JP3376673B2 - ポリオレフィンフィルム - Google Patents
ポリオレフィンフィルムInfo
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Description
び滑り性が改良されたポリオレフィンフィルムに関す
る。 【0002】 【従来の技術】例えば食品など各種物品の包装材料とし
て広く使用されているポリオレフィンフィルムにおいて
は、当該フィルム同士を積層するときに互いに密着して
しまう、いわゆるブロッキング現象が発生しやすいとい
う問題があり、このため、包装などにおける作業性が著
しく損なわれている。 【0003】また、従来のポリオレフィンフィルムは滑
り性が不十分であって、例えば自動包装機によって包装
する場合に包装不良が頻繁に発生するという問題があ
る。 【0004】このため、ポリオレフィンフィルムのブロ
ッキングを防止する手段として、微粉末シリカや微粉末
タルクなどの無機物微粒子をフィルム中に添加混合する
ことが行われている。 【0005】しかしながら、ポリオレフィンフィルムに
十分な耐ブロッキング性を付与するためには、無機物微
粒子を多量に添加混合する必要があり、この場合には、
多量に添加された無機物微粒子がポリオレフィン中に十
分均一に分散されずに凝集してしまい、得られるポリオ
レフィンフィルムは機械的物性の点で満足できるもので
はない。 【0006】また、無機物微粒子が添加混合されたポリ
オレフィンフィルムを延伸処理した場合に無機物微粒子
の周囲にボイドが発生するため、フィルムの透明性が低
下し、包装材料としての商品価値が著しく損われるとい
う問題を有している。 【0007】一方、架橋構造を有するポリマー粒子(以
下、単に「架橋ポリマー粒子」という)を無機物微粒子
に代えて使用する技術が提案されており、このような技
術によれば、無機物微粒子を添加混合する場合に比べて
ある程度の改良効果が認められる。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、架橋ポ
リマー粒子を添加混合してなるポリオレフィンフィルム
においても、架橋ポリマー粒子とポリオレフィン樹脂と
の親和性は十分に満足できるものではなく、従って、ポ
リオレフィン樹脂中における架橋ポリマー粒子の分散性
は良好であるとはいえない。そして、このようなフィル
ムにおいては、 架橋ポリマー粒子の分散性が良好でないことに起因
して、ポリオレフィンフィルムに十分な耐ブロッキング
性を付与することができず、更に、架橋ポリマー粒子が
脱落してフィルムの耐ブロッキング性が経時的に低下し
てしまい、また、 特に延伸フィルムにおいて、無機物微粒子の場合と
同様に架橋ポリマー粒子の周囲にボイドが発生して透明
性が低下してしまう、という問題があり、更に、 架橋ポリマー粒子の添加混合によっても、ポリオレ
フィンフィルムの滑り性を十分に向上させることはでき
ない。 【0009】本発明は以上のような事情に基いてなされ
たものである。本発明の第1の目的は、ポリオレフィン
中に含有されている架橋ポリマー粒子の分散性が良好で
あるポリオレフィンフィルムを提供することにある。本
発明の第2の目的は、耐ブロッキング性および滑り性に
優れたポリオレフィンフィルムを提供することにある。
本発明の第3の目的は、更に透明性に優れたポリオレフ
ィンフィルムを提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明のポリオレフィン
フィルムは、オレフィン系重合体中に架橋ポリマー粒子
が0.01〜50重量%の割合で分散含有されてなるポ
リオレフィンフィルムであって、前記架橋ポリマー粒子
は、10重量%以上の割合で架橋性単量体を含む重合性
単量体を重合して得られる架橋ポリマー粒子(A)の粒
子表面の全部または一部が熱可塑性樹脂(B)により被
覆されてなる、平均粒子径が0.01〜10μmの複合
化された架橋ポリマー粒子(以下「複合架橋ポリマー粒
子」という)であることを特徴とする。 【0011】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明のポリオレフィンフィルムは、オレフィン系重合体
中に複合架橋ポリマー粒子が特定の割合で分散含有され
てなるフィルムである。 【0012】本発明のフィルムを構成するオレフィン系
重合体としては、 エチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペ
ンテン等のα−オレフィンの単独重合体、 これらの
α−オレフィンを2種以上組み合わせて共重合されたα
−オレフィン同士の共重合体、 α−オレフィンと、
これと共重合可能な共重合性単量体(例えば酢酸ビニ
ル、マレイン酸等)との共重合体、並びに これらの
混合物よりなるものなどを挙げることができる。 【0013】本発明のフィルムを構成する複合架橋ポリ
マー粒子は熱可塑性樹脂によって複合化された架橋ポリ
マー粒子であり、具体的には、10重量%以上の割合で
架橋性単量体を含む重合性単量体を重合して得られる架
橋ポリマー粒子(A)の粒子表面の全部または一部が熱
可塑性樹脂(B)により被覆されてなるものであり、そ
の平均粒子径は0.01〜10μmとされる。 【0014】複合架橋ポリマー粒子を構成する架橋ポリ
マー粒子(A)は、架橋性単量体、すなわち、分子構造
中に重合性二重結合を含む基を2個以上有する単量体を
含む重合性単量体を重合することにより得られる。 【0015】架橋ポリマー粒子(A)を調製する際にお
いて、重合性単量体中における架橋性単量体の割合とし
ては、通常10重量%以上とされ、好ましくは15重量
%以上、更に好ましくは20重量%以上とされる。架橋
性単量体の含有割合が10重量%未満である場合には、
最終的に得られるポリオレフィンフィルムが十分な耐ブ
ロッキング性を有するものとならない。 【0016】架橋ポリマー粒子(A)を調製する際の重
合法としては、例えば乳化重合法、懸濁重合法、分散重
合法などを挙げることができ、これらのうち、粒子径を
均一にコントロールしやすいという観点から乳化重合法
が好ましく、特に好ましくはシード乳化重合法である。 【0017】前記架橋ポリマー粒子(A)の粒子表面を
全面的または部分的に被覆する熱可塑性樹脂(B)は、
架橋性単量体を含まない重合性単量体または少量の架橋
性単量体を含む重合性単量体を重合して得られる重合体
からなる樹脂である。 【0018】熱可塑性樹脂(B)を調製する際におい
て、重合性単量体中における架橋性単量体の割合として
は、通常10重量%未満とされ、好ましくは9重量%以
下、更に好ましくは5重量%以下とされる。架橋性単量
体の含有割合が10重量%以上である場合には、複合架
橋ポリマー粒子がオレフィン系重合体に対して十分な親
和性を有するものとならず、最終的に得られるポリオレ
フィンフィルムが透明性に劣るものとなる。 【0019】複合架橋ポリマー粒子を調製する際におい
て、熱可塑性樹脂(B)の使用量としては、架橋ポリマ
ー粒子(A)100重量部に対して0.01〜900重
量部であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜4
00重量部、特に好ましくは0.5〜200重量部とさ
れる。熱可塑性樹脂(B)の使用量が0.01重量部未
満である場合には、得られる複合架橋ポリマー粒子がオ
レフィン系重合体に対して十分な親和性を有するものと
なりにくく、オレフィン系重合体中における分散性が劣
るものとなる傾向がある。一方、この使用量が900重
量部を超える場合には、最終的に得られるポリオレフィ
ンフィルムが十分な耐ブロッキング性を有するものとな
りにくい。 【0020】なお、複合架橋ポリマー粒子におけるオレ
フィン系重合体に対する親和性乃至密着性を向上させる
観点からは、熱可塑性樹脂(B)が官能基を含有する重
合体からなることが好ましい。ここに、熱可塑性樹脂
(B)に含有される官能基としては、カルボキシル基、
水酸基、N−メチロール基、スルホ基、無水マレイン酸
ユニット、エポキシ基、アミノ基、アミド基、ニトリル
基などの反応性を有する官能基から選ばれた少なくとも
1種であり、これらのうち、カルボキシル基、水酸基、
アミノ基、アミド基が好ましい。官能基を導入する方法
としては、 官能基含有モノマーを共重合させる方
法、 複合架橋ポリマー粒子の表面を化学処理して、
表面に存在する特定の基を官能基に置換させる方法など
を挙げることができる。 【0021】本発明のフィルムを構成する複合架橋ポリ
マー粒子の平均粒子径は0.01〜10μmとされ、好
ましくは0.01〜5μm、更に好ましくは0.01〜
2μmとされる。平均粒子径が0.01μm未満である
場合には、最終的に得られるポリオレフィンフィルムが
十分な耐ブロッキング性を有するものとならず、一方、
10μmを超える場合には、複合架橋ポリマー粒子がオ
レフィン系重合体に対して十分な親和性を有するものと
ならない。ここで、架橋ポリマー粒子の平均粒子径は、
透過型電子顕微鏡を用いて撮影された写真上の100個
の粒子について直接測定した値の平均値をいうものとす
る。なお、個々の粒子径を測定するに際して、測定され
るべき粒子が球形状でない場合には長径と短径との相加
平均をとる。 【0022】架橋ポリマー粒子(A)を調製する際の必
須の単量体であり、熱可塑性樹脂(B)を調製する際に
少量の割合で使用されることのある架橋性単量体として
は、ジビニルベンゼンに代表される非共役ジビニル化合
物、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレートに代表される多価
アクリレート化合物などの、2個以上、好ましくは2個
の共重合性二重結合を有する化合物を好ましく用いるこ
とができる。これらの化合物は単独であるいは2種以上
を組み合わせて用いることができる。 【0023】架橋ポリマー粒子(A)および熱可塑性樹
脂(B)を調製する際に使用することができる多価アク
リレート化合物の例としては、次の化合物を挙げること
ができる。 【0024】〔ジアクリレート化合物〕ポリエチレング
リコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコール
ジアクリレート、1,6−ブチレングリコールジアクリ
レート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレ
ングリコールジアクリレート、2,2' −ビス(4−ア
クリロキシプロピロキシフェニル) プロパン、2,2'
−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパ
ン、メチレンビスアクリルアミド 【0025】〔トリアクリレート化合物〕トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、トリメチロールエタント
リアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレ
ート 【0026】〔テトラアクリレート化合物〕テトラメチ
ロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテト
ラアクリレート 【0027】〔ジメタクリレート化合物〕エチレングリ
コールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタ
クリレート、トリエチレングリコールジメタクリレー
ト、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3
−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチ
レングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサング
リコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジ
メタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレ
ート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、
2,2' −ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニ
ル)プロパン 【0028】〔トリメタクリレート化合物〕トリメチロ
ールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタ
ントリメタクリレート 【0029】以上の化合物うち、ジビニルベンゼン、エ
チレングリコールジメタクリレートおよびトリメチロー
ルプロパントリメタクリレートを用いることが好まし
く、特にジビニルベンゼンを用いることが好ましい。 【0030】熱可塑性樹脂(B)を調製する際の必須の
単量体であり、架橋ポリマー粒子(A)を調製する際に
任意に使用される、架橋性単量体以外の共重合性単量体
としては、スチレン、エチルビニルベンゼン、α−メチ
ルスチレン、フルオロスチレン、ビニルピリンなどの芳
香族モノビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリルなどのシアン化ビニル化合物、ブチルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレート、β−メタクリ
ロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、2−ア
クロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル
酸、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレ
ート、グリシジルアクリレート、N,N'−ジメチルア
ミノエチルアクリレートなどのアクリル酸エステルモノ
マー、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、
2−エチルヘキシルメタクリレート、メトキシジエチレ
ングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレング
リコールメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエ
チル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、エチルメタ
クリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、N,N' −ジメチルアミノエチルメタクリレートな
どのメタクリル酸エステルモノマー、シリコン変性単量
体、マクロモノマー、アクリル酸、メタクリル酸、マレ
イン酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸およ
びジカルボン酸の酸無水物、アクリルアミド、メタクリ
ルアミドなどのアミド系モノマーを挙げることができ
る。また、ブタジエン、イソプレンなどの共役二重結合
化合物や酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物、4−
メチル−1−ペンテン、その他のα−オレフィン化合物
を挙げることができる。これらの化合物は単独であるい
は2種以上を組み合わせて用いることができる。 【0031】以上の化合物うち、スチレン、エチルビニ
ルベンゼン、アクリロニトリル、ブチルアクリレート、
メチルメタクリレートが好ましく、また、カルボン酸等
の官能基が導入されてなる共重合性単量体が好ましい。 【0032】本発明のポリオレフィンフィルム中におけ
る複合架橋ポリマー粒子の含有割合としては、通常0.
01〜50重量%とされ、好ましくは0.05〜30重
量%、更に好ましくは0.1〜20重量%とされる。こ
の割合が0.01重量%未満である場合には、得られる
ポリオレフィンフィルムが十分な耐ブロッキング性を有
するものとならず、一方、50重量%を超える場合に
は、得られるポリオレフィンフィルムが機械的物性が低
下する。 【0033】複合架橋ポリマー粒子をオレフィン系重合
体中に含有させる方法としては、 複合架橋ポリマー粒子のエマルジョン(以下「ポリ
マーエマルジョン」という)の形態で添加混合して含有
させる方法、 ポリマーエマルジョンの形態で添加混合した後、分
散媒を除去する方法、 ポリマーエマルジョンから微粉末状の複合架橋ポリ
マー粒子を分離回収してこの微粉末状粒子を添加混合す
る方法、などを挙げることができる。 【0034】本発明のポリオレフィンフィルムは、粉体
状またはペレット状ポリオレフィンと、複合架橋ポリマ
ー粒子とを十分に混合した後、通常の溶融押出を行うこ
とにより、あるいは更に、一軸または二軸に延伸するこ
とによって製造することができる。また、複合架橋ポリ
マー粒子を塩化ビニリデンなどに添加し、これを、通常
のポリオレフィンフィルムの表面にコートして製造する
こともできる。 【0035】本発明のポリオレフィンフィルムの形態と
しては、テープ状であってもよいし、シート状であって
もよい。また、フィルムの厚さとしてはは5μm〜5m
mであることが好ましく、更に好ましくは5μm〜1m
m、特に好ましくは5〜100μmとされる。 【0036】 【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらに限定されるものではない。なお、以下におい
て「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および
「重量%」を示す。 【0037】〔複合架橋ポリマー粒子の製造〕 (1)製造例1 ジビニルベンゼン22部と、エチルビニルベンゼン16
部と、ジエチルベンゼン2部と、スチレン60部と、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部と、ポリビニ
ルアルコール0.5部と、イオン交換水1000部と、
α,α' −アゾイソブチロニトリル1部とを反応容器に
仕込み、ホモミキサーを用いて12000r.p.m.
で60分間攪拌して均一に混合した。次いで、窒素ガス
を吹き込みながらこの系を80℃に加熱し、3時間攪拌
することにより懸濁重合を行い、平均粒子径2.1μm
の架橋ポリマー粒子(A1)を調製した。次いで、過硫
酸カリウム1部を反応容器に添加した後、メチルメタク
リレート70部と、n−ブチルアクリレート20部と、
メタクリル酸9部と、エチレングリコールジメタクリレ
ート1部と、イオン交換水40部と、ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム0.5部と、ポリビニルアルコー
ル1部とを混合してなる単量体混合物(エマルジョン)
を3時間にわたり連続的に添加して重合を完結させるこ
とにより複合架橋ポリマー粒子(1)を製造した。得ら
れた複合架橋ポリマー粒子(1)の平均粒子径を測定し
たところ2.3μmであった。 【0038】(2)製造例2 重量平均分子量が15000、平均粒子径が0.48μ
mであるポリスチレン粒子10部と、ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム3部と、ジビニルベンゼン38.
5部と、エチルビニルベンゼン28部と、ジエチルベン
ゼン3.5部と、スチレン30部と、過硫酸ナトリウム
1部と、イオン交換水700部とを反応容器に仕込み、
窒素ガスを吹き込みながらこの系を80℃に加熱し、1
時間攪拌することにより重合を行い、平均粒子径0.7
9μmの架橋ポリマー粒子(A2)を調製した。次い
で、スチレン1部と、メタクリル酸メチル1部と、ブチ
ルアクリレート3部と、過硫酸ナトリウム0.5部とを
混合してなる単量体混合物を添加し、80℃で3時間重
合して重合を完結させることにより複合架橋ポリマー粒
子(2)を製造した。得られた複合架橋ポリマー粒子
(2)の平均粒子径を測定したところ0.8μmであっ
た。 【0039】(3)製造例3 複合架橋ポリマー粒子(2)の製造例と同様にして平均
粒子径0.79μmの架橋ポリマー粒子(A2)を調製
した。次いで、過硫酸ナトリウム0.2部を反応容器に
添加した後、スチレン50部と、ブチルアクリレート1
50部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.
5部と、イオン交換水40部とからなる単量体混合物を
3時間にわたり連続的に添加して重合を完結させること
により複合架橋ポリマー粒子(3)を製造した。得られ
た複合架橋ポリマー粒子(3)の平均粒子径を測定した
ところ0.9μmであった。 【0040】(4)製造例4 重量平均分子量が25000、平均粒子径が0.25μ
mであるポリスチレン粒子10部と、ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム5部と、ジビニルベンゼン35.
75部と、エチルビニルベンゼン26部と、ジエチルベ
ンゼン3.25部と、スチレン35部と、過硫酸ナトリ
ウム1部と、イオン交換水1000部とを反応容器に仕
込み、窒素ガスを吹き込みながらこの系を80℃に加熱
し、1時間攪拌することにより重合を行い、平均粒子径
0.5μmの架橋ポリマー粒子(A4)を調製した。次
いで、過硫酸ナトリウム0.5部を反応容器に添加した
後、β−(パーフルオロオクチルエチル)アクリレート
200部を1時間にわたり連続的に添加し重合を完結さ
せることにより複合架橋ポリマー粒子(4)を製造し
た。得られた複合架橋ポリマー粒子(4)の平均粒子径
を測定したところ0.6μmであった。 【0041】〔実施例1〕ポリプロピレン(メルトイン
デックス:2g/10分)100部と、ステアリン酸カ
ルシウム0.03部と、複合架橋ポリマー粒子(1)
0.5部とを混合し、この混合物を溶融押出ししてペレ
ット化した。このペレット状混合物を押出機を用いてシ
ート状フィルムを成形し、更に、縦方向5倍、横方向1
0倍に延伸させることにより、厚さ20μmの延伸フィ
ルムを製造した。 【0042】〔実施例2〜4〕複合架橋ポリマー粒子
(1)に代えて複合架橋ポリマー粒子(2)〜(4)を
それぞれ0.5部用いたこと以外は実施例1と同様にし
て厚さ20μmの延伸フィルムを製造した。 【0043】〔比較例1〕複合架橋ポリマー粒子(1)
に代えて、製造例2における中間製造物である架橋ポリ
マー粒子(A2)を0.5部用いたこと以外は実施例1
と同様にして厚さ20μmの延伸フィルムを製造した。 【0044】〔実験例〕以上の実施例および比較例によ
り得られたポリオレフィンフィルムの各々について、透
明性、耐ブロッキング性および滑り性についての評価を
行った。なお、評価方法(物性の測定)は下記の方法に
よるものである。 (1)透明性 ASTM D−1003に準拠してヘイズ(%)を測定
した。 (2)耐ブロッキング性 2枚のフィルム片(80×120mm)を上端で20m
mずらして重ね合わせ(オーバーラップ面:80×10
0mm)、70g/cm2 の荷重を与えながら、50℃
の雰囲気中で24時間放置した後、引張試験機を用いて
剪断剥離強度(g/cm2 )を測定した。 (3)滑り性 ASTM D−1894に準拠して動摩擦係数を測定し
た。以上の結果を後記表1に示す。 【0045】 【表1】 【0046】表1の結果から、実施例1〜4により得ら
れた本発明のフィルムは、ヘイズが小さくて透明性に優
れ、また、耐ブロッキング性に優れ、更に、摩擦係数が
小さくて滑り性にも優れていることが理解される。特
に、実施例2〜4により得られたフィルムは、添加含有
された複合架橋ポリマー粒子を構成する架橋ポリマー粒
子(A)がシード重合法によって調製されているので、
透明性および耐ブロッキング性に一層優れていることが
理解される。これに対して比較例1により得られたフィ
ルムは、透明性、耐ブロッキング性および滑り性の何れ
においても劣るものであった。 【0047】 【発明の効果】本発明のフィルムは、ポリオレフィン中
に含有されている架橋ポリマー粒子の分散性が良好であ
り、耐ブロッキング性、滑り性および透明性について優
れた高品質のフィルムである。従って、本発明のフィル
ムによれば包装などの分野において作業効率を向上させ
ることができ、また、自動包装機によって包装する場合
においても包装不良などの問題を発生させることはな
い。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 オレフィン系重合体中に架橋ポリマー粒
子が0.01〜50重量%の割合で分散含有されてなる
ポリオレフィンフィルムであって、 前記架橋ポリマー粒子は、10重量%以上の割合で架橋
性単量体を含む重合性単量体を重合して得られる架橋ポ
リマー粒子(A)の粒子表面の全部または一部が熱可塑
性樹脂(B)により被覆されてなる、平均粒子径が0.
01〜10μmの複合化された架橋ポリマー粒子である
ことを特徴とするポリオレフィンフィルム。
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