JP3372727B2 - レンズ鏡筒及びそれを有する光学機器 - Google Patents

レンズ鏡筒及びそれを有する光学機器

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JP3372727B2
JP3372727B2 JP26943495A JP26943495A JP3372727B2 JP 3372727 B2 JP3372727 B2 JP 3372727B2 JP 26943495 A JP26943495 A JP 26943495A JP 26943495 A JP26943495 A JP 26943495A JP 3372727 B2 JP3372727 B2 JP 3372727B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレンズ鏡筒及びそれ
を有する光学機器に関し、特に35mmフィルム用カメ
ラやビデオカメラ等の光学機器に用いているレンズ鏡筒
内において防振用のレンズ群を保持している光学保持手
段を光軸と直交する平面内において駆動させる為の電磁
駆動手段、例えば永久磁石を取着した磁路板を筐体内に
高精度に、しかも容易に収納保持する際に好適なもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より光学機器に用いられているレン
ズ鏡筒においては筐体内においてレンズ群を保持してい
る光学保持手段を電磁駆動手段の駆動力により移動させ
てフォーカス,ズームそして防振等の各種の操作を行っ
ている。電磁駆動手段の1つとしては、例えば永久磁石
磁気回路が用いられている。
【0003】この永久磁石磁気回路はコイルと組み合わ
せた可動線論型若しくは可動磁石型の駆動手段として利
用されることが多い。そしていずれの形式においても永
久磁石には力が加わる為に永久磁石を磁路板に安定して
固定しておく必要がある。又駆動力を大きくする為に永
久磁石磁気回路内の磁束の流れを適切な向きにしておく
必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】永久磁石を磁路板に安
定して固定する為には永久磁石を磁路板に接着するか或
いは永久磁石の位置規制部材を設ける必要がある。しか
しながら一般に接着の場合は永久磁石を位置決めして接
着する工程が煩わしく、又位置規制部材を設ける場合も
その取付作業が必要となってくるという問題点があっ
た。
【0005】又永久磁石磁気回路内の磁束を整流させる
為には磁路板に設ける永久磁石の対向面を永久磁石側に
突出させる必要がある。しかしながら、この様に磁路板
に凸部を設けると磁路板を簡易な方法でプレス加工して
製作するのが難しくなってくるという問題点があった。
【0006】本発明は、光学機器に用いるレンズ鏡筒に
おいて駆動用のレンズ群を保持している光学保持手段を
電磁駆動させる為の電磁駆動手段を構成する要素、例え
ば磁路板と永久磁石等をプレス加工技術を利用して適切
に構成することにより組立容易で、かつ磁束の流れを良
好に整流し、安定動作させることができるレンズ鏡筒及
びそれを有する光学機器の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明のレンズ
鏡筒は、光学要素を保持して光軸と直交方向に駆動する
光学保持手段、該光学保持手段を駆動させる為の永久磁
石磁気回路、そして該永久磁石磁気回路を固定保持する
為の地板とを有したレンズ鏡筒において、該永久磁石磁
気回路は磁路板と永久磁石とを有し、該磁路板の一方の
面に該永久磁石を配置させ、他方の面は該地板と結合し
ており、該地板に設けた突出部により該磁路板を貫通し
て該永久磁石の位置決めを行っていることを特徴として
いる。
【0008】請求項2の発明は請求項1記載のレンズ鏡
筒を用いて所定面上に画像を形成していることを特徴と
している。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【発明の実施の形態】図1は防振システムを用いた光学
機器のレンズ鏡筒に適用したときの参考例1の要部斜視
図である。同図において地板71の背面突出耳71a
(同図では3ヶ所設けているが、図では2ヶ所示してい
る。)は鏡筒(不図示)に嵌合し、公知の鏡筒コロ等が
孔71bにネジ止めされ、鏡筒に固定されている。
【0013】磁性体より成り、光沢メッキが施された第
2ヨーク(固定部)72は円周上に設けた孔72aを貫
通するネジで地板71の孔71cにネジ止めされてい
る。又第2ヨーク72にはネオジウムマグネット等の永
久磁石73(シフトマグネット)が磁気的に吸着されて
いる。尚、矢印73aは各永久磁石73の磁化方向であ
る。74は防振用の光学要素としてのレンズである。レ
ンズ74をCリング等で固定した支持枠75にはコイル
76p,76y(シフトコイル)がパッチン接着され、
又IRED等の投光素子77p,77yも支持枠75の背面
に接着されている。投光素子77p,77yからの光束
はスリット75ap,75ayを通して後述するPSD
等の位置検出素子78p,78yに入射する。
【0014】支持枠75の孔75b(3ヶ所)には図2
に示す様にPOM等の先端球状の支持球79a,79b
及びチャージバネ710が装入され、支持球79aが支
持枠75に熱カシメされ固定されている(支持球79b
はチャージバネ710のバネ力に逆らって孔75bの延
出方向に摺動可能となっている。)。
【0015】図2はレンズ鏡筒の組立後の横断面図を示
しており、支持枠75の孔75bに矢印79c方向に支
持球79b,チャージしたチャージバネ710,支持球
79a,の順に装入して、次いで(支持球79a,79
bは同形状部品)最後に孔75bの周端部75cを熱カ
シメして支持球79aの抜け止めを行っている。
【0016】図3は図2の孔75bと直交する要部断面
図、図4は図3の矢印79c方向から見たときの要部平
面図である。図4における各点A〜Dは図3(C)の各
点A〜Dに対応している。ここで支持球79aの羽根部
79aaの後端部は深さA面の範囲で受けられ規制され
ている。この為周端部75cを熱カシメすることにより
支持球79aを支持枠75に固定している。
【0017】支持球79bの羽根部79baの先端部は
深さB面の範囲で受けられている。この為に支持球79
bがチャージバネのチャージバネ力で孔75bより矢印
79cの方向に抜けてしまうことがない様にしている。
レンズ鏡筒の組立が終了すると支持球79bは第2ヨー
ク72に受けられる。この為支持枠75より抜け出るこ
とは無くなるが、組立性を考慮して抜け止め範囲にB面
を設けている。
【0018】図2〜図4において支持枠75の孔75b
の形状は支持枠75を成形で作る場合においても複雑な
内径スライド型を必要とせず、矢印79cと反対側に型
を抜く単純な2分割型で成形可能としてその分、寸法精
度を厳しく設定できる様にしている。
【0019】又支持球79a,79bとも同部品である
為、組立ミスがなく部品管理上も有利となっている。図
1において支持枠75の軸受部75dには例えばフッ素
系のグリスを塗布し、L字形の軸711(非磁性のステ
ンレス材)を装入し、L字軸711の他端を地板71に
形成された軸受部71d(同様にグリス塗布)に装入
し、3ヶ所の支持球79bと共に第2ヨーク72に乗せ
て支持枠75を地板71内に収めている。
【0020】次に電磁駆動用の金属板としての第1ヨー
ク712の位置決め孔712a(3ヶ所)を地板71の
ピン71f(図5の3ヶ所)に嵌合させ、受け面71e
(5ヶ所)にて第1ヨーク712を受けて地板71に対
し、磁気的に結合する(永久磁石73の磁力方向73
a)。これにより第1ヨーク712の背面が支持球79
aと当接し、図2に示す様に支持枠75を第1ヨーク7
12と第2ヨーク72にて挟持して、光軸方向の位置決
めをしている。
【0021】支持球79a,79bと第1ヨーク712
と第2ヨーク72の互いの当接面にもフッ素系グリスが
塗布してあり、支持枠75は地板71に対して光軸と直
交する平面内にて自由に摺動可能となっている。L字軸
711は支持枠75が地板71に対し矢印713p,7
13y方向にのみ摺動可能となる様に支持しており、こ
れにより支持枠75の地板71に対する光軸回りの相対
的回転(ローリング)を規制している。
【0022】尚、L字軸711と軸受部71d,75d
の嵌合ガタは光軸方向には大きく設定してあり、支持球
79a,79bと第1ヨーク712,第2ヨーク72の
挟持による光軸方向規制と重複嵌合してしまうことを防
いでいる。第1ヨーク712の表面には絶縁用シート7
14が被せられ、その上に複数のIC(位置検出素子7
8p,78y、出力増幅用IC、コイル(75p,76
y)、駆動用IC等)を有するハード基板715が位置
決め孔715a(2ヶ所)を地板71のピン71h(図
5の2ヶ所)に嵌合され、孔715b,第1ヨーク71
2の孔712bと共に地板71の孔71gにネジ結合さ
れている。
【0023】ここでハード基板715には位置検出素子
78p,78yが工具にて位置決めされてハンダ付けし
て固定している。又信号伝達用のフレキシブル基板71
6も面716aがハード基板715の背面に破線で囲む
範囲715cに熱圧着している。フレキシブル基板71
6からは光軸と直交する平面方向に一対の腕716b
p,716byが延出しており、図6に示す様に各々支
持枠75の引っ掛け部75ep,75eyに引っ掛けら
れIRED77p,77yの端子及びコイル76p,76y
の端子がハンダ付けされている。
【0024】これによりIRED77p,77yとコイル7
6p,76yの駆動をハード基板715よりフレキシブ
ル基板716を介在して行っている。フレキシブル基板
716の腕部716bp,716byには各々屈曲部7
16cp,716cyが設けられており、この屈曲部7
16cp,716cyの弾性により支持枠75が光軸と
直交する平面内に動き回ることに対する腕部716b
p,716byの負荷を低減している。
【0025】第1ヨーク712はエンボスによる突出面
(凸部)712cを有し、突出面712cは絶縁シート
714の孔714aを通りハード基板715と直接接触
している。この接触面のハード基板715側にはアース
(GND;グランド)パターンが形成されており、ハー
ド基板715を地板71に結合手段としてのネジでネジ
結合することで第1ヨーク712はアースされ、アンテ
ナになってハード基板715にノイズを与えることが無
くなる様にしている。
【0026】マスク717は地板71のピン71hに位
置決めされてハード基板715上に両面テープにて固定
されている。地板71には永久磁石用の貫通孔71iが
開けられており、ここから第2ヨーク72の背面が露出
している。この貫通孔71iにはヨーク727に設けた
永久磁石718(ロックマグネット)が組み込まれ、第
2ヨーク72と磁気結合している(図2)。
【0027】図7は組立終了後のレンズ鏡筒を図1の背
面方向から見たときの概略図である。ロックリング(係
止部)719の外径切り欠き部719c(図8の3ヶ
所)を地板71の内径突起71j(3ヶ所)に位相を合
わせてロックリング719を地板71に押し込み、その
後ロックリング719をアンロック方向(図示反時計回
り方向)に回して地板71に対しバヨネット結合してい
る。これによりロックリング719が地板71に対し光
軸方向に拘束し、光軸回りには回転可能となる様にして
いる。
【0028】そしてロックリング719が回転して再び
該ロックリング719の切り欠き部719cが突起71
jと同位相になり、バヨネット結合が外れてしまうこと
を防ぐ為に弾性部材としてロックゴム(制限部材)72
6を地板71に設けている。これによりロックリング7
19がロックゴム726により規制される駆動範囲(切
り欠き部719dの角度θ0 )しか回転できない様に回
転規制している。
【0029】即ち、ロックゴム726を設けていないと
きはロックリング719は地板71に対して広い駆動範
囲を持つ様になる。これによってもバヨネット結合、バ
ヨネット結合の解除が可能であるが、ロックゴム726
を設け、駆動範囲を角度θ0に規制することにより外径
切り欠き部719cが内径突起71jと同位相まで回転
できなくなり、これによりバヨネット抜け止めをしてい
る。
【0030】ここでロックゴム726は地板71の孔
(不図示)に圧入して植設している。ロックゴム26の
倒れ方向に関しては地板71の背面突出耳71aとネジ
穴(セルフタップ穴)71L周辺の地板71に対する凸
形状部により、外周の略半周を囲むことにより規制して
いる。又ヨーク727を地板71にネジ結合して図11
(図7の周方向に沿った断面概略図)の様にロックゴム
726をヨーク727と第2ヨーク72との間に挟んで
ゴムの弾性を若干チャージして抜け止めしている。これ
によりネジや接着剤の追加を行うこと無しでロックゴム
726を地板71に固定している。
【0031】次に図9,図10を用いてロックゴム72
6とロックリング719との当接位置関係及びロックリ
ング719の駆動範囲について説明する。図9,図10
は図7の平面部から要部のみ抜出した概略図であり、説
明を解りやすくする為に実際の組立状態とは若干、形
状,レイアウトを変化させている。
【0032】図9はロック状態を示す平面図である。図
中、ロックリング719はロックバネ728で時計回り
に付勢されているが、ロックゴム726がロックリング
719の辺719iと当接して回り止めしている。そし
てこのロックリング719の回り止めは地板71とは別
体のゴムの為、弾性的に行われ、ロック時の衝撃を吸収
し、大きな音を発生しない様にしている。又ロックゴム
726の当接辺719iはコイル720の近傍に設けて
いる。コイル720近傍はロックリング719の中でも
質量が集中している部分であり、ロックリング719の
回転時に最も大きな慣性力を有する。
【0033】フック719eの部分で回り止めをすると
コイル720と離れている為にロックリング719が変
形し、この変形によりロック時の衝撃時の音質が悪く、
不快となり、且つロックリング719が地板71より抜
けやすくなる(パッチン結合の為)。この為本発明にお
いてはコイル720近傍でロックリング719を弾性的
に回り止めして緩衝作用があること、質量集中点で受け
ることによりロックリング719のロック時の変形がな
く、且つロック時の音が小さく、且つ音質も良くなる様
にしている。
【0034】又バヨネット結合はパッチン結合より強固
であり、且つロックリング719の変形がない為ロック
リング719が地板71から外れることがない。ロック
リング719はロック方向とアンロック方向に駆動され
るが、この駆動が規制され、止められる時の音も両方向
で発生する。
【0035】しかしアンロック方向の駆動終了直前で
は、まずはじめにアーマチュア724が吸着ヨーク72
9に弱い力で当接(アーマチュアバネ723の弾性力に
よる)し、そのとき小さな金属音がするが、その後アー
マチュアバネ723の弾性により駆動終了時の音は発生
しない。又上記金属音も撮影者のレリーズ操作(防振シ
ステムオン時)に同期して発生する為、撮影者にとって
不快感は少ない。以上の様にしてロック時の発生音を小
さくしている。
【0036】参考例1では上述した様にロックゴム72
6を設けてコイル720近傍でロックリング719と当
接する様にしている。この様に参考例1では (A1)ロック方向に付勢バネを有するロックリング7
19を (A2)地板71に対してロック方向(時計回り方向)
に回して装入し、 (A3)次いでアンロック方向に回してバヨネット結合
し、ロックゴムで抜け止めする。
【0037】以上3つの構成を捕らえることにより、
(B1)簡易なバヨネット抜け止め構造でロックリング
を地板に対して安定的に結合でき、(B2)ロック時の
発生音を小さく抑えることができる(B3)更にロック
ゴムの配置をコイル近傍にすることでロックリングの変
形を防ぎ、ロック時発生音質を悪化させることがない。
等の効果を得ている。
【0038】又参考例1に係るロックゴム726はロッ
クリング719のアンロック時のストッパーにもなって
いることを特徴としている。
【0039】図10はロックリング719がアンロック
方向に回転してアーマチュア724が吸着ヨーク729
に当接した瞬間の概略図である。この時ロックゴム72
6の外周とロックリングの辺719jのクリアランスを
θ2 、ロックリング耳部719aとアーマチュア724
のクリアランスをφ(アーマチュア724を吸着ヨーク
729にイコライズする駆動余裕量)としたとき θ2 <φ となっている。
【0040】即ち辺719jがないと図9の状態から図
10の状態(駆動余裕量を使い切った状態)迄のロック
リング719の駆動角をθ1 とすると θ1 −φ<θ0 <θ1 の関係になっている。
【0041】これにより図10の状態で更にロックリン
グ719がアンロック方向に駆動を続けてもロックゴム
726が辺719jと弾性的に当接する方がロックリン
グ耳部719aがアーマチュア724を押し付けるより
も早い為にアーマチュア724は吸着ヨーク729に確
実に吸着される。
【0042】以上の様に両方向を回転を規制するストッ
パとし、且つストッパを1つの弾性手段で形成すること
及びストッパは部材の部品間に挟まれるだけで固定され
ていること、及びストッパはバヨネット抜け止めを兼用
させることで組立作業性が良く、作動時に不快な発生音
がなく、安定した機構且つ確実に作動する係止手段(係
止装置)を得ている。
【0043】以上のレンズ鏡筒における機構部は大別す
ると、レンズ74、支持枠75、コイル76p,76
y、IRED77p,77y、支持球79a,79b、チャ
ージバネ710、支持軸711は光軸を偏心させる光学
保持手段(補正手段)の一要素を構成し、地板71、第
2ヨーク72、永久磁石73、第1ヨーク712は補正
手段を支持する支持手段の一要素を構成し、永久磁石7
18、ロックリング719、コイルバネ720、アーマ
チュア軸721、アーマチュアゴム722、アーマチュ
アバネ723、アーマチュア724、ヨーク727、ロ
ックバネ728、吸着ヨーク729、吸着コイル730
は補正手段を係止する係止手段の一要素を構成してい
る。アーマチュア724、ヨーク729、コイル730
は保持部の一要素を構成している。アーマチュア軸72
1、アーマチュアゴム722、アーマチュアバネ723
はイコライズ手段の一要素を構成している。
【0044】次に図1に戻り、ハード基板715上のI
C731p,731yは各々位置検出素子78p,78
yの出力増幅用のICである。図12はその内部構成の
説明図である(IC731p,731yは同構成の為、
ここではIC731pのみ示す。)。
【0045】同図において、電流−電圧変換アンプ73
1ap,731bpは投光素子77pにより位置検出素
子78p(抵抗R1 ,R2 より成る)に生じる光電流7
i1p ,78i2p を電圧に変換している。差動アンプ7
31cpは各電流−電圧変換アンプ731ap,731
bpの差出力を求め増幅している。
【0046】投光素子77p,77yからの射出光は前
述したとおりスリット75ap,75ayを経由して位
置検出素子78p,78y上に入射する。支持枠75が
光軸と垂直な平面内で移動すると位置検出素子78p,
78yへの入射位置が変化する。位置検出素子78pは
矢印78ap方向に感度を持っており、又スリット75
apは矢印78apとは直交する方向(78ay方向)
に光束が拡がり、矢印78ap方向には光束が絞られる
形状をしている。
【0047】この為支持枠75が矢印713p方向に動
いたときのみ位置検出素子78pの光電流78i1p ,7
i2p のバランスは変化し、差動アンプ731cpは支
持枠75の矢印713p方向に応じた出力をする。位置
検出素子78yは矢印78ay方向に検出感度を持ち、
スリット75ayは矢印78ayとは直交する方向(7
8ap方向)に延出する形状の為に支持枠75が矢印7
13y方向に動いたときのみ位置検出素子78yは出力
を変化させる。
【0048】加算アンプ731dpは電流−電圧変換ア
ンプ731ap,731bpの出力の和(位置検出素子
78pの受光量総和)を求め、この信号を受ける駆動ア
ンプ731apはこれに従って投光素子77pを駆動す
る。
【0049】上記の投光素子76pは温度等に極めて不
安定にその投光量が変化する為、それに伴い位置検出素
子78p,78yの光電流78i1p ,78i2p の絶対量
78i1p +78i2p が変化する。その為支持枠75の位
置を示す78i1p −78i2pである差動アンプ731c
pの出力も変化してしまう。
【0050】この為、上記の様に受光量総和一定となる
様に前述の駆動回路によって投光素子77pを制御して
差動アンプ731cpの出力変化がなくなる様にしてい
る。
【0051】図1のコイル76p,76yは永久磁石7
3、第1のヨーク712、第2のヨーク72で形成され
る閉磁路内に位置し、コイル76pに電流を流すことで
支持枠75は矢印713p方向に駆動し、(公知のフレ
ミングの左手の法則)コイル76yに電流を流すことで
支持枠75は矢印713y方向に駆動している。
【0052】一般に位置検出素子78p,78yの出力
をIC731p,731yで増幅し、その出力でコイル
76p,76yを駆動すると支持枠75が駆動されて位
置検出素子78p,78yの出力が変化する構成とな
る。ここでコイル76p,76yの駆動方向(極性)を
位置検出素子78p,78yの出力が小さくなる方向に
設定すると(負帰還)コイル76p,76yの駆動力に
より位置検出素子78p,78yの出力が略零になる位
置で支持枠75は安定する。
【0053】この様に位置検出素子78p,78yから
の出力を負帰還して駆動を行う手法(ここでは位置制御
手法という。)で、例えば外部から目標値(例えば手振
れ角度信号)をIC731p,731yに混合させる
と、支持枠75は目標値に従って極めて忠実に駆動す
る。
【0054】実際には差動アンプ731cp,731c
yの出力はフレキシブル基板716を経由して不図示の
メイン基板に送られ、そこでアナログ−デジタル変換
(A/D変換)が行われ、マイコンに取り込まれる。マ
イコン内では適宜目標値(手振れ角度信号)と比較増幅
され、デジタルフィルタ手法による位相進み補償(位置
制御をより安定させる為)が行われた後、再びフレキシ
ブル基板716を通りIC732(コイル76p,76
y駆動用)に入力する。
【0055】IC732は入力される信号を基にコイル
76p,76yをPWM(パルス幅変調)駆動を行い、
支持枠75を駆動する。支持枠75は矢印713p,7
13y方向に摺動可能であり、上述した位置制御手法に
より位置を安定させている。尚カメラ等の民生用光学機
器においては電源消耗防止の観点からも常に支持枠75
を制御している訳ではない。支持枠75は非制御状態時
には光軸と直交する平面内にて自由に動き回ることがで
きる様になる為、そのときのストローク端での衝突の音
発生や損傷に対して以下の様に対策している。
【0056】図6乃至図10に示す様に支持枠75の背
面には3ヶ所の放射状に突出した突起75fを設けてあ
り、図7或いは図9に示す様に突起75fの先端がメカ
ロックリング719の内周面719gに嵌合している。
これにより支持枠75が地板71に対して総ての方向に
拘束される様にしている。
【0057】図13はメカロックリング駆動のタイミン
グチャートであり、矢印719iでコイル720に通電
(720bに示すPWM駆動)すると同時に吸着マグネ
ット730にも通電(730a)する。その為吸着ヨー
ク729にアーマチュア724が当接し、イコライズさ
れた時点でアーマチュア724は吸着ヨークに吸着され
る。
【0058】次に720cに示す時点でコイル720へ
の通電を止めるとロックリング719はロックバネ72
8の力で時計回りに回転しようとするが、上述した様に
アーマチュア724が吸着ヨーク729に吸着されてい
る為回転は規制される。このとき支持枠75の突起75
fはカム719fと対向する位置にある(カム719f
が回転してくる)為、支持枠は突起75fとカム719
fの間のクリアランス分だけ動ける様になる。
【0059】この為、重力Gの方向に支持枠75が落下
することになるが、図13の矢印719iの時点で支持
枠75も制御状態にする為、落下することはない。支持
枠75は非制御時はロックリング719の内周で拘束さ
れているが、実際には突起75fと内周壁719gの嵌
合ガタ分だけガタを有する。即ち、このガタ分だけ支持
枠75は重力方向下方に落ちており、支持枠75の中心
と地板71の中心がずれていることになる。その為矢印
719iの時点から、例えば1秒費やしてゆっくり地板
の中心(光軸の中心)に移動させる制御をしている。
【0060】これは急激に中心に移動させるとレンズ7
4を通して像の揺れを撮影者が感じて不快である為であ
り、この間に露光が行われても支持枠75の移動による
像劣化が生じない様にする為である(例えば1/8秒で
支持枠を5μm移動させる)。詳しくは矢印719i時
点での位置検出素子78p,78yの出力を記憶し、そ
の値を目標値として支持枠75の制御を始め、その後1
秒間費やして予め設定した光軸中心のときの目標値に移
動してゆく(75g)。ロックリング719が回転され
(アンロック状態)た後、振動検出手段からの目標値も
基にして(前述した支持枠の中心位置移動動作に重なっ
て)支持枠75が駆動され防振が始まることになる。
【0061】ここで防振を終る為に矢印719jの時点
で防振オフにすると振動検出手段からの目標値が本装置
に入力されなくなり、支持枠75は中心位置に制御され
て止まる。このときに吸着コイル730への通電を止め
る(730b)。すると吸着ヨーク729のアーマチュ
ア724の吸着力が無くなり、ロックリング719はロ
ックバネ728により時計回りに回転され、図9の状態
に戻る。このときロックリング719はストッパピン7
26に当接して回転規制される。その後(例えば20ms
ec後)本装置への制御を断ち、図13のタイミングチャ
ートは終了する。
【0062】図14は防振システムの概要を示すブロッ
ク図である。図14において、91は振動検出手段であ
り、振動ジャイロ等の角速度を検出する振れ検出センサ
と該振れ検出センサ出力のDC成分をカットした後に積
分して角変位を得るセンサ出力演算手段より構成され
る。
【0063】振動検出手段91からの角変位信号は、目
標値設定手段92に入力される。この目標値設定手段9
2は可変差動増幅器92aとサンプルホールド回路92
bより構成されており、サンプルホールド回路92bは
常にサンプル中の為に可変差動増幅器92aに入力され
る両信号は常に等しく、その出力はゼロである。しか
し、後述する遅延手段93からの出力で前記サンプルホ
ールド回路92bがホールド状態になると、可変差動増
幅器92aはその時点をゼロとして連続的に出力を始め
る。
【0064】可動差動増幅器92aの増幅率は、防振敏
感度設定手段94の出力により可変になっている。何故
ならば、目標値設定手段92の目標値信号は補正手段を
追従させる目標値(指令信号)であるが、補正手段の駆
動量に対する像面の補正量(防振敏感度)はズーム,フ
ォーカス等の焦点変化に基づく光学特性により変化する
為、その防振敏感度変化を補う為である。故に防振敏感
度設定手段94は、ズーム情報出力手段95からのズー
ム(焦点距離)情報と露光準備手段96の測距情報に基
づくフォーカス(距離)情報が入力され、その情報を基
に防振敏感度を演算あるいはその情報を基に予め設定し
た防振敏感度情報を引き出して、目標値設定手段92の
可変差動増幅器92aの増幅率を変更させる。
【0065】補正駆動手段97はハード基板715上に
実装されたIC731p,731y732等であり、目
標値設定手段92からの目標値が指令信号として入力さ
れる。補正起動手段98はハード基板715上のIC7
32とコイル76p,76yの接続を制御するスイッチ
であり、通常時はスイッチ98aを端子98cに接続さ
せておくことでコイル76p,76yの各々の両端を短
絡しておき、論理積手段99の信号が入力されると、ス
イッチ98aを端子98bに接続し、補正手段910を
制御状態(未だ振れ補正は行わないが、コイル76p,
76yに電力を供給し、位置検出素子78p,78yの
信号が略ゼロになる位置に補正手段910を安定させて
おく)にする。
【0066】又、このとき同時に論理積手段99の出力
信号は係止手段914にも入力し、これにより係止手段
は補正手段910を係止解除する。尚補正手段910は
その位置検出素子78p,78yの位置信号を補正駆動
手段97に入力し、前述した様に位置制御を行ってい
る。論理積手段99は、レリーズ手段911のレリーズ
半押しSW1信号と防振切換手段912の出力信号の両
信号が入力されたときに、その構成要素であるアンドゲ
ート99aが信号を出力する。つまり、防振切換手段9
12の防振スイッチを撮影者が操作し、かつレリーズ手
段911でレリーズ半押しを行ったときに補正手段91
0は係止解除され、制御状態になる。
【0067】レリーズ手段911のSW1信号は露光準
備手段96に入力され、測光,測距,レンズ合焦駆動を
行うと共に、前述した様に防振敏感度設定手段94にフ
ォーカス情報を出力する。遅延手段93は論理積手段9
9の出力信号を受けて、例えば1秒後に出力して前述し
た様に目標値設定手段92より目標値信号を出力させ
る。
【0068】図示していないが、レリーズ手段911の
SW1信号に同期して振動検出手段91も起動を始め
る。そして前述した様に積分器等、大時定回路を含むセ
ンサ出力演算は起動から出力が安定するまでに、ある程
度の時間を要する。遅延手段93は、振動検出手段91
の出力が安定するまで待機した後に、補正手段910へ
目標値信号を出力する役割を演じ、振動検出手段91の
出力が安定してから防振を始める構成にしている。
【0069】露光手段913はレリーズ手段911のレ
リーズ押切りSW2信号入力によりミラーアップを行
い、露光準備手段96の測光値を元に求められたシャッ
タスピードでシャッタを開閉して露光を行い、ミラーダ
ウンして撮影を終了する。撮影終了後、撮影者がレリー
ズ手段911から手を離し、SW1信号をオフにすると
論理積手段99は出力を止め、目標値設定手段92のサ
ンプルホールド回路92bはサンプリング状態になり、
可変差動増幅器92aの出力はゼロになる。従って補正
手段910は補正駆動を止めた制御状態に戻る。
【0070】論理積手段99の出力がオフになったこと
により係止手段914は補正手段910を係止し、その
後に補正起動手段98のスイッチ98aは端子98cに
接続され、補正手段910は制御されなくなる。振動検
出手段91は不図示のタイマにより、レリーズ手段91
1の操作が停止された後も一定時間(例えば5秒)は動
作を継続し、その後に停止する。これは、撮影者がレリ
ーズ操作を停止した後に引き続きレリーズ操作を行うこ
とは頻繁にあるわけで、その様な時に毎回振動検出手段
91を起動するのを防ぎ、その出力安定までの待機時間
を短くする為であり、振動検出手段91が既に起動して
いるときには該振動検出手段91は起動既信号を遅延手
段93に送り、その遅延時間を短くしている。
【0071】以上の様に参考例1では係止手段の係止部
(ロックリング719)を地板部(支持手段)の地板7
1とバヨネット結合させること及び係止部(ロックリン
グ719)を係止方向(ロック方向)に回して地板71
に装入し、係止解除方向(アンロック方向)に回転して
バヨネット結合し、弾性手段(ロックゴム726)によ
りバヨネット抜け止めすることにより組立性が良く、作
動音が小さい安定した係止装置を得ている。
【0072】又係止部(ロックリング719)の質量が
集中しているところ(係止部駆動用の電磁駆動手段:コ
イル720)を制限部材(ロックゴム726)で受ける
ことにより作動時の発生音質の劣化を防ぐと共に係止部
(ロックリング719)の作動時変形を防ぎ、安定な係
止装置を得ている。又制限手段(ロックゴム726)が
固定部(支持手段:第2ヨーク72)と係止部駆動用の
電磁駆動手段(ヨーク727)に挟まれて固定される構
成にした為、組立作業性の良い係止装置を得ている。
【0073】又係止部(ロックリング719)の係止方
向(ロック方向)と非係止方向(アンロック方向)の両
方向の駆動範囲の制限を行うことで確実な係止及び係止
解除動作を実現させることができ、特に係止部(ロック
リング719)を非係止状態(アンロック状態)に保持
する保持部(アーマチュア724(鉄片),吸着ヨーク
729(電磁石),吸着コイル730,で構成)の鉄片
と電磁石の互いの当接位置を調整するイコライズ手段
(アーマチュア軸721,アーマチュアゴム722,ア
ーマチュアバネ723)を動作させる為の係止部(ロッ
クリング719)の駆動余裕量を少なくする方向に係止
部の駆動範囲を弾性部(ロックゴム726)で弾性的に
規制して良好なる係止装置を得ている。
【0074】又前述したレンズ鏡筒を含んだ光学機器を
用いて所定面(感光面)上に物体像(画像)を形成する
様にしている。
【0075】次に参考例1の構成上の特徴について順次
説明する。図15は図1のロックヨーク(電磁駆動手
段)727の拡大説明図である。図15においてロック
ヨーク(磁路板)727にはエンボス部727cが複数
箇所に設けられている。ここでエンボス(半抜き)とは
プレスエ程において孔を打ち抜く際に完全に孔を打ち抜
かずに板厚の途中で打ち抜くのを止めることで生ずる板
厚方向のズレ部であり、表面は凸形状となり裏面は同径
の凹形状となっている。即ちエンボス部727cは孔7
27a,727bと同じ工程で形成している。
【0076】図16は図15のロックヨーク(磁路板)
727に永久磁石718が磁気結合しているときの要部
斜視図である。図17は図16を紙面左から右方に見た
ときの要部概略図である。図17に示す様に永久磁石7
18はロックヨーク727上に複数のエンボス部727
cに囲まれて位置規制されて保持している。
【0077】ロックヨーク727上に設けた永久磁石7
18はロックヨーク727及び地板71上の永久磁石7
18、そして第2ヨーク72(図1)と組み合わされて
全体として閉磁路を形成している。ロックヨーク727
上の永久磁石718と地板71上の永久磁石718の対
向ギャップ間の磁界中に配置されるコイル720(図2
参照)に電流が流されることでコイル720に推力を発
生させロックリング719を駆動している。この時の反
作用を永久磁石718はロックヨーク718側も地板7
1側も受ける。
【0078】しかしロックヨーク727に設けたエンボ
ス部727cにより永久磁石718を位置規制している
為にこの反作用で永久磁石が動くことが無い様にしてい
る(地板71側の永久磁石718は地板71の永久磁石
貫通孔71iにより位置規制している)。
【0079】次に参考例1において永久磁石718の位
置規制をエンボス部727cで行ったことの長所を説明
する。地板71側の永久磁石718は第2ヨーク72と
磁気結合しており永久磁石貫通孔71iにより位置規制
されている。ロックヨーク727側の永久磁石718も
同様に位置規制しようとすると専用の位置規制部材が必
要となり部品点数が多く組立も煩雑となる。
【0080】参考例1ではロックヨーク727上に直接
に位置規制部材としてのエンボス部727cを一体に設
けることにより組立作業性を向上させている。ロックヨ
ーク727上の永久磁石の位置規制方法としては上述し
たエンボス加工による方法の他に図18に示す様なロッ
クヨーク727の端部を折り曲げて位置規制する方法も
ある。
【0081】図18においては永久磁石718の長手方
向の辺の位置規制部727dをロックヨーク727の端
部を紙面直角方向上向きに折り曲げて形成している。こ
のとき折り曲げ部727dの板厚t(ロックヨーク72
7の肉厚)分だけロックヨーク727の平面が大型化し
てしまい、これにより光学保持手段をレンズ鏡筒内に組
み込めなくなってしまう場合が生じてくる。
【0082】図19は図17の一点鎖線11で切った断
面概略図である。図20は図18の一点鎖線12で切っ
た断面概略図である。図19ではエンボス部727cの
コーナー727eは略直角に立ち上がらせることが出来
るが図20では折り曲げ部727dのコーナー727f
は隅Rが残ってしまう。この隅Rを逃げる為に永久磁石
718と折り曲げ部727dの間隔δを広く設ける必要
があり、この分だけロックヨーク727が大型化すると
共に位置規制のガタが大きくなってくる。又この隅Rに
永久磁石718が乗り上げてしまい永久磁石718がロ
ックヨーク727に対して傾いて取り付いてしまう恐れ
も生ずる。
【0083】前述した様に参考例1ではエンボス部72
7cの隅Rは殆ど無い為に上述の位置規制ガタを小さく
抑えることが出来ると共にロックヨーク727も小型化
することが出来、更に永久磁石718をロックヨーク7
27に傾いて取り付いてしまうことを防止している。
【0084】図15〜図17の参考例1においてはエン
ボス部727cはロックヨーク727の板厚の約半分位
打ち抜いている。このとき永久磁石718の磁化方向の
厚みがロックヨーク727の板厚に対して相対的に薄い
場合には図21に示す様な問題が生ずる。
【0085】図21においてエンボス部727cの高さ
1 はロックヨーク727の板厚の約半分であるがこの
高さが永久磁石718の磁化方向718bの厚さと略等
しくなっている。この場合永久磁石718の磁束は破線
718aの様にエンボス部727cに向って流れてしま
い、更に永久磁石718の側面718cにおいてその厚
み方向の総てに渡ってエンボス部727cが隣接してい
る為にこの部分で磁束がショートしてしまい、永久磁石
718の有効利用ができなくなってしまう。
【0086】そこで参考例1では図22の様にエンボス
部727cの高さtを永久磁石718の厚みtより
も低くして上述磁束のロスを防ぎ、永久磁石の有効利用
を行っている。
【0087】図23,図24は参考例2の一部分の要部
概略図である。参考例2は図15に示す参考例1に比べ
てエンボス部727cの形状が異なっている。図24は
図23において永久磁石718を装着した場合を示して
いる。図23,図24においてはロックヨーク727に
設けた永久磁石718の当接面の形状に沿ってエンボス
部727cが設けられている。
【0088】この場合エンボス部727の周囲のロック
ヨーク727部がエンボス部727cに比べて高くなっ
ており、永久磁石718の収まる範囲だけエンボスで凹
加工したことになり、図17の様に永久磁石718の周
囲にエンボス加工で凸部を設けた構成と逆になってい
る。
【0089】永久磁石718はロックヨーク727に単
に磁気結合しているだけであるが、信頼性を上げる為に
接着を行う時、凹部727cに粘度の低い接着剤を注入
しても接着剤は他の部分に漏れて流れてゆくことが無い
為に接着作業を容易に行うことが出来る。
【0090】図25は本発明の実施形態1の一部分の要
部斜視図である。本実施形態1は図1に示す第2ヨーク
72(磁路板)に対する永久磁石73の位置規制方法を
示している。図25において第2ヨーク72上に斜線2
1で示した部分は永久磁石73が磁気結合する範囲であ
る。図25において辺21aは図5の地板71の辺71
rに沿っており、同様にして辺21bは地板71の辺7
1s,辺21dは地板71の辺71q,辺21eは地板
71の辺71tに沿っている。
【0091】これによって永久磁石73が地板71の辺
71r,71s,71q,71tに囲まれる様にしてい
る。又辺21fの近傍には第2ヨーク72上のエンボス
部72dを設けており、これによって永久磁石73をエ
ンボス部72dからも位置規制している。第2ヨーク7
2の辺21cに接して孔72b,72cが設けられてお
り、図5の突出部71nが孔72b,72cを貫通し、
第2ヨーク72よりも突出している。これによって突出
部71nで永久磁石73の位置規制を行っている。
【0092】図26は図25の一点鎖線22で第2ヨー
ク72及び永久磁石73を切った断面図である。対の永
久磁石73はその磁化方向73aが逆の為に互いに吸収
される方向に力を受ける。しかし突出部71nが位置規
制している為に永久磁石73の位置は不動となる。
【0093】従来、永久磁石の位置規制の方法として図
1の第2ヨーク72上に磁気結合される永久磁石718
の様に地板71の永久磁石貫通孔71iにより位置規制
している。このとき第2ヨーク72に対し永久磁石71
8と地板72は同じ面に配置されている為、地板71が
永久磁石718の位置規制を兼ねることが出来ている。
【0094】しかし第2ヨーク72と永久磁石73、地
板71の関係の様に地板71が第2ヨーク712を挟ん
で永久磁石73の反対面にある場合においては、例えば
図27に示される様に対の永久磁石73間の位置規制の
為に専用の位置規制部材23を設けていた。しかしこの
様に位置規制部材23を設けるとその取り付け作業が煩
わしくなる。即ち永久磁石73は第2ヨーク72に磁気
結合する為第2ヨーク72上に配置するだけで接着等の
作業は必要としないが位置規制部材を第2ヨーク72に
取り付けるときは接着やネジ固定等の作業が必要になっ
てくる。
【0095】そこで本実施形態では図26に示す様にこ
の位置規制部材23の代わりに地板71からの突出部7
1nを第2ヨーク72を貫通させて永久磁石73側に突
出させることで設計上の制約から地板71が永久磁石7
3の反対面にあっても地板71で永久磁石73の位置規
制が行える様にしている。尚第2ヨーク72の地板71
の突出部71nの貫通孔72b,72cは円形或いは半
円形であり、対の永久磁石73の長辺側に沿って長く設
けられてはいない。
【0096】これは対の永久磁石73の磁束73bは図
27に示す様に第2ヨーク72で結ばれているが、図2
6の様に貫通孔72bが開けられているとこの磁路が無
くなってしまう。
【0097】しかし図25の様に磁束73bは貫通孔7
2bを避けて対の永久磁石73の磁束を連絡している。
もしも貫通孔72bを永久磁石73の長手方向全域に渡
って設けると、この磁束の回避路が無くなってしまい良
好な磁気回路でなくなる為に貫通孔72bは磁束の流れ
る方向の巾を狭くしている。
【0098】以上の様に第2ヨーク72(磁路板)を貫
通する地板71の突出部71nにより永久磁石73の位
置規制を行うことで設計の自由度(地板を永久磁石の反
対面に設置できる)を増し、永久磁石の取り付け作業性
も簡単にしている。
【0099】図28は参考例3の一部分の要部斜視図で
ある。参考例3は図1で示した光学保持手段の第1ヨー
ク712(図29に拡大図を示す)に対して孔712d
が貫通している点が異なっている。
【0100】図29におけるこの第1ヨーク(第1磁路
板)712を一点鎖線31で切った断面を図30に示
す。図30において永久磁石73及び永久磁石73に対
向する第1ヨーク712の磁束の流れは矢印73d,7
3eの様になっており、コイル76p,76yが配置さ
れるギャップg間の磁束73eは斜めになっている。
【0101】これは第1ヨーク712が対の永久磁石7
3との対向部において平板(対の永久磁石73と対向す
る面52と、その境界部と対向する面51が同一平面)
の為に対の永久磁石73からの磁束73eが互いに引き
寄せられる為である。そしてこの様に磁束73eがコイ
ル76p,76yに対して斜めになっていると駆動方向
53に有効な推力が発生できなくなる。
【0102】図32は図28の参考例3の第1ヨーク7
12を一点鎖線31で切った断面図である。同図に示す
様に孔712dが設けられている為にこの間に磁束が通
らずその為に対の永久磁石73の磁束73eが互いに引
き寄せられることは無く磁束73eはコイル76p,7
6yに対して直角に貫くことができる。
【0103】このとき第1ヨーク712内の磁束73d
は孔712dにより流れを妨げられ、図28に示す様に
孔712dの周辺を迂回してゆく。その為第1ヨーク7
12上の巾L1,L2(第1ヨーク712内で磁束71
2dが最も絞られる部分)を十分広くとり、この部分で
磁束の飽和が生じない様にしている。
【0104】図30の様な磁束の傾きを無くす為には第
1ヨーク712の永久磁石73対向面52を境界部の対
向面51に段差を設ける(図31)ことで可能となる。
【0105】しかしながらこの様に凹部712eを形成
することは第1ヨーク712に切削加工を行う必要があ
り、加工コストが高くなってしまう。それに比べて図3
2の様に孔712dはプレス加工で設けられる為に加工
コストが安く量産向きになっている。尚図32は孔71
2dを貫通しているが、図33に示す様にエンボス(半
抜き)でも磁束73eを整流することが出来、この場合
には第1ヨーク712内に図示の磁束73dを流すこと
が出来、図28で示した巾L1,L2を小さくして全体
をコンパクトにすることが出来る。
【0106】
【発明の効果】本発明によれば以上の様に、光学機器に
用いるレンズ鏡筒において駆動用のレンズ群を保持して
いる光学保持手段を電磁駆動させる為の電磁駆動手段を
構成する要素、例えば磁路板と永久磁石等をプレス加工
技術を利用して適切に構成することにより組立容易で、
かつ磁束の流れを良好に整流し、安定動作させることが
できるレンズ鏡筒及びそれを有する光学機器を達成する
ことが出来る。
【0107】この他本発明によれば、磁路板(ロックヨ
ーク727,第2ヨーク72)にエンボス部(半抜き部
727c,72d)を設け、このエンボス部を永久磁石
73,718の取り付け位置規制に用いることにより、
或いは磁路板(第2ヨーク72)を貫通する地板71か
らの突出部71nにより永久磁石の取り付け位置規制を
行うことにより位置規制部材としての専用の部品(位置
規制部材23)を用いること無く永久磁石を磁路板に簡
単に取り付けることが出来る。
【0108】又エンボス部(727c,72d)の高さ
を永久磁石73,718の磁化方向(73a,718
b)の厚みより低くすることにより、又一対の永久磁石
73と対向する磁路板(第1ヨーク712)の一対の永
久磁石の隣り合う境界部と対向する領域51を孔(71
2d)にすることにより又はエンボス(712e)とす
ることにより磁束の流れを整流し、コイル76p,76
yで有効な推力を得ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例1の一部分の要部斜視図
【図2】図1の一部分の要部断面図
【図3】図2の一部分の説明図
【図4】図3の矢印79c方向から見たときの要部平面
【図5】図1の一部分の要部斜視図
【図6】図1の一部分の要部斜視図
【図7】図1の一部分の要部平面図
【図8】図1の一部分の要部斜視図
【図9】図1の一部分の要部平面図
【図10】図1の一部分の要部平面図
【図11】図1の一部分の要部断面図
【図12】本発明の参考例1の説明図
【図13】本発明の参考例1の説明図
【図14】本発明の参考例1の要部ブロック図
【図15】図1の一部分の拡大説明図
【図16】図1の一部分の拡大説明図
【図17】図1の一部分の拡大説明図
【図18】図1の一部分を比較したときの説明図
【図19】図17の一点鎖線11の断面図
【図20】図19の一部分を比較したときの説明図
【図21】図1の一部分の説明図
【図22】図1の一部分の説明図
【図23】本発明の参考例2の一部分の要部概略図
【図24】本発明の参考例2の一部分の要部概略図
【図25】本発明の実施形態1の一部分の要部概略図
【図26】図25の一部分の説明図
【図27】図25の一部分の説明図
【図28】本発明の参考例3の一部分の要部概略図
【図29】図1の一部分の拡大説明図
【図30】図29の一点鎖線31の断面図
【図31】図30の一部分の説明図
【図32】図28の一点鎖線31の断面図
【図33】図32の一部を変更したときの説明図
【符号の説明】
71 地板(支持手段) 72 第2ヨーク(第2磁路板) 73,718 永久磁石 712 第1ヨーク(第1磁路板) 719 ロックリング(係止部) 727 ヨーク(ロックヨーク) 75 支持枠(光学保持手段) 726 弾性手段(制限部材) 727c,72d エンボス部 712d 孔 51 境界部 71n 突出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 7/04 G02B 7/02 G02B 7/08 G03B 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学要素を保持して光軸と直交方向に駆動
    する光学保持手段、該光学保持手段を駆動させる為の永
    久磁石磁気回路、そして該永久磁石磁気回路を固定保持
    する為の地板とを有したレンズ鏡筒において、該永久磁
    石磁気回路は磁路板と永久磁石とを有し、該磁路板の一
    方の面に該永久磁石を配置させ、他方の面は該地板と結
    合しており、該地板に設けた突出部により該磁路板を貫
    通して該永久磁石の位置決めを行っていることを特徴と
    するレンズ鏡筒。
  2. 【請求項2】 請求項記載のレンズ鏡筒を用いて所定
    面上に画像を形成していることを特徴とする光学機器。
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