JP4844557B2 - 質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は質量分析装置に関し、更に詳しくは、質量分析装置においてイオンを後段に輸送するためのイオン光学系に関する。
液体クロマトグラフと質量分析装置とを組み合わせた液体クロマトグラフ質量分析装置では、液体試料から気体イオンを生成するためにエレクトロスプレイイオン化法(ESI)や大気圧化学イオン化法(APCI)などの大気圧イオン化が一般に利用される。こうした構成では、イオン化室は略大気圧雰囲気であるが四重極質量フィルタなどの質量分析器や検出器を内装する分析室は高真空状態に維持する必要がある。そこで、分析室とイオン化室との間に1乃至複数の中間真空室を設け、段階的に真空度を上げる差動排気系の構成が利用されている。
図6は、例えば特許文献1などに開示されている従来のLC/MSの要部の概略構成図である。この質量分析装置は、例えば図示しない液体クロマトグラフのカラム出口端に接続されたノズル12が配設されて成るイオン化室11と、四重極質量フィルタ22及び検出器23が内設された分析室21との間に、それぞれ隔壁で隔てられた第1中間真空室14及び第2中間真空室18が設けられている。イオン化室11と第1中間真空室14との間は細径の脱溶媒パイプ13を介して、第1中間真空室14と第2中間真空室18との間は頂部に極小径の通過孔(オリフィス)17を有するスキマー16を介してのみ連通している。
イオン源であるイオン化室11の内部は、ノズル12から連続的に供給される試料溶液の気化分子によりほぼ大気圧雰囲気(約105[Pa])になっており、次段の第1中間真空室14の内部はロータリポンプ24により約102[Pa]の低真空状態まで真空排気される。また、その次段の第2中間真空室18の内部はターボ分子ポンプ25により約10-1〜10-2[Pa]の中真空状態まで真空排気され、最終段の分析室21内は別のターボ分子ポンプ26により約10-3〜10-4[Pa]の高真空状態まで真空排気される。即ち、イオン化室11から分析室21に向かって各室毎に真空度を段階的に高くした多段差動排気系の構成とすることによって、最終段の分析室21内を高真空状態に維持している。
この質量分析装置の動作を概略的に説明する。試料液はノズル12の先端から電荷を付与されながらイオン化室11内に噴霧(エレクトロスプレイ)され、液滴中の溶媒が蒸発する過程で試料分子はイオン化される。イオンが入り混じった液滴はイオン化室11と第1中間真空室14との差圧により脱溶媒パイプ13中に引き込まれ、加熱されている脱溶媒パイプ13を通過する過程で更に溶媒の気化が促進されてイオン化が進む。第1中間真空室14内には複数(4枚)の板状電極を傾斜状に3列に配置した第1レンズ電極15が設けられており、それによって発生する電場により脱溶媒パイプ13を介してのイオンの引き込みを助けるとともに、イオンをスキマー16のオリフィス17近傍に収束させる。オリフィス17を通過して第2中間真空室18に導入されたイオンは、8本のロッド電極により構成されるオクタポール型の第2レンズ電極19により収束されて分析室21へと送られる。分析室21では、特定の質量(厳密にはm/z)を有するイオンのみが四重極質量フィルタ22の長軸方向の空間を通り抜け、それ以外の質量を持つイオンは途中で発散する。そして、四重極質量フィルタ22を通り抜けたイオンは検出器23に到達し、検出器23ではそのイオン量に応じたイオン強度信号を出力する。
上記構成において、第1レンズ電極15や第2レンズ電極19は一般に総称してイオン光学系と呼ばれており、その主たる作用は、飛行するイオンを電場によって収束し、場合によっては加速しつつ次段へと送ることである。こうしたレンズ電極の構成は、従来より種々の形状のものが提案されている。図6の例では、第2中間真空室18内に設置された第2レンズ電極19は、図7に示すようなマルチロッド型(この例では8本だが4、6本など偶数であればよい)の構成である。この場合、隣接するロッド電極には、同一の直流電圧にそれぞれ位相が反転した高周波電圧が重畳された電圧が印加される。この高周波電場によって、イオン光軸Cの延伸方向に導入されたイオンは所定の周期で振動しながら進む。この構成では、一般にイオンの収束効果が高く、より多くのイオンを後段へ送ることができる。
こうした差動排気系の構成では、質量分析室内は高真空(低ガス圧)状態であるものの、中間真空室内は低真空(高ガス圧)状態である。こうした比較的ガス圧の高い空間をイオンが飛行する場合、その空間内に存在しているガス分子との衝突によってイオンの運動エネルギーが減衰し、飛行速度が低下する。特に上記のようなレンズ電極内の空間で高周波電場が印加されている場合には、高周波電場によってイオンが振動するためイオンがガス分子と衝突する機会も増加し、イオンの通過方向に高周波電場が長い場合にはイオンが停止してしまうことさえある。
上記のようなイオンの飛行速度の低下が生じると、同一質量のイオンであっても検出器に到達する時間にずれが生じ検出感度の低下やピークの広がりをもたらす。また、スキャン測定やSIM(選択イオンモニタリング)測定などで繰り返し測定を行う場合に、イオン光学系の内部に残留したイオンが次の測定の際に検出器に到達し、実際に出る筈のない時間にピークが出現するというゴーストピークの原因となることもある。なお、第1レンズ電極15でも同様の問題が生じる可能性はあるが、実際には、第1中間真空室14内ではイオンの持つ運動エネルギーが充分に大きいために上記問題は起こりにくい。
また、上記のような大気圧イオン化を行う質量分析装置のほかに、MS/MS(又はMSn)分析を行うタンデム型質量分析装置でも同様の問題が起こり易い。図8はこうした質量分析装置の概略構成図である。この構成では、イオンの通過経路に沿って3段の四重極ロッド30、32、33が配置されており、第1段及び第3段の四重極ロッド30、33は図6における四重極質量フィルタ22と同様に、通過するイオンの質量を選択する四重極質量フィルタとして機能し、第2段の四重極ロッド32はガスが導入される衝突室31内に収納されている。図において左方からイオンが導入されると、第1段の四重極ロッド30により特定の質量を有するイオンのみが選択されて第2段の四重極ロッド32内に導入される。ここで、先に選択されたイオンはガス分子と衝突して開裂し、その開裂の態様に応じて生じた各種の娘イオンが第3段の四重極ロッド33に導入される。そして、第3段の四重極ロッド33により特定の質量を有する娘イオンが選択されて検出器34へと到達する。
一般的に、第2段の四重極ロッド32には直流電圧は印加されずに高周波電圧のみが印加され、全ての質量のイオンが通過可能なようになっている。但し、多量に導入される衝突誘起分解(CID)ガスによって内部のガス圧は比較的高くなっているため、イオンの運動エネルギーの低下は顕著であり、2段目の四重極ロッド32を長くするとイオンが停滞することがある。すると、上記と同様に、検出感度が低下したりゴーストピークが発生したりするという問題が起きる。
特許3379485号公報
本発明はこのような点に鑑みて成されたものであって、その目的とするところは、低真空雰囲気下において高周波電場によりイオンを収束させる場合でも、イオンの運動エネルギーの低下に伴うイオンの遅延や停滞を防止して、高感度であって且つゴーストピーク等の問題も生じない分析を行うことができる質量分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された第1発明は、イオンを発生するイオン源とイオンを質量毎に分離する質量分析器との間のイオン通過経路上に、イオンを収束させて前記質量分析器に導入するためのイオン光学系を設けた質量分析装置において、
前記イオン光学系は、イオン光軸方向に肉薄であるN(Nは4以上の偶数)枚の板状の電極を該イオン光軸を取り囲むように配設するとともに、そのN枚の電極を1組として、イオン光軸方向に互いに分離してM組(Mは3以上の整数)の電極を多段に配設したものであり、
各組内のN枚の電極についてイオン光軸の周りに隣接する電極にはそれぞれ位相が反転した高周波電圧を印加することにより該N枚の電極で囲まれる空間にイオン収束作用をもつ多重極の高周波電場を形成するとともに、各組の電極に印加する高周波電圧によりそれら電極で囲まれる空間に発生する高周波電場の位相をイオン光軸方向に沿って順にずらすようにしたことを特徴としている。
第1発明に係る質量分析装置の第1の実施態様としては、イオン光軸方向に沿って位相を順にずらした高周波電圧を生成して各組の電極に印加する電圧印加手段を備える構成とすることができる。
また、第1発明に係る質量分析装置の第2の実施態様として、実際に印加電圧の位相をずらす代わりに、前記各組の電極をイオン光軸方向に沿って順に該イオン光軸の周りに所定角度ずつ回転させた配置とすることにより、高周波電場の位相をイオン光軸方向に沿って順にずらすようにすることもできる。
第1発明に係る質量分析装置では、イオン光学系により形成される高周波電場にイオンが侵入したとき、或る時点においてそのイオンが存在する位置の直前の1組の電極により形成される高周波電場と直後の1組の電極により形成される高周波電場との位相の相違により、前後の電場の間には電位差が形成され、その電位差によってイオンは運動エネルギーを付与される。それにより、イオンが進行するに伴い順次運動エネルギーを付与され、イオンは加速される。また、高周波電場によってイオンは振動して中心軸(つまりイオン光軸)付近に収束される。
したがって第1発明に係る質量分析装置によれば、存在するガス分子が多くガス圧が比較的高い雰囲気中であっても、イオンはガス分子との衝突によって運動エネルギーを奪われて減速する一方、イオン光学系により運動エネルギーを付与されて加速されるので、イオンがイオン光学系を通過する際に遅延したり停滞したりすることを回避することができる。それによって、分析対象である質量のイオンが時間的に広がって検出器に到達することを軽減でき、イオンの検出感度を改善することができる。
また、イオンの通過時間が短縮化されることにより、1回の測定中にイオン光学系に導入されたイオンはほぼ全てイオン光学系を通過するので、測定を繰り返す場合でもイオン光学系内に停滞したイオンが次回以降の測定時に出現することを回避し、マススペクトル上にゴーストピークが現れることを防止できる。また、スキャン測定やSIM測定などの繰り返し測定の時間間隔を短くして、測定の効率化を図ることができるとともに、ガスクロマトグラフ(GC)や液体クロマトグラフ(LC)との組み合わせによる分析時に信号の急な変化を捉え易くなる。
なお、四重極質量フィルタ等の質量分析器を用いた質量分析装置では、飛行時間型質量分析装置とは異なりイオン光学系を通過する際のイオンの速度の厳密性は要求されないが、最適に加速するためには、上記第1の実施態様の構成において、前記電圧印加手段は、前記各組の電極に印加する高周波電圧の位相ずれ量をイオンの質量に応じて変化させる構成とするとよい。但し、質量とは無関係に位相のずれ量を一定に定めても、実用上充分な程度に各種のイオンを加速することができる。
また、上述したように高周波電場はイオンを収束させる作用を有し、イオンの質量に応じてその作用には相違が生じるから、前記各組の電極に印加する高周波電圧の周波数をイオンの質量に応じて変化させる構成とするとよい。この構成によれば、各種のイオンに対して最適又はそれに近い収束を行うとともに加速を行って、効率良く後段にイオンを送ることができる。
なお、第1発明に係る質量分析装置におけるイオン光学系は、特にガス圧が比較的高い雰囲気の下でイオンを収束及び搬送する際に有用である。即ち、具体的な一例として、イオンの開裂を促進するために該イオンをガス分子に衝突させる衝突セルを有する質量分析装置であって、その衝突セルとして上記イオン光学系を用いると有用である。また、イオン源は液体試料を大気圧雰囲気中でイオン化するイオン化室を有し、該イオン化室と質量分析器が配置される高真空雰囲気である分析室との間に隔壁で隔てられた1 乃至複数の中間真空室を備える質量分析装置であって、その中間真空室の内部に上記イオン光学系を配置する構成とすることも有用である。
本発明の一実施例(実施例1)の質量分析装置における第2レンズ電極をイオン入射側から見た状態を示す概略図(a)、及びその中のB−B’矢視線での端面図(b)。 実施例1の質量分析装置において、1段目の電極に印加される高周波電圧A1と2段目の電極に印加される高周波電圧A2との関係を示す波形図。 本発明の他の実施例(実施例2)の質量分析装置における第2レンズ電極の1段目の電極の配置図(a)及び2段目の電極の配置図(b)。 本発明の他の実施例(実施例3)の質量分析装置において、第2レンズ電極をイオン入射側から見た状態を示す概略図(a)、及びその中のB−B’矢視線での端面図(b)。 参考例の質量分析装置において、1段目の電極に印加される電圧波形を示す図(a)、及び2段目の電極に印加される電圧波形を示す図(b)。 従来のLC/MSの要部の概略構成図。 マルチロッド型のレンズ電極の構成を示す概略斜視図。 従来のタンデム型質量分析装置の要部の概略構成図。
〔実施例1〕
以下、本発明に係る質量分析装置の一実施例(実施例1)について、図面を参照して説明する。本実施例による質量分析装置の基本的な構成は既述の図6に示した構成と同じであるが、第2中間真空室18内に配設されるイオン光学系の構成が図6のものとは相違している。そこで、その相違点について詳細に説明する。
図1は本実施例の質量分析装置における第2レンズ電極40をイオン入射側から見た状態を示す概略図(a)、及びその中のB−B’矢視線での端面図(b)である。
この実施例における第2レンズ電極40では、図1(a)に示すように一方が略半円形状に形成された4枚の板状の電極(符号41a〜41dで示す)が、その半円形状部をイオン光軸Cに向けて該イオン光軸Cの周囲に互いに90°ずつの角度を保って放射状に配置されている。そして、イオン光軸Cに略直交する面内に位置する4枚の電極を1組として、イオン光軸C方向に略等間隔で以て6組配列してある。なお、ここでは、4枚の電極を1組とした四重極の構成であるが、6重極、8重極、等、4以上の偶数であればよい。また、イオン光軸C方向の配列数も6組でなく3組以上の任意の数にすることができる。
第2レンズ電極40を構成する4枚の電極41a〜41dにあっては、イオン光軸Cを挟んで対向する電極同士が互いに結線される。そして、図示しない電圧印加回路より、電極41a、41bには所定の周波数fを有する高周波電圧Anが印加され、電極41c、41dには高周波電圧Anの位相が反転した(つまり180°ずれた)高周波電圧An’が印加される。ここでnは、イオン光軸C方向に並ぶ6組の電極のうち、イオンの入射側つまり図1(b)で左方からの何段目に位置するかを示す。高周波電圧An(n=1〜6)は周波数f及び振幅は同一であり位相のみが相違する。例えばAn=V・cos(ωt)とすると、An’=V・cos(ωt+π)=−V・cos(ωt)である。なお、一般に周波数fは数百kHz〜数MHz程度の範囲である。
図2は1段目、つまりn=1である電極41a、41bに印加される高周波電圧A1と2段目の電極42a、42bに印加される高周波電圧A2との関係を示す波形図である。この図に示すように、高周波電圧A2はA1に対しφだけ位相ずれ量が設定されている。また、3段目以降の電極についても、1つ前の段の電極に印加される高周波電圧に対してφだけ位相ずれ量が設定されている。したがって、イオン光軸Cに沿って1段目の電極41a、41bから6段目の電極46a、46bまで順にφずつ位相がずらされている。図1(a)に示すような4枚の電極41a〜41dに印加される高周波電圧A1、A1’によって、それら電極41a〜41dで囲まれる空間にはイオンを収束させるような高周波電場が形成される。
一方、イオン光軸C方向でみると、隣接する2組の電極に印加される高周波電圧の位相の相違により、両者でそれぞれ形成される高周波電場にも位相差が生じ、或る時点(例えば図2中のt1)でみると高周波電圧A1とA2とでは電圧差Δvがある。そのため、レンズ電極40に導入されたイオンが例えば1段目の4枚の電極41a〜41dと同一面内よりも前方に達すると、上記電圧差Δvに起因する電場によってそのイオンに運動エネルギーが付与され加速される。そして、イオンが進行するに伴い、それぞれ隣接する2組の電極に印加される高周波電圧の位相差に因る電圧差によって順次加速されることになる。もちろん、イオンがこのレンズ電極40を通過する間に残留ガス分子に衝突すると運動エネルギーを奪われ減速するが、上記のような加速作用によって遅延することなく、高周波電場によってイオン光軸C近傍に収束されながら通過する。
なお、上記説明では、各電極に印加する高周波電圧の周波数fを一定としたが、分析目的のイオンの質量又は質量範囲が定まっている場合には、その質量に応じて周波数fを変化させることにより、イオンの収束効率を高めてより効率良くイオンを後段の分析室21に送り込むことができる。また、位相ずれ量φを変化させると加速の程度が変わるから、イオンの質量に応じて位相ずれ量を調整して、適度な速度で以てイオンを分析室21内に送り込むようにしてもよい。
〔実施例2〕
上記実施例1では、各段の電極に印加する高周波電圧の位相を少しずつずらす必要があり、そのための回路を電圧印加回路に組み込む必要がある。それに対し、印加する高周波電圧は共通として、電極の機械的配置を変えることで高周波電場の位相をずらすことも可能である。図3はそうした構成を採る実施例2の質量分析装置における、第2レンズ電極40の1段目の電極41a〜41dの配置図(a)及び2段目の電極42a〜42dの配置図(b)である。この実施例2では、1段目の4枚の電極41a〜41dの配置は実施例1と同じであるが、2段目の4枚の電極42a〜42dは、1段目の4枚の電極41a〜41dに対してそれぞれイオン光軸Cを中心に角度φだけ回転した位置とされている。
また、3段目以降の電極も同様に、その前の段の電極に対してそれぞれイオン光軸Cを中心に角度φだけ回転した位置とされる。このような構成によっても、1段目の4枚の電極41a〜41dで囲まれる空間に形成される高周波電場を基準にすると、2段目以降の電極で囲まれる空間に形成される高周波電場はそれぞれ位相がφずつずれたものとなり、実施例1と同様の効果を奏する。この構成では、実施例1の構成と異なり質量に応じて位相を調整するような複雑な制御はできないが、電気的に位相をずらす必要がないため、電圧印加回路の構成は簡単になる。
〔実施例3〕
上記実施例では、例えば1段目の4枚の電極41a〜41dのうち、隣接する電極には位相が反転した高周波電圧を印加しているが、高周波電圧の印加の態様を変えることも可能である。図4はそうした構成を採る実施例3の質量分析装置において、第2レンズ電極40をイオン入射側から見た状態を示す概略図(a)、及びその中のB−B’矢視線での端面図(b)である。図4に示すように、1段目の4枚の電極41a〜41dに同一の高周波電圧A1を印加し、2段目の4枚の電極42a〜42dには高周波電圧A1と位相が反転した高周波電圧A1’を印加している。この場合、この隣接する2段の計8枚の電極を1組として考え、隣接する2組のうちの1段おきの電極に印加される高周波電圧の位相をずらす。また、2段目の4枚の電極41a〜41dに印加する高周波電圧A1’は高周波電圧A1と位相が反転したものよりもさらに所定分だけ位相をずらすようにしてもよい。
参考例
参考例の質量分析装置における第2レンズ電極40は、電極の配置は実施例1と同様にして、印加する電圧を変更するようにしたものである。即ち、上記実施例1〜3は高周波電場の位相をイオン光軸Cに沿って各段でずらすようにしていたが、この実施例4の構成では、高周波電圧に低周波電圧を重畳した電圧を各電極に印加する。ここで、高周波電圧の位相はイオン光軸Cに沿ってずらさず、例えば実施例1における高周波電圧A1又はA1’を各段の電極に印加する。一方、重畳する低周波電圧の位相を、イオン光軸Cに沿って各段毎に順にずらす。
図5(a)は1段目の電極41a、41bに印加される電圧波形を示す図、(b)は2段目の電極42a、42bに印加される電圧波形を示す図である。このように高周波電圧の位相をずらす代わりに低周波電圧の位相をずらしても、レンズ電極40に導入されたイオンに対し加速作用を生じる電場が形成され、実施例1と同様の効果が得られる。なお、低周波電圧の周波数はイオンの収束には影響を与えないので、レンズ電極40の各段の間隔や所望の加速の程度に応じて決めればよく、通常は数十Hz〜数百Hzの範囲である。
なお、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正及び追加を行っても本発明に包含されることは明らかである。
例えば、上記実施例は本発明におけるイオン光学系を、図6に示したような大気圧イオン源を有する質量分析装置の中間真空室内に設置されるものに適用した例であるが、図8に示したようなタンデム型質量分析装置の衝突セルにも有用である。また、それ以外でも、比較的ガス圧が高い条件の下でイオンを収束させながら後段へと輸送する必要がある場合に利用することができる。

Claims (5)

  1. イオンを発生するイオン源とイオンを質量毎に分離する質量分析器との間のイオン通過経路上に、イオンを収束させて前記質量分析器に導入するためのイオン光学系を設けた質量分析装置において、
    前記イオン光学系は、イオン光軸方向に肉薄であるN(Nは4以上の偶数)枚の板状の電極を該イオン光軸を取り囲むように配設するとともに、そのN枚の電極を1組として、イオン光軸方向に互いに分離してM組(Mは3以上の整数)の電極を多段に配設したものであり、
    各組内のN枚の電極についてイオン光軸の周りに隣接する電極にはそれぞれ位相が反転した数百kHzから数MHzの高周波電圧を、イオン光軸方向に沿って位相を順にずらして、各組の電極に印加することにより該N枚の電極で囲まれる空間にイオン収束作用をもつ多重極の高周波電場を形成するとともに、各組の電極に印加する高周波電圧によりそれら電極で囲まれる空間に発生する高周波電場の位相をイオン光軸方向に沿って順にずらすようにしたことを特徴とする質量分析装置。
  2. 前記各組の電極に印加する高周波電圧の位相ずれ量をイオンの質量に応じて変化させる電圧印加手段を備えることを特徴とする請求項に記載の質量分析装置。
  3. イオンを発生するイオン源とイオンを質量毎に分離する質量分析器との間のイオン通過経路上に、イオンを収束させて前記質量分析器に導入するためのイオン光学系を設けた質量分析装置において、
    前記イオン光学系は、イオン光軸方向に肉薄であるN(Nは4以上の偶数)枚の板状の電極を該イオン光軸を取り囲むように配設するとともに、そのN枚の電極を1組として、イオン光軸方向に互いに分離してM組(Mは3以上の整数)の電極を多段に配設したものであり、
    各組内のN枚の電極についてイオン光軸の周りに隣接する電極にはそれぞれ位相が反転した数百kHzから数MHzの高周波電圧を印加することにより該N枚の電極で囲まれる空間にイオン収束作用をもつ多重極の高周波電場を形成するとともに、各組の電極に印加する高周波電圧によりそれら電極で囲まれる空間に発生する高周波電場の位相をイオン光軸方向に沿ってずらすようにし、
    前記各組の電極をイオン光軸方向に沿って順に該イオン光軸の周りに所定角度ずつ回転させた配置とすることにより、高周波電場の位相をイオン光軸方向に沿って順にずらすようにしたことを特徴とする質量分析装置。
  4. イオンの開裂を促進するために該イオンをガス分子に衝突させる衝突セルを有する質量分析装置であって、その衝突セルとして前記イオン光学系を用いることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の質量分析装置。
  5. 前記イオン源は液体試料を大気圧雰囲気中でイオン化するイオン化室を有し、該イオン化室と前記質量分析器が配置される高真空雰囲気である分析室との間に隔壁で隔てられた1 乃至複数の中間真空室を備える質量分析装置であって、その中間真空室の内部に前記イオン光学系を配置したことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の質量分析装置。
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