JP3375874B2 - 無機フィラー強化ポリオレフィン系樹脂組成物 - Google Patents

無機フィラー強化ポリオレフィン系樹脂組成物

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JP3375874B2 JP35312397A JP35312397A JP3375874B2 JP 3375874 B2 JP3375874 B2 JP 3375874B2 JP 35312397 A JP35312397 A JP 35312397A JP 35312397 A JP35312397 A JP 35312397A JP 3375874 B2 JP3375874 B2 JP 3375874B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形性に優
れ、機械強度と衝撃強度が共に高く、耐候性、長期耐熱
性に優れ、ガラス霞現象の発生が極めて低い無機フィラ
ー強化ポリオレフィン系樹脂組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリオレフィン系樹脂は優れた機
械的性質と電気及び化学的に安定性であり、成形加工性
が容易なことから、工業部品用材料として広く使用され
ている。また、これらポリオレフィン系樹脂の剛性と耐
熱性を高めるために無機フィラー、特にタルクを添加し
た組成物も知られている。自動車部品の場合、太陽光、
ランプ光源等の光に対する安定性(耐光性及び耐候
性)、インストルメントパネル、の様に光照射から長時
間、高温に曝される部品、又は、エンジン近くにあり、
輻射及び伝導により長時間、高温に曝される部品の安定
性(長期熱安定性)、アルミニウム、銅、真鍮等の他の
金属部品と接触しながら高温下に置かれる部品の安定性
(耐銅害特性)等の様々な安定性が求められる。これら
のため、一般に各種添加剤を加え、それぞれの安定性能
を高めることが行なわれているが、多くの部品において
は、例えば、外装材は耐候性と長期耐熱性が、内装材は
耐光性と長期耐熱性とガラス霞性が、ケース材は長期耐
熱性と耐銅害性が、灯体は耐光性と長期耐熱性とガラス
霞性が、それぞれ求められており、実用に供されるには
複数の安定性が同時に求められているのが普通である。
【0003】一方、無機フィラー強化ポリオレフィン系
樹脂に対して上記の安定性能を付与させる場合、無機フ
ィラーとこれら添加剤との拮抗作用が大きく、十分な安
定性を付与することができない。この原因は、無機フィ
ラーの吸着性により各種添加剤が補集され、ポリオレフ
ィン系樹脂中への分散が阻害されているものと考えられ
る。このため、無機フィラーをアミノシラン系処理剤や
チタネート系処理剤等により表面処理を施して添加剤の
吸着を抑制することも考えられるが、コストが高くなる
と共に、必ずしも十分な効果が得られない。
【0004】また、脂肪酸、脂肪酸アミド等の滑材を添
加し、無機フィラーへの添加剤の吸着を抑えることもで
きる。しかし、滑材を配合する場合、それ自身或いは添
加剤のブリードアウトを促進させる作用があるため、金
型汚染やガラス霞性を悪化させることが多い。ガラス霞
み現象とは、インストルメントパネル、ハイマウントス
トップランプハウジング、合成布等プラスチック製品か
ら、各種添加剤、滑剤、帯電防止剤等が、高温に曝され
て気化し、フロントガラス又はリアガラス等、近くのガ
ラス等の透明な面に付着、固化し、曇らせる現象であ
る。ガラス霞現象は、特に内装や灯体等の製品に関して
は重大な問題となり、これを防止するために各種添加剤
の量を削減する等の処置が行なわれており、他の耐久性
能を犠牲にせざるを得ない状況であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、剛
性、耐熱性及び衝撃強度等の機械的性能に優れ、射出成
形等の成形加工性に優れ、更に、耐候性、長期耐熱性に
優れていると共にガラス霞現象の発生が極めて低く、自
動車内装材料及びランプハウジング材料に好適な無機フ
ィラー強化ポリオレフィン系樹脂組成物を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定な性状の樹脂に、
特定な性状の添加剤を特定量配合することにより上記目
的を達成することができるとの知見に基づき本発明を完
成するに至ったものである。すなわち、本発明の無機フ
ィラー強化ポリオレフィン系樹脂組成物は、下記の成分
(A)〜(E)からなることを特徴とするものである。 成分(A):密度が0.906g/cm3 以上、分子量14万未満のプロピレ ン単独重合体部分と、重量平均分子量が45万以上、ブロック共重合体中に占め る割合が20重量%未満のエチレン・プロピレンランダム共重合部分とからなる エチレン・プロピレンブロック共重合体 95〜50重量% 成分(B):無機フィラー 5〜50重量% 成分(C):ベヘン酸亜鉛または12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム 無機フィラー100重量部に対して0.1〜5重量部 成分(D):N−メチル型ヒンダードアミン系安定剤 成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して0.01〜1重量部 成分(E):融点が110℃以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤 成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して0.01〜1重量部
【0007】
【発明の実施の形態】
[I] 無機フィラー強化ポリオレフィン系樹脂組成物 (1) 構成成分 (A) エチレン・プロピレンブロック共重合体[成分
(A)] 本発明の無機フィラー強化ポリオレフィン系樹脂組成物
を構成する成分(A)のエチレン・プロピレンブロック
共重合体としては、密度が0.906g/cm3 以上、
好ましくは0.9065〜0.909g/cm3 、特に
好ましくは0.907〜0.908g/cm3 、重量平
均分子量14万未満、好ましくは9万〜13万5千、特
に好ましくは10万〜13万のプロピレン単独重合体部
分と、重量平均分子量が45万以上、好ましくは47万
〜120万、特に好ましくは50万〜110万、ブロッ
ク共重合体中に占める割合が20重量%未満、好ましく
は5〜18重量%、特に好ましくは7〜15重量%のエ
チレン・プロピレンランダム共重合部分とからなるエチ
レン・プロピレンブロック共重合体である。上記プロピ
レン単独重合体部分の密度が上記範囲未満であると強
度、剛性及び耐熱性が低くなり、共重合部分に伴う強
度、剛性及び耐熱性の低下をカバーすることができない
との欠点が生じる。また、重量平均分子量が上記範囲を
超過すると無機フィラー強化ポリオレフィン系樹脂組成
物の流動性が低く、成形性が悪くなるとの欠点が生じ
る。更に、上記エチレン・プロピレンランダム共重合部
分の重量平均分子量が上記範囲未満であると衝撃強度の
改良効果が乏しくなるとの欠点が生じる。また、ブロッ
ク共重合体中に占める割合が上記範囲を超過すると強
度、剛性及び耐熱性の低下が著しくなるとの欠点が生じ
る。
【0008】(B) 無機フィラー[成分(B)] 本発明の無機フィラー強化ポリオレフィン系樹脂組成物
を構成する成分(B)の無機フィラーとしては、主とし
て板状形態の無機フィラーとその他の形態の無機フィラ
ーがあるが、板状形態の無機フィラーとしては、具体的
には、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリ
ンクレー、酸化鉄、セリサイト、二硫化モリブデン、バ
ライト(硫酸バリウム)、ひる石、タルク、マイカ、ガ
ラスフレーク等を挙げることができる。また、その他の
形態の無機フィラーとしては、具体的には、例えば、珪
酸カルシウム、酸化マグネシウム、不定形、立方状或い
は紡錘状、繊維状の炭酸カルシウム、石膏、カーボンブ
ラック、酸化チタン、石英等を挙げることができる。こ
れらの無機質充填剤は一種を単独で使用しても、或い
は、二種以上を併用しても良い。これら無機フィラーの
中でも、板状形態の無機フィラーが好ましく、特にタル
ク、マイカ、ガラスフレーク等を使用することが好まし
い。これら好適な板状無機質充填剤の板状形態として
は、縦又は横いずれかの長さと厚みの比を示すアスペク
ト比の平均値が、好ましくは3以上、特に好ましくは4
以上である。中でも平均粒径が1〜10μm、粒度分布
は全体が実質的に25μm以下であって、15μm以下
が95%以上、10μm以下が80%以上、5μm以下
が5〜50%であるタルクが好ましい。
【0009】(C) 非アルカリ金属塩[成分(C)] 本発明の無機フィラー強化ポリオレフィン系樹脂組成物
を構成する成分(C)は、ベヘン酸亜鉛または12−ヒ
ドロキシステアリン酸マグネシウムである。成分(E)
が融点が110℃以上のヒンダードフェノール系酸化防
止剤と分子量1000以上のチオエーテル系酸化防止剤
との併用系である酸化防止剤である場合には、成分
(C)として、重量平均分子量が600以上、好ましく
は630〜900、特に好ましくは650〜850、融
点が110℃以上、好ましくは115〜240℃、特に
好ましくは120〜230℃の脂肪酸の非アルカリ金属
塩、具体的には、例えば、ステアリン酸アルミニウム
(分子量:610、融点:145℃)、ステアリン酸カ
ルシウム(分子量:606、融点:148℃)、ステア
リン酸亜鉛(分子量:631、融点:117℃)、オレ
イン酸アルミニウム(分子量:606、融点:135
℃)、ベヘン酸カルシウム(分子量:718、融点:1
42℃)、ベヘン酸マグネシウム(分子量702:、融
点:115℃)、ベヘン酸亜鉛(分子量:743、融
点:115℃)、12−ヒドロキシステアリン酸カルシ
ウム(分子量:638、融点:142℃)、12−ヒド
ロキシステアリン酸マグネシウム(分子量:622、融
点:222℃)、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛
(分子量:663、融点:145℃)等を使用すること
ができる。
【0010】上記非アルカリ金属塩の重量平均分子量が
上記範囲未満であると製品中の拡散速度が速く、製品表
面へのブリードアウトが起こり易くなり、更に揮発し易
いことから、ガラス霞み現象が悪化するとの欠点が生じ
る。また、融点が上記範囲未満であると使用環境の最高
温度と比べて低くなり、気化、揮散し易く、また、ガラ
ス面に固化、付着してガラス霞み現象が悪化してしまう
との欠点が生じる。自動車内環境の最高温度及び各社の
試験規格を考えると、融点は110℃以上であることが
好ましい。
【0011】(D) N−メチル型ヒンダードアミン系安定
剤[成分(D)] 本発明の無機フィラー強化ポリオレフィン系樹脂組成物
を構成する成分(D)のN−メチル型ヒンダードアミン
系安定剤としては、具体的には、例えば、アデカスタグ
LA−52(旭電化工業社製):テトラキス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−
1,2,3,4−ブタンテトラカーボキシレート、アデ
カスタグ LA−62(旭電化工業社製):ビス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ
(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカーボ
キシレート、CHIMASSORB 199FL(チバ
スペシャルティーケミカルズ社製):N,N´−ビス
(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビ
ス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメ
チル−4−ピペリジル)アミノ]クロロ−1,3,5−
トリアジン縮合物等を挙げることができる。上記N−メ
チル型ヒンダードアミン系安定剤以外の安定剤では、例
えば、N−H型ヒンダードアミン系安定剤と比べて無機
フィラーへの吸着が少なく、耐候性に優れていると同時
に、長期耐熱性能が高い。このため各種添加剤のトータ
ル添加量を少なくすることができ、ガラス霞み性の抑制
につながる。また、N−H型ヒンダードアミン系安定剤
と比べて分子量が大きく、低揮発性であるため、ガラス
霞み現象が発生し難い特徴がある。
【0012】(E) ヒンダードフェノール系酸化防止剤
[成分(E)] 本発明の無機フィラー強化ポリオレフィン系樹脂組成物
を構成する成分(E)のヒンダードフェノール系酸化防
止剤としては、融点が110℃以上であることが望まし
い。融点が使用環境の最高温度と比べ、気化し易く、ま
た、ガラス面に固化、付着し易くなる。自動車内環境の
最高温度及び各社の試験規格を考えると、融点は110
℃以上であることが好ましい。この様なヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ペ
ンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート:
IRGANOX 1010FP(チバガイギー社製)、
融点117〜120℃、N,N´−ヘキサメチレンビス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシ
ンナマミド):IRGANOX 1098(チバスペシ
ャルティーケミカルズ社製) 融点156〜161℃、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン:IRGANOX 1330(チバスペシャルティー
ケミカルズ社製) 融点240〜245℃、トリス−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
−イソシアヌレート]:IRGANOX 3114(チ
バスペシャルティーケミカル社製) 融点218〜22
3℃、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒド
ロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレー
ト:CYANOX 1790(サイテック社製) 融点
155〜159℃、(2,2´−メチレンビス[4−メ
チル−6−t−ブチルフェノール]):CYANOX
2246(サイテック社製) 融点125〜128℃、
3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒド
ロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ]
−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テト
ラオキサスピロ[5,5]ウンデカン:スミライザー
GA−80(住友化学社製) 融点110℃以上等を挙げることができる。
【0013】上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤以
外の安定剤では、例えば、チオエーテル系酸化防止剤の
単独使用はヒンダードアミン系光安定剤と拮抗作用があ
り、耐候性を低下させる傾向がある。更に、融点が低い
ため揮散し易く、ガラス霞み製に悪影響を与える。しか
しながら、長期耐熱性を向上させるため非常に有効であ
り、経済性も良い。このため、チオエーテル系酸化防止
剤の分子量の高いもの(好ましくは分子量が1,000
以上)を必要最低量(好ましくは0.1重量部未満)に
限り添加し、上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤と
併用することが好ましい。この様なチオエーテル系酸化
防止剤としては、例えば、2−[[2,4,8,10−
テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,
f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イ
ル]オキシ]−N,N´−ビス[2−[[2,4,8,
10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ
[d,f][,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−
イル]オキシ]−エチル]エタナミン:IRGAFOS
12(チバスペシャルティーケミカルズ社製) 分子量
1465 融点205℃、ペンタエリスリトール−テト
ラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート):シーノ
ックス412S(シプロ化成社製) 分子量1,162 融点49〜52℃等を挙げることができる。
【0014】(F) その他の添加剤(任意成分) 上記必須成分の他に、本発明の効果を著しく阻害しない
範囲内で、その他の添加剤を配合することができる。そ
の他の添加剤としては、例えば、滑剤、核剤、中和剤、
界面活性剤、加工安定剤、紫外線吸収剤、耐熱性改良
剤、耐候性改良剤、帯電防止剤、金属不活性剤、難燃
剤、難燃剤、分散剤、着色剤、流動性改良剤、金属腐食
抑制剤、防黴剤、フェノール系、硫黄系、燐系等の酸化
防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の耐
候劣化防止剤、発泡剤、架橋剤等を添加することもでき
る。
【0015】(2) 配合量比 成分(A)のプロピレン・エチレンブロック共重合体は
95〜50重量%、好ましくは90〜60重量%、特に
好ましくは85〜65重量%であり、成分(B)の無機
フィラーは5〜50重量%、好ましくは10〜40重量
%、特に好ましくは15〜35重量%であり、成分
(C)の脂肪酸の非アルカリ金属塩は無機フィラー10
0重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.2
〜3重量部、特に好ましくは0.5〜1.5重量部であ
り、成分(D)のN−メチル型ヒンダードアミン系安定
剤は成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対し
て0.01〜1重量部であり、成分(E)のヒンダード
フェノール系酸化防止剤は成分(A)と成分(B)の合
計100重量部に対して0.01〜1重量部、好ましく
は0.02〜0.5重量部、特に好ましくは0.05〜
0.25重量部の割合で配合される。
【0016】成分(A)のエチレン・プロピレンブロッ
ク共重合体の配合量が上記範囲未満であると衝撃強度が
著しく低下するとの欠点が生じ、一方、上記範囲を超過
すると剛性、耐熱性が不足するとの欠点が生じる。ま
た、成分(B)の無機フィラーの配合量が上記範囲未満
であると補強効果が乏しく十分な機械的強度、剛性及び
耐熱性が得られないとの欠点が生じ、一方、上記範囲を
超過すると上記補強効果が飽和に達し、逆に低下すると
の欠点が生じる。また、成分(C)の脂肪酸の非アルカ
リ金属塩の配合量が上記範囲未満であると各種添加剤の
無機フィラーへの吸着を十分に抑制することができず、
十分な安定性が得られないとの欠点が生じ、一方、上記
範囲を超過すると脂肪酸の非アルカリ金属塩自体の製品
表面へブリードアウト及び各種安定剤のブリードアウト
を助長し、ガラス霞み現象を悪化させるとの欠点が生じ
る。また、成分(D)のN−メチル型ヒンダードアミン
系安定剤の配合量が上記範囲未満であると耐候性の改良
効果が得られないとの欠点が生じ、一方、上記範囲を超
過するとガラス霞み現象を悪化させるとの欠点が生じ
る。また、成分(E)のヒンダードフェノール系酸化防
止剤の配合量が上記範囲未満であると十分な耐熱安定性
が得られないとの欠点が生じ、一方、上記範囲を超過す
るとガラス霞み現象を悪化させるとの欠点が生じる。
【0017】(3) 樹脂組成物の製造 (A) 混 練 本発明の無機フィラー強化ポリオレフィン系樹脂組成物
は、上記構成成分を通常の、押出機、バンバリーミキサ
ー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーブ
ラベンダー等を用いて、設定温度180〜250℃にて
混練することにより製造されるが、これらの中でも押出
機、特に二軸押出機を用いて製造することが好ましい。 (B) 成形加工 本発明の無機フィラー強化ポリオレフィン系樹脂組成物
の成形加工法は、特に限定されるものではなく、射出成
形、押出成形、中空成形が可能であるが、奏される発明
の効果からみて射出成形法が最も適している。
【0018】[II] 用 途 上記の性能を発現できる素材であることから、自動車部
品、家電部品、OA機器部品、住宅建材部品等の種々の
成形品に加工することができるが、中でも、自動車部品
用途、例えば、インストルメントパネル、ドアトリム、
ピラートリム、コンソールボックス等の自動車内装部品
等や、ヘッドランプハウジング、リヤランプハウジン
グ、ハイマウントストップランプハウジング等のランプ
ハウジング材料等に用いることが好ましい。
【0019】
【実施例】以下に示す実施例及び比較例によって、本発
明を更に具体的に説明する。 [I] 評価方法 実施例及び比較例における評価は以下の方法によって行
なった。MFR :MFRはJIS−K7210に従った。曲げ弾性率 :曲げ弾性率はJIS−K7203に従っ
た。アイゾット(IZOD)衝撃強度 :アイゾット(IZO
D)衝撃強度はJIS−K7110に従った。成形性 :120×120×2mmの平板を成形する際の
成形性を下記の基準で判定した。 A:流動性が高く、通常のポリプロピレン樹脂の成形条
件で成形することができる。 B:流動性は低いが、温度、圧力が高めのポリプロピレ
ン樹脂の成形条件で成形することができる。 C:流動性が低く、高温高圧条件でないと成形すること
ができず、安定な射出成形条件領域が狭く、不安定であ
る。
【0020】耐候性:耐候性試験はサンシャインカーボ
ンアーク試験機(スガ試験機製)を用いて促進試験(ブ
ラックパネル温度83℃、1,500時間)を行ない、
表面外観を50倍にて観察し、劣化状態を下記の基準で
判定した。 A:変色、退色がなく、クラックもない。 B:若干であるが変色、退色又はクラックが認められ
る。 C:変色、退色又はクラックが明らかに発生し、目視で
認められる。 なお、内装材としては耐候性Aレベルが求められてい
る。耐熱性 :長期耐熱性試験はギヤオーブン試験機(東洋精
機製)を用いて150℃の加熱促進試験を行ない、脆化
に至るまでの時間を測定した。(目標:500時間以
上)ガラス霞み性 :ガラス霞み性試験はフォギング試験機
(スガ試験機製)を用いて120×120×2mmの平
板から直径80mmの円板を打ち抜き、これを試料と
し、n=3で測定する。雰囲気温度130℃、ガラス面
温度40℃の条件下において20時間加熱静置後、ガラ
ス面のヘーズ値を、JIS−K7105に基づき測定し
た。内装材及び灯体として、ヘーズ値は5以下であるこ
とが要求されている。
【0021】[II] 原材料 実施例及び比較例における原材料は下記のものを用い
た。 成分(A):エチレン・プロピレンブロック共重合体
【0022】
【表1】
【0023】成分(B):無機フィラー タルク:クラウンタルク局方ポリプロピレン樹脂平均粒
径6μm(遠心沈降法) 成分(C):脂肪酸の非アルカリ金属塩
【0024】
【表2】
【0025】成分(D):N−メチル型ヒンダードアミ
ン系安定剤 UV−1:N−メチル型ヒンダードアミン系安定剤 ア
デカスタグ LA−52(旭電化工業社製) UV−2:N−H型ヒンダードアミン系安定剤 Tin
uvin622LD(チバスペシャルティーケミカルズ
社製) 成分(E):ヒンダードフェノール系酸化防止剤 AO−1:IRGANOX 1010FP(チバスペシ
ャルティーケミカルズ社製)、融点117〜120℃、 AO−2:IRGANOX 3114(チバスペシャル
ティーケミカルズ社製) 融点218〜223℃、 AO−3:IRGANOX 1076(チバスペシャル
ティーケミカルズ社製) 融点50〜53℃、
【0026】チオエーテル系酸化防止剤 AS−1:IRGAFOS12(チバスペシャルティー
ケミカルズ社製) 分子量1465 融点205℃、 AS−2:シーノックス412S(シプロ化成社製)
分子量1,162 融点49〜52℃ AS−3:スミライザーTPS(住友化学社製) 分子
量683 融点61〜64℃
【0027】[III] 実験例 実施例1〜6及び比較例1〜13 上記原材料を表3〜表6に示す割合で配合し、溶融混練
を行なって射出成形により得られた試験片の物性を評価
した。その結果を表3〜表6に示す。混練は二軸混練機
により行ない、ホッパーより計量混合したエチレン・プ
ロピレンブロック共重合体とタルク及び必要な添加剤を
投入し、均一に混練した後、ストランド状に押し出し、
冷却後、ペレット状にカットした。射出成形は、JIS
試験片と120×120×2mmの平板を成形し、各評
価に用いた。
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
【発明の効果】この様な本発明の無機フィラー強化ポリ
オレフィン系樹脂組成物は、剛性、耐熱性及び衝撃強度
等の機械強度に優れ、射出成形等の成形加工性に優れ、
更に、耐候性、長期耐熱性に優れていると共にガラス霞
現象の発生が極めて低いことから、自動車部品、家電部
品、OA機器部品、住宅建材部品等の種々の成形品に加
工することができるが、中でも、自動車部品用途、例え
ば、インストルメントパネル、ドアトリム、ピラートリ
ム、コンソールボックス等の自動車内装部品等や、ヘッ
ドランプハウジング、リヤランプハウジング、ハイマウ
ントストップランプハウジング等のランプハウジング材
料等に用いることができ、工業的に極めて有用な材料で
ある。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 53/00 C08K 3/00 C08K 5/09 C08K 5/13 C08K 5/17

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の成分(A)〜(E)からなることを
    特徴とする、無機フィラー強化ポリオレフィン系樹脂組
    成物。 成分(A):密度が0.906g/cm以上、重量平均分子量14万未満の プロピレン単独重合体部分と、重量平均分子量が45万以上、ブロック共重合体 中に占める割合が20重量%未満のエチレン・プロピレンランダム共重合部分と からなるエチレン・プロピレンブロック共重合体 95〜50重量% 成分(B):無機フィラー 5〜50重量% 成分(C):ベヘン酸亜鉛または12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム 無機フィラー100重量部に対して0.1〜5重量部 成分(D):N−メチル型ヒンダードアミン系安定剤 成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して0.01〜1重量部 成分(E):融点が110℃以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤 成分(A)と成分(D)の合計100重量部に対して0.01〜1重量部
  2. 【請求項2】下記の成分(A)〜(E)からなることを
    特徴とする、無機フィラー強化ポリオレフィン系樹脂組
    成物。 成分(A):密度が0.906g/cm以上、重量平均分子量14万未満の プロピレン単独重合体部分と、重量平均分子量が45万以上、ブロック共重合体 中に占める割合が20重量%未満のエチレン・プロピレンランダム共重合部分と からなるエチレン・プロピレンブロック共重合体 95〜50重量% 成分(B):無機フィラー 5〜50重量% 成分(C):重量平均分子量が600以上、融点が110℃以上の脂肪酸の非 アルカリ金属塩 無機フィラー100重量部に対して0.1〜5重量部 成分(D):N−メチル型ヒンダードアミン系安定剤 成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して0.01〜1重量部 成分(E):融点が110℃以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤と分子 量が1000以上であるチオエーテル系酸化防止剤との併用系である酸化防止剤 成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して0.01〜1重量部
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