JP3367999B2 - X線定量分析方法及び装置 - Google Patents

X線定量分析方法及び装置

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JP3367999B2 JP19775593A JP19775593A JP3367999B2 JP 3367999 B2 JP3367999 B2 JP 3367999B2 JP 19775593 A JP19775593 A JP 19775593A JP 19775593 A JP19775593 A JP 19775593A JP 3367999 B2 JP3367999 B2 JP 3367999B2
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明秀 土性
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理学電機株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、X線回折を利用して
複数の成分からなる被検試料の定量分析を行うX線定量
分析方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】X線回折を利用した定量分析において、
最も一般的な分析条件は、N成分を含んだ被検試料を分
析する場合であって、しかも、被検成分と他の成分との
質量吸収係数が異なる場合である。このような一般的な
条件においては、定量分析方法の種類として、吸収回折
法と、内部標準法と、標準添加法とが知られている。吸
収回折法は、被検試料の平均の質量吸収係数(μ/ρ)
を実測してこれを利用する方法である。内部標準法は、
被検試料に一定量の既知物質を混入させる方法である。
標準添加法は、被検試料に一定量の被検成分の純粋物質
を一定量だけ添加する方法である。この発明は、このう
ち吸収回折法に関するものである。
【0003】吸収回折法では被検試料の平均の質量吸収
係数(μ/ρ)を実測する必要があるが、質量吸収係数
を直接測定することはできないので、実際には、被検試
料のμt(ただし、μは被検試料の平均の線吸収係数、
tは被検試料のX線透過方向の厚さ)と、被検試料のρ
t(ただし、ρは被検試料の平均密度、tは被検試料の
X線透過方向の厚さ)とを別個に求めて、(μ/ρ)を
算出している。この場合、被検試料のμtを求めるに
は、吸収法によって被検試料のX線吸収割合を測定すれ
ばよい。被検試料のρtを求めるには被検試料の重量測
定を行えばよい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の吸収
回折法では、被検試料のμtを求めるために吸収法のX
線分析装置を用いており、その後、X線回折装置を用い
て被検試料の回折線強度を求めていた。すなわち、定量
分析のためのX線回折装置のほかに、μt測定用の吸収
法のX線分析装置が必要であった。
【0005】この発明の目的は、吸収回折法を用いて被
検試料の定量分析をする場合に、吸収測定によるμtの
測定と、被検成分の回折線強度の測定とを、同一のX線
分析装置で可能にすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】吸収回折法によれば、被
検試料中の被検成分(J成分)の定量値AJ(重量%)
は次の式(1)で求めることができる。
【0007】
【数1】 AJ =(IJ/IJP)・((μ/ρ)/(μ/ρ)JP) /(1−exp(−2μt/sinθJ)) …(1) ここで、IJ :J成分の回折線強度(測定値) IJP:J成分の純粋物質の回折線強度(測定値) (μ/ρ):被検試料の平均の質量吸収係数(測定値) (μ/ρ)JP:J成分の純粋物質の質量吸収係数(計算
値) μ:被検試料の平均の質量吸収係数 ρ:被検試料の平均密度 t:被検試料の厚さ θJ :J成分の回折線角度(2θJ)の2分の1(計算
値)
【0008】(μ/ρ)は直接測定できないが、ρtと
μtとをそれぞれ測定することができ、(μ/ρ)=μ
t/ρtで計算できる。ρtは被検試料の重量Wと面積
Sとからρt=W/Sで計算できる。μtはX線の吸収
量から次の式(2)で計算できる。
【0009】
【数2】μt=−ln(Tb/Ta) …(2) ここで、ln:自然対数関数 Tb:被検試料透過後のX線強度(測定値) Ta:被検試料透過前のX線強度(測定値)
【0010】また、試料が十分厚い場合には、上述の式
(1)を簡略化して次の式(3)で近似できる。
【0011】
【数3】 AJ =(IJ/IJP)・((μ/ρ)/(μ/ρ)JP) …(3)
【0012】この発明は、以上の原理に基づいて被検試
料の定量分析を実施するものであるが、これらの原理自
体はすでに知られているものである。この発明の特徴
は、同一のX線分析装置を用いて、吸収測定によるμt
の測定と回折線強度測定とを実施できるようにしたこと
にある。
【0013】第1の発明は、複数の成分からなる被検試
料の定量分析を行うX線定量分析方法において、次の各
段階を有するものである。 (イ)被検試料のρt(ただし、ρは被検試料の平均密
度、tは被検試料のX線透過方向の厚さ)を測定する段
階。 (ロ)X線源からのX線をゴニオメータの中心に配置し
たモノクロメータで反射させて単色化し、その反射X線
の通路上に被検試料がないときの反射X線の強度Taを
測定する段階。 (ハ)X線源からのX線を前記モノクロメータで反射さ
せて単色化し、被検試料をその面内で動かしながら、前
記単色化したX線が被検試料を透過した後の強度Tbを
測定する段階。 (ニ)TaとTbから被検試料のμt(ただし、μは被
検試料の平均の線吸収係数、tは被検試料のX線透過方
向の厚さ)を求める段階。 (ホ)ゴニオメータの中心に被検成分のみからなる純粋
試料を配置して、X線源からのX線を純粋試料に照射
し、そこからの回折X線の強度IJPを測定する段階。 (ヘ)ゴニオメータの中心に被検試料を配置して、被検
試料をその面内で動かしながら、X線源からのX線を被
検試料に照射し、そこからの回折X線の強度IJを測定
する段階。 (ト)被検成分の質量吸収係数(μ/ρ)JPと、これま
でに求めたρt、μt、IJP、IJとに基づいて、被検
試料中の被検成分の重量割合AJを求める段階。
【0014】この発明では、重量測定による被検試料の
ρtの測定と、吸収測定による被検試料のμtの測定
と、回折測定による純粋試料および被検試料の回折線強
度の測定とを行っているが、これらの測定の間の時間的
前後関係は任意である。すなわち、重量測定と吸収測定
と回折測定は、どの順番で実施しても構わない。
【0015】第2の発明は、第1の発明における純粋試
料の代わりに、被検試料の成分とは異なる標準試料を用
いて、標準試料からの回折X線の強度ISを測定し、被
検成分の質量吸収係数(μ/ρ)JPと、これまでに求め
たρt、μt、IS、IJと、被検成分と標準試料とが異
なることに起因する補正係数とに基づいて、被検試料中
の被検成分の重量割合AJを求めるものである。すなわ
ち、この場合は被検成分と標準試料とが異なっているの
で、上述の式(1)及び式(3)はそのままでは使えな
い。そこで、純粋試料を使えば得られるであろう回折線
強度IJPと、標準試料を用いて測定した回折線強度IS
との比率を、補正係数CPSで補正してやればよい。例え
ば、上述の式(3)は次の式(4)のように変更する。
【0016】
【数4】 AJ =(IJ/(CPSS))・(μt/ρt)/(μ/ρ)JP …(4) ただし、CPSは被検成分と標準試料とが異なることによ
る補正係数
【0017】第3の発明は、複数の成分からなる被検試
料の定量分析を行うX線定量分析装置において、次の構
成を有するものである。 (イ)X線源と試料台とX線検出器との相対位置関係を
変化させて試料台に配置した試料からの回折X線の強度
を測定できるようにしたX線回折測定系。 (ロ)試料台に着脱可能なモノクロメータ。 (ハ)試料台とX線検出器との間に配置された吸収測定
台。 (ニ)試料台と吸収測定台のいずれにも着脱可能な試料
ホルダー。 (ホ)試料ホルダーを試料台と吸収測定台のいずれに装
着した場合でも、試料ホルダーに取り付けた被検試料を
その面内で動かすことができる試料運動機構。
【0018】
【作用】この発明は、被検成分の回折線強度を測定する
ためのX線回折光学系を用いて、被検試料のμtも測定
できるようにしたものであり、これにより、吸収測定と
回折測定の両方を同一のX線分析装置で可能にしたもの
である。実際の手順は、重量測定により被検試料のρt
を求め、吸収測定により被検試料のμtを求め、回折測
定により被検成分の純粋試料の回折線強度を求め、回折
測定により被検試料中の被検成分からの回折線強度を求
めて、最後に、これら測定データを基にして、被検試料
中の被検成分の重量割合を算出するものである。その
際、吸収測定にあっては、通常のX線回折測定の光学系
を用いて、ゴニオメータ中央の試料台にモノクロメータ
を配置して、このモノクロメータとX線検出器との間に
被検試料を配置して吸収測定をするようにしている。回
折測定を行う場合は、試料台に純粋試料や被検試料を配
置することになる。
【0019】装置構成としては、試料台とX線検出器の
間に吸収測定台を設けて、試料ホルダーを試料台と吸収
測定台のいずれに装着した場合でも、試料ホルダーに取
り付けた被検試料をその面内で動かすことができるよう
にしている。これにより、吸収測定及び回折測定におい
て、測定中は被検試料をその面内で回転運動または並進
往復運動をさせることができ、被検試料のX線照射領域
を平均化して、測定結果の信頼性を高めている。
【0020】
【実施例】次に、原子炉の排水を濾過するためのフィル
ターに付着した付着物の定量分析を例にとって、本発明
の実施例を説明する。この付着物(以下、被検試料とい
う。)の定量分析をするには、被検試料にどのような成
分が含まれているかをあらかじめ知る必要がある。この
被検成分はすでに分かっている場合もあるが、もし分か
っていなければ、あらかじめ定性分析によって被検成分
を特定しておく必要がある。この実施例では、被検試料
には表1に示すような4種類の被検成分が含まれてい
る。
【0021】
【表1】 被検成分 回折角度(2θJ ) 質量吸収係数(μ/ρ)JP [cm2/g] Fe3 4 35.4° 226.0 γFeOOH 14.1° 197.8 αFeOOH 21.2° 197.8 Fe23 24.2° 218.9
【0022】質量吸収係数(μ/ρ)JPはX線の波長に
依存するが、表1ではCuKα線を用いたときの値を示
してある。各元素の質量吸収係数は公知であり、また、
化合物の質量吸収係数は、元素の質量吸収係数を用いて
公知の計算式から容易に求めることができる。
【0023】次に、被検試料のρtの決定方法を説明す
る。被検試料のρtは次の式(5)で求めることができ
る。フィルターの重量は天秤で測定する。
【0024】
【数5】ρt=(Wb−Wa)/S …(5) ここで、ρ:被検試料の平均密度 t:被検試料の厚さ Wb:被検試料の付着しているフィルターの重量 Wa:被検試料の付着していないフィルターの重量 S:被検試料が付着したフィルター部分の面積
【0025】次に、X線定量分析装置の基本構成を説明
する。図1は、この実施例のX線定量分析方法におい
て、上述のρtの決定以後の吸収測定から回折測定に至
るまでの手順を示した平面図である。
【0026】図1(A)において、試料台12とX線検
出器14は1対2の角度比で回転できるようにゴニオメ
ータに搭載されている。X線源10からのX線は、発散
スリト16を通過して、試料台12上の試料に照射さ
れ、そこからの回折X線は受光スリット18を通過して
X線検出器14で検出される。すなわち、このX線定量
分析装置は、基本的な回折測定光学系を備えている。さ
らに、試料台12とX線検出器14の間には吸収測定台
20が配置されている。この吸収測定台20と受光スリ
ット18とX線検出器14は同一の2θ回転台上に搭載
されている。X線源10としてはCuターゲットのX線
管を用いている。
【0027】次に、被検試料のμtの決定手順を説明す
る。まず、試料台12に多結晶Si板からなる標準試料
22を取り付ける。そして、Si(422)面からの回
折線が検出できるように、試料台12とX線検出器14
の角度をセットする。この場合の標準試料22は、X線
を単色化させるためのモノクロメータとしての役割を果
たしている。未使用フィルターを取り付けた試料ホルダ
ー24aは,吸収測定台20に取り付ける。X線源10
から出たX線は、標準試料22で回折して、特定の波長
のX線(CuKα線)に単色化され、この回折線(反射
X線)が未使用フィルターを透過して、反射X線の通路
上に被検試料がないときの反射X線の強度として、X線
検出器14で検出される。なお,標準試料22からの回
折線は、吸収測定台20に触れることなく、この吸収測
定台20の貫通孔21を通過できるようになっている。
【0028】次に、図1(B)において、使用済みのフ
ィルター(被検試料の付着したフィルター)を取り付け
た試料ホルダー24bを吸収測定台20に取り付ける。
そして、図1(A)と同様の測定を行う。この場合、標
準試料22からの回折線は、フィルターと、これに付着
した被検試料とを通過してから、X線検出器14で検出
される。このときの検出強度をTbとする。
【0029】上述のTaとTbを基にして次の式(2)
で被検試料(すなわちフィルターを除いた付着物のみ)
のμtを計算する。
【0030】
【数6】μt=−ln(Tb/Ta) …(2) ここで、ln:自然対数関数
【0031】以上のようにして求めたρtとμtとを基
にして、被検試料の(μ/ρ)をμt/ρtで計算する
ことができる。
【0032】次に、被検成分のみからなる純粋試料の回
折線強度IJPを次のようにして測定する。図1(C)に
示すように、まず純粋試料26の粉末を試料ホルダーに
詰めて、これを試料台12に取り付けて、そのときの回
折線強度IJPを測定する。この場合、吸収測定台20に
は何も取り付けず、回折線をそのまま通過させる。
【0033】次に、上述の回折線強度IJPを測定したと
きとできるだけ同じ条件で、被検試料中の被検成分から
の回折線強度IJを次のようにして測定する。図1
(D)に示すように、使用済みのフィルター(被検試料
の付着したフィルター)を取り付けた試料ホルダー24
bを試料台12に取り付けて、そのときの回折線強度I
Jを測定する。吸収測定台20には、図1(C)と同様
に、何も取り付けない。
【0034】回折線強度IJPとIJを測定するには、被
検成分に応じて回折線角度2θJを調節する。例えば、
被検成分がFe34のときは2θJ=35.4°とす
る。そして、この回折線角度の近傍で角度走査をして、
回折ピークを計測し、その積分強度を求めて回折線強度
とする。
【0035】以上のようにして、ρt、μt、(μ/
ρ)、IJP、IJが求まったら、これらと、上述の表1
に示す(μ/ρ)JPとθJとを用いて、上述の式(1)
によって定量値AJを算出する。被検試料の厚さが十分
厚い場合は、上述の式(3)を用いて定量値を算出する
こともできる。
【0036】このようにして、4種類の被検成分のすべ
ての定量値を求めることができる。なお、被検試料のρ
tの決定、被検試料のμtの決定、(μ/ρ)の算出
は、4種類の被検成分の定量値を求める場合に共通なの
で、1回だけ実施すればよい。したがって、回折線強度
JPとIJとについてだけ、4種類の被検成分のそれぞ
れについて測定を行うことになる。
【0037】以上の実施例では、被検成分が異なるごと
に、それに対応した純粋試料を用いて回折線強度IJP
測定していたが、定量測定ごとに毎回複数の純粋試料の
回折線強度を測定するのは繁雑である。これを解決する
ために、それぞれの純粋試料を用いる代わりに、特定の
1種類の標準試料を用いる方法があり、以下、この方法
を説明する。標準試料としては、図1(A)及び(B)
でモノクロメータとして使用した多結晶Si板からなる
標準試料22を流用することができる。すなわち、この
標準試料を試料台に取り付けて、Si(111)の回折
線強度ISを検出する。それから、被検成分のみからな
る純粋試料からの回折線強度IJPと、Si(111)か
らの回折線強度ISとの比率すなわち補正係数CPSをあ
らかじめ1度だけ測定しておき、この補正係数CPSを用
いて、純粋試料の回折線強度IJPをIJP=CPS×IS
計算する。これにより、定量測定ごとに純粋試料の回折
線強度を測定する手間が省ける。この場合、定量測定ご
との各種の条件変動は、標準試料の回折線強度ISに反
映させることができる。このようにして、4種類の被検
成分のそれぞれに対応した純粋試料について回折線強度
を測定する代わりに、標準試料の回折線強度を1回だけ
測定するようにして、測定を簡便にすることができる。
【0038】次に、この実施例で使用した試料ホルダー
を説明する。図2は試料ホルダーの断面図である。この
試料ホルダーは、円形のホルダー本体28と円形のカバ
ー30とからなる。ホルダー本体28には、X線を完全
に通過させるだけの十分に広い円形の開口32がある。
カバー30にも十分に広い円形の開口34が形成されて
いる。また、カバー30の外周に等間隔に4個の弾性的
な爪36が形成されている。使用済みまたは未使用のフ
ィルター38は、カバー30とホルダー本体28の間に
挟まれて、試料ホルダーに装着される。試料ホルダーに
フィルター38を装着するときには、弾性的な爪36を
外側に開くようにする。ホルダー本体28は磁石になっ
ており、試料台に設けた回転台40に吸着できる。この
円形の回転台40には、十分に広い円形の開口41と円
形凹部42とが形成され、ホルダー本体28は、この円
形凹部42に入り込んで位置決めされる。
【0039】図3(A)は、フィルター38の運動を示
す正面図である。フィルター38は上述のように試料ホ
ルダーに装着され、この試料ホルダーが、試料台の回転
台に取り付けられる。したがって、フィルター38は、
試料台に取り付けられたときには、その中央を中心にし
て回転する。フィルター38上のX線照射形状43は、
この実施例では細長いライン状であるが、フィルター3
8が回転することにより、円形領域44の全体にX線照
射領域が広がる。これにより、被検試料からの回折線強
度の局所的バラツキは、この回転運動により平均化され
る。
【0040】図1の吸収測定台20においても、図2に
示すのと同様の回転台が設けられており、この回転台に
試料ホルダーを吸着できるようになっている。したがっ
て、被検試料のμtの決定のための吸収測定において
も、フィルターを回転させることができる。
【0041】図3(B)は、フィルターを回転運動させ
る代わりに並進往復運動させる例である。この場合は、
フィルター38は左右に並進往復運動をすることがで
き、ライン状のX線照射形状43に対して、矩形領域4
6の全体にX線照射領域が広がる。フィルター38に並
進往復運動をさせるには、試料台及び吸収測定台に並進
往復運動機構を設けておけばよい。
【0042】この発明は上述の実施例に限定されず、次
のような変更が可能である。 (1)フィルターを回転運動または並進往復運動をさせ
るために、上述の実施例では、試料台及び吸収測定台
に、それぞれ、回転運動機構または並進往復運動機構を
設けているが、これとは逆に、試料ホルダーの側にこれ
らの運動機構を設けて、試料台及び吸収測定台には運動
機構を設けない構成とすることもできる。
【0043】(2)上述の実施例では原子炉の排水フィ
ルターの付着物を例にとって定量分析方法を説明してい
るが、この発明は任意の試料の定量分析が可能である。
例えば、板状の試料であっても、粉末状の試料であって
もよく、試料ホルダーをそれに合わせて用意すれば定量
分析が可能である。
【0044】(3)4種類の被検成分に対応したそれぞ
れの純粋試料を用いる代わりに、1種類の標準試料を用
いる実施例を述べているが、この場合、その標準試料と
してモノクロメータとしても使用可能な多結晶Si板を
用いている。しかし、回折線強度を得るための標準試料
は、これ以外の物質であっても構わない。例えば、特定
の被検成分に対応した純粋試料を標準試料として用いて
もよい。この場合は、例えば、その被検成分については
上述の式(3)を用いて定量値を計算し、その他の被検
成分については上述の式(4)を用いて(すなわち補正
係数を用いて)定量値を計算すればよい。
【0045】
【発明の効果】この発明は、同一のX線分析装置を用い
て、吸収測定によるμtの測定と、回折測定による回折
線強度の測定とを実施できるようにしたので、効率的な
定量分析が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例における吸収測定から回折
線強度測定に至る手順を示す平面図である。
【図2】試料ホルダーの断面図である。
【図3】被検試料の運動を示す正面図である。
【符号の説明】
10…X線源 12…試料台 14…X線検出器 16…発散スリット 18…受光スリット 20…吸収測定台 22…標準試料 24a…未使用フィルターを取り付けた試料ホルダー 24b…使用済みフィルターを取り付けた試料ホルダー 26…純粋試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 23/02 - 23/06 G01N 23/20 - 23/207

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の成分からなる被検試料の定量分析
    を行うX線定量分析方法において、次の各段階を有する
    方法。 (イ)被検試料のρt(ただし、ρは被検試料の平均密
    度、tは被検試料のX線透過方向の厚さ)を測定する段
    階。 (ロ)X線源からのX線をゴニオメータの中心に配置し
    たモノクロメータで反射させて単色化し、その反射X線
    の通路上に被検試料がないときの反射X線の強度Taを
    測定する段階。 (ハ)X線源からのX線を前記モノクロメータで反射さ
    せて単色化し、被検試料をその面内で動かしながら、前
    記単色化したX線が被検試料を透過した後の強度Tbを
    測定する段階。 (ニ)TaとTbから被検試料のμt(ただし、μは被
    検試料の平均の線吸収係数、tは被検試料のX線透過方
    向の厚さ)を求める段階。 (ホ)ゴニオメータの中心に被検成分のみからなる純粋
    試料を配置して、X線源からのX線を純粋試料に照射
    し、そこからの回折X線の強度IJPを測定する段階。 (ヘ)ゴニオメータの中心に被検試料を配置して、被検
    試料をその面内で動かしながら、X線源からのX線を被
    検試料に照射し、そこからの回折X線の強度IJを測定
    する段階。 (ト)被検成分の質量吸収係数(μ/ρ)JPと、これま
    でに求めたρt、μt、IJP、IJとに基づいて、被検
    試料中の被検成分の重量割合AJを求める段階。
  2. 【請求項2】 複数の成分からなる被検試料の定量分析
    を行うX線定量分析方法において、次の各段階を有する
    方法。 (イ)被検試料のρt(ただし、ρは被検試料の平均密
    度、tは被検試料のX線透過方向の厚さ)を測定する段
    階。 (ロ)X線源からのX線をゴニオメータの中心に配置し
    たモノクロメータで反射させて単色化し、その反射X線
    の通路上に被検試料がないときの反射X線の強度Taを
    測定する段階。 (ハ)X線源からのX線を前記モノクロメータで反射さ
    せて単色化し、被検試料をその面内で動かしながら、前
    記単色化したX線が被検試料を透過した後の強度Tbを
    測定する段階。 (ニ)TaとTbから被検試料のμt(ただし、μは被
    検試料の平均の線吸収係数、tは被検試料のX線透過方
    向の厚さ)を求める段階。 (ホ)ゴニオメータの中心に被検試料の成分とは異なる
    標準試料を配置して、X線源からのX線を標準試料に照
    射し、そこからの回折X線の強度ISを測定する段階。 (ヘ)ゴニオメータの中心に被検試料を配置して、被検
    試料をその面内で動かしながら、X線源からのX線を被
    検試料に照射し、そこからの回折X線の強度IJを測定
    する段階。 (ト)被検成分の質量吸収係数(μ/ρ)JPと、これま
    でに求めたρt、μt、IS、IJと、被検成分と標準試
    料とが異なることに起因する補正係数とに基づいて、被
    検試料中の被検成分の重量割合AJを求める段階。
  3. 【請求項3】 複数の成分からなる被検試料の定量分析
    を行うX線定量分析装置において、次の構成を有する装
    置。 (イ)X線源と試料台とX線検出器との相対位置関係を
    変化させて試料台に配置した試料からの回折X線の強度
    を測定できるようにしたX線回折測定系。 (ロ)試料台に着脱可能なモノクロメータ。 (ハ)試料台とX線検出器との間に配置された吸収測定
    台。 (ニ)試料台と吸収測定台のいずれにも着脱可能な試料
    ホルダー。 (ホ)試料ホルダーを試料台と吸収測定台のいずれに装
    着した場合でも、試料ホルダーに取り付けた被検試料を
    その面内で動かすことができる試料運動機構。
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