JP3369366B2 - 真空バルブ - Google Patents

真空バルブ

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JP3369366B2
JP3369366B2 JP22819995A JP22819995A JP3369366B2 JP 3369366 B2 JP3369366 B2 JP 3369366B2 JP 22819995 A JP22819995 A JP 22819995A JP 22819995 A JP22819995 A JP 22819995A JP 3369366 B2 JP3369366 B2 JP 3369366B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空バルブに係
り、特に電極構造部の補強部材及び補強板部分の改良に
関する。
【0002】
【従来の技術】接点面に磁界(例えば通電軸方向)を作
用させるコイル電極を備えた真空バルブが既に実用化さ
れている。図3は、その代表的な構成例を示している。
同図において、真空容器1が、絶縁容器2の両端開口部
を端板3a,3bで封止することにより構成されてい
る。真空容器1内に固定電極4と可動電極5が対向して
配設されている。固定電極4は端板3aを貫通した固定
通電軸6の端部に装着されている。可動電極5は端板3
bをベローズ7を介して貫通した可動通電軸8の端部に
装着されている。可動通電軸8は図示しない操作機構に
よって軸方向に移動され、固定電極4と可動電極5を接
離して電流の投入、遮断をする。また可動通電軸8はベ
ローズ7を介して端板3bを貫通することにより、真空
容器1の気密を保持し、かつ軸方向の移動が自在となっ
ている。シールド9が両電極4,5の周囲を覆うように
設けられており、電流遮断時に発生する金属蒸気が直接
絶縁容器2に付着して絶縁性が低下するのを防止してい
る。
【0003】次に、各参考例を用いて、電極構造部をさ
らに説明する。参考例Aを図4を用いて説明する。図4
(b)は同図(a)のB−B線断面図である。固定電極
4及び可動電極5は、上述したように通電時に軸方向の
磁界を発生させる構成となっている。固定電極4は、主
電極10、コイル電極11及び主電極10とコイル電極
11の間に設けられた補強部材12からなっている。主
電極10とコイル電極11は電気抵抗の小さい銅(1.
7μΩcm)で作製され、補強部材12は銅より遥かに
抵抗の大きいステンレン鋼(100〜150μΩcm)
で作製されており、両者間には約50〜100倍の抵抗
差が存在する。補強部材12には、コイル電極11へ固
着する固着部12aと主電極10の内側面に当接して固
着するフランジ部12bとが形成されている。可動電極
5にも主電極13とコイル電極14の間に同様の補強部
材15が設けられている。
【0004】しかしながら、上記の電極構造において
は、補強部材12(15)が固着部12a(15a)で
コイル電極11(14)に固着され、フランジ部12b
(15b)で主電極10(13)に固着されている。そ
のため、たとえ、補強部材12(15)の電気抵抗値が
主電極10(13)、コイル電極11(14)のそれよ
り遥かに大であったとしても、電極4(5)に流れる電
流の一部が補強部材12(15)に分流してしまう。そ
の結果コイル電極11(14)に流れる電流がその分だ
け減少する。コイル電極11(14)は、図4(b)に
示すように、固定通電軸6(8)と同心で円周方向の電
流経路を形成する円弧部11a,11b,11c,11
d(14a,14b,14c,14d)が設けられてお
り、この円弧部を流れる円周方向の電流によって、両電
極4,5間に生ずる真空アークを安定させて大電流遮断
を可能にしている。従って固定電極4のコイル電極1
1、可動電極5のコイル電極14を流れる電流が減少す
ると、両電極4,5間に発生する磁界の強度が減少し、
真空アークの安定性も低下して遮断性能が低下する場合
がある。
【0005】参考例Bを説明する。上記参考例Aのよう
な遮断性能低下の懸念を補う技術として、補強部材12
(15)のフランジ部12b(15b)と主電極10
(13)の固着をしないで当接するのみとし、補強部材
12(15)に分流する電流を可及的に減少させて、コ
イル電極11(14)に流れる電流の減少を防止し、両
電極4,5間に発生する磁界の強度を減少させないよう
にした技術も利用されている。ところが補強部材12
(15)のフランジ部12b(15b)と主電極10
(13)の固着をしないと、電極4,5の投入時や遮断
時に変形が起こる場合がある。このため、コイル電極1
1(14)の厚さを厚くすることにより、機械的強度を
増大させる必要性が生じ、主電極/コイル電極寸法の大
型化、主電極/コイル電極間距離の大型化等により、真
空バルブの小型化及びこの真空バルブを装着した真空遮
断器の小型化を阻害する要因、材料費増大の要因ともな
っている。
【0006】参考例Cを図5、図6を用いて説明する。
図5(b)は同図(a)における補強板17の平面図で
ある。上記参考例Aのような遮断性能低下の懸念を補う
技術として、図5に示すような構成の電極も実用化され
ている。図5において、固定電極4には、補強部材16
が主電極10とコイル電極11の間に配設され、固着部
16aがコイル電極11に固着され、フランジ部16b
が主電極10に当接している。また可動電極5には、補
強部材18が主電極13とコイル電極14の間に配設さ
れ、固着部18aがコイル電極14に固着され、フラン
ジ部18bが主電極13に当接している。補強部材16
(18)のフランジ部16b(18b)とコイル電極1
1(14)の間に補強板17が挿入されている。補強板
17は、コイル電極11(14)の円弧部11a〜11
d(14a〜14d)の内径より大きい寸法の外周を有
している。中心には補強部材16(18)の固着部16
a(18a)が貫通し、かつフランジ部16b(18
b)の外径より小さい寸法の孔17aが開けられてい
る。外周には主電極10(13)とコイル電極11(1
4)の接続部10a,10b,10c,10d(13
a,13b,13c,13d)(図4(b)参照)に対
応する切欠部17b,17c,17d,17eが設けら
れている。従って、参考例Cには、次のような利点があ
る。(イ)両電極4,5間に圧縮方向の外力が作用した
場合(遮断器を投入した場合)、主電極10(13)が
補強部材16(18)に当接しているため、コイル電極
11(14)が圧縮方向に変形することがない(参考例
Bでは変形する)。(ロ)反対に両電極4,5間に引張
り方向の外力が作用した場合(遮断器を開いた場合)、
コイル電極11(14)が補強板17に当接し、かつ補
強板17が補強部材16(18)に当接しているため、
コイル電極11(14)が引張り方向に変形することが
ない(参考例Bでは変形する)。
【0007】ここで、例えば参考例Cの場合のバルブ組
立てにおいては、銀ろう付け性を向上させるために、必
要により所定箇所にNiメッキを施した補強部材16
(18)を用意し、その補強部材16(18)の端部1
6c(18c)(図6参照)と固定通電軸6の端部(可
動通電軸8の端部)とを銀ろう付けにて固着(銀ろう付
け部1)する。この工程と同時に、補強部材16(1
8)とコイル電極11(14)とを固着部16a(18
a)において銀ろう付けにて固着(銀ろう付け部2)す
る。この2箇所の銀ろう付け作業において重大な問題点
がある。即ち、スペース的に十分でない例えば補強部材
16(18)とコイル電極11(14)との接合、補強
板17とコイル電極11(14)との接合が行われる。
その結果、接合してはならない部分にまで銀ろう材が流
出してしまい、参考例Cで期待する変形防止効果が得ら
れず、遮断特性、再点弧特性などに重大な影響を与え
る。以上のように、各参考例A,B,Cには各々の利点
があり、現実的には遮断器としての優先要求機能、製造
性、経済性等を基準として適宜選択している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、真空バ
ルブでは、主電極10(13)とコイル電極11(1
4)との間には補強部材16(18)、補強板17が存
在するように、構造上極めて狭い間隙部分もしくは狭い
面積部分を銀ろう付けで接合することが行われている。
そのため不必要部分あるいは有害な所にまで銀ろう材が
流出してしまうことがあり、この流出した銀ろう材の一
部は、主電極10(13)/補強部材16(18)間の
短絡(電気的な接続)、補強部材16(18)/補強板
17間の短絡(電気的な接続)、補強板17とコイル電
極11(14)間の短絡(電気的な接続)によって、結
果的に主電極10(13)とコイル電極11(14)間
が図4(b)の接続部10a,10b,10c,10d
(13a,13b,13c,13d)を通過しない電流
経路を形成してしまい、磁界発生のための有効電流成分
が減少して遮断性能低下の要因となる。さらにこの流出
した銀ろう材の他の一部は、投入、遮断時の電気的衝撃
によって、剥離、脱離したりして、再点弧発生の要因と
もなっている。従って組立て時に使用した銀ろう材は、
所定の接合位置、即ち図5(a)のコイル電極11(1
4)/通電軸6(8)間、図6の補強部材16(18)
の端部16c(18c)/通電軸6(8)間の接合部で
のみ消化され、他の部分にまでは流れ出ないようにする
ことが重要となる。
【0009】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、
主電極とコイル電極との間に配置する補強部材、補強板
に銀ろう付け等による固着作業を容易にする改良を施
し、もって小型で安定した遮断特性、再点弧特性を有す
る真空バルブを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、真空容器内に1対の電極が
接離自在に配設された構成を有し、前記各電極は、主電
極と、該主電極の裏面側に配設され当該主電極面に磁界
を発生させるとともに前記主電極との対向面に凹部が設
けられたコイル電極と、フランジ部が前記主電極の裏面
に当接するとともに他端の固着部が前記コイル電極の凹
部の部分に固着された補強部材と、一部が前記補強部材
の固着部の外周部に固着されて前記コイル電極の凹部内
に配設され一面部が前記補強部材のフランジ部の裏面に
当接する補強板とを備えてなる真空バルブであって、前
記補強部材又は/及び補強板の少なくとも一方の表面層
は、前記固着部分を除いた全面もしくは一部の表面が当
該補強部材又は/及び補強板の構成成分の少なくとも1
つの元素の酸化被膜で構成してなることを要旨とする。
この構成により、補強部材又は/及び補強板の固着部分
を除いた全面もしくは一部の表面に高抵抗の酸化被膜を
設けることで、スペース的に十分でない補強部材とコイ
ル電極間及び補強板と補強部材間の銀ろう付け等による
固着が、必要とする部分のみに行われ、かつ主電極とコ
イル電極とが電気的に直接接触することがなくなる。し
たがって磁界発生のための電流がコイル電極に十分に流
れて遮断特性、再点弧特性を向上させることが可能とな
る。
【0011】請求項2記載の発明は、上記請求項1記載
の真空バルブにおいて、前記補強部材又は/及び補強板
の構成成分の少なくとも1つの元素の酸化被膜は、酸化
クロムを主成分とする酸化被膜であることを要旨とす
る。この構成により、真空バルブの組立て時における熱
処理及び真空バルブの投入、遮断時に受ける機械的電気
的衝撃に対して安定性がより大きくなる。酸化被膜は、
質的には酸化クロムのみとすることが望ましいが、酸化
クロムを主成分とするものであっても、所望の作用、効
果を得ることが可能である。
【0012】請求項3記載の発明は、上記請求項1記載
の真空バルブにおいて、前記補強部材又は/及び補強板
は、母材がマルテンサイト系ステンレン鋼又はマルテン
サイト系耐熱鋼の何れかで構成され、前記補強部材又は
/及び補強板の構成成分の少なくとも1つの元素の酸化
被膜は、酸化クロムを主成分とする酸化被膜であること
を要旨とする。この構成により、構成成分としてクロム
を含有するマルテンサイト系ステンレン鋼又はマルテン
サイト系耐熱鋼の母材に選択酸化等の処理を施すことで
補強部材又は/及び補強板の固着部分を除いた全面もし
くは一部の表面に酸化クロムを主成分とする酸化被膜が
形成される。
【0013】請求項4記載の発明は、上記請求項1記載
の真空バルブにおいて、前記補強部材又は/及び補強板
は、母材がマルテンサイト系ステンレン鋼又はマルテン
サイト系耐熱鋼の何れかで構成され、前記補強部材又は
/及び補強板の構成成分の少なくとも1つの元素の酸化
被膜は、酸化クロムであることを要旨とする。この構成
において、選択酸化等の際の酸素雰囲気の湿度、補強部
材又は/及び補強板表面の前処理等の調整により、表面
層の酸化被膜は、質の良い酸化クロムとすることが可能
である。
【0014】請求項5記載の発明は、上記請求項1記載
の真空バルブにおいて、前記補強部材又は/及び補強板
は、母材がフェライト系ステンレン鋼又はフェライト系
耐熱鋼の何れかで構成され、前記補強部材又は/及び補
強板の構成成分の少なくとも1つの元素の酸化被膜は、
酸化クロムを主成分とする酸化被膜であることを要旨と
する。この構成により、構成成分としてクロムを含有す
るフェライト系ステンレン鋼又はフェライト系耐熱鋼を
母材として用いた場合においても、選択酸化等の処理を
施すことで補強部材又は/及び補強板の固着部分を除い
た全面もしくは一部の表面に酸化クロムを主成分とする
酸化被膜が形成される。
【0015】請求項6記載の発明は、上記請求項1記載
の真空バルブにおいて、前記補強部材又は/及び補強板
は、母材がフェライト系ステンレン鋼又はフェライト系
耐熱鋼の何れかで構成され、前記補強部材又は/及び補
強板の構成成分の少なくとも1つの元素の酸化被膜は、
酸化クロムであることを要旨とする。この構成におい
て、前記と同様に、選択酸化等の際の酸素雰囲気の湿
度、補強部材又は/及び補強板表面の前処理等の調整に
より、表面層の酸化被膜は、質の良い酸化クロムとする
ことが可能である。
【0016】請求項7記載の発明は、上記請求項1記載
の真空バルブにおいて、前記補強部材又は/及び補強板
は、母材がオーステナイト系ステンレン鋼又はオーステ
ナイト系耐熱鋼の何れかで構成され、前記補強部材又は
/及び補強板の構成成分の少なくとも1つの元素の酸化
被膜は、酸化クロムを主成分とする酸化被膜であること
を要旨とする。この構成により、構成成分としてクロム
を含有するオーステナイト系ステンレン鋼又はオーステ
ナイト系耐熱鋼を母材として用いた場合においても、選
択酸化等の処理を施すことで補強部材又は/及び補強板
の固着部分を除いた全面もしくは一部の表面に酸化クロ
ムを主成分とする酸化被膜が形成される。
【0017】請求項8記載の発明は、上記請求項1記載
の真空バルブにおいて、前記補強部材又は/及び補強板
は、母材がオーステナイト系ステンレン鋼又はオーステ
ナイト系耐熱鋼の何れかで構成され、前記補強部材又は
/及び補強板の構成成分の少なくとも1つの元素の酸化
被膜は、酸化クロムであることを要旨とする。この構成
において、前記と同様に、選択酸化等の際の酸素雰囲気
の湿度、補強部材又は/及び補強板表面の前処理等の調
整により、表面層の酸化被膜は、質の良い酸化クロムと
することが可能である。
【0018】請求項9記載の発明は、上記請求項2,
3,5又は7記載の真空バルブにおいて、前記酸化クロ
ムを主成分とする酸化被膜には、酸化鉄、酸化アルミニ
ウム、酸化硅素、酸化チタンの少なくとも1つが存在す
ることを要旨とする。この構成において、具体的に、酸
化被膜には、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化硅素、酸
化チタンの少なくとも1つが存在しても所望の作用、効
果が得られる。
【0019】請求項10記載の発明は、上記請求項1な
いし9の何れかに記載の真空バルブにおいて、前記酸化
クロム又は酸化クロムを主成分とする酸化被膜は、0.
1〜50μmの厚さを有することを要旨とする。この構
成により、酸化被膜の厚さが0.1μm未満では、銀ろ
う付け等による固着の際、その銀ろう材等が、必要とす
る部分以外に粒状に付着する場合があり、遮断特性等が
劣化する。50μmを越えると付着した銀ろう材等が剥
離、飛散する場合があり、再点弧特性等が劣化する。し
たがって、補強部材又は/及び補強板表面の酸化被膜の
厚さは、0.1〜50μmに限定される。
【0020】請求項11記載の発明は、真空容器内に1
対の電極が接離自在に配設された構成を有し、前記各電
極は、主電極と、該主電極の裏面側に配設され当該主電
極面に磁界を発生させるとともに前記主電極との対向面
に凹部が設けられたコイル電極と、フランジ部が前記主
電極の裏面に当接するとともに他端の固着部が前記コイ
ル電極の凹部の部分に固着された補強部材と、一部が前
記補強部材の固着部の外周部に固着されて前記コイル電
極の凹部内に配設され一面部が前記補強部材のフランジ
部の裏面に当接する補強板とを備えてなる真空バルブで
あって、前記補強部材又は/及び補強板の少なくとも一
方の表面層は、前記固着部分を除いた全面もしくは一部
の表面が当該補強部材又は/及び補強板の構成成分の少
なくとも1つの元素の窒化物被膜で構成してなることを
要旨とする。この構成により、表面層被膜として、酸化
被膜に代えて高抵抗の窒化物被膜を用いても、前記請求
項1記載の発明の作用、効果とほぼ同様の作用、効果が
得られる。
【0021】請求項12記載の発明は、上記請求項11
記載の真空バルブにおいて、前記窒化物被膜は、0.1
〜50μmの厚さを有することを要旨とする。この構成
により、表面層被膜として、窒化物被膜を用いた場合に
も、前記と同様に、被膜の厚さは、0.1〜50μmに
限定することで所望の作用、効果が得られる。
【0022】請求項13記載の発明は、真空容器内に1
対の電極が接離自在に配設された構成を有し、前記各電
極は、主電極と、該主電極の裏面側に配設され当該主電
極面に磁界を発生させるとともに前記主電極との対向面
に凹部が設けられたコイル電極と、フランジ部が前記主
電極の裏面に当接するとともに他端の固着部が前記コイ
ル電極の凹部の部分に固着された補強部材と、一部が前
記補強部材の固着部の外周部に固着されて前記コイル電
極の凹部内に配設され一面部が前記補強部材のフランジ
部の裏面に当接する補強板とを備えてなる真空バルブで
あって、前記補強部材又は/及び補強板の少なくとも一
方の表面層は、前記固着部分を除いた全面もしくは一部
の表面が当該補強部材又は/及び補強板の構成成分の少
なくとも1つの元素の硼化物被膜で構成してなることを
要旨とする。この構成により、表面層被膜として、酸化
被膜に代えて高抵抗の硼化物被膜を用いても、前記請求
項1記載の発明の作用、効果とほぼ同様の作用、効果が
得られる。
【0023】請求項14記載の発明は、上記請求項13
記載の真空バルブにおいて、前記硼化物被膜は、0.1
〜50μmの厚さを有することを要旨とする。この構成
により、表面層被膜として、硼化物被膜を用いた場合に
も、前記と同様に、被膜の厚さは、0.1〜50μmに
限定することで所望の作用、効果が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
及び図2を用いて説明する。図2(b)は同図(a)の
A−A線断面図である。なお図1、図2において、前記
図3乃至図6における部材及び部位と同一ないし均等の
ものは、前記と同一符号をもって示し、重複した説明を
省略する。図1、図2において、固定電極21は、主電
極10、コイル電極23、補強部材16及び補強板17
で構成されている。可動電極22も、主電極13、コイ
ル電極24、補強部材18及び補強板17で構成されて
いる。コイル電極23は、図2の(a),(b)に示す
ように、固定通電軸6(可動通電軸8)と同心で円周方
向の電流経路を持つ円弧部23a,23b,23c,2
3d(24a,24b,24c,24d)が設けられ、
また主電極10(13)と対向する面には直径が補強板
17の外径より適宜量大きい凹部(図2(b)中に一点
鎖線のハッチングで示した部分)23e(24e)が設
けられている。凹部23e(24e)は、主電極10
(13)との接続部10a,10b,10c,10d
(13a,13b,13c,13d)を除いて形成され
ている。そして、この凹部23e(24e)に補強板1
7が挿入されている。
【0025】両電極21,22間に圧縮方向の外力が作
用した場合、主電極10(13)は補強部材16(1
8)に当接しているから圧縮方向に変形することがな
い。両電極21,22間に引張り方向の外力が作用した
場合、コイル電極23(24)は補強板17に当接し、
さらに補強板17が補強部材16(18)に当接するた
め、引張り方向に変形することがない。そして両コイル
電極23(24)の円弧部23a〜23d(24a〜2
4d)を有効に流れる電流によって両電極21,22間
に軸方向の磁界が発生し、両電極21,22間に生じる
真空アークが安定して大電流遮断が可能となる。また補
強板17はコイル電極23(24)に設けた凹部23e
(24e)に挿入されるので、主電極10(13)とコ
イル電極23(24)の各寸法及び主電極10(13)
とコイル電極23(24)間の間隔を大きくする必要が
なく真空バルブの小型化が可能となる。
【0026】しかし、上述した利点を有効に発揮させる
ためには、単に補強部材、補強板を挿入、配置するのみ
でなく、補強部材、補強板の母材表面に、必要とする部
分のみへの銀ろう付けを可能とし、かつ主電極とコイル
電極とが直接電気的に短絡しないような高抵抗被膜の存
在が不可欠である。次に、表1、表2を用いて、被膜を
設けた場合の具体的な各実施例の評価結果を比較例とと
もに述べる。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】実施例1〜5、比較例1〜3 (試験用真空バルブの製造)参考例として示した図5の
電極部の構成において、固定電極4には、補強部材16
としてSUS304対応の18%Cr8%Ni残りFe
合金をそのまま使用した補強部材16を用意した(比較
例1)(表面分析をしたところ、母材から起因する物質
として、Cr−Ni−Fe{JCPDSカード No.33
−397}を確認)。さらに、この合金の表面に各種状
態の酸化被膜を付与した補強部材16(比較例2〜比較
例3及び実施例1〜5)を用意した(表面分析をしたと
ころ、Cr2 3 {JCPDSカード No.38−147
9}などを確認)。これら補強部材16を、50%Cu
Cr合金よりなる主電極10とCuよりなるコイル電極
11との間に配設し、所定量の板状72%AgCu銀ろ
う板を配置してなる固着部16aで上記Cuよりなるコ
イル電極11に固着し、上記18%Cr8%Ni残りF
e合金よりなる補強部材16のフランジ部16bを上記
50%CuCr合金よりなる主電極10に当接させた。
【0030】また可動電極5にも、補強部材18として
18%Cr8%Ni残りFe合金よりなる補強部材18
を用意した(比較例1)。別に、この合金の表面に各種
状態の酸化被膜を付与した補強部材18(比較例2〜比
較例3及び実施例1〜5)を用意した。同様に、補強部
材18を、50%CuCr合金よりなる主電極13とC
uよりなるコイル電極14との間に配設し、所定量の板
状72%AgCu銀ろう板を配置してなる固着部18a
で上記Cuよりなるコイル電極14に固着し、上記18
%Cr8%Ni残りFe合金よりなる補強部材18のフ
ランジ部18bを上記50%CuCr合金よりなる主電
極10に当接させた。
【0031】次いで、補強部材16(18)のフランジ
部16b(18b)とコイル電極11(14)との間
に、18%Cr8%Ni残りFe合金よりなる補強板1
7を挿入した。補強板17は前記図5(b)を用いて説
明した形状をしている。
【0032】このような構造を持つ固定電極4と可動電
極5を真空容器1内に対向して配設した。真空容器1
は、アルミナセラミックス製絶縁容器2の両端開口部を
ステンレン製端板3a,3bで封止して構成した。固定
電極4は端板3aを貫通した銅製の固定通電軸6の端部
に装着した。可動電極5は端板3bにステンレン製のベ
ローズ7を介して貫通した銅製の可動通電軸8の端部に
装着した。シールド9はステンレン製である。
【0033】所定形状を持つ補強部材16(18)又は
/及び補強板17を、18%Cr8%Ni残りFe合金
で製作した後、その補強部材16(18)又は/及び補
強板17の表面に各種被膜厚さを持つ酸化被膜を例えば
酸素存在下で温度(例えば800〜1000℃)、時間
(例えば1分〜1000分)を調整しながら、酸化クロ
ムもしくは酸化クロムを主成分とする被膜の厚さ0.0
1μm(比較例2)、0.1μm(実施例1)、1〜5
μm(実施例2、実施例4、実施例5)、50μm(実
施例3)、125μm(比較例3)の酸化被膜を得た。
特に各種被膜の質については、酸素雰囲気の湿度、補強
部材16(18)又は/及び補強板17表面の前処理に
よって調整したり、放電処理を施すことによって得た。
【0034】なお、ここで上記処理によって得る酸化ク
ロムもしくは酸化クロムを主成分とする被膜は、具体的
にはCr2 3 のみの被膜が最も好ましく、処理条件に
よっては、Cr2 3 ,Cr1.3 Fe0.7 3 ,(Fe
0.6 Cr0.4 2 3 ,α−Fe2 3 ,FeCr2
4 ,Fe3 4 (正方晶)、Fe3 4 (立方晶)の混
合被膜を得る。
【0035】このようにして得た各部品材料を前記のよ
うに配置した後、820〜840℃で接合必要箇所を銀
ろう付け接合しながら気密封着した。真空バルブ組立て
においては、補強部材16(18)の端部16c(18
c)など銀ろう付け性向上を必要とする箇所のみにNi
メッキを施した補強部材16(18)を用意して所定量
の72%AgCuろう材を使用し、その端部16c(1
8c)と固定通電軸6の端部(可動通電軸8の端部)と
を銀ろう付けにて固着(銀ろう付け部1)した。この工
程と同時に、その補強部材16(18)とコイル電極1
1(14)とを固着部16a(18a)において銀ろう
付けにて固着(銀ろう付け部2)し、さらに補強部材1
6(18)の固着部16a(18a)の外周部に補強板
17を銀ろう付けにて固着した。
【0036】(評価の条件) (1)遮断特性;前述の各条件で製造した直径70mm
の電極を装着した遮断テスト用実験真空バルブを開閉装
置に取り付けるとともに、ベーキング、電圧エージング
等を与えた後、24kV,50Hzの回路に接続し1k
Aずつ電流を増加しながら遮断限界を真空バルブ3本に
つき比較評価した。なお、実施例1の結果のみは、真空
バルブ3本の平均値であり、他の数値は実施例1の値を
100とした時の比較値をバラツキ幅をもって示した。
遮断テスト終了後、実験真空バルブを破壊してアークの
広がりの程度も観察し、遮断性能の判断の一助とした。
【0037】(2)再点弧特性;直径30mm、厚さ5
mmの円板状電極片を、ディマウンタブル型真空バルブ
に装着し、24kV×500Aの回路を2000回遮断
した時の再点弧発生頻度を2台の遮断器(真空バルブと
して6本)のバラツキ値を考慮して表示した。
【0038】(3)銀ろう付け後の銀ろうの存在状況の
評価;真空バルブの組立て工程(銀ろう付け工程)で、
補強部材/補強板への銀ろうの付着の状況を6本の真空
バルブで評価した。(銀ろう材は補強部材/補強板へ付
着すると、付着部分を介して主電流の一部が補強部材/
補強板に分流してしまい、磁界を減少させてしまう。さ
らに付着した銀ろう材がもし付着部分から離脱した時に
は他の問題点として再点弧現象の引金ともなってい
る)。評価は、銀ろう材が補強部材/補強板の必要部分
のみに理想的に存在している状態を[A]、銀ろう接合
してはならない部分にまで銀ろう材が粒状に数箇所程度
付着している状態を[B]、銀ろう材が粒状に多数箇所
付着している状態を[C]、付着した銀ろう材の一部が
付着部分から剥離、離脱し真空バルブ内に飛散、落下し
た状態を[D]に分別し、評価(表2)した。
【0039】(評価結果)評価結果を表2に示したよう
に、18%Cr8%Ni残部Fe合金を補強部材/補強
板とした場合では6本中3本がB評価、2本がC評価、
1本がD評価(比較例1)となり、またその表面の被膜
の厚さが0.01μmの時には、6本中1本がA評価、
5本がB評価(比較例2)となり、何れも接合状況が好
ましくなかった。これに対応して遮断特性、再点弧発生
特性とも実施例2と対比し著しく低下している。これに
対して補強部材/補強板の表面被膜の厚さが0.1μm
〜50μm(実施例1〜3)のときには、実施例2と対
比し遮断特性、再点弧発生特性とも好ましい値の範囲で
あった。しかし、補強部材/補強板の表面被膜の厚さが
125μmのときには、6本中3本がC評価、3本がD
評価(比較例3)となり、銀ろう付け状況は好ましくな
く、遮断特性、再点弧発生特性とも実施例2と対比し著
しく低下している。バラツキ幅も拡大していた。その結
果、補強部材/補強板表面の酸化被膜の厚さは、0.1
μm〜50μmの範囲が好ましい[A]評価であること
が判った。表面層のX線回折結果から、補強部材/補強
板表面の酸化被膜は、酸化Cr又は酸化Crと酸化鉄の
混合物であることを確認した。この場合でも同様の効果
が得られている(実施例4〜5)。
【0040】実施例6〜7、比較例4〜5 上記実施例1〜6、比較例1〜3では、補強部材/補強
板として18%Cr8%Ni残部Fe合金を使用した場
合について示した。本発明技術においてはこれに限るこ
となく、例えば18Cr−12Ni−2.5Mo−0.
06C(SUS316対応)を補強部材/補強板として
使用しても、その表面を前記所定状態の被膜とすること
によって(実施例6〜7)、所望の効果を発揮する。し
かし、18Cr−12Ni−2.5Mo−0.06Cを
そのまま補強部材/補強板として使用したときには、接
合状況が好ましくなく、これに対応して遮断特性、再点
弧発生特性とも実施例2と対比し著しく低下した(比較
例4〜5)。
【0041】実施例8、比較例6 上記実施例1〜7、比較例1〜5では、補強部材/補強
板の表面層がCr酸化物及びCr酸化物とFe酸化物の
混合体であっても効果を発揮したが、本発明技術におい
てはこれに限ることなく、その表面がCr酸化物とAl
酸化物の混合体の被膜であっても効果を発揮する(実施
例8)。しかし、補強部材/補強板をそのまま使用した
ときには、接合状況が好ましくなく、これに対応して遮
断特性、再点弧発生特性とも実施例2と対比し著しく低
下した(比較例6)。
【0042】実施例9〜12、比較例7〜10 補強部材/補強板の表面層をCr酸化物とSi酸化物の
混合体(実施例9〜11)としても、またCr酸化物と
TiO2 酸化物の混合体(実施例12)としても、所望
の効果を発揮する(実施例9〜12)。しかし、補強部
材/補強板をそのまま使用したときには、接合状況が好
ましくなく、これに対応して遮断特性、再点弧発生特性
とも実施例2と対比し著しく低下した(比較例7〜1
0)。なお本実施例において、母材中のCr量は13〜
15%以上(実施例8,9,12)の場合を示したが、
Cr酸化物をCr2 3 を主体とした酸化物として得る
のに、13〜15%以上の母材を使用した場合に、より
容易に得られた理由による。またCr酸化物をCr2
3 を主体とした酸化物とする理由は、真空バルブの組立
て時に受ける熱処理及び真空バルブの投入、遮断時に受
ける機械的電気的衝撃に対して安定性がより大であるこ
とによる。
【0043】変形例 上記実施例では、主電極に作用する磁界が主電極面に対
して縦方向の磁界を発生させるコイル電極について示し
たが、本発明の趣旨が同一であれば、磁界の方向には関
係なく傾斜磁界であっても、また水平磁界であっても同
様の効果を発揮する。
【0044】また上記実施例では、表面被膜層の形成方
法として、主に選択酸化法を採用した例について示した
が、表面被膜層の形成方法はこれに限ることなく、イオ
ンプレーティング、電子衝撃法、スパッタ法など物理蒸
着法(PVD)、化学気相成長法(CVD)、電解液中
での陽極酸化法、溶射法であっても本発明の趣旨に対し
て同様の効果を発揮する。
【0045】さらに上記実施例では、表面被膜層を酸化
物を代表例として示したが、窒化クロム等の窒化物、硼
化クロム等の硼化物の被膜を使用し、その厚さを前記と
同様の0.1μm〜50μmの範囲としても本発明の趣
旨に対して同様の効果を発揮する。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、真空容器内に1対の電極が接離自在に配設
された構成を有し、前記各電極は、主電極と、該主電極
の裏面側に配設され当該主電極面に磁界を発生させると
ともに前記主電極との対向面に凹部が設けられたコイル
電極と、フランジ部が前記主電極の裏面に当接するとと
もに他端の固着部が前記コイル電極の凹部の部分に固着
された補強部材と、一部が前記補強部材の固着部の外周
部に固着されて前記コイル電極の凹部内に配設され一面
部が前記補強部材のフランジ部の裏面に当接する補強板
とを備えてなる真空バルブであって、前記補強部材又は
/及び補強板の少なくとも一方の表面層は、前記固着部
分を除いた全面もしくは一部の表面が当該補強部材又は
/及び補強板の構成成分の少なくとも1つの元素の酸化
被膜で構成したため、補強部材又は/及び補強板の固着
部分を除いた全面もしくは一部の表面に高抵抗の酸化被
膜を設けることで、スペース的に十分でない補強部材と
コイル電極間及び補強板と補強部材間の銀ろう付け等に
よる固着が、必要とする部分のみに行われ、かつ主電極
とコイル電極とが電気的に直接接触することがなくな
る。したがって磁界発生のための電流がコイル電極に十
分に流れて遮断特性、再点弧特性を向上させることがで
きる。また補強板はコイル電極の凹部内に配設したこと
で、主電極とコイル電極間の間隔を大きくする必要がな
く小型化を図ることができる。
【0047】請求項2記載の発明によれば、前記補強部
材又は/及び補強板の構成成分の少なくとも1つの元素
の酸化被膜は、酸化クロムを主成分とする酸化被膜とし
たため、真空バルブの組立て時における熱処理及び真空
バルブの投入、遮断時に受ける機械的電気的衝撃に対し
て安定性がより大きくなる。酸化被膜は、質的には酸化
クロムのみとすることが望ましいが、酸化クロムを主成
分とするものであっても、酸化被膜を設けたことによる
前述の所望の効果を得ることができる。
【0048】請求項3記載の発明によれば、前記補強部
材又は/及び補強板は、母材がマルテンサイト系ステン
レン鋼又はマルテンサイト系耐熱鋼の何れかで構成さ
れ、前記補強部材又は/及び補強板の構成成分の少なく
とも1つの元素の酸化被膜は、酸化クロムを主成分とす
る酸化被膜としたため、構成成分としてクロムを含有す
るマルテンサイト系ステンレン鋼又はマルテンサイト系
耐熱鋼の母材に選択酸化等の処理を施すことで補強部材
又は/及び補強板の固着部分を除いた全面もしくは一部
の表面に酸化クロムを主成分とする酸化被膜を容易に形
成することができる。
【0049】請求項4記載の発明によれば、前記補強部
材又は/及び補強板は、母材がマルテンサイト系ステン
レン鋼又はマルテンサイト系耐熱鋼の何れかで構成さ
れ、前記補強部材又は/及び補強板の構成成分の少なく
とも1つの元素の酸化被膜は、酸化クロムとしたため、
選択酸化等の際の酸素雰囲気の湿度、補強部材又は/及
び補強板表面の前処理等の調整により、表面層の酸化被
膜は、質の良い酸化クロムとすることができて酸化被膜
を設けたことによる前述の所望の効果をより一層高める
ことができる。
【0050】請求項5記載の発明によれば、前記補強部
材又は/及び補強板は、母材がフェライト系ステンレン
鋼又はフェライト系耐熱鋼の何れかで構成され、前記補
強部材又は/及び補強板の構成成分の少なくとも1つの
元素の酸化被膜は、酸化クロムを主成分とする酸化被膜
としたため、構成成分としてクロムを含有するフェライ
ト系ステンレン鋼又はフェライト系耐熱鋼を母材として
用いた場合においても、選択酸化等の処理を施すことで
補強部材又は/及び補強板の固着部分を除いた全面もし
くは一部の表面に酸化クロムを主成分とする酸化被膜を
容易に形成することができる。
【0051】請求項6記載の発明によれば、前記補強部
材又は/及び補強板は、母材がフェライト系ステンレン
鋼又はフェライト系耐熱鋼の何れかで構成され、前記補
強部材又は/及び補強板の構成成分の少なくとも1つの
元素の酸化被膜は、酸化クロムとしたため、前記と同様
に、選択酸化等の際の酸素雰囲気の湿度、補強部材又は
/及び補強板表面の前処理等の調整により、表面層の酸
化被膜は、質の良い酸化クロムとすることができて酸化
被膜を設けたことによる前述の所望の効果をより一層高
めることができる。
【0052】請求項7記載の発明によれば、前記補強部
材又は/及び補強板は、母材がオーステナイト系ステン
レン鋼又はオーステナイト系耐熱鋼の何れかで構成さ
れ、前記補強部材又は/及び補強板の構成成分の少なく
とも1つの元素の酸化被膜は、酸化クロムを主成分とす
る酸化被膜としたため、構成成分としてクロムを含有す
るオーステナイト系ステンレン鋼又はオーステナイト系
耐熱鋼を母材として用いた場合においても、選択酸化等
の処理を施すことで補強部材又は/及び補強板の固着部
分を除いた全面もしくは一部の表面に酸化クロムを主成
分とする酸化被膜を容易に形成することができる。
【0053】請求項8記載の発明によれば、前記補強部
材又は/及び補強板は、母材がオーステナイト系ステン
レン鋼又はオーステナイト系耐熱鋼の何れかで構成さ
れ、前記補強部材又は/及び補強板の構成成分の少なく
とも1つの元素の酸化被膜は、酸化クロムとしたため、
前記と同様に、選択酸化等の際の酸素雰囲気の湿度、補
強部材又は/及び補強板表面の前処理等の調整により、
表面層の酸化被膜は、質の良い酸化クロムとすることが
できて酸化被膜を設けたことによる前述の所望の効果を
より一層高めることができる。
【0054】請求項9記載の発明によれば、前記酸化ク
ロムを主成分とする酸化被膜には、酸化鉄、酸化アルミ
ニウム、酸化硅素、酸化チタンの少なくとも1つを存在
させたため、具体的に、酸化被膜には、酸化鉄、酸化ア
ルミニウム、酸化硅素、酸化チタンの少なくとも1つが
存在しても酸化被膜を設けたことによる前述の所望の効
果を得ることができる。
【0055】請求項10記載の発明によれば、前記酸化
クロム又は酸化クロムを主成分とする酸化被膜は、0.
1〜50μmの厚さとしたため、酸化被膜の厚さが0.
1μm未満では、銀ろう付け等による固着の際、その銀
ろう材等が、必要とする部分以外に粒状に付着する場合
が生じて遮断特性等が劣化し、50μmを越えると付着
した銀ろう材等が剥離、飛散する場合が生じて再点弧特
性等が劣化するので、酸化被膜の厚さを0.1〜50μ
mの範囲に限定することで酸化被膜を設けたことによる
前述の所望の効果を確実に得ることができる。
【0056】請求項11記載の発明によれば、真空容器
内に1対の電極が接離自在に配設された構成を有し、前
記各電極は、主電極と、該主電極の裏面側に配設され当
該主電極面に磁界を発生させるとともに前記主電極との
対向面に凹部が設けられたコイル電極と、フランジ部が
前記主電極の裏面に当接するとともに他端の固着部が前
記コイル電極の凹部の部分に固着された補強部材と、一
部が前記補強部材の固着部の外周部に固着されて前記コ
イル電極の凹部内に配設され一面部が前記補強部材のフ
ランジ部の裏面に当接する補強板とを備えてなる真空バ
ルブであって、前記補強部材又は/及び補強板の少なく
とも一方の表面層は、前記固着部分を除いた全面もしく
は一部の表面が当該補強部材又は/及び補強板の構成成
分の少なくとも1つの元素の窒化物被膜で構成したた
め、表面層被膜として、酸化被膜に代えて高抵抗の窒化
物被膜を用いても、前記請求項1記載の発明の効果とほ
ぼ同様の効果を得ることができる。
【0057】請求項12記載の発明によれば、上記窒化
物被膜は、0.1〜50μmの厚さとしたため、表面層
被膜として、窒化物被膜を用いた場合にも、前記と同様
に、被膜の厚さを0.1〜50μmに限定することで窒
化物被膜を設けたことによる上述の所望の効果を確実に
得ることができる。
【0058】請求項13記載の発明によれば、真空容器
内に1対の電極が接離自在に配設された構成を有し、前
記各電極は、主電極と、該主電極の裏面側に配設され当
該主電極面に磁界を発生させるとともに前記主電極との
対向面に凹部が設けられたコイル電極と、フランジ部が
前記主電極の裏面に当接するとともに他端の固着部が前
記コイル電極の凹部の部分に固着された補強部材と、一
部が前記補強部材の固着部の外周部に固着されて前記コ
イル電極の凹部内に配設され一面部が前記補強部材のフ
ランジ部の裏面に当接する補強板とを備えてなる真空バ
ルブであって、前記補強部材又は/及び補強板の少なく
とも一方の表面層は、前記固着部分を除いた全面もしく
は一部の表面が当該補強部材又は/及び補強板の構成成
分の少なくとも1つの元素の硼化物被膜で構成したた
め、表面層被膜として、酸化被膜に代えて高抵抗の硼化
物被膜を用いても、前記請求項1記載の発明の効果とほ
ぼ同様の効果を得ることができる。
【0059】請求項14記載の発明によれば、前記硼化
物被膜は、0.1〜50μmの厚さとしたため、表面層
被膜として、硼化物被膜を用いた場合にも、前記と同様
に、被膜の厚さは、0.1〜50μmに限定することで
硼化物被膜を設けたことによる上述の所望の効果を確実
に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空バルブの実施の形態を示す縦
断面図である。
【図2】図1における電極部の構成を示す拡大断面図で
ある。
【図3】従来の真空バルブを示す縦断面図である。
【図4】参考例Aの電極部の構成を示す断面図である。
【図5】参考例Cの電極部の構成を示す図である。
【図6】図5における補強部材の縦拡大断面図である。
【符号の説明】
1 真空容器 6 固定通電軸 8 可動通電軸 10,13 主電極 16,18 補強部材 16a,18a 固着部 16b,18b フランジ部 21 固定電極 22 可動電極 23,24 コイル電極 23e,24e 凹部
フロントページの続き (72)発明者 草野 貴史 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝 府中工場内 (72)発明者 関 経世 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝 府中工場内 (72)発明者 山本 敦史 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝 府中工場内 (56)参考文献 特開 昭63−80425(JP,A) 特開 昭56−18324(JP,A) 特開 昭60−74318(JP,A) 特開 昭58−188021(JP,A) 特開 平5−47274(JP,A) 特開 昭60−74213(JP,A) 特開 平2−221765(JP,A) 特開 平6−12946(JP,A) 実開 昭61−42039(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01H 33/66 B23K 1/20

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内に1対の電極が接離自在に配
    設された構成を有し、前記各電極は、主電極と、該主電
    極の裏面側に配設され当該主電極面に磁界を発生させる
    とともに前記主電極との対向面に凹部が設けられたコイ
    ル電極と、フランジ部が前記主電極の裏面に当接すると
    ともに他端の固着部が前記コイル電極の凹部の部分に固
    着された補強部材と、一部が前記補強部材の固着部の外
    周部に固着されて前記コイル電極の凹部内に配設され一
    面部が前記補強部材のフランジ部の裏面に当接する補強
    板とを備えてなる真空バルブであって、前記補強部材又
    は/及び補強板の少なくとも一方の表面層は、前記固着
    部分を除いた全面もしくは一部の表面が当該補強部材又
    は/及び補強板の構成成分の少なくとも1つの元素の酸
    化被膜で構成してなることを特徴とする真空バルブ。
  2. 【請求項2】 前記補強部材又は/及び補強板の構成成
    分の少なくとも1つの元素の酸化被膜は、酸化クロムを
    主成分とする酸化被膜であることを特徴とする請求項1
    記載の真空バルブ。
  3. 【請求項3】 前記補強部材又は/及び補強板は、母材
    がマルテンサイト系ステンレン鋼又はマルテンサイト系
    耐熱鋼の何れかで構成され、前記補強部材又は/及び補
    強板の構成成分の少なくとも1つの元素の酸化被膜は、
    酸化クロムを主成分とする酸化被膜であることを特徴と
    する請求項1記載の真空バルブ。
  4. 【請求項4】 前記補強部材又は/及び補強板は、母材
    がマルテンサイト系ステンレン鋼又はマルテンサイト系
    耐熱鋼の何れかで構成され、前記補強部材又は/及び補
    強板の構成成分の少なくとも1つの元素の酸化被膜は、
    酸化クロムであることを特徴とする請求項1記載の真空
    バルブ。
  5. 【請求項5】 前記補強部材又は/及び補強板は、母材
    がフェライト系ステンレン鋼又はフェライト系耐熱鋼の
    何れかで構成され、前記補強部材又は/及び補強板の構
    成成分の少なくとも1つの元素の酸化被膜は、酸化クロ
    ムを主成分とする酸化被膜であることを特徴とする請求
    項1記載の真空バルブ。
  6. 【請求項6】 前記補強部材又は/及び補強板は、母材
    がフェライト系ステンレン鋼又はフェライト系耐熱鋼の
    何れかで構成され、前記補強部材又は/及び補強板の構
    成成分の少なくとも1つの元素の酸化被膜は、酸化クロ
    ムであることを特徴とする請求項1記載の真空バルブ。
  7. 【請求項7】 前記補強部材又は/及び補強板は、母材
    がオーステナイト系ステンレン鋼又はオーステナイト系
    耐熱鋼の何れかで構成され、前記補強部材又は/及び補
    強板の構成成分の少なくとも1つの元素の酸化被膜は、
    酸化クロムを主成分とする酸化被膜であることを特徴と
    する請求項1記載の真空バルブ。
  8. 【請求項8】 前記補強部材又は/及び補強板は、母材
    がオーステナイト系ステンレン鋼又はオーステナイト系
    耐熱鋼の何れかで構成され、前記補強部材又は/及び補
    強板の構成成分の少なくとも1つの元素の酸化被膜は、
    酸化クロムであることを特徴とする請求項1記載の真空
    バルブ。
  9. 【請求項9】 前記酸化クロムを主成分とする酸化被膜
    には、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化硅素、酸化チタ
    ンの少なくとも1つが存在することを特徴とする請求項
    2,3,5又は7記載の真空バルブ。
  10. 【請求項10】 前記酸化クロム又は酸化クロムを主成
    分とする酸化被膜は、0.1〜50μmの厚さを有する
    ことを特徴とする請求項1ないし9の何れかに記載の真
    空バルブ。
  11. 【請求項11】 真空容器内に1対の電極が接離自在に
    配設された構成を有し、前記各電極は、主電極と、該主
    電極の裏面側に配設され当該主電極面に磁界を発生させ
    るとともに前記主電極との対向面に凹部が設けられたコ
    イル電極と、フランジ部が前記主電極の裏面に当接する
    とともに他端の固着部が前記コイル電極の凹部の部分に
    固着された補強部材と、一部が前記補強部材の固着部の
    外周部に固着されて前記コイル電極の凹部内に配設され
    一面部が前記補強部材のフランジ部の裏面に当接する補
    強板とを備えてなる真空バルブであって、前記補強部材
    又は/及び補強板の少なくとも一方の表面層は、前記固
    着部分を除いた全面もしくは一部の表面が当該補強部材
    又は/及び補強板の構成成分の少なくとも1つの元素の
    窒化物被膜で構成してなることを特徴とする真空バル
    ブ。
  12. 【請求項12】 前記窒化物被膜は、0.1〜50μm
    の厚さを有することを特徴とする請求項11記載の真空
    バルブ。
  13. 【請求項13】 真空容器内に1対の電極が接離自在に
    配設された構成を有し、前記各電極は、主電極と、該主
    電極の裏面側に配設され当該主電極面に磁界を発生させ
    るとともに前記主電極との対向面に凹部が設けられたコ
    イル電極と、フランジ部が前記主電極の裏面に当接する
    とともに他端の固着部が前記コイル電極の凹部の部分に
    固着された補強部材と、一部が前記補強部材の固着部の
    外周部に固着されて前記コイル電極の凹部内に配設され
    一面部が前記補強部材のフランジ部の裏面に当接する補
    強板とを備えてなる真空バルブであって、前記補強部材
    又は/及び補強板の少なくとも一方の表面層は、前記固
    着部分を除いた全面もしくは一部の表面が当該補強部材
    又は/及び補強板の構成成分の少なくとも1つの元素の
    硼化物被膜で構成してなることを特徴とする真空バル
    ブ。
  14. 【請求項14】 前記硼化物被膜は、0.1〜50μm
    の厚さを有することを特徴とする請求項13記載の真空
    バルブ。
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