JP4228446B2 - 多層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層フィルムに関し、更に詳しくは、所定のポリマー粒子が配合された表面層とポリマー粒子を含まない基層とからなる多層フィルムとすることにより、耐ブロッキング性、滑り性及び透明性に優れた多層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリオレフィン等の樹脂から製造される樹脂フィルムを構成する樹脂層は、単層の樹脂から構成されていた。そして、このような樹脂フィルムにおいては、積層するときにフィルム同士が密着してしまう、いわゆるブロッキング現象が発生しやすい問題があることから、従来より、ブロッキング現象を防止するためにポリマー粒子を樹脂中に添加していた(図8参照)。
【0003】
しかし、従来の単層樹脂フィルムにおいては、添加するポリマー粒子の粒子径分布が広いと、粒子径によって、樹脂表面に表出するポリマー粒子と樹脂中に埋没するポリマー粒子が生じる。ポリマー粒子は樹脂中に深く埋没してしまうと、耐ブロッキング性及び滑り性を発揮し得ないだけでなく、かえって樹脂中の不純物となって、樹脂フィルムの透明性を低下させるという問題があった。また、ポリマー粒子が樹脂表面に表出していても、ポリマー粒子に荷重が加わった場合、ポリマー粒子が樹脂より脱落して、耐ブロッキング性が低下するという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、ブロッキング防止用のポリマー粒子を添加しても透明性を損なうことなく、同時に耐ブロッキング性及び滑り性に優れた多層フィルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意検討した結果、樹脂フィルムを従来の単層体ではなく、所定の粒子径及び粒子径分布であるポリマー粒子を添加した被覆用の樹脂を表面層として基層上に形成する多層フィルムとすることにより、透明性を損なうことなく、同時に耐ブロッキング性及び滑り性に優れた樹脂フィルムが得られることを見い出して本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本第1発明の多層フィルムは、基層1と、基層の少なくとも一表面に形成された表面層2とからなり、表面層2は、トルエンへの不溶解度が50重量%以上であり、重量平均粒子径Dwが0.3〜30μm、且つ数平均粒子径Dnとの比Dw/Dnが1.3以下であり、粒子径が10×Dwμm以上の粗大ポリマー粒子の割合が3重量%未満であるポリマー粒子21と、ポリマー粒子を被覆する(図1参照)と共にポリマー粒子を保持する被覆層22とからなり、該被覆層22が凹凸面を有することを特徴とする。ここで、「フィルム」の厚さは、通常、フィルムとして用いられるものが適用され、おおむね、5μm〜1mm程度を意味する。また、適用するフィルムの形状、大きさは特に限定されない。
【0007】
本多層フィルムは、基層及び表面層により構成されており、この表面層を構成する被覆層がブロッキング防止用のポリマー粒子の全部又は一部を被覆して保護している。このように多層化することにより、確実にポリマー粒子を表面層のみに配置し、基層内にポリマー粒子が埋没して耐ブロッキング性が低下することを防止すると共に、従来よりも少ないポリマー粒子量で優れた効果を奏することができ、フィルムの透明性も維持することができる。
上記表面層2は、上記基層の一方表面だけに設けてもよいし(図1、図5及び図6参照)、上記基層の両方の表面に設けることもできる(図3の2a、2b参照)。また、上記基層1は、通常は図1に示すように単層体で構成されているが、例えば図4に示すように、同一のあるいは異なった樹脂層を積層させて、二層(11、12)、又は三層以上の多層体としてもよい。
【0008】
上記基層及び表面層を構成する被覆層に用いられる樹脂の種類については、特に制限がないが、熱可塑性樹脂(熱可塑性の弾性体やエラストマーを含む。)が好ましい。この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、水添ブロック共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。この中で、本第3発明のように、ポリオレフィン系樹脂が、上記「ポリマー粒子」に対し特に好適に使用できる。このポリオレフィン系樹脂としては、例えば、[1]エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンの単独重合体、[2]これらのα−オレフィンを2種以上組み合わせて共重合されたα−オレフィン同士の共重合体、[3]α−オレフィンと、これと共重合可能な共重合性単量体(例えば酢酸ビニル、マレイン酸等)との共重合体等を挙げることができる。そして、上記ポリオレフィン系樹脂に、(水添)ブロック共重合体等の改質用エラストマーを配合した組成物が挙げられる。
また、上記熱可塑性の弾性体やエラストマーとしては、エチレン−αオレフィン(例えばプロピレン、ブチレン等)−非共役ジエン共重合体等を挙げることができる。この非共役ジエン単量体としては、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、5−メチル2,5−ノルボルナジエン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−(1−ブテニル)2−ノルボルネン、シクロオクタジエン、ビニルシクロヘキセン、1,5,9−シクロドデカトリエン、6−メチル−4,7,8,9−テトラヒドロインデン、2,2秩|ジシクロペンテニル、トランス−1,2−ジビニルシクロブタン、2−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、3,4,7−オクタトリエン、5−メチル−1,8−ノナジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等を挙げることができる。これらは一種又は二種以上を混合して使用してもよい。更に、熱硬化性のエラストマーであるポリウレタン等を用いることもできる。
上記基層及び被覆層を構成する樹脂としては、これらの樹脂のうちの一種又は二種以上を用いることができる。更に、この基層及び被覆層に用いられる各樹脂は、両方とも同一樹脂を使用する他、フィルムの性質に応じて基層と被覆層で異なった樹脂を使用することもできる。
【0009】
上記「ポリマー粒子」は、多層フィルムの表面層に配設されて、少なくとも凸状面を形成して、ブロッキングを防止するために用いられる。このポリマー粒子は、基層1上に位置し、ポリマー粒子21の表面全体を被覆層22で保護する形態(図1、図3、図4及び図5参照)である。この場合は、ポリマー粒子を被覆層が覆っているのでポリマー粒子が脱落することがない。
【0010】
上記「ポリマー粒子」のトルエンへの不溶解度は50重量%以上、好ましくは80重量%以上である。このトルエンへの不溶解度が50重量%未満では耐熱性が劣ることから、樹脂組成物に混合した場合に樹脂組成物に一部溶解したり、あるいは樹脂組成物に練り込んだり、大荷重が加わった場合にポリマー粒子が変形してしまい、その結果、耐ブロッキング性が低下してしまうので好ましくない。上記のトルエンの不溶解度は、実施例に示された方法で測定される。
【0011】
また、上記ポリマー粒子の重量平均粒子径Dwは0.3〜30μm(好ましくは0.4〜20μm、より好ましくは1〜10μm)であり、且つ数平均粒子径Dnとの比Dw/Dnが1.3以下(好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下)であり、粒子径が10×Dwμm以上の粗大ポリマー粒子の割合が3重量%未満(好ましくは2重量%未満、更に好ましくは1重量%未満)である。
重量平均粒子径Dwが0.3μm未満では耐ブロッキング性の効果が期待できず、30μmを越えると樹脂組成物の透明性が低下するので好ましくない。また、Dw/Dnが1.3を越えると、粒子径分布の均一性が損なわれて、ポリマー粒子の添加効果が低下するので好ましくなく、更に、粗大粒子の割合が3重量%以上であると、フィルム外観が大きく低下するので好ましくない。
上記の重量平均粒子径Dwは、光散乱法による方法など公知の方法で求めることができる。また、上記数平均粒子径Dnは透過型電子顕微鏡により撮影された写真から測定して求めることができる。上記粗大ポリマー粒子については、パーティクルカウンターなどの公知の方法で求めることができる。
【0012】
上記ポリマー粒子は架橋型又は非架橋型の有無は問わないが、架橋型ポリマーからなるのが好ましい。即ち、非架橋性単量体のみから単独重合又は共重合させたポリマーでもよいが、本第2発明のように、非架橋性単量体と架橋性単量体とを用いて共重合させたポリマーが好ましい。このような架橋型ポリマーからなるポリマー粒子は、耐熱性に優れたものであるため好ましい。
【0013】
上記「非架橋性単量体」としては、[1](メタ)アクリル酸エステル系単量体、[2]芳香族モノビニル化合物、[3]シアン化ビニル化合物、[4]ビニルエステル化合物、[5]アクリルアミド系化合物、[6]エチレン系不飽和カルボン酸、[7]脂肪族共役ジエン系単量体等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体[1]としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、グリシジルアクリレート、(メタ)アクリル酸N,N' −ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどが挙げられる。
上記芳香族モノビニル化合物[2]としては、スチレン、エチルビニルベンゼン、α−メチルスチレン、フルオロスチレン、ビニルピリン等が挙げられる。上記シアン化ビニル化合物[3]としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。上記ビニルエステル化合物[4]としては、酢酸ビニルなどが挙げられる。上記アクリルアミド系単量体[5]としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジアルキルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。上記エチレン系不飽和カルボン酸[6]としては、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。上記脂肪族共役ジエン系単量体[7]としては、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1−ペンテン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、クロロプレンなどが挙げられる。
上記の単量体は一種単独又は二種以上の併用とすることができる。上記単量体のなかで好ましい単量体は、(メタ)アクリル酸エステル化合物を必須成分とする単量体である。この場合は、屈折率が1.45〜1.55の範囲に調整が容易だからである。また、単量体の種類、使用量は、ポリマー粒子の目的の屈折率が得られるように適宜決める。
【0014】
上記「架橋性単量体」としては、ジビニルベンゼンに代表される非共役ジビニル化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートに代表される多価アクリレート化合物等の、2個以上、好ましくは2個又は3個の共重合性二重結合を有する化合物等を用いることができる。これらの化合物は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
上記「架橋性単量体」として用いることができる多価アクリレート化合物の例としては、次の化合物を挙げることができる。
[1]ジアクリレート化合物
ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2' −ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル) プロパン、2,2' −ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル) プロパン、メチレンビスアクリルアミド
[2]トリアクリレート化合物
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート
[3]テトラアクリレート化合物
テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
[4]ジメタクリレート化合物
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2' −ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン
[5]トリメタクリレート化合物
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート
【0016】
以上の化合物のうち、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートを用いることが好ましく、特にトリメチロールプロパントリメタクリレートを用いることが好ましい。
【0017】
上記ポリマー粒子は、例えば、単量体成分100重量部に対し、重量平均粒子径Dwが0.05〜10μm、且つ数平均粒子径Dnとの比Dw/Dnが1.2以下のシードポリマー粒子0.1〜5重量部に、油溶性重合開始剤0.1〜10重量部の少なくとも一部を水性媒体中で吸収させた後に、非架橋性単量体10〜95重量部と架橋性単量体5〜90重量部とを含む単量体成分の少なくとも一部を吸収させて重合することにより、製造することができる。
【0018】
上記シードポリマー粒子としては、後の工程において、単量体をより吸収させることにより、重合反応をより効率的に進めるという観点から、油溶性重合開始剤を吸収する性質を有することが好ましい。このようなポリマーとして例えば、スチレン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体等を挙げることができる。また、その他にも、膨潤性の少ない組成のポリマー粒子、架橋ポリマー粒子又は無機粒子の表面を、上記ポリマーで被覆したポリマー粒子の水性分散体も使用することが可能である。更に、得られたポリマー粒子を、次工程のシードポリマー粒子として使用することも可能である。
上記シードポリマー粒子は、水系のラテックス、エマルジョン又はサスペンションなどの分散体の状態で使用することができる。
【0019】
上記シードポリマー粒子の粒子径分布は、最終的に得られるポリマー粒子の粒子径分布を単分散にするため、単分散粒子径であること、具体的には、重量平均粒子径Dwと数平均粒子径Dnとの比(Dw/Dn)が1.2以下(好ましくは1.1以下)であることが好ましい。また、シードポリマー粒子の粒子径は、任意に選定することができるが、好ましくは最終的に得られるポリマー粒子の粒子径の10〜70%(好ましくは15〜50%)の大きさ、重量平均粒子径Dwにして0.05〜10μm(好ましくは0.1〜5μm)である。10%未満では重合性単量体がシードポリマー粒子へ吸収されにくくなる結果、新粒子の発生が多くなるので好ましくない。一方、70%を越えるとシードポリマー粒子の割合が増えすぎ、その結果、ポリマー粒子の生産性が落ちてしまうので好ましくない。
【0020】
上記油溶性重合開始剤は、水への溶解度が10−2重量%以下のものを用いる方が、後の工程において、単量体をより吸収し易く、重合反応をより効率的に進めることができるので好ましい。このような油溶性重合開始剤としては、例えば、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシ2エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物を挙げることができる。
上記油溶性重合開始剤は、液状で水への溶解度が10−2重量%以下であれば、そのまま使用することができるが、固体であったり、あるいは水への溶解度が10−2重量%を超えるものの場合は、溶媒として、水への溶解度が10−2重量%以下の有機化合物に溶解して使用するのが好ましい。このような水への溶解度が10−2重量%以下の有機化合物としては、分子量が5000以下の液状の有機化合物が好ましく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、1−クロルドデカン、アジピン酸ジオクチル、メタクリル酸ステアリル等が挙げられる。
【0021】
単量体成分100重量部に対し、上記油溶性開始剤0.1〜10重量部の少なくとも一部を、上記シードポリマー粒子0.1〜5重量部(好ましくは0.5〜3重量部)に吸収させる。尚、この「吸収」には、油溶性開始剤が完全にシードポリマー粒子中に浸透する場合だけでなく、少なくとも一部が吸収され、残りはシードポリマー粒子の表面に付着している場合も含む。「少なくとも一部」とは、具体的には油溶性開始剤のうち90%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上がシードポリマー粒子中に浸透する場合をいう。
【0022】
上記油溶性開始剤をシードポリマー粒子に吸収させる方法としては、水への溶解度が上記油溶性開始剤と臨界ミセル濃度以下の乳化剤と水性媒体を混合し、超音波微分散ホモジナイザーやオリフィス通過型の高圧ホモジナイザーなどでサブミクロン以下の液滴としてから、シードポリマー粒子の水性分散体と混合することが好ましい。
上記方法において使用される乳化剤としては、公知の乳化剤を用いることができ、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物等のアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノステアレート等の非イオン性乳化剤、反応性乳化剤等が挙げられる。
上記水性媒体には、水以外に水溶性の有機溶剤を併用することも可能で、このような有機溶剤として、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアルデヒド等が挙げられる。
尚、このホモジナイザー処理工程では発熱を避けるために、通常は冷却して行うことが好ましい。
【0023】
また、シードポリマー粒子に上記非架橋性単量体と架橋性単量体を吸収させて生成した粒子の分散安定のため、好ましくは水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基を少なくとも1つを含むポリマーを、懸濁安定剤として使用することができる。懸濁安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ロジン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸エステルポリマーなどが挙げられる。このうち、水溶性のもの(ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩等)が好ましい。この懸濁安定剤は、通常、重合性単量体100重量部に対し、0.1〜10重量部用いられる。0.1重量部未満では重合安定性が悪くなるので好ましくなく、10重量部を超えると添加剤として使用した場合に着色するなどの問題点があるので好ましくない。また、分散安定剤としてアニオン系、ノニオン系界面活性剤等を適時併用することもできる。
更に、重合温度は、上記油溶性重合開始剤の分解温度以下で行うことが好ましく、通常40〜90℃、好ましくは50℃〜80℃で行われる。
【0024】
本発明の多層フィルムにおいては、本第4発明に示すように、表面層の最大層部の厚さ(図1のL2)とポリマー粒子の粒径(図1のL1)の比(L2/L1)が1.0〜2.0(好ましくは1.0〜1.6、より好ましくは1.0〜1.3)とすることができる。尚、表面層の最大層部の厚さL2とは、図2のような場合は、ポリマー粒子21の粒子径がL2となる。よって、図2ではL2/L1は1.0である。L2/L1が2.0を超えると、図5に示すように、ポリマー粒子21が二層以上の多層に積み重なってしまい、耐ブロッキング性が低下するだけでなく、凸面又は凹凸面が不均一となる結果、多層フィルムの透明性が低下するので好ましくない。このL2/L1の値が適度であれば、ポリマー粒子の積み重ねを防止できるので、優れた耐ブロッキング性及び滑り性を発揮しつつ、多層フィルムの透明性を確保することができる。
【0025】
本発明の多層フィルムにおいては、本第5発明に示すように、ヘイズ値が10%以下であることが好ましい。より好ましくは9%以下、更に好ましくは8%以下、特に好ましくは7%以下である。ヘイズ値が小さくなる程、透明性がよくなる。このヘイズ値の測定は、以下の実施例に示す方法によった。そして、基層のみならず、ポリマー粒子を配合させた表面層も透明であるのが好ましい。透明性をより十分に確保するためには、ポリマー粒子の屈折率と被覆層又は基層を構成する熱可塑性樹脂等の屈折率との差が小さい程好ましい。この差は、0.4以下が好ましく、更に0.2以下がより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルを主単量体(例えば60%以上)とするポリマー粒子と、ポリプロピレン又はポリエチレン等のポリオレフィンとを組み合わせることにより、この低屈折率差(0.4以下、特に0.2以下)を確保できる。
また、通常添加する上記ポリマー粒子の屈折率は1.42〜1.59、好ましくは1.45〜1.55とすることができる。この屈折率が1.42未満あるいは1.59を越えると被覆層との屈折率の差が大きくなり、光の散乱を起こして表面層の透明性が低下するので好ましくない。尚、この屈折率は公知の方法、例えば、標準液を用いる方法、アッベ屈折計などで測定できる。
【0026】
また、多層フィルムの表面層には少なくとも凸状面を有する。即ち、ポリマー粒子の添加量が比較的多い場合は、例えば図1及び図2に示すように、表面層は凸状面23とこれに続く凹状面24(即ち凹凸面)が形成される。一方、ポリマー粒子の添加量が少ない場合は、例えば図5及び図6に示すように、表面層は実質上凸状面(お椀状面)23のみであり、この凸状面の底にはほぼ平坦な面が形成されている。この図5及び図6に示す態様においても、十分な耐ブロッキング性を示す。
上記ポリマー粒子の添加量としては、被覆層を構成する樹脂に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.05〜30重量%、更に好ましくは0.1〜20重量%である。ポリマー粒子の含有量が0.01重量%未満では、得られる多層フィルムが十分な耐ブロッキング性を有するものとならず、一方、50重量%を超える場合には、過剰なポリマー粒子が不純物となって、得られる多層フィルムの透明性を低下させるだけでなく、多層フィルムの機械的物性も低下するので好ましくない。
【0027】
更に、本発明のフィルムの被覆層22を備える表面層2の表面と、その表面に接触するフィルム面との剪断剥離強度は、好ましくは0〜55g/cm2、より好ましくは0〜50g/cm2、更に好ましくは0〜45g/cm2、特に好ましくは0〜35g/cm2であり、一段と耐ブロッキング性に優れた多層フィルムが得られる。
【0028】
本発明の多層フィルムは、例えば、以下のようにして製造される。
まず、以下のようにして、ポリマー粒子を含む重合体組成物を製造する。即ち、上記ポリマー粒子を熱可塑性樹脂に含有させる方法としては、[1]ポリマー粒子のエマルジョン(以下「ポリマーエマルジョン」という)の形態で添加混合して含有させる方法、[2]ポリマーエマルジョンの形態で添加混合した後、分散媒を除去する方法、又は[3]ポリマーエマルジョンから微粉末状のポリマー粒子を分離回収してこの微粉末状粒子を添加混合する方法等を挙げることができる。
【0029】
次いで、上記重合体組成物を用いて多層フィルム状に成形する。例えば、樹脂としてポリオレフィンを使用したポリオレフィンフィルムは、上記の混合法で得られた組成物又は粉体状若しくはペレット状ポリオレフィンと、ポリマー粒子とを十分に混合した後、通常の溶融押出を行うことにより、あるいは更に、一軸または二軸に延伸することによってポリマー粒子を含む表面層となる表面側フィルム素材を製造する。更に、この押出し等により製造された表面側フィルム素材に、基層となる基層側フィルム素材を重ね合わせて、多層フィルムを製造する。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。尚、以下において「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
(1)ポリマー粒子の製造
[製造例1]
開始剤として、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシサイド(商品名「パーロイル355」、日本油脂株式会社製)2部、ラウリル硫酸ナトリウム(商品名「エマール10N」、花王株式会社製)0.1部及び水20部を撹拌して乳化後、超音波ホモジナイザーで更に微粒子化した。この水性分散体を、重量平均粒子径(Dw)が0.4μm、Dw/Dn(数平均粒子径)が1.0のシードポリマー粒子としての単分散ポリスチレン粒子(固形分10%)1部とアセトン6部とよりなる混合液に添加し、1時間撹拌して吸収させた(表1参照)。
その後、懸濁安定剤としてポリビニルアルコール(商品名「ゴ−セノールGL−05」、日本合成化学株式会社製、重合度2000、ケン化度87〜89)の2.5%水溶液200部、重合性単量体としてメタクリル酸メチル95部、ジビニルベンゼン5部を加え40℃で1時間ゆっくり撹拌してモノマーをシード粒子に吸収させた(表1参照)。
次いで、昇温して70℃で5時間重合を行って、ポリマー粒子Aを得た。重合転化率は99%、凝固物の発生は殆どなかった。
【0031】
[製造例2]
シードポリマー粒子としての単分散ポリメタクリル酸メチル(重量平均粒子径;1.0μm、Dw/Dn;1.0、固形分;10%)1部、重合性単量体としてメタクリル酸メチル90部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(商品名「ライトエステルTMP」、共栄社化学株式会社製)10部、懸濁安定剤としてポリビニルアルコール2.5%水溶液120部及び水80部に代える以外は全て製造例1と同様にしてポリマー粒子Bを得た(表1参照)。
【0032】
[製造例3]
シードポリマー粒子としての、実施例1で得られたポリマー粒子(重量平均粒子径;1.9μm、Dw/Dn;1.0、固形分;10%)1部、油溶性開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト「パーブチルO」(日本油脂株式会社製)2部、重合性単量体としてスチレン60部、トリメチロールプロパントリメタクリレート40部、懸濁安定剤としてポリビニルピロリドン2.5%水溶液(商品名「K30」、BASF社製)120部及び水80部に代える以外は全て製造例1と同様にしてポリマー粒子Cを得た(表1参照)。
【0033】
(2)ポリマー粒子の性能評価
上記の製造例1〜3で使用されたシードポリマー粒子のDw及びDn、並びに製造例1〜3により得られた各ポリマー粒子A〜Cの屈折率、トルエンへの不溶解度、重量平均粒子径、数平均粒子径及び粗大粒子量を、下記の方法で測定した。その結果を表1に示す。尚、表1の単量体の項において、「MMA」はメタクリル酸メチル、「ST」はスチレン、「DVB]はジビニルベンゼン、「TMPMA」はトリメチロールプロパントリメタクリレートを示す。
[1]屈折率
屈折率標準液(Cargille社製)に、乾燥させたポリマー粒子を添加し、光学顕微鏡(100倍)で粒子が見えなくなる標準液(25℃)を探して屈折率とした。
[2]トルエンへの不溶解度(%)
ポリマー粒子粉体1gをトルエン100gに添加して室温で1日良く攪拌したのち、No5濾紙で溶液を濾過した濾液を重量乾燥法によりポリマー溶解濃度X(%)を求め、次式により不溶解度を求めた。
不溶解度(%)=100−X
[3]重量平均粒子径Dw(μm)
レーザー光散乱・粒度分布測定装置(コールター社製「LS230」)により求めた。
[4]数平均粒子径Dn(μm)
透過型電子顕微鏡により撮影した写真から200個以上の粒子径を計測し、平均値を求めた。
[5]粗大粒子量
パーティクルカウンタ(リオン社製「KL−11/KS−60」)により求めた。
【0034】
【表1】
【0035】
(3)二層フィルムの製造
上記製造例1〜3において各々製造されたポリマー粒子A、B、Cを用いて、以下の方法により、実施例1〜3及び比較例2〜4のポリオレフィン二層フィルム並びに比較例1の単層フィルムを製造した。
[実施例1〜3]
基層製造用の樹脂として、ポリプロピレン(メルトインデックス:2g/10分)単独のホモポリマーペレットを準備する。そして、表面層製造用として、ポリプロピレン(メルトインデックス:2g/10分)100部に、製造例1〜3のポリマー粒子A、B、Cを各々0.5部とステアリン酸カルシウム0.03部とを270℃以下の条件で混合し、溶融押し出しを行って、各粒子ペレットを得た。その後、二軸延伸後の表面層2及び基層1の各厚みが、2μm/18μm(実施例1)、5μm/15μm(実施例2)、10μm/10μm(実施例3)(上段が表面層厚み、下段が基層厚みを表す。)になるように、所定のペレットを共押し出しして積層原反シートを得た。更に、この積層原反シートを二軸延伸機を用いて、縦方向5倍、横方向10倍の逐次延伸させることにより、厚み20μmの二層フィルムを得た。尚、製造例1で得られたポリマー粒子Aを用いたものが実施例1、製造例2で得られたポリマー粒子Bを用いたものが実施例2、製造例3で得られたポリマー粒子Cを用いたものが実施例3である(表2参照)。製造された各二層フィルムのL2/L1比及び表面層/基層の各厚みは、表2に示した。また、製造例1、2及び3で得られたポリマー粒子A,B,Cの各屈折率は、各々、1.49、1.49、1.53であり(表1参照)、ポリプロピレンの屈折率は1.49である。
【0036】
[比較例1]
ポリプロピレン(メルトインデックス:2g/10分)100部に、製造例1のポリマー粒子Aを0.5部とステアリン酸カルシウム0.03部とを270℃以下の条件で混合して、溶融押し出ししてペレット化した。このペレット化された混合物を押出し機を用いて、シート化し、更に縦方向5倍、横方向10倍に延伸させて、厚み20μmの単層フィルムを得た。
[比較例2〜4]
本比較例2〜4は、各々、実施例1〜3において、ポリマー粒子を用いないで、他は各実施例1〜3と同様にして得た多層フィルムである。
【0037】
(4)フィルムの性能評価
上記実施例1〜3及び比較例1〜4に示す各ポリオレフィンフィルムについて、下記に示す方法により、ヘイズ値、剪断剥離強度及び動摩擦係数についての評価を行った。その結果を表2に示す。
[6]ヘイズ値(%)
このヘイズ値は透明性の尺度であり、この値が小さい程透明性に優れることを表すものである。
ASTM D−1003に準拠してヘイズ(%)を測定した。
[7]剪断剥離強度
この剪断剥離強度は耐ブロッキング性の尺度であり、この値が小さい程耐ブロッキング性に優れることを表すものである。
2枚のフィルム片(80×120mm)を上端で20mmずらして、その表面と裏面とを重ね合わせ(オーバーラップ面:80×100mm)、70g/cm2の荷重を与えながら、50℃の雰囲気中で24時間放置した後、引張試験機を用いて剪断剥離強度(g/cm2)を測定した。
[8]動摩擦係数
この動摩擦係数は滑り性の尺度であり、この値が小さい程滑り性に優れることを表すものである。
ASTM D−1894に準拠して動摩擦係数を測定した。
【0038】
【表2】
【0039】
(5)実施例の効果
表2の結果から、比較例1では、20μmの単層の中に8.8μmのポリマー粒子が配設されているので、ポリマー粒子が何層も重なっていると考えられ、そのため、ヘイズ値が15%と大きく、フィルムの透明性が損なわれている。しかも、単層で且つポリマー粒子が配設される厚みが20μmと厚いため、ポリマー粒子の使用量が多くなった。一方、実施例1〜3により得られたフィルムは、いずれも、ヘイズ値が6〜9%と小さく、即ち、比較例1のヘイズ値に対して40〜60%と大変小さくなっており、透明性に優れることが判る。特に、実施例1及び2の表面層の厚みが各々2μm、5μmの場合は、ヘイズ値が比較例1と比べて、その40〜47%と著しく小さくなり、透明性が更に一層優れることが判る。また、実施例1及び2は、比較例1と比べて、剪断剥離強度が各々その71%、86%と小さく、耐ブロッキング性にも優れることが判る。
また、比較例2〜4は、ポリマー粒子を用いないのでヘイズ値(2〜3%)には優れるものの、剪断剥離強度が60〜70g/cm2と大きく、動摩擦係数も大きい(0.4〜0.5)。一方、この各比較例に対応する実施例1〜3は、ヘイズ値(6〜9%)に優れるとともに、剪断剥離強度が著しく小さく(対応比較例の38%、50%、47%)、動摩擦係数も小さく(0.2〜0.3)、透明性、耐ブロッキング性及び滑り性のいずれにも優れたものである。
【0040】
また、実施例1、2及び3を比較すると、ポリマー粒子を含む表面層の厚みが小さい程(各々2、5、10μm)、また、使用するポリマー粒子径が小さい程(各々1.9、4.7、8.8μm)、更に、L2/L1比が小さい程(各々1.05、1.06、1.14)、ヘイズ値(各々6、7、9%)も剪断剥離強度(25、30、33g/cm2)も小さくなり、透明性及び耐ブロッキング性の双方に優れることが判る。このことは、実施例1のように表面層がより薄い程ポリマー粒子の使用量が少なくなるとともに、ポリマー粒子に邪魔されず、確実に透明性を確保でき、極めて優れた性能を示している。これらの実施例1〜3はL2/L1比が小さいので、ポリマー粒子を被覆する被覆層が薄く、そのため、被覆された凹凸面(凸状面)が形成されているものと思われる。
また、ポリマー粒子の屈折率と被覆層及び基層を構成するポリプロピレンの屈折率との差が0又は0.04と小さく、しかもポリマー粒子が表面層のみに配設されているので、この点からも、フィルムの透明性に優れ、更に、ポリマー粒子の使用量を低減させることもできた。更に、実施例1〜3はいずれも、比較例1と同様に、動摩擦係数が小さくて滑り性にも優れていることが判る。
以上より、本実施例1〜3、特に実施例1〜2は、透明性、耐ブロッキング性及び滑り性のいずれにも優れたものである。
【0041】
尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、本発明の多層フィルムは、表1に示す組成及び配合割合のポリマー粒子の使用に限られず、本発明の範囲内における種々の組成及び配合割合としたものを使用できる。また、被覆層及び基層の材質は、上記ポリプロピレンに限らず、他の熱可塑性樹脂を用いることもできる。
【0042】
【発明の効果】
本第1発明〜本第5発明の多層フィルムによれば、基層上に粒子径分布が均一なポリマー粒子を表面層のみに配設させるので、フィルムの透明性を確保でき、しかも耐ブロッキング性及び滑り性をも十分に発揮させることができ、更に、ポリマー粒子の樹脂中への埋没を防止できるので、添加するポリマー粒子の量を従来より減少させることもできる。更に、被覆層がポリマー粒子の表面を覆っているので、ポリマー粒子の脱落を確実に防止できる。
また、第2発明及び第3発明の多層フィルムによれば、架橋型ポリマー粒子を用いるので、耐熱性に優れるフィルムとすることができる。
更に、第4発明の多層フィルムによれば、透明性、耐ブロッキング性及び滑り性のいずれにも優れた、大変性能バランスに優れたものとすることができる。また、第5発明の多層フィルムは透明性が大きいので、その利用分野が多岐に渡るものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例に係る多層フィルムの模式的一部断面図である。
【図2】 ポリマー粒子の一部表面が表出した状態を示す多層フィルムの一部断面図である。
【図3】 基層の表裏両面に表面層が形成された状態を示す多層フィルムの一部断面図である。
【図4】 基層が2層からなる状態を示す多層フィルムの一部断面図である。
【図5】 ポリマー粒子が散発的に配設された状態を説明する多層フィルムの一部断面図である。
【図6】 ポリマー粒子が散発的に配設され且つポリマー粒子の一部表面が表出した状態を示す一部断面図である。
【図7】 ポリマー粒子が多層に積層されて配設された状態を模式的に説明する説明図である。
【図8】 従来例に係る多層フィルムの模式的断面図である。
【符号の説明】
1;基層、2;表面層部、21;ポリマー粒子、211;下側表面、22;被覆層、23;凸状面、24;凹状面。
Claims (5)
- 基層1と、該基層の少なくとも一表面に形成された表面層2とからなり、該表面層2は、トルエンへの不溶解度が50重量%以上であり、重量平均粒子径Dwが0.3〜30μm、且つ数平均粒子径Dnとの比Dw/Dnが1.3以下であり、粒子径が10×Dwμm以上の粗大ポリマー粒子の割合が3重量%未満であるポリマー粒子21と、該ポリマー粒子を被覆するとともに該ポリマー粒子を保持する被覆層22とからなり、該被覆層22が凹凸面を有することを特徴とする多層フィルム。
- 上記ポリマー粒子が、非架橋性単量体と架橋性単量体とを含む単量体成分の共重合体である請求項1記載の多層フィルム。
- 上記非架橋性単量体が(メタ)アクリル酸エステル、又は(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体であり、上記基層及び上記被覆層はいずれもポリオレフィン系樹脂からなる請求項2記載の多層フィルム。
- 上記ポリマー粒子の粒径(L1)と上記表面層の最大層部の厚さ(L2)との比(L2/L1)が1.0〜2.0である請求項1乃至3のいずれかに記載の多層フィルム。
- ヘイズ値が10%以下である請求項1乃至4のいずれかに記載の多層フィルム。
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