JP3379485B2 - 質量分析装置 - Google Patents

質量分析装置

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JP3379485B2
JP3379485B2 JP19685699A JP19685699A JP3379485B2 JP 3379485 B2 JP3379485 B2 JP 3379485B2 JP 19685699 A JP19685699 A JP 19685699A JP 19685699 A JP19685699 A JP 19685699A JP 3379485 B2 JP3379485 B2 JP 3379485B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波誘導結合プ
ラズマ質量分析装置(ICP−MS)、エレクトロスプ
レイ質量分析装置(ESP−MS)、大気圧化学イオン
化質量分析装置(APCI−MS)等の比較的大気圧に
近い圧力下で試料をイオン化する質量分析装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図7は、従来のESP−MSの一例を示
す概略構成図である。このMSは、例えば液体クロマト
グラフ装置のカラムの出口端に接続されたノズル11が
配設されて成るイオン化室10と、四重極フィルタ19
及びイオン検出器20が内設された分析室18との間
に、それぞれ隔壁で隔てられた第1中間室12及び第2
中間室15が設けられている。イオン化室10と第1中
間室12との間は細径の脱溶媒パイプ13を介して、第
1中間室12と第2中間室15との間は極小径の通過孔
(オリフィス)を有するスキマー16を介してのみ連通
している。
【0003】イオン化室10内はノズル11から連続的
に供給される試料液の気化分子によりほぼ大気圧になっ
ており、第1中間室12内はロータリポンプ(RP)に
より約10Paの低真空状態まで真空排気される。ま
た、第2中間室15内はターボ分子ポンプ(TMP)に
より約10−1〜10−2Paの中真空状態まで真空排気
され、分析室18内はターボ分子ポンプ(TMP)によ
り約10−3〜10−4Paの高真空状態まで真空排気さ
れる。即ち、イオン化室10から分析室18に向かって
各室毎に真空度を高くすることにより、分析室18内が
高真空状態に維持されるようにしている。
【0004】試料液はノズル11からイオン化室10内
に噴霧(エレクトロスプレイ)され、液滴中の溶媒が蒸
発する過程で試料分子はイオン化される。イオンが入り
混じった液滴はイオン化室10と第1中間室12との圧
力差により脱溶媒パイプ13中に引き込まれ、脱溶媒パ
イプ13を通過する過程で更にイオン化が進む。第1中
間室12内にはリング状電極14が設けられており、リ
ング状電極14は電界により脱溶媒パイプ13を介して
のイオンの引き込みを助けるとともに、イオンをスキマ
ー16のオリフィス近傍に収束させる。
【0005】スキマー16のオリフィスを通って第2中
間室15に導入されたイオンは、イオンレンズ17によ
り収束及び加速された後に分析室18へと送られる。分
析室18では、特定の質量数(質量m/電荷z)を有す
るイオンのみが四重極フィルタ19中央の長手方向の空
間を通り抜け、イオン検出器20に到達して検出され
る。
【0006】上記構成において、イオンレンズ17は飛
行するイオンを電界によって収束しつつ加速するもので
あって、従来より種々の形状のものが提案されている。
図8は図7に図示したイオンレンズ17として利用され
ている、いわゆる静電レンズの構成を示す斜視図であ
る。このイオンレンズ21は、複数のドーナツ形状の金
属板から成るレンズ電極から構成されており、各電極に
は同一の直流電圧が印加される。この直流電圧を適宜に
調整することにより、イオン光軸C近傍を通過するイオ
ンを加速することができる。しかしながら、このような
構造のイオンレンズでは特に圧力が高い場合(10ー1
Pa以上)のイオンの収束効果が必ずしも高くなく、例え
ばコーン状に広がりつつ通過しようとするイオンの一部
のみしか後段へ送ることができない。
【0007】これに対し、図9に示すようなマルチポー
ル型(この例では4本だが6、8本など偶数であればよ
い)のイオンレンズ22も実用化されている。隣接する
電極(例えば符号221と223が付された電極)に
は、同一の直流電圧にそれぞれ位相が反転した高周波電
圧が重畳された電圧が印加される。この高周波電場によ
り、イオン光軸Cの延伸方向に導入されたイオンは所定
の周期で振動しながら進む。このため、イオンの収束効
果が高く、より多くのイオンを後段へ送ることができ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなロッド形のイオンレンズ22では収束は良好である
が、ロッド内空間で長軸方向に電圧勾配が一定であるた
め、ロッド内空間での加速が行われない。このため、第
1中間室12内の圧力程度の比較的高い圧力条件下で使
用しようとすると、イオンが残留ガス分子との衝突によ
って運動エネルギが奪われ、イオンレンズを透過するイ
オンが極めて少なくなる。
【0009】本発明はこのような課題を解決するために
成されたものであり、その主たる目的は、高い圧力条件
下においても効率的にイオンを収束及び加速することが
できるイオンレンズを備えた質量分析装置を提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段、及び発明の実施の形態】
上記課題を解決するために成された請求項1に係る発明
は、イオンを収束するためのイオンレンズを備えた質量
分析装置において、該イオンレンズは、イオン光軸方向
に延伸し、該イオン光軸の周囲に互いに分離して配設さ
れた偶数個の仮想的ポール状電極から成り、該仮想的ポ
ール状電極は、イオン光軸方向に互いに分離された複数
の金属電極板を含んで成り、該複数の金属電極板に高周
波電圧と直流電圧とを重畳した電圧を印加し、その複数
の金属電極板のうち、最後尾又は最後尾近傍の少数枚の
電極板への印加電圧の直流電圧成分を、そのイオンレン
ズを通過させるイオンの質量数に応じて変化させること
を特徴としている。また、上記課題を解決するために成
された請求項2に係る発明は、イオンを収束するための
イオンレンズを備えた質量分析装置において、該イオン
レンズは、イオン光軸方向に延伸し、該イオン光軸の周
囲に互いに分離して配設された偶数個の仮想的ポール状
電極から成り、該仮想的ポール状電極はイオン光軸方向
に互いに分離された複数の金属電極板を含んで成り、前
記仮想的ポール状電極で囲まれるイオン通過空間がイオ
ンの進行方向に向かって狭くなるように各金属電極板が
配置されることを特徴としている。更にまた、上記課題
を解決するために成された請求項3に係る発明は、イオ
ンを収束するためのイオンレンズを備えた質量分析装置
において、該イオンレンズは、イオン光軸方向に延伸
し、該イオン光軸の周囲に互いに分離して配設された偶
数個の仮想的ポール状電極から成り、該仮想的ポール状
電極はイオン光軸方向に互いに分離された複数の金属電
極板を含んで成り、前記仮想的ポール状電極で囲まれる
イオン通過空間内のイオン光軸が当該イオンレンズへの
イオン入射軸に対して斜行するように各金属電極板が配
置されることを特徴としている。
【0011】例えば、同一仮想的ポール状電極を構成す
る複数の電極板には、イオン光軸延伸方向に階段状に相
違する直流電圧と共通の高周波電圧とが重畳された電圧
が印加される。また、イオン光軸の周囲に隣接する仮想
的ポール状電極では、共通の高周波電圧の位相は互いに
反転したものとされる。前段のイオン化室でイオン化さ
れたイオンが上記イオンレンズに導入されると、高周波
電圧によって形成される電界によりイオンは振動しなが
ら進み、後方焦点位置に収束する。また、イオン光軸方
向の所定の直流電位勾配によってイオンには運動エネル
ギが付与され加速される。そのため、飛行途中で残留ガ
ス分子などに衝突しても収束軌道を大きく外れることな
く進む。従って、例えば後段へ連通する通過孔を有する
スキマーを後方焦点位置近傍に設置しておくと、該通過
孔を介して後段へ多くのイオンを送ることができる。
【0012】大気圧イオン化法などにおいては、イオン
は略一定の噴射速度を有するネブライズガスの助けを受
けて加速されるため、イオンの質量数が大きいほど大き
な初期運動エネルギを付与される。上記イオンレンズで
は、イオンが大きな運動エネルギを有しているほど収束
が行われにくく、その結果、イオンの通過効率が相対的
に劣化する。つまり、質量数によってイオンの通過効率
が相違し、これが質量分析の際の誤差要因となり得る。
【0013】
【0014】請求項1に係る発明による質量分析装置で
は、最後尾又は最後尾近傍の少数枚の電極板への印加電
圧の直流電圧成分を変えることにより、その電極板の近
傍を通過するイオンの加速度合又は減速度合を変えるこ
とができる。イオンレンズの後段の質量分離器として四
重極フィルタを用いる場合、四重極フィルタに印加する
電圧の走査と同期してイオンレンズを構成する上記電極
板に印加する直流電圧を走査すれば、大きな運動エネル
ギを有する、質量数の大きなイオンの通過速度を相対的
に抑制し、収束を良好に行ってスキマーの通過孔から後
段へと送ることができる。
【0015】
【発明の効果】このように本発明の質量分析装置によれ
ば、比較的高い圧力条件下にイオンレンズを配設してイ
オンの収束及び加速を行うことができる。このため、よ
り多くのイオンを後段の質量分離器へ導入することがで
きるので、質量分析の感度や精度の向上に寄与する。ま
た、この質量分析装置によれば、従来のようなポール状
のロッド電極では実現が困難であった種々の形状の仮想
的なロッド電極を実現することができる。
【0016】特に請求項1に係る発明では、イオンレン
ズを構成する電極板への印加電圧の直流電圧成分を質量
数に応じて変える構成としているため、イオンレンズで
のイオンの収束が質量数に応じて適切に行われ、通過す
るイオンの質量数に拘わらず、後段へ多くのイオンを送
ることができ、分析精度や再現性の向上に寄与する。ま
た、請求項2に係る発明では、イオンの収束性がより向
上するので、更に高い効率でイオンを後段へと送ること
ができる。更にまた、請求項3に係る発明では、イオン
レンズの電界の影響を受けない中性分子や原子を除くこ
とができるので、これらに起因するバックグラウンドノ
イズを除去することができる。
【0017】
【実施例】〔実施例1〕以下、本発明に係る質量分析装
置の第1実施例(以下「実施例1」という)を図面を参
照して詳細に説明する。図1はこの質量分析装置の特徴
であるイオンレンズ30の構造を示す斜視図、図2はこ
の質量分析装置におけるイオンレンズ30周辺の構成図
である。本実施例では、イオンレンズ30は、図7に示
したような質量分析装置の第1中間室12内(つまりリ
ング状電極14の代わり)に配設されている。
【0018】このイオンレンズ30は、図1に示したよ
うに、図9に示した従来のイオンレンズ22において1
本のポール状のロッド電極であった部分(符号221、
222、223、224が付されている部分)が、同一
径を有する多数枚(この例では5枚)の円盤形状金属板
から成るレンズ電極を所定間隔を隔てて立設した構造と
なっている。各レンズ電極群の包絡線31、32、3
3、34は上記ロッド電極に対応する仮想的なロッド電
極を構成している。
【0019】図2では、簡略化のために、イオン光軸C
を挟んで対向する1組のレンズ電極のみを示している。
イオン光軸Cの延伸方向に並んで設けられた各レンズ電
極321〜325には、直流電圧源Vd1、高周波電圧源
Va、抵抗R1〜R4、コンデンサC1〜C5から構成され
る電圧供給部によって、イオンの進行方向(図2では右
方向)に進むに伴いそれぞれ電位が階段状に下がる直流
電圧と共通の高周波電圧とが重畳された電圧が印加され
ている。また図2では結線を省略しているが、イオン光
軸Cを挟んで対向する各レンズ電極311〜315にも
それぞれ上記レンズ電極321〜325と同一の電圧が
印加されている。更に、図2に記載されていない他の1
組のレンズ電極(図1の包絡線33、34に対応する電
極)には、同一平面内に存在するレンズ電極と同一の直
流電圧に位相が反転した高周波電圧が重畳された電圧が
それぞれ印加されている。
【0020】なお、直流電圧源Vd1、高周波電圧源Va
の電圧値や、脱溶媒パイプ13に電圧を印加する直流電
圧源Vd2の電圧値は適当な値に調整される。
【0021】このような印加電圧によって、イオン光軸
Cを含むイオン通過空間内には、入口側レンズ電極31
1、321から出口側レンズ電極315、325の方向
に向かって電位が下がる電位勾配を有する電界が形成さ
れるとともに、所定の高周波電界が形成される。脱溶媒
パイプ13を介して前段のイオン化室10から第1中間
室12内に吸引されたイオンは、上記高周波電界によっ
て所定の周期で振動しながら進む。また、上記直流電位
勾配によってイオンは運動エネルギを付与され徐々に加
速される。このため、イオンは充分に大きな運動エネル
ギを有しているので、途中で残留ガス分子に衝突しても
軌道を大きく外れることがなく後方焦点位置F近傍に収
束される。スキマー16はオリフィスがその後方焦点位
置F付近になるように配設されているため、収束された
イオンはオリフィスを通過して第2中間室15へと送り
込まれる。
【0022】このように実施例1の質量分析装置では、
残留ガス分子が多い雰囲気であっても、イオンレンズ3
0で効率的にイオンを収束及び加速して次段へイオンを
送ることができる。
【0023】〔実施例2〕次に、本発明に係る第2実施
例(以下「実施例2」という)による質量分析装置を説
明する。この実施例2の質量分析装置では、イオンレン
ズの構成が上記実施例1と異なる。図3(a)は図2に
相当するイオンレンズ40周辺の構成図、図3(b)は
このイオンレンズ40をイオン入射側から見た平面図で
ある。
【0024】実施例2におけるイオンレンズ40は、イ
オンが進むに従ってレンズ電極411〜415、421
〜425がイオン光軸Cに近接するようになっており、
レンズ電極で囲まれるイオン通過空間が狭くなってい
る。レンズ電極の径はイオン光軸Cからの離間距離に依
存して所定の計算式を基に決まっているため、イオンの
進行方向に伴いその径は小さくなっている。この構成で
は、図2に示した構成よりも後方焦点位置Fにおけるイ
オン収束性がより向上するので、更に高い効率でイオン
はスキマー16のオリフィスを通過して第2中間室15
へと送り込まれる。このような構造のイオンレンズは、
ポール状のロッド電極で実現しようとすると加工が大変
難しいが、本発明のような電極板を多層化する構造では
比較的容易に実現できる。
【0025】〔実施例3〕次いで、本発明の第3実施例
(以下「実施例3」という)による質量分析装置を説明
する。この実施例3の質量分析装置では、イオンレンズ
50の構成が実施例1及び2の何れとも異なる。図4
は、実施例3の質量分析装置におけるイオンレンズ50
周辺の構成図である。この実施例の質量分析装置では、
脱溶媒パイプ13のイオン出射軸と、スキマー16のイ
オン入射軸とを意図的にずらしており、イオン光軸Cが
該出射軸及び入射軸をつなぐようにレンズ電極511〜
515、521〜525がずらして設けられている。
【0026】脱溶媒パイプ13を介して第1中間室12
内へ吸引されたイオンは、上述のイオンレンズ50で形
成される電界の影響を受けて後方焦点位置Fに収束し、
スキマー16のオリフィスを通過する。一方、イオン化
室10や脱溶媒パイプ13内でイオン化されずに第1中
間室12に入った中性分子や原子は上記電界の影響を受
けないため、脱溶媒パイプ13を出たあとにほぼ直進
し、スキマー16に遮られて第2中間室15へは進まな
い。このため、中性分子や原子に起因するバックグラウ
ンドノイズを除去することができる。
【0027】〔実施例4〕更に、本発明の第4実施例
(以下「実施例4」という)による質量分析装置を説明
する。図7に示したようにイオン化室10内にイオンが
噴霧される場合、一般にイオンの噴霧方向と同一方向に
噴出するネブライズガスがイオン噴霧を助けるために利
用される。このネブライズガスの噴出速度は一定に維持
される。イオンに付与される初期運動エネルギはそのガ
ス噴出速度とイオンの質量とに依存しているから、大き
な質量数を有するイオンほど、大きな運動エネルギをも
ってイオンレンズに導入される。イオンがイオンレンズ
を通過する際には、その運動エネルギが大きいほど周囲
の電界の影響を受けにくく、結果として後方焦点位置F
に収束しにくい。そのため、上記実施例1〜3のように
レンズ電極に印加する電圧が一定であると、質量数が小
さいイオンは収束が良好であってスキマーを通過する確
率が高いのに対し、質量数が相対的に大きなイオンは収
束があまり良好でなくスキマーを通過する確率が低くな
る。
【0028】実施例4の質量分析装置は、上述したよう
な質量数に依るイオンの収束効率のばらつきを改善する
ものである。図5は、実施例4の質量分析装置における
イオンレンズ60周辺の構成図である。この質量分析装
置では、イオンレンズ60の構成は上記実施例2と同じ
であって、レンズ電極611〜615、621〜625
の内接円がイオンの進行方向に向かって小さくなるよう
に構成されている。その特徴は各レンズ電極611〜6
15、621〜625に印加される電圧にある。
【0029】即ち、実施例4の質量分析装置では、1組
の(つまり1本のロッド電極に相当する)5枚のレンズ
電極621〜625のうち、入口側の3枚のレンズ電極
621〜623には、共通の直流電圧源71による直流
電圧と高周波電圧源74による高周波電圧とが重畳され
た電圧が印加される。また、最後尾の手前のレンズ電極
624には、直流電圧源72による直流電圧と高周波電
圧源74による高周波電圧とが重畳された電圧が印加さ
れる。更に、最後尾のレンズ電極625には、直流電圧
源73による直流電圧と高周波電圧源74による高周波
電圧とが重畳された電圧が印加される。
【0030】なお、図5では結線を省略しているが、イ
オン光軸Cを挟んで対向する各レンズ電極611〜61
5にもそれぞれ上記レンズ電極621〜625と同一電
圧が印加される。また、図5に記載されていない他の1
組のレンズ電極には、同一平面内に存在するレンズ電極
と同一の直流電圧に位相が反転した高周波電圧が重畳さ
れた電圧がそれぞれ印加される。直流電圧源72、7
3、高周波電圧源74は制御部70により制御される。
【0031】図6は、実施例4の質量分析装置の動作を
説明するための図である。質量走査による分析を行う場
合には、制御部70は、四重極フィルタ19への印加電
圧が図6(a)に示すようにスロープ状(又は細かい階
段状)に変化するように電圧発生部75を制御する。こ
のような電圧に応じて、四重極フィルタ19の長軸方向
の空間に導入されたイオンのうち、まず質量数の最も小
さなイオンが四重極フィルタ19を通過して検出器に到
達し、電圧走査に応じて四重極フィルタ19を通過する
イオンの質量数は徐々に大きなものとなる(図6(b)
参照)。
【0032】制御部70は、四重極フィルタ19への印
加電圧の走査と同期して、直流電圧源72、73、高周
波電圧源74の電圧が図6(c)、(d)に示すように
変化すべく制御する。即ち、四重極フィルタ19を通過
させるべき質量数が大きくなるほど、レンズ電極62
4、625への直流印加電圧を高くする。正イオンがイ
オンレンズ60を通過しようとする場合、上述のような
電圧変化はイオンの速度を減速させるように作用するか
ら、質量数が大きくなるほど減速効果が顕著になる。従
って、大きな初期運動エネルギを付与されて相対的に速
く進むイオンの速度は、イオンレンズ60の後半部へ進
むと急に減速されて、周囲の電界の影響を受け易くな
り、良好に後方焦点位置Fに収束する。これにより、実
施例4の質量分析装置では、通過させるイオンの質量数
に依る通過効率の差が少なくなる。
【0033】なお、実施例4のような電圧制御を実施例
1に示したようなレンズ電極の構成に適用することも可
能であるが、レンズ電極の内接円が小さな領域において
電圧制御を行うほうが、より大きな効果が得られる。
【0034】また、上記実施例1〜4は一例であって、
本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正を行えることは明
らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例による質量分析装置にお
けるイオンレンズの斜視図。
【図2】 第1実施例の質量分析装置におけるイオンレ
ンズ周辺の構成図。
【図3】 本発明の第2実施例による質量分析装置にお
けるイオンレンズ周辺の構成図(a)、及びこのイオン
レンズを入射側からを見た平面図(b)。
【図4】 本発明の第3実施例による質量分析装置にお
けるイオンレンズ周辺の構成図。
【図5】 本発明の第4実施例による質量分析装置にお
けるイオンレンズ周辺の構成図。
【図6】 第4実施例の質量分析装置の動作を説明する
ための波形図。
【図7】 従来のESP−MSの一例を示す概略構成
図。
【図8】 従来のイオンレンズの一例を示す斜視図。
【図9】 従来のイオンレンズの一例を示す斜視図。
【符号の説明】
10…イオン化室 12…第1中間室 13…脱溶媒パイプ 15…第2中間室 16…スキマー 30、40、50、60…イオンレンズ 311〜315、321〜325、411〜415、4
21〜425、511〜515、521〜525、61
1〜615、621〜625…レンズ電極 Vd1、Vd2、71、72、73…直流電圧源 Va、74…高周波電圧源 R…抵抗 C…コンデンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−7827(JP,A) 特開 昭54−78198(JP,A) 特開 平10−97838(JP,A) 特開 平8−293282(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 49/06 G01N 27/62 G01N 30/72

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオンを収束するためのイオンレンズを
    備えた質量分析装置において、該イオンレンズは、イオ
    ン光軸方向に延伸し、該イオン光軸の周囲に互いに分離
    して配設された偶数個の仮想的ポール状電極から成り、
    該仮想的ポール状電極は、イオン光軸方向に互いに分離
    された複数の金属電極板を含んで成り、該複数の金属電
    極板に高周波電圧と直流電圧とを重畳した電圧を印加
    し、その複数の金属電極板のうち、最後尾又は最後尾近
    傍の少数枚の電極板への印加電圧の直流電圧成分を、そ
    のイオンレンズを通過させるイオンの質量数に応じて変
    化させることを特徴とする質量分析装置。
  2. 【請求項2】 イオンを収束するためのイオンレンズを
    備えた質量分析装置において、該イオンレンズは、イオ
    ン光軸方向に延伸し、該イオン光軸の周囲に互いに分離
    して配設された偶数個の仮想的ポール状電極から成り、
    該仮想的ポール状電極は、イオン光軸方向に互いに分離
    された複数の金属電極板を含んで成り、前記仮想的ポー
    ル状電極で囲まれるイオン通過空間がイオンの進行方向
    に向かって狭くなるように各金属電極板が配置されるこ
    とを特徴とする質量分析装置。
  3. 【請求項3】 イオンを収束するためのイオンレンズを
    備えた質量分析装置において、該イオンレンズは、イオ
    ン光軸方向に延伸し、該イオン光軸の周囲に互いに分離
    して配設された偶数個の仮想的ポール状電極から成り、
    該仮想的ポール状電極は、イオン光軸方向に互いに分離
    された複数の金属電極板を含んで成り、前記仮想的ポー
    ル状電極で囲まれるイオン通過空間内のイオン光軸が当
    該イオンレンズへのイオン入射軸に対して斜行するよう
    に各金属電極板が配置されることを特徴とする質量分析
    装置。
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