JP3368156B2 - 加熱定着装置 - Google Patents

加熱定着装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱定着装置に関
するものである。より詳しくは、フィルムを介して記録
材シート等の被加熱体に熱エネルギーを付与する加熱定
着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、電子写真、静電記録、磁
気記録等の適宜の作像プロセスを用いた複写機、プリン
タ、ファクシミリ等の画像出力装置において、記録材に
転写方式あるいは直接方式で形成担持させたトナー像を
記録材面に定着させる定着装置(像加熱装置)としては
熱ローラ方式の加熱装置が用いられてきた。
【0003】この熱ローラ方式の加熱装置は、内部にヒ
ータを備えた金属製のローラと、それに圧接する弾性を
持つ加圧ローラを基本構成として、この一対のローラに
より形成される定着ニップ部(圧接ニップ部)に被加熱
部材としての記録材を導入して挟持搬送、通過させるこ
とにより、トナー像を加熱、加圧して定着させるもので
ある。
【0004】しかし、このような熱ローラ方式の加熱装
置では、ローラの熱容量が大きいためにローラ表面を定
着温度まで上昇させるのには非常に多くの時間を要して
いた。また、このため、画像出力動作を速やかに実行す
るためには、装置を使用していないときにもローラ表面
をある程度の温度に温調していなければならないという
問題点があった。
【0005】そこで、これらの問題点を解決するために
提案された加熱方式、装置として、本出願人の先の出願
に係る例えば特開昭63−313182号公報、特開平
2−157878号公報等に開示のフィルム加熱方式、
装置が挙げられる。
【0006】このフィルム加熱方式の加熱装置は通常、
薄肉の耐熱性フィルムと、このフィルムの一方面側に固
定支持して配置された加熱体(以下、ヒータと記す)
と、他方面側にヒータに対向して配置された、ヒータに
対してフィルムを介して被加熱部材を密着させる加圧部
材とからなっている。
【0007】そして、フィルムを挟んで加圧部材との圧
接で形成される圧接ニップ部のフィルムと加圧部材との
間に、被加熱部材、例えば像加熱装置にあってはトナー
像を形成担持させた記録材を導入して通過させることに
より、記録材の顕画像担持体面がフィルムを介してヒー
タで加熱され、未定着画像に熱エネルギーが付与され、
トナーが軟化、溶融して画像の加熱定着がなされる。
【0008】このようなフィルム加熱方式の加熱装置
(定着装置)は、ヒータに低熱容量のものを用いること
ができ、従来の熱ローラ方式の加熱装置に比べて、ウェ
イトタイムの短縮化(クイックスタート)が可能とな
り、また、省エネルギー化ができる等の特徴がある。
【0009】さらに最近は、該フィルム自体を発熱させ
ることでフィルムが熱抵抗とならないようにして熱効率
を向上させた電磁誘導加熱方式・フィルム加熱方式の加
熱定着装置が提案されている。
【0010】これは磁性体である芯材とコイルを組み合
わせることによって発生する磁場を励磁回路で変化さ
せ、その磁場の中を移動する導電部材(誘電体磁性材、
磁性金属材、磁界吸収導電材)としてのフィルム中の導
電層に渦電流を発生させるものである。この渦電流が導
電層の電気抵抗によって熱(ジュール熱)に変換され、
結果的に被加熱体に密着するフィルムのみが発熱する加
熱装置であり、熱効率が優れている。
【0011】以上のように、画像形成装置に用いられる
定着装置においては、加熱方式はそれぞれ異なるもの
の、定着ニップ部に記録材を導入して加熱する点は共通
しており、いずれの定着装置においても、良好な定着を
行うために記録材先端を均一に定着ニップ部に突入させ
る必要がある。
【0012】そこで、上記各定着装置には、上記定着ニ
ップ部に記録材先端を導入するための定着入口ガイドが
設けられており、この定着入口ガイドの形状は記録材先
端を均一に定着ニップ部に突入させるためにストレート
形状となっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の装置においては、一般的にプロセススピードの高速
化、またはそれに伴う高温並びに高圧環境下、あるいは
高温高湿環境下、もしくは被加熱材が吸湿している状況
では、薄い紙を用いたときなどにが発生してしまう場
合があった。
【0014】また、両面定着時には1面目定着時によっ
て生じるカール、クリンプによる影響により、2面目定
着時にが発生する頻度は高くなることがあった。
【0015】そこで、本発明は、記録材が該定着ニップ
部に導入通過した際に生じるを発生させることのない
加熱定着装置を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本出願に係る第1の発明
によれば、上記目的は、支持体に支持された加熱体と、
支持体の周囲に外嵌された耐熱性フィルムと、耐熱性フ
ィルムを介して加熱体に圧接するように配設された加圧
ローラと、耐熱性フィルムと加圧ローラの間の定着ニッ
プ部に記録材を案内する定着入口ガイドとを備え、未定
着画像を担持した記録材を定着入口ガイド上を介して定
着ニップ部に案内し、定着ニップ部を通過させることに
より記録材に加熱体の熱エネルギーを付与して熱定着さ
せる加熱定着装置において、上記定着ニップ部の形状は
上記加圧ローラの撓みに沿って凹形状になっており、
記定着入口ガイドの先端形状は、上記加圧ローラの長手
方向に対する両端部が、中央部よりも高い形状であるこ
とにより達成される。
【0017】
【0018】また、本出願に係る第の発明によれば、
上記目的は、励磁コイルと、励磁コイルを支持する支持
体と、励磁コイルが生成する磁場中を移動する導電層を
有するフィルムと、フィルムを介して支持体に圧接する
ように配設された加圧ローラと、フィルムと加圧ローラ
の間の定着ニップ部に記録材を案内する定着入口ガイド
とを備え、未定着画像を担持した記録材を定着入口ガイ
ド上を介して定着ニップ部に案内し、定着ニップ部を通
過させることにより記録材にフィルムの熱エネルギーを
付与して熱定着させる加熱定着装置において、 上記定着
ニップ部の形状は上記加圧ローラの撓みに沿って凹形状
になっており、上記定着入口ガイドの先端形状は、上記
加圧ローラの長手方向に対する両端部が、中央部よりも
高い形状であることにより達成される。
【0019】
【0020】また、本出願に係る第1及び第2の発明に
おいては、上記圧接部は、フィルムを介して加熱体と加
ローラとの間に形成されるが、その際、該圧接部の形
状が加圧ローラの撓みに沿って加圧ローラの長手方向に
若干凹型となっており、また、これに加えて、該圧接部
の凹型に沿うように定着入口ガイド長手形状の両端部
高くなっているので、記録材が定着ニップ部の形状に
沿って進入するようになり、記録材に余分なストレスを
与えることなく、記録材の中央部へのよれを防ぎ、
発生を防止する。
【0021】
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0023】(第1の実施形態)まず、本発明の第1の
実施形態を図1ないし図3に基づいて説明する。図2は
フィルム加熱定着装置の概略断面図である。1はエンド
レスの耐熱性フィルムであり、該フィルム1は加熱体3
を支持する加熱体支持体2に外嵌させてある。
【0024】このエンドレスの耐熱性フィルム1の内周
長と加熱体3を含む加熱体支持体2の外周長は、フィル
ム1の方を例えば3mm程度大きくしてあり、従ってフ
ィルム1は加熱体支持体2に対し周長が余裕をもってル
ーズに外嵌している。
【0025】また、このフィルム1は、熱容量を小さく
してクイックスタート性を向上させるために、フィルム
膜厚が100μm以下、好ましくは50μm以下20μ
m以上となっており、耐熱性のあるPTFE、PFA、
FEPの単層フィルム、あるいはポリイミド、ポリアミ
ドイミド、PEEK、PES、PPS等の外周表面にP
TFE、PFA、FEP等をコーティングした複合層フ
ィルムを使用できる。本実施形態ではポリイミドフィル
ムの外周表面にPTFEをコーティングしたものを用い
た。
【0026】また、加熱体3は、アルミナ等でできた基
板8の表面に、例えばAg/Pd(銀パラジウム)等の
電気抵抗材料6を厚み約10μm、幅1〜3mmにスク
リーン印刷等により塗工し、その上に保護層7としてガ
ラスやフッ素樹脂等をコートしてある。
【0027】そして、該加熱体3には、該加熱体3との
間でフィルム1を挟んでニップNを形成する加圧部材と
しての加圧ローラ4が圧接するように配設されている。
該加圧ローラ4は、芯金4−aとシリコーンゴム等の離
型性の良い耐熱ゴム4−bからなり、芯金4−aの端部
より駆動手段(図示せず)の駆動力を得て回転駆動し、
フィルム1を従動回転させる。
【0028】また、上記加熱体3上には、サーミスタ5
が設けられており、該サーミスタ5の出力をA/D変換
してCPU10に取り込み、その情報をもとにトライア
ック11により加熱体3に通電するAC電圧を位相制御
あるいは波数制御等でパルス幅変調し、加熱体3への通
電電力を制御することで温度制御を行っている。
【0029】そして、以上のようにフィルム1を介して
加熱体3と加圧ローラ4との間に形成される定着ニップ
部の前方には、定着入口ガイド12が配設されており、
本実施形態では図1のように定着入口ガイド12の長手
方向の形状は端部高となっている。
【0030】図5に示すような長手方向にストレートな
従来の定着入口ガイドでは、プロセススピードの高速
化、及びそれに伴う高温並びに高圧環境下、あるいは高
温高湿環境下、もしくは被加熱材が吸湿している状況で
は、記録材として薄い紙を用いたときなどにが発生し
てしまう場合があった。また両面時には1面目定着時に
よって生じるカール、クリンプによる影響により、より
が発生する頻度は高くなることがあった。
【0031】しかしながら、本実施形態のように定着入
口ガイド12の長手方向の形状を端部高とすることによ
り、記録材の長手方向の両端部をある一定の高さに維持
しニップNを通過させることで、記録材中央部へのよれ
を防ぎの発生を防止することが可能となる。
【0032】この防止の効果は、次のような実験にお
いて確認されている。実験で使用した装置はプロセスス
ピード36mm/secのものであり、通常環境J/J
と、高温高湿環境H/H(温度32.5℃、湿度85
%)との異なる環境で実験を行った。また、実験に当た
っては、本発明の実施例として、中央部に対して端部を
0.6mm高くした定着入口ガイドを用い、両面定着を
行った。
【0033】表1、表2はそれぞれの実験環境におけ
る、記録材の種類と定着入口ガイド形状に対する両面時
の発生率を示したものである。
【0034】評価方法は、コールドスタートから連続5
0枚プリントし、1面目で発生したカール、クリンプを
手で修正し、即2面目を連続プリントした時の2面目の
定着紙の発生枚数Xを、X/50と表したものであ
る。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】表1、表2で示したように、どちらの環境
においても、図5で示した定着入口ガイドの長手形状が
ストレートである従来構成の定着装置よりも、本実施形
態で用いた長手形状が端部高である図1の定着入口ガイ
ドを有する定着装置の方が、両面時のの発生率が低
く、特にH/H環境下でのH/H放置紙を用いた場合な
どの吸湿に対してきびしい条件下で、著しく効果がある
ことがわかった。
【0038】これは、特にフィルム定着などにおいて
は、定着ニップ形状は加圧ローラの撓みに沿って若干凹
型になっていて、本実施形態においてはこのニップの凹
型に沿うように定着入口ガイドの長手形状を端部高とす
ることによって記録材に余分なストレスを与えることな
く自然にニップを通過させることが可能となったためで
ある。
【0039】また、本実施形態で用いた定着装置は図2
に示した構成のものを用いたが、図3のようなフィルム
内にテンションローラ14、15を設け、該テンション
ローラ14、15によりフィルム駆動し、加圧ローラ4
は従動とする構成をとるものであっても良い。
【0040】(第2の実施形態)次に、本発明の第2の
実施形態を図4に基づいて説明する。なお、第1の実施
形態との共通箇所には同一符号を付して説明を省略す
る。
【0041】本実施形態で用いた加熱定着装置を図4に
示す。本実施形態は第1の実施形態で用いた加熱体を、
固定支持された励磁コイル21が生成する磁場中を移動
する導電層を有するフィルム1と、このフィルム1に記
録材を密着加圧してこのフィルム1の導電層に発生する
渦電流で記録材を加熱する磁気誘導加熱体とすることを
特徴とする加熱定着装置である。
【0042】この場合も第1の実施形態と同様な結果が
得られ、図5で示した定着入口ガイドの長手形状がスト
レートである従来構成の定着装置よりも、本実施形態で
用いた長手形状が端部高である図1の定着入口ガイドを
有する定着装置構成の方が、両面時のの発生率を低く
抑えることができた。
【0043】一般に、その加熱体の構成によらず、この
ような定着入口ガイドの長手形状を端部高とすること
で、記録材の、特に高温高湿環境下での両面時の
発生を抑えることが可能となった。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本出願に係る第1
及び第2の発明においては、上記圧接部は、フィルムを
介して加熱体と加圧ローラとの間に形成されるが、その
際、該圧接部の形状が加圧ローラの撓みに沿って加圧ロ
ーラの長手方向に若干凹型となっており、また、これに
加えて、該圧接部の凹型に沿うように定着入口ガイドが
長手形状の両端部高くなっているので、記録材が定着
ニップ部の形状に沿って進入するようになり、記録材に
余分なストレスを与えることなく、記録材の中央部への
よれを防ぎ、皺の発生を防止する。
【0045】
【0046】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態に
用いた定着入口ガイドの正面概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるフィルム加熱
定着装置の概略断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における別構成のフィ
ルム加熱定着装置の概略断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における磁気誘導フィ
ルム加熱定着装置の概略断面図である。
【図5】従来のフィルム加熱定着装置の定着入口ガイド
正面概略図である。
【符号の説明】
1 フィルム(耐熱性フィルム、導電層を有するフィル
ム) 2 加熱体支持体 3 加熱体 4 加圧ローラ(加圧部材) 12 定着入口ガイド 21 励磁コイル P 記録材

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体に支持された加熱体と、支持体の
    周囲に外嵌された耐熱性フィルムと、耐熱性フィルムを
    介して加熱体に圧接するように配設された加圧ローラ
    と、耐熱性フィルムと加圧ローラの間の定着ニップ部に
    記録材を案内する定着入口ガイドとを備え、未定着画像
    を担持した記録材を定着入口ガイド上を介して定着ニッ
    プ部に案内し、定着ニップ部を通過させることにより記
    録材に加熱体の熱エネルギーを付与して熱定着させる加
    熱定着装置において、上記定着ニップ部の形状は上記加圧ローラの撓みに沿っ
    て凹形状になっており、 上記定着入口ガイドの先端形状
    は、上記加圧ローラの長手方向に対する両端部が、中央
    部よりも高い形状であることを特徴とする加熱定着装
    置。
  2. 【請求項2】 励磁コイルと、励磁コイルを支持する支
    持体と、励磁コイルが生成する磁場中を移動する導電層
    を有するフィルムと、フィルムを介して支持体に圧接す
    るように配設された加圧ローラと、フィルムと加圧ロー
    ラの間の定着ニップ部に記録材を案内する定着入口ガイ
    ドとを備え、未定着画像を担持した記録材を定着入口ガ
    イド上を介して定着ニップ部に案内し、定着ニップ部を
    通過させることにより記録材にフィルムの熱エネルギー
    を付与して熱定着させる加熱定着装置において、 上記定着ニップ部の形状は上記加圧ローラの撓みに沿っ
    て凹形状になっており、上記定着入口ガイドの先端形状
    は、上記加圧ローラの長手方向に対する両端部が、中央
    部よりも高い形状であることを特徴とする 加熱定着装
    置。
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