JP3368446B2 - リチウム二次電池 - Google Patents
リチウム二次電池Info
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Description
ウム、リチウム合金或いは電気化学的にリチウムイオン
を吸蔵・放出できる炭素材料等用いてなるリチウム二次
電池に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年のエレクトロニクス分野の急速な発
展により、電子機器の高性能化、小型化、ポータブル化
が進み、これら電子機器に使用される再充電可能な高エ
ネルギー密度二次電池の要求が強まっている。 【0003】従来これら電子機器に使用される二次電池
としては、鉛蓄電池、ニツケル−カドミウム蓄電池、ニ
ツケル−水素蓄電池が挙げられるが、更に高いエネルギ
ー密度を有するものが要求されており、最近、金属リチ
ウムやリチウム合金或いは電気化学的にリチウムイオン
を吸蔵・放出できる炭素材料を負極活物質として用い、
これを正極と組み合わせたリチウム二次電池が研究、開
発され一部実用化されている。この種の電池は電池電圧
が高く、前記従来の電池に比し、重量及び体積あたりの
エネルギー密度が大きく、今後最も期待される二次電池
てある。 【0004】この電池の構成は、金属リチウム、リチウ
ム合金、又は電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出
できる炭素材料からなる群より選択される1種又は2種
以上を活物質とする負極と、電気化学的にリチウムイオ
ンを吸蔵・放出できる物質の1種又は2種以上を活物質
とする正極と、有機溶媒にリチウム塩を溶解した有機電
解液からなり、その有機電解液の溶媒や溶質には種々の
ものが検討されており、溶媒として塩素又はフッ素で置
換したプロピレンカーボネートを用い、溶質に過塩素酸
リチウム(LiClO4)やリチウムヘキサフロロアル
シネート(LiAsF6)を用いたもの(特開昭62−
290071号)や、更に溶媒に鎖状カーボネートと環
状カーボネートの混合溶媒を用いたもの(特開平4−1
62370号)が知られている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リチウ
ム二次電池は電解液に有機溶媒を用いていることから、
従来の鉛蓄電池、ニツケル−カドミウム蓄電池、ニツケ
ル−水素蓄電池の様に電解液として水溶液を用いるもの
に比べ、可燃性が高く安全性の向上が要望されている。 【0006】これら安全性向上を目論だものとして、ジ
メトキシエタン等とスルホランを混合した溶媒に、溶質
としてLiPF6やLiBF4を用いもの(特開昭64
−14879号)が公知であるが、充放電を繰り返す二
次電池用としては、使用される溶媒の安定性に欠き電池
特性が劣る等の問題があった。 【0007】本発明は上記従来の問題点を解決し、二次
電池においても電池特性に優れ、且つ難燃性があり自己
消火性に優れた安全なリチウム二次電池を提供すること
を目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は有機電解液に溶媒として、環状エステルか
らなる第1溶媒と鎖状エステルからなる第2溶媒の混合
溶媒を用い、第1溶媒としては少なくとも1つの水素が
フツ素で置換されたプロピレンカーボネートの構造を有
するものを含み、第2溶媒としてはジメチルカーボネー
トを含むことを特徴とするものである。 【0009】環状エステルとしてのプロピレンカーボネ
ートは化1に示される構造式を有するもので、炭素に合
計6つの水素原子が結合しているものである。 【0010】 【化1】 【0011】これら6つの水素原子の少なくとも1つ以
上の水素原子がフッ素原子と置換したプロピレンカーボ
ネートの構造を有するものとしては、3−フロロ−プロ
ピレンカーボネート、4−フロロ−プロピレンカーボネ
ート、3−ジフロロ−プロピレンカーボネート、3−フ
ロロ−4−フロロ−プロピレンカーボネート、3−ジフ
ロロ−4−フロロ−プロピレンカーボネート、4−トリ
フロロメチル−3−フロロ−エチレンカーボネート、4
−トリフロロメチル−4−フロロ−エチレンカーボネー
ト、4−トリフロロメチル−3−ジフロロ−エチレンカ
ーボネート、4−トリフロロメチル−3−フロロ−4−
フロロエチレンカーボネート等である。 【0012】第1溶媒である環状エステルとしては、他
にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブ
チレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、ビニレンカ
ーボネート、2メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル
−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等があり、
少なくとも1つの水素原子がフツ素原子で置換されたプ
ロピレンカーボネートの構造をもつものは単独もしくは
これらと混合して用いることができる。 【0013】又、第2溶媒である鎖状エステルとして
は、他にメチルエチルカーボネート、メチルプロピルカ
ーボネート、イソプロピルメチルカーボネート、メチル
ブチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルプ
ロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジプ
ロピルカーボネート、ブチルプロピルカーボネート、ジ
ブチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、
マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等
があり、ジメチルカーボネートは単独もしくはこれらと
混合して用いられる。 【0014】そして、第1溶媒の全溶媒中に占める量は
体積比で35〜55%、第2溶媒のそれは45〜65%
で、しかも、少なくとも1つ以上の水素原子がフッ素原
子と置換したプロピレンカーボネートの全溶媒に占める
割合は体積比で35〜55%で、且つ、第2溶媒中に占
めるジメチルカーボネートの体積比が40〜100%で
あることが必要てある。 【0015】更に、用いられるリチウム塩としては、有
機溶媒中で解離しリチウムイオンを供給するものであれ
ば良く、LiClO4、LiBF4、LiPF6、Li
AsF6、LiCl、LiBr等の無機リチウム塩、及
びLi(C6H5)、LiN(SO2CF3)2、Li
C(SO2CF3)3、LiOSO2CF3、LiOS
O2C2F5、LiOSO2C3F7、LiOSO2C
4F9、LiOSO2C5F11、LiOSO2C6F
13、LiOSO2C7F15等の有機リチウム塩があ
る。そしてフッ素原子を持つリチウム塩が安全性の面で
好ましく、特にLiPF6は導電率が高いことから、L
iPF6単独或いはLiPF6を主成分として他のリチ
ウム塩との混合リチウム塩を用いることが好ましい。 【0016】又、正極活物質には、LiCoO2、Li
NiO2、LiMnO2、LiMn2O4等のリチウム
含有複合酸化物、TiO2、MnO2、MoO3、V2
O5、TiS2、MoS2等のカルコゲン化合物等のリ
チウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出できるものが用
いられ、放電電圧が高く、電気化学的安定性の高いLi
CoO2、LiNiO2、LiMnO2等のα−NaC
rO2構造を有するリチウム化合物やLiMn2O4等
が好ましい。 【0017】 【作用】ハロゲン系有機溶媒は不燃剤、或いは難燃剤と
して一般に知られており、従って、使用される電解液
に、フッ素原子を持つ溶媒を使用することで難燃性を持
ち自己消火性を持つことが考えられる。しかしリチウム
二次電池の電解液溶媒として少なくとも1つの水素がフ
ツ素で置換されたプロピレンカーボネートの構造を有す
るもの単独では粘度が高く、極めて小さい電流での充放
電は出来るも、比較的大きい電流での充放電では、所定
の容量得られず、低粘度の溶媒と混合してその粘度を調
整することが必要である。そして低粘度溶媒として鎖状
エステルを種種混合して自己消火性を確認したところ、
ジメチルカーボネートを混合した場合にのみ自己消火性
を示すことを見出した。本発明の作用は明らかではない
が、上記少なくとも1つの水素がフツ素で置換されたプ
ロピレンカーボネートの構造を有するものとジメチルカ
ーボネートの混合による相互作用によるものと考えられ
る。 【0018】更に、それぞれ溶媒の量を検討すべく種種
の実験を繰り返した結果、第1溶媒としての少なくとも
1つの水素がフツ素で置換されたプロピレンカーボネー
トの構造を有するものは、全溶媒中のその体積比で35
〜55%が必要である。35%未満では自己消火性がな
く、55%を越えた場合は内部抵抗が増加し電池特性が
低下する。 【0019】又、第1溶媒として、更に他の環状エステ
ルを混合して使用しても良い。この環状エステルは高誘
電率溶媒であり、溶質であるリチウム塩を解離する機能
を有するものであるが、少なくとも1つの水素がフツ素
で置換されたプロピレンカーボネートの構造を有するも
のを含む第1溶媒の量は、全溶媒中の体積比で35〜5
5%の範囲である。35%未満ではリチウム塩の解離度
が低下し内部抵抗を増大させ十分な容量を取り出し難く
なり、又、55%を越えた場合は粘度が高くなりリチウ
ムイオンの移動度が低下し内部抵抗を増大させてしま
う。 【0020】一方、第2溶媒は、上記第1溶媒の粘度を
低減させ導電率を大きくする為に必要なものであるが、
その量は、全溶媒中に体積比で45〜65%の範囲であ
り、45%未満の場合は減粘効果が十分得られず、又6
5%を越えると上記第1溶媒の量を減らすことになると
共に、リチウム塩の解離度を低下させ、内部抵抗の増大
をもたらす為である。 【0021】そして、この第2溶媒中のジメチルカーボ
ネートの量は体積比て40〜100%が必要で、第2溶
媒中におけるジメチルカーボネートの量が40%未満で
は、自己消火性がなく、十分な効果が得られない為であ
る。 【0022】 【試験例】本発明の電池に使用される電解液の自己消火
性を確認するために次の試験をした。 【0023】リチウム塩としてLiPF6を用い、これ
を表1に記載される各種混合溶媒に溶解してリチウム塩
濃度が1mol/lとなる様に電解液を調合した。混合
比は溶媒の体積比を示す。 【0024】尚、表1中、3−フロロ−4−フロロ−P
Cは3−フロロ−4−フロロ−プロピレンカーボネート
を、3−フロロ−PCは3−フロロ−プロピレンカーボ
ネートを、ECはエチレンカーボネートを、PCはプロ
ピレンカーボネートを、DMCはジメチルカーボネート
を、MECはメチルエチルカーボネートを、DMEは
1,2−ジメトキシエタンを、i−PMCはイソプロピ
ルメチルカーボネートをそれぞれ示す。 【0024】 【表1】【0025】この様に調合した電解液の自己消火性を確
認する為に、各電解液を紙に含浸させ、これをバーナー
の火炎に当てた後火炎を止めた時に含浸された電解液が
燃え続けるか消えるかによって、自己消火性を確認した
結果を表2に示す。 【0026】 【表2】【0027】表2からも明らかな如く、従来の電池に使
用されている電解液を用いた従来例A〜Dのものはバー
ナーの火炎を止めても燃え続けたのに対し、本発明電池
に使用される電解液を用いた実施例A〜Rのものは何れ
も火炎を止めた後は炎が上がることなくすぐに消え、自
己消火性が確認された。 【0028】第2溶媒としてジメチルカーボネート(D
MC)以外のものを用いた比較例A〜Bのものは自己消
火性は確認できず燃え続けた。又、DMCの量を第2溶
媒中の体積比で30%の電解液を用いた比較例Gのもの
は燃え続けた。従ってDMCの量は第2溶媒中に体積比
で、実施例Lに示す通り40%以上必要である。更に、
3−フロロ−4−フロロ−プロピレンカーボネートの量
を全溶媒中の体積比で30%とした電解液を用いた比較
例D〜Fのものも燃え続けた。従ってフッ素で置換した
プロピレンカーボネートの量は体積比で35%以上必要
である。 【0029】 【実施例】正極活物質としてLiCoO2粉末、導電材
としてグラファイト粉末、結着剤としてポリフッ化ビニ
リデン樹脂、結着剤の溶剤としてN−メチルピロリドン
をホモジナイザーで攪拌混合してスラリー状正極活物質
合剤を得、これをアルミニウム箔からなる集電体の一方
の片面にスロットダイコーダーを用いて塗布した後、1
00℃のオーブンで乾燥し、溶剤を除去した後、同様の
方法で他の片面にも塗布及び溶媒除去を行い集電体の両
面に正極活物質合剤を塗布した。これをローラープレス
で圧延処理して塗布した正極活物質合剤を均一にし、こ
れを真空オーブン中で熱処理して水分を除去して正極を
得た。 【0030】一方、負極は、リチウムイオンを電気化学
的に吸蔵・放出できる炭素粉末とスチレン・ブタジエン
ゴム系樹脂及び酢酸エチルとをホモナイザーで攪拌混合
してスラリー状負極活物質合剤を得、これを銅箔からな
る集電体にスロットダイコーダーを用いて一方の片面に
塗布した後オーブンで乾燥して溶剤を除去した。同様の
操作で他方の片面にも塗布及び溶剤除去を行い集電体の
両面に負極活物質合剤を塗布した。これを熱処理により
合剤中のスチレン・ブタジエンゴム系樹脂を硬化させ、
加熱ローラープレスにより圧延処理して負極活物質合剤
の均一化を行い、これを熱処理して水分除去し負極を得
た。 【0031】この様にして得た正極と負極を三次元空孔
構造を(海綿状)を有するポリオレフィン系(ポリプロ
ピレン、ポリエチレンまたはこれらの重合体)の微多孔
性フィルムからなるセパレーターを介して積層し、これ
を巻回して極板群を構成し、有底円筒状のステンレス容
器に挿入して容器の開口部を閉塞してAAサイズの定格
容量500mAhのリチウム二次電池を組み立てた。 【0032】この電池には、それぞれ、前記表1に記載
される実施例A〜I、従来例AとB及び比較例CとDの
構成を有する電解液を注入した。 【0033】これらの電池を25℃の温度で0.2Cm
Aの電流で、電池電圧が4.1Vになるまで充電し、1
0分間の休止後、同一電流で2.75Vになるまで放電
し、10分間の休止後再び充電すると言う充放電サイク
ルを繰り返しそれぞれの電池の放電特性を測定した。 【0034】図1は充放電が安定する10サイクル目の
放電特性である。本発明品である実施例A〜Iで示され
るものは、従来品である従来例Aで示される特性とほぼ
同等またはそれ以上の特性を示し、本発明品は比較的大
きな電流でも十分放電容量が大きいことがわかる。尚、
電解液の溶媒としてフッ素で置換されたプロピレンカー
ボネートの構造を有するものの量が全溶媒中に体積比で
60%である比較例Cの電解液を用いた電池及び30%
である比較例Dの電解液を用いた電池は図1に比較例
C、Dとして示される通り放電容量が小さかった。これ
は、比較例Cの如くフッ素で置換されたプロピレンカー
ボネートの構造を有するものの量が多い場合は電解液粘
度が高くなり電池の内部抵抗が大きく、充放電時の分極
が大きくなる為と思われる。一方、比較例Dの如くフッ
素で置換されたプロピレンカーボネートの構造を有する
ものの量が少ない場合は、電解液中の高誘電率成分が少
なくなり、リチウム塩が十分に解離せず電解液の導電率
が小さく電池の内部抵抗が大きくなり十分な充放電反応
が行われなかった為と思われる。 【0035】従って、フッ素で置換されたプロピレンカ
ーボネートの構造を有するものの全溶媒に対する体積否
は35〜55%であることが必要である。 【0036】又、同様の理由によって、フッ素で置換さ
れたプロピレンカーボネート構造を有するものを含めた
第1溶媒である環状エステルの合計量も全溶媒に対する
体積比は35〜55%であることが必要である。 【0037】更に、前記と同様に表1中に実施例J〜R
の構成を有する電解液を用いたリチウム二次電池につい
ても同様の充放電を行った結果は図2の通りである。図
2も10サイクル目の放電特性であるが、前記実施例A
〜Iの場合と同様の特性であることが判る。 【0038】尚、上記実施例では、少なくとも1つの水
素原子がフッ素原子で置換されたプロピレンカーボネー
トの構造を有するものとして3−フロロ−4−フロロ−
プロピレンカーボネート及び3−フロロ−プロピレンカ
ーボネートを用いた例を示したが、他のものを用いても
同様の効果がある。又、正極及び負極として他のものを
用いても同様の効果があった。 【0039】 【発明の効果】以上の如く本発明によれば、電池特性を
何ら損なうことなく或いは特性を向上し得、且つ自己消
火性のある安全性の高いリチウム二次電池を得ることが
出来るという効果を奏するものである。
ル目の放電特性図 【図2】 本発明のその他の実施例と従来例の10サイ
クル目の放電特性図
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 金属リチウム、リチウム合金及び電気化
学的にリチウムイオンを吸蔵・放出できる炭素材料から
なる群より選択される1種又は2種以上を活物質とする
負極と、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出でき
る物質の1種又は2種以上からなる正極と、有機電解液
とからなるリチウム二次電池において、該有機電解液
が、環状エステルの1種又は2種以上からなる第1溶媒
と、鎖状エステルの1種又は2種以上からなる第2溶媒
との混合溶媒に、1種又は2種以上のリチウム塩を有す
る溶質を溶解したものであり、該第1溶媒は少なくとも
1個の水素をフッ素で置換されたプロピレンカーボネー
トの構造を有するもの(4−トリフロロメチル−エチレ
ンカーボネートは除く)を少なくとも有し、該第2溶媒
はジメチルカーボネートを少なくとも有し、全溶媒中に
占める第1溶媒の体積比は35〜55%、第2溶媒の体
積比は45〜65%であり、且つ、フッ素で置換された
ピロピレンカーボネート構造を有するものの全溶媒に占
める体積比は35〜55%、ジメチルカーボネートの第
2溶媒中に占める体積比は40〜100%であることを
特徴とするリチウム二次電池。
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