JP3374093B2 - 推力受け材とそれを用いた可とう継手部の施工方法 - Google Patents

推力受け材とそれを用いた可とう継手部の施工方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、とくに上下水
道、共同溝、農業用水路、工業用水路などの管路として
好適に使用されるシールドトンネルの途中に設けられ
る、可とう継手部のもとになる環状の中断部に設置され
て、トンネル掘削時のシールド機の推力を中断部の前後
間で伝達するための新規な推力受け材と、それを用いた
可とう継手部の施工方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、とくに軟弱地盤でのトンネルの建
設に、シールド工法が広く行われている。シールド工法
においては、まずその発進位置と到達位置に、あるいは
両位置とその中間の位置にそれぞれ立坑を構築し、この
うち発進立坑から到達立坑へ向けてシールド機で地山を
掘削しながら、シールド機内で次々にセグメントを組み
立てて連結することでトンネルが構築される。
【0003】シールド機の、地山を掘削しながら前進す
るための推力は、発進立坑内に構築された反力受設備
と、それと連続させて上記のようにセグメントを組み立
てることで、シールド機の後ろに構築されつつあるトン
ネルの覆工(1次覆工)とを、シールド機のジャッキで
後方へ押圧することによって、その反力として得られ
る。
【0004】上記のようなシールド工法にて建設され
る、とくに前述した管路用のシールドトンネルにおいて
は、その伸縮や不等沈下などに伴なう変位を吸収してト
ンネルの破損を防止するために、その途中の数カ所に環
状の可とう継手部が形成される。可とう継手部は、シー
ルドトンネルの途中の、所定の位置に設けた環状の中断
部を、当該中断部の前後の部分間に環状に架設した1次
止水ゴムで止水することで構成される。
【0005】また、このうち環状の中断部は、その一部
となる中断部を有する複数のセグメント(可とうセグメ
ント)を、他のセグメントと同様にリング状に組み立て
ることで形成される。シールドトンネル建設の際には、
前述したシールド機の推力が上記中断部に加わってもそ
の間隔を保持して、可とう継手部としての構造と機能と
が失われないように維持するとともに、上記推力を中断
部の前後間で伝達するために、環状の中断部の複数箇所
に推力受け材が設置される。
【0006】この推力受け材は、前記のように環状の中
断部を構成する個々の可とうセグメントの中断部にあら
かじめ挿入、固定されて、セグメント組み立て時に、当
該中断部の間隔を保持するスペーサとして使用される場
合もある。かかる推力受け材としては一般に、中断部
の、推力受け材を取り付ける部分の間隔に対応した長さ
を有する、鋼材などで組み立てられた1個の箱体からな
るものが用いられる。
【0007】しかし、単なる箱体からなる推力受け材で
は下記のような問題がある。 推力受け材には、シールドトンネルの建設時に、前
記のようにシールド機を、地山を掘削しながら前進させ
るための巨大な推力が加わり、それが掘削完了後も、推
力受け材を挟む力として残留するために、使用済みの推
力受け材を中断部から取り外すのが容易でない。そし
て、何度でも再使用できるように製造された推力受け材
を、それにも拘わらず、切断するなどして解体して除去
しなければならない場合がある。 とくに直径の大きなトンネルや、あるいは地盤の関
係上、シールド機を推進するのに大きな推力を要するト
ンネルでは、推力受け材が大型化し、かつその中断部に
対する設置数が増加する傾向にあり、そのため推力受け
材を中断部に設置したり、あるいは中断部から取り外し
たりする際の作業に多大な人手と時間とを要する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで近時、その全体
を、中断部の前後の部分に取り付けられる2つの部材に
分割するとともに、両部材間に薄い楔状の部材を挿入し
て、その全長を、中断部の推力受け材を取り付ける部分
の間隔にあわせて、楔状の部材の挿入量によって調整で
きるようにした推力受け材が提案された(実開昭62−
27594号公報)。
【0009】このものは、上記のようにその全体を、主
要な2つの部材に分割しているために、1個ずつの部材
の重量が従来の推力受け材の半分で済み、推力受け材を
中断部に設置したり、あるいは中断部から取り外したり
する際の作業性が向上する。また上記のように、楔状の
部材の挿入量を調整することでその全長を調整できるた
め、中断部の前後の部材間の、推力受け材を取り付ける
部分の間隔の、設計上の違いや施工時のずれなどに柔軟
に対応することができる。
【0010】さらに上記楔状の部材は、トンネルの掘削
後に、シールド機の推力が推力受け材を挟む力として残
留していても、楔の傾斜を利用して比較的容易に、両部
材間から引きぬいて取り外すことができ、またそれによ
って推力受け材の全体をシールド機の推力から開放でき
るので、当該推力受け材を解体したりせずに、再使用可
能な状態で中断部から取り外すことができる。
【0011】ところが発明者らが検討したところによる
と、上記の推力受け材であっても、依然としてとくに作
業性の点で、下記のような問題があるため、さらなる改
良、改善の余地のあることが判明した。すなわち上記の
推力受け材は、従来のものに比べてその主体部の重量が
約半分になったとはいえ、依然として個々の主体部の重
量は重く、とくに直径の大きなトンネルやシールド機を
推進するのに大きな推力を要するトンネル用の、より大
型の推力受け材では、個々の部材の重量がかなり重くな
ってしまうために、とくにその設置数が多くなると、作
業に多大な人手と時間とを要することになる。
【0012】またとくに前記のように、推力受け材を可
とうセグメントの中断部のスペーサとしても使用する場
合には、従来と同様に、あらかじめ挿入、固定されてい
た推力受け材の全体を取り外して、1次止水ゴムを環状
に架設したのち、再び推力受け材の全体を挿入、固定し
てシールド機の推力受けとして使用した後、トンネルの
建設後には、形成された可とう継手部の機能を妨げない
ために、再び中断部からその全体を取り外さねばならな
いなど、何度も推力受け材全体の取り付けと取り外しと
を繰り返す必要があり、そのために作業に多大な人手と
時間とを要する。
【0013】この発明の目的は、従来に比べてさらに作
業性が改善され、取り付けや取り外しの作業に多大な人
手と時間とを要しない新規な推力受け材と、それを用い
た、従来に比べて効率的な可とう継手部の施工方法とを
提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、この発明の推力受け材は、シールドトンネルの途中
の位置に設けた環状の中断部に設置されて、トンネル掘
削時のシールド機の推力を、上記中断部の前後間で伝達
するためのものであって、トンネルの、上記中断部の前
後の部分にそれぞれ取り付けられた状態で、その間に楔
形の空間を形成する第1および第2の部材と、当該空間
に対応した楔形に形成されて、上記両部材間に介装され
る第3の部材とを備えるとともに、上記第3の部材の、
トンネルの長さ方向における寸法の最小値が、推力受け
材の、同方向の全長の25〜40%で、かつ中断部を止
水すべく、当該中断部の前後の部分間に環状に架設され
る1次止水ゴムの、同方向の取り付け寸法の0.6〜
1.5倍に設定されていることを特徴とする。
【0015】また、この発明の可とう継手部の施工方法
は、中断部を有し、かつ当該中断部に請求項1記載の推
力受け材が設置されてその間隔が保持された複数の可と
うセグメントをリング状に組み立てて、シールドトンネ
ルの途中の位置に環状の中断部を形成し、次いで上記推
力受け材のうち第3の部材を取り外してそのあとに形成
される、トンネルの長さ方向における寸法の最小値が、
1次止水ゴムの、同方向の取り付け寸法の0.6〜1.
5倍である空間を通して、その外側の、中断部の前後の
部分間に1次止水ゴムを環状に架設し、次いで上記両部
材間に再び第3の部材を介装して推力受け材を組み立て
て、この推力受け材でシールド機の推力を中断部の前後
間で伝達しつつ地山を掘削してシールドトンネルを建設
したのち、推力受け材の全体を取り外して、中断部が1
次止水ゴムで止水された可とう継手部を構成することを
特徴とする。
【0016】かかるこの発明においては、上記のように
第1および第2の部材間に介装される第3の部材の、ト
ンネルの長さ方向における寸法の最小値が、推力受け材
の、同方向の全長の25〜40%に設定されることによ
って、第1ないし第3の部材のそれぞれが、ほぼ3分割
されることになるため、個々の部材の重量を、従来の、
1個の箱体からなるもののおよそ1/3、先行技術の、
2分割されたもののおよそ1/1.5まで軽減できる。
【0017】しかも、前記のように可とうセグメントの
中断部のスペーサとしても使用すべく、当該中断部にあ
らかじめ挿入、固定されていた推力受け材のうち第3の
部材のみを取り外すと、そのあとに、トンネルの長さ方
向における寸法の最小値が、中断部に環状に架設される
1次止水ゴムの、同方向の取り付け寸法の0.6〜1.
5倍に設定された、1次止水ゴムを架設する作業の妨げ
とならない程度に広い空間が形成される。このため、こ
の空間を通して、その外側の中断部に1次止水ゴムを架
設することができるので、推力受け材の全体を取り外す
のはトンネル完成後の1回のみで済む。
【0018】したがってこの発明によれば、従来に比べ
てさらに作業性が改善され、取り付けや取り外しの作業
に多大な人手と時間とを要しない推力受け材と、この推
力受け材を用いているために、従来に比べて効率的な可
とう継手部の施工方法とを提供することができる。なお
上記第3の部材の、トンネルの長さ方向における寸法の
最小値、および当該第3の部材を取り外したあとに形成
される空間の、同方向における寸法の最小値は、上記の
範囲内でもとくに、1次止水ゴムの、同方向の取り付け
寸法の0.7〜1.3倍であるのが好ましく、0.8〜
1.2倍であるのがさらに好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下にこの発明を、その実施の形
態の一例を示す図面を参照しつつ説明する。まず推力受
け材の例について説明する。図1(a)〜(d)に示すよう
に、この例の推力受け材1は、いずれも鋼材などを組み
合せて形成された、第1および第3の部材11〜13を
備えている。
【0020】このうち第1の部材11は、互いに平行
で、かつトンネルの長さ方向と直交させて配置された、
可とうセグメントへの取り付け板11aおよび第3の部
材13に対する取り付け板11bと、この両者間を繋ぐ
断面略エ字状の枠体11cとで構成されている。また、
上記のうち可とうセグメントへの取り付け板11aに
は、第1の部材11を可とうセグメントに取り付けるた
めのボルト〔図2(a)〜(c)中の符号B1〕が挿通される
長穴11dが2個、それぞれ推力受け材1の奥行きの方
向(推力部材1の、可とうセグメントの中断部への挿入
方向)と平行に形成されている。
【0021】長穴11dをこのように形成すると、たと
えば図2(b)と図4に示したように、第1の部材11
(第2の部材12も同様)を、可とうセグメント2の中
断部20に対して、その奥まで挿入した状態から、それ
より少し手前へ引き出した状態までの任意の取り付け状
態で取り付けることができる。そして、たとえば図4に
みるように両部材11、12をともに、可とうセグメン
ト2の中断部20に対して少し手前へ引き出した状態で
取り付けてやると、両部材11、12の間の、第3の部
材13を取り外したあとの空間〔図2(b)中の符号S
1〕の奥の、1次止水ゴム3を架設するための作業領域
を広くとることができ、セグメントの構造上、1次止水
ゴム3を架設する作業をしにくい場合に対応することが
できる。
【0022】一方、第3の部材13に対する取り付け板
11bには、第1および第2の部材11、12間に第3
の部材13を介装して固定するためのボルトB2が挿通
される長穴11eが2個、形成されている。かかる長穴
11eは、図1(d)にみるように先の長穴11dと違っ
て、それぞれ推力受け材1の奥行きの方向に対して傾斜
させて、互いにハ字状に形成されているとともに、対応
する第3の部材13の取り付け板13aに設けた2個の
長穴13dと互いに交差させて形成されている。
【0023】このように、長穴11eと長穴13dとを
互いに交差させて形成した場合には、前記のようにシー
ルドトンネルの建設時に、推力受け材1に加えられたシ
ールド機の推力が、楔状の第3の部材13を、第1およ
び第2の部材11、12間から押し出す方向に作用して
も、ボルトB2と長穴11e、13dとの間の摩擦によ
ってこの押し出しが阻止されるため、たとえば前記先願
公報に記載されているように長穴を推力受け材1の奥行
きの方向と平行に配置した場合のように、第3の部材が
押し出されて中断部の間隔が変化することがなく、最初
に設定した間隔に確実に維持することができる。
【0024】また、上記のように長穴11e、13dを
互いに交差させて形成した場合には、上記先願公報の場
合に比べて、ボルトB2を挿通して第3の部材13を取
り付ける際の取り付け位置を、上記奥行きの方向だけで
なくそれと直交する上下方向にも調整できるため、取り
付け位置の自由度が飛躍的に向上するという利点もあ
る。
【0025】第2の部材12は、トンネルの長さ方向と
直交させて配置された、可とうセグメントへの取り付け
板12aと、前記第1の部材11の取り付け板11bと
の間に第3の部材13が挿入される楔形の空間を形成す
べく、上記取り付け板12aに対して傾斜させて配置さ
れた、第3の部材13に対する取り付け板12bと、こ
の両者間を繋ぐ断面略エ字状の枠体12cとで構成され
ている。
【0026】そしていずれも図示していないが、上記の
うち取り付け板12aには、第1の部材11の取り付け
板11aと同様に、第2の部材12を可とうセグメント
に取り付けるためのボルト〔前記符号B1〕が挿通され
る長穴が2個、それぞれ推力受け材1の奥行きの方向と
平行に形成されており、一方、取り付け板12bには、
第1の部材11の取り付け板11bと同様に、第1およ
び第2の部材11、12間に第3の部材13を介装して
固定するためのボルトB2が挿通される長穴が2個、そ
れぞれ推力受け材1の奥行きの方向に対して傾斜させ
て、互いにハ字状に、そして対応する第3の部材13の
取り付け板13bに設けた2個の長穴と互いに交差させ
て、形成されている。これらの理由は前述したとおりで
ある。
【0027】第3の部材13は、上記第1および第2の
部材11、12間に形成される楔形の空間〔前記符号S
1〕に対応した楔形に形成されている。すなわち第3の
部材13は、当該第3の部材13を、第1および第2の
部材11、12間に挿入した際に、第1の部材11の取
り付け板11aと密着するように、トンネルの長さ方向
と直交させて配置された取り付け板13aと、上記挿入
の際に、第2の部材12の取り付け板12bと密着する
ように、当該取り付け板12bと同じ角度で傾斜させて
配置された取り付け板13bと、この両者間を繋ぐ断面
略エ字状の枠体13cとで構成されている。また図示し
ていないが、上記両取り付け板12a、12bにはそれ
ぞれ、第1および第2の部材11、12間に第3の部材
13を介装して固定するためのボルトB2が挿通される
長穴が2個ずつ、それぞれ推力受け材1の奥行きの方向
に対して傾斜させて、互いにハ字状に、そして対応する
第1および第2の部材11、12の取り付け板11b、
12bに設けた2個の長穴と互いに交差させて、形成さ
れている。
【0028】上記第3の部材13は、そのトンネルの長
さ方向における寸法の最小値L1が、前述したように、
推力受け材1の、同方向の全長L2の25〜40%に設
定されている必要がある。上記寸法L1がこの範囲未満
では、第1および第2の部材11、12の大きさおよび
重量が大きくなりすぎ、また逆にこの範囲を超えた場合
には、第3の部材13の大きさおよび重量が大きくなり
すぎるために、このいずれの場合にも作業性が低下し
て、取り付けおよび取り外しの作業に多大な人手と時間
が必要となる。なお寸法L1は、作業性を考慮すると、
上記の範囲内でもとくに、推力受け材1の全長L2の3
0〜35%であるのが好ましい。
【0029】また、上記寸法L1は、これも前述したよ
うに、中断部の前後の部分間に環状に架設される1次止
水ゴムの、同方向の取り付け寸法〔図2(c)中の符号
3〕の0.6〜1.5倍に設定されている必要があ
る。上記寸法L1がこの範囲未満では、第1および第2
の部材11、12の間の空間〔前記符号S1〕を通し
て、その奥に1次止水ゴムを架設する作業が困難にな
り、逆に上記の範囲を超えた場合には、相対的に第3の
部材13の大きさおよび重量が大きくなりすぎるため
に、このいずれの場合にも作業性が低下して、取り付け
および取り外しの作業に多大な人手と時間が必要とな
る。なおL1は、作業性を考慮すると、上記の範囲内で
もとくに、1次止水ゴムの取り付け寸法L3の0.7〜
1.3倍であるのが好ましく、0.8〜1.2倍である
のがさらに好ましい。
【0030】なお、上記のうち第2および第3の部材1
2、13の取り付け板12b、13bの、傾斜の角度に
ついてはとくに限定されず、前述した楔の効果、すなわ
ち 第3の部材13の、第1および第2の部材11、1
2間への挿入量を調整して、中断部の前後の部材間の、
推力受け材1を取り付ける部分の間隔の、設計上の違い
や施工時のずれなどに柔軟に対応すること、および トンネルの掘削後に、シールド機の推力が推力受け
材1を挟む力として残留していても、楔の傾斜を利用し
て、第3の部材13を比較的容易に、第1および第2の
部材11、12間から引きぬいて取り外すことが可能な
任意の角度に設定することができる。
【0031】上記第1ないし第3の部材11〜13は、
図にみるように、前記取り付け板11b、12b、13
aおよび13bに設けた、互いに交差する各長穴に挿通
したボルトB2の先端にナットN2を螺合して締めつけ
ることで互いに固定されて、1個の推力受け材1として
使用される。つぎに、上記例の推力受け材1を用いた、
可とう継手部の施工方法について、その一例を示す図2
(a)〜(c)および図3(a)(b)を参照しつつ説明する。
【0032】この例の施工方法においては、上記のよう
に第1ないし第3の各部材11〜13をボルトB2とナ
ットN2との締め付けによって固定した上記例の推力受
け材1を、まず図2(a)に示すように、可とうセグメン
ト2の中断部20の、前後の部分21、22間に挿入し
て固定する。詳しくは、両部分21、22の端面を構成
する枠体21a、22aに形成した、図示しない通孔
と、推力受け材1を構成する第1および第2の部材1
1、12の取り付け板11a、12aに設けた前記長穴
とを挿通したボルトB1の先端にナットN1を螺合して
締めつけることで、上記両部分21、22間に、推力受
け材1が挿入、固定される。
【0033】かかる可とうセグメント2は、他のセグメ
ントと同様にトンネル外の、たとえば工場などであらか
じめ組み立て、かつ両部分21、22間に推力受け材1
を挿入、固定したものを、トンネル内に運び込んで使用
される。なお図において符号23は、土止めなどのため
の薄いカバープレートである。つぎに、上記の可とうセ
グメント2を複数個、先に通常のセグメントを組み立て
て形成しつつあるトンネルの1次覆工の先端に、リング
状に組み立てつつ接続して、トンネルの途中の位置に環
状の中断部20′を形成したのち、推力受け材1のうち
第3の部材13を取り外して、そのあとに、トンネルの
長さ方向における寸法の最小値L1が、前記のように1
次止水ゴム3の、同方向の取り付け寸法L3の0.6〜
1.5倍である空間S1を形成する〔図2(b)〕。
【0034】つぎに、上記の空間S1を通して、その外
側(奥)の、中断部20′の前後の部分21、22間に
1次止水ゴム3を環状に架設し〔図2(c)〕、次いで第
1および第2の部材11、12間に再び第3の部材13
を介装し、ボルトB2とナットN2とを用いて各部材1
1〜13を固定して推力受け材1を組み立てて、この推
力受け材1でシールド機の推力を中断部20′の前後の
部分21、22間で伝達しつつ地山を掘削してシールド
トンネルを建設する〔図3(a)〕。
【0035】そしてその後、推力受け材1の全体を取り
外して、そのあとに2次止水ゴム4を環状に架設する
と、図3(b)にみるように中断部20′が1次および2
次の二重の止水ゴム3、4で止水された可とう継手部J
1の施工が完了する。なお上記取り外しの際には、前述
したようにシールド機の推力が、推力受け材1を挟む力
として残留しているので、まずボルトB2とナットN2
との締め付けおよび螺合を解除して第1ないし第3の各
部材11〜13の固定を解除し、次いで楔の傾斜を利用
して、第1および第2の部材11、12間から第3の部
材13を引きぬいて取り外した後、それぞれ上記の力か
らフリーとなった第1および第2の部材11、12を、
ボルトB1とナットN1との締め付けおよび螺合を解除
して、中断部20′の前後の部分21、22の端面を構
成する枠体21a、22aから取り外せばよい。
【0036】以上のごとくこの例の施工方法によれば、
推力受け材1の全体を取り外すのはトンネル完成後の1
回だけで、それまでの工程ではそのほぼ1/3程度の重
量を有する第3の部材13のみを第1および第2の部材
11、12間から取り外し、あるいは取り付けるだけ
で、推力受け材1の奥に1次止水ゴム3を架設でき、ま
た推力受け材1の全体を取り外す際にも、それぞれその
ほぼ1/3程度の重量を有する第1ないし第3の部材1
1〜13を別個に取り外すことができる。したがってこ
の例の施工方法によれば、従来に比べてより効率的に、
可とう継手部を施工することが可能となる。
【0037】なおこの発明の構成は、以上で説明した各
図の例のものには限定されない。たとえば図の例の推力
受け材1においては、当該推力受け材1を構成する第1
ないし第3の各部材11〜13がそれぞれ、前後2枚の
取り付け板の間を、断面略エ字状の枠体で繋いで構成さ
れていたが、各部材は、たとえば鋼板などの板材で構成
された箱体であってもよいし、その他の、推力受け材と
して機能しうる種々の形状、構造を有していてもよい。
【0038】また図の例の施工方法では、中断部20′
が1次および2次の二重の止水ゴム3、4で止水された
可とう継手部J1を施工していたが、上記中断部が1次
止水ゴムのみで止水された可とう継手部を施工する場合
にも、この発明の施工方法を採用することができる。そ
の場合には、推力受け材1の全体を取り外した時点で作
業を終了すればよい。
【0039】また、推力受け材1を再使用することとは
反するが、とくに第3の部材13の、トンネルの長さ方
向における寸法の最小値L1が、前述した1次止水ゴム
3の、同方向の取り付け寸法L3の1.0倍以上である
場合には、第1および第2の部材11、12は可とう継
手部の機能に影響しないため、第3の部材13のみを取
り外し、第1および第2の部材11、12は残したまま
で作業を終了してもよい。この場合には作業性がさらに
向上するという利点がある。
【0040】その他、この発明の要旨を変更しない範囲
で、種々の設計変更を施すことができる。
【0041】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれ
ば、従来に比べてさらに作業性が改善され、取り付けや
取り外しの作業に多大な人手と時間とを要しない新規な
推力受け材と、それを用いた、従来に比べて効率的な可
とう継手部の施工方法とを提供できるという特有の作用
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の推力受け材の、実施の形態の一例を
示す図であって、同図(a)はその平面図、同図(b)は正面
図、同図(c)は側面図、同図(d)は図(b)のD−D線断面
図である。
【図2】同図(a)〜(c)はそれぞれ、図1の例の推力受け
材を用いた、この発明の可とう継手部の施工方法の、一
例の工程を示す部分拡大断面図である。
【図3】同図(a)(b)はそれぞれ、同じく、この発明の可
とう継手部の施工方法の、一例の工程を示す部分拡大断
面図である。
【図4】上記施工方法において、推力部材を手前にずら
した状態を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1 推力受け材 11 第1の部材 12 第2の部材 13 第3の部材

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シールドトンネルの途中の位置に設けた環
    状の中断部に設置されて、トンネル掘削時のシールド機
    の推力を、上記中断部の前後間で伝達するための推力受
    け材であって、トンネルの、上記中断部の前後の部分に
    それぞれ取り付けられた状態で、その間に楔形の空間を
    形成する第1および第2の部材と、当該空間に対応した
    楔形に形成されて、上記両部材間に介装される第3の部
    材とを備えるとともに、上記第3の部材の、トンネルの
    長さ方向における寸法の最小値が、推力受け材の、同方
    向の全長の25〜40%で、かつ中断部を止水すべく、
    当該中断部の前後の部分間に環状に架設される1次止水
    ゴムの、同方向の取り付け寸法の0.6〜1.5倍に設
    定されていることを特徴とする推力受け材。
  2. 【請求項2】第1ないし第3の各部材の、それぞれの当
    接面を構成する部分に、第1および第2の部材間に第3
    の部材を固定するためのボルトが挿通される長穴が形成
    されているとともに、各々の部材の対応する長穴同士
    が、互いに交差するように配置されている請求項1記載
    の推力受け材。
  3. 【請求項3】第3の部材の、トンネルの長さ方向におけ
    る寸法の最小値が、推力受け材の、同方向の全長の30
    〜35%で、かつ1次止水ゴムの、同方向の取り付け寸
    法の0.7〜1.3倍である請求項1記載の推力受け
    材。
  4. 【請求項4】中断部を有し、かつ当該中断部に請求項1
    記載の推力受け材が設置されてその間隔が保持された複
    数の可とうセグメントをリング状に組み立てて、シール
    ドトンネルの途中の位置に環状の中断部を形成し、次い
    で上記推力受け材のうち第3の部材を取り外してそのあ
    とに形成される、トンネルの長さ方向における寸法の最
    小値が、1次止水ゴムの、同方向の取り付け寸法の0.
    6〜1.5倍である空間を通して、その外側の、中断部
    の前後の部分間に1次止水ゴムを環状に架設し、次いで
    上記両部材間に再び第3の部材を介装して推力受け材を
    組み立てて、この推力受け材でシールド機の推力を中断
    部の前後間で伝達しつつ地山を掘削してシールドトンネ
    ルを建設したのち、推力受け材の全体を取り外して、中
    断部が1次止水ゴムで止水された可とう継手部を構成す
    ることを特徴とする可とう継手部の施工方法。
  5. 【請求項5】推力受け材の全体を取り外したあとに2次
    止水ゴムを環状に架設して、中断部が1次および2次の
    二重の止水ゴムで止水された可とう継手部を構成する請
    求項4記載の可とう継手部の施工方法。
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