JP3365888B2 - フイルム貼着缶の製造方法 - Google Patents

フイルム貼着缶の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、金属製の円筒体
の外面に装飾用フイルムを貼着して缶胴を製造する方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一体底付きシームレス金属缶であるブリ
キやアルミニウムを素材としたいわゆるツーピース缶
は、通常、絞りしごき成形によって缶胴を作り、その後
に洗浄および表面処理を行い、さらに塗装や印刷を施し
ている。その印刷としては、ドライオフセット印刷機に
よる印刷が主流であるが、この種の印刷では、共通のブ
ランケットから全ての色を塗布するから、多くても5色
に色が制限され、また画線が重ならないようにするため
に、ハーフトーンの印刷は殆ど不可能であった。
【0003】これに対して最近では、顧客からの要求が
厳しくなるにつれて、ドライオフセット印刷であっても
製版に工夫を凝らしたり、印刷条件を厳しくしたりする
ことによって、ハーフトーン印刷がかなりのレベルにま
で向上してきている。しかしながら消費動向やニーズの
変化によって製品は多様化しており、要求される印刷品
質もなお一層高い外観の美麗なものが求められてきてい
る。
【0004】このような要求に応えるべく、金属缶胴に
直接印刷して得られる缶に替わるものとして、金属缶体
の缶胴の外面に、予め印刷されたポリエステルなどの熱
可塑性樹脂フイルムを貼着して作られる缶が種々提案さ
れている。その印刷フイルムを作る方法としては、オフ
セット印刷に加えてグラビヤ印刷、フレキソ印刷方法な
どの選択が可能であり、これらの印刷方法は、従来のド
ライオフセット印刷方法に比べて装飾的効果が高く、印
刷品質がかなり良く、しかも缶の替わりに連続した熱可
塑性樹脂フイルムに印刷するので高速印刷が期待できる
など、従来のドライオフセット印刷にない有利な点を備
えている。
【0005】このように予め印刷された熱可塑性フイル
ムを熱接着して装飾効果の高い缶を製造する方法として
は、特開昭52−24790号公報、特開平3−230
940号公報、特開平4−57747号公報、および特
開平7−89552号公報などに記載された方法が知ら
れている。これらを簡単に説明すると、特開昭52−2
4790号公報に記載された方法は、ネックイン加工お
よびフランジ加工の終了した缶体の缶胴面に印刷済みの
フイルムを貼着し、ネックイン加工部の輪郭に合わせる
べく熱収縮させる方法である。
【0006】また特開平3−230940号公報に記載
された方法は、先ず、金属板に絞り加工あるいは絞りし
ごき加工を施して開口端部を有する缶体を造り、その缶
体の缶胴面に印刷済みのフイルムを貼着し、しかる後
に、開口端部にネックイン加工およびフランジ加工を施
す方法である。そしてこの公報に記載された方法では、
熱可塑性樹脂フイルムとして、印刷層の保護のためにオ
ーバーコート層を有するものが好ましいとされている。
【0007】さらに特開平4−57747号公報に記載
された方法は、印刷済みのフイルムの貼着の後にネック
イン加工やフランジ加工を行う方法であり、さらにこの
方法では、ネックイン加工やフランジ加工の際にフイル
ムの重ね合わせ部の両脇で金属缶体のシワを発生させな
いようにするために、フイルム重ね合わせ予定部(フイ
ルムの切断箇所に相当)のフイルムをシリンダなどで引
き延ばすことにより、印刷済みフイルムの熱可塑性樹脂
フイルムの重ね合わせ部の厚さを薄くしている。
【0008】特開平7−89552号公報に記載された
方法は、上記の特開平3−230940号公報や特開平
4−57747号公報に記載された方法と同様に、印刷
済みの熱可塑性樹脂フイルムを金属缶体に貼着した後に
ネックン加工やフランジ加工を行う方法であるが、その
フイルムを貼着する際に、その両端部を互いに重ね合わ
せ、あるいはフイルムの両端部を突き合わせ、その状態
でフイルムに設けた接着剤により、加熱昇温された金属
缶体の缶胴外面に熱接着している。またその接着剤を硬
化させるために、更に加熱し、あるいは電子線を照射し
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】印刷済みの熱可塑性樹
脂フイルムを金属缶体に貼着する場合、空気の巻き込み
やシワの発生などを防止し、またフイルムを確実に貼着
するために、加圧しつつフイルムを金属缶体に貼着す
る。しかしながら上述した特開昭52−24790号公
報に記載された方法では、印刷済みの熱可塑性樹脂フイ
ルムの貼着に先立って金属缶体のネックイン加工やフラ
ンジ加工を行うため、フイルムの貼着工程では金属缶体
の開口端が絞られていて、缶胴の内径とほぼ等しい外径
のマンドレルを金属缶体に挿入することが困難である。
そのためにこの方法では、フイルムの貼着のための加圧
力を高くすることができず、その結果、フイルムと金属
缶体の間に空気を巻き込んで密着不良が生じ易く、また
フイルムがネックイン部の輪郭に沿って熱収縮する際に
ネックイン部にシワが発生し易いなどの問題があった。
【0010】これに対して特開平3−230940号公
報に記載された方法は、印刷された熱可塑性樹脂フイル
ムを金属缶体に貼着した後にネックイン加工およびフラ
ンジ加工を行うから、印刷層の保護のためにオーバーコ
ート層を設けることが好ましいとされており、むしろオ
ーバーコート層は必須と考えられる。しかしながらフイ
ルムの貼着にあたってその両端部を重ね合わせた場合、
オーバーコート層に含まれるシリコンやワックスなどの
滑り剤のために、フイルムの重ね合わせ部の密着性が阻
害され、その結果、フイルムの接着の後のネックイン加
工などの後成形時にフイルムの重ね合わせ部が剥離し易
くなる不都合がある。このような不都合を解消するため
にオーバーコートを施さないとすれば、缶体の外面の滑
り性が悪くなって缶の搬送性が低下してしまい、また印
刷層の強度が低下して傷が付き易くなるなどの問題が生
じる。
【0011】また特開平4−57747号公報に記載さ
れた方法では、印刷済みの熱可塑性樹脂フイルムの重ね
合わせ予定部を引き延ばして薄くするから、その引き延
ばしのためにフイルムの走行を一旦停止させなければな
らず、そのためにフイルムの貼着の高速化が阻害される
問題がある。
【0012】さらに特開平7−89552号公報に記載
された方法では、印刷済みの熱可塑性樹脂フイルムを金
属缶体に貼着する場合、その両端部を互いに重ね合わせ
るとすれば、上述した特開平3−230940号公報に
記載された方法と同様に、オーバーコートによって重ね
合わせ部の密着性が阻害されてこの部分での剥離が生じ
易くなる問題がある。またこれに替えてフイルムの両端
部を突き合わせて貼着する場合には、貼着は加熱下で行
われてフイルムが縮み易いために、フイルムの突き合わ
せ端部同士の間に隙間が生じ、この部分で金属下地が剥
き出しとなって錆が発生したり、あるいは殺菌工程でフ
イルムの突き合わせ端部が浮き上がって剥離の原因とな
ったりする不都合がある。さらにはフイルムの突き合わ
せ端部同士の間隔は必ずしも常時一定にはならないの
で、外観が損なわれる不都合がある。
【0013】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、印刷済み熱可塑性樹脂フイルムの貼着
後にネックイン加工やフランジ加工などの後成形を行う
際のシワの発生を防止し、また缶体外面の滑り性および
耐疵付強度を向上させ、さらにフイルム貼着前の金属缶
体にベースコートを施しておかなくても錆の発生を防止
でき、そしてまた殺菌処理時の水蒸気や水がフイルムの
下面側に侵入することを防いでフイルムの浮き上がりや
剥離を防止することのできるフイルム貼着缶の製造方法
を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載した発明は、金属板から底付き缶
体を成形し、加熱した該缶体の外側缶胴面に、一方の面
に印刷層および接着層が形成され、他方の面にオーバー
コート層が形成された装飾用熱可塑性樹脂フイルムを、
その接着層を介して熱接着し、その後に、ネックイン加
工およびフランジ加工を行う底付きのフイルム貼着缶の
製造方法であって、前記装飾用フイルムを、予め前記缶
体の周長より長く切断するフイルム切断工程と、その切
断された装飾用フイルムを、その両端部同士が互いに重
なるように、缶胴面に接着層を介して加熱圧着する仮接
着工程と、前記仮接着工程での缶体温度を放冷させない
状態で前記装飾用フイルムを缶胴面に仮接着の際の加圧
力より大きい加圧力で押圧して、装飾用フイルムの端部
の重ね合わせによる段差空隙部に接着剤をはみ出させて
該空隙部内で接着層同士を融合させる本接着工程と、前
記装飾用フイルムの互いに重なり合った端部うちの上層
側のフイルム端部を剥離して除去する剥離工程とを含む
ことを特徴とする方法である。
【0015】またこの発明の方法では、前記本接着工程
での加圧力を、前記仮接着工程での加圧力の1.5〜
2.0倍でかつ40kgf /cm以上の線圧力にすることが
できる。
【0016】さらにこの発明の方法では、前記装飾用フ
イルムの互いに重ね合わせた端部のうち上層側のフイル
ムの段差遷移部もしくはその段差遷移部より先端側に破
断誘引部を形成することができる。
【0017】そしてこの発明では、上記の破断誘引部
を、前記フイルム切断工程で形成し、あるいは前記本接
着工程で形成し、または前記本接着工程と前記剥離工程
との間で形成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】この発明の方法では、缶胴面に密
着させられる面に印刷層と接着層とを設けかつ他方の面
にオーバーコート層を設けた装飾用熱可塑性樹脂フイル
ムを、缶胴の周長より長く切断しておき、これを予め加
熱昇温された金属缶体の缶胴面に貼着する。したがって
前記フイルムの両端部が互いに重なり合い、その内側に
段差空隙部が生じることがある。この段差空隙部の内部
には、仮接着工程に続く本接着工程で、仮接着よりも高
い加圧力でフイルムを貼着した缶胴面を押圧することに
より、接着層がはみ出され、その結果、接着層同士が融
合する。したがって段差空隙部は接着剤で充満させら
れ、またフイルム端部の缶胴面に対する貼着が確実にな
る。一方、互いに重なり合ったフイルム端部のうち上層
側のフイルムは、下層のフイルムのオーバーコート層に
よって密着不良となっているが、この密着不良の部分
は、剥離工程で剥離除去される。したがって装飾用フイ
ルムの両端部は、重なり状態が解消されて突き合わせた
状態となり、しかもその突き合わせ部は、上層側のフイ
ルム端部を剥離除去して得られたものであるから、フイ
ルム端部同士の間の間隙が生じていず、段差がなく、ま
た浮き上がりのない外観の優れたものとなる。
【0019】すなわちこの発明の方法によれば、印刷済
み熱可塑性樹脂フイルム貼着缶のフイルム外面は缶胴全
周に亘り凹凸のない均一面となる。またフイルム貼着時
の延びに影響されることなくフイルム同士の突き合わせ
部分の隙間が殆どないかあるいは極めて小さくなり、し
かもこの隙間を融合した接着層で埋めるため、フイルム
の密着性が向上し、フイルム貼着後のネックイン加工や
フランジ加工などの後成形時におけるシワの発生やフイ
ルム端部の開きが防止される。また殺菌工程で発生し易
いフイルム突き合わせ部における錆やフイルムの浮きを
防ぐことができ、上層側フイルムを剥離した破断面も綺
麗に仕上がるため、外観品質を向上させることができ
る。
【0020】また破断誘引部を、互いに重なり合ったフ
イルム端部のうち上層側のフイルムの段差遷移部もしく
はそれより先端側に形成すれば、下層側フイルムの前段
部の真上部位にフイルムの破断起点を形成させて、上層
側フイルムの剥ぎ取りを容易にし、かつ破断面を綺麗に
仕上げることが可能になる。
【0021】なお、この発明で用いることのできる熱可
塑性樹脂フイルムは、ポリエチレンテレフタレート樹
脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステ
ル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸
との共重合体などよりなる共重合ポリエステル系樹脂、
ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチ
レン樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリ
塩化ビニリデン共重合体などのうちから選ばれた透明な
高分子樹脂単体、あるいは上記樹脂の複合体からなる熱
可塑性樹脂フイルムである。中でも加圧工程で60kgf
/cmの線圧力で缶体の周方向にフイルムがある程度展延
し、耐熱性があるポリエチレンテレフタレート樹脂を用
いることが好ましい。そのフイルムの厚さは適宜決定す
ることができるが、一例として10〜30μm程度であ
る。
【0022】上記の樹脂フイルムに施される印刷は、熱
硬化性のウレタン系樹脂からなるインキが使用され、グ
ラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷などによる
印刷である。
【0023】また接着層は、加熱と加圧とにより密着し
易く、しかもインキとの密着性が良好な熱硬化性接着剤
を用いればよく、好ましくはポリエステル樹脂とエポキ
シ樹脂およびアミノ樹脂とを配合した接着剤が用いられ
る。接着層は、印刷層の全面に設けることが好ましい。
なお、本接着工程での加圧力によって接着層がはみ出し
易くするためには、少なくとも50mg/dm2 で全面塗
布する。好ましくは接着剤を90〜110mg/dm2
厚盛りする。また、ガラス転移点(Tg )が−10℃〜
+40℃の流動性の良い樹脂が接着剤として好ましい。
【0024】装飾用フイルムの貼着後にその重ね合わせ
部のうちの上層側のフイルムを剥離させる考え方は、こ
の発明の最も特徴とするところであり、重ね合されてい
るフイルムのうち上層側のフイルムを剥離する手段とし
ては、粘着ロール式と機械的なクリンパー式とがある。
フイルム端部の重ね合わせ幅は、採用する剥離手段によ
って若干異なり、クリンパー式を採用する場合には、粘
着ロール式を採用する場合より長めに決定される。な
お、いずれの場合であっても、フイルムの経済性を考慮
すると、重ね合わせ幅は可及的に小さくすることが好ま
しいが、フイルム貼着時のバラツキから適宜決定され
る。また、クリンパー式の剥離手段を採用する場合に
は、いわゆる腰のない薄いフイルムを掴み易くするため
に、エアーナイフあるいは粘着ロールを補助的に用いる
ことが好ましく、その場合の重ね合わせ幅として、例え
ば約2〜5mm程度が必要となる。
【0025】重ね合わせた上層側のフイルムを粘着ロー
ルなどの剥離手段で剥離する際に、剥離を容易にするた
め、フイルムの重ね合わせ部の段差遷移面に、あるいは
段差遷移部に切込みなどの破断誘引部を設けることが好
ましい。この破断誘引部は、下層側のフイルムの前端部
の真上に相当する上層側フイルムの下面位置、すなわ
ち、接着力の不十分な箇所と接着力が充分大きい箇所と
の境界から段差遷移面にかけた位置に破断力を集中させ
て破断させるものであり、この破断誘引部としては、缶
胴の軸線方向に亘りミシン目のように設けてもよく、あ
るいは薄肉の刻み目線でもよいが、フイルム上端(缶体
の開口部端側の側縁部)あるいは下端(缶底側の側縁
部)の少なくとも一方に設けて応力の集中を図るように
する。
【0026】上記破断誘引部は、フイルム貼着前のフイ
ルム切断工程やフイルム貼着工程およびフイルム貼着工
程と剥離工程との間のいずれでも形成することができる
が、フイルム切断工程で形成する場合には、形成した破
断誘引部がフイルムの延びやバラツキなどにより予定し
た段差遷移部に対してズレが生じた場合でも、段差遷移
部のうち下層側のフイルムの前端部の真上に相当する位
置から破断作用を生じさせるために、フイルム端から次
第に段差部に近付くように、例えば30〜40度の角度
で傾斜させることが好ましい。
【0027】本接着工程での再加圧は、フイルム接着時
の温度が放冷しないうちに行われる。ここで放冷とは、
接着剤が固化する程度までの温度低下を意味し、接着剤
の融点よりも低い温度範囲への温度低下である。また加
圧力は、仮接着工程での加圧力の1.5〜2.0倍であ
って少なくとも線圧力で40kgf /cmを必要とする。仮
接着工程の1.5倍未満であれば、密着不十分となった
り、接着剤のはみ出しが少なくなったりし、また2.0
倍を超える場合には、フイルムが延び過ぎたり、あるい
は機械の負荷が大き過ぎて機械のドラブルが発生したり
する。
【0028】本接着工程での接着層のはみ出しは、段差
空隙部を全部埋めるものでなくてもよく、缶体の軸線方
向の全体に亘り、フイルム両端の接着剤が互いに接触し
ていれば充分目的を達成することができる。
【0029】
【実施例】つぎにこの発明の実施例を比較例と共に説明
する。先ずこの発明の方法を実施するための装置につい
て簡単に説明すると、図1はその全体的な構成を示す概
略図であり、多数のマンドレル1が所定の回転半径の円
周上を互いに一定間隔を維持して旋回するように配列さ
れている。これらのマンドレル1は、対象とする金属缶
体の内径より若干小径の円柱状の部材であって、それぞ
れ中心軸線を中心に自転できるように構成されている。
【0030】一方、このマンドレル1の外周に嵌着させ
られて保持される金属缶体は、例えばアルミニウム製円
板を絞りしごき成形させて底付きの円筒体として構成さ
れたいわゆるツーピース缶2であり、ネックイン加工や
フランジ加工が施されていないものである。このツーピ
ース缶2を一列に並べて搬送する搬送手段(図示せず)
が、前記マンドレル1の旋回する円周の所定位置に外周
側に延びて配置されており、この搬送手段によって搬送
されたツーピース缶2は缶底を図示しない押込手段に押
されマンドレル1に嵌着して、マンドレル1に対してツ
ーピース缶2を1つづつ受け渡すようになっている。
【0031】前記マンドレル1は図1の矢印方向に連続
的に旋回させられており、前記ツーピース缶2の供給ス
テーション3からマンドレル1の旋回方向での前方側で
かつマンドレル1が旋回する円周の外側に、加熱装置4
が所定の範囲に亘って配置されている。この加熱装置4
は、マンドレル1によって保持されているツーピース缶
2を加熱昇温するためのものであって、一例として高周
波誘導加熱装置を採用することができる。なお、マンド
レル1はこの加熱装置4が配置されている範囲では自転
する構成としてある。
【0032】この加熱装置4に対してマンドレル1の旋
回方向で前方側に隣接する箇所が仮接着ステーション5
であって、加熱昇温されたツーピース缶2の缶胴面にこ
の仮接着ステーション5において印刷済みの熱可塑性樹
脂からなる装飾用フイルム6が貼り付けられる。ここで
この装飾用フイルム6の構成について説明すると、図2
に模式的な断面図として示すように、厚さ16μmのポ
リエチレンテレフタレート樹脂フイルム7の一方の面
に、ウレタン系樹脂からなるインキでグラビア印刷した
印刷層8と、その上にポリエステル系樹脂とイソシアネ
ート系樹脂とアミノ系樹脂(配合比94:3:3)とか
らなる熱硬化性接着層9とを形成し、また他方の面にエ
ポキシ樹脂からなる熱硬化性の保護層(オーバーコー
ト)10を設けたものである。
【0033】仮接着ステーション5においては、マンド
レル1の旋回半径より外側に貼着ロール11が配置され
ている。この貼着ロール11は、ツーピース缶2の缶胴
面の周長より長めに切断された複数枚の前記装飾用フイ
ルム6を、前記接着層9を外面側にしてその外周面に一
定間隔をあけて吸着して保持し、マンドレル1の旋回と
同期して回転することにより、その外面に吸着している
装飾用フイルム6をツーピース缶2の缶胴面に貼着する
よう構成されている。その場合の接着圧力は、貼着ロー
ル11とマンドレル1との間隔を調整して適宜の圧力に
することができ、その一例として30kgf /cm程度の線
圧力にすることができる。なお、装飾用フイルム6の吸
着保持のための手段としては、従来知られている種々の
ものを採用でき、例えば真空吸着するように構成しても
よい。
【0034】上記の仮接着ステーション5に対して加熱
装置4とは反対側に、本接着ステーション12が設けら
れている。この本接着ステーション12は、ツーピース
缶2の缶胴面に貼着された装飾用フイルム6を加圧し
て、より強固に貼り付けるための加工を行う箇所であ
り、マンドレル1の旋回半径の外側に加圧ロール13が
配置されている。この加圧ロール13は、マンドレル1
に向けた押圧力を受けており、またマンドレル1に嵌着
させたツーピース缶2と同期して自転し、あるいはツー
ピース缶2との間の摩擦力で自転するように構成されて
いる。この加圧ロール13は、ツーピース缶2が放冷し
ない程度、すなわち装飾用フイルム6の接着層が固化す
る程度に温度が低下しない範囲で前記仮接着ステーショ
ン5に接近して配置されている。またその加圧力は、前
記仮接着ステーション5での加圧力の1.5〜2.0倍
であって、少なくとも線圧力で40kgf /cmに設定され
ている。
【0035】またこの本接着ステーション12には、段
差検出センサ14と切込み器15とが、マンドレル1の
自転方向に並んで配置されている。前述したように装飾
用フイルム6は、ツーピース缶2の缶胴面の周長より長
く切断されているので、その両端部が重なり合った状態
で缶胴面に貼着され、このようにして生じる装飾用フイ
ルム6の重なりによる段差を段差検出センサ14が検出
するようになっている。なお、この段差検出センサ14
としては、近接センサや光センサなどを使用することが
できる。
【0036】また切込み器15は、互いに重ね合わされ
た装飾用フイルム6の端部のうち上層側のフイルム端部
に、破断誘引部として機能する切込みを入れるためのも
のであり、前記段差検出センサ14が装飾用フイルムの
段差を検出した後、その段差が切込み器15の前方位置
に到達した時点でカッタ(図示せず)をマンドレル1側
に前進させて上層側のフイルム6に切込みを入れるよう
になっている。このような段差検出センサ14の検出信
号に基づく切込み器15の駆動は、適宜のコントローラ
(図示せず)におけるタイマ制御によって行うことがで
きる。
【0037】ここで破断誘引部として機能する切込みに
ついて説明すると、この切り込みは、重なり合ったフイ
ルム端部のうち上層側のフイルム端部を剥離除去する際
のフイルムの破断を誘引するものであればよく、したが
って例えば装飾用フイルム6の全幅(ツーピース缶2の
軸線方向に沿う幅)に亘るミシン目であってもよい。あ
るいは1mm程度の切込みであってもよく、その例を図3
に示してある。
【0038】すなわち図3の(A)は、上層側のフイル
ム端部のうち段差遷移部16より先端側であって下層の
フイルムに完全に重なった部分に、約1mm程度の長さに
装飾用フイルム6の幅方向(ツーピース缶2の軸線方
向)に平行に形成した切込み17の例である。なお、こ
こで段差遷移部16とは、上層のフイルムが下層のフイ
ルムの上に重なるように傾斜している部分である。また
図3の(B)は、先端部が段差遷移部16に接近するよ
うに装飾用フイルム6の幅方向に対して30〜40度、
斜めに傾斜させた切込み18の例である。さらに図3の
(C)はその切込み18を段差遷移部16にまで延ばし
た例である。そして図3の(D)はV溝状(Vノッチ)
の切込み19の例である。切込みは段差遷移部16に形
成することもでき、その例は図3の(E)に示してあ
る。これら図3に示す切込みは、要は、重なり合った装
飾用フイルムの上層側のフイルムの段差遷移部16もし
くはそれより前端側に形成されていればよく、フイルム
幅方向(ツーピース缶2の軸線方向)での少なくとも一
側部に形成することができ、したがって装飾用フイルム
6のうちツーピース缶2の開口端側の側縁部あるいは底
部側の側縁部のいずれであってもよい。
【0039】マンドレル1の旋回する円周上には、上記
の本接着ステーション12に続けて剥離ステーション2
0が形成されている。この剥離ステーション20は、上
述した上層側の装飾用フイルムの端部すなわち段差遷移
部16より先端側の部分を切り取る加工を行う箇所であ
り、粘着テープ21を巻き掛けた加圧ロール22が配置
されている。なお、この粘着テープ21は再使用するこ
となく図示しない排出部に送られる。この加圧ロール2
2は、粘着テープ21をマンドレル1が保持しているツ
ーピース缶2の外周面に押し付けるように構成されてお
り、したがって下層の装飾用フイルムのオーバーコート
によって密着性の低下している上層の装飾用フイルム6
が、図4に示すように、粘着テープ21に付着して剥離
され粘着テープ21と一緒に廃棄されるようになってい
る。その場合の破断が前記切込みによって誘引される。
【0040】この剥離ステーション20に対してマンド
レル1の旋回方向での前方側が排出ステーション23で
あって、ツーピース缶2をマンドレル1から抜き取ると
ともに、所定の搬送手段(図示せず)によってツーピー
ス缶2を次のネックイン加工やフランジ加工を行う工程
に送るようになっている。
【0041】つぎに上記の装置を使用したこの発明の方
法を具体的に説明すると、アルミニウム製円板を絞りし
ごき成形してツーピース缶2とし、そのツーピース缶2
を洗浄した後に乾燥処理する。ついでそのツーピース缶
2を所定の搬送手段で供給ステーション3に送り、ここ
でマンドレル1に受け渡す。すなわち、所定の半径の円
周上を旋回しているマンドレル1に、供給ステーション
3においてツーピース缶2を嵌着させ、その状態でマン
ドレル1がツーピース缶2を保持する。そしてそのツー
ピース缶2は、マンドレル1と一体となって所定の半径
の円周上を旋回するとともに自転させられ、供給ステー
ション3に隣接する加熱装置4の前面側を通過する間
に、高周波誘導加熱され、約120℃に加熱昇温され
る。
【0042】一方、装飾用フイルム6は、厚さ16μm
のポリエチレンテレフタレート樹脂フイルム7の一方の
面に、ツーピース缶2の缶胴面の周長より若干長い範囲
を一区画として印刷層8が設けられ、かつその印刷層8
の上側に接着層9が設けられており、また他方の面にオ
ーバーコート10が設けられている。この装飾用フイル
ム6は、ツーピース缶2の缶胴面の周長より若干長い区
画ごとに切断されて仮接着ステーション5における貼着
ロール11に吸着されている。なお、切断された各装飾
用フイルム6は、前記マンドレル1の間隔と同一の間隔
で貼着ロール11の外周面に吸着されて保持され、また
接着層9を外側にして保持されている。さらに貼着ロー
ル11は、マンドレル1の旋回速度すなわちツーピース
缶2の旋回速度と同期して自転している。一例として1
00m/分の高速で装飾用フイルム6を供給するよう回
転する。
【0043】したがって加熱装置4で加熱昇温されたツ
ーピース缶2が貼着ステーション5に達すると、その缶
胴面に装飾用フイルム6が貼着ロール11によって押し
付けられてその接着層9により貼り付けられる。その押
圧力は線圧力で30kgf /cmである。またツーピース缶
2はマンドレル1と共に自転し、さらに装飾用フイルム
6は缶胴面の外周全体に、空気を巻き込むことなく貼り
付けられ、またその両端部は重なり合った状態となる。
【0044】このようにして装飾用フイルム6が仮接着
されたツーピース缶2は、マンドレル1に保持されて本
接着ステーション12に送られる。この本接着ステーシ
ョン12は、前記仮接着ステーション5に接近して設け
られているから、ツーピース缶2は放冷することなく本
接着ステーション12に送られる。すなわちツーピース
缶2の温度は、接着剤が固化しない温度に維持される。
【0045】この本接着ステーシヨン12においては、
ツーピース缶2の旋回速度および自転速度に合わせた周
速で回転する加圧ロール13がツーピース缶2の外面に
押し付けられ、その加圧力は、一例として、線圧力で6
0kgf /cmである。したがって装飾用フイルム6は接着
剤が固化しない状態で再度加圧され、しかもその加圧力
が大きいから、接着層9がフイルムの重なり合いにより
生じた段差空隙部24にはみ出し、互いに融合する。そ
の状況を図5に示してあり、仮接着されて互いに重なり
合っている装飾用フイルム6の端部の内側には、装飾用
フイルム6の厚さに応じた段差空隙部24が生じてお
り、これを加圧ロール13によって更に加圧すると、接
着層9がこの段差空隙部24にはみ出し、段差空隙部2
4を埋める。
【0046】ツーピース缶2は加圧ロール13によって
加圧されつつ回転するので、装飾用フイルム6の端部が
重なり合っている段差部が段差センサ14によって検出
され、その検出信号に基づいて切込み器15が動作して
上層側のフイルム6に切込みが入れられる。すなわち段
差検出センサ14の検出信号によってタイマ(図示せ
ず)がスタートし、プリセツトした時間の経過後に切込
み器15が動作する。その時点では、段差部が切込み器
15の前方位置にまで移動しており、したがって上層側
のフイルム6に切込みが入れられる。この切込みとして
は、図3に示すいずれかの切込みを採用することがで
き、あるいはミシン目状の切込みであつてもよい。な
お、この実施例では、上層側のフイルム6の下端部(缶
底側の側縁部)に1mm程度の直線状の切込みを、カッタ
(図示せず)を一時的に進退させて形成した。
【0047】加圧ロール13によるいわゆる本接着およ
び破断誘引部である切込みの形成が終了したツーピース
缶2は、マンドレル1に嵌着したまま剥離ステーション
20に移動する。この剥離ステーション20では、加圧
ロール22に巻き架けられて走行する粘着テープ21が
装飾用フイルム6の表面に押し付けられる。前述したよ
うにツーピース缶2の缶胴面に貼り付けた装飾用フイル
ム6の両端部は互いに重なり合っているが、装飾用フイ
ルム6は下層側のフイルム6に対して不十分な接着状態
になっている。そのため粘着テープ21が装飾用フイル
ム6の表面に押し付けられると、下層側フイルム6に対
する接着不十分な上層側フイルム6の端部が、粘着テー
プ21に貼り付いて下層側フイルム6から剥され、同時
に前述した切込みによる破断が誘引されて切り取られ、
粘着テープ21と一緒に廃棄される。
【0048】その破断は、接着力の不十分な箇所と接着
力が充分大きい箇所との境界に沿って生じ、したがって
上層側のフイルム6が段差遷移部16の先端側で剥離除
去される。図6は上層側のフイルム6を除去した後の状
態を示す断面図である。この図6から明らかなように、
装飾用フイルム6の重なり合いは解消され、また段差空
隙部24は接着層9に埋められてフイルムの浮き上がり
は生じていない。
【0049】上述のようにして余剰のフイルムを剥離除
去されたツーピース缶2はマンドレル1によって保持さ
れたまま排出ステーション23に移動させられ、ここで
マンドレル1から抜き取られて所定の搬送手段に送り出
される。そしてネックイン加工やフランジ加工が施され
る。
【0050】なお、フイルムの浮き上がりを確実に防ぐ
ために、剥離ステーション20と排出ステーション23
との間に潰しステーション(図示せず)を設けて、潰し
ロール等の押圧手段でフイルムを除去した部分を押し付
けて、図7に示す断面状態にすれば、さらに完全なもの
が得られる。
【0051】なお、この実施例においては、排出ステー
ション23から送り出されたツーピース缶2を50℃以
下の缶体温度にまで放冷した後に、缶体の内面および底
面に周知のエポキシ−フェノール系塗料をスプレー塗装
し、ついでその塗料の乾燥のために220℃で60秒間
加熱した。その後にツーピース缶2の開口端に周知の方
法でネックイン加工およびフランジ加工を施した。
【0052】このようにして得られたツーピース缶2を
目視により検査したところ、ネックイン加工部でのシワ
やクラックの発生は全く認められず、また装飾用フイル
ム6の剥離は皆無であった。さらに常法によりコーヒー
液を上記のツーピース缶2に充填するとともに所定量の
液体窒素を添加して缶蓋で密封し、125℃で30分間
のレトルト殺菌処理を行ったところ、ブリスターやフイ
ルムの白化は全く発生せず、外観の美麗なフイルム貼着
缶とすることができた。
【0053】つぎにこの発明の他の実施例を記す。この
実施例においては、装飾用フイルム6の本接着を行う際
に、破断誘引部としての切込みを設けなかった。また重
なり合ったフイルム端部の剥離除去には、図8に示す機
械的のクリンパー30を使用した。このクリンパー30
は、重なり合った装飾用フイルム6の端部のうち上層側
のフイルム端部を掴む爪31を、ロール32の外面に軸
線方向へ移動可能に取付けたものである。したがってこ
の爪31によって上層側の装飾用フイルム6の端部(例
えばツーピース缶2の開口部側の端部)を掴み、その状
態でロール32およびツーピース缶2が回転することに
より、上層側の装飾用フイルム6が剥離される。またこ
の場合、装飾用フイルムの破断は、接着力が不十分な箇
所と接着力が充分大きい箇所との境界に沿って生じる。
【0054】なお、この実施例におけるツーピース缶2
の加熱や装飾用フイルム6の仮接着ならびに本接着は、
上述した実施例におけるのと同様にして行った。
【0055】したがって、この実施例においても、空気
を巻き込んだりシワを生じさせたりすることなく、装飾
用フイルム6をツーピース缶2の缶胴面に貼着でき、ま
た段差部での上層側フイルムの剥離除去を綺麗に行うこ
とができた。また、後工程のネックイン加工やフランジ
加工の際にシワやクラックが発生することがなく、上述
した実施例による場合と同様に、外観の優れたフイルム
貼着缶を得ることができた。
【0056】さらにこの発明の他の実施例を以下に記
す。この実施例においては、装飾用フイルム6を貼着す
る以前に、ツーピース缶2の内面と底面とにエポキシ−
フェノール系塗料による塗装を、前述した実施例におけ
る条件と同様の条件で行った。ついでそのツーピース缶
2の缶胴面に装飾用フイルム6を前述した第1の実施例
におけると同様にして貼着した。こうして得ることので
きたフイルム貼着缶は、上述した各実施例によるものと
同様に、シワや亀裂あるいはフイルムの浮き上がりなど
の欠陥のない外観の良好なものであった。
【0057】なお、この発明の方法による効果を確認す
るために、以下の4つの比較試験を行った。先ず、第1
の比較例として、オーバーコートの無い印刷済み装飾用
フイルムを上記の実施例と同一の条件でツーピース缶の
缶胴面に貼着した。なお、オーバーコートが無いことに
より、破断誘引部としての切込みを形成せず、また上層
側フイルムの剥離を行わなかった。
【0058】この第1の比較例によるフイルム貼着缶で
は、オーバーコートが無いために、缶体の搬送性が悪
く、搬送トラブルが多発した。またJIS(日本工業規
格)のK5400による接着性試験を50缶について行
ったところ、装飾用フイルムの剥離が約50%発生し
た。これに対して上述した第1の実施例によるフイルム
貼着缶では装飾用フイルムの剥離は皆無であった。
【0059】つぎに第2の比較例として、オーバーコー
トのある装飾用フイルムを、ツーピース缶の缶胴の周長
と同一の長さに切断し、その端部同士を突き合わせた状
態でツーピース缶の缶胴面に貼着し、かつ加圧力を30
mgf /cmとした。
【0060】その装飾用フイルムの貼着状態を50缶観
察したところ、フイルム両端部の間に隙間が生じてい
た。またネックイン加工を行った際にネックイン加工し
たネック部缶体に100%のシワが発生した。さらに殺
菌処理時に、フイルム両端部の間の隙間に露出している
缶外面に錆が50〜60%発生した。そしてまた最終的
に得られた缶における装飾用フイルムの突き合わせ端部
の周辺にフイルムの浮き上がりが30〜50%発生して
いた。
【0061】さらに第3の比較例として、前述した第1
の実施例における本接着ステーションでの加圧力を30
kgf /cmとし、他の条件は第1の実施例と同一とした。
すなわち、仮接着時の加圧力(線圧力)の1.5倍〜
2.0倍の加圧力で本接着を行ったが、その本接着時の
加圧力を、この発明における下限値より低くした。
【0062】この第3の比較例で得られたフイルム貼着
缶では装飾用フイルムの接着が不十分であり、装飾用フ
イルムの浮き上がりが50缶のうち40〜50%認めら
れた。
【0063】また第4の比較例として、前述した第1の
実施例における本接着の加圧力を、この発明で規定する
範囲を超えた加圧力とし、他の条件は第1の実施例と同
一とした。すなわち本接着の加圧力(線圧力)を80kg
f /cmとし、仮接着の際の2.3倍とした。装飾用フイ
ルムの貼着状態を目視観察したところ、フイルムが延び
すぎてシワが50缶のうち30〜40%発生していた。
【0064】なお、この発明の方法は上述した実施例で
述べた方法に限定されないのであって、装飾用フイルム
の重ね合わせ部に切込みなどの破断誘引部を形成する場
合、図9の工程図に示すように、装飾用フイルムを缶胴
面の周長より長めに切断する際に同時に破断誘引部を装
飾用フイルムに形成してもよく、あるいは図10の工程
図に示すように、本接着工程と剥離工程の間に、第1実
施例と同様な破断誘引部を形成する工程を設け本接着後
に破断誘引部を形成してもよい。
【0065】また、この発明は、アルミニウム製のツー
ピース缶以外の金属缶を対象として実施することがで
き、さらに図1に示す装置以外の装置を用いても同様に
実施することができる。
【0066】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明の方法によ
れば、缶胴外面側に当たる面にオーバーコート層を設け
た装飾用フイルムを接着後、フイルムの重ね合わせ部の
接着不十分な上層側のフイルムを剥離して取り除くか
ら、ネックイン加工およびフランジ加工等の後工程での
成形時にシワが発生することを防止できる。またレトル
ト殺菌処理時のフイルムの剥離を防止することができ
る。しかもフイルムの外面側がオーバーコート層で保護
されているので、耐疵付強度が向上し、また缶体外面の
滑り性が良く、高速搬送性を向上させることができる。
【0067】またこの発明の方法では、缶胴面に装飾用
フイルムを接着後、フイルムの重なり部の上層側のフイ
ルムを剥離して取り除くから、フイルムの切断長さを缶
体の周長に合わせて精密に切断する必要がないうえに、
常にフイルム両端部の接合部の隙間は略一定にでき、外
観品質を向上させることができる。またフイルムの重な
り部の上層側のフイルムを剥離して取り除くことから、
フイルムの重ね合わせ部の厚みを少なくするために重ね
合わせ予定部分に予めフイルムの延ばし加工を施す必要
がなくなり、切断したフイルムを連続して缶体の缶胴外
面側に高速で貼着させることができる。
【0068】さらにこの発明の方法では、フイルムを仮
接着した後、仮接着したときの缶体が放冷しない状態
で、再び仮接着の時よりも大きな加圧力でフイルム外面
を押し付け、フイルムの前端部と後端部の接着層を段差
空隙部内にはみ出させるので、段差空隙部内で前端部と
後端部の接着層を融合させることができ、フイルムの密
着強度を向上させることができる。
【0069】また、該空隙部内にはみ出した接着層によ
り、フイルム接合部の金属下地が隠蔽され、すなわち金
属露出部がなくなるために、錆やフイルムの浮きおよび
剥離を防ぐことができる。
【0070】また請求項2に記載したように本接着工程
の加圧力を仮接着工程の加圧力に対して所定範囲に調節
すれば、機械的負荷を多くすることなく接着剤を流動さ
せながら接着層を段差空隙部内にはみ出させ、それらの
接着層を確実に融合させることができる。
【0071】さらに請求項3に記載したようにフイルム
の段差遷移部あるいはこれより先端側のいずれかの箇所
に破断誘引部を形成すれば、下層側フイルムにオーバー
コートがある部分ではフイルムが容易に剥離し、下層が
金属地の部分では接着層が充分密着し、その結果、破断
誘引部に導かれた下層フイルムが金属地とオーバーコー
ト層(保護層)との境界線に沿って容易に破断剥離する
ことができる。
【0072】そして請求項4ないし6に記載したよう
に、フイルムの重ね合わせ部の上層フイルムの段差遷移
部あるいはこれより先端側に破断誘引部を、フイルム貼
着後でも、すなわちフイルム切断工程から上層フイルム
の剥離工程の間のいずれかの箇所で形成すれば、その後
の上層フイルムのはぎ取り作業が容易になる。
【0073】中でも、フイルム切断工程、フイルム本接
着工程のいずれかの工程の作業と同時に形成すれば、位
置決め作業の効率化を図ることができ、機械的に破断誘
引部が形成されるための位置のバラツキは少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法を実施するための装置の一例を
模式的に示す図である。
【図2】装飾用熱可塑性樹脂フイルムの一例の断面図で
ある。
【図3】破断誘引部としての切込みの例を示す図であ
る。
【図4】上層側のフイルム端部を粘着テープて剥離除去
する状況を説明するための斜視図である。
【図5】本接着工程での接着層のはみ出しの状況を説明
するための断面図である。
【図6】上層側のフイルム端部を剥離除去した後の状態
を示す断面図である。
【図7】上層側のフイルム端部を剥離除去し、さらに押
し潰す一例を示す状態断面図である。
【図8】機械的なクリンパーの一例を示す斜視図であ
る。
【図9】この発明の破断誘引部を装飾用フイルムの切断
工程で同時に形成する場合の工程図である。
【図10】この発明の破断誘引部を本接着工程の後に形
成する場合の工程図である。
【符号の説明】
2 ツーピース缶 4 加熱装置 5 仮接着ステーション 6 装飾用フイルム 9 接着層 10 オーバーコート 12 本接着ステーション 13 加圧ロール 16 段差遷移部 17,18,19 切込み 20 剥離ステーション 24 段差空隙部
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 63/02 - 63/16 B65D 25/36

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板から底付き缶体を成形し、加熱し
    た該缶体の外側缶胴面に、一方の面に印刷層および接着
    層が形成され、他方の面にオーバーコート層が形成され
    た装飾用熱可塑性樹脂フイルムを、その接着層を介して
    熱接着し、その後に、ネックイン加工およびフランジ加
    工を行う底付きのフイルム貼着缶の製造方法において、 前記装飾用フイルムを、予め前記缶体の周長より長く切
    断するフイルム切断工程と、 その切断された装飾用フイルムを、その両端部同士が互
    いに重なるように、缶胴面に接着層を介して加熱圧着す
    る仮接着工程と、 前記仮接着工程での缶体温度を放冷させない状態で前記
    装飾用フイルムを缶胴面に仮接着の際の加圧力より大き
    い加圧力で押圧して、装飾用フイルムの端部の重ね合わ
    せによる段差空隙部に接着剤をはみ出させて該空隙部内
    で接着層同士を融合させる本接着工程と、 前記装飾用フイルムの互いに重なり合った端部うちの上
    層側のフイルム端部を剥離して除去する剥離工程とを含
    むことを特徴とするフイルム貼着缶の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記本接着工程での加圧力が、前記仮接
    着工程での加圧力の1.5〜2.0倍でかつ40kgf /
    cm以上の線圧力であることを特徴とする請求項1に記載
    のフイルム貼着缶の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記装飾用フイルムの互いに重ね合わせ
    た端部のうち上層のフイルムの段差遷移部もしくはその
    段差遷移部より先端側に破断誘引部を形成することを特
    徴とする請求項1もしくは2に記載のフイルム貼着缶の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記破断誘引部を、前記フイルム切断工
    程でのフイルムの切断と同時に成形することを特徴とす
    る請求項1ないし3のいずれかに記載のフイルム貼着缶
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記破断誘引部を、前記本接着工程で前
    記装飾用フイルムを押圧すると同時に形成することを特
    徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフイルム
    貼着缶の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記破断誘引部を、前記本接着工程と前
    記剥離工程との間で形成することを特徴とする請求項1
    ないし3のいずれかに記載のフイルム貼着缶の製造方
    法。
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