JP3372380B2 - 消音器に於けるアルミニウム系金属製の外筒と鉄系金属製の内筒との結合構造 - Google Patents

消音器に於けるアルミニウム系金属製の外筒と鉄系金属製の内筒との結合構造

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JP3372380B2 JP00245295A JP245295A JP3372380B2 JP 3372380 B2 JP3372380 B2 JP 3372380B2 JP 00245295 A JP00245295 A JP 00245295A JP 245295 A JP245295 A JP 245295A JP 3372380 B2 JP3372380 B2 JP 3372380B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム系金属製
の外筒と鉄系金属製の内筒有する消音器に関し、特に製
造の合理化をはかることが出来る結合構造に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】消音器は、外筒の内部にパンチングシー
トからなる内筒を配置すると共に外筒と内筒の間に吸音
材を介在させ、両端をキャップによって閉塞して一方の
キャップに排気ガスを導入する排気管を接続すると共に
他方のキャップに排気ガスを大気に放出する放出管を接
続して構成されるのが一般である。
【0003】消音器は適用される自動車、自動二輪の車
体の軽量化の要請から外筒をアルミニウム系の金属によ
って製造されているものが多い。然し、内筒は高温の排
気ガスに暴露されるため鉄系の金属によって製造される
のが一般である。また外筒及び内筒の端部を閉塞するキ
ャップは鉄系の金属が用いられる。
【0004】上記消音器では、鉄系金属からなるキャッ
プとアルミニウム系金属からなる外筒を溶接によって結
合することは不可能であるため、両者をカシメやリッベ
トによって結合するのが一般である(実開平3−116726
号、実開昭59-67527号等)。然し、外筒とキャップをカ
シメのみによって結合させた場合、アルミニウムと鉄の
熱膨張率の違いにより排気ガスの有する熱が消音器に伝
達されたとき、カシメ部に緩みが生じる虞がある。
【0005】このため、図4に示すように、予め鉄系金
属製の内筒52と鉄系金属製のキャップ53を溶接した部材
を構成し、この部材をアルミニウム系金属製の外筒51に
吸音材54を介在させた状態で装着すると共に、該部材の
外側からアルミニウム系金属製の補助部材55を装着し、
この補助部材55の外周を外筒51によって巻き込んでカシ
メた後、補助部材55と外筒51を溶接することで消音器を
製造している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記実開平3−116726
号に開示された技術、及び図4に示す技術では、外筒の
内部に所定に内蔵物を収容した後、略最終工程で外筒を
カシメるようにしている。このため、カシメ工程では最
終製品で且つ重量及び形状が大きい状態のものを取り扱
うこととなり、内蔵物を組み込んだ外筒を支持す装置が
大型化するという問題や、カシメ作業中に外筒に傷や凹
み等の損傷を与えることのないよう、加工時のクランプ
及び取り扱いに細心の注意をはらうことが必要となると
いう問題が生じている。
【0007】本発明の目的は、最終製品の形態でのカシ
メを行うことなく、消音器をより合理的に製造すること
が出来る消音器に於けるアルミニウム系金属製の外筒と
鉄系金属製の内筒との結合構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明に係る消音器に於けるアルミニウム系金属製の
外筒と鉄系金属製の内筒との結合構造は、アルミニウム
系金属製の外筒と、前記外筒との間に吸音材を介在させ
た鉄系金属製の内筒と、前記外筒及び内筒の下流側の端
部に配置され排気ガスを放出する放出管を貫通させる穴
と所定位置に係合部を有する鉄系金属製の第1部材と少
なくとも前記第1部材の外周と略同一形状に成形された
アルミニウム系金属製の第2部材とを積層すると共に第
2部材を外側に配置して該第2部材によって第1部材の
外周部を巻き込んでカシメることで該第1部材の係合部
に第2部材を係合させたエンドキャップとを有し、前記
内筒と前記エンドキャップの第1部材を溶接すると共に
前記外筒と第2部材を溶接したものである。
【0009】上記結合構造に於いて、係合部が突起又は
切欠き或いは孔であることが好ましい。
【0010】
【作用】上記アルミニウム系金属製の外筒と鉄系金属製
の内筒との結合構造では、エンドキャップを所定位置に
係合部を設けた鉄系金属製の第1部材とこの第1部材の
少なくとも外周部分と同一形状に成形されたアルミニウ
ム系金属製の第2部材を用い、第1部材を内側に且つ第
2部材を外側に積層して該第2部材によって第1部材の
外周を巻き込んでカシメることで第2部材を第1部材の
係合部に係合させて構成したので、該エンドキャップの
外周部分にはアルミニウム系金属製の第2部材が配置さ
れる。
【0011】このため、エンドキャップを外筒に装着し
たとき、第2部材と外筒を接触させることが出来る。従
って、予め第1部材と第2部材を巻きカシメした部品と
して製造しておくことによって、カシメ工程では重量の
小さい第1部材と第2部材を取り扱うことが可能とな
り、作業を容易とし且つエンドキャップに損傷を与える
虞が少なくすることが出来る。
【0012】また内蔵物を収容した外筒にエンドキャッ
プを結合させる際には両者を溶接することが可能とな
り、溶接工程では外筒及びエンドキャップに大きな力が
作用する虞がなく、これ等の部材に損傷を与える可能性
がない。従って、消音器を製造する工程の合理化をはか
ることが出来る。
【0013】
【実施例】以下、上記アルミニウム系金属製の外筒と鉄
系金属製の内筒との結合構造の一実施例について図を用
いて説明する。図1は本発明に係る結合構造を適用した
消音器の構成を説明する一部断面図、図2は要部を示す
断面図、図3は第1部材と第2部材に形成した係合部の
形状を示す図である。
【0014】図に於いて、消音器Aは、アルミニウム或
いはアルミニウム合金等のアルミニウム系金属からなる
外筒1と、鋼或いはステンレス鋼等の鉄系金属からなり
多数の孔を形成したパンチングシートを成形した内筒2
とを有し、前記外筒と内筒の間にグラスウール等からな
る吸音材3を介在させ、上流側の端部を図示しないエン
ジンからの排気ガスを導入する導入管を貫通させる端板
によって閉塞すると共に外筒1と一体的に構成されたフ
ロントカバー4によって被蓋し、下流側の端部を排気ガ
スを大気に放出する放出管5を貫通させるエンドキャッ
プ6によって閉塞すると共にエンドカバー7を溶接によ
り固着して構成されている。
【0015】上記消音器Aに於いて、外筒1及びエンド
キャップ6以外の部材は、従来の消音器と同様の形状と
寸法を持って形成されている。即ち、外筒1はカシメ代
は不要であり消音器Aの胴部の長さと等しい長さを持っ
て形成され、またエンドキャップ6は以下詳述するよう
に構成されている。
【0016】エンドキャップ6は、内筒2と同一の材料
(鉄系金属)からなるシートを成形した第1部材8と、
外筒1と同一の材料(アルミニウム系金属)からなるシ
ートを成形した第2部材9を有し、第1部材8を内側に
配置すると共に第2部材9を外側に配置して両部材8,
9の外周部をカシメることで一体化させたエンドキャッ
プ6を構成している。
【0017】第1部材8は、鉄系金属からなるブランク
シートをプレス加工することで、略中央に放出管5を貫
通させる突起状穴部8aが形成され、底部8bの周囲が
内筒2と接触し得る形状に成形され、更に、外周部8c
が外筒1の内周形状に対応した形状に成形されており、
全体が底部8bから中央に突起状穴部8aを起立させる
と共に外周部8cを起立させたリング状の形状に成形さ
れている。
【0018】第1部材8の外周部8cは第2部材9との
カシメ代を持って形成されている。また第1部材8の所
定位置となる外周部8cの先端には、図3に示すよう
に、所定のピッチで突起又は切欠き或いは孔が形成され
ている。これ等の突起,切欠き,孔等は係合部10となる
ものであり、外周部8cに第2部材9を重ね合わせてカ
シメたとき、作用するカシメ力に応じて第2部材9の材
料であるアルミニウム系金属が係合部10に入り込み、第
1部材8と第2部材9を強固に結合させる機能を有す
る。
【0019】エンドキャップ6を外筒1,内筒2に装着
する際に第2部材9は第1部材8の外側に配置される。
即ち、第2部材9は第1部材8の底部8b及び外周部8
cの内面側に配置される。第2部材9は、アルミニウム
系金属からなるブランクシートをプレス加工することに
よって、少なくとも第1部材8の外周部8cに沿った形
状に成形されており、外周部9aは第1部材8とのカシ
メ代を持って形成されている。
【0020】第1部材8と第2部材9をカシメてエンド
キャップ6を構成する手順について説明する。予め所定
の形状に成形された第1部材8と第2部材9を重ね合わ
せ、両者の外周部8c,9aを重ね合わせた状態で外方
に折り曲げて第2部材9の外周部9aによって第1部材
8の外周部8cを包み込み、この状態を維持してカシメ
ることで第1部材8と第2部材9を一体化させてエンド
キャップ6を構成する。
【0021】上記の如くして構成されたエンドキャップ
6は、外筒1に装着されたとき、該外筒1と接触する外
周部分にはアルミニウム系金属からなる第2部材9が露
出し、内筒2と接触する部分は鉄系金属からなる第1部
材8が露出する。
【0022】従って、消音器Aを構成する際には、予め
エンドキャップ6の第1部材8に内筒2を溶接してお
き、これ等の内筒2とエンドキャップ6を同時に外筒1
に装着することで、消音器Aの下流側の端部を閉塞する
ことが可能である。そしてエンドキャップ6の外周部を
外筒1の端部に一致させると共に該一致部位にアルミニ
ウム系金属製のエンドカバー7を当接させ、三者を同時
に溶接することで、消音器Aを構成することが可能であ
る。
【0023】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明に係る
アルミニウム系金属製の外筒と鉄系金属製の内筒との結
合構造では、エンドキャップを所定位置に係合部を設け
鉄系金属製の第1部材とこの第1部材の少なくとも外
周部分と同一形状に成形されたアルミニウム系金属製の
第2部材を用い、第1部材を内側に且つ第2部材を外側
に積層して該第2部材によって第1部材の外周を巻き込
んでカシメることで第2部材を第1部材の係合部に係合
させて構成したので、エンドキャップの外周部分にはア
ルミニウム系金属製の第2部材が配置され、該エンドキ
ャップを外筒に装着したとき、第2部材と外筒を接触さ
せることが出来る。このため、外筒とエンドキャップと
の結合を溶接によって実施することが出来る。
【0024】従って、予め第1部材と第2部材を巻きカ
シメした部品として製造しておくことによって、従来の
如く略最終製品としての消音器をカシメる工程を削除す
ることが可能となり、外筒の損傷を与えることがない。
またカシメ工程では重量の小さい第1部材と第2部材を
取り扱うことが可能となり、作業を容易とし且つエンド
キャップに損傷を与える虞が少なくすることが出来る。
【0025】また第1部材の第2部材との巻きカシメ部
位に対応する位置に突起や切欠き或いは孔からなる係合
部を形成しておくことで、カシメ作業を実施したときに
作用するカシメ力によって第2部材の母材が係合部に入
り込み、両者を強固に係合することが出来る。このた
め、消音器に排気ガスの熱が伝達され、エンドキャップ
を構成する第1部材と第2部材との間に熱膨張率の違い
による相対的なズレが生じようとしても、このズレを拘
束することが可能となり、安定した結合状態を維持する
ことが出来る等の特徴を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る結合構造を適用した消音器の構成
を説明する一部断面図である。
【図2】結合構造の要部を示す断面図である。
【図3】第1部材と第2部材に形成した係合部の形状を
示す図である。
【図4】従来の結合構造を説明する図である。
【符号の説明】
A 消音器 1 外筒 2 内筒 3 吸音材 5 放出管 6 エンドキャップ 7 エンドカバー 8 第1部材 8a 突起状穴部 8b 底部 8c,9a 外周部 9 第2部材 10 係合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平1−158514(JP,U) 実開 昭63−125126(JP,U) 実開 昭63−170090(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01N 7/18 F01N 1/10 F01N 7/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム系金属製の外筒と、前記外
    筒との間に吸音材を介在させた鉄系金属製の内筒と、前
    記外筒及び内筒の下流側の端部に配置され排気ガスを放
    出する放出管を貫通させる穴と所定位置に係合部を有す
    る鉄系金属製の第1部材と少なくとも前記第1部材の外
    周と略同一形状に成形されたアルミニウム系金属製の第
    2部材とを積層すると共に第2部材を外側に配置して該
    第2部材によって第1部材の外周部を巻き込んでカシメ
    ることで該第1部材の係合部に第2部材を係合させた
    ンドキャップとを有し、前記内筒と前記エンドキャップ
    の第1部材を溶接すると共に前記外筒と第2部材を溶接
    したことを特徴とした消音器に於けるアルミニウム系金
    属製の外筒と鉄系金属製の内筒との結合構造。
  2. 【請求項2】 前記係合部が突起又は切欠き或いは孔で
    あることを特徴とする請求項1に記載した消音器に於け
    るアルミニウム系金属製の外筒と鉄系金属製の内筒との
    結合構造。
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