JP3380722B2 - 複合床版及び床 - Google Patents

複合床版及び床

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JP3380722B2
JP3380722B2 JP28381097A JP28381097A JP3380722B2 JP 3380722 B2 JP3380722 B2 JP 3380722B2 JP 28381097 A JP28381097 A JP 28381097A JP 28381097 A JP28381097 A JP 28381097A JP 3380722 B2 JP3380722 B2 JP 3380722B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構築物の床に関
し、更に詳しくは、床へ大きな衝撃が加わった時、主と
して下階に大きな音が発生するのを抑制する複合床版に
関する。本発明の複合床版は、構築物の床、特に住宅の
床に有効である。また、道路橋、鉄道橋のような橋梁分
野、工場床にも応用できる。
【0002】
【従来の技術】従来より、住宅の床では、上階からの床
衝撃音が建物の内部発生騒音の代表とされ、様々な工夫
がなされている。通常の歩行音やスプーン等の軽量物の
落下音は、軽量床衝撃音と呼ばれ、床仕上材でほとんど
下階の人に遠慮なく生活できるようになってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、幼児の走り
周り、椅子等からの飛び降りのような重量を伴う衝撃に
起因する音は、重量床衝撃音と呼ばれ、RC造のような
剛性の高い構造においては、床厚を増すことにより解決
されている。しかし、住宅の大半を占める戸建住宅や低
層アパート等は、木造、プレハブ造、ツーバイフォー等
の柔構造の躯体が用いられている。かかる住宅の重量床
衝撃音の低減は、非常に多くの分野の多くの研究者等が
長期に亘り、鋭意努力しているにも拘らず、未解決の分
野として残っている。
【0004】本発明の目的は、複数に分離分割された分
割床版を平面上に並べ1つにした所定の床版を用いるこ
とによって、戸建住宅や低層アパート等で発生する重量
床衝撃音を低減させることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、床版と、制振
材と、板状材と、周縁拘束材とを備え、重量床衝撃音を
低減する複合床版であって、前記床版が複数に分離分割
された分割床版を平面上に並べ1つにしたものであり、
前記各分割床版の間に振動絶縁材が配置されており、
記制振材が前記床版の下面に密接しており、前記板状材
が前記制振材の下面に密接しており、前記周縁拘束材が
前記床版の周縁部及び周縁近傍部の少なくとも一方を拘
束しており、前記床版の振動が抑制されていることを特
徴とする複合床版に係る。
【0006】本発明者は、前述した重量衝撃音を緩和す
べく、戸建や低層アパートのような柔構造の住宅床にお
いて、多くの試験を行ない、本発明を完成させた。
【0007】本発明は、床版の下面に制振材と板状材で
床版を拘束制振することと、床版を拘束材で強固に拘束
することと、床版を複数の分割床版から形成して床版が
曲げ振動を受け難くすると同時に、受けた振動を小片の
分割床版からの発生音にすることにより、発生音を対策
が困難な低周波域から対策が容易な高周波域に移行させ
ることができるという知見に基づいている。
【0008】また、本発明は、床版下面で拘束型制振を
行う場合は、荷重がほとんどかからないため、従来の床
版上の拘束型床材では使えなかった柔軟で塑性流動を起
こす降伏値の低い材質や発泡体のような変形量の大きい
材質のものも使用でき、低周波数域に有効であるという
知見に基づいたものである。
【0009】更には、本発明は、床版の周縁部や周縁近
傍部や床版下部に設けられた拘束材が、床版端部にかか
る曲げ振動の回転成分を減少させ、低周波の音に改善す
るのに有効であること、更に拘束材を床版周縁に設け、
その内周に無数の突出部を設けることにより、より顕著
にその傾向が高まるという知見に基づいてなされたもの
である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で用いる床版は、普通コン
クリート、軽量コンクリート、軽量気泡コンクリート、
モルタル、石膏等の水硬性物質の硬化物、アスファルト
コンクリート、レジンモルタルからなるもので、中空押
出セメント版やボイドスラブ、ワッフルスラブのような
断面形状や、デッキプレートやキーストンプレート上に
形成されたものであってもよい。また、かかる床版に
は、配筋があった方が曲げ剛性が高くなるので好まし
い。
【0011】床版は数個に分離分割されたものを平面上
に並べ1つにされたものである。かかる分割床版では、
重量床衝撃を受けた場合、低周波数の音がより高周波数
の成分の音に移行する。これは充分に解明された訳では
ないが、木琴のように大きいものの方が低い音が発生
し、小さいものになる程、高い音が発生するという現象
が関与しているものと推定される。
【0012】床版を作る時に、粘弾性体を目地材として
使い、分割床版とする。この場合、目地材は分割の役割
と振動絶縁の役割を兼ね備える設計となるが、特に、床
版の構成素材と接着する材質であれば床版の厚み方向で
拘束型の制振を行うことができ、効率の高い振動吸収を
行うことができる。これは、床版下面の制振材と板状材
とが発揮する水平方向の拘束型制振と、床版と床版とに
はさまれた振動絶縁材が発揮する垂直方向の拘束型制振
とを同時に達成することができるためと思われる。
【0013】床版や分割床版は、周縁部、周縁近傍部、
床版下部の少なくとも何れか一つの部位で、拘束材によ
り拘束されることが重要である。床版に大きな衝撃が加
わると、床版は様々な振動モードで振動する。床版の曲
げを抑え、振動の回転成分を減少することは、床衝撃音
を低減させる上で重要な手段の一つとなる。このこと
は、分割床版とした時、床版の縦、横、厚みの比でみる
と、厚みの比を大きく設計できるだけでなく、拘束材の
拘束効果も一段と高まり、曲げ振動を受けにくい構成と
なるため、一段と効果が高くなるものと思われる。
【0014】また、床版下部に予じめナット等を埋めて
おき、制振材、板状材の取付後にボルト等でこれらを固
定し、落下防止処理を施すことは、万一の安全面でも重
要である。
【0015】拘束材としては、鉄、ステンレス、アルミ
ニウム等の金属、木材、合成樹脂、FRP等を単独又は
併用することができるが、耐久性、コスト、加工性、汎
用性を考慮すると鉄製のものが好ましい。
【0016】拘束材を設ける床版や分割床版の部位は、
床版の周縁又は周縁近傍を溝形鋼、軽溝鋼、山形鋼等で
全周囲う方法や、床版下部の床版固定部を避けた内側の
外周近傍で溝形鋼、山形鋼、I形鋼等をボルト等で強固
に枠状に取付ける方法や、特に外周近傍にこだわらず、
床版の寸法、材料等で一番効果的な任意の位置や形状で
床版下部を固定する方法がある。また、拘束材で床版や
分割床版の外周を囲む場合は、拘束材の内周に無数の突
出部を溶接等で固定して設け、この突出部で更に拘束す
る方法は非常に効果的である。
【0017】また、拘束材には、ブレース筋等のような
複数の拘束材を結合することができる結合部材の取付部
や突出部、又はボルト、ピン等の落下防止材を設けてお
き、床版下面の制振材や板状材の落下防止を考慮するこ
とが望ましい。
【0018】制振材は床版の下面に密接し、更に後述す
る板状材との間にはさまれ、いわゆる拘束型制振と動吸
振を併せて行うことができる。本発明に好適な制振材の
具体例を挙げると、非加硫ゴム系、発泡体系、架橋系が
あり、非加硫ゴム系には、ブチルゴム、天然ゴム、それ
等の再生ゴム、ポリイソブチレン、EPR、EPT、S
IS、SBS、SEBS等のゴムと粘着付与樹脂と可塑
剤と充填剤とを混合して得られたもので、針1mmφ、
総荷重50g、5秒後の針入度を30〜300に調整し
たものが好ましい。また、再生ゴムを用いた系は、加硫
ゲル分の効果でコールドフローを防止することができ、
柔軟であり乍ら、降伏値が高い組成とすることができ
る。
【0019】発泡体系としては、EPT、CRを始め、
各種ゴムの発泡体、PE、PP、PVC、EVA、ウレ
タンスチロール、フェノール等のポリマー発泡体、前記
ゴムやポリマーの発泡体粉砕物をバインダーで固めたも
のや、それ等をスライスしたもの、一方でウレタン、液
状ポリブタジエン、液状クロロプレン等の常温反応型発
泡体を例示することができる。
【0020】架橋系は非加硫ゴム系のように非常に軟質
ではあるが、架橋してあるために、復元性はあるもの
の、復元に時間ズレが発生し、床版の振動と板状体の振
動との位相差が生じ易い組成物を得やすい。この架橋系
の具体例としては、ウレタン、ポリサルファイド、変性
シリコン、シリコン、液状ポリブタジエン、液状クロロ
プレンの柔らかい組成物を例示できる。SRIS規格の
C型硬度計で50以下のものが好ましい。
【0021】制振材は床版や板状材に密接していること
が必要で、密接度を向上させるために、粘着剤や溶着剤
を併用することもできる。
【0022】本発明では、床版の下面に制振材と板状材
を設けるため、従来の拘束型制振材として使用できなっ
かた低応力で降伏値を有する様な、例えば、JIS−K
−6215のダンベル1号形での引張応力が0.1kg/
cm2 〜10.0kg/cm2 の降伏値を有する塑性変形を起
こし易い粘弾性体や、圧縮変形量の大きな、例えばSR
IS 0101のC型硬度計で3〜50の硬度の発泡体
も使える。また、本発明では、床版下の空間に制振材等
を設けるため、これらの材料の変形量に制約がないた
め、制振材の厚みを厚くすることができる特徴があり、
それ故に、効果も高く従来低減が困難であった63H
z、125Hzでの衝撃音の低減が大である。
【0023】板状材は制振材拘束するためのものと同
義であり、更に動吸振の質量でもある。板状材の材質は
特に限定はなく、制振材に比べ剛性の高いものが好まし
い。それ等の具体例を挙げると、石膏ボード、セメント
板、中空押出セメント板、気泡コンクリート板、タイ
ル、ガラス等の無機質板材、合板、木材の板、ハードボ
ード、厚紙の板状物、ダンボール板等の木質板、各種ポ
リマーの板、FRP、アスファルトと高比重充填材から
なる板状材、鉄板、その他の金属板、各種組材のハニカ
ム板等を例示することができ、有孔板や表面凹凸板、波
板等であってもよい。
【0024】前述の制振材と板状材は交互に複数で用い
ることもできる。制振材、板状材とも種々の材質で複数
用いることもできるため、より発生周波数のコントロー
ルがし易くなる。
【0025】また、板状材は床版又は分割床版1板に対
して1枚であっても、複数枚であってもよく、床版や分
割床版をまたがっても良い。
【0026】振動絶縁材は分割床版間、分割床版と拘束
材の間、床版間、床版と構造躯体の間で用い、振動の伝
達の減少を行うものである。振動絶縁材は、その目的か
ら、大きく2つの性状に分けることができる。1つは、
床版内で目地材的な使い方である。床版を分割し、更に
床版の厚み方向で制振材としての効果が発揮できるよう
に接着させる場合である。残る1つは、直接接触するこ
とを避けるために、単なる振動絶縁として用いる場合で
ある。
【0027】前者には粘弾性体が好適である。特に、床
版の構成素材が水硬性のセメント含水物であり、その打
設時に目地材として床版を分割するのに用いる場合に
は、再生ブチルゴム系粘弾性体が好適である。硬化脱型
時には充分な接着強度が得られるからである。また、ア
スファルトコンクリート、レジンモルタル等では、アス
ファルトや使用レジンと相溶性の良好な粘弾性体を用い
れば、良好な接着性が得られる。
【0028】後者には様々な材質のものを例示すること
ができる。その具体例として、ロックウール、ラスウ
ール等の無機質繊維、羊毛、綿、麻等の天然繊維、ポリ
エステル、ナイロン、PP、レーヨン等の合成繊維等の
単体又はこれらを併用した不織布、フェルト、織布等
や、各種加硫ゴム、未加硫ゴム、各種ポリマーの単体又
はこれらの併用品、各種ポリマーや各種ゴムの単体又は
これらを併用した発泡体、各種ゴム、ポリマーやそれ等
の発泡体、各種繊維を粉砕して単独又は併用してバイン
ダーで成型したもの、コルク等を例示することができ
る。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。参考 例1 軽溝形鋼60H×30W×2.3tから、外寸600W
×1800Lの拘束材を作り、幅方向200mm間隔、
長さ方向に両端より200mmピッチで3本、中央1本
の配筋を行い、下面に合板を型枠とし、その上からレデ
ィーミクストコンクリートを打設し、床版を作成し、脱
型後、充分養生を行った。
【0030】次に、配合処方例1の混合物を床版の脱型
面を上にして拘束材の内側に30mm厚みのスペーサー
を設け、その中に流し込み、鉄板3.2mm厚×500
mm幅×420mm長さで覆い、約3倍に発泡させ、床
版と鉄板を配合処方例1の発泡体で発泡硬化と同時に接
着して、複合床版を3個作成した。
【0031】配合処方例1は以下に示す通りである。
【0032】図1は、参考例1にかかる複合床版の長辺
方向の断面図である。拘束材4に囲われた内部は両端よ
り200mmピッチで各3本と中央1本の配筋5がある
普通コンクリート1aとなっており、その下部に常温発
泡硬化型制振材2aと4枚の鉄板3aが設けられてい
る。
【0033】得られた複合床版を供試体として、重量床
衝撃音の測定をした。
【0034】参考例2参考 例1と同じ拘束材に12mm合板590W×179
0Lをセットし、配合処方例2の非加硫粘弾性体を10
mm厚のシート状で合板全面に貼付け、参考例1と同様
の配筋をした後、その上にレディーミクストコンクリー
トを打設し、床版を作成し、充分養生した。
【0035】配合処方例2は以下に示す通りである。
【0036】次に配合処方例3の非加硫粘弾性体を5m
m厚で12mm厚×500mm幅×420mm長さの石
膏ボード全面に貼り付け、床版下面の合板に4枚貼り付
けた。更に12mm厚×500mm幅×420長さの石
膏ボードに5mm厚PE発泡体を全面にアクリル粘接着
剤で貼り付け、床版下面の石膏ボード面にアクリル系粘
着剤で貼付けて複合床版を3個作成した。
【0037】配合処方例3は以下に示す通りである。
【0038】図2は、参考例2の複合床版の長辺方向の
断面図である。床版には、その外周と外周近傍の上下に
拘束材4が設けられている。また、そこには制振材2b
として、含水コンクリートと接着性を有する非加硫粘弾
性体と、板状材である合板3bが予め下面に設けられて
いる。この床版にも、配筋5が施工されており、その中
で普通コンクリート1aが形成されている。更にその下
面に2層づつの制振材2c,2dと板状体3cとが交互
に設けられている。
【0039】得られた複合床版を供試体とし、重量床衝
撃音の測定をした。
【0040】実施例 参考 例1と同じ拘束材を用意し、下側に型枠として12
mm合板をセットした後、参考例1と同じ配筋を設け、
長さ方向を360mmピッチで15mm厚の配合処方例
2の非加硫粘弾性体を振動絶縁材として仕切りを入れ、
レディーミクストコンクリートを前記仕切りを倒さない
よう注意しながら打設した。脱型後、充分養生して配合
処方例3の非加硫粘弾性体を3.2mm厚×500mm
幅×350長さの鉄板に5mm厚で全面に張り付け、床
版の脱型面に貼付けて複合床版を3個を作成した。これ
を供試体として重量床衝撃音の測定をした。
【0041】図3は、実施例の複合床版の長辺方向の
断面図である。床版には、予め長辺方向に5個に床版が
分割されるように、コンクリートと接着性を有する非加
硫粘弾性体を制振絶縁材6aと仕切りの両方の役目で設
けられ、そこで普通コンクリート1aが形成され、外周
と外周近傍の上下に軽量溝形鋼4が拘束材として用いら
れている。その床版の下部は床版間の振動絶縁用の前記
非加硫粘弾性体よりもさらに柔軟な非加硫粘弾性体を制
振材2cとし、その下部に鉄板3aを設けている。
【0042】実施例 溝形鋼5mm厚×100mm高さ×50mm幅から、外
寸890mm幅×350mm長さの拘束材10個を作
り、片面に型枠を設け、内側に配筋を設けた。セメント
100重量部、珪石240重量部、生石灰60重量部、
アルミニウム粉末0.2重量部を混合しながら、水を徐
々に加えていき、スラリーを枠の中へ打設し、発泡凝固
後、ピアノ線で片面を切断し、もう一方の面の型枠を脱
型後、10気圧、180℃でオートクレーブ養生をし
た。このようにして作った分割床版5個を並べ3mm厚
スポンジを介してその外側に不等辺山形鋼7mm厚×1
00mm高さ×75mm幅で作った900mm幅×18
00mm長さの拘束材で一体化して床版2個を作った。
【0043】前記床版各々の下面に配合処方例3の非加
硫粘弾性体を10mm厚で全面に貼付けた3.2mm厚
×750mm幅×300mm長さの鉄板を予めALC面
にブチルゴム粘着剤を塗布乾燥した面に貼付けて複合床
版2個を供試体として、重量床衝撃音を測定した。
【0044】図4は、実施例の複合床版の長辺方向の
断面図である。床版は、予め拘束材4と配筋5が配置さ
れた中に、ALC1bを流し、小さな分割床版を作り、
その分割床版5個の外周を拘束材4aで一体化した床版
に、制振材2cとして柔軟な非加硫粘弾性体を、板状体
3aとして鉄板を設けている。
【0045】実施例 実施例と同様に溝形鋼5mm厚×100mm高さ×5
0mm幅から、外寸890mm幅×350mm長さの拘
束材10個を作り、その拘束材の内側内周に長さ150
mmの突出部を約100mmピッチで熔接した後、片面
に型枠を取り付け、実施例と同様にしてALCを形成
させ分割床版を作った。又、実施例と同様に不等辺山
形鋼で900mm幅×1800mm長さの拘束材を作
り、3mm厚スポンジを介して5個の分割床版を一体化
した。
【0046】実施例と同様に配合例3の非加硫粘弾性
体10mm厚を3.2mm厚×750mm幅×300m
m長さの鉄板全面に貼り付け、ブチルゴム粘着剤を塗布
乾燥したALC分割床版の下面に貼り付け、複合床版2
個を作り、供試体として、重量床衝撃音を測定した。
【0047】図5は、実施例の複合床版の長辺方向断
面図の一部拡大図である。図4と同様に拘束材4の付い
た分割床版5個のさらに全外周を拘束材4aで囲って一
体化したものである。分割床版の枠には、予じめ内周に
15cmの突出部4bが多数熔接されており、その中に
ALC1bを形成させた分割床版と外側の拘束材4a
(一体化用)の間には振動絶縁材6bがあり、分割床版
間にも同様に振動絶縁材6bがある。また、床版下部に
は、制振材としての柔軟な非加硫粘弾性体と、板状体と
しての鉄板が設けられている。
【0048】参考 溝形鋼5mm厚×100mm高×50mm幅とキースト
ンプレートで600mm幅×1800mm長さの拘束材
とその囲った部分に底を付けた。底板のキーストンプレ
ートの凹部にナットを溶接し、板状材の落下防止の固定
用として板状材1枚当たり2個のナットを取付けた。更
に、ナット取付け面を下にして、配筋を短辺方向に20
0mmピッチで2本、長手方向に両端から200mmピ
ッチで3本づつ、中央に1本設けた。次にアスファルト
コンクリートをこの中に入れ、転圧して床版とした。
【0049】床版裏面を上向きにして拘束材の内側に2
0mm厚のスペーサーを全周に設け、アットに両切りボ
ルトをねじ込み、配合処方例1の混合物を入れ、3.2
mm厚×500mm幅×420mm長さの鉄板の2つの
穴からボルトが出るように4枚セットし、発泡硬化と共
に接着させた後ナットをねじ込んで落下防止とした。こ
のようにして複合床版3個を作り供試体とし、重量床衝
撃音を測定した。
【0050】図6は、参考の複合床版の長辺方向断
面図である。この床版では、拘束材4の低部にキースト
ンプレート7が熔接され、配筋5が施工されている。そ
の中にアスファルトコンクリートFCを形成して床版と
し、その下部のキーストンプレート側に常温発泡硬化型
制振材2aが設けられている。その下には、鉄板3aが
板状体として設けられている。キーストンプレート7の
凹部にナット8が熔接されそこから両切のボルト9が鉄
板3aの穴より出ており、その下にナット8で締め付け
られ、落下防止を行っている。
【0051】参考 参考 例1と同じ拘束材に3.2mm厚×590mm幅×
1790mm長さの鉄板をセットし、外寸600mm幅
×1800mm長さとし、短辺方向200mmピッチで
鉄板に墨線を打ち、長辺方向は中央と、両端より150
mmに墨線を打ち、交点に12mm径の穴をあけて、配
合処方例2の非加硫粘弾性体を10mm厚のシート状で
全面に貼付け、鉄板の穴の部分の非加硫粘弾性体を除去
し、10mm径のボルトをワッシャーと共にボルトの頭
が非加硫粘弾性体の上に出るようにセットし、参考例1
と同様に配筋した上からレディーミクストコンクリート
を打設し、床版を作成し、脱型後、充分養生を行った。
【0052】次に、溝径鋼5mm厚×100mm高さ×
50mm幅の1600mm長さ2本と480mm長さ3
本を100mm高さ部を鉄板面に当てるようにフラット
に熔接一体化し、鉄板の穴位置に合わせて穴をあけ、鉄
板から出たボルトを穴に入れて、ナットで強固に締めつ
けて、更に拘束材の外周側面と外周下部に振動絶縁材と
して4mm厚フェルトを貼り付けて複合床版3個を作
り、供試体として、重量床衝撃音を測定した。
【0053】図7は、参考の複合床版の長辺方向の
断面図である。拘束材4が床版の外周と外周近傍上下に
あり、床版の下に鉄板3aがある。鉄板3aの上には、
含水コンクリートと接着性を有する非加硫粘弾性体が設
けられ、その上に普通コンクリートが形成されている。
また、剛性のある溝形鋼の拘束材4aを床版下部から出
たボルト9を介してナット8で強固に固定してある。床
版外周と外周下面の拘束材の表面には振動絶縁材として
フェルト6cが設けてある。
【0054】参考 市販のALC床版(100mm厚×600mm幅×18
00mm長さ)の裏面を上にし、周囲に5mm厚スペー
サーを入れて、5mmの厚みで配合処方例4の混合物を
流し、12mm厚×600mm幅×1800mm長さの
合板で覆い、架橋粘弾性体を形成すると共にALC、合
板の両方に接着させた。
【0055】配合処方例4は以下に示す通りである。
【0056】次に、山形鋼5mm厚×50mm高×50
mm幅で作った500mm幅×1600mm長さの枠状
拘束材をALC床版を貫通して拘束材まで穴をあけて1
0mm径のボルトとワッシャーとナットで強固に締めて
固定した。次に山形鋼の拘束材の4つの角各々に中央へ
穴をあけた直角三角形状の鉄板を溶接し、対角線上にブ
レース筋をかけて複合床版を3個作り、供試体として、
重量衝撃音を測定した。
【0057】図8は、参考の複合床版の長辺方向の
断面図である。ALC床版1bの下面は、架橋粘弾性体
2eを制振材として、その下面の合板3bと接着されて
いる。山形鋼を拘束材4dとし、ALC床版、制振材、
合板を貫通した穴をあけてワッシャー10を介してボル
ト9とナット8で強固に固定されている。また、山形鋼
4dの四隅は直角三角形の中央に穴をあけた鉄板12を
熔接し、ブレース筋11を対角線上に設けている。
【0058】比較例1 市販のALC床版(100mm厚×600mm幅×18
00mm長さ)を3個を並べ、目地部及び全面にモルタ
ル30mmを増打ちして充分養生後、重量床衝撃音を測
定した。
【0059】試験例参考例1〜5及び 実施例1〜、比較例1に示す方法で
用意した複合床版を供試体とし、1.8m×1.8mの
開口部に供試体をセットし、吸音材として100mm厚
不織布を独立天井内に敷きつめて、JIS−A−141
8に従って、重量床衝撃音の測定を行った。
【0060】図9は、測定状況を示す概略図である。二
階の開口部に供試体14をのせ、バングマシン13で衝
撃を加え、独立天井18と吸音材19を通して1階のマ
イク15を介し、精密騒音計16と周波数分析器17で
1オクターブバンドでの音圧レベルを測定する。マイク
高さは1.2mであり、打撃点5点、受音点5点の平均
値を算出した。結果を表1〜表3に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】試験結果参考 例1では、床版の側面外周と外周近傍の上下を軽量
溝形鋼を拘束材として囲い、配筋をした普通コンクリー
トで作られた60H×600W×1800Lの床版に対
し、常温で発泡硬化する制振材を30mm厚で形成する
と共に、床版と3.2mmt×500mmW×420mmLの
鉄板4枚を板状体として、複合床版とした。参考例1の
複合床版では、床版の外周を拘束材で固定し床版の曲げ
振動の回転成分が減少し、あわせて床版下部の制振材と
鉄板が拘束型制振材と動吸振材の効果を果し、更に4枚
の鉄板は各々が位相のズレとして動く。その結果、LH
−57となり重量床衝撃音を左右する63Hz、125
Hzでは、63Hzで比較例1より11dB、125H
zで19dBも改善された。
【0065】参考例2では、参考例1と同じ外周枠を及
び配筋を用い、予め普通コンクリートを接着性を有する
制振材を板状体を設けた上に普通コンクリートを形成さ
せ、更に、低降伏値の制振材とPE発泡体制振材と板状
体を各々2層交互に設け、制振材、板状体を交互に3層
設けた。その結果、コンクリート厚は薄いにも拘わら
ず、LH−60となり、比較例1より63Hzで8d
B、125Hzで14dBも改善できた。
【0066】実施例では、参考例1と同じ枠と配筋を
使用し、床版の長辺方向にコンクリートと接着性を有す
る非加硫粘弾性体を振動絶縁材兼仕切材として入れ、長
辺方向を5つに分割した床版に対し、5mm厚の柔軟な
非加硫粘弾性体を制振材とし、3.2mm厚鉄板を板状
体とした例である。板状体は5枚各々若干の隙間を設け
て並べらた。その結果、LH −55となり、比較例1と
比べ63Hzで13dB、125Hzで22dB改善で
きた。
【0067】実施例では、溝形鋼で小さな枠を作り、
小さな床版を形成し、大きな枠の中へ5個一体化したA
LCの枠付床版の集合床版となっている。その床版個々
に10mm厚の柔軟な粘弾性体と3.2mm厚鉄板が板
状体としては貼付けられている。その結果、LH −53
となり、63Hz、125Hzは各々改善量が15d
B、21dBで良く低減できており、重量床衝撃音の対
策に適していることが判った。また、独立天井の上に設
けた吸音材で高周波の音も良く吸音された。
【0068】実施例では、実施例と同じ小さな枠と
同じ大きな枠を用いているが、小さな枠の内周には多く
の突出部が設けられ、小さな枠で囲われた床版の外周は
より曲げ振動や回転成分を減少している。実施例と同
様に、小さな枠内に各々ALCを形成させて小さな床版
を作り、それを5個大きな枠で囲い、一体化した床版と
し、更に小さな床版各々の下面に、実施例と同様に1
0mm厚の柔軟な非加硫粘弾性体の制振材と3.2mm
厚鉄板の板状体を貼付けた。その結果、LH −51とな
り、実施例よりも更に63Hzで2dB、125Hz
で2dBの改善となり、低周波に有効であることが判っ
た。
【0069】参考では、軽量溝形鋼の拘束材と、そ
の底部にキーストンプレートを熔接固定し、更に配筋を
設けた中に、アスファルトコンクリートを形成した床版
に対し、常温発泡硬化型の制振材を注入発泡硬化させ、
床版下面のキーストンプレートと板状体である3.2m
m厚鉄板を同時に接着した。その結果、LH −51とな
り、比較例1より63Hzで13dB、125Hzで2
0dB改善できて良好な結果であった。
【0070】参考では、軽量溝形鋼を外周と外周近
傍の上下に設けた拘束材と、その中に鉄板と配合例2の
含水コンクリートと接着性を有する制振材を設け、その
上に普通コンクリートを形成した床版に床版下部に更に
拘束材として剛性の高い溝形鋼をボルト締めで固定し、
フェルトで振動絶縁した。その結果、LH −57とな
り、比較例1より63Hzで11dB、125Hzで1
8dB改善され良好な結果となった。
【0071】参考では、市販ALC床版を使用し、
架橋制振材と合板て床版下面を制振すると共に床版下面
の外周近傍に山形鋼を拘束材として強固に固定した。そ
の結果、LH −59となり、比較例1と比べ63Hzで
9dB、125Hzで16dB改善され良好な結果とな
った。
【0072】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の複合床版に
よれば、複数に分離分割された分割床版を平面上に並べ
1つにした所定の床版を用いることによって、床版から
の発生音を対策が困難な低周波域から対策が容易な高周
波域に移行させることができるとともに、床版の下面に
制振材と板状材とが密接し、拘束材が床版の周縁部及び
周縁近傍部の少なくとも一方を拘束しているので、床版
の振動が抑制され、重量床衝撃音を著しく低減すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1の複合床版の長辺方向の断面図であ
る。
【図2】 参考例2の複合床版の長辺方向の断面図であ
る。
【図3】 実施例の複合床版の長辺方向の断面図であ
る。
【図4】 実施例の複合床版の長辺方向の断面図であ
る。
【図5】 実施例の複合床版の長辺方向断面図の部分
拡大図である。
【図6】 参考の複合床版の長辺方向断面図であ
る。
【図7】 参考の複合床版の長辺方向の断面図であ
る。
【図8】 参考の複合床版の長辺方向の断面図であ
る。
【図9】 騒音測定状況を示す概略図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−96096(JP,A) 実開 昭55−140635(JP,U) 特公 平5−79776(JP,B2) 実公 平6−30981(JP,Y2) 実公 平3−55705(JP,Y2) 特許2857634(JP,B2) 特許2601260(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04F 15/08 E04F 15/18 602 B32B 5/43

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 床版と、制振材と、板状材と、周縁拘束
    材とを備え、重量床衝撃音を低減する複合床版であっ
    て、前記床版が複数に分離分割された分割床版を平面上に並
    べ1つにしたものであり、前記各分割床版の間に振動絶
    縁材が配置されており、 前記制振材が前記床版の下面に
    密接しており、前記板状材が前記制振材の下面に密接し
    ており、前記周縁拘束材が前記床版の周縁部及び周縁近
    傍部の少なくとも一方を拘束しており、前記床版の振動
    が抑制されていることを特徴とする複合床版。
  2. 【請求項2】 請求項記載の複合床版において、前記
    床版が水硬性物質の硬化物、アスファルトコンクリート
    及びレジンコンクリートからなる群より選ばれた材料か
    らなり、前記振動絶縁材が前記床版と接着性を有する粘
    弾性体であることを特徴とする複合床版。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の複合床版におい
    て、前記周縁拘束材が前記各分割床版の周縁部及び周縁
    近傍部の少なくとも一方を拘束していることを特徴とす
    る複合床版。
  4. 【請求項4】 請求項1〜のいずれか一項記載の複合
    床版において、前記周縁拘束材が突出部を有しており、
    前記突出部が前記床版の内部に向って突出していること
    を特徴とする複合床版。
  5. 【請求項5】 請求項1〜のいずれか一項記載の複合
    床版において、前記制振材が、JIS−K−6251の
    ダンベル状1号形での引張応力が0.1kg/cm2〜1
    0.0kg/cm2 の降伏値を有する粘弾性体及びSRIS
    0101のC型硬度計で3〜50の硬度の発泡体から
    なる群より選ばれた材料からなることを特徴とする複合
    床版。
  6. 【請求項6】 請求項1〜のいずれか一項記載の複合
    床版において、前記複合床版が、少なくとも2つの前記
    周縁拘束材と結合部材とを備えており、前記結合部材が
    前記各周縁拘束材を結合していることを特徴とする複合
    床版。
  7. 【請求項7】 複数の複合床版と、躯体とを備えてお
    り、重量床衝撃音が低減されている床であって、 請求項1〜のいずれか一項記載の複合床版が前記躯体
    上に配置されており、前記周縁拘束材の周囲に振動絶縁
    材が設けられており、前記複合床版の相互の間及び前記
    複合床版と前記躯体との間で、振動伝達が防止されてい
    ることを特徴とする床。
  8. 【請求項8】 床版と、制振材と、板状材と、下部拘束
    材とを備え、重量床衝撃音を低減する複合床版であっ
    て、前記床版が複数に分離分割された分割床版を平面上に並
    べ1つにしたものであり、前記各分割床版の間に振動絶
    縁材が配置されており、 前記制振材が前記床版の下面に
    密接しており、前記板状材が前記制振材の下面に密接し
    ており、前記下部拘束材が前記床版を下部から拘束して
    おり、前記床版の振動が抑制されていることを特徴とす
    る複合床版。
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