JP3370037B2 - 多導体送電線のコロナ騒音低減装置 - Google Patents

多導体送電線のコロナ騒音低減装置

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JP3370037B2
JP3370037B2 JP2000044729A JP2000044729A JP3370037B2 JP 3370037 B2 JP3370037 B2 JP 3370037B2 JP 2000044729 A JP2000044729 A JP 2000044729A JP 2000044729 A JP2000044729 A JP 2000044729A JP 3370037 B2 JP3370037 B2 JP 3370037B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、降雨時における多
導体送電線のコロナ騒音を低減する装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】多導体送電線では、降雨時に大地側の2
導体から垂れ下がる水滴によってコロナ騒音が発生す
る。このコロナ騒音を低減する手段としては、多導体送
電線の大地側2本の導体の間の下部に導体と同程度の太
さの添線を添架するとよいことが知られている。
【0003】このようなコロナ騒音低減装置において、
添線を添架する区間が長く、その区間内に懸垂鉄塔が含
まれている場合には、特開平3−117315号公報に
示されているように、多導体送電線の大地側2導体を支
持する懸垂ヨークの中間に添線用の懸垂クランプを取り
付け、この懸垂クランプに添線を支持させていた。つま
り添線は懸垂支持部を通過するように添架されていた。
また添線は、径間内では適当な間隔毎に、大地側2導体
と添線を把持するスペーサによって支持されていた。
【0004】上記構成のコロナ騒音低減装置では、添線
に多導体送電線に流れるべき電流が分流すると、多導体
送電線の個々の導体に前記スペーサを介してアンバラン
スな電流が流れ、スペーサを過熱させることがある。こ
のため従来は、添線と大地側2導体とを電気的に絶縁し
て、添線に電流が流れないようにしている。具体的に
は、添線の端部は碍子を介して耐張ヨークに引き留める
構造とし、スペーサは添線又は大地側2導体をゴムカラ
ーを介して把持する構造としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし添線を添架する
距離が長い場合(コロナ騒音対策区間が長い場合)に
は、添線に添架距離に比例した高い静電誘導電圧が誘起
される。その結果、スペーサのゴムカラーが絶縁破壊さ
れて、添線に電流が分流してしまうという問題が起こり
得る。
【0006】添線に誘起される静電誘導電圧を低く抑え
るためには、添線の長さを短くすることが有効である。
例えば特開平6−165354号公報図12及び図13
に示されるように、添線の長さを径間長より十分短くし
て添線の両端に引留クランプを取り付け、一方の引留ク
ランプを碍子を介して大地側2導体を把持するスペーサ
に引き留め、他方の引留クランプを大地側2導体を把持
するスペーサに直接引き留めるというようにして、短い
添線を碍子を介して直列に連結して行くことが考えられ
る。
【0007】しかしこの構造では、添線1ループ(1つ
のたるみ)につき2つの引留クランプが必要であり、引
留クランプの使用個数が多くなって重量が増加するた
め、鉄塔強度に影響を与えるおそれがある。また1つの
添線の弛度を適正に調整しようとしてスペーサを移動さ
せると、そのスペーサに引き留められている隣の添線の
弛度が変化してしまうため、全体としての弛度調整が非
常に面倒であるという問題もある。
【0008】本発明の目的は、添線を添架する距離が長
く、途中に懸垂鉄塔を含む場合でも、添線に誘起される
静電誘導電圧を低く抑えられるコロナ騒音低減装置を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の目的を
達成するため、多導体送電線の大地側2導体の間の下部
に添線を添架してなる多導体送電線のコロナ騒音低減装
置において、前記添線を多導体送電線の懸垂支持部にお
いて分断し、分断された添線の端部を碍子を介して多導
体送電線の懸垂支持部に支持させたことを特徴とするも
のである。
【0010】このコロナ騒音低減装置は、より具体的に
は、多導体送電線の大地側2導体を支持する懸垂ヨーク
の中間に直角クレビスを取り付け、この直角クレビスに
下端が大地側2導体より下に位置する長い直角クレビス
リンクを線路方向に揺動可能に取り付け、この長い直角
クレビスリンクに短い直角クレビスリンクを取り付け、
この短い直角クレビスリンクに添線支持ヨークを両端が
線路方向を向くように取り付け、この添線支持ヨークの
両端に碍子を介して添線の端部を支持させた構成とする
ことが好ましい。
【0011】
〔実施形態1〕
図1ないし図3は本発明の一実施形態を示す。この実施
形態は、添線を添架する距離が長く、途中に懸垂鉄塔を
含む場合である。図1は懸垂支持部の構造を示す。図に
おいて、10a〜10dは多導体送電線の導体、12a〜12d
は導体10a〜10dを支持する懸垂クランプ、14aは上側
の懸垂クランプ12a、12bを吊り下げる上側懸垂ヨー
ク、14bは大地側の懸垂クランプ12c、12dを吊り下げ
る大地側懸垂ヨーク、16は懸垂碍子、18はアーキングホ
ーンである。これらの部品による懸垂支持部の構造は従
来と同じである。
【0012】この装置の特徴は、コロナ騒音低減のため
に大地側2導体10c、10dの間の下部に添架する添線20
を、懸垂支持部において分断し、分断された添線20の端
部をそれぞれ碍子22を介して大地側懸垂ヨーク14bに支
持させたことことである。
【0013】具体的には、大地側懸垂ヨーク14bの下縁
中間に直角クレビス24を取り付け、この直角クレビス24
に下端が大地側2導体10c、10dより下に位置する長い
直角クレビスリンク26を線路方向に揺動可能に取り付
け、この長い直角クレビスリンク26に短い直角クレビス
リンク28を線路と直角方向に揺動可能に取り付け、この
短い直角クレビスリンク28に添線支持ヨーク30を両端が
線路方向に向くように取り付ける。一方、添線20の端部
には引留クランプ32を圧縮固定し、この引留クランプ32
を弛度調整金具34及び前記碍子22を介して添線支持ヨー
ク30に引き留めるのである。
【0014】図2は導体10a〜10dで構成される多導体
送電線に添線20を添架した状態を示す側面図である。図
1と同じ部分には同じ符号を付してある。36は4本の導
体10a〜10dを正方形配置に保持する導体スペーサ、38
は大地側2導体10c、10dの間の下部に添線20を保持す
る添線スペーサである。導体10a〜10dの水平間隔及び
垂直間隔は400mm 、導体スペーサ36の取付け間隔は15〜
60m程度(径間の両端側より中央部の方が広い)、添線
スペーサ38の取付け間隔は約15m程度である。
【0015】図3は添線スペーサ38の具体例を示す。40
c、40dは大地側2導体10c、10dを把持するクラン
プ、42は添線20を把持するクランプ、44はクランプ40
c、40d、42を揺動可能に支持するフレームである。添
線20に大地側2導体10c、10dの電流が分流しないよう
にするため、クランプ42は絶縁性のゴムカラー46を介し
て添線20を把持するようになっている。なおクランプ40
c、40dはアルミカラー48を介して大地側2導体10c、
10dを把持するようになっている。
【0016】以上のようにして添線20を懸垂支持部で分
断し、添線20の端部を懸垂支持部に碍子22を介して引き
留めることにすれば、途中に懸垂鉄塔を含む長距離区間
に添線を添架する場合でも、添線に誘起される静電誘導
電圧は1径間長分の低い値に抑えることができるので、
ゴムカラー46の絶縁破壊を防止でき、信頼性の高いコロ
ナ騒音低減装置を得ることができる。
【0017】また従来の装置は大地側2導体の懸垂クラ
ンプの間に、添線の懸垂クランプを配置していたため、
横揺れしたときに大地側2導体の懸垂クランプと添線の
懸垂クランプが接触しやすいという問題があったが、上
記のように大地側懸垂ヨーク14bに、長い直角クレビス
リンク26と短い直角クレビスリンク28を介して添線支持
ヨーク30を吊り下げ、この添線支持ヨーク30に添線20を
引き留める構造とすれば、大地側2導体の懸垂クランプ
12c、12dと添線20の支持物とのクリアランスが確保さ
れ、かつ添線20の支持物の横方向の動きも規制されるた
め、接触が発生しにくくなり、接触による損傷等を防止
できる。
【0018】また上記の装置に用いた添線スペーサ38
は、添線のクランプ42の位置を、大地側2導体のクラン
プ40c、40dの位置より下方にずらしてある。下方にず
らす量は50mm程度にすることが好ましい。このようにす
ると、クランプ40c、40d、40が振動などで横揺れした
ときに相互の接触を防止できる。
【0019】また添線は、大地側2導体と同レベルに位
置させたのではコロナ騒音低減効果が得られず、大地側
2導体から下に行くに従いコロナ騒音低減効果が向上
し、大地側2導体より150mm 程度下方に位置させたとき
が最もコロナ騒音低減効果が高く、それより下にいくと
急激にコロナ騒音低減効果が低くなることが実験的に確
かめられたので、上記のように添線のクランプ42を大地
側2導体のクランプ40c、40dより若干下方にずらした
方がコロナ騒音低減効果を高くできる。
【0020】さらに添線の大地側2導体からの弛度を15
0mm とすると、添線クランプの位置が大地側2導体と同
レベルの場合よりも大地側2導体より下にある方が、添
線の有効長(コロナ騒音低減に寄与する長さ)が長くな
り、全体としてのコロナ騒音低減効果を高めることがで
きる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、懸
垂鉄塔を含む区間にコロナ騒音低減用の添線を添架する
場合に、添線を懸垂支持部で分断して懸垂支持部の両側
の添線を碍子により絶縁したので、添線に誘起される静
電誘導電圧を低く抑えることができる。このため添線と
大地側2導体とを絶縁する絶縁部材の絶縁破壊を防止で
き、信頼性の高いコロナ騒音低減装置を構成することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るコロナ騒音低減装置の一実施形
態における、懸垂支持部付近を示す、(A)は側面図、
(B)は正面図。
【図2】 図1のコロナ騒音低減装置の径間の端部付近
を示す、(A)は側面図、(B)は(A)のB−B線矢
視断面図。
【図3】 図1のコロナ騒音低減装置に使用される添線
スペーサの、(A)は正面図、(B)は側面図。
【符号の説明】
10a〜10d:多導体送電線の導体 12a〜12d:懸垂クランプ 14a、14b:懸垂ヨーク 20:添線 22:碍子 24:直角クレビス 26:長い直角クレビスリンク 28:短い直角クレビスリンク 30:添線支持ヨーク 32:引留クランプ 34:弛度調整金具 36:導体スペーサ 38:添線スペーサ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−117315(JP,A) 特開 昭61−22713(JP,A) 特開 平9−308064(JP,A) 特開 平9−233664(JP,A) 特開 平7−107649(JP,A) 特開 平4−75411(JP,A) 特開 平11−178183(JP,A) 実開 昭55−19455(JP,U) 実開 昭54−3396(JP,U) 実開 昭47−18790(JP,U) 実開 昭57−69431(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02G 7/14 H02G 7/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多導体送電線の大地側2導体(10c、10
    d)の間の下部に添線(20)を添架してなる多導体送電
    線のコロナ騒音低減装置において、前記添線(20)を多
    導体送電線の懸垂支持部において分断し、分断された添
    線(20)の端部を碍子(22)を介して多導体送電線の懸
    垂支持部に支持させたことを特徴とする多導体送電線の
    コロナ騒音低減装置。
  2. 【請求項2】多導体送電線の大地側2導体(10c、10
    d)を支持する懸垂ヨーク(14b)の中間に直角クレビ
    ス(24)を取り付け、この直角クレビス(24)に下端が
    大地側2導体(10c、10d)より下に位置する長い直角
    クレビスリンク(26)を線路方向に揺動可能に取り付
    け、この長い直角クレビスリンク(26)に短い直角クレ
    ビスリンク(28)を取り付け、この短い直角クレビスリ
    ンク(28)に添線支持ヨーク(30)を両端が線路方向を
    向くように取り付け、この添線支持ヨーク(30)の両端
    に碍子(22)を介して添線(20)の端部を支持させたこ
    とを特徴とする請求項1記載の多導体送電線のコロナ騒
    音低減装置。
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