JP3740218B2 - レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器 - Google Patents

レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器 Download PDF

Info

Publication number
JP3740218B2
JP3740218B2 JP16833196A JP16833196A JP3740218B2 JP 3740218 B2 JP3740218 B2 JP 3740218B2 JP 16833196 A JP16833196 A JP 16833196A JP 16833196 A JP16833196 A JP 16833196A JP 3740218 B2 JP3740218 B2 JP 3740218B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lock
lock ring
locking
spring
vibration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP16833196A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09329822A (ja
Inventor
晃一 鷲巣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP16833196A priority Critical patent/JP3740218B2/ja
Publication of JPH09329822A publication Critical patent/JPH09329822A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3740218B2 publication Critical patent/JP3740218B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Lens Barrels (AREA)
  • Adjustment Of Camera Lenses (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器に関し、特に手振れ等の比較的低い周波数(1Hz〜12Hz程度)の振動を受けたときに像面上に生じる画像振れを光学系中の一部のレンズ(光学要素)を保持する光学保持手段(補正手段)を光軸と直交する方向に駆動させて補正するようにした35mmフィルムカメラやビデオカメラ等の光学機器(カメラ)に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
現在のカメラは露出決定やピント合わせ等の撮影にとって重要な作業は全て自動化されている為、カメラ操作に未熟な人でも撮影失敗を起こす可能性は非常に少なくなっている。
【0003】
又最近ではカメラに加わる手振れを防ぐシステム(防振システム)も研究されており、撮影者の撮影ミスを誘発する要因はほとんどなくなってきている。ここで、手振れを防ぐシステムについて簡単に説明する。
【0004】
撮影時のカメラの手振れは、周波数として通常1Hz乃至12Hzの振動である。シャッターのレリーズ時点においてこのような手振れを起こしていても像振れのない写真を撮影可能とする為の基本的な考えとしては、上記手振れによるカメラの振動を検出し、その検出値に応じて補正レンズを変位させることである。
【0005】
従ってカメラの振れが生じても像振れを生じない写真を撮影する為には、第1にカメラの振動を正確に検出し、第2に手振れによる光軸変化を補正することである。この振動(カメラ振れ)の検出は、原理的にいえば角加速度,角速度,角変位等を検出する振動検出手段と、該振動検出手段からの出力信号を電気的或は機械的に積分して角変位を出力するカメラ振れ検出手段とをカメラに搭載することによって行っている。そしてこの検出情報に基づきレンズやプリズム等の光学要素を保持した光学保持手段(補正手段)を光軸と直交する方向に変位させて像振れを防止している。
【0006】
図15はカメラ等に用いられている従来の振動検出手段を用いた防振システムの要部概略図である。同図は矢印81方向(カメラ縦振れ81p,カメラ横振れ81y)における像振れを抑制するシステムを示している。
【0007】
図中、82はレンズ鏡筒、83p,83yは各々振動検出手段であり、カメラ縦振れ振動(振動方向84p)、カメラ横振れ振動(振動方向84y)を検出している。85は振動による像振れを補正する為の補正手段であり、補正用光学素子(プリズムやレンズ等)を保持している。86p,86yは各々コイルであり、補正手段85に推力を与えている。87p,87yは各々位置検出素子であり、補正手段85の位置を検出している。補正手段85は位置制御ループを利用して振動検出手段83p,83yからの出力信号を目標値として駆動し、これにより振動における像振れを補正している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
防振用の光学素子(プリズムやレンズ素子)を保持した光学保持手段(補正手段)を振動検出手段からの信号に基づいて、所定面内において駆動させて振動に伴う画像振れを補正する為に、該光学保持手段はこの平面内で自由に移動できる構成になっている。前述したように光学保持手段は位置制御がなされている為に防振時には上記平面内でブレ補正駆動を行うが、防振システムを使用しないとき、或いは非撮影時(携帯時)には光学保持手段は制御されていない。この為に外乱振動(例えばカメラのクイックリターンミラーの振動や携帯時の振動)で光学保持手段が揺れてしまい、防振システムを使用しない場合の像面精度は防振システムを有さないレンズと比べて劣化してしまったり、激しい揺れが光学保持手段に損傷を与えることがあった。
【0009】
そこで防振システムを使用するとき以外は、係止手段で光学保持手段を係止(ロック)しておくことが重要である。この時の係止手段の構成としては、レンズ鏡筒の大型化を防ぐ為にコンパクトであること、防振システムを素早く使用できるように係止手段の駆動(係止解除駆動)が速やかに行えるようにすること、係止手段が係止解除駆動(非係止)、係止駆動を行うときの駆動音を小さく抑えて撮影者に不快感を与えないこと等が必要である。このうち最も大切なことは、いかなる場合でも確実に非係止及び係止が行えるようにすることである。
【0010】
又防振システムの駆動のON,OFFを係止手段の回動操作により該係止手段を他の部材に当接することによって行う場合には係止手段が他の部材に当接して変形してしまったり、係止手段が他の部材にくっついてしまったりして防振駆動の円滑な係止及び係止解除が難しくなるという問題点があった。
【0011】
本発明は、レンズやプリズム等の光学素子を保持した光学保持手段、例えば防振用の光学素子を保持した光学保持手段(補正手段)を振動検出手段からの信号に基づいて光軸と直交する平面内において精度良く摺動させて振動に対する画像振れを補正する防振システムに適するときに防振機能のロック(係止)とアンロック(非係止)を円滑に行うことができ、係止解除ミスにより撮影ができなくなるようなことを防止したレンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のレンズ鏡筒は、光学要素を保持して光軸と直交方向に駆動する光学保持手段を鏡筒内に固定した支持手段に駆動可能に装着し、該光学保持手段の駆動の係止と非係止を係止部の回動操作により行うと共に該係止部の回動範囲を第1の弾性部材の一部に当接させて制限しており、該係止部を係止方向に付勢する第2の弾性部材を設け、該係止部が該第1の弾性部材で移動規制される位置にあるとき、該第2の弾性部材は該係止部を係止方向に付勢しないようにしていることを特徴としている。
【0013】
(1−2)光学要素を保持して光軸と直交方向に駆動する光学保持手段を鏡筒内に固定した支持手段に駆動可能に装着し、該光学保持手段の駆動の係止と非係止を係止部の回動操作の回動方向により選択して行う際、該係止部を係止していない位置では係止方向に付勢し、係止している範囲の所定領域では非係止方向に付勢する弾性部材を設けたことを特徴としている。
【0014】
(1−3)光学要素を保持して光軸と直交方向に駆動する光学保持手段を鏡筒内に固定した支持手段に駆動可能に装着し、該光学保持手段の駆動の係止と非係止を係止部の回動操作の回動方向により選択して行う際、該係止部を非係止方向に回動させるときには該係止部を一旦、係止方向に回動させた後に非係止方向に回動させるようにしていることを特徴としている。
【0015】
(1−4)光学要素を保持して光軸と直交方向に駆動する光学保持手段を鏡筒内に固定した支持手段に駆動可能に装着し、該光学保持手段の駆動の係止と非係止を係止部の回動操作の回動方向により選択して行う際、該係止部を非係止方向に回動させるときは該係止部を係止方向と非係止方向に交番駆動させていることを特徴としている。
【0016】
(1−5)光学要素を保持して光軸と直交方向に駆動する光学保持手段を鏡筒内に固定した支持手段に駆動可能に装着し、該光学保持手段の駆動の係止と非係止を係止部の回動操作の回動方向により選択して行う係止手段を該支持手段に結合させ、該係止部の駆動範囲を制限部材の一部に当接させて制限しており、該係止部と該制限部材との当接面が面対向形状となるようにしたことを特徴としている。
【0017】
(1−6)光学要素を保持して光軸と直交方向に駆動する光学保持手段を鏡筒内に固定した支持手段に駆動可能に装着し、該光学保持手段の駆動の係止と非係止を係止部の回動操作の回動方向により選択して行う際、該係止部の係止を解除するときは該光学保持手段を駆動させて、該係止部を加振させていることを特徴としている。
【0018】
本発明の光学機器は、前述の構成(1−1)〜(1−6)の何れか1項のレンズ鏡筒を用いて所定面上に画像を形成するようにしたことを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の防振システムを用いた光学機器のレンズ鏡筒の実施形態1の要部斜視図である。同図において地板71の背面突出耳71a(同図では3ヶ所設けているが、図では2ヶ所示している。)は鏡筒(不図示)に嵌合し、公知の鏡筒コロ等が孔71bにネジ止めされ、鏡筒に固定されている。
【0020】
磁性体より成り、光沢メッキが施された第2ヨーク(固定部)72は円周上に設けた孔72aを貫通するネジで地板71の孔71cにネジ止めされている。又第2ヨーク72にはネオジウムマグネット等の永久磁石73(シフトマグネット)が磁気的に吸着されている。尚、矢印73aは各永久磁石73の磁化方向である。74は防振用の光学要素としてのレンズである。レンズ74をCリング等で固定した支持枠75にはコイル76p,76y(シフトコイル)がパッチン接着され、又IRED等の投光素子77p,77yも支持枠75の背面に接着されている。投光素子77p,77yからの光束はスリット75ap,75ayを通して後述するPSD等の位置検出素子78p,78yに入射する。
【0021】
支持枠75の孔75b(3ヶ所)には図2に示すようにPOM等の先端球状の支持球79a,79b及びチャージバネ710が装入され、支持球79aが支持枠75に熱カシメされ固定されている(支持球79bはチャージバネ710のバネ力に逆らって孔75bの延出方向に摺動可能となっている。)。
【0022】
図2はレンズ鏡筒の組立後の横断面図を示しており、支持枠75の孔75bに矢印79c方向に支持球79b,チャージしたチャージバネ710,支持球79a,の順に装入して、次いで(支持球79a,79bは同形状部品)最後に孔75bの周端部75cを熱カシメして支持球79aの抜け止めを行っている。
【0023】
図3は図2の孔75bと直交する要部断面図、図4は図3の矢印79c方向から見たときの要部平面図である。図4における各点A〜Dは図3(C)の各点A〜Dに対応している。ここで支持球79aの羽根部79aaの後端部は深さA面の範囲で受けられ規制されている。この為周端部75cを熱カシメすることにより支持球79aを支持枠75に固定している。
【0024】
支持球79bの羽根部79baの先端部は深さB面の範囲で受けられている。この為に支持球79bがチャージバネのチャージバネ力で孔75bより矢印79cの方向に抜けてしまうことがないようにしている。レンズ鏡筒の組立が終了すると支持球79bは第2ヨーク72に受けられる。この為支持枠75より抜け出ることは無くなるが、組立性を考慮して抜け止め範囲にB面を設けている。
【0025】
図2〜図4において支持枠75の孔75bの形状は支持枠75を成形で作る場合においても複雑な内径スライド型を必要とせず、矢印79cと反対側に型を抜く単純な2分割型で成形可能としてその分、寸法精度を厳しく設定できるようにしている。
【0026】
又支持球79a,79bとも同部品である為、組立ミスがなく部品管理上も有利となっている。図1において支持枠75の軸受部75dには例えばフッ素系のグリスを塗布し、L字形の軸711(非磁性のステンレス材)を装入し、L字軸711の他端を地板71に形成された軸受部71d(同様にグリス塗布)に装入し、3ヶ所の支持球79bと共に第2ヨーク72に乗せて支持枠75を地板71内に収めている。
【0027】
次に第1ヨーク712の位置決め孔712a(3ヶ所)を地板71のピン71f(図5の3ヶ所)に嵌合させ、受け面71e(5ヶ所)にて第1ヨーク712を受けて地板71に対し、磁気的に結合する(永久磁石73の磁力方向73a)。これにより第1ヨーク712の背面が支持球79aと当接し、図2に示すように支持枠75を第1ヨーク712と第2ヨーク72にて挟持して、光軸方向の位置決めをしている。
【0028】
支持球79a,79bと第1ヨーク712と第2ヨーク72の互いの当接面にもフッ素系グリスが塗布してあり、支持枠75は地板71に対して光軸と直交する平面内にて自由に摺動可能となっている。L字軸711は支持枠75が地板71に対し矢印713p,713y方向にのみ摺動可能となるように支持しており、これにより支持枠75の地板71に対する光軸回りの相対的回転(ローリング)を規制している。
【0029】
尚、L字軸711と軸受部71d,75dの嵌合ガタは光軸方向には大きく設定してあり、支持球79a,79bと第1ヨーク712,第2ヨーク72の挟持による光軸方向規制と重複嵌合してしまうことを防いでいる。第1ヨーク712の表面には絶縁用シート714が被せられ、その上に複数のIC(位置検出素子78p,78y、出力増幅用IC、コイル(75p,76y)、駆動用IC等)を有するハード基板715が位置決め孔715a(2ヶ所)を地板71のピン71h(図5の2ヶ所)に嵌合され、孔715b,第1ヨーク712の孔712bと共に地板71の孔71gにネジ結合されている。
【0030】
ここでハード基板715には位置検出素子78p,78yが工具にて位置決めされてハンダ付けして固定している。又信号伝達用のフレキシブル基板716も面716aがハード基板715の背面に破線で囲む範囲715cに熱圧着している。フレキシブル基板716からは光軸と直交する平面方向に一対の腕716bp,716byが延出しており、図6に示すように各々支持枠75の引っ掛け部75ep,75eyに引っ掛けられIRED77p,77yの端子及びコイル76p,76yの端子がハンダ付けされている。
【0031】
これによりIRED77p,77yとコイル76p,76yの駆動をハード基板715よりフレキシブル基板716を介在して行っている。フレキシブル基板716の腕部716bp,716byには各々屈曲部716cp,716cyが設けられており、この屈曲部716cp,716cyの弾性により支持枠75が光軸と直交する平面内に動き回ることに対する腕部716bp,716byの負荷を低減している。
【0032】
第1ヨーク712はエンボスによる突出面712cを有し、突出面712cは絶縁シート714の孔714aを通りハード基板715と直接接触している。この接触面のハード基板715側にはアース(GND;グランド)パターンが形成されており、ハード基板715を地板71にネジ結合することで第1ヨーク712はアースされ、アンテナになってハード基板715にノイズを与えることが無くなるようにしている。
【0033】
マスク717は地板71のピン71hに位置決めされてハード基板715上に両面テープにて固定されている。地板71には永久磁石用の貫通孔71iが開けられており、ここから第2ヨーク72の背面が露出している。この貫通孔71iにはヨーク727に設けた永久磁石718(ロックマグネット)が組み込まれ、第2ヨーク72と磁気結合している(図2)。
【0034】
図7において、ロックリング719にはコイル720(ロックコイル)が接着され、又ロックリング719の耳部719aの背面には軸受719bがあり、アーマチュアピン721にアーマチュアゴム722を通し、アーマチュアピン721を軸受719bに通した後、アーマチュアピン721にアーマチュアバネ723を通しアーマチュア724に嵌入してカシメ固定している。故にアーマチュア724はアーマチュアバネ723のチャージ力に逆らってロックリング719に対し矢印725方向に摺動できるようになっている。
【0035】
図7は組立終了後のレンズ鏡筒を図1の背面方向から見たときの概略図である。ロックリング(係止部)719の外径切り欠き部719c(図8の3ヶ所)を地板71の内径突起71j(3ヶ所)に位相を合わせてロックリング719を地板71に押し込み、その後ロックリング719をアンロック方向(図示反時計回り方向)に回して地板71に対しバヨネット結合している。これによりロックリング719が地板71に対し光軸方向に拘束し、光軸回りには回転可能となるようにしている。
【0036】
そしてロックリング719が回転して再び該ロックリング719の切り欠き部719cが突起71jと同位相になり、バヨネット結合が外れてしまうことを防ぐ為に弾性部材としてロックゴム(制限部材)726を地板71に設けている。これによりロックリング719がロックゴム726により規制される駆動範囲(切り欠き部719dの角度θ0 )しか回転できないように回転規制している。
【0037】
磁性体のロックヨーク727にも永久磁石(ロックマグネット)718が取着され、孔727a(2ヵ所)を地板71のピン71bに嵌合してハメ込み、孔727b(2ヵ所)と71Lによりネジ結合している。地板71側の永久磁石(ロックマグネット)718とロックヨーク727側の永久磁石718及び第2のヨーク72、ロックヨーク727により公知の閉磁路を形成している。又ロックゴム726はロックヨーク727がネジ結合されることで抜け止めしている。尚、図7においては説明の為にロックヨーク727は省いて図示している。
【0038】
ロックリング719のフック719eと地板71のフック71m間にはロックバネ728が掛けられておりロックリング719を時計まわりに付勢している。吸着ヨーク729には吸着コイル730が差し込まれ地板71に孔729aによりネジ結合している。コイル720の端子、及び吸着コイル730の端子は例えば4本縒り線のテトロン被覆線のツイストペア構成にしてフレキシブル基板716の幹部716dにハンダ付けしている。
【0039】
次に図9,図10を用いてロックゴム726とロックリング719との当接位置関係及びロックリング719の駆動範囲について説明する。図9,図10は図7の平面部から要部のみ抜出した概略図であり、説明を解りやすくする為に実際の組立状態とは若干、形状,レイアウトを変化させている。
【0040】
図9はロック状態を示す平面図である。図中、ロックリング(係止部)719はロックバネ(第2の弾性部材)728の付勢力より解放されている。ロックゴム(第1の弾性部材)726はロックリング719の辺719iと当接している。
【0041】
又ロックゴム(制限部材)726とロックリング(係止部)719との当接面(当接辺719iに相当)は後述するように面対向形状となるようにしている。
【0042】
以上のレンズ鏡筒における機構部は大別すると、レンズ74、支持枠75、コイル76p,76y、IRED77p,77y、支持球79a,79b、チャージバネ710、支持軸711は光軸を偏心させる光学保持手段(補正手段)の一要素を構成し、地板71、第2ヨーク72、永久磁石73、第1ヨーク712は補正手段を支持する支持手段の一要素を構成し、永久磁石718、ロックリング719、コイルバネ720、アーマチュア軸721、アーマチュアゴム722、アーマチュアバネ723、アーマチュア724、ヨーク727、ロックバネ728、吸着ヨーク729、吸着コイル730は補正手段を係止する係止手段の一要素を構成している。アーマチュア724、ヨーク729、コイル730は保持部の一要素を構成している。アーマチュア軸721、アーマチュアゴム722、アーマチュアバネ723はイコライズ手段の一要素を構成している。
【0043】
次に図1に戻り、ハード基板715上のIC731p,731yは各々位置検出素子78p,78yの出力増幅用のICである。図12はその内部構成の説明図である(IC731p,731yは同構成の為、ここではIC731pのみ示す。)。
【0044】
同図において、電流−電圧変換アンプ731ap,731bpは投光素子77pにより位置検出素子78p(抵抗R1 ,R2 より成る)に生じる光電流78i1p ,78i2p を電圧に変換している。差動アンプ731cpは各電流−電圧変換アンプ731ap,731bpの差出力を求め増幅している。
【0045】
投光素子77p,77yからの射出光は前述したとおりスリット75ap,75ayを経由して位置検出素子78p,78y上に入射する。支持枠75が光軸と垂直な平面内で移動すると位置検出素子78p,78yへの入射位置が変化する。位置検出素子78pは矢印78ap方向に感度を持っており、又スリット75apは矢印78apとは直交する方向(78ay方向)に光束が拡がり、矢印78ap方向には光束が絞られる形状をしている。
【0046】
この為支持枠75が矢印713p方向に動いたときのみ位置検出素子78pの光電流78i1p ,78i2p のバランスは変化し、差動アンプ731cpは支持枠75の矢印713p方向に応じた出力をする。位置検出素子78yは矢印78ay方向に検出感度を持ち、スリット75ayは矢印78ayとは直交する方向(78ap方向)に延出する形状の為に支持枠75が矢印713y方向に動いたときのみ位置検出素子78yは出力を変化させる。
【0047】
加算アンプ731dpは電流−電圧変換アンプ731ap,731bpの出力の和(位置検出素子78pの受光量総和)を求め、この信号を受ける駆動アンプ731apはこれに従って投光素子77pを駆動する。
【0048】
上記の投光素子76pは温度等に極めて不安定にその投光量が変化する為、それに伴い位置検出素子78p,78yの光電流78i1p ,78i2p の絶対量78i1p +78i2p が変化する。その為支持枠75の位置を示す78i1p −78i2p である差動アンプ731cpの出力も変化してしまう。
【0049】
この為、上記のように受光量総和一定となるように前述の駆動回路によって投光素子77pを制御して差動アンプ731cpの出力変化がなくなるようにしている。
【0050】
図1のコイル76p,76yは永久磁石73、第1のヨーク712、第2のヨーク72で形成される閉磁路内に位置し、コイル76pに電流を流すことで支持枠75は矢印713p方向に駆動し、(公知のフレミングの左手の法則)コイル76yに電流を流すことで支持枠75は矢印713y方向に駆動している。
【0051】
一般に位置検出素子78p,78yの出力をIC731p,731yで増幅し、その出力でコイル76p,76yを駆動すると支持枠75が駆動されて位置検出素子78p,78yの出力が変化する構成となる。ここでコイル76p,76yの駆動方向(極性)を位置検出素子78p,78yの出力が小さくなる方向に設定すると(負帰還)コイル76p,76yの駆動力により位置検出素子78p,78yの出力が略零になる位置で支持枠75は安定する。
【0052】
このように位置検出素子78p,78yからの出力を負帰還して駆動を行う手法(ここでは位置制御手法という。)で、例えば外部から目標値(例えば手振れ角度信号)をIC731p,731yに混合させると、支持枠75は目標値に従って極めて忠実に駆動する。
【0053】
実際には差動アンプ731cp,731cyの出力はフレキシブル基板716を経由して不図示のメイン基板に送られ、そこでアナログ−デジタル変換(A/D変換)が行われ、マイコンに取り込まれる。マイコン内では適宜目標値(手振れ角度信号)と比較増幅され、デジタルフィルタ手法による位相進み補償(位置制御をより安定させる為)が行われた後、再びフレキシブル基板716を通りIC732(コイル76p,76y駆動用)に入力する。
【0054】
IC732は入力される信号を基にコイル76p,76yをPWM(パルス幅変調)駆動を行い、支持枠75を駆動する。支持枠75は矢印713p,713y方向に摺動可能であり、上述した位置制御手法により位置を安定させている。尚カメラ等の民生用光学機器においては電源消耗防止の観点からも常に支持枠75を制御している訳ではない。支持枠75は非制御状態時には光軸と直交する平面内にて自由に動き回ることができるようになる為、そのときのストローク端での衝突の音発生や損傷に対して以下のように対策している。
【0055】
図6乃至図10に示すように支持枠75の背面には3ヶ所の放射状に突出した突起75fを設けてあり、図7或いは図9に示すように突起75fの先端がメカロックリング719の内周面719gに嵌合している。これにより支持枠75が地板71に対して総ての方向に拘束されるようにしている。
【0056】
図8のカム719f(3ヶ所)は図2,図8に示した通りロックリング719の円筒の母線方向全域に渡って設けられていないので、図9の方向からは実際には見えないが、説明の為に図示している。
【0057】
図2の通りコイル720(720aは図示しないフレキシブル基板等でロックリング719の外周を通り端子719hよりフレキシブル基板716の幹716dの上の端子716eに接続される4本縒り線の引き出し線)は永久磁石718で挟まれた閉磁路内に入っておりコイル720に電流を流すことで、ロックリング719を光軸回りに回転させるトルクを発生する。このコイル720の駆動も不図示のマイコンからフレキシブル基板716を介してハード基板715上の駆動用IC733に入力する指令信号で制御され、IC733はコイル720をPWM駆動している。
【0058】
図9においてコイル720に通電するとロックリング719に反時計回りのトルクが発生するようにコイル720の巻き方向が設定されており、これによりロックリング719はロックバネ728のバネ力に逆らって反時計方向に回転する。尚、ロックリング719はコイル720に通電前はロックバネ728の力によりロックゴムに当接して安定している。ロックリング719が回転するとアーマチュア724が吸着ヨーク729に当接してアーマチュアバネ723を縮め吸着ヨークとアーマチュアの位置関係をイコライズしてロックリングは回転を止める。
【0059】
図13はメカロックリング駆動のタイミングチャートであり、矢印719iでコイル720に通電(720bに示すPWM駆動)すると同時に吸着マグネット730にも通電(730a)する。その為吸着ヨーク729にアーマチュア724が当接し、イコライズされた時点でアーマチュア724は吸着ヨークに吸着される。
【0060】
次に720cに示す時点でコイル720への通電を止めるとロックリング719はロックバネ728の力で時計回りに回転しようとするが、上述したようにアーマチュア724が吸着ヨーク729に吸着されている為回転は規制される。このとき支持枠75の突起75fはカム719fと対向する位置にある(カム719fが回転してくる)為、支持枠は突起75fとカム719fの間のクリアランス分だけ動けるようになる。
【0061】
この為、重力Gの方向に支持枠75が落下することになるが、図13の矢印719iの時点で支持枠75も制御状態にする為、落下することはない。支持枠75は非制御時はロックリング719の内周で拘束されているが、実際には突起75fと内周壁719gの嵌合ガタ分だけガタを有する。即ち、このガタ分だけ支持枠75は重力方向下方に落ちており、支持枠75の中心と地板71の中心がずれていることになる。その為矢印719iの時点から、例えば1秒費やしてゆっくり地板の中心(光軸の中心)に移動させる制御をしている。
【0062】
これは急激に中心に移動させるとレンズ74を通して像の揺れを撮影者が感じて不快である為であり、この間に露光が行われても支持枠75の移動による像劣化が生じないようにする為である(例えば1/8秒で支持枠を5μm移動させる)。詳しくは矢印719i時点での位置検出素子78p,78yの出力を記憶し、その値を目標値として支持枠75の制御を始め、その後1秒間費やして予め設定した光軸中心のときの目標値に移動してゆく(75g)。ロックリング719が回転され(アンロック状態)た後、振動検出手段からの目標値も基にして(前述した支持枠の中心位置移動動作に重なって)支持枠75が駆動され防振が始まることになる。
【0063】
ここで防振を終る為に矢印719jの時点で防振オフにすると振動検出手段からの目標値が本装置に入力されなくなり、支持枠75は中心位置に制御されて止まる。このときに吸着コイル730への通電を止める(730b)。すると吸着ヨーク729のアーマチュア724の吸着力が無くなり、ロックリング719はロックバネ728により時計回りに回転され、図9の状態に戻る。このときロックリング719はストッパピン726に当接して回転規制される為、回転終了時のロックリング719の衝突音は小さくなる。更にロックバネ(弾性部材)728のバネ力(付勢力)が係止方向に付勢しないようにしている。その後(例えば20msec後)本装置への制御を断ち、図13のタイミングチャートは終了する。
【0064】
図14は防振システムの概要を示すブロック図である。図14において、91は振動検出手段であり、振動ジャイロ等の角速度を検出する振れ検出センサと該振れ検出センサ出力のDC成分をカットした後に積分して角変位を得るセンサ出力演算手段より構成される。
【0065】
振動検出手段91からの角変位信号は、目標値設定手段92に入力される。この目標値設定手段92は可変差動増幅器92aとサンプルホールド回路92bより構成されており、サンプルホールド回路92bは常にサンプル中の為に可変差動増幅器92aに入力される両信号は常に等しく、その出力はゼロである。しかし、後述する遅延手段93からの出力で前記サンプルホールド回路92bがホールド状態になると、可変差動増幅器92aはその時点をゼロとして連続的に出力を始める。
【0066】
可動差動増幅器92aの増幅率は、防振敏感度設定手段94の出力により可変になっている。何故ならば、目標値設定手段92の目標値信号は補正手段を追従させる目標値(指令信号)であるが、補正手段の駆動量に対する像面の補正量(防振敏感度)はズーム,フォーカス等の焦点変化に基づく光学特性により変化する為、その防振敏感度変化を補う為である。故に防振敏感度設定手段94は、ズーム情報出力手段95からのズーム(焦点距離)情報と露光準備手段96の測距情報に基づくフォーカス(距離)情報が入力され、その情報を基に防振敏感度を演算あるいはその情報を基に予め設定した防振敏感度情報を引き出して、目標値設定手段92の可変差動増幅器92aの増幅率を変更させる。
【0067】
補正駆動手段97はハード基板715上に実装されたIC731p,731y732等であり、目標値設定手段92からの目標値が指令信号として入力される。補正起動手段98はハード基板715上のIC732とコイル76p,76yの接続を制御するスイッチであり、通常時はスイッチ98aを端子98cに接続させておくことでコイル76p,76yの各々の両端を短絡しておき、論理積手段99の信号が入力されると、スイッチ98aを端子98bに接続し、補正手段910を制御状態(未だ振れ補正は行わないが、コイル76p,76yに電力を供給し、位置検出素子78p,78yの信号が略ゼロになる位置に補正手段910を安定させておく)にする。
【0068】
又、このとき同時に論理積手段99の出力信号は係止手段914にも入力し、これにより係止手段は補正手段910を係止解除する。尚補正手段910はその位置検出素子78p,78yの位置信号を補正駆動手段97に入力し、前述したように位置制御を行っている。論理積手段99は、レリーズ手段911のレリーズ半押しSW1信号と防振切換手段912の出力信号の両信号が入力されたときに、その構成要素であるアンドゲート99aが信号を出力する。つまり、防振切換手段912の防振スイッチを撮影者が操作し、かつレリーズ手段911でレリーズ半押しを行ったときに補正手段910は係止解除され、制御状態になる。
【0069】
レリーズ手段911のSW1信号は露光準備手段96に入力され、測光,測距,レンズ合焦駆動を行うと共に、前述したように防振敏感度設定手段94にフォーカス情報を出力する。遅延手段93は論理積手段99の出力信号を受けて、例えば1秒後に出力して前述したように目標値設定手段92より目標値信号を出力させる。
【0070】
図示していないが、レリーズ手段911のSW1信号に同期して振動検出手段91も起動を始める。そして前述したように積分器等、大時定回路を含むセンサ出力演算は起動から出力が安定するまでに、ある程度の時間を要する。遅延手段93は、振動検出手段91の出力が安定するまで待機した後に、補正手段910へ目標値信号を出力する役割を演じ、振動検出手段91の出力が安定してから防振を始める構成にしている。
【0071】
露光手段913はレリーズ手段911のレリーズ押切りSW2信号入力によりミラーアップを行い、露光準備手段96の測光値を元に求められたシャッタスピードでシャッタを開閉して露光を行い、ミラーダウンして撮影を終了する。撮影終了後、撮影者がレリーズ手段911から手を離し、SW1信号をオフにすると論理積手段99は出力を止め、目標値設定手段92のサンプルホールド回路92bはサンプリング状態になり、可変差動増幅器92aの出力はゼロになる。従って補正手段910は補正駆動を止めた制御状態に戻る。
【0072】
論理積手段99の出力がオフになったことにより係止手段914は補正手段910を係止し、その後に補正起動手段98のスイッチ98aは端子98cに接続され、補正手段910は制御されなくなる。振動検出手段91は不図示のタイマにより、レリーズ手段911の操作が停止された後も一定時間(例えば5秒)は動作を継続し、その後に停止する。これは、撮影者がレリーズ操作を停止した後に引き続きレリーズ操作を行うことは頻繁にあるわけで、そのような時に毎回振動検出手段91を起動するのを防ぎ、その出力安定までの待機時間を短くする為であり、振動検出手段91が既に起動しているときには該振動検出手段91は起動既信号を遅延手段93に送り、その遅延時間を短くしている。
【0073】
以上説明したように本実施形態では、光学保持手段(レンズ74、支持枠75、コイル76p,76y、IRED77p,77y、支持球79a,79b、チャージバネ710、支持軸711)を係止する係止手段(永久磁石718、ロックリング719、コイル720、アーマチュア軸721、アーマチュアゴム722、アーマチュアバネ723、アーマチュア724、ロックゴム726、ロックヨーク727、ロックバネ728、吸着ヨーク729、吸着コイル730)の係止部(ロックリング719)は、図9,図10で、その動作を説明したようにロックバネ728(第2の弾性部材)で係止方向(時計回り方向)に付勢されており、このときロックリング719はロックゴム726(第1の弾性部材)と当接している。
【0074】
ロックバネ728は密着巻きの引っ張りコイルバネより成り、ロックリング719を図7の時計回り(係止方向)に付勢している。図9のバネの伸びL0 が自由長、即ちロックバネ728のコイルが密着巻き状態のときである。
【0075】
図16はロックバネ728の伸びとバネ力の関係を示すグラフであり、バネの伸びがL0 以下ではバネ力は全く発生せず(密着巻き状態の為)L0 より伸ばすときには密着巻きの引っ張りバネ特有の初張力を必要とし、それ以降は初張力と伸びに比例したバネ力(伸び量とバネ定数の乗算値)の合力が発生する。
【0076】
図17はロックバネ728の伸びとロックリング719の回転角の関係を示したグラフであり、ロックバネ伸びL0 のとき(図9)はφ0 で、これよりロックリング719が時計回りに回転することはない(ロックゴム726が回転規制する為)、又ロックバネ伸びL1 のとき(図10)は、これより反時計回りにロックゴム726に回転規制されるφ1 迄回転できる(アーマチュア724をイコライズする為)。
【0077】
図16,図17から分かるように、図9の状態においてはロックバネ728はバネ力を発生していないが、外乱でロックリング719が係止解除方向(反時計回り)に回転しようとして、ロックバネ728を伸ばそうとしても初張力が発生する為に容易に係止解除されることはない。
【0078】
又、図9の状態においては、ロックリング719はロックゴム726と当接しているが、この当接面がロックバネ728で互いに押し付けられてはいない。即ち、弾性部材728は係止部719iを係止方向(時計回り)に付勢しないようにしている。もしも、ロックバネ728の自由長がL0 より短く、ロックゴム726にロックリング719が押し付けられている状態(チャージされている)の場合には、以下のような不都合が生じる恐れがある。
【0079】
図9の状態は防振システムを使用していたいときであり、一般的には、通常撮影を行うときや携帯時、保管時であり、この間外部環境(温度、湿度)が大きく変化することがある。そして、その間継続してロックゴム726にロックリング719が押し付けられていると、互いに固着してしまう。
【0080】
この固着力低減の為にロックゴム726の材質としてネオプレンゴムやNBR(ニトリルブタジエンゴム)のアストリート処理品を用いるのであるが、係止手段はコンパクトにする必要がある為に係止解除方向の駆動力は制限されており、上記固着力が十分に低減されない限り係止解除の信頼性は向上しない。又、係止解除の駆動力を大きくする為に減速系を用いる方法もあるが、この場合には係止解除に時間がかかると共に駆動ノイズも発生する。
【0081】
又、ロックゴム726のかわりに樹脂性のストッパを用いて回転制限を行うことで、ロックリングとの固着を防ぐことも考えられるが、この場合には係止時にロックリング719がストッパと衝突する大きな音を発生し不快である。
【0082】
以上のように予想される問題を避ける為に、上述したようにロックバネ728が自由長L0 のときにロックリング719がロックゴム726と当接する位置関係に設定し、ロックゴム76にロックリング719が押し付けられないようにしている。故に互いの固着が生じず、常に安定して係止解除が行える。
【0083】
図16においては、バネの伸びL0 のときを自由長に設定し、ロックバネ728は密着巻きの引っ張りコイルバネを使用しているが、次にロックバネ728を密着巻きでないコイルバネとしたときについて説明する。
【0084】
図18はロックバネ728として密着巻きでないコイルバネを使用した場合であり、その自由長をL2 (L0 <L2 <L1 )に設定している。その為、バネの伸びがL2 からL1 の範囲においてはロックリング719は時計回りに付勢され、L0 からL2 の範囲では反時計回りに付勢される。即ち、ロックバネ728は係止部を係止していない位置では係止方向に付勢し、係止している範囲の所定領域では非係止方向に付勢している。
【0085】
図19はそのときのロックリングの回転量を示したグラフで、図17と同じものである。図19において、回転角φ2 はロックリング719が補正手段を係止し始める角度であり、φ0 からφ2 の領域では補正手段はロックリング719を係止している。ロックバネ728の自由長L2 はこの領域内に入っており、この領域内でロックリング719の付勢方向が変化する。
【0086】
よって、防振システムを使用していないときには図9の状態よりもロックリング719が反時計回りに回転(角度φ2 、ロックバネ728の自由長L2 )していることになり、ロックリング719とロックゴム726は接触していない。ロックゴム726はロックリング719が係止解除状態(非係止方向)から係止状態(係止方向)に戻るときに、その慣性力でロックバネの伸びL0 からL2 の間の制動力に逆らって回ってゆくときの規制部材となっている。故に継続的にロックリング719とロックゴムが当接していない為に両者の固着は生じず安定した係止解除を行っている。
【0087】
次に本発明の実施形態2について説明する。実施形態1ではロックリング719がロックゴム726に押し付けられないようにする、或いは両者が継続して当接するようにしないことでロックゴム726とロックリング719の固着を防いでいた。しかし両者が固着してしまっても(ロックリング719がロックゴム726に常に押し付けられていた為)係止解除駆動時に確実に両者の固着が解除されれば良い訳である。
【0088】
図20はこのような思想の基に構築された実施形態2の説明図である。同図は、図13のロックリングの駆動タイミングチャートに比べて、矢印719iでコイル720に通電するときに一定期間720dはロックリング719を係止方向に通電する(720e)。係止方向のロックリング駆動力はコイル720の推力とロックバネ728の付勢力が同じ方向となる為、強い駆動力が発生できる。このときのロックリング719の回転角は波形719kに示すように係止方向に変位し、次いで通電が720fに示す係止解除方向(非係止方向)になると波形719Lのように係止解除方向に変位する。上述したように係止方向の駆動力は大きくできることに着目すると、次のようにしてロックリング719とロックゴム726の固着を剥がすことができる。
【0089】
図21は図9のロックリング719とロックゴム726の拡大図であり、互いに当接して接触点で固着している。そして矢印719mの時点(ロックリングが係止方向に駆動されたとき)では、その駆動力が大きい為に図22のようにロックリング719がロックゴム726を潰すことができる。するとロックリング719とロックゴム726の当接面の状態が変化する為に互いの固着が剥がれ、次に係止解除方向に駆動するとき(このときコイル720の推力とロックバネ728のバネ力は反対の為に駆動力は小さい)にも安定して係止解除が可能になる。
【0090】
以上のように本実施形態では係止部(ロックリング)を非係止方向に回動させるときには、係止部を一旦係止方向に回動させた後に非係止方向に回動させるようにし、安定して係止解除を行っている。
【0091】
次に本発明の実施形態3について説明する。図23は本実施形態の動作のタイミングフローの説明図である。本実施形態は図20で示した実施形態2に比べて係止部を非係止方向に回動させるときは矢印719iから一定期間720dにおいてロックリング719を係止方向と係止解除方向に、例えば100Hzで交番駆動している点が異なっており、その他の構成は同じである。
【0092】
ロックリング719は慣性力が大きい為に100Hz交番駆動時の回転変位は波形719hのように僅かである。この交番駆動によりロックリング719に生ずる振動はロックゴム726との当接面を潤滑化して互いの固着を剥がす役割を行う期間720dは互いの固着を剥がすのに十分な期間設けている。その後、係止解除方向720fに通電してロックリング719を係止解除方向に駆動している。
【0093】
以上のようにロックリング719を係止解除駆動する前に交番駆動することでロックリング719とロックゴム726の互いの固着を剥がして安定して係止解除を行うことができるようにしている。
【0094】
次に本発明の実施形態4について説明する。図24は本実施形態の一部分の拡大説明図であり、図9の状態のロックリング719とロックゴム726を示している。
【0095】
図24に示すように、ロックリング719のロックゴム726との当接面は図21と比べて弧状719pとなっており、ロックリング726の形状に沿っている。故にロックリング719とロックゴム726は互いに面で受けており、ロックバネ728の力でロックリング719がロックゴム726に押し付けられてもロックゴム726の単位面積当たりの押付力は図21と比べて十分に小さくできる為に互いの固着力を大幅に低減できる。
【0096】
尚、図24ではロックリング719の形状をロックゴム726に沿わせたが、図25に示すようにロックゴム726を柱状にして、その1つの面でロックリング719の面を受けるようにしても良い。
【0097】
以上のようにしてロックリング719とロックゴム726の固着力を大幅に低減できて安定した係止解除が行えるようにしている。
【0098】
図26は本発明の実施形態5の動作タイミングフローの説明図である。本実施形態が図13に示す実施形態1と異なるのは、矢印719iの時点で補正手段が波形61に示されるように大きく変位させられ、後に波形62のように光軸中心に向かってゆっくり駆動制御されている点にある。
【0099】
ここで波形61のように大きく変位させると、補正手段の支持枠75の突起75fがロックリング719の内周壁719gを押し付けることになる(未だ補正手段はロックリング719で係止中の為、突起75fは多少のガタは有するものの内周壁719gと嵌合していることによる)。
【0100】
図7においてロックリング719のラジアル方向は地板71の内径突起71jにより位置規制されているが、この両者間にも多少の遊びを設けてある。これはロックリング719の地板71に対するラジアルガタを詰めてゆくとロックリング719の回転負荷が大きくなる為である。よって支持枠75の突起75fがロックリング719を付勢すると、ロックリング719は地板71とのガタ内でラジアル方向に移動する。
【0101】
図27は補正手段を駆動し、支持枠75を矢印64方向に駆動した場合の拡大図であり、このときロックリング719は地板71とのガタ範囲内で一点鎖線63の位置迄ズレる。
【0102】
ロックゴム726は地板71に取り付けられている為にロックリング719との間で矢印65方向のズレを生ずる(補正手段の駆動力はロックリングの駆動力に比べて十分に大きい為にロックリング719とロックゴム726間の固着により矢印64方向にロックリングが変位しないことはない)。このズレによりロックリング719とロックゴム726間の固着を剥がすことができる。
【0103】
この補正手段の駆動方向は矢印64に限られず、図28のように矢印66方向に駆動することでロックリングを一点鎖線67まで変位させてロックリング719とロックゴム726間の固着を引き剥がしても良い。
【0104】
尚、補正手段の駆動は図26では一定方向に押し付けていたが、例えば矢印719iから一定期間交番振動させることで、ロックリング719を加振してロックゴムとの固着を剥がしても良い。又、このように補正手段を駆動してロックリングを変位させる動作はロックリング719を係止解除動作させる毎に行う必要はなく、ロックリング719が係止解除できないことを何らかの検出手段(例えばロックリングの回転角を検出するスイッチ)で検出したときのみ補正手段をロックリングの変位方向に駆動しても良い。即ち、矢印719iの時点から一定期間後にロックリング719の回転角を検出し、未だ係止状態の場合には補正手段をロックリング719の変位方向に駆動し、再びコイル720にロックリングの係止解除方向に通電するようにしても良い。これにより不要なときにも補正手段がロックリングの変位方向に駆動することにより防振の開始が遅くなるのを防いでいる。
【0105】
尚、本発明においては、前述したレンズ鏡筒を含んだ光学機器を用いて所定面(感光面)上に物体像(画像)を形成するようにしている。
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば以上のように各要素を設定することにより、レンズやプリズム等の光学素子を保持した光学保持手段、例えば防振用の光学素子を保持した光学保持手段(補正手段)を振動検出手段からの信号に基づいて光軸と直交する平面内において精度良く摺動させて振動に対する画像振れを補正する防振システムに適するときに防振機能のロック(係止)とアンロック(非係止)を円滑に行うことができるレンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器を達成することができる。
【0107】
特に本発明によれば、光学保持手段の駆動の係止と非係止を行う係止部の回動操作の回動範囲を制限部材で当接して行うときの係止部と制限部材との当接面を面対向形状とすることによりロックとアンロックを高い信頼性で行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の一部分の要部斜視図
【図2】図1の一部分の要部断面図
【図3】図2の一部分の説明図
【図4】図3の矢印79c方向から見たときの要部平面図
【図5】図1の一部分の要部斜視図
【図6】図1の一部分の要部斜視図
【図7】図1の一部分の要部平面図
【図8】図1の一部分の要部斜視図
【図9】図1の一部分の要部平面図
【図10】図1の一部分の要部平面図
【図11】図1の一部分の要部断面図
【図12】本発明の実施例1の説明図
【図13】本発明の実施例1の説明図
【図14】本発明の実施例1の要部ブロック図
【図15】従来のレンズ鏡筒の要部斜視図
【図16】本発明の実施形態1におけるロックバネとバネ力との関係を示す説明図
【図17】本発明の実施形態1におけるロックバネとロックリングの回転角との関係を示す説明図
【図18】本発明の実施形態1におけるロックバネとバネ力との関係を示す説明図
【図19】本発明の実施形態1におけるロックバネとロックリングの回転角との関係を示す説明図
【図20】本発明の実施形態2の動作タイミングフローの説明図
【図21】本発明の実施形態2におけるロックリングとロックゴムとの関係を示す説明図
【図22】本発明の実施形態2におけるロックリングとロックゴムとの関係を示す説明図
【図23】本発明の実施形態3の動作タイミングフローの説明図
【図24】本発明の実施形態4におけるロックリングとロックゴムとの関係を示す説明図
【図25】本発明の実施形態4におけるロックリングとロックゴムとの関係を示す説明図
【図26】本発明の実施形態5の動作タイミングフローの説明図
【図27】本発明の実施形態5におけるロックリングとロックゴムとの関係を示す説明図
【図28】本発明の実施形態5におけるロックリングとロックゴムとの関係を示す説明図
【符号の説明】
71 地板(支持手段)
72 第2ヨーク
73,718 永久磁石
712 第1ヨーク
719 ロックリング(係止部)
727 ヨーク
75 支持枠(光学保持手段)
726 第1の弾性部材
728 第2の弾性部材(ロックバネ)

Claims (1)

  1. 光学要素を保持して光軸と直交方向に駆動する光学保持手段を鏡筒内に固定した支持手段に駆動可能に装着し、該光学保持手段の駆動の係止と非係止を係止部の回動操作により行うと共に該係止部の回動範囲を第1の弾性部材の一部に当接させて制限しており、該係止部を係止方向に付勢する第2の弾性部材を設け、該係止部が該第1の弾性部材で移動規制される位置にあるとき、該第2の弾性部材は該係止部を係止方向に付勢しないようにしていることを特徴とするレンズ鏡筒。
JP16833196A 1996-06-07 1996-06-07 レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器 Expired - Fee Related JP3740218B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16833196A JP3740218B2 (ja) 1996-06-07 1996-06-07 レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16833196A JP3740218B2 (ja) 1996-06-07 1996-06-07 レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09329822A JPH09329822A (ja) 1997-12-22
JP3740218B2 true JP3740218B2 (ja) 2006-02-01

Family

ID=15866075

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16833196A Expired - Fee Related JP3740218B2 (ja) 1996-06-07 1996-06-07 レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3740218B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006337763A (ja) * 2005-06-02 2006-12-14 Sharp Corp レンズ保持手段
JP5258309B2 (ja) * 2008-01-18 2013-08-07 キヤノン株式会社 光学防振装置及び光学機器
JP2015118331A (ja) * 2013-12-19 2015-06-25 惠州市大亜湾永昶電子工業有限公司 レンズ駆動装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09329822A (ja) 1997-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3423564B2 (ja) 光学機器
JP3530643B2 (ja) レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器
JPH09211518A (ja) カメラ及び防振装置
JP3706661B2 (ja) レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器
JP3397536B2 (ja) 補正光学装置
JP3814363B2 (ja) カメラ
JP3740218B2 (ja) レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器
JP3805045B2 (ja) 振れ補正装置
JPH0933975A (ja) 補正光学装置
JP2004227003A (ja) 像振れ補正機能付き光学機器
JPH0961880A (ja) レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器
JP3423493B2 (ja) 補正光学装置
JP3372727B2 (ja) レンズ鏡筒及びそれを有する光学機器
JPH10213834A (ja) 像振れ補正機能付き光学機器
JPH09281538A (ja) 補正光学装置、防振装置及び防振カメラ
JP3372722B2 (ja) 光学装置
JPH1026786A (ja) レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器
JPH0961881A (ja) レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器
JPH11174514A (ja) 補正手段用位置制御装置
JP3720474B2 (ja) 振れ補正装置
JPH0980513A (ja) 接続装置及びそれを用いたレンズ鏡筒
JPH0980560A (ja) レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器
JPH10221730A (ja) 防振制御装置
JPH0961879A (ja) レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器
JPH0943661A (ja) レンズ鏡筒及びそれを用いた光学機器

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050531

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050607

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050808

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20051101

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20051107

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081111

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091111

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101111

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101111

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111111

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121111

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131111

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees