JP3370213B2 - 一液形エポキシ樹脂組成物、一液形防食塗料組成物及びこれらを用いた被覆方法 - Google Patents

一液形エポキシ樹脂組成物、一液形防食塗料組成物及びこれらを用いた被覆方法

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JP3370213B2
JP3370213B2 JP21428195A JP21428195A JP3370213B2 JP 3370213 B2 JP3370213 B2 JP 3370213B2 JP 21428195 A JP21428195 A JP 21428195A JP 21428195 A JP21428195 A JP 21428195A JP 3370213 B2 JP3370213 B2 JP 3370213B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に付着性、乾燥性に
優れた被膜を形成でき、さらに貯蔵安定性に優れた一液
形エポキシ樹脂組成物及びこれを用いた被覆方法に関す
る。
【0002】
【従来技術】従来よりエポキシ樹脂組成物は、各種特
性、特に接着力に優れるため、塗料をはじめ、シ−ル
剤、接着剤等の各分野に適用されている。しかしながら
通常使用されるエポキシ樹脂組成物は、そのほとんどが
主剤と硬化剤とからなる2液形であり、混合後すぐに硬
化反応が進むため使用可能な時間が極めて短く、作業性
に問題があった。
【0003】このため可使時間を長くする方法として、
例えばブロックイソシアネ−ト変性エポキシ樹脂などの
潜在性硬化剤を使用する方法などがあるが、該硬化剤は
本来加熱硬化形であり、常温乾燥用としては実用上満足
できるものではない。また本出願人は特公昭62−32
231号公報に示すようにエポキシ樹脂、ケチミン化合
物及び脱水剤を併用する方法を提案した。しかしながら
該方法では、可使時間は長くなったものの、乾燥性が低
下し被膜の硬化が極端に遅くなるという欠点があった。
【0004】一方、硬化剤を使用しない常温乾燥性を有
する一液形エポキシ樹脂組成物の適用も検討されてお
り、例えばエポキシ・エステル樹脂などがあるが、該樹
脂は、空気酸化型で厚膜塗装であると膜内部が乾燥しな
いうちに膜表面が乾燥するため、残存溶剤による中うみ
が発生しやすく、さらに2液形に比べて耐溶剤性が劣り
上塗によってチジミが発生する、上塗できる樹脂に選択
性があるなど適用用途に制限があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、エポ
キシ樹脂、ケチミン化合物を含有する硬化性樹脂組成物
として貯蔵安定性、作業性に優れ、さらに乾燥性、上塗
適性、付着性等の優れた被膜を形成しうる一液形エポキ
シ樹脂組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、エポキシ樹脂及びケチミン化合物を含有する
組成物に変性エポキシ樹脂及び/又は石油系樹脂を配合
することにより上記目的に到達した。
【0007】すなわち本発明は、(A)1分子中にエポ
キシ基を2個以上含有するエポキシ樹脂、(B)ケチミ
ン化合物、(C)脱水剤、及び(D)エポキシ樹脂のア
ミン付加物にポリイソシアネ−ト化合物あるいはモノイ
ソシアネ−ト化合物を反応せしめてなるウレタン変性エ
ポキシ樹脂を含有することを特徴とする一液形エポキシ
樹脂組成物、(A)1分子中にエポキシ基を2個以上含
有するエポキシ樹脂、(B)ケチミン化合物、(C)脱
水剤、(D)エポキシ樹脂のアミン付加物にポリイソシ
アネ−ト化合物あるいはモノイソシアネ−ト化合物を反
応せしめてなるウレタン変性エポキシ樹脂、及び(E)
亜鉛粉を含有し、該亜鉛粉(E)の含有量が塗膜の加熱
残分中に20〜95重量%含まれる量であることを特徴
とする一液形防食塗料組成物、及び基材表面に下塗後、
上塗塗装する方法において、該下塗組成物として上記一
液形エポキシ樹脂組成物又は一液形防食塗料組成物を用
いることを特徴とする被覆方法に関するものである。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明において使用されるエポキシ樹脂
(A)は、1分子中にエポキシ基を2個以上、好ましく
は2〜5個含有するエポキシ樹脂であり、さらにこれら
のエポキシ基を含む有機残基の炭酸鎖、又は酸素原子で
中断された炭酸鎖により結合されている、数平均分子量
が約350〜3000、エポキシ当量が約80〜100
0のものが好適である。
【0010】該エポキシ樹脂(A)の例としては、多価
アルコ−ル、多価フェノ−ルなどと過剰のエピクロルヒ
ドリン又はアルキレンオキシドとを反応させて得られる
エポキシ樹脂を挙げることができる。多価アルコ−ルの
例としては、エチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ
−ル、プロピレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−
ル、ブチレングリコ−ル、ヘキサンジオ−ル、グリセリ
ン、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、
ペンタエリスリト−ル、ジグリセロ−ル、ソルビト−ル
等があり、多価フェノ−ルの例としては、2、2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノ−ル
A]、ハロゲン化ビスフェノ−ルA、4、4−ジヒドロ
キシフェニルメタン[ビスフェノ−ルF]、トリス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、レゾルシン、テトラ
ヒドロキシフェニルエタン、ノボラック形多価フェノ−
ル、クレゾ−ル形多価フェノ−ルなどが挙げられる。こ
れら以外のエポキシ樹脂の例としては、1、2、3−ト
リス(2、3−エポキシプロポキシ)プロパン、フタル
酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸グリシ
ジルエステル、テトラヒドロフタル酸グリシジルエステ
ル、ダイマ−酸グリシジルエステル、テトラグリシジル
アミノジフェニルメタン、3,4−エポキシ−6−メチ
ルシクロヘキシルメチルカルボキシレ−ト、トリグリシ
ジルイソシアヌレ−ト、3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチルカルボキシレ−ト、ポリプロピレングリコ−ル
グリシジルエ−テルなどが挙げられる。
【0011】本発明において使用されるケチミン化合物
(B)は、上記エポキシ樹脂(A)の硬化剤であり、カ
ルボニル化合物でブロックされた第1級アミノ基を1分
子中に少なくとも1個有するポリアミン化合物である。
この「カルボニル化合物でブロックされた第1級アミノ
基」は、例えば水分の存在によって容易に加水分解して
遊離の第1級アミノ基に変わりうる保護アミノ基であ
り、典型的には、下記式(I)
【0012】
【化1】
【0013】(式中、R1 は水素原子またはアルキル
基、シクロアルキル基等の1価の炭化水素基を表わし、
2 はアルキル基、シクロアルキル基等の1価の炭化水
素基を表わす。)で示すことができる。
【0014】上記ポリアミン化合物は、脂肪族系、脂環
族系及び芳香族系のいずれであってもよい。該ポリアミ
ン化合物は、エポキシ樹脂と硬化反応を行なう第1級ア
ミノ基を有することが必要であるが、一般に約2000
以下、好ましくは約30〜約1000の範囲内の第1級
アミノ基当量を持つことが有利である。また、該ポリア
ミン化合物は一般に約5000以下、好ましくは約30
00以下の範囲内の数平均分子量を有することが好適で
ある。
【0015】該ポリアミン化合物としては、エチレンジ
アミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチ
レンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミンなどの脂肪
族ポリアミン類;キシリレンジアミン、ジアミノジフェ
ニルメタン、フェニレンジアミンなどの芳香族ポリアミ
ン類;イソホロンジアミン、シクロヘキシルプロピルア
ミンなどの脂環族ポリアミン類;分子末端に少なくとも
1個の第1級アミノ基を有するポリアミド類等が挙げら
れる。
【0016】前記ポリアミン化合物の中でも分子中に第
2級アミノ基を含有しない、即ちケチミン化された第1
級アミノ基のみを有するポリアミン化合物が、エポキシ
樹脂と混合後の貯蔵安定性が良いことから特に好適であ
る。このため分子中に第2級アミノ基を有するケチミン
化合物を使用する場合、第2級アミノ基を前記したエポ
キシ樹脂と反応させたアダクト化合物として使用するこ
とが望ましい。
【0017】前記ポリアミン化合物をケチミン化するた
めに使用し得る化合物としては、通常用いられる任意の
ケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキ
サノン等が挙げられる。なお、本発明におけるケチミン
化合物には、ポリアミン化合物をアセトアルデヒド、ベ
ンゾアルデヒドなどのアルデヒドによるアルジミン化し
たものも含有される。ポリアミン化合物とこれらケトン
との反応は、それ自体公知の方法によって行なうことが
でき、その際存在する第1級アミノ基の実質的にすべて
が該ケトン類と反応するような量的割合及び反応条件を
用いることが望ましく、該反応(脱水反応)を容易に進
行させるためメチルイソブチルケトン、メチルエチルケ
トンのような水溶性に乏しく且つ立体障害の小さいケト
ン類を使用することが一般に有利である。
【0018】上記ケチミン化合物(B)の配合割合は、
前記エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基1当量に対して
ケチミン化合物の活性水素が0.5〜5.0当量、好ま
しくは0.6〜3.0当量になるような割合で用いるの
が望ましい。0.5当量より少ない場合には硬化が不十
分となり、5.0当量より多い場合には硬化塗膜に粘着
が残り、防食性に問題を生じることがあるので望ましく
ない。
【0019】本発明において使用される脱水剤(C)
は、特に制限なく従来公知のものが使用可能であり、代
表例として以下のものが挙げられる。
【0020】粉末状で多孔性に富んだ金属酸化物又は
炭化物質;例えば、合成シリカ、活性アルミナ、ゼオラ
イト及び活性炭など。
【0021】CaSO4 、CaSO4 ・1/2H
2 O、CaOなどの組成を有するカルシウム化合物類;
例えば、焼石膏、可溶性石膏及び生石灰など。
【0022】金属アルコキシド類;例えば、アルミニ
ウムイソプロピレ−ト、アルミニウム−secブチレ−
ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチ
ルチタネ−ト、ジルコニウム−2−プロピレ−ト、ジル
コニウム−n−ブチレ−ト、エチルシリケ−トなど。
【0023】有機アルコキシ化合物類;例えば、オル
トギ酸メチル、オルトギ酸エチル、ジメトキシプロパン
など。
【0024】単官能イソシアネ−ト類;例えば、メチ
ルイソシアネ−ト、エチルイソシアネ−ト、プロピルイ
ソシアネ−ト、アディティブTI(住友バイエルウレタ
ン社製)など。
【0025】これら脱水剤は単独又は2種以上併用する
ことができる。該脱水剤(C)の使用量は、組成物中に
含まれる水分量及び脱水剤の吸収、吸着能、又は反応性
によって異なるが、一般的には組成物の重量を基準にし
て0.2〜25重量%、好ましくは0.5〜15重量%
が適当である。該使用量が0.2重量%未満の場合は十
分な貯蔵安定性が得られず、一方25重量%を越えると
塗膜性能に悪影響を及ぼす恐れがあるので望ましくな
い。
【0026】本発明ではさらに(D)成分として、変性
エポキシ樹脂(d−1)及び/又はキシレン樹脂、トル
エン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂、石油樹脂から選
ばれる常温で固形である樹脂(d−2)を含有する。特
に変性エポキシ樹脂(d−1)を使用することが、各種
素材(鉄、非鉄金属、非金属)への付着性が向上するの
で好適である。
【0027】該変性エポキシ樹脂(d−1)は、硬化に
関与しない樹脂であり、例えばウレタン変性エポキシ樹
脂、アミン変性エポキシ樹脂、ダイマ−酸変性エポキシ
樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが望
ましい。
【0028】このうちウレタン変性エポキシ樹脂を
(D)成分として使用することが必須であり、該ウレタ
ン変性エポキシ樹脂としては、例えばエポキシ樹脂にア
ミン類を反応させてなるアミン付加エポキシ樹脂にポリ
イソシアネ−ト化合物あるいはモノイソシアネ−ト化合
物を反応せしめたものが挙げられる。エポキシ樹脂とし
ては前記エポキシ樹脂(A)と同様のものが使用でき、
アミン類としては、アルカノ−ルアミン類、脂肪族アミ
ン類、芳香族アミン類、脂環族アミン類などが使用でき
る。ポリイソシアネ−ト化合物としては従来公知の脂肪
族、芳香族または脂環族のポリイソシアネ−ト化合物な
どが使用でき、モノイソシアネ−ト化合物としては、脂
肪族モノアミンまたは芳香族モノアミンにホスゲンを反
応させたものや、ジイソシアネ−ト化合物の一方のイソ
シアネ−ト基に水酸基含有化合物を反応させたものなど
が使用できる。
【0029】該ウレタン変性エポキシ樹脂は数平均分子
量が1000〜65000、好ましくは2000〜25
000の範囲とするのが好適である。かかる分子量が1
000未満では付着性、耐水性が低下し、一方6500
0を越えると高粘度化し作業性、貯蔵安定性に悪影響を
及ぼす場合があるので好ましくない。
【0030】該変性エポキシ樹脂(d−1)を使用する
場合の配合割合は、樹脂固形分比で前記エポキシ樹脂
(A)100重量部に対して、5〜95重量部、好まし
くは10〜90重量部が好適である。該樹脂(d−1)
の配合割合が5重量部未満では乾燥性が劣り、一方95
重量部を越えると補修時の塗り重ね性に劣る場合がある
ので好ましくない。
【0031】一方、前記樹脂(d−2)は、キシレン樹
脂、トルエン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂、石油樹
脂から選ばれる樹脂であり、常温で固形で、融点が60
℃以上、好ましくは70〜140℃である。これらは1
種または2種以上併用して使用できる。
【0032】該樹脂(d−2)を使用する場合の配合割
合は、樹脂固形分比で前記エポキシ樹脂(A)100重
量部に対して、5〜70重量部、好ましくは10〜50
重量部が好適である。該樹脂(d−2)の配合割合が5
重量部未満では乾燥性が劣り、一方70重量部を越える
と補修時の塗り重ね性に劣ったり、塗膜性能に悪影響を
及ぼすので好ましくない。
【0033】本発明組成物は、上記(A)〜(D)成分
を含有するものであり、被塗面が金属素材である場合に
は高防食性付与の点から、さらに亜鉛粉(E)を含有す
る塗料組成物を提供するものである。また亜鉛粉(E)
には、例えばアルミニウム粉等の他の金属粉を併用して
使用できる。
【0034】該亜鉛粉としては、通常ジンクリッチペイ
ント、ジンクリッチプライマ−に使用されている金属亜
鉛粉や金属亜鉛合金粉等が挙げられ、特に金属亜鉛粉が
好適である。亜鉛粉は、通常1〜10μmの粒径を有す
る球状のものが適当であり、その配合量は、通常、塗膜
の加熱残分中に20〜95重量%、好ましくは70〜9
0重量%含まれる量である。かかる量が20重量%未満
では目的とする防食性が得られず、一方95重量%を越
えると貯蔵安定性や造膜性等に悪影響を及ぼすので好ま
しくない。
【0035】また暴露後の白錆の発生を抑制する場合に
は、亜鉛粉にアルミニウム粉を併用するのが適当であ
る。該アルミニウム粉としては通常1〜150μmの大
きさを有する燐片状のものが適当であり、リ−フィング
タイプ、ノンリ−フィングタイプのいづれであってもよ
い。該アルミニウム粉を配合する場合には、塗膜の加熱
残分中に1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%含
まれるよう配合することが望ましい。
【0036】また本発明組成物には、溶剤を配合するこ
とができ、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチ
ル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類;
エチルアルコ−ル、プロピルアルコ−ル、ブチルアルコ
−ル等のアルコ−ル類など従来公知の溶剤が使用でき
る。
【0037】本発明組成物には、さらに必要に応じて着
色顔料、体質顔料、防錆顔料等の顔料類;増粘剤、可塑
剤、充填剤、分散剤等の添加剤などを混練して使用して
もよい。
【0038】このようにして得られた本発明組成物は、
塗料、シ−リング剤などとして用いることができ、金属
(鉄、アルミ、亜鉛等)、木材、プラスチック、石材、
スレ−ト、コンクリ−ト、モルタルなどの素材面又は該
素材上の旧塗膜面その他の基材表面に塗装できる。塗装
方法としては、ハケ塗り、スプレ−塗装、各種コ−タ−
塗装等の一般的な方法を用いることができる。
【0039】本発明組成物の塗布量は、特に限定される
ものではないが、一般にはクリヤ−では乾燥膜厚で約5
〜80μm、好ましくは約10〜50μm、エナメルで
は乾燥膜厚で約10〜150μm、好ましくは約25〜
120μmが適当である。
【0040】さらに本発明においては、上記組成物を下
塗組成物として用いて基材表面に下塗後、上塗塗装する
ことができる。
【0041】上塗塗装としては、特に制限なく通常の上
塗組成物が使用でき、例えばアルキド樹脂系、塩化ゴム
系、エポキシ樹脂系、シリコンアルキド樹脂系、ウレタ
ン樹脂系、シリコンアクリル樹脂系、フッ素樹脂系など
が使用できる。
【0042】
【作用及び発明の効果】本発明のエポキシ樹脂組成物
は、基材に塗装されると、硬化剤のケチミン化合物
(B)が錆層及び空気中の水分によって徐々に加水分解
されて第1級アミノ基を再現し、エポキシ樹脂(A)中
のエポキシ基と反応することによって硬化し、優れた防
食性を発揮する。さらに硬化に関与しない変性エポキシ
樹脂など(D)成分により乾燥性が向上するものであ
る。該変性エポキシ樹脂は、それのみでも成膜可能であ
るが、耐溶剤性が不十分なため塗り重ね(補修)性に劣
り、例えば塗り替えの頻繁な建設塗装分野では適用でき
ない。本発明においては(A)〜(D)成分をすべて含
有することにより優れた性能が得られるのである。
【0043】従って本発明のエポキシ樹脂組成物は、良
好な貯蔵安定性を有し、一液形なので作業性に優れ、し
かも付着性、乾燥性、補修性、上塗適性等に優れるので
特に下塗り塗料やシ−リング剤用途に好適である。さら
に亜鉛粉(E)を含有する本発明の防食塗料組成物は、
非常に防食性に優れた塗膜を形成でき、鋼材用下塗り塗
料として特に有用である。
【0044】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示
す。
【0045】実施例1 2リットル容器に、エポキシ樹脂液A(注1)100
部、ウレタン変性エポキシ樹脂液(注2)175部、脱
水剤としてビニルトリメトキシシラン0.5部、キシレ
ン54部、メチルイソブチルケトン36部及びケチミン
(注3)10部を順次仕込みディスパ−で混合・攪拌し
て樹脂組成物(クリヤ−)を得た。
【0046】(注1)「エピコ−ト1001」(油化シ
ェル化学社製、固形状)の70%トルエン溶液 (注2)「アラキ−ド9203」(荒川化学社製、固形
分40%、アミン付加エポキシ樹脂のジイソシアネ−ト
反応物) (注3)「バ−サミンK−13」(ヘンケル白水社製、
ポリエチレンポリアミンのケチミンで2級アミノ基をエ
ポキシアダクトしたもの) (注4)「エピコ−ト828」(油化シェル化学社製、
液状) (注5)「ネオポリマ−140」(日本石油社製、固形
分70%、石油樹脂) 実施例2〜5及び比較例1〜5 実施例1と同様の操作で表1に示す組成及び配合量で各
組成物を得た。
【0047】実施例6 2リットル容器に、エポキシ樹脂液A(注1)100
部、ウレタン変性エポキシ樹脂液(注2)175部、ビ
ニルトリメトキシシラン30部、ケイ酸マグネシウム3
75部、二酸化チタン110部、キシレン106部及び
メチルイソブチルケトン71部を順次仕込みディスパ−
で混合しサンドミルにて分散(JIS K−5400分
散度A法60μ以下)した後、ケチミン(注3)10部
を後添加しディスパ−で混合・攪拌して樹脂組成物(エ
ナメル)を得た。
【0048】実施例7〜9及び比較例6〜9 実施例6と同様の操作で表2に示す組成及び配合量で各
組成物を得た。
【0049】以上のとおり得られた実施例1〜9及び比
較例1〜9の組成物を下記に示す性能試験に供し評価し
た。結果を表1及び表2に示す。
【0050】(*1)乾燥性:上記組成物を隙間100
μmのフィルムアプリケ−タ−で0.8×70×150
mmのブリキ板上に塗布し各試験塗板を2枚づつ作成
し、5℃及び20℃で65%RHの雰囲気中にそれぞれ
置き、塗膜表面が半硬化の状態に至るまでの時間を指触
により評価した(◎:8時間以内、○:16時間以内、
◇:24時間以内、△:48時間以内、×:48時間を
越える)。
【0051】(*2)貯蔵安定性:上記組成物を1リッ
トルの丸缶に800g採取・密封して、40℃、1ケ月
間放置後の状態を観察した(○:異常なし、△:増粘又
は沈降、×:ゲル化)。
【0052】(*3)付着性:基材として冷間圧延鋼板
(JIS G−3141)、溶融亜鉛メッキ鋼板(JI
S G−3141 SPCC−SD)、アルミ板(JI
S H−4000 5052P)、モルタル板(JIS
R−5201)の4種を使用して、上記組成物を隙間
100μmのフィルムアプリケ−タ−で0.8×70×
150mmの各基材(但しモルタル板は10×100×
200mm)上にそれぞれ塗布し、20℃・65%RH
の雰囲気で7日間乾燥して各試験塗板を作成した。これ
らの試験塗板を耐湿試験機(50℃、相対湿度95%以
上)に240時間入れた後、取り出した直後にJIS
K−5400に準じてクロスカット〜セロテ−プ付着試
験を行なった(○:異常なし、△:部分的に剥がれあ
り、×:全面に剥がれあり)。
【0053】(*4)防食性:上記組成物を隙間100
μmのフィルムアプリケ−タ−で0.8×70×150
mmの磨き鋼板上に塗布し、20℃・65%RHの雰囲
気で7日間乾燥して各試験塗板を作成し、これらの塗面
上にナイフでクロスカットキズを入れた。該試験塗板を
35℃で240時間塩水噴霧試験に供し、錆・フクレの
発生を観察した(○:異常なし、△:部分的に錆・フク
レ発生、×:全面に錆・フクレ発生)。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】実施例10〜13 上記実施例1の組成物を10×100×200mmのモ
ルタル板上に刷毛で乾燥膜厚で約30μmとなるように
塗布し20℃×65%RHの雰囲気で24時間乾燥した
後、この上に表3に示す各上塗塗料を刷毛で乾燥膜厚で
約30μmとなるように塗布し20℃×65%RHの雰
囲気で7日間乾燥して各塗装板を得た。得られた各塗装
板についてJIS K−5400に準じてクロスカット
〜セロテ−プ付着試験を行なった(○:異常なし、△:
部分的に剥がれあり、×:全面に剥がれあり)。結果を
表3に示す。
【0057】実施例14〜17及び比較例10〜13 実施例10において下塗及び上塗塗料を表3に示す組合
せとする以外は実施例10と同様にして各塗装板を得
た。得られた各塗装板について上記と同様の評価をし
た。
【0058】実施例18〜22 上記実施例6の組成物を0.8×175×150mmの
鋼板上に刷毛で乾燥膜厚で約50μmとなるように塗布
し20℃×65%RHの雰囲気で24時間乾燥した後、
この上に表4に示す各上塗塗料を刷毛で乾燥膜厚で約3
0μmとなるように塗布し20℃×65%RHの雰囲気
で7日間乾燥して各塗装板を得た。得られた各塗装板に
ついて上記と同様の評価をした。結果を表4に示す。
【0059】比較例14〜23 実施例18において下塗及び上塗塗料を表4に示す組合
せとする以外は実施例18と同様にして各塗装板を得
た。得られた各塗装板について上記と同様の評価をし
た。
【0060】さらに上記実施例10〜22及び比較例1
0〜23について、塗り重ね適合性試験(*5)を行な
った。結果を表3及び表4に合わせて示す。
【0061】(*5)塗り重ね適合性(補修性) 上記各実施例及び比較例の上塗塗装後の乾燥時間を24
時間として得られた各塗装板について、該塗面上にナイ
フで素地に達するようにクロスカットキズを入れ、この
上に各下塗組成物を再度に塗り重ねた後、該塗面の状態
を観察した(○:異常なし、△:部分的にチヂミ発生、
×:全面にチヂミ発生)。
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】実施例23〜28及び比較例24〜26 実施例6と同様の操作で表5に示す組成及び配合量で各
組成物(ジンクリッチペイント)を得た。表中の(注
6)〜(注8)は下記の通りである。
【0065】(注6)「アルミペ−スト#50−63
5」(東洋アルミニウム社製) (注7)「タ−レン7200−20」(共栄社油脂化学
工業社製) (注8)「ト−マイド225X」(富士化成工業社製) 得られた各組成物について貯蔵安定性及び下記に示す防
食試験に供し評価した。結果を表5に示す。
【0066】(*6)防食性:上記組成物をキシレンで
外割りで15%分希釈した後、エアスプレ−で鋼板上に
乾燥膜厚が50μmになるよう塗装し、20℃・65%
RHの雰囲気で7日間乾燥して各試験塗板を作成した。
鋼板としては、1種ケレン(サンドブラスト処理鋼板
ISO Sa2.5)及び2種ケレン(電動工具処理鋼
板 ISO St3)の処理をした鋼板を使用した。各
試験塗板の塗面上にナイフでクロスカットキズを入れ
た。該試験塗板を35℃で2000時間塩水噴霧試験に
供し、赤錆の発生を観察した(○:異常なし、△:部分
的に赤錆発生、×:全面に赤錆発生)。また同時に白錆
の発生も観察した。
【0067】(*7)付着性(上塗適性):上記組成物
をキシレンで外割りで15%分希釈した後、エアスプレ
−でサンドブラスト処理鋼板上に乾燥膜厚が50μmに
なるよう塗装し、20℃・65%RHの雰囲気で24時
間乾燥した後、「エポマリン上塗」(関西ペイント社
製、エポキシ樹脂系溶剤型上塗塗料)を刷毛で乾燥膜厚
で約30μmとなるように塗布し20℃×65%RHの
雰囲気で7日間乾燥して各塗装板を得た。得られた各塗
装板についてJIS K−5400に準じてクロスカッ
ト〜セロテ−プ付着試験を行なった(○:異常なし、
△:部分的に剥がれあり、×:全面に剥がれあり)。
【0068】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−132541(JP,A) 特開 昭54−43259(JP,A) 特開 昭53−133290(JP,A) 特開 昭60−260620(JP,A) 特開 昭56−141366(JP,A) 特公 昭62−32231(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 59/50 B05D 7/24 302 C08L 63/00 - 63/10 C09D 163/00 - 163/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)1分子中にエポキシ基を2個以上含
    有するエポキシ樹脂、(B)ケチミン化合物、(C)脱
    水剤、及び(D)エポキシ樹脂のアミン付加物にポリイ
    ソシアネ−ト化合物あるいはモノイソシアネ−ト化合物
    を反応せしめてなるウレタン変性エポキシ樹脂を含有す
    ることを特徴とする一液形エポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)1分子中にエポキシ基を2個以上含
    有するエポキシ樹脂、(B)ケチミン化合物、(C)脱
    水剤、(D)エポキシ樹脂のアミン付加物にポリイソシ
    アネ−ト化合物あるいはモノイソシアネ−ト化合物を反
    応せしめてなるウレタン変性エポキシ樹脂、及び(E)
    亜鉛粉を含有し、該亜鉛粉(E)の含有量が塗膜の加熱
    残分中に20〜95重量%含まれる量であることを特徴
    とする一液形防食塗料組成物。
  3. 【請求項3】基材表面に下塗後、上塗塗装する方法にお
    いて、該下塗組成物として請求項1又は2記載の組成物
    を用いることを特徴とする被覆方法。
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