JP3148014B2 - 塗装バンパー用ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

塗装バンパー用ポリプロピレン系樹脂組成物

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JP3148014B2
JP3148014B2 JP25652892A JP25652892A JP3148014B2 JP 3148014 B2 JP3148014 B2 JP 3148014B2 JP 25652892 A JP25652892 A JP 25652892A JP 25652892 A JP25652892 A JP 25652892A JP 3148014 B2 JP3148014 B2 JP 3148014B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インスツルメントパネ
ルやバンパー、内張、肘掛け等の各種自動車用大型部
品、特に塗装バンパーに好ましく用いうるポリプロピレ
ン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系樹脂は、機械的強度に
優れ、安価であり、且つ射出成形によって大型成形品を
比較的容易に製造できるので、近年、ポリウレタンに替
わって自動車のバンパーに広く用いられるようになって
きた。従来は、自動車のバンパーにおいては無塗装品或
いは全塗装品が一般的であったが、近年、デザイン上の
要求から、バンパーの一部を無塗装とすることが広く行
われるようになった。このため、バンパー用のポリプロ
ピレン系樹脂には、塗膜との密着性が良いことに加え
て、耐候性が要求されるようになってきた。これだけで
なく、バンパーが光や熱、水分等に曝されても塗膜が変
色しないことが、要求されるようになってきた。
【0003】バンパーの塗装においては、コストの削減
及び生産性の向上のため、射出成形後のバンパーをハロ
ゲン系有機溶媒で洗浄してからプラズマ処理し、それか
ら塗装を行う方法が、広く行われるようになってきた。
しかし、有機溶媒で洗浄したバンパーをすぐにプラズマ
処理すると、バンパー表面に残った有機溶媒蒸気が蒸発
し、これがプラズマの発生を阻害するので、効果的なプ
ラズマ処理ができないという問題があった。そこで、ハ
ロゲン系有機溶媒で洗浄したバンパーを高温雰囲気で予
め乾燥処理し、表面の有機溶媒を除去していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般的に、ポリプロピ
レン系樹脂には、耐候性や光安定性を改善するため、ヒ
ンダードフェノール等の酸化防止剤やヒンダードアミン
等の光安定剤が配合されているので、ポリプロピレン系
樹脂で成形したバンパーを高温雰囲気に曝すと、これら
の酸化防止剤や光安定剤が表面に滲み出すことがあっ
た。
【0005】そして、これらのヒンダードフェノール系
酸化防止剤がキノリンに変化し、バンパーの塗装面の黄
変の原因になることがあった。さらに、表面のヒンダー
ドアミン系光安定剤がプラズマイオンを失活してしま
い、バンパー表面が効果的に改質されないという問題が
あった。本発明は、従来のポリプロピレン系樹脂性バン
パーにおけるこのような問題を解決することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、結晶性エチレ
ン・プロピレンブロック共重合体、エラストマー、及び
無機充填剤からなる組成物に、(a)有機燐系酸化防止
剤、(b)窒素原子を含まない高分子量のヒンダードフ
ェノール系酸化防止剤、(c)窒素原子を含むヒンダー
ドフェノール系酸化防止剤、及び、(d)N−H結合を
有しないヒンダードアミン系光安定剤を特定量配合して
なるポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0007】本発明の組成物において、有機燐系酸化防
止剤は、エチレン・プロピレンブロック共重合体や熱可
塑性エラストマーが溶融時に劣化してMFRが上昇する
ことを防止し、これにより、射出成形中のフローマーク
の発生を抑制する。本発明の組成物においては、更に、
窒素原子を含むヒンダードフェノール系酸化防止剤を、
窒素原子を含まない高分子量のヒンダードフェノール系
酸化防止剤と組み合わせて用いているが、これは以下の
理由による。即ち、窒素原子を含むヒンダードフェノー
ル系酸化防止剤は、抗酸化能に優れ、光や熱、水分等に
より黄変しにくいが、単独で用いた場合には、充分な耐
熱性及び耐候性の改良効果が得られない。一方、窒素原
子を含まないヒンダードフェノール系酸化防止剤は、耐
熱性及び耐候性を改良する効果に優れるが、光や熱、水
分等により黄変し易いという欠点がある。そこで、両方
のヒンダードフェノール系酸化防止剤を組み合わせるこ
とにより、充分な耐熱性、耐候性改良効果を得るととも
に、耐黄変性の改善を図るものである。
【0008】更に、光安定剤としてN−H結合を有しな
いヒンダードアミン系光安定剤を用いているが、このヒ
ンダードアミン系光安定剤はプラズマイオンを失活する
ことが殆ど無いので、プラズマ処理によりバンパー表面
が効果的に改質され、優れた塗装密着性が得られる。本
発明のポリプロピレン系樹脂組成物の各成分の割合は以
下の通りである。
【0009】結晶性エチレン・プロピレンブロック共重
合体、エラストマー、及び無機充填剤の各成分の割合
は、結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体の割
合が45〜75重量%、特に好ましくは50〜70重量
%、エラストマーの割合が20〜35重量%、特に好ま
しくは23〜32重量%、無機充填剤の割合が5〜15
重量%、特に好ましくは7〜15重量%の範囲である。
但し、これらの成分の合計量を100重量%とする。
【0010】結晶性エチレン・プロピレンブロック共重
合体の割合が45重量%よりも少ないと、流動性の低い
ポリプロピレン系樹脂組成物しか得られず、バンパー等
の大型成形品の成形が困難になる。一方、75重量%を
超えると、剛性と耐衝撃性のバランスのとれた成形品が
得られない。エラストマーの割合が20重量%よりも少
ないと、耐衝撃性の不十分な成形品しか得られず、バン
パー用として好適ではない。一方35重量%を超える
と、バンパーとして充分な剛性を有する成形品が得られ
ない。
【0011】無機充填剤の割合が5重量%未満の場合
も、バンパーとして充分な剛性を有する成形品は得られ
ない。一方、15重量%を超えると、充分な耐衝撃性を
有するバンパーが得られない。次に、酸化防止剤及びヒ
ンダードアミン系光安定剤の配合割合について説明す
る。
【0012】有機燐系酸化防止剤の添加量は0.03〜
0.20重量部、特に好ましくは0.03〜0.10重
量部の範囲である。そして、窒素原子を含ない高分子量
のヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加量は0.0
5〜0.30重量部、特に好ましくは0.05〜0.2
5重量部の範囲であり、窒素原子含有ヒンダードフェノ
ール系酸化防止剤の添加量の範囲は0.05〜0.40
重量部、特に好ましくは0.10〜0.35重量部であ
る。更に、N−H結合を有しないヒンダードアミン系光
安定剤の添加量の範囲は、0.05〜0.50重量部、
特に好ましくは0.20〜0.40重量部である。但
し、これらの酸化防止剤や光安定剤の添加量は、結晶性
エチレン・プロピレンブロック共重合体、エラストマ
ー、及び無機充填剤の合計量を100重量部としたとき
の、それに対する割合である。
【0013】有機燐系酸化防止剤の添加量が0.03重
量部よりも少ない場合は、ポリプロピレン系樹脂が溶融
時に劣化してMFRが大幅に上昇するので、バンパー成
型時にフローマークが発生し易くなる。一方0.20重
量部よりも多い場合は、滲み出しが激しく、塗膜とバン
パーの密着性が悪化する。窒素原子を含ない高分子量の
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加量が0.05
重量部よりも少ないときは、ポリプロピレン系樹脂が溶
融時に酸化劣化するから好ましくない。一方、添加量が
0.30重量部よりも多いと、バンパー塗装面の黄変が
生じ易くなる。
【0014】窒素原子を含むヒンダードフェノール系酸
化防止剤の添加量が0.05重量部よりも少ないときは
充分な耐候性が確保できず、0.4重量部よりも多いと
きは、塗膜とバンパーの密着性が確保できないという問
題がある。尚、窒素原子を含まない高分子量のヒンダー
ドフェノール系酸化防止剤の添加量に対する窒素原子含
有ヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加量の比は、
1:1〜1:3(重量比)の範囲が好ましい。
【0015】N−H結合を有しないヒンダードアミン系
光安定剤の添加量が0.05重量部よりも少ないときは
充分な耐候性を有するバンパーが得られない。以下、本
発明のポリプロピレン系樹脂組成物の各成分について詳
細に説明する。結晶性エチレン・プロピレン共重合体と
しては、エチレン含有量が2〜6重量%の範囲のもので
あって、MFR(メルトフローレート)が15〜50g
/10分、特に好ましくは17〜40g/10分の範囲
のものが好ましい。
【0016】エラストマーとしては、主鎖が実質的に飽
和結合のみからなるものが好ましい。具体的には、エチ
レン・プロピレンゴム(EPM)やエチレン・ブテン共
重合体(EBM)、エチレン・プロピレン・ジエン三元
共重合体(EPDM)等のエチレン・α−オレフィン共
重合体や、水素化スチレン・ブタジエン共重合体(SE
BS)や水素化スチレン・イソプレン共重合体(SIB
S)等が好ましく用いられる。
【0017】無機充填剤としては、タルク、マイカ、炭
酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭
酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウ
ム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリ
ウム、ガラス粉末、ガラス繊維、クレー、ドロマイト、
マイカ、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウムウィスカ
ー、ワラステナイト、繊維状マグネシウムオキシサルフ
ェート等が好ましい。これらの無機充填剤において、平
均粒径(球状乃至平板状のもの)或いは平均繊維径(針
状乃至繊維状)が5μ以下のものが好ましい。
【0018】酸化防止剤及び光安定剤については以下の
ものが好ましい。有機燐系酸化防止剤としては、例え
ば、 トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト、 トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、 トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、 トリス(モノノニルフェニル)ホスファイトとトリ
ス(ジノニルフェニル)ホスファイトの混合物、 4,4′−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)等が用いられる。
【0019】窒素原子を含まない高分子量のヒンダード
フェノールとしては、分子量500以上のものが用いら
れる。具体的には、 オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、 ペンタエリスチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕 3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−(β−(3
−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)
プロピオニルオキシ)エチル〕−2,4,8,10−テ
トラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、 トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブ
チル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕、 1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシジフェニル)プロピオ
ネート〕等が好ましい。
【0020】窒素原子を含むヒンダードフェノール系酸
化防止剤としては、トリアジン系のもの、具体的には 1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)−5−トリアジン−2,4,6
−(1H,3H,5H)トリオン、 2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−〔4−
ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,
3,5−トリアジン、 1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロ
キシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、 等が用いられる。
【0021】N−H結合を有しないヒンダードアミン系
光安定剤としては、 琥珀酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−
4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペ
リジン重縮合物、 1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸−1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールト
リデシルアルコール縮合物、 2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、 1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸−テトラ
キス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリ
ジル)、 ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピ
ペリジル)セバケート、 1−〔2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−
4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン、 等が、特に好ましい。
【0022】更に、本発明のポリプロピレン系樹脂組成
物には、 ジトリデシル−3,3′−チオジプロピオネート、 2−メルカプトベンズイミダゾール、 ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、 ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、 ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、 ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリル
チオプロピオネート) 等の有機硫黄系酸化防止剤を配合してもよい。但し、有
機硫黄系酸化防止剤の配合量は、結晶性エチレン・プロ
ピレンブロック共重合体、エラストマー、及び無機充填
剤の合計量100重量部に対して0.05重量部以下が
好ましい。
【0023】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をより具体的に
説明する。本実施例及び比較例において使用した酸化防
止剤、光安定剤、結晶性エチレン・プロピレン系樹脂、
熱可塑性エラストマー、及び無機充填剤の略号は以下の
通りである。 〔酸化防止剤〕 有機燐系酸化防止剤 AO−1…トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
ホスファイト ヒンダードフェノール系酸化防止剤(窒素原子を含
まず且つ高分子量のもの) AO−2…オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(分子量
530.9)、 AO−3…ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕(分子量1177.77)、 ヒンダードフェノール系酸化防止剤(窒素原子を含
むもの) AO−4…1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)−5−トリアジン−2,
4,6−(1H,3H,5H)トリオン、 AO−5…1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−
ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル
酸、 ヒンダードフェノール系酸化防止剤(窒素原子を含
まず且つ低分子量のもの) AO−6…2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ
ール(分子量220) ヒンダードアミン系光安定剤 HALS−1…1,2,3,4−ブタンテトラカルボン
酸−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ノールトリデシルアルコール縮合物、 HALS−2…ビス−(2,2,6,6,−テトラメチ
ル−4−ピペリジニル)セバケート 有機硫黄系酸化防止剤 SO−1…ジトリデシル−3,3′−チオジプロピオネ
ート、 〔結晶性エチレン・プロピレン共重合体〕 PP−1…エチレン含有4.5重量%、MER30
g/10分の結晶性エチレン・プロピレン共重合体であ
って、 AO−1(有機燐系酸化防止剤)…0.05重量部 AO−3(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)…0.
03重量部 を酸化防止剤として含有しているもの PP−2…PP−1と同様の結晶性エチレン・プロ
ピレン共重合体であって、酸化防止剤としてAO−3の
みを含有しているもの 〔エラストマー〕 EPR…エチレン・プロピレン共重合体ゴムであっ
て、プロピレン含有量が25重量%、ムーニー粘度(M
1+4 、100℃)が20のもの、 EBR…エチレン・ブテン共重合体ゴムであって、
ブテン−1含量が15重量%、MFR(230℃)が6
g/10分のもの 〔無機フィラー〕 F−1…平均粒子径2.5μのタルク F−2…平均粒子径0.07μの軽質炭酸カルシウ
ム 本実施例及び比較例において、ポリプロピレン系樹脂組
成物のMFR、曲げ弾性率、アイゾッド衝撃強度、成型
品の外観、及び成型品に塗装したときの塗膜の密着性に
ついて、以下の条件によって測定した。
【0024】〔MFR〕ポリプロピレン系樹脂組成物の
ペレットを用い、ASTM D−1238に従って測定
した。 〔曲げ弾性率、アイゾッド衝撃強度〕ポリプロピレン系
樹脂組成物のペレットを、樹脂温度220℃、金型温度
50℃の条件で射出成形して、テストピースを得た。こ
のテストピースにつき、ASTM D790に従って曲
げ弾性率を測定し、アイゾッド衝撃強度は、ASTMD
256に従い−30℃で測定した。
【0025】〔成型品の外観〕ポリプロピレン系樹脂組
成物を射出成型して、140mm×360mm×3mmの平板
状テストピースとした。このテストピースにフローマー
クが発生していないかどうかを目視で観察した。フロー
マークが成型品の流動面積の2割以上発生しているとき
を×、フローマークが発生しているが発生面積が成型品
の流動面積の2割より少ないときを△、フローマークの
発生が見られない場合を○とした。
【0026】〔成型品と塗膜との密着性、及び耐黄変
性〕ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成型して、50
mm×90mm×2mmの平板状テストピースとした。このテ
ストピースを1,1,1−トリクロロエタンの飽和蒸気
中に30秒間曝して表面を洗浄した。次いで90℃に設
定されたオーブン中に10分間入れて乾燥し、プラズマ
処理した。プラズマ処理の条件は、以下の通りとした。
【0027】 真空度 1.0torr マイクロ波出力 0.05kw 処理時間 0.3秒 ガス流量 600cc/分 処理ガス 空気 プラズマ処理後のテストピースにつき、以下の順序
(1)→(7)の手順に従ってアクリル−メラミン系パ
ールマイカ塗装をした。塗料は、日本ビーケミカル
(株)製R320、R331、及びR341を用い、カ
ラーベースにはR320を、マイカベースにはR331
を、クリアーにはR341を用いた。
【0028】 (1)カラーベース塗装、膜厚15μ (2)5分間セッティング後、120℃20分乾燥 (3)マイカベース塗装、膜厚15μ (4)3分間フラッシュ (5)クリア塗装、膜厚25μ (6)5分間セッティング後、120℃20分焼き付け
塗装 (7)室温で48時間放置 アクリル−メラミン系パールマイカ塗装をしたテストピ
ースを40℃の水に240時間浸漬した後、塗膜にカッ
ターナイフで碁盤の目状に切り込みを入れ、100個の
1mm角の区画に分けた。この上からセロテープ(登録商
標)を貼り付け、このセロテープ(登録商標)を剥離
し、塗装の剥がれた区画の数を勘定して、塗膜の密着性
を評価した。
【0029】又、このテストピースを90℃の加熱槽に
240時間入れ、塗膜の黄変の有無について調べ耐黄変
性を評価した。加熱前後の塗膜の黄変の度合いについて
は、スガ試験機(株)製カラーコンピューターSM−4
を用いて色調b値を測定してΔbを求めた。 〔成形品の耐候性〕更に、塗装しないテストピースにつ
いて、サンシャインウェザーメーターを用いて耐候性を
評価した。耐候性の評価は、ブラックパネル温度83℃
の条件で行い、50倍拡大でクラックが確認できるよう
になるまでの時間の長短で、耐候性を評価した。
【0030】バンパーとしての外観品質を確保するに
は、フローマークが無いこと(○印で示す)、塗装剥離
が無いこと(100/100)、耐黄変色についてはΔ
bが1.40以下であること、及び2000時間以上の
耐候性を有することが必要である。 〔実施例1〕 (1)PP−1(AO−1及びAO−3含有)…63重量% (2)EPM ……27重量% (3)F−1 ……10重量% 及び、上記(1)〜(3)の合計量100重量部に対
し、 (a)窒素原子を有しない高分子量ヒンダードフェノー
ル系酸化防止剤 AO−2 ……0.1重量部 (b)窒素原子を有するヒンダードフェノール系酸化防
止剤 AO−4 ……0.2重量部 (c)ヒンダードアミン系光安定剤 HALS−1 ……0.3重量部 (d)顔料 カーボンブラック ……0.1重量部 (e)滑剤 ステアリン酸マグネシウム…0.2重量部 を配合し、ヘンシェルミキサーで混練後、230℃に設
定された二軸押出機で溶融、混練後、ペレット化して、
ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを得た。
【0031】このペレットをテストピースに成型し、上
に示した方法に従って外観、塗膜との密着性、及び耐候
性を測定した。結果を表1に示す。 〔実施例2〕窒素原子を有しない高分子量のヒンダード
フェノール系酸化防止剤として、AO−2の代わりにA
O−3を用いた以外は実施例1と同じようにしてポリプ
ロピレン系樹脂組成物を得た。これをテストピースに成
型し、外観、塗膜との密着性、及び耐候性を測定した。
結果を表1に示す。
【0032】〔実施例3〕窒素原子を有するヒンダード
フェノール系酸化防止剤として、AO−4の代わりにA
O−5を用いた以外は実施例1と同じようにしてポリプ
ロピレン系樹脂組成物を得た。これをテストピースに成
型し、外観、塗膜との密着性、及び耐候性を測定した。
結果を表1に示す。
【0033】〔実施例4〕有機硫黄系酸化防止剤SO−
1を追加した以外は実施例1と同じようにしてポリプロ
ピレン系樹脂組成物を得た。これをテストピースに成型
し、外観、塗膜との密着性、及び耐候性を測定した。結
果を表1に示す。 〔実施例5〕無機充填剤F−2を追加した以外は実施例
1と同じようにしてポリプロピレン系樹脂組成物を得
た。これをテストピースに成型し、外観、塗膜との密着
性、及び耐候性を測定した。結果を表1に示す。
【0034】〔実施例6〕熱可塑性エラストマーとして
EPMの他EBMも併用した以外は実施例1と同じよう
にしてポリプロピレン系樹脂組成物を得た。これをテス
トピースに成型し、外観、塗膜との密着性、及び耐候性
を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】〔比較例1〕結晶性エチレン・プロピレン
ブロック共重合体に、有機燐系酸化防止剤を含まないP
P−2を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリプロ
ピレン系樹脂組成物を得た。これをテストピースに成型
し、外観、塗膜との密着性、及び耐候性を測定した。結
果を表2に示す。
【0037】〔比較例2〕有機燐系酸化防止剤AO−1
の割合を0.40重量部とした以外は、比較例1と同様
にしてポリプロピレン系樹脂組成物を得た。これをテス
トピースに成型し、外観、塗膜との密着性、及び耐候性
を測定した。結果を表2に示す。 〔比較例3〕ヒンダードフェノール系酸化防止定剤とし
て、分子量が220で且つ窒素を含まない「AO−6」
を更に加えた以外は、実施例1と同様にしてポリプロピ
レン系樹脂組成物を得た。これをテストピースに成型
し、外観、塗膜との密着性、及び耐候性を測定した。結
果を表2に示す。
【0038】〔比較例4〕ヒンダードアミン系光安定剤
としてHALS−1の代わりにHALS−2を用いた以
外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成
物を得た。これをテストピースに成型し、外観、塗膜と
の密着性、及び耐候性を測定した。結果を表2に示す。
【0039】〔比較例5〕窒素原子を含まない高分子量
ヒンダードフェノール系酸化防止剤であるAO−2を用
いず、窒素原子を含むヒンダードフェノール系酸化防止
剤であるAO−4を0.35重量部に増量した以外は、
実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成物を得
た。これをテストピースに成型し、外観、塗膜との密着
性、及び耐候性を測定した。結果を表2に示す。
【0040】〔比較例6〕ヒンダードフェノール系酸化
防止剤としてAO−2を0.25重量部用いた他は、実
施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成物を得
た。これをテストピースに成型し、外観、塗膜との密着
性、及び耐候性を測定した。結果を表2に示す。
【0041】〔比較例7〕ヒンダードフェノール系酸化
防止剤としてはAO−3のみを0.2重量部用いた他
は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成物
を得た。これをテストピースに成型し、外観、塗膜との
密着性、及び耐候性を測定した。結果を表2に示す。
【0042】〔比較例8〕AO−3の割合を0.25重
量部とした以外は比較例7と同様にしてポリプロピレン
系樹脂組成物を得た。これをテストピースに成型し、外
観、塗膜との密着性、及び耐候性を測定した。結果を表
2に示す。 〔比較例9〕ヒンダードフェノール系酸化防止剤として
は、窒素原子を含まず高分子量のヒンダードフェノール
系酸化防止剤であるAO−2を0.1重量部、AO−3
を0.2重量部用い、窒素原子を含むヒンダードフェノ
ール系酸化防止剤は用いなかった。これ以外は実施例1
と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成物を得た。これ
をテストピースに成型し、外観、塗膜との密着性、及び
耐候性を測定した。結果を表2に示す。
【0043】〔比較例10〕有機硫黄系酸化防止剤SO
−1の添加量を0.2重量部に増量した他は、実施例1
と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成物を得た。これ
をテストピースに成型し、外観、塗膜との密着性、及び
耐候性を測定した。結果を表2に示す。 〔比較例11〕結晶性エチレンプロピレンブロック共重
合体を80重量%に増量し、エラストマーを20重量%
に減らした他は実施例1と同様にしてポリプロピレン系
樹脂組成物を得た。これをテストピースに成型し、外
観、塗膜との密着性、及び耐候性を測定した。結果を表
2に示す。
【0044】〔比較例12〕PP−1を73重量%、E
PMを27重量%とし、無機充填剤を添加しなかった以
外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成
物を得た。これをテストピースに成型し、外観、塗膜と
の密着性、及び耐候性を測定した。結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物
は、バンパー等に成型し塗装した場合においても、バン
パーの塗装面の黄変が生じない。又、プラズマ処理の際
に、表面のヒンダードアミン系光安定剤がプラズマイオ
ンと反応することがないので、バンパー表面が効果的に
改質され、塗膜との密着性が良好になる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI //(C08L 53/00 23:00 9:00) (72)発明者 浜田 如正 大阪府堺市築港新町3丁1番 宇部興産 株式会社堺工場堺技術課内 (72)発明者 河津 健司 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 宮崎 静夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−252444(JP,A) 特開 平3−197549(JP,A) 特開 昭63−130648(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 53/00 C08K 3/00 C08K 5/13 C08K 5/17 C08K 5/49 C08L 23/00 C08L 9/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性エチレン・プロピレンブロッ
    ク共重合体45〜75重量% エラストマー20〜35重量%、及び 無機充填剤5〜15重量% からなる組成物100重量部に対し、 (a)有機燐系酸化防止剤……0.03〜0.20重量
    部 (b)窒素原子を含まず、且つ分子量が500以上のヒ
    ンダードフェノール系酸化防止剤……0.05〜0.3
    0重量部 (c)窒素原子を含むヒンダードフェノール系酸化防止
    剤……0.05〜0.40重量部 (d)N−H結合を有しないヒンダードアミン系光安定
    剤……0.05〜0.50重量部 を配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 結晶性エチレン・プロピレンブロッ
    ク共重合体45〜75重量% エラストマー20〜35重量%、及び 無機充填剤5〜15重量% からなる組成物100重量部に対し、 (a)有機燐系酸化防止剤……0.03〜0.20重量
    部 (b)窒素原子を含まず、且つ分子量が500以上のヒ
    ンダードフェノール系酸化防止剤……0.05〜0.3
    0重量部 (c)窒素原子を含むヒンダードフェノール系酸化防止
    剤……0.05〜0.40重量部 (d)N−H結合を有しないヒンダードアミン系光安定
    剤……0.05〜0.50重量部 (e)有機硫黄系酸化防止剤……0.10重量部以下 を配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物。
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