JP3375741B2 - ガス燃料エンジン - Google Patents

ガス燃料エンジン

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JP3375741B2 JP17470994A JP17470994A JP3375741B2 JP 3375741 B2 JP3375741 B2 JP 3375741B2 JP 17470994 A JP17470994 A JP 17470994A JP 17470994 A JP17470994 A JP 17470994A JP 3375741 B2 JP3375741 B2 JP 3375741B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水素、メタン等のガス体
を燃料とするエンジン(内燃機関)に関する。
【0002】
【従来技術】ガス体を燃料とするエンジンは、液体燃料
のエンジンと比較して、吸入空気量に占める燃料の体積
割合が多く、出力低下を招く。また特に水素を燃料とす
る場合は、その性質上、空気燃料混合比が小さくなるに
つれて逆火を起こし易くなり、また急激な燃焼によりN
x の生成量が増加する等の不都合が生じることが知ら
れている。
【0003】一般に上記のような問題は、吸気通路と燃
料通路を独立とし、吸気吸入工程が終了してから燃料の
供給を行う筒内直接噴射式とすることにより、かなりの
部分が改善できることが知られている。
【0004】ガス燃料を使用するレシプロエンジンを上
記筒内直接噴射式とするには、ガス燃料を液化しディー
ゼルエンジンと同様の高圧ポンプで筒内に直接噴射する
方法、吸気ポートとは別の独立した燃料ポートと該燃料
ポートを開閉するポペットバルブを設ける方法(例とし
て特開昭47− 35607号公報) 、燃焼室へ電子制御燃料噴
出装置により直接噴射する方法等が考えられる。
【0005】しかし、ガス燃料を液化する方法は、特に
メタン、水素等の場合、これを液化状態に維持するため
に約−150 ℃以下に保冷する断熱タンクが必要であり、
長期使用等を考慮すると実用化は非常に困難である。
【0006】独立した燃料ポートを設ける方法は、十分
なバルブ径を有するバルブを強制的に機械駆動するもの
であり、流量コントロールのために可変バルブタイミン
グ、可変リフト、可変燃料圧力等の機構が必要となり、
これを実用化するには種々の機構上の問題が生ずる。
【0007】電子制御燃料噴射装置による方法は、その
性質上計量精度は高いが、特に、体積の大きなガス体に
対応するものは応答性が悪く、吸気行程後から点火時期
までの短い時間内に必要流量を噴射することは困難であ
る。
【0008】
【解決しようとする課題】従って本発明は、比較的単純
な機構で実用化可能であり、かつ必要量のガス体燃料を
所要の短時間内にシリンダに直接噴射できるガス燃料エ
ンジンを提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】このため、本
発明においては、ガス体燃料をシリンダ内に直接噴射す
るガス燃料エンジンにおいて、前記シリンダの燃焼室に
燃料供給口を設けるとともに、この燃料供給口に隣接し
て、該燃料供給口に連通する位置と該燃料供給口から遮
断された位置との間で可動の副燃焼室を設け、かつ該副
燃焼室が前記燃料供給口から遮断された位置に在る時に
この副燃焼室に臨む燃料噴射装置を設ける。
【0010】上記副燃焼室は、エンジンの排気行程、吸
気行程時には、燃料供給口から遮断された位置に置か
れ、この間に、燃料噴射装置により、ガス体燃料が副燃
焼室内に噴射され、所定の圧力で副燃焼室内に蓄えられ
る。燃料は比較的長い時間にわたって噴射されるので、
エンジンが必要とする量の燃料を高い計量精度で副燃焼
室内蓄えておくことができる。
【0011】この副燃焼室は、次いでエンジンの圧縮行
程時に、燃料供給口に連通する位置に置かれる。燃料供
給口における副燃焼室の開口面積を十分大きくしておけ
ば、副燃焼室内に蓄えられていた燃料は圧力差により燃
焼室内の圧縮空気中に迅速に混合して行き、点火により
燃焼する。かくして吸入空気に見合った必要量のガス体
燃料を正確にエンジンに供給して所望の出力を得ること
ができる。
【0012】また、このようにして燃料を供給すること
により、燃焼室内の混合気濃度は、副燃焼室側において
濃く、次第に希薄になって行く層状を呈するので、副燃
焼室近傍に点火プラグを位置させることにより、低エミ
ッションの成層燃焼を得ることができる。
【0013】さらに、燃料噴射装置は爆発行程時には副
燃焼室に臨まないので、爆発による熱および圧力から保
護される。
【0014】
【実 施 例】図1は本発明の一実施例に係る4サイク
ルガス燃料エンジンの要部を示す概略図である。1はシ
リンダブロックで、その上部を覆うシリンダヘッド2に
吸気弁3および排気弁4が設けられ、それぞれカム軸5
上のカム6により駆動されて開閉動作をする。
【0015】シリンダヘッド2には上記吸、排気弁3,
4によって開閉される吸、排気口のほかに、さらに燃料
供給口7が設けられており、燃料はこの燃料供給口7を
通じてシリンダ内に直接供給され、吸気口からは空気の
みが吸入される。
【0016】燃料供給口7上には例えば、球状の回転体
8が摺接している。この回転体8には回転軸9が一体に
突設され、回転体8は回転軸9の軸線まわりに回動自在
に支持されている。回転体8の内部にはこれを回転軸9
に対して直角方向に貫通する副燃焼室10が形成され、回
転体8の回動位置に応じて燃料供給口7と連通し、ある
いは燃料供給口7との連通を遮断されるようになってい
る。
【0017】回転体8に隣接して燃料噴射装置11が設け
られている。この燃料噴射装置11は、電子制御式のガス
インジェクタで、副燃焼室10が燃料供給口7との連通を
遮断される所定位置に回転体8が回動した時に副燃焼室
10に臨み、ガス燃料を副燃焼室10内に噴射する。なお、
回転体8は周囲を、シリンダヘッド2に装着された図示
してないハウジングにより包囲され、外部に対してシー
ルされている。
【0018】回転軸9の先端にはピニオン12が固設さ
れ、ロッカーアーム13の先端に設けられたラック14が該
ピニオン12の歯に係合している。ロッカーアーム13は軸
15により上下に揺動自在に支持され、かつスプリング等
により上方へ向けて付勢されている。そしてロッカーア
ーム13の上縁に設けられた摺接板16にカム17が上方から
摺接している。カム17のカム軸18は前記吸、排気弁用の
カム軸5に歯車19を介して駆動的に連通されている。
【0019】ロッカーアーム13がカム17に制御されて上
下に揺動すると、これに応じて回転体8が、副燃焼室10
が燃料供給口7に連通する位置と、燃料供給口7との連
通を遮断される位置との間で往復回動し、副燃焼室10と
燃料供給口7との連通が遮断された時にこの副燃焼室10
に臨む燃料噴射装置11から燃料が該副燃焼室10内に噴射
されて蓄えられ、次いで副燃焼室10が燃料供給口7に連
通した時にこの燃料が燃料供給口7を通じてシリンダの
燃焼室内に放出される。
【0020】カム軸5とカム軸18は歯車19を介して連結
されているので、カム6、6による吸、排気弁3,4の
開閉動作と、カム17による回転体8の回動動作とは正確
に所定のタイミングをもって行われ、エンジンサイクル
の最適期間中に所定量の燃料が燃焼室に供給される。
【0021】図2はこのエンジンの運転時における指圧
P、吸、排気弁3,4のリフトL、回転体8の回転位置
R等を横軸にクランク角をとって示したグラフである。
Tは上死点、Bは下死点を表わし、exは排気弁4のリフ
ト曲線、inは吸気弁3のリフト曲線である。指圧Pを示
す曲線およびリフト曲線ex,inから分るように、aは爆
発行程、bは排気行程、cは吸気行程、dは圧縮行程で
ある。
【0022】回転体8の回転位置Rについては、副燃焼
室10が燃料供給口7に連通する位置をr1 とし、副燃焼
室10と燃料供給口7との連通が遮断される位置をr2
して示してある。そして回転体8がこれらの各位置に在
る時の副燃焼室10の燃料供給口7および燃料噴射装置11
に対する相対位置を下方に略図で示してある。なお回転
位置Rを示す折線中、斜線部分は、回転体8が位置r1
からr2 へ向かって、あるいはr2 からr1 へ向かって
回動している期間である。
【0023】回転体8は、爆発行程aの終期において位
置r1 から回動し始め、排気行程bに入った所で位置r
2 すなわち副燃焼室10が燃料供給口7との連通を遮断さ
れた位置に達し、以後吸気行程cが終るまでこの位置に
停止する。この時、副燃焼室10は燃料噴射装置11に臨む
ので、燃料噴射装置11から燃料が副燃焼室10内に噴射さ
れる。この燃料噴射は排気行程bから吸気行程cへか
け、長い期間にわたって行われるので、副燃焼室10内の
ガス燃料の圧力が燃料噴射装置11の噴射圧力によって定
まる所定値に達するまで、十分な量の燃料を副燃焼室10
内に送り込んで蓄えることができる。副燃焼室10の容量
は、このようにして蓄えられた燃料の量が、吸入空気に
対して最適の空燃比を与え得るように選定されている。
【0024】次いで圧縮行程dに入ると、回転体8は位
置r2 から位置r1 すなわち副燃焼室10が燃料供給口7
と完全に連通する位置へ向って回動し、位置r1 に達し
たところで停止する。この間に副燃焼室10は燃料噴射装
置11から脱し(副燃焼室10への燃料噴射はこの時まで続
けることができる)、次いで燃料供給口7に連通する。
そして副燃焼室10内の燃料が自圧によってシリンダの燃
焼室20内へ噴射される。この噴射は回転体8が位置r1
に達し副燃焼室10と燃焼室20が均圧化されるまで続き、
かくして燃焼室20と副燃焼室10によって形成された燃焼
空間に所定空燃比の混合気が生成され、この混合気が点
火プラグにより着火される。
【0025】このようにして、吸気終了後、点火時期ま
での短い時間内に、正確に計量されかつ十分な量のガス
体燃料を、シリンダ内に噴射できるので、所望通りのエ
ンジン出力を得ることができる。
【0026】また、上記のようにして燃料を供給するこ
とにより、シリンダ内の混合気濃度は、副燃焼室10側に
おいて濃く、燃焼室20内において次第に希薄になって行
く層状を呈するので、該混合気の燃焼は所謂成層燃焼と
なり、燃料消費率が向上するとともに、NOx 、HO等
の放出が少なくなる。
【0027】爆発行程時には副燃焼室10は燃焼室の一部
として作用するが、この時燃料噴射装置11は副燃焼室10
に臨まないので、爆発による熱および圧力から保護され
る。
【0028】図3ないし図5は、図1に概略的に示した
ガス燃料エンジンの燃料供給部分の構造をさらに詳細に
示したものであり、これらの図中、図1と同じ部分には
同じ参照数字を付してある。
【0029】前述した燃料供給部分は、シリンダヘッド
2に固設されたハウジング21内に納められている。ボー
ル状の回転体8は、ハウジング21内に形成された円筒室
22に、回転軸9の軸線を円筒室22の軸線cに合致させ
て、該軸線cのまわりに円筒室22の内周面に摺接しなが
ら回動可能に装着されている。回転体8の軸線c方向両
側の外面は、それぞれ球面の受け面を有するシール部片
23、23によってシールされている。
【0030】副燃焼室10は軸線cに対して直角方向に回
転体8を貫通して形成されている。ハウジング21の円筒
室22を画成する外壁部分21aに、シリンダヘッド2側の
燃料供給口7に連通する連通孔24が設けられており、回
転体8を回動させることにより、副燃焼室10を連通孔2
4、燃料供給口7を介して燃焼室20に連通させることが
できる。
【0031】ハウジング21は3つの部分211 、212 、21
3 をボルトにより締結して構成され、部分212 に形成さ
れた隔壁25と部分213 との間にまたがって管状の回動軸
26が枢支され、回転体8の回転軸9はこの回動軸26に嵌
着固定されている。そして回動軸26の外端部分にピニオ
ン12が形成されている。
【0032】ピニオン12に係合するロッカーアーム13
は、前記回動軸26と同様に隔壁25とハウジング部分213
との間にまたがって枢支された管状のロッカー軸27に固
設されており、該軸27の軸線を中心として上下に揺動す
る(図4)。ロッカー軸27の内端部にはトーションバー
スプリング28の内端28aが固着されている。トーション
バースプリング28は、ロッカー軸27およびハウジング部
分213 に一体に突設された管部片29内を通って延出し、
その外端28bは管部片29の外端部に固定されている。ロ
ッカーアーム13はこのトーションバースプリング28によ
り上方へ向けて付勢されている。
【0033】ハウジング部分211 に形成された空所30に
カム軸18が配設され、ロッカー軸27の上方位置まで延び
ている。そしてこのカム軸18に設けられたカム17にロッ
カーアーム13が係合し、カム軸18の回転に応じて上下に
揺動する。カム軸18は傘歯車19を介してシリンダヘッド
2内のカム軸5に連動している。
【0034】前記円筒室22には、図5に示すように、燃
料噴射装置11が臨んでおり、図示のように副燃焼室10が
燃料供給口7から遮断された位置に在る時に、この燃料
噴射装置11が副燃焼室10に臨み、副燃焼室10が点線で示
すように燃料供給口7に連通する位置に在る時には、燃
料噴射装置11と副燃焼室10との連通が遮断されるように
なっている。
【0035】以上説明した図3ないし図5の構造は図1
と実質的に同じであり、従って図2について前述した通
りの作用、効果が得られる。
【0036】ところで図1には示されていないが、円筒
室22には、燃料噴射装置11に対して所定の角度を隔てた
位置において、点火プラグ31が臨んでおり、この点火プ
ラグ31は、副燃焼室10が燃料供給口7に連通する点線位
置に在る時に、該副燃焼室10に臨むようになっている。
【0037】従って、前述のように副燃焼室10内に蓄え
られた燃料が燃焼室20内に噴射されて副燃焼室10と燃焼
室20が均圧化し、シリンダ内の混合気濃度分布が、副燃
焼室10側において濃く、燃焼室20内において次第に希薄
になって行く層状分布となった時点で、濃度の濃い副燃
焼室10内で点火プラグ31により点火が行われるので、前
記成層燃焼を有効に生成させることができる。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】以上、好適な実施例について本発明を説明
したが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
く、本発明の範囲内において幾多の変形が可能なことは
言うまでもない。例えば前記実施例における球体状の回
転体8の代りに、円筒体状の回転体を用いることも可能
である。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、ガス燃料エンジンにお
いて、吸入空気に見合った充分な量のガス体燃料を高い
計量精度でエンジンに供給して出力を向上させることが
できるとともに、低エミッションの成層燃焼を容易に生
成させることができ、さらに燃料噴射装置を爆発による
熱および圧力から有効に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るガス燃料エンジンの要
部を示す概略図である。
【図2】上記エンジンの作用を説明するためのグラフで
ある。
【図3】上記エンジンの燃料供給部分の構造をさらに詳
細に示した側断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図3のV−V線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1・・・シリンダブロック、2・・・シリンダヘッド、
3・・・吸気弁、4・・・排気弁、5・・・カム軸、6
・・・カム、7・・・燃料供給口、8・・・回転体、9
・・・回転軸、10・・・副燃焼室、11・・・燃料噴
射装置、12・・・ピニオン、13・・・ロッカーアー
ム、14・・・ラック、15・・・軸、16・・・摺接
板、17・・・カム、18・・・カム軸、19・・・歯
車、20・・・燃焼室、21・・・ハウジング、22・
・・円筒室、23・・・シール部片、24・・・連通
孔、25・・・隔壁、26・・・回転軸、27・・・ロ
ッカー軸、28・・・トーションバースプリング、29
・・・管部片、30・・・空所、31・・・点火プラ
グ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F02D 15/04 F02D 15/04 G F02M 21/02 F02M 21/02 S (56)参考文献 特開 平6−33784(JP,A) 特開 昭62−20618(JP,A) 特表 昭58−501190(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02B 19/00 - 19/18 F02D 15/00 - 15/04 F02M 21/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガス体燃料をシリンダ内に直接噴射するガ
    ス燃料エンジンにおいて、前記シリンダの燃焼室に設け
    られた燃料供給口と、該燃料供給口に隣接して設けら
    れ、該燃料供給口に連通する位置と該燃料供給口から遮
    断された位置との間でエンジンの動弁装置と連動して駆
    動される回転体内に形成された副燃焼室と、該副燃焼室
    が前記燃料供給口から遮断された位置に在る時にこの副
    燃焼室に臨む燃料噴射装置とを備え 前記回転体の駆動
    は前記副燃焼室が前記燃料供給口と連通する位置と前記
    燃料噴射装置に臨む位置とで所定時間停止されるように
    なされていることを特徴とするガス燃料エンジン。
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