JP3380838B2 - 転写用回折素子の製造方法、及びそれを用いた回折素子パネルの製造方法 - Google Patents

転写用回折素子の製造方法、及びそれを用いた回折素子パネルの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータ制御
可能であり、像を容易に変更でき、多くの角度から観察
できる三次元画像表示装置等に用いられる転写用回折素
子、その製造方法、及びそれを用いた回折素子パネルの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】三次元画像表示装置に用いる回折素子パ
ネルを作製する方法として、「ホログラフィック光学素
子を用いたリアルタイム3次元ディスプレイ」(テレビ
ジョン学会誌,Vol.50,No.1,pp.118-124)には、光学的
な干渉パターンを作製し、これにマスクを通して、必要
な部分だけに回折素子を作製する方法が示されている。
図17と図18を用いて、これを説明する。この例で
は、回折素子は要素ホログラムであり、これを感光材料
を塗布した乾板上に作製している。図17は透過型の要
素ホログラムを記録する方法を説明するための図であ
り、図17(a)は正面方向から見た斜視図、図17
(b)は上方向から見た平面図である。乾板1131に
はマスク1116が密着されており、マスク1116は
要素ホログラムを作製したい部分だけ光を透過するもの
である。マスク1116を通して乾板1131へ参照光
1112を入射し、そして、線光源1119から参照光
1112と干渉性を持っている光を物体光1114とし
て入射する。参照光1112と物体光1114とは干渉
性を持っているので、乾板1131上に干渉パターンを
作る。このようにして透過型の要素ホログラムを形成す
ることができる。
【0003】また、図18は反射型の要素ホログラムを
記録する方法を説明するための図であり、図18(a)
は正面方向から見た斜視図、図18(b)は上方向から
見た平面図である。乾板1231の表面にはマスク12
16が、裏面にはマスク1226が密着されている。こ
れらマスク1216とマスク1226は、要素ホログラ
ムを作製したい部分だけ光を透過するものである。マス
ク1226を通して参照光1212を入射し、そして、
線光源1219から参照光1212と干渉性を持ってい
る光を物体光1214としてマスク1216を通して入
射する。参照光1212と物体光1214とは干渉性を
持っているので、乾板1231上に干渉パターンを作
る。このようにして反射型の要素ホログラムを形成する
ことができる。
【0004】そして、透過型/反射型ともに、要素ホロ
グラム形成後に、マスクの位置を動かして別の要素ホロ
グラムを形成し、これを繰り返すことで要素ホログラム
を形成していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の転写用回折素子の製造方法では、感光材料面とマス
クの密着が不完全だと、そこで回折/反射が発生し、回
折素子が精度良く作製できない。また、感光材料面にマ
スクを密着させ、回折素子作製後に、マスクの位置を動
かしていたので、感光材料面を損傷してしまう可能性が
あった。さらに、感光材料面にマスクを密着させるに
は、マスクの表面や感光材料面を十分になめらかにして
おく必要があった。
【0006】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたものであって、三次元画像表示装置等に用
いられ、精度が高く、広範囲に一度に作製でき、また基
板の損傷を防止することができる転写用回折素子、その
製造方法、及びそれを用いた回折素子パネルの製造方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、感光材料に接触しないように配置さ
れ、その感光材料の所望の領域にのみに回折パターンを
転写するのに用いられる転写用回折素子であって、所望
の領域にのみに二種類以上の光を入射させて回折パター
ンを発生させるような干渉パターンが形成されている転
写用回折素子を構成している。
【0008】なお、上記の転写用回折素子において、干
渉パターンをホログラムにより構成することが好まし
い。
【0009】本発明によれば、転写回折素子への回折パ
ターン転写により、視域を分割した物体表示を行う回折
素子が規則的に記録された回折素子パネルなどでも広範
囲に一度に高精度に作製できるので、従って、このよう
な回折素子パネルの作製の高速化を実現することが可能
となる。
【0010】また、本発明では、上記の転写用回折素子
の製造方法であって、回折パターンが転写される所望の
領域と同一の形状で光の透過/遮断を行うマスクを介し
て、干渉パターン発生用の二種類以上の光のうちの少な
くとも一つが転写用回折素子となる感光材料に達するよ
うに、マスクを転写用回折素子となる感光材料に接触し
ないように配置して、光の干渉パターンを形成すること
としている。
【0011】本発明によれば、上記のような回折素子パ
ネル作製の高速化を可能とする転写用回折素子を作製す
ることができる。
【0012】さらに、本発明では、上記の転写用回折素
子の製造方法において、転写用回折素子となる感光材料
に干渉パターン発生用の光の二種類以上のうちの少なく
とも一つがプリズムを介して達するように、プリズムを
用いて光の干渉パターンを形成することとしている。
【0013】本発明によれば、上記のような回折素子パ
ネル作製の高速化を可能とする転写用回折素子を、高い
光の利用効率で、かつ、容易な光学系のセッティングで
作製することができる。
【0014】また、本発明では、上記の転写用回折素子
を用いて、視域を分割した物体表示を行う回折素子が規
則的に記録された回折素子パネルを光の回折パターンに
より形成する製造方法であって、転写用回折素子と回折
素子パネルとなる感光材料との位置関係を変化させなが
ら、転写用回折素子からの光により回折素子を形成する
こととしている。
【0015】本発明によれば、転写用回折素子で所望の
領域のところだけに物体光と参照光を回折するので、回
折限界の精度で転写が可能となる。さらに、転写用回折
素子と回折素子パネルを密着していないので、損傷を避
けることができる。そして、転写用回折素子や回折素子
パネルの表面が多少なめらかでなくても、使用可能であ
る。また、転写用回折素子で回折素子パネル上の広範囲
に一度に回折素子を作製する。従って高速に作製するこ
とができる。
【0016】さらに、本発明では、上記の回折素子パネ
ルの製造方法において、表示物体として点像を再生する
ように回折素子を形成することとしている。
【0017】本発明によれば、異なる視点から見た、さ
まざまな位置の点像を表す回折素子をパネル上に配置
し、三次元画像の形状および重なり合い等の情報などか
ら、回折素子への照射する光を制御し、視点に応じた三
次元画像が自然に観察可能な、回折素子パネルから構成
される三次元画像表示装置を実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の
実施形態における回折素子パネルの製造方法を説明する
概略図であり、図1(a)は回折素子パネルの製法を示
す側面図、図1(b)は乾板移動前の乾板を感光材料面
(乳剤面)から見た正面図、図1(c)は乾板移動後の
乾板を感光材料面(乳剤面)から見た正面図である。
【0019】本実施形態では、複数個の点像を表示でき
る回折素子パネルを要素ホログラムで作製するものであ
り、また、転写用回折素子もホログラムで作製する。ホ
ログラムと要素ホログラムは、それぞれのガラス基板上
に感光材料を塗布した乾板に作製する。
【0020】まず、回折素子パネルを作製するホログラ
ムの乾板131を例にとり、その作製の手順を図1
(a)を参照しながら簡単に説明する。最初に、転写用
ホログラム101を作製する。これは、一つの点像11
9の表示のための要素ホログラムを作製するのに使用す
る。転写用ホログラム101は、物体光用ホログラム
(乾板111)と参照光用ホログラム(乾板121)か
らなる。転写用ホログラム101に再生照明光215を
入射すると、再生光212と再生光213が発せられ
る。再生光212が参照光になり、再生光213が物体
光となり、これらの参照光(再生光212)と物体光
(再生光213)とにより回折パターンが発生すること
になる。これを別の乾板131に入射することで、干渉
パターンができる。すなわち、参照光(再生光212)
と物体光(再生光213)とにより発生した回折パター
ンが乾板131に転写されて、干渉パターンを形成す
る。このようにして、乾板131に要素ホログラムを形
成する。
【0021】ここで、乾板131を感光材料面から見た
様子を示す図1(b)のように、再生光212と再生光
213は、乾板131上のある領域にしか入射しないの
で、従って、その部分しか要素ホログラムは作製されな
い。そして、次に乾板131を移動して、次の要素ホロ
グラムを作製する。すなわち、図1(c)に示すよう
に、移動前に要素ホログラムを作製したのとは異なる位
置に再生光212と再生光213が入射するようにして
乾板131を移動する。このようにして、別の点像表示
のための要素ホログラムを形成させる。さらに、乾板1
31を移動しながら、要素ホログラムの形成を繰り返
す。この後、現像、漂白すると回折素子パネルが作製で
きる。なお、ここで詳細は説明しなかったが、乾板13
1の種類やサイズについては、後述の転写用ホログラム
101を構成する乾板111及び乾板121と同様のも
のである。
【0022】次いで、上記の転写用ホログラム101に
作製について、その光学系の概略を示す図2を用いて説
明する。図2(a)は転写用ホログラムのうち、物体光
用ホログラム作製時の光学系の概略を示すものである。
乾板111として、Agfa8E75HDホログラフィ
ック乾板を使用した。乾板111の厚さdは1.5mm
である。この乾板111の感光材料面の反対側から、本
ホログラム作製のための参照光112を、入射角75°
で入射させた。また、このとき乾板111の感光材料面
からの距離Lが20mmのところにマスク116を配置
した。マスク116は、要素ホログラムの配置を決める
ものであり、本実施形態では、一例として、200μm
×200μmのエリア毎に50μm×50μmの開口が
格子状に配置されているものを用いた。
【0023】参照光112の乾板111への入射と同時
に、このマスク116を通して、物体光113を乾板1
11に入射させた。ここで、参照光112と物体光11
3は干渉性があるものを使用し、また、物体光113と
しては平行光132を集光レンズ117に通した集束光
を使用した。その集光位置はマスク116から乾板側へ
の距離Zが30mmのところであり、この距離が後述の
図6の要素ホログラムパネル(乾板131)上で、点像
119が浮いて見える距離となる。以上の光学系で物体
光用ホログラム用の干渉パターンが乾板111上に形成
される。
【0024】次に、転写用ホログラムのうち、参照光用
ホログラムの製法を図2(b)を用いて説明する。参照
光用ホログラムを作製する乾板を121とする。参照光
用ホログラムの作製光学は、前述の図2(a)に示した
物体光用ホログラムの作製時の光学系から、集光レンズ
117を取り除いたものである。すなわち、マスク11
6を透過直後の物体光114として、マスクの開口部分
のみの平行光が存在するものとする。また、乾板121
の位置を乾板111の厚さdの分ずらし、マスクからの
距離をL+dとした。
【0025】なお、本来なら、このずらした厚さdの部
分にガラス板を配置する必要がある。なぜなら、後述の
転写時(図3)に乾板121を出る再生光212は乾板
111を透過するからである。しかし、乾板121から
出る再生光212は後で説明するように平行光であり、
ガラスでも空間でも進行方向が変わらず透過する。従っ
て、本実施形態では、ガラス板を省略できる。以上の光
学系で、平行光用ホログラム用の干渉パターンが、乾板
121上に形成される。
【0026】上記のようにして干渉パターンが形成され
た乾板111と乾板121を、それぞれ現像、漂白し、
位相型ホログラムとした。以上のようにして作製した物
体光用ホログラム(乾板111)と参照光用ホログラム
(乾板121)を重ね合わせて、一枚の転写用ホログラ
ム101として扱う。
【0027】次いで、この転写用ホログラム101を用
いた点像119の要素ホログラムの作製について、その
光学系を示す図3を用いて説明する。
【0028】転写用ホログラムの物体光用ホログラム
(乾板111)側から距離Lのところに、要素ホログラ
ムパネル用の乾板131(Agfa8E75HD)を配
置した。そして、物体光用ホログラム(乾板111)側
から、乾板111作製時の参照光112と反対向き(入
射角75°)の再生照明光215を入射した。すると、
再生照明光215は、物体光用ホログラム(乾板11
1)と参照光用ホログラム(乾板121)で回折する。
それから、物体光用ホログラム(乾板111)で回折し
た光は、再生光213となり、乾板131に物体光とし
て入射する。この時、乾板111と乾板131の間の距
離Lは作製時と同じとするので、図2のマスク116の
開口部分があった場所にしか、物体光(再生光213)
は達しない。また、参照光用ホログラム(乾板121)
で回折した光は、再生光212となり、乾板131に参
照光として入射する。このとき、乾板121と131間
の距離L+dは作製時と同じなので、物体光のときと同
じく、図2のマスク116の開口部があった場所にしか
入射しない。
【0029】ここで、乾板111と乾板121を重ね合
わせるときに、再生光213と再生光212が同一の領
域に再生されるようにしておく。このようにしておく
と、これら再生光213と再生光212は、乾板131
上に一つの点像119を表示するための要素ホログラム
用の干渉パターンが形成される。これは、転写用ホログ
ラムが図2のマスク116の像を乾板131上に転写さ
れ、転写されている部分にのみ要素ホログラム用干渉パ
ターンを形成することと同じである。従って、要素ホロ
グラムの干渉パターンが転写される領域の形状は、マス
ク116の形状を回折限界までの精度で再現可能であ
る。また、転写用ホログラム作製時に露光量を変えるこ
とで、物体光(再生光213)と参照光(再生光21
2)の強度比を調整することが可能である。
【0030】そして、乾板131を転写用ホログラムに
対して水平方向に、かつ要素ホログラムを作製している
領域が重ならないように移動しながら、4個の点像用の
要素ホログラム用の干渉パターンを作製した。この移動
時に、乾板131と転写用ホログラムは密着していない
ので、接触による物理的な損傷などは発生しない。
【0031】この後、現像、漂白することで要素ホログ
ラムパネル(乾板131)が作製できた。
【0032】本実施形態では、転写用ホログラムを物体
光用と参照光用の2枚に分けて作製した。これは、一枚
の乾板に作製することも可能であり、その作製につい
て、そのときの光学系を示す図4を用いて説明する。図
4(a)に示すように、物体光用ホログラム用の干渉パ
ターンを形成する手順は、前述の図2(a)を用いて説
明した2枚に分けて作製するときと全く同様のものであ
る。なお、図4(a)においては、乾板を411、マス
クを416、参照光を412、物体光を413、点像を
419、集光レンズを417、平行光を432としてい
る。
【0033】次に、参照光用ホログラム用の干渉パター
ンの形成について、その光学系を示す図4(b)を用い
て説明する。参照光用ホログラム用の干渉パターンを形
成する時に、上記のようにして物体光用ホログラム用の
干渉パターンが形成された同一の乾板411を使用す
る。そして、乾板411とマスク416との間の距離L
を変えずに、その他は、前述の図2(b)を用いて説明
した物体光用ホログラム用の干渉パターンの形成と同様
に、互いに干渉性をもつ参照光412、物体光414、
及びマスク416を用いて、物体光用ホログラム用の干
渉パターンを形成する。これを、現像、漂白することで
一枚の転写用ホログラムが作製できる。
【0034】次いで、このようにして一枚の乾板411
で構成した転写用ホログラムを用いた転写(要素ホログ
ラムの作製)について、その光学系を示す図5により説
明する。転写用ホログラム(乾板411)と要素ホログ
ラム用(乾板431)の間の距離をLとし、再生照明光
515を参照光412と反対側から入射すると、再生光
513と再生光512が発せられ、再生光513が物体
光に、再生光512が参照光となる。これらは、それぞ
れ、前述の図4においてマスク416の開口部があった
ところにしか来ない。そして、再生光513と再生光5
15とにより発生する回折パターンは、一つの点像41
9のための要素ホログラム用の干渉パターンをその部分
に形成する。その後、前述の図3を用いて説明した乾板
131と同様に、乾板431を乾板131を移動しなが
ら、要素ホログラム用の干渉パターンを形成する。これ
を現像、漂白することで要素ホログラムパネル(乾板4
31)が作製できる。
【0035】なお、点像の浮いている距離Zを変えたい
場合は、距離に応じた転写用ホログラムを準備すること
で、要素ホログラムパネルの作製が可能となる。具体的
には、図1(a)や図4(a)を用いて説明した点像転
写用ホログラム用の干渉パターンを形成する際に、集光
レンズ117または集光レンズ417の位置を乾板11
1または乾板411に対して垂直方向へずらし、点像1
19とマスク116との距離または点像419とマスク
416との距離(=Z)を変える。この転写用ホログラ
ムを用いて要素ホログラムパネルを作製することで、点
像の浮いている距離を変えることができる。本実施形態
では、最初Z=30mmとして作製した転写用ホログラ
ムを使用したが、Z=31mmとして作製した転写用ホ
ログラムも使用することで、点像の浮く高さを30mm
と31mmとの2種類にすることが可能である。さら
に、別のZに応じた転写用ホログラムを用いることで、
自由な高さに点像を浮かせることも可能である。
【0036】次いで、以上のように作製した要素ホログ
ラムパネル(乾板131、乾板431)を再生し、三次
元画像表示装置に用いるときの手順を説明する。最初
に、点像再生の光学系を示す図6を用いて、本実施形態
で作製した要素ホログラムパネルによる点像再生の原理
を簡単に説明する。
【0037】要素ホログラムパネルである乾板131、
乾板431、又は乾板931(乾板931については後
述する)の感光材料面の反対側から要素ホログラムパネ
ル中の一つの点像を構成する全ての要素ホログラムに垂
直に再生照明光315を入射させる。すると、光が回折
し再生光313が発生し、この光は乾板の感光材料面側
で集光する。その集光する場所の高さは、要素ホログラ
ムパネル作製時の点像位置と乾板の距離Zと等しい。そ
して、ここから光は発散していき、観測者の目にはい
る。点灯させたい点像の要素ホログラムだけに向けて再
生照明光315を入れることで、表示する点像を制御す
ることができる。また、同じ点像を構成する要素ホログ
ラム中でも、照射する光を制御し、点灯させるものとさ
せないものを作ることで、点像の視域を制御することも
できるが、これについては後で説明をする。
【0038】実際に三次元画像表示装置として使用する
には、多数の点像のホログラムを作製する必要がある。
そして、多数のホログラムを作製するには、マスク11
6の開口率を下げ、さらに前述の図3に示した光学系で
の転写回数を増やせば良い。図7にそのようにして作製
した要素ホログラムパネルと、そこに記録されたすべて
の点像を表示したところを示す。
【0039】これを用いて三次元画像を表示する方法に
ついて、その時の概念図である図8を用いて説明する。
要素ホログラムパネル2030の感光材料面の反対側に
空間光変調器2070を配置する。そして、空間光変調
器2070へ要素ホログラムパネルが配置されているの
とは反対側から再生照明光2005を入射する。空間光
変調器2070としては液晶パネルが使用でき、要素ホ
ログラムパネル2030作製時にその液晶パネルの画素
のピッチに合わせて、マスク116の開口を作製してお
くことで、その液晶パネルの画素による透過/遮断によ
り、要素ホログラムに入射する光を制御することが可能
となる。図8では、立方体を表示するところを横から図
示している。
【0040】ここで、点像の視域の制御について説明す
る。図8において、P1からP9は点像を表している。
そして、h1からh12は要素ホログラムで、要素ホロ
グラムh1からh9が点P1からP9、また要素ホログ
ラムh10は点P1、要素ホログラムh11は点P2、
要素ホログラムh12は点P3表示のためのものであ
る。ここで、要素ホログラムh1,h4,h7,h1
0,h11,h12から回折する光は、別の点像により
遮られない。しかし、それ以外の要素ホログラムから回
折する光は別の点像に隠れて見えないはずである。
【0041】そこで隠れて見えない部分の要素ホログラ
ムには再生照明光2005が入らないように、液晶パネ
ル(空間光変調器2070)で制御を行う。図8には、
制御の結果、光を照射された要素ホログラムからの回折
光を実線矢印で示し、光を照射されなかった要素ホログ
ラムの光を当てた場合の回折方向を点線で示した。光の
照射/非照射は、コンピュータを用いてコンピュータに
格納されている画像データに従って制御できる。このよ
うにすることで、自由な三次元の画像の描画が可能とな
る。
【0042】また、図9のような構成をとることでも、
三次元画像表示装置1として使用することができる。こ
の例では、光の照射を液晶パネルによる透過/遮断では
なく光の走査と変調とで行っている。表示したい三次元
画像データ8(図では球状物体)を用意する。ここで用
意する三次元画像データ8は、表示する物体の位置関係
のデータも含めて持っている。これにより、表示物体の
裏側が透けて見えないように表示することができる。制
御コンピュータ7によって変調器4およびXY偏向器5
を制御し、レーザ光6をラスタスキャンにより要素ホロ
グラムパネル11上の、三次元画像を構成する点像に対
応する要素ホログラムに順次投射していく。基本的に
は、その点像が見えるか見えないかを判定し、その画像
に対応するどの要素ホログラムにレーザ光を照射するか
決定する。この時、レーザ光6の走査速度を十分に高速
にすることにより、要素ホログラムパネル11上に三次
元画像10が表示できる。なお、投射レンズ12は、要
素ホログラムパネル11上にレーザ光6をほぼ垂直に入
射させるために設置してあるものである。要素ホログラ
ムパネル11の構造によっては、必ずしもレーザ光を垂
直入射させる必要はなく、斜め方向からの入射でも良
い。
【0043】図8を用いて説明したものと図9を用いて
説明したものとのいずれの場合も、観測者の目に入る光
は、ホログラムで再生されたもので、目の調節作用を利
用した極めて自然なものとなる。
【0044】上記第1の実施形態では、表示物体として
点像を使用したが、体積を持った物体を表示することも
可能である。体積を持った物体の転写用ホログラムを作
製し、表示したいピッチだけ、回折素子パネルを移動し
ながら転写をするようにすると、その物体を転写した数
だけ表示できるようになる。その中の一つだけを表示
し、順番に表示しているものを変えていくと、物体が移
動していく様子も表すことができる。これは、表示した
い物体があらかじめわかっている時は便利である。
【0045】そこで、次に、第2の実施形態として、上
記第1の実施形態における点像119、419の代わり
に、三次元の物体を表示する要素ホログラムパネルの製
造方法を説明する。なお、上記第1の実施形態では表示
物体を点像で実像として再生していたが、本実施形態で
は虚像として再生されるものである。この作製の手順を
簡単に説明する。
【0046】最初に、転写用回折素子を作製する。本実
施形態でも、転写用回折素子としてホログラムを使用
し、これは、一つの物体光用の要素ホログラムを作製す
るのに使用するものである。転写用ホログラムは物体光
用及び参照光用の2つのホログラムとからなり、転写用
ホログラムに再生照明光を入射すると再生光が発せら
れ、これが物体光と参照光になる。これらを別の乾板に
入射することで、一つの物体表示のための要素ホログラ
ムが作製される。そして、乾板を移動させながら、この
物体光と参照項との照射を繰り返すことで複数個の物体
表示のための要素ホログラムパネルが作製できる。
【0047】次いで、本実施形態の転写用回折素子作製
について、図10及び図11を用いて、より詳細に説明
する。図10は本実施形態の転写用回折素子作製時の光
学系を示す概念図である。図10(a)は、転写用ホロ
グラムのうち、物体光用ホログラムの製法を示すもので
ある。物体光用ホログラムを形成する乾板611には、
Agfa8E75HDホログラフィック乾板を用い、そ
の乾板の厚さdは1.5mmである。この乾板611の
感光材料面の反対側から、本ホログラム作製のための参
照光612を入射し、そのときの入射角は75°とし
た。また、乾板611の感光材料面からの距離Lが20
mmのところにマスク616を配置した。このマスク6
16は、要素ホログラムの配置を決めるものであり、本
実施形態では、一例として、200μm×200μmの
エリア毎に50μm×50μmの開口が格子状に配置さ
れているものを用いた。さらに、マスク616から10
mm(乾板611の感光材料面からは30mm)のとこ
ろに物体619を配置し、参照光612と干渉性のある
照明光622で照射した。そして、物体619に照明光
622が照射され発生した光は、マスク616を透過し
物体光613として乾板611に入射する。以上の光学
系で物体光用ホログラム用の干渉パターンを形成した。
【0048】次に、転写用ホログラムのうち、参照光用
ホログラムの製法について、その光学系を示す図10
(b)を用いて説明する。前述の図10(b)に示した
物体619を取り除き、乾板611に垂直に平行光を入
射する。この平行光が物体光614となる。このとき、
参照光用ホログラム作製時には照明光622は照射しな
い。物体光614は参照光612と干渉性があるものを
使用する。以上の光学系で平行光用ホログラム用の干渉
パターンを同じ乾板611上に形成させた。
【0049】上記のようにして干渉パターンが形成され
た乾板611を、現像、漂白し、位相型ホログラムとし
た。
【0050】以上のようにして作製した転写用ホログラ
ム(乾板611)を用いた物体619の要素ホログラム
を転写について、そのときの光学系を示す図11を用い
て説明する。転写用ホログラム(乾板611)の感光材
料面から距離Lのところに、要素ホログラムパネル用の
乾板631(Agfa8E75HD)を配置した。そし
て、感光材料面から、作製時の参照光612と反対向き
(入射角75°)の再生照明光715を入射した。この
再生照明光715は、転写用ホログラム(乾板611)
で回折し、再生光712と再生光713となる。ここ
で、転写用ホログラム(乾板611)と要素ホログラム
パネル(乾板631)間の距離Lは作製時と同じとする
ので、前述の図10でマスク616の開口部分があった
場所にしか再生光712は達しない。また、再生光71
2は平行光であり、これが参照光となる。そして、再生
光713もマスク616の開口部分があった場所にしか
達せず、これは物体像719を形成する光となり、これ
が物体光となる。
【0051】これら再生光713(参照光)と再生光7
12(物体光)とを、乾板631上の同一部分に入射
し、そこに発生する回折パターンを転写することにより
干渉パターンを形成して、これが物体719を表示する
ための要素ホログラムを形成することになる。これは、
転写用ホログラムが前述の図10のマスク616の像を
乾板631上に転写し、転写している部分にのみ要素ホ
ログラム用の干渉パターンを形成することと同じであ
る。従って、要素ホログラムの干渉パターンが転写され
る領域の形状は、マスク616の形状を回折限界までの
精度で再現可能である。
【0052】そして、乾板631を転写用ホログラムに
対して水平方向に、かつ要素ホログラムを作製している
領域が重ならないように移動しながら、4個の物体用の
要素ホログラム用の干渉パターンを作製した。移動時
に、乾板631と転写用ホログラムは密着していないの
で、接触による物理的な損傷などは発生しない。
【0053】干渉パターンをすべて作製し、その後で乾
板631を現像、漂白することで要素ホログラムパネル
(乾板631)が作製できた。
【0054】本実施形態では、転写用ホログラムは物体
光用、参照光用とも同一の乾板611上に作製したが、
別々に作製することも可能である。そのときは、上記第
1の実施形態のように、参照光の露光時は乾板とマスク
の距離を乾板の厚さdだけずらす必要がある。
【0055】また、転写用ホログラムを複数の物体につ
いて用意することで、異なる物体を所望の位置に浮かせ
ることのできる要素ホログラムパネル(乾板631)を
作製することが可能となる。
【0056】次いで、以上のように作製した要素ホログ
ラムパネル(乾板631)を再生し、三次元画像表示装
置に用いるときの手順について、そのときの光学系を示
す図12を用いて説明する。要素ホログラムパネル(乾
板631)の感光材料面の反対側から要素ホログラムパ
ネル中の一つの像を構成する全ての要素ホログラムに垂
直に再生照明光815を入射させると、光が回折し再生
光813が発生する。この光は乾板から再生照明光の入
射面側に30mmのところに像があるのと波面が同じ光
である。そして、この再生光813は発散していき、観
測者の目にはいる。点灯させたい要素ホログラムに向け
て平行光815を入れることで、物体像の表示/非表示
を制御できる。上記第1の実施形態と同様に同じ物体像
を構成する要素ホログラム中でも、照射する光を制御
し、点灯させるものとさせないものを作ることで、物体
像の視域を制御することもできる。
【0057】本実施形態においても、観測者の目に入る
光は、ホログラムで再生されたもので、目の調節作用を
利用した極めて自然なものとなる。
【0058】次いで、第3の実施形態として、上記第1
及び第2の実施形態において、転写用ホログラム作製時
にプリズムを利用した実施形態について説明する。本実
施形態では、プリズムを使用することにより、光が乾板
に入射する際に乾板表面で反射しずらくなり、光の利用
効率を高めることができるものである。また、参照光を
乾板の感光材料面の反対側から入れることが可能とな
り、感光材料面側から入れる必要がなくなる。そのた
め、乾板とマスクの距離を極めて短くとることが可能と
なり、光学系のセッティングが簡便であるという特長が
ある。
【0059】本実施形態では、上記第1の実施形態と同
じく点像用のホログラムを作製するときを説明する。そ
の基本的な手順は、プリズムを使用する以外は上記第1
の実施形態とほぼ同様なものであり、その転写用ホログ
ラム作製について、そのときの光学系を示す図13を用
いて説明する。
【0060】図13(a)は転写用ホログラムのうち、
物体光用ホログラムの製法を示すものである。乾板91
1として、Agfa8E75HDホログラフィック乾板
を使用し、その乾板911の厚さdは1.5mmであ
る。この乾板911の感光材料面の反対側に、プリズム
918を図13(a)の様に配置する。そして、プリズ
ム918と乾板911との間には、インデックスマッチ
ングオイル(図示せず)を入れてこれらを密着をする。
そして、平行光922をプリズム918の斜辺から、乾
板911の感光材料面と空気の境界のところで全反射す
る角度で入射して、反射した光が参照光912となる。
また、乾板911の感光材料面から距離ΔLが100μ
mのところにマスク916を配置した。
【0061】マスク916は、要素ホログラムの配置を
決めるものであり、本実施形態では、一例として、20
0μm×200μmのエリア毎に50μm×50μmの
開口が格子状に配置されているものを用いた。さらに、
乾板から10mmのところに集光レンズ917を配置
し、参照光912と干渉性のある平行光932で照射し
た。平行光932は集光レンズ917を透過すること
で、点像919を形成する物体光913となる。以上の
光学系で物体光用ホログラム用の干渉パターンを形成し
た。
【0062】次に、転写用ホログラムのうち、参照光用
ホログラムの製法について、そのときの光学系を示す図
13(b)を用いて説明する。前述の図13(a)に示
した光学系よりレンズ917を取り除き、乾板911に
垂直に平行光を物体光914として入射する。この物体
光914は、参照光912と干渉性があるものを使用す
る。以上の光学系で平行光用ホログラム用の干渉パター
ンを物体光用ホログラムと同一の乾板911に形成させ
た。
【0063】なお、平行光922が物体光913や物体
光914や参照光912と干渉して発生する干渉パター
ンの影響は本実施形態の説明の最後に述べる。上記のよ
うにして干渉パターンが形成された乾板911を、現
像、漂白し、位相型ホログラムとした。
【0064】以上のようにして作製した転写用ホログラ
ム(乾板911)による点像の要素ホログラムの転写に
ついて、その光学系を示す図14を用いて説明する。転
写用ホログラム(乾板911)の感光材料面側から距離
ΔLのところに、要素ホログラム用の乾板931(Ag
fa8E75HD)をおいた。この乾板911の感光材
料面の反対側にプリズム918を図14に示す様に配置
する。プリズム918と乾板911とは密着させる。そ
して、平行光をプリズム918の斜辺から転写用ホログ
ラム(乾板911)の感光材料面で全反射するような角
度で入射すると、入射した光自体が再生照明光1015
となる。この再生照明光1015は、転写用ホログラム
(乾板911)で回折し、再生光1012と再生光10
13となる。また、回折しないで反射する反射光102
5も存在する。これによる干渉パターンの影響は本実施
形態の説明の最後に述べる。
【0065】再生光1012は平行光でこれが要素ホロ
グラムを作製するときの参照光となり、再生光1013
は点像919を形成する光であり、これが要素ホログラ
ムを作製するときの物体光となる。そして、乾板間の距
離ΔLは作製時と同じなので、図13でマスク916の
開口部分があった場所にしか物体光(再生光1013)
は来ない。また、参照光(再生光1012)も、乾板9
11と乾板931の間の距離ΔLは作製時と同じなの
で、物体光のときと同じく、マスク916の開口部があ
った場所にしか入射しない。そして、これら物体光(再
生光1013)と参照光(再生光1012)とによって
発生する回折パターンにより、乾板931上に一つの点
像を表示するための要素ホログラム用の干渉パターンを
形成する。これは、転写用ホログラムが前述の図13の
マスク916の像を乾板931上に転写し、転写してい
る部分にのみ要素ホログラム用の干渉パターンを形成す
ることと同じである。従って、要素ホログラムの干渉パ
ターンが転写される領域の形状は、マスク916の形状
を回折限界までの精度で再現可能である。
【0066】そして、乾板931を転写用ホログラムに
対して水平方向に、かつ要素ホログラムを作製している
領域が重ならないように移動しながら、4個の点像用の
要素ホログラム用の干渉パターンを作製した。移動時
に、乾板931と転写用ホログラムは密着していないの
で、接触による物理的な損傷などは発生しない。このよ
うにして干渉パターンを形成した乾板931を、現像、
漂白することで要素ホログラムパネルが作製できた。再
生の手順は、図6から図9を用いて説明した上記第1の
実施形態と全く同じであるので省略する。
【0067】なお、本実施形態では、物体光と参照光と
で乾板911上に作製した干渉パターンに再生照明光を
照射して回折光を発生させ、これを乾板931に入射す
ることで転写を行っていた。しかし、参照光を発生させ
るためにプリズムから入射した入射光も、物体光や参照
光と干渉パターンを形成する可能性がある。また、転写
時の再生照明光としてプリズムに入射した光の反射光
も、回折光を発生してしまう。しかし、これらによる回
折光は、ほとんどが乾板931から遠ざかる方向へ出る
ので影響は及ぼさない。例外としては、平行光922が
物体光913または物体光914とによる干渉パターン
と、反射光1025により発生する回折光のみである。
しかし、これらは転写の時に使用する回折光と同じ波面
であり、影響はない。
【0068】第4の実施形態として、上記第3の実施形
態において、複数の点像ホログラムを、一つの転写用ホ
ログラムで転写するものについて、その作製時の光学系
を示す図15を用いて説明する。ここでは、一つの転写
用ホログラムで複数の点像ホログラムを転写すること
で、転写の回数を大幅に減らすことができる。
【0069】本実施形態では、二つの点像を一つの転写
用ホログラムで転写する例を説明する。この手順は、上
記第3の実施形態とほぼ同じである。
【0070】図15(a)は転写用ホログラムのうち、
一つ目の点像用ホログラムの製法を示すものである。乾
板941として、Agfa8E75HDホログラフィッ
ク乾板を使用した。この乾板941の感光材料面の反対
側にプリズム948を図の様に配置する。プリズム94
8と乾板941の間にはインデックスマッチングオイル
(図示せず)を入れて密着をする。また、乾板941の
感光材料面から距離ΔLが100μmのところにマスク
946を配置した。
【0071】マスク946は、要素ホログラムの配置を
決めるものであり、本実施形態では、一例として、20
0μm×200μmのエリア毎に50μm×50μmの
開口が格子状に配置されているものを用いた。そして、
乾板の感光材料面の反対側の距離25mm離れたところ
で集光する物体光943をマスク946に入射した。こ
れが、点像949の位置で集光し、そこからまた拡がっ
ていく。物体光943と干渉性のある平行光942をプ
リズム948の斜辺から、乾板941の感光材料面と空
気の境界のところで全反射するような角度で入射する。
ここで反射した光が参照光952となる。プリズム94
8の斜面には、平行光942が乾板941上で、物体光
943のあたる部分にしかあたらないようマスク956
を配置する。以上の光学系で一つ目の点像ホログラム用
の干渉パターンを乾板941上に形成させる。
【0072】次に、二つ目の点像用ホログラムの作製法
について、そのときの光学系を示す図15(b)を用い
て説明する。物体光の集光する部分を、乾板の感光材料
面の反対面から20mmのところへ代え、これを物体光
953とする。また、マスク946をマスクの開口一つ
分(50μm)だけ平行に移動させ、移動したマスクを
966と記す。そして、プリズム948の斜面には、平
行光942が乾板941上で、物体光953のあたる部
分にしかあたらないようにマスク956の代わりにマス
ク976を配置する。以上の光学系で二つ目の点像ホロ
グラム用の干渉パターンを形成させた。
【0073】最後に、参照光用ホログラムの作製法につ
いて、そのときの光学系を示す図15(c)を用いて説
明する。平行光を物体光963として使用した。また、
マスク966をマスク986に入れ換える。マスク98
6にはマスク946、マスク966の開口部を合わせた
開口部を持たせ、マスク986の開口部がマスク94
6、マスク966に一致するように配置する。プリズム
948の斜面には、平行光942が乾板941上で、物
体光963のあたる部分にしかあたらないようにマスク
956の代わりにマスク996を配置する。以上の光学
系で参照光のホログラム用の干渉パターンを作製する。
【0074】上記のようにして干渉パターンが形成され
た乾板941は、現像、漂白し、位相型ホログラムとす
る。
【0075】以上のようにして作製した転写用ホログラ
ム(乾板941)による点像の要素ホログラムの転写に
ついて、そのときの光学系を示す図16を用いて説明す
る。転写用ホログラム(乾板941)の感光材料面側か
ら距離ΔLのところに、要素ホログラム用の乾板961
(Agfa8E75HD)を配置した。この乾板941
の感光材料面の反対側にプリズム948を図16に示す
様に配置する。プリズム948と乾板941は密着をす
る。平行光をプリズム948の斜辺から転写用ホログラ
ム941の感光材料面で全反射する角度で入射すると、
入射した光自体が再生照明光1045となる。再生照明
光1045は、転写用ホログラム941で回折し、再生
光1042と再生光1043となり、また、ここで回折
しないで反射する反射光1055も存在する。再生光1
042は、平行光でこれが参照光となる。再生光104
3は、点像949、点像959から出た光と同じ波面を
持ち、これが物体光となる。
【0076】そして、乾板間の距離ΔLは作製時と同じ
なので、前述の図15のマスク946、966(または
986)の開口部分があった場所にしか物体光(再生光
1043)は達しない。また、参照光(再生光104
2)も、乾板間の距離ΔLは作製時と同じなので、物体
光のときと同じく、前述の図15のマスク946、96
6(または986)の開口部があった場所にしか入射し
ない。そして、これら物体光1043と参照光1042
とにより発生する回折パターンは、乾板961上に二つ
の点像を表示するための要素ホログラムの干渉パターン
を形成する。これは、転写用ホログラムが前述の図15
のマスク986の像を乾板961上に転写し、転写して
いる部分にのみ要素ホログラムの干渉パターンを形成す
ることと同じである。従って、要素ホログラムの干渉パ
ターンが転写される領域の形状は、マスク986の形状
を回折限界までの精度で再現可能である。
【0077】そして、乾板961を転写用ホログラム
(乾板941)に対して水平方向に、かつ要素ホログラ
ムを作製している領域が重ならないように移動しなが
ら、干渉パターンを作製した。移動時に、乾板961と
転写用ホログラム(乾板941)は密着していないの
で、接触による物理的な損傷などは発生しない。このよ
うにして干渉パターンが形成された乾板961を、現
像、漂白することで要素ホログラムパネルが作製でき
た。再生の手順は、上記第3の実施形態と同様、図6か
ら図9を用いて説明した上記第1の実施形態と全く同じ
であるので省略する。
【0078】本実施形態においても、上記第3の実施形
態と同じく、不必要な干渉パターンができてしまう可能
性がある。しかし、上記第3の実施形態と同様に、それ
による影響はない。また、本実施形態では、一つの転写
用ホログラムに記録した点像の個数は2個であったが、
これは、何個でも良いのは言うまでもない。
【0079】なお、上記第1及び第2の実施形態におい
て、転写用ホログラムを物体光用と参照光用にわけて作
製したとき、物体光用ホログラムの作製時のマスクとの
距離をL、参照光用ホログラムの作製時のマスクとの距
離をL+dとしていた。これは、逆にすることも可能で
ある。そのときは、転写時に物体光用ホログラムと参照
光用ホログラムを合わせるときに、参照光用ホログラム
を要素ホログラムの乾板側に配置する必要がある。さら
に、物体光用の転写ホログラムを作製する際には、参照
光用の転写ホログラムを配置すべき位置にガラス板を置
く必要がある。そうしないと、そこの部分の屈折率が異
なり、物体光が透過する際の屈折の様子が変わり、要素
ホログラムを正しく記録できない。
【0080】また、転写時に参照光用ホログラムと物体
光用ホログラムを密着せず、距離Δdを空ける場合に
は、参照光用ホログラムと物体光用ホログラムを作製す
るときに空ける距離を厚さdの他に、さらに距離をΔd
ずらす必要がある。こうしないと、物体光の広がり具合
が変わり、要素ホログラムが正しく記録できない。
【0081】また、転写用ホログラムおよび要素ホログ
ラムパネル作製時に用いる参照光および再生照明光は平
行光としたが、必ずしも平行光である必要はない。再生
照明光が参照光と共役な光であればよい。
【0082】また、上記の全ての実施形態において、参
照光が一種類と物体光が一種類で干渉パターンを形成し
ていたが、物体光を複数用意しても、転写用回折素子を
作製できる。
【0083】さらに、上記の全ての実施形態において、
転写用回折素子はホログラフィック干渉法で作製したホ
ログラムを使用したが、点像または表示物体を表示する
回折素子パネルのパターンを計算によって求め、それを
電子線描画することで作製した回折素子を使うこともで
きる。また、バイナリーオプティクスで作製した回折素
子も使用することが可能である。
【0084】なお、上記の全ての実施形態において、感
光材料としてガラス基板上に銀塩感光材料が形成された
乾板を用いたが、これに限定されるものではなく、フォ
トポリマー等を用いても良いものである。
【0085】
【発明の効果】以上詳細に説明した通り、本発明によれ
ば、光学的に転写すべき干渉パターンを発生させている
ので高い精度の回折素子が作製できる。また転写時にマ
スクを使用せず、その密着不完全さによる回折の影響が
なく、さらに、回折素子の転写に転写用回折素子を使用
しているので本質的に回折限界の精度で回折素子パネル
を作製できる。
【0086】また、基板を密着させる必要がないので、
転写用回折素子と基板の位置関係の変化が容易である。
また、位置関係を変化させながら要素ホログラムを作製
しても損傷が発生しえず、容易に高品質の回折素子パネ
ルが作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による第1の実施形態の回折素子パネ
ルの製造方法を説明する概略図である。
【図2】 第1の実施形態で用いる転写用回折素子の作
製時の光学系を示す概略側面図である。
【図3】 第1の実施形態の回折素子パネルの作製にお
いて図2の転写用回折素子を用いて回折パターンを転写
する時の光学系を示す概略側面図である。
【図4】 第1の実施形態で用いる転写用回折素子で物
体光用と参照光用とを1枚の乾板で作製する時の光学系
を示す概略側面図である。
【図5】 第1の実施形態の回折素子パネルの作製にお
いて図3の転写用回折素子を用いて回折パターンを転写
する時の光学系を示す概略側面図である。
【図6】 第1の実施形態で作製した回折素子パネルに
よる点像再生時の光学系を示す概略斜視図である。
【図7】 第1の実施形態で作製した回折素子パネルに
より立体物を表示するような点像をすべて表示したよう
すを示す概略斜視図である。
【図8】 第1の実施形態で作製した回折素子パネルに
よる三次元画像再生を説明するための概略側面図であ
る。
【図9】 第1の実施形態で作製した回折素子パネルを
用いた三次元画像表示装置を説明するための概略図であ
る。
【図10】 第2の実施形態の転写用回折素子の作製時
の光学系を示す概略側面図である。
【図11】 第2の実施形態の回折素子パネルの作製に
おいて図10の転写用回折素子を用いて回折パターンを
転写する時の光学系を示す概略側面図である。
【図12】 第2の実施形態で作製した回折素子パネル
による物体像再生時の光学系を示す概略斜視図である。
【図13】 第3の実施形態の転写用回折素子の作製時
の光学系を示す概略側面図である。
【図14】 第3の実施形態の回折素子パネルの作製に
おいて図13の転写用回折素子を用いて回折パターンを
転写する時の光学系を示す概略側面図である。
【図15】 第4の実施形態の転写用回折素子の作製時
の光学系を示す概略側面図である。
【図16】 第4の実施形態の回折素子パネルの作製に
おいて図13の転写用回折素子を用いて回折パターンを
転写する時の光学系を示す概略側面図である。
【図17】 従来の透過型回折素子パネルの製造方法を
説明するための概略図である。
【図18】 従来の反射型回折素子パネルの製造方法を
説明するための概略図である。
【符号の説明】
1 三次元画像表示装置 2 レーザ光源 3,6 レーザ光 4 変調器 5 XY偏光器 7 制御コンピュータ 8 三次元画像データ 9 画像データメモリ 10 三次元画像 11,2030 要素ホログラムパネル 12 投射レンズ 101 転写用ホログラム 111,121,131,411,431,611,6
31,911,931,941 乾板 112,412,612,912,952,962,9
72 参照光 212,512,712,1012,1042 再生光
(参照光) 622 照明光 132,432,922,932,942 平行光 113,413,613,913,943,953,9
63 物体光 213,513,713,1013,1043 再生光
(物体光) 313,813 再生光 114,414,614,914 物体光 215,315,515,715,815,1015,
1045,2005再生照明光 116,416,616,916,946,956,9
66,976,986,996 マスク 117,417,917 集光レンズ 918,948 プリズム 119,419,919,949,959 点像 619,719 物体 2070 空間光変調器

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所望の領域にのみ二種類以上の光を入射
    させて回折パターンを発生させるような干渉パターンが
    形成されている転写用回折素子の製造方法であって、回
    折パターンが転写される所望の領域と同一の形状で光の
    透過/遮断を行うマスクを介して、干渉パターン発生用
    の二種類以上の光のうちの少なくとも一つが転写用回折
    素子となる感光材料に達するように、前記マスクを前記
    転写用回折素子となる感光材料に接触しないように配置
    して、光の干渉パターンを形成することを特徴とする転
    写用回折素子の製造方法
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の転写用回折素子の製造
    方法において、前記転写用回折素子となる感光材料に干
    渉パターン発生用の光の二種類以上のうちの少なくとも
    一つがプリズムを介して達するように、プリズムを用い
    て光の干渉パターンを形成することを特徴とする転写用
    回折素子の製造方法
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の転写用回折素子の
    製造方法により作成された転写用回折素子を用いて、視
    域を分割した物体表示を行う回折素子が規則的に記録さ
    れた回折素子パネルを光の回折パターンにより形成する
    製造方法であって、前記転写用回折素子と回折素子パネ
    ルとなる感光材料との位置関係を変化させながら、前記
    転写用回折素子からの光により回折素子を形成すること
    を特徴とする回折素子パネルの製造方法
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の回折素子パネルの製造
    方法において、表示物体として点像を再生するように回
    折素子を形成することを特徴とする回折素子パネルの製
    造方法
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