JP7364226B2 - シールド工法用可撓セグメント及びその施工方法 - Google Patents
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周方向に分割され環状に連結される軸方向に対向させた1対の枠部材と、
対向する前記枠部材同士を連結し前記枠部材間に加わる掘進にともなう推力を支持する推力受け材と、
前記推力受け材の外周側の前記枠部材間に設けられ、可撓性を付与する止水ゴム部材を支持しながら環状の前記枠部材間に送り込む支持部材と、
前記支持部材に沿って設けられ前記止水ゴム部材を引き込む引き込みロープを、環状に連結された前記枠部材に通すためのガイドロープと、を備え、
前記止水ゴム部材は、前記枠部材が環状に連結された後に、前記ガイドロープを前記引き込みロープに連結するとともに、環状に連結された前記枠部材に通された前記引き込みロープに前記止水ゴム部材の一端が連結され、前記支持部材に沿って引き込まれ、前記推力受け材を残して前記支持部材に代えて環状に接合して取り付けるように構成される、ことを特徴とする。
シールド工法用可撓セグメントを環状に連結して可撓セグメントリングとする工程と、
前記可撓セグメントリングに通したガイドロープに前記引き込みロープを連結して通す工程と、
前記可撓セグメントリングに通された前記引き込みロープに前記止水ゴム部材の一端を連結し、他端をウインチに連結して前記止水ゴム部材を前記支持部材に沿って引き込む工程と、
引き込まれた前記止水ゴム部材を、前記推力受け材を残して前記支持部材に代えて環状に接合して取り付ける工程と、
前記推力の影響がなくなった時点で、前記推力受け材を撤去する工程と、を備える、ことを特徴とする。
また、以下の説明では、トンネルの軸方向(中心軸方向)をA、周方向をC、及び径方向をRとする。
外枠プレート11は、外周端からの幅(径方向Rの幅)が広く、内枠プレート12は、外周端からの幅(径方向Rの幅)が小さく、同一曲率の円弧状に形成されている。外周側のスキンプレート13は、外枠プレート11からは突き出さずに略面一に配置され、反対側は内枠プレート12から軸方向Aに突き出すように配置されている。
対向する2つ(一対)の枠部材10は、スキンプレート13を外周側に配置するとともに、外枠プレート11と内枠プレート12とが軸方向Aで対向するように配置され、内枠プレート12同士及びスキンプレート13同士の間に間隔があけられている。さらに、スキンプレート13の外周側は、カバープレート15で覆われる。
内枠プレート12同士の間には、後述するように、枠部材10が環状に連結された(可撓セグメントリング100が組み立てられた)後、枠部材10同士に可撓性を付与する止水ゴム(止水ゴム部材)80が取り付けられる。また、端プレート14は、周方向Cに隣接する枠部材10の端プレート14に重ねてセグメント連結ボルトで連結することで、可撓セグメント1を周方向Cに連結することができ、環状の可撓セグメントリング100(図5参照)を構成することができる。
なお、推力受け材20は、取付板21の間に楔プレート22を装着して構成する場合に限らず、例えば、取付板21に代えて取付部材を用い、取付部材の間に楔プレート22に代えて柱状の受け部材を装着し、楔プレート22の両側の補強プレート23に代えて受け部材の内周側(中心側)に継手板を当て、取付部材及び受け部材のねじ穴に固定用ボルトを用いて連結するように構成することもできる。また、推力受け材20は、外枠プレート11同士の間に取り付けて軸方向Aの掘進にともなう推力を受けることができるものであれば、上記の構成に限定するものでない。
推力受け材20は、可撓セグメント1を工場で組み立てる際に取り付けられ、軸方向Aに間隔をあけて連結される一対の枠部材10を精度良く位置決めして連結する。これにより、可撓セグメント1は、軸方向Aに隣接する一般のセグメントSとの連結が容易かつ高精度に位置決めすることができる。
これにより、止水ゴム80は、環状に連結された枠部材10の外周内側に沿って引き込む際に、ローラ31の中央部にガイドされるようになる。
各支持ローラ30は、止水ゴム80を取り付ける内枠プレート12に形成した止水ゴム用取付孔12aを用いて固定される(図2(b)、図4(a),(b)参照)。したがって、止水ゴム80を可撓セグメント1に取り付ける場合には、後述するように、支持ローラ30を取り外し、支持ローラ30を固定していた止水ゴム用取付孔12aに止水ゴム80を取付ボルト83で取り付けるようにする。
なお、支持ローラ(支持部材)30は、逆クラウンロールで構成する場合に限らず、止水ゴム80を引き込む場合に支持できるように機能すれば良く、外径が一定の円柱状のロールや回転せずに止水ゴム80を滑らせる棒状や板状の支持部材であっても良く、表面に摩擦低減のための樹脂や塗膜処理等を設けても良く、摩擦低減処理が施されたものであれば、一層摩擦抵抗を小さくして容易に引き込むことができる。
なお、支持ローラ30は、図3および図4では、両端のプレート32の形状が矩形のものと略台形状のもので示したが、内枠プレート12の止水ゴム80を固定するための止水ゴム用取付孔12aに対応して支持ローラ30を設置できるものであれば良く、プレート32の形状は、任意で良く適宜定めて良いものである。
ガイドロープ40は、各可撓セグメント1の両端の端プレート14から余裕をもって突き出す長さとされ、可撓セグメント1を周方向Cに隣接する可撓セグメント1と連結する際にガイドロープ40同士を連結できるようにしておく。これにより、可撓セグメント1を環状に連結して可撓セグメントリング100を組み立てた状態で、ガイドロープ40が可撓セグメントリング100の途中の1箇所(例えば、下端の1箇所)から両端が余裕をもって出る状態にすることができる。
なお、止水ゴム80は、上記の伸縮部81を略V字状とし、その両側にL字状の取付部82を設けて構成するものに限らず、必要な可撓性などに対応して伸縮部の形状を複数の波形に変更したり、取付部の形状を変更したものであっても良く、外部からの水の浸入を防止でき、可撓性を付与できる構造であれば良い。
なお、引き込みロープは、ワイヤロープ90で構成する場合に限らず、止水ゴム80を支持ローラ30に沿って可撓セグメントリング100の外周内側に引き込むことができるものであれば、金属ロープに限らず、樹脂ロープや繊維ロープなどの他の索条であっても良い。
(1)可撓セグメント1を環状に連結して可撓セグメントリング100とする工程
まず、円弧状に形成された可撓セグメント1を端プレート14を重ねるようにしてセグメント連結ボルトで連結し、環状に連結した可撓セグメントリング100を組み立てる。
この工程では、可撓セグメント1同士を連結する際に、例えばビニールロープで構成したガイドロープ40を隣接する可撓セグメント1のものと連結しておく。こうすることで、ガイドロープ40は、分割して配索されたものが1本となるように連結され、環状に連結された可撓セグメントリング100に通した状態となって可撓セグメントリング100の途中の1箇所(例えば、下端の1箇所)からガイドロープ40の両端が余裕をもって出る状態とする。
さらに、可撓セグメント1同士の継手部分には、可撓セグメント1同士の重ねた端プレート14を跨ぐように支持ローラ30を設置しておく(図4参照)。
環状の可撓セグメントリング100に通されたビニールロープなどのガイドロープ40の一端にワイヤロープ(引き込みロープ)90を連結し、他端を引き込むようにして、図5に示すように、可撓セグメントリング100の外周内側の支持ローラ30上に沿うように、ガイドロープ40に入れ替えて引き込み用のワイヤロープ90を通す。
ワイヤロープ90は、止水ゴム80を引き込むためのものであり、可撓セグメントリング100の大きさ(外径:シールドトンネルの大きさ)に対応する止水ゴム80を引き込む強度を有するものが使用される。
このワイヤロープ90は、ガイドロープ40の他端を次工程で使用するウインチWなどを用いて引き込むようにしたり、人力で引き込むようにして通すこともできる。
ワイヤロープ90の一端に止水ゴム80の一端を連結し、ワイヤロープ90の他端をウインチWに連結する。この後、ウインチWでワイヤロープ90を引き込んで止水ゴム80を支持ローラ30のローラ(逆クラウンローラ)31に沿って引き込む。ワイヤロープ90は、可撓セグメントリング100の外周内側に沿って多数取り付けられた支持ローラ30上に配索されており、ワイヤロープ90をウインチWで引き込むと、止水ゴム80が支持ローラ30上を移動しながら止水ゴム80の取付空間に引き込まれることになる。
この止水ゴム80の引き込みの際、止水ゴム80を、図6(b)に示すように、止水ゴム80の幅を狭くするように拘束し、止水ゴム80がスキンプレート13(図2参照)と接触せず、両側の内枠プレート12(図2参照)とも接触しないようにする。止水ゴム80の幅を狭くするための拘束は、止水ゴム80の長さ方向に所定の間隔(ところどころ)で、ビニールロープなどで巻いて縛るようにすることで行われる。
なお、止水ゴム80の拘束は、ロープなどで巻く場合以外に接着剤などで部分的に仮接着するなどで行うようにしても良い。
止水ゴム80は、両端を突き合わせて接合するようにしたり、例えば、可撓セグメントリング100の外周頂部から支持ローラ30を1つずつ、あるいは、隣接するいくつかを取り外しながら、支持ローラ30が取り付けてあった止水ゴム用取付孔12aを利用して止水ゴム80を順に取付ボルト83で固定していく。そして、止水ゴム80を順次固定した後、止水ゴム80の両端を突き合わせて接合する。こうして支持ローラ30の取り外しと、支持ローラ30に代えて止水ゴム80を内枠プレート12の間に取り付けることを繰り返して止水ゴム80を環状に設置する。
この状態では、可撓セグメント1を環状に連結した可撓セグメントリング100は、止水ゴム80を取り付けた状態であるが、推力受け材20がそのまま残され、剛性が保持された状態となる。これにより、トンネルの掘進が続けられても掘進にともなう推力を支障なく可撓セグメント1でも支持できる状態が確保される。
掘進作業が進み、可撓セグメントリング100に推力の影響がなくなった時点で、可撓セグメントリング100に可撓性を付与するため、推力受け材20を取り外す。推力受け材20の取り外しは、両側の補強レート20を取り外し、さらに、取付板21及び楔プレート22を取り外すことで行われる。
こうして推力受け材20を取り外すことで剛性がなくなり、可撓セグメント1を構成する一対の枠部材10同士は、止水ゴム80を介して連結された状態となって止水ゴム80による可撓性が付与された状態となる。
こうして可撓セグメント1による施工が完了する。
(1)可撓セグメント1は、周方向Cに分割され環状に連結される軸方向Aに対向させた1対の枠部材10と、対向する枠部材10同士を連結し枠部材10間に加わる掘進にともなう推力を支持する推力受け材20と、推力受け材20の外周側の枠部材10間に設けられ、可撓性を付与する止水ゴム(止水ゴム部材)80を支持しながら環状の枠部材10間に送り込む支持ローラ(支持部材)30と、支持ローラ30に沿って設けられ止水ゴム80を引き込むワイヤロープ(引き込みロープ)90を、環状に連結された枠部材10に通すためのガイドロープ40と、を備え、止水ゴム80は、枠部材10が環状に連結された後に、ガイドロープ40をワイヤロープ90に連結するとともに、環状に連結された枠部材10に通されたワイヤロープ90に止水ゴム80の一端が連結され、支持ローラ30に沿って引き込まれ、推力受け材20を残して支持ローラ30に代えて環状に接合して取り付けるように構成される。
かかる構成によれば、可撓セグメント1は、1対の枠部材10に推力受け材20と、止水ゴム80を引き込む支持ローラ30と、ガイドロープ40が取り付けられているので、枠部材10を連結して環状にした後、ガイドロープ40にワイヤロープ90を連結して入れ替え、ワイヤロープ90に一端を連結した止水ゴム80を支持ローラ30に沿って引き込むことができる。これにより、推力受け材20を取り外すことなく、止水ゴム80を取り付けることができる。また、推力受け材20の取り外し及び取り付けが必要なく、止水ゴム80の取り付けの作業工程を減らして単純化でき、作業も容易となる。
また、推力受け材20を予め取り付けておくことで、枠部材10同士を高精度に位置決めすることができ、一般のセグメントSなどへの連結が円滑にできる。これにより、シールドジャッキによる推力で可撓セグメント1に偏心が生ずることも防止できる。
かかる構成によれば、止水ゴム80の取り付けの際には、推力受け材20に比べ、軽量の支持ローラ30を取り外すだけで良く、作業性も良く、工期の短縮も可能となる。
かかる構成によれば、支持ローラ30としてローラ31を用いることで、摩擦抵抗を小さくして止水ゴム80を引き込むことができ、止水ゴム80の可撓セグメント1への取り付けを効率良く、工期を短縮して行うことができる。
かかる構成によれば、逆クラウンローラによって、引き込まれる止水ゴム80を中央部にガイドして搬送することができ、狭い取付空間に止水ゴム80を引き込んで取り付けることが可能となる。
かかる構成によれば、可撓セグメント1は、1対の枠部材10に推力受け材20と、止水ゴム80を引き込む支持ローラ30と、ガイドロープ40が取り付けられているので、枠部材10を連結して環状の可撓セグメントリング100とした後、ガイドロープ40にワイヤロープ90を連結して入れ替え、ワイヤロープ90に一端を連結した止水ゴム80を支持ローラ30に沿って引き込むことができる。これにより、推力受け材20を取り外すことなく、止水ゴム80を取り付けることができる。また、推力受け材20の取り外し及び取り付けが必要なく止水ゴム80を取り付けることでき、止水ゴム80の取り付けの作業工程を減らして単純化でき、作業も容易となる。
また、推力受け材20を予め取り付けておくことで、枠部材10同士を高精度に位置決めすることができ、一般のセグメントSなどへの連結が円滑にできる。これにより、シールドジャッキによる推力で可撓セグメント1の偏心が生ずることも防止できる。
かかる構成によれば、可撓セグメント1同士の継手部分にも支持ローラ30を設置することで、継手部分でも支持ローラ30によって止水ゴム80を円滑に引き込むことでき、止水ゴム80に損傷などが生じることもなく、スムーズに作業することができる。
かかる構成によれば、止水ゴム80の幅を狭めるように拘束することで、狭い空間であっても周囲と接触することを防止でき、損傷などを防止して引き込むことができる。
10 枠部材
11 外枠プレート
12 内枠プレート
12a 止水ゴム用取付孔
13 スキンプレート
14 端プレート
15 カバープレート
20 推力受け材
21 取付板
22 楔プレート
23 補強プレート
30 支持ローラ(支持部材)
31 ローラ
32 プレート
40 ガイドロープ
80 止水ゴム(止水ゴム部材)
81 伸縮部
82 取付部
83 取付ボルト
90 ワイヤロープ(引き込みロープ)
100 可撓セグメントリング
A 軸方向
C 周方向
R 径方向
S 一般のセグメント
Claims (7)
- 周方向に分割され環状に連結される軸方向に対向させた1対の枠部材と、
対向する前記枠部材同士を連結し前記枠部材間に加わる掘進にともなう推力を支持する推力受け材と、
前記推力受け材の外周側の前記枠部材間に設けられ、可撓性を付与する止水ゴム部材を支持しながら環状の前記枠部材間に送り込む支持部材と、
前記支持部材に沿って設けられ前記止水ゴム部材を引き込む引き込みロープを、環状に連結された前記枠部材に通すためのガイドロープと、を備え、
前記止水ゴム部材は、前記枠部材が環状に連結された後に、前記ガイドロープを前記引き込みロープに連結するとともに、環状に連結された前記枠部材に通された前記引き込みロープに前記止水ゴム部材の一端が連結され、前記支持部材に沿って引き込まれ、前記推力受け材を残して前記支持部材に代えて環状に接合して取り付けるように構成される、
ことを特徴とするシールド工法用可撓セグメント。 - 前記支持部材は、前記止水ゴム部材の取り付け位置に取り付けられており、
前記支持部材を取り除いて前記止水ゴム部材が取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシールド工法用可撓セグメント。 - 前記支持部材は、回転ローラで構成される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のシールド工法用可撓セグメント。 - 前記回転ローラは、複数本の中央部が細径で両端部が太径の逆クラウンローラで構成される、
ことを特徴とする請求項3に記載のシールド工法用可撓セグメント。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載のシールド工法用可撓セグメントを環状に連結して可撓セグメントリングとする工程と、
前記可撓セグメントリングに通したガイドロープに前記引き込みロープを連結して通す工程と、
前記可撓セグメントリングに通された前記引き込みロープに前記止水ゴム部材の一端を連結し、他端をウインチに連結して前記止水ゴム部材を前記支持部材に沿って引き込む工程と、
引き込まれた前記止水ゴム部材を、前記推力受け材を残して前記支持部材に代えて環状に接合して取り付ける工程と、
前記推力の影響がなくなった時点で、前記推力受け材を撤去する工程と、を備える、
ことを特徴とするシールド工法用可撓セグメントの施工方法。 - 前記可撓セグメントリングは、前記可撓セグメント同士の継手部に前記支持部材を設ける工程を備える、
ことを特徴とする請求項5に記載のシールド工法用可撓セグメントの施工方法。 - 前記止水ゴム部材は、前記引き込む工程で幅方向を拘束し狭めて引き込まれる、
ことを特徴とする請求項5または6に記載のシールド工法用可撓セグメントの施工方法。
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