol)、水素を3.0NLを加え、75℃に昇温した。その後、上記固体触媒成分を3.0g(予備重合ポリマー分を除いた触媒成分としての重量)をアルゴンで圧入して重合を開始させ、本条件で3時間重合を行った。その後エタノール100mLを圧入して反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を濾過・乾燥して、ポリプロピレンホモポリマーのパウダー18.5kgを得た。
取り出されたパウダー100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤として、ペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバスペシャルティケミカルズ社製;以下RA1010と略す。)0.1重量部、リン系酸化防止剤として、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファィト(チバスペシャルティケミカルズ社製;以下RA168と略す。)0.1重量部、中和剤として、ステアリン酸カルシウム0.05重量部を添加しスーパーミキサーで窒素シール後、3分間混合した。その後、30mmφ押し出し機を用いホッパーを窒素シールしながら230℃で造粒、ペレット化した。
【0098】
得られたペレットはMFR=2.0g/10分、CXS=0.1重量%、Tm=152.6℃、炭素数6〜10の揮発性炭化水素含有量=6ppm、炭素数12〜30のオリゴマー成分含有量=1.5ppmであった。
【0099】
本ペレット試料(以下mPP−1と略称する。)をプラ技研製多層シート成形機のスクリュ−径40mmφ(単軸、L/D=28)の押出機にシリンダー温度230℃で、一方チーグラー系Mg担持触媒により重合されたホモポリプロピレン(日本ポリケム社製、商品名「ノバテックポリプロEA9」、MFR=0.5g/10分、以下PP−1と略称する)をスクリュー径50mmφ(単軸、L/D=34)の押出機によりシリンダ−温度230℃でそれぞれ押出し、フィードブロック方式で内層を形成するmPP−1が表裏両面となり、基層を構成するPP−1が中間層となるようにサンドイッチ型積層シートをT型ダイス(温度230℃)で押出し、60℃の冷却水を内部循環させた2本の鏡面ロールで挟み冷却固化させ、2m/分の引き取り速度で巻き取り、表面層厚み20μm、全厚1.0mm、幅460mmの2種3層のサンドイッチ型積層シートを得た。
【0100】
さらに得られた積層シートを、浅野研究所社製の間接加熱式圧空成形機(名称:コスミック成形機)を使用して、遠赤ヒーター(温度設定:350℃)で予熱時間30秒、圧空圧力2kg/cm2、冷却時間10秒の条件で、口径66φ、高さ75mm、テ−パ−3/10の160mL丸型カップ容器を成形した。
成形した容器を、恒温恒湿状態(温度23±2℃、湿度50±5%)で24時間調整し、容器の臭い、味を評価した。その結果を表1に示す。
【0101】
[実施例2]
実施例1で、2種3層の積層シ−トを作成する際、表面層厚みを100μmとした以外は同様にして容器を成形した。成形した容器を、恒温恒湿状態(温度23±2℃、湿度50±5%)で24時間調整し、容器の臭い、味を評価した。その結果を表1に示す。
【0102】
[実施例3]
(触媒の調製)
実施例1において、使用したメタロセン錯体を、特開平11−240909号公報に記載の方法に準じて合成した(r)−ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリドに変更した以外は同様の方法で、触媒の調製を行った。この操作により触媒1g当たりポリプロピレンが1.92gを含む予備重合触媒が得られた。
【0103】
(プロピレン−エチレンランダム共重合体の製造)
内容積270リットルの攪拌装置付き液相重合槽、内容積400リットルの失活槽、スラリー循環ポンプ、循環ライン液力分級器、濃縮器、向流ポンプ及び洗浄液受け槽からなる失活洗浄システム、二重管式熱交換器と流動フラッシュ槽からなる高圧脱ガスシステム、さらに低圧脱ガス槽及び乾燥器などを含む後処理系を組み込んだプロセスにより、プロピレン・エチレン共重合体の連続製造を実施した。
上記で製造した予備重合触媒を流動パラフィン(東燃社製:ホワイトレックス335)に濃度20重量%で分散させて、触媒成分として0.56g/hrで液相重合槽に導入した。さらにこの重合槽に液状プロピレンを40kg/hr、エチレンを1.2kg/hr、水素を0.06g/hr、トリイソブチルアルミニウムを18g/hrで連続的に供給し、内温を62℃に保持し、重合を行った。液相重合槽からポリマーと液状プロピレンの混合スラリーをポリマーとして12.0kg/hrとなるように抜き出し、失活剤としてエタノールを21.0g/hrで供給した。さらに液状プロピレンを40kg/hr供給し、ジャケットによる加熱で内温を50℃に保った。ポリマーは分級器の下部から高圧脱ガス槽へ抜き出し、さらに低圧脱ガス槽を経て、乾燥器で乾燥を行った。乾燥器の内温80℃、滞留時間が1時間となるように調整し、さらに室温の乾燥窒素をパウダーの流れの向流方向に12m3/hrの流量で流した。乾燥後のポリマーは、ホッパーから取り出した。一方、分級器、濃縮器を経て、ポリマーと分離された液状プロピレンは、40kg/hrで洗浄液受け槽に抜き出した。
【0104】
取り出されたパウダー100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤として、RA1010を0.1重量部、リン系酸化防止剤として、RA168を0.1重量部、中和剤として、ステアリン酸カルシウム0.05重量部を添加しスーパーミキサーで窒素シール後、3分間混合した。その後、30mmφ押し出し機を用いホッパーを窒素シールしながら230℃で造粒、ペレット化した。
【0105】
得られたペレット(以下mPP−2と略称する。)は、エチレン含量=3.3重量%、MFR=2.9g/10分、CXS=0.3重量%、Tm=124.1℃、炭素数6〜10の揮発性炭化水素含有量=15ppm、炭素数12〜30のオリゴマー成分含有量=2.1ppmであった。
実施例1で、内層をmPP−2に代えた以外は、実施例1と同様にして容器を成形し、評価に供した。結果を表1に示す。
【0106】
[比較例1]
実施例1で表面層材料をチ−グラ−系Mg担持触媒により重合されたホモポリプロピレン(日本ポリケム社製、商品名「ノバテックポリプロFY6H」、以下PP−2と略称する)とした以外は実施例1と同様に積層シ−トとし、容器を作成した。PP−2はMFR=1.9g/10分、CXS=1.1重量%、Tm=168℃、炭素数6〜10の揮発性炭化水素含有量=249ppm、炭素数12〜30のオリゴマー成分含有量=285ppmであった。成形した容器を、恒温恒湿状態(温度23±2℃、湿度50±5%)で24時間調整し、容器の臭い、味を評価した。その結果を表1に示す。
【0107】
[比較例2]
(触媒の調整)
攪拌翼、温度計、ジャケット、冷却コイルを備えた100リットルの反応器に、Mg(OEt)2:30molを仕込み、次いで、Ti(OBu)4を、仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、Ti(OBu)4/Mg=0.60(モル比)となるように仕込んだ。さらに、トルエンを19.2kg仕込み、攪拌しながら昇温した。139℃で3時間反応させた後、130℃に降温して、MeSi(OPh)3のトルエン溶液を、先に仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、MeSi(OPh)3/Mg=0.67(モル比)になるように添加した。なお、ここで用いたトルエン量は、7.8kgであった。添加終了後、130℃で2時間反応させ、その後、室温に降温しSi(OEt)4を添加した。Si(OEt)4の添加量は、先に仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、Si(OEt)4/Mg=0.056(モル比)となるようにした。
【0108】
次に、得られた反応混合物に対して、マグネシウム濃度が、0.57(mol/リットル・TOL)になるように、トルエンを添加した。さらに、フタル酸ジエチル(DEP)を、先に仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、DEP/Mg=0.10(モル比)になるように添加した。得られた混合物を、引き続き攪拌しながら−10℃に冷却し、TiCl4を2時間かけて滴下して均一溶液を得た。なお、TiCl4は、先に仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、TiCl4/Mg=4.0(モル比)になるようにした。TiCl4添加終了後、攪拌しながら0.5℃/分で15℃まで昇温し、同温度で1時間保持した。次いで、再び0.5℃/分で50℃まで昇温し、同温度で1時間保持した。さらに、1℃/minで118℃まで昇温し、同温度で1時間処理を行った。処理終了後、攪拌を停止し、上澄み液を除去した後、トルエンで、残液率=1/73になるように洗浄し、スラリーを得た。
【0109】
次に、ここで得られたスラリーに、室温で、トルエンとTiCl4を添加した。なお、TiCl4は、先に仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、TiCl4/Mg(OEt)2=5.0(モル比)となるようにした。また、トルエンは、TiCl4濃度が、2.0(mol/リットル・TOL)になるように調製した。このスラリーを攪拌しながら昇温し、118℃で1時間反応を行った。反応終了後、攪拌を停止し、上澄み液を除去した後、トルエンで、残液率=1/150となるように洗浄し、固体成分のスラリーを得た。
【0110】
さらに上記で得られた固体成分のうち、400gを、攪拌翼、温度計、冷却ジャケットを有する別の反応器に移送し、ノルマルヘキサンを加えて、固体成分の濃度として5.0(g/リットル)になるように希釈した。得られたスラリーを攪拌しながら、15℃で、トリメチルビニルシラン、TEA及びTBMDESを添加した。ここで、TBMDESは、t−ブチルメチルジエトキシシランを示し、t−ブチルは、ターシャリーブチル基を示す。なお、TEA、トリメチルビニルシラン、TBMDESの添加量は、それぞれ、上記固体成分中の固体成分1gに対して、3.1(mmol)、0.2(mL)、0.2(mL)となるようにした。添加終了後、引き続き攪拌しながら、15℃で1時間保持し、さらに、30℃に昇温して、同温度で2時間攪拌した。次に、再び15℃に降温し、同温度を保持しながら、反応器の気相部に、1.2kgのプロピレンガスを72分かけて定速でフィードして予備重合を行った。フィード終了後、攪拌を停止して上澄み液を除去した後、ノルマルヘキサンで洗浄を行い、予備重合触媒成分のスラリーを得た。なお、残液率は、1/12とした。得られた予備重合触媒成分は、上記固体成分:1gあたり、3.1gのプロピレン系重合体を有していた。
【0111】
(プロピレン−エチレンランダム共重合体の製造)
重合は実施例3で用いたのと同じ反応器システムを用いて行った。上記で得られた予備重合触媒成分を流動パラフィン(東燃社製:ホワイトレックス335)に濃度2重量%で分散させて、触媒成分として0.25g/hrで導入した。この反応器に液状プロピレンを120kg/hr、エチレンを1.8kg/hr、水素を20g/hr、トリエチルアルミニウムを16.3g/hrで連続的に供給し、内温を70℃に保持し重合を行った。
【0112】
液相重合槽からポリマーと液状プロピレンの混合スラリーをポリマーとして23.5kg/hrとなるように抜き出し、失活剤としてエタノールを21.0g/hrで供給した。さらに液状プロピレンを40kg/hr供給し、ジャケットによる加熱で内温を50℃に保った。ポリマーは分級器の下部から高圧脱ガス槽へ抜き出し、さらに低圧脱ガス槽を経て、乾燥器で乾燥を行った。乾燥器の内温80℃、滞留時間が1時間となるように調整し、さらに室温の乾燥窒素をパウダーの流れの向流方向に12m3/hrの流量で流した。乾燥後のポリマーは、ホッパーから取り出した。一方、分級器、濃縮器を経て、ポリマーと分離された液状プロピレンは、40kg/hrで洗浄液受け槽に抜き出した。
【0113】
得られたパウダーを実施例3と同様の条件で、ペレット化した。得られたペレット(以下PP−3と略称する。)はエチレン含量=3.2重量%、MFR=1.8g/10分、CXS=6.5重量%、Tm=143.2℃、炭素数6〜10の揮発性炭化水素含有量=380ppm、炭素数12〜30のオリゴマー成分含有量=560ppmであった。
実施例1で、内層をPP−3に代えた以外は、実施例1と同様にして容器を成形し、評価に供した。結果を表1に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
[実施例4]
実施例1において、中間層材料をPP−1が100重量部に対しタルク(富士タルク社製、商品名「PKP53S」)43重量部からなるタルク複合ポリプロピレン(以下PPF−1と略称する)とした以外は実施例1と同様に積層シ−トを成形し、容器を作成した。成形した容器を、恒温恒湿状態(温度23±2℃、湿度50±5%)で24時間調整し、容器の臭い、味を評価した。その結果を表2に示す。
【0116】
[比較例3]
表裏両面材料をPP−2とした以外は実施例4と同様に積層シ−ト、容器を作成した。成形した容器を、恒温恒湿状態(温度23±2℃、湿度50±5%)で24時間調整し、容器の臭い、味を評価した。その結果を表2に示す。
【0117】
[実施例5]
実施例1においてmPP−1をプラ技研製多層シ−ト成形機のスクリュ−径40mmφ(単軸、L/D=28)の押出機にシリンダ−温度230℃で、一方実施例4で用いたタルク複合ポリプロピレン:PPF−1をスクリュ−径50mmφ(単軸、L/D=34)の押出機にシリンダ−温度230℃で、PP−1をスクリュ−径40mmφ(単軸、L/D=28)の押出機にシリンダ−温度230℃でそれぞれ押出し、フィ−ドブロック方式でmPP−1/PPF−1/PP−1/PPF−1/mPP−1となるようにT型ダイス(温度230℃)で押出し、60℃の冷却水を内部循環させた2本の鏡面ロ−ルで挟み冷却固化させて、2m/分の引き取り速度で巻き取り、表面層厚み20μm、PPF−1層厚み0.3mmt、PP−1層厚み0.36mmt、全体肉厚=1.0mmt、幅460mmの3種5層の積層シ−トを得た。
さらに得られた積層シ−トを用い、実施例1と同様に丸型カップ容器を成形し、容器の臭い、味を評価した。その結果を表2に示す
【0118】
【表2】
【0119】
[比較例4]
表裏両面材料をPP−2とした以外は実施例5と同様に積層シ−トを形成して、容器を作成した。成形した容器を、恒温恒湿状態(温度23±2℃、湿度50±5%)で24時間調整し、容器の臭い、味を評価した。その結果を表2に示す。
【0120】
[実施例6]
実施例1において、中間層材料をPP−1に代えてチ−グラ−系Mg担持触媒により重合された高溶融張力ポリプロピレン(日本ポリケム社製、商品名「ノバテックポリプロEC6」、MFR=3.0g/10分、以下PP−4と略称する)100重量部に対して発泡剤としてクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの1:1の混合物0.5重量部を配合した発泡剤含有ポリプロピレン系樹脂とし、T型ダイスと冷却ロ−ルの間に補助冷却設備を付加した以外は実施例1と同様にして、表裏両面がmPP−1、中間層が3倍発泡のPP−4からなる三層積層シ−トを得て、容器を作成した。成形した容器を、恒温恒湿状態(温度23±2℃、湿度50±5%)で24時間調整し、容器の臭い、味を評価した。その結果を表3に示す。
【0121】
[比較例5]
表裏両面材料をPP−2とした以外は実施例6と同様に積層シ−トを成形して、容器を作成した。成形した容器を、恒温恒湿状態(温度23±2℃、湿度50±5%)で24時間調整し、容器の臭い、味を評価した。その結果を表3に示す。
【0122】
[実施例7]
実施例1においてmPP−1をプラ技研製多層シ−ト成形機のスクリュ−径40mmφ(単軸、L/D=28)の押出機にシリンダ−温度230℃で、一方PP−1をスクリュ−径50mmφ(単軸、L/D=34)の押出機にシリンダ−温度230℃で、ガスバリア層としてエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体樹脂(クラレ社製、商品名「エバ−ルJB102B」、MFR=3.0g/10分)をスクリュ−径40mmφ(単軸、L/D=24)の押出機にシリンダ−温度230℃で、接着性ポリオレフィン樹脂(三菱化学社製、商品名「モディックP513V」、MFR=2.3g/10分)をスクリュ−径40mmφ(単軸、L/D=28)の押出機にシリンダ−温度230℃で、それぞれ押出し、フィ−ドブロック方式で逐次層を積層させ、mPP−1/PP−1/接着性ポリオレフィン樹脂/エチレン・ビニルアルコ−ル共重合体樹脂/接着性ポリオレフィン樹脂/mPP−1の4種7層構成としてT型ダイス(温度230℃)で押出し内層を加えて、以降は実施例1と同様にしてmPP−1層厚み20μm、エチレン・ビニルアルコ−ル共重合体樹脂層厚み80μm、接着性ポリオレフィン樹脂層厚み40μm、全体肉厚=1.0mmt、幅460mmの4種7層構成の積層シ−トを得た。
【0123】
さらに得られた積層シ−トを、浅野研究所社製の間接加熱式圧空成形機(名称:コスミック成形機)を使用して、遠赤ヒ−タ−(温度設定:350℃)で予熱時間30秒、圧空圧力2kg/cm2、冷却時間10秒の条件で、口径66φ、高さ75mm、テ−パ−3/10の160mL丸型カップ容器を成形した。成形した容器を、恒温恒湿状態(温度23±2℃、湿度50±5%)で24時間調整し、容器の臭い、味を評価した。その結果を表3に示す。
【0124】
[比較例6]
表裏両面材料をチ−グラ−系Mg担持触媒により重合されたホモポリプロピレン:PP−2とした以外は実施例7同様に積層シ−トを成形し、容器を作成した。成形した容器を、恒温恒湿状態(温度23±2℃、湿度50±5%)で24時間調整し、容器の臭い、味を評価した。その結果を表3に示す。
【0125】
【表3】
【0126】
【発明の効果】
本発明のポリプロピレン系積層シ−ト及びその熱成形容器は、メタロセン系触媒によって重合された特定のプロピレン系重合体を内層に用いることにより、揮発性炭化水素含有量、オリゴマー成分の含有量が極めて少なく内容物に対して臭気、味覚の影響を与えず、剛性、耐熱性、耐衝撃性等に優れている為、乳等省令の対象に定められている各種乳製品、乳飲料や各種食品容器に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乳製品用積層容器の例を示す縦断面図
【図2】乳製品用積層容器の他の例を示す部分縦断面図
【符号の説明】
1.乳製品用積層容器
2.内層
3.基層
Claims (12)
- 充填物と接触する内層と、その外方に位置する基層とを有し、内層がメタロセン型触媒によって重合され、炭素数6〜10の揮発性炭化水素の含有量が50ppm以下、炭素数12〜30のオリゴマ−成分の含有量(Wo)が60ppm以下であるプロピレン系重合体によって形成され、基層を構成する少なくとも一層が、チーグラー・ナッタ型触媒を用いて重合された結晶性プロピレン系樹脂によって形成されてなることを特徴とする乳製品用積層容器。
- 内層を、プロピレン単独重合体又はプロピレン含有量が90重量%以上のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体からなるプロピレン系重合体によって形成してなる請求項1に記載の乳製品用積層容器。
- 内層を、MFRが0.5〜50g/10分のプロピレン系重合体によって形成してなる請求項1又は2に記載の乳製品用積層容器。
- 内層を、炭素数12〜30のオリゴマー成分の含有量(Wo)とMFR(g/10分)とが下記式(1)を満たすプロピレン系重合体によって形成してなる請求項1〜3のいずれかに記載の乳製品用積層容器。
Wo≦6×exp(0.023×MFR) 式(1) - 内層を、融点(Tm)が110〜155℃、23℃におけるキシレン可溶分量(CXS、単位:重量%)と融点(Tm、単位:℃)とが下記式(2)又は(3)を満たすプロピレン系重合体によって形成してなる請求項1〜4のいずれかに記載の乳製品用積層容器。
125≦Tm≦155の場合
CXS≦−0.05×Tm+7.76 式(2)
110≦Tm<125の場合
CXS≦0.0294×(Tm)2−7.51×Tm+480.9 式(3) - 内層を、下記添加剤(a)〜(c)の少なくとも一種が配合されたプロピレン系重合体によって形成してなる請求項1〜5のいずれかに記載の乳製品用積層容器。
(a)フェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダードアミン系安定剤、
(b)中和剤、
(c)リン系酸化防止剤。 - 基層が、二層以上の多層構造からなる請求項1〜6のいずれかに記載の乳製品用積層容器。
- 基層を構成する少なくとも一層が、樹脂成分100重量部に対して充填剤を5〜400重量部含有するプロピレン系複合樹脂からなる請求項1〜7のいずれかに記載の乳製品用積層容器。
- 基層を構成する少なくとも一層が、発泡されてなる請求項1〜8のいずれかに記載の乳製品用積層容器。
- 乳製品用積層容器が、接着樹脂層/ガスバリア−樹脂層/接着樹脂層からなる層構造が介装されてなる請求項1〜9のいずれかに記載の乳製品用積層容器。
- 積層容器が、シートの二次加工による成形、ブロー成形、射出延伸ブロ−成形、又は、射出成形によって成形されてなる請求項1〜10のいずれかに記載の乳製品用積層容器。
- 乳製品が、乳飲料又は生乳の二次加工製品である請求項1〜11のいずれかに記載の乳製品用積層容器。
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