JP3378299B2 - 床 材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】本発明は合板やパーティクルボー
ドよりなる床下地、ＲＣ造りのコンクリート床下地、或
いはＯＡ床等のような床下地上に簡単且つ精度よく施工
し得る床材に関するものである。 【０００２】 【従来の技術】従来から、床下地上に施工する床材とし
ては、例えば、長方形状のムク材や合板フローリング材
よりなる基材の下面に防音性の向上を図る目的で繊維状
やシート状のクッション材を貼着してなる床板が知られ
ており、この床板を床下地上に接着剤によって貼着して
いるが、基材の剛性が大であるために可撓性に劣り、不
陸等が生じている床下地面に対しての馴染み性が悪いと
いう問題点がある。 【０００３】このため、図４、図５に示すように、長方
形状の木質化粧材Ａの下面に長さ方向に適宜間隔毎に両
側端面間に亘って貫通する複数の切溝Ｂを設けることに
より可撓性を持たせ、この木質化粧材Ａを薄肉の弾性シ
ートＣ上に、一体に積層すると共に木質化粧材Ａの両側
端部に雌雄実部Ｄ、Ｅを形成してなる床材が開発されて
いる。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】このような床材によれ
ば、接着剤や釘等によることなく床下地上に直貼りして
施工し得るという利点を有するが、切溝Ｂを設けた木質
化粧基材Ａに雄実部Ｄを形成しているために、切溝Ｂの
深さを大きくすると、雄実部Ｄが図５に示すように、切
溝Ｂによって多数の小片ｄに完全に分割された構造とな
って運搬等の取扱時や施工の際に該小片ｄが折損する場
合が生じ、商品価値が低下するばかりでなく雌雄実部
Ｄ、Ｅを嵌合させながら床材を順次施工する時に強固な
嵌合が行えなくなる虞れがある。 【０００５】このため、雄実部Ｄの上面或いは下面に全
長に亘って補強シート片を貼着することが行われている
が、製造手間が増えるだけでなくその補強シート片によ
って切溝Ｂによる可撓性が損なわれ、不陸が生じている
床下地面に対しての馴染み性が悪くなって、床材同士の
接合部に段差が生じ、施工精度が低下する上に床下地面
から浮き上がって歩行時に床鳴りが発生するという問題
点がある。 【０００６】さらに、雌雄実部Ｄ、Ｅが木質化粧基材Ａ
の端部のみで形成されているので、床材同士を接合する
際に、雌雄実部Ｄ、Ｅの馴染み性が悪くて嵌合作業に手
間取るばかりでなく、木質化粧基材Ａに捩れや歪みが生
じている場合には、嵌合が困難となることもある。な
お、上記切溝Ｂの深さを浅くすれば隣接する小片ｄ、ｄ
の上部間が一体化して雄実部Ｄの強度が増大するが、そ
うすると床材の可撓性が低下して上記同様に床下地面に
対する馴染み性が悪くなり、精度のよい施工ができない
等の問題点が生じる。本発明はこのような問題点を全面
的に解消し得る床材の提供を目的とするものである。 【０００７】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の床材は、曲げ弾性を有する長方形状の可撓性
シート材の上面に柔軟性を有する接着剤を介して木質化
粧板を積層一体化してなる床材において、上記木質化粧
板の下面には対向する長辺間に亘って貫通し、且つ、木
質化粧板の下面からの深さが該木質化粧板の厚みの１／
３〜２／３に形成された複数条の切溝が長さ方向に適宜
間隔毎に刻設されていると共に、床材主体の少なくとも
長辺側の一側端に、木質化粧板の一側端部をその下層部
を残してＬ字状に切欠くと共に可撓性シート材の一側端
部をその上層部を残して逆Ｌ字状に切欠くことによって
上部が上面から下面に貫通する上記切溝によって長さ方
向に一定間隔毎に分割された木質化粧板の薄片部からな
り、下部が該木質化粧板の分割部を連設した可撓性シー
ト材の薄片部からなる雄実部を形成している一方、他側
端に、上記雄実部が嵌合可能な断面コ状で且つ上側突出
壁が木質化粧板よりなり、下側突出壁が可撓性シート材
よりなる雌実部を形成した構造としている。 【０００８】 【作用】雌雄実部の上下部がそれぞれ木質化粧板と可撓
性シート材によって形成され、且つ木質化粧板と可撓性
シート材とが接着剤によって一体化しているので、木質
化粧板の下面に切溝が設けられているには拘わらず、雌
雄実部が可撓性シート材によって補強された構造となっ
て運搬時や施工時における実部の折損や破損等が防止さ
れる。さらに、可撓性シート材による可撓性と相俟って
上記接着剤が柔軟性を有しているので、切溝による床材
の可撓性を損なうこともない。 【０００９】従って、この床材を床下地上に敷設した時
に、床材全体が床下地面の形状に応じて馴染み変形し、
床下地面の不陸を吸収して床下地面からの浮き上がり現
象をなくすることができる。また、雌雄実部を嵌合させ
て床材同士を接合する際に、これらの雌雄実部の一部を
構成している可撓性シート材が互いに密接して床材に多
少の歪みや反り変形が生じていても、それを可撓性シー
ト材の弾性変形によって吸収しながら円滑な嵌合が行え
ると共に床材間に段差や目隙が発生することもなく、そ
のため、歩行時における床鳴りも生じさせない精度のよ
い施工が可能となる。 【００１０】 【実施例】本発明の実施例を図面について説明すると、
１は長方形状の床材主体で、適度の曲げ弾性を有する可
撓性シート材２の上面に柔軟性を有する接着剤３を介し
て木質化粧板４を一体に積層接着してなるものである。
この木質化粧板４は、３〜７プライの合板、パーティク
ルボード、ＭＤＦ等の比重が0.5 〜0.9 の木質板の上面
に薄い突板やＷＰＣ板、或いは樹脂化粧シートよりなる
表面化粧層を一体に設けてなるものであり、その下面に
は、鋸等の切削具によって長さ方向に10〜100mm 間隔毎
に幅方向に貫通する切溝５が刻設されている。切溝５の
深さは、木質化粧板４の下面から上面に向かって該木質
化粧板４の厚みの１／３以上となるように切削され、こ
れらの切溝５、５・・によって木質化粧板４に可撓性を
付与していると共に軽量化を図っている。 【００１１】この木質化粧板４の大きさは特に限定され
ないが、一例を挙げると、短辺方向の長さが50〜300mm
、長辺方向の長さが600 〜1800mm、厚みが３〜９mmの
長方形板に形成されている。なお、上記切溝５の深さを
余り深くすると、その切溝５から木質化粧板４が折損す
る虞れが生じるので、木質化粧板４の厚みの２／３以下
にしておくことが好ましい。 【００１２】一方、上記曲げ弾性を有する可撓性シート
材２の種類は特に限定されないが、塩化ビニル樹脂、ウ
レタン樹脂、クロロプレンやブチルなどの合成ゴム系樹
脂、ポリエステル樹脂、或いは各種再利用プラスチック
等の弾性材料を使用し、これらの材料に炭酸カルシウ
ム、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、金属粉、或
いは金属酸化物粉等の重量粉を適宜混入して、比重が上
記木質化粧板４よりも大きい1.0 以上、好ましくは木質
化粧板４の比重の1.5 倍以上であって厚みが３〜10mmの
長方形板状に形成されてある。 【００１３】なお、可撓性シート材２と木質化粧板４と
の厚みや比重を上記のように設定することによって、可
撓性シート材２の厚みと比重との積が木質化粧板４の厚
みと比重との積よりも大となり、従って、重心が可撓性
シート材２内に位置させた床材を構成することができ
る。このように構成すると、木質化粧板４の剛性に可撓
性シート材２の自重が打ち勝って木質化粧板４に歪みや
捩れ変形が生じていても可撓性シート材２の自重によっ
てその変形が補正され、床下地面に対する馴染み性が一
層良好となるが、必ずしもこのように構成しておく必要
はない。 【００１４】可撓性シート材２と木質化粧板４とを一体
に接着している上記接着剤３としては、ポリウレタン、
ビニルウレタン、酢酸ビニル、エチチン酢ビ、アクリル
樹脂などのように、硬化後においても柔軟性を有する接
着剤が使用される。 【００１５】さらに、床材主体１の少なくとも長辺側の
両側端部には全長に亘って雌雄実部６、７が形成されて
ある。雄実部６は、木質化粧板４の一側端部をその下層
部を残してＬ字状に切欠く一方、可撓性シート材２の一
側端部をその上層部を残して逆Ｌ字状に切欠くことによ
って上部が木質化粧板４の薄片部6aからなり、下部が可
撓性シート材２の薄片部6bからなる構造に形成されてあ
る。従って、この雄実部６の上部薄片部6aには切溝５が
露出していて該切溝５を介して薄片部6aが長さ方向に一
定間隔毎に分割されているが、該薄片部6aの下面は柔軟
性を有する接着剤３を介して一体化している可撓性シー
ト材２からなる下部薄片部6bにより連設された構造とな
っている。なお、上部薄辺部6aの突出幅よりも下部薄片
部6bの突出幅が大きく形成されている。 【００１６】一方、雌実部７は、床材主体１の他端面中
央部を雄実部６が嵌合可能な断面コ字状の条溝形状に削
成することによって形成されている。この際、可撓性シ
ート材２の上面が露出するように、又は、該可撓性シー
ト材２の上層一部が全面的に切除されるように削成さ
れ、従って、この雌実部７の上部、即ち、上側突出壁7a
が木質化粧板４の他端上層部によって形成されていると
共に下部、即ち、下側突出壁7bが可撓性基材３により形
成された構造となっている。そして、この雌実部７の上
側突出壁7aの下面にも上記切溝５が露出している。さら
に、上側突出壁7aよりも下側突出壁7bの突出長が大きく
形成されている。なお、床材主体１の短辺側の両端部に
も上記と同じ構造を有する雌雄実部を形成しておいても
よい。 【００１７】このように構成した床材を床下地８上に施
工するには、既に施工した床材主体１と次に施工すべき
床材主体１との雌雄実部６、７を順次嵌合させていくこ
とによって行われるが、雄実部６を雌実部７に嵌合させ
る際に、該雄実部６の下面を雌実部７の下側突出壁7bの
上面に当接させたのち押し込んで雄実部６の上面を雌実
部７の上側突出壁7aの下面に摺接させながら嵌入し、床
材同士を接合する。 【００１８】この時、雌実部７の上側突出壁7aとこの上
側突出壁7aに摺接する雄実部６の上部とは剛性を有する
木質化粧板４の一部によって形成されているので、雌実
部７の上側突出壁7aには上方へ逃げようとする変形が生
じなくて雄実部６を下側に押し付けるようにしながら嵌
入させることになるが、雄実部６の下部と該下部を受止
する雌実部７の下側突出壁7bとが弾性を有する可撓性シ
ート材２の一部によって形成されているから、床材主体
１に多少の反りや歪みが生じていてもそれを弾性的に吸
収しながら互いに円滑に嵌合すると共にその接合部に段
差や目隙等が生じない精度のよい施工が可能となるもの
である。 【００１９】また、木質化粧板４の下面に設けている複
数条の切溝５によって木質化粧板４の曲げ剛性が小さく
なり、床下地面との馴染み性が良好となる。なお、本発
明の床材は、接着剤や釘等を使用することなく床下地上
に直置きすることによって施工が可能な構造を有してい
るものであるが、床下地に接着剤を介して敷設する床材
としても使用できる。 【００２０】 【発明の効果】以上のように本発明の床材によれば、床
材主体は曲げ弾性を有する長方形状の可撓性シート材の
上面に柔軟性を有する接着剤を介して木質化粧板を積層
一体化してなり、この木質化粧板の下面には対向する長
辺間に亘って貫通し、且つ、木質化粧板の下面からの深
さが該木質化粧板の厚みの１／３〜２／３に形成された
複数条の切溝が長さ方向に適宜間隔毎に刻設されている
と共に、床材主体の少なくとも長辺側の一側端に、木質
化粧板の一側端部をその下層部を残してＬ字状に切欠く
と共に可撓性シート材の一側端部をその上層部を残して
逆Ｌ字状に切欠くことによって上部が上面から下面に貫
通する上記切溝によって長さ方向に一定間隔毎に分割さ
れた木質化粧板の薄片部からなり、下部が該木質化粧板
の分割部を連設した可撓性シート材の薄片部からなる雄
実部を形成している一方、他側端に、上記雄実部が嵌合
可能な断面コ状で且つ上側突出壁が木質化粧板よりな
り、下側突出壁が可撓性シート材よりなる雌実部を形成
しているものであるから、雄実部の上部が切溝によって
長さ方向に複数分割されている木質化粧板の薄片部から
なるにも拘わらず、下部が切溝を設けていない可撓性シ
ート材の薄片部からなるので、この可撓性シート材の薄
片部によって上記木質化粧板の薄片部の分割部が連設さ
れた構造となって、運搬時や施工時における雄実部の折
損や破損等を防止することができると共に、可撓性シー
ト材による可撓性と相俟って上記接着剤が柔軟性を有し
ているから、切溝による床材の可撓性を損なうこともな
く床下地材に対する馴染み性が良好な床材を形成するこ
とができる。 【００２１】さらに、上記木質化粧板の下面に設けてい
る切溝の深さを、木質化粧板の厚みの１／３〜２／３に
形成しているので、木質化粧板が切溝から折損する虞れ
をなくし得ると共に床材の可撓性を損なうこともなく、
その上、軽量化を図ることができるものであり、また、
上記のように雌雄実部の上下部がそれぞれ上記木質化粧
板と可撓性シート材によって形成されているので、施工
時に雌雄実部を嵌合させて床材同士を接合する際に、こ
れらの雌雄実部の一部を構成している可撓性シート材が
互いに密接しながら嵌合し、床材に多少の歪みや反り変
形が生じていても、或いは、床下地面に不陸があって
も、それを可撓性シート材の弾性変形によって吸収させ
ながら円滑且つ確実な嵌合が可能となると共に、床材間
に床鳴りの原因となる段差や目隙の生じない精度のよい
施工が行えて美麗な床仕上面を形成することができるも
のである。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明床材の一部を断面した斜視図、 【図２】雌雄実部の嵌合状態を示す一部断面図、 【図３】床下地上に施工した状態を示す一部拡大断面
図、 【図４】従来の床材の一部縦断面図、 【図５】その簡略斜視図。 【符号の説明】 １ 床材主体 ２ 可撓性シート材 ３ 接着剤 ４ 木質化粧板 ５ 切溝 ６ 雄実部 6a、6b その上下部 ７ 雌実部 7a、7b その上下部

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平４−297654（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−169967（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−230985（ＪＰ，Ａ) 実開 昭64−2941（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E04F 15/04

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 床材主体は曲げ弾性を有する長方形状の
   可撓性シート材の上面に柔軟性を有する接着剤を介して
   木質化粧板を積層一体化してなり、この木質化粧板の下
   面には対向する長辺間に亘って貫通し、且つ、木質化粧
   板の下面からの深さが該木質化粧板の厚みの１／３〜２
   ／３に形成された複数条の切溝が長さ方向に適宜間隔毎
   に刻設されていると共に、床材主体の少なくとも長辺側
   の一側端に、木質化粧板の一側端部をその下層部を残し
   てＬ字状に切欠くと共に可撓性シート材の一側端部をそ
   の上層部を残して逆Ｌ字状に切欠くことによって上部が
   上面から下面に貫通する上記切溝によって長さ方向に一
   定間隔毎に分割された木質化粧板の薄片部からなり、下
   部が該木質化粧板の分割部を連設した可撓性シート材の
   薄片部からなる雄実部を形成している一方、他側端に、
   上記雄実部が嵌合可能な断面コ状で且つ上側突出壁が木
   質化粧板よりなり、下側突出壁が可撓性シート材よりな
   る雌実部を形成していることを特徴とする床材。