JP3365687B2 - ポリエステル樹脂の製造方法およびポリエステル樹脂 - Google Patents

ポリエステル樹脂の製造方法およびポリエステル樹脂

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JP3365687B2 JP16149294A JP16149294A JP3365687B2 JP 3365687 B2 JP3365687 B2 JP 3365687B2 JP 16149294 A JP16149294 A JP 16149294A JP 16149294 A JP16149294 A JP 16149294A JP 3365687 B2 JP3365687 B2 JP 3365687B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、ポリエステル樹脂の製造
方法およびポリエステル樹脂に関し、さらに詳しくは、
食品包装用などの用途に好適に用いられるポリエステル
樹脂の製造方法およびポリエステル樹脂に関するもので
ある。
【0002】
【発明の技術的背景】ポリエチレンテレフタレートなど
のポリエステル樹脂を二軸延伸成形して得られるボトル
は、透明性、機械的強度、耐熱性およびガスバリヤ性に
優れており、ジュース、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料
充填用容器(PETボトル)として広く用いられてい
る。
【0003】このようなボトルの原料となるポリエステ
ル樹脂は、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導
体と、ジヒドロキシ化合物またはそのエステル形成性誘
導体とを液相重縮合し、次いで固相重縮合することによ
って得ることができる。そしてこのような工程を経て製
造されるポリエステル樹脂には、通常60〜1000p
pbのホルムアルデヒドが含まれている。
【0004】上記のような含有率でホルムアルデヒドを
含むポリエステル樹脂から、たとえばボトルを成形した
場合、充填される内容物の味覚がホルムアルデヒドによ
り低下することがあった。このためボトルなどの成形物
を形成するポリエステル樹脂中のホルムアルデヒド含有
率はできる限り低いことが望ましい。
【0005】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に鑑み
てなされたものであって、ホルムアルデヒド含有率が極
めて低いポリエステル樹脂を得ることができるようなポ
リエステル樹脂の製造方法を提供することを目的とする
とともに、ホルムアルデヒド含有率が極めて低いポリエ
ステル樹脂を提供することを目的をしている。
【0006】
【発明の概要】本発明に係るポリエステル樹脂の製造方
法は、(A)テレフタル酸を含むジカルボン酸またはそ
のエステル誘導体と、エチレングリコールを含むジヒド
ロキシ化合物またはそのエステル誘導体とを、重縮合触
媒の存在下に液相重縮合させてポリエステル樹脂(a)
を製造する液相重縮合工程と、(C)前記ポリエステル
樹脂(a)を、酸素濃度が15ppm以下の不活性ガス
雰囲気で融点以下の温度に加熱して、o-クロロフェノー
ル中で測定される極限粘度[η]が0.5〜1.4dl
/gの範囲にあるポリエステル樹脂(b)を製造する固
相重縮合工程とを含み、得られるポリエステル樹脂のホ
ルムアルデヒド含有率を40ppb以下とすることを特
徴としている。
【0007】本発明では、前記ポリエステル樹脂(a)
は固相重縮合するに先立って、ポリエステル樹脂(a)
を、酸素濃度が15ppm以下の不活性ガス雰囲気で昇
温結晶化温度(Tc1)以上で、かつ融点未満の温度に1
〜30分間保つ予備結晶化工程(B)を行ってもよい。
【0008】本発明では、前記ジカルボン酸中のイソフ
タル酸の含有率が0〜10モル%であり、前記ジヒドロ
キシ化合物中のジエチレングリコールの含有率が0〜1
0モル%、シクロヘキサンジメタノールの含有率が0〜
10モル%であることが好ましい。
【0009】本発明に係るポリエステル樹脂は、o-クロ
ロフェノール中で測定される極限粘度[η]が0.5〜
1.4dl/gの範囲にあり、ホルムアルデヒド含有率
が40ppb以下であることを特徴としている。
【0010】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るポリエステル
樹脂の製造方法およびポリエステル樹脂について具体的
に説明する。
【0011】本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法
は、(A)テレフタル酸を含むジカルボン酸またはその
エステル誘導体と、エチレングリコールを含むジヒドロ
キシ化合物またはそのエステル誘導体とを、重縮合触媒
の存在下に液相重縮合させてポリエステル樹脂(a)を
製造する液相重縮合工程と、(C)前記ポリエステル樹
脂(a)を、酸素濃度が15ppm以下の不活性ガス雰
囲気で融点以下の温度に加熱して、o-クロロフェノール
中で測定される極限粘度[η]が0.5〜1.4dl/
gの範囲にあるポリエステル樹脂(b)を製造する固相
重縮合工程とを含む製造工程によりポリエステル樹脂を
製造しており、得られるポリエステル樹脂のホルムアル
デヒド含有率は、40ppb以下である。
【0012】本発明では、液相重縮合工程(A)で得ら
れたポリエステル樹脂(a)は、固相重合に先立って、
ポリエステル樹脂(a)を、酸素濃度が15ppm以下
の不活性ガス雰囲気で昇温結晶化温度(Tc1)以上で、
かつ融点未満の温度に1〜30分間保つ予備結晶化工程
(B)を行ってもよい。
【0013】以下、各工程について詳細に説明する。(A)液相重縮合工程 本発明では、まず液相重縮合工程において、テレフタル
酸を含むジカルボン酸またはそのエステル誘導体(たと
えば低級アルキルエステル、フェニルエステルなど)
と、エチレングリコールを含むジヒドロキシ化合物また
はそのエステル誘導体(たとえばモノカルボン酸エステ
ルエチレンオキサイドなど)とのエステル化物を、重縮
合触媒の存在下で加熱溶融して液相重縮合させてポリエ
ステル樹脂(a)を製造する。
【0014】本発明では、テレフタル酸とエチレングリ
コールとを用いてホモポリエチレンテレフタレートを製
造してもよく、またテレフタル酸およびテレフタル酸以
外のジカルボン酸を含有するジカルボン酸と、エチレン
グリコールおよびエチレングリコール以外のジヒドロキ
シ化合物を含有するジヒドロキシ化合物とを用いて共重
合ポリエステルを製造することもできる。
【0015】共重合ポリエステルを製造する際に用いら
れるテレフタル酸以外のジカルボン酸としては、具体的
に、フタル酸(オルトフタル酸)、イソフタル酸、ナフ
タレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェ
ノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、
アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカル
ボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカ
ルボン酸などの脂環族ジカルボン酸およびこれらのエス
テル誘導体などが挙げられる。これらは2種以上組合わ
せて用いてもよい。これらの中ではイソフタル酸を用い
ることが好ましい。
【0016】またエチレングリコール以外のジヒドロキ
シ化合物としては、具体的には、ジエチレングリコー
ル、トリメチレングリコール(プロピレングリコー
ル)、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリ
コール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ルなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノー
ルなどの脂環族グリコール、ビスフェノール類、ハイド
ロキノン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニ
ル)プロパンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物類および
これらのエステル誘導体などが挙げられる。これらは2
種以上組合わせて用いてもよい。これらの中ではジエチ
レングリコール、シクロヘキサンジメタノールを用いる
ことが好ましい。
【0017】前記テレフタル酸以外のジカルボン酸は、
ジカルボン酸を100モル%として0〜10モル%、好
ましくは0〜5モル%、より好ましくは0〜3モル%の
割合で用いられることが望ましく、エチレングリコール
以外のジヒドロキシ化合物は、ジヒドロキシ化合物を1
00モル%として0〜10モル%、好ましくは0〜5モ
ル%、より好ましくは0〜3モル%の割合で用いられる
ことが望ましい。
【0018】また本発明では、トリメシン酸、ピロメリ
ット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなど
の多官能化合物から誘導される構成単位を少量たとえば
2モル%以下の量で用いてもよい。
【0019】液相重縮合工程においては、上記のような
ジカルボン酸またはそのエステル誘導体(以下、単に
「ジカルボン酸」ということがある)と、ジヒドロキシ
化合物またはそのエステル誘導体(以下、単に「ジヒド
ロキシ化合物」ということがある)とを重縮合させてポ
リエステル樹脂を製造するが、この液相重縮合工程で
は、通常まずジカルボン酸とジヒドロキシ化合物とをエ
ステル化反応させ〔エステル化反応工程(A-1)〕、次
いで液相重縮合反応〔重縮合反応工程(A-2)〕させ
る。
【0020】具体的には、まずジカルボン酸とジヒドロ
キシ化合物とを含むスラリーを調製する。このようなス
ラリーには、ジカルボン酸1モルに対して1.02〜
2.0モル、好ましくは1.03〜1.5モルのジヒド
ロキシ化合物が含まれる。
【0021】このスラリーは、エステル化反応工程(A-
1)に連続的に供給される。エステル化反応は、少なく
とも2個のエステル化反応器を直列に連結した装置を用
いてジヒドロキシ化合物が還流する条件下で、反応によ
って生成した水あるいはアルコールを精留塔で系外に除
去しながら実施される。
【0022】エステル化反応工程(A-1)は通常多段で
実施され、第1段目のエステル化反応は、通常、反応温
度240〜270℃、好ましくは245〜265℃、圧
力0.2〜3kg/cm2 G 、好ましくは0.5〜2k
g/cm2 G の条件下で行われ、また最終段目のエステ
ル化反応は、通常、反応温度250〜280℃、好まし
くは255〜275℃、圧力0〜1.5kg/cm2 G
、好ましくは0〜1.3kg/cm2 G の条件下で行
われる。
【0023】エステル化反応工程(A-1)を3段階以上
で実施する場合には、第2段目から最終段の1段前まで
を、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間
の条件下で行う。たとえばエステル化反応工程を3段階
で実施する場合には、第2段目のエステル化反応は、通
常、反応温度245〜275℃、好ましくは250〜2
70℃、圧力0〜2kg/cm2 G 、好ましくは0.2
〜1.5kg/cm2G の条件下で行われる。
【0024】これらの各段におけるエステル化反応の反
応率は、特に制限されないが、各段階におけるエステル
化反応率の上昇の度合が滑らかに分配されることが好ま
しく、さらに最終段目のエステル化反応生成物において
は通常は90%以上、好ましくは93%以上に達するこ
とが望ましい。
【0025】これらのエステル化工程(A-1)によりジ
カルボン酸とジヒドロキシ化合物とのエステル化物(低
次縮合物)が得られ、この低次縮合物の数平均分子量
は、通常、500〜5000である。
【0026】このようなエステル化反応は、ジカルボン
酸およびジヒドロキシ化合物以外の添加物を添加せずに
実施することも可能であり、また後述する重縮合触媒の
共存下に実施することも可能であるが、さらにトリメチ
ルアミン、トリn-ブチルアミン、ベンジルジメチルアミ
ンなどの第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウ
ム、水酸化テトラn-ブチルアンモニウム、水酸化トリメ
チルベンジルアンモニウムなどの第4級アンモニウム、
炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナ
トリウムなどの塩基性化合物を少量添加して実施するこ
とができる。これらの塩基性化合物は、エステル化反応
器のすべてに添加してもよいし、第1段目あるいは第2
段目以降の特定の反応器に添加してもよい。
【0027】このようにして得られたエステル化物は、
液相重縮合反応器に連続的に供給される。液相重縮合反
応器では、重縮合触媒の存在下に減圧下で、得られるポ
リエステル樹脂の融点以上の温度に加熱し、この際生成
するグリコールを系外に留去させながら重縮合させる。
【0028】本発明では、重縮合反応工程(A-2)を、
1段階で行っても複数段階に分けて行ってもよい。重縮
合反応工程が複数段階で行われる場合には、第1段目の
重縮合反応は、通常、反応温度250〜290℃、好ま
しくは260〜280℃、圧力500〜20Torr、
好ましくは200〜30Torrの条件下で行われ、ま
た最終段の重縮合反応は、通常反応温度265〜300
℃、好ましくは270〜295℃、圧力10〜0.1T
orr、好ましくは5〜0.1Torr、特に好ましく
は2〜0.1Torrの条件下で行われる。
【0029】重縮合反応工程が3段階以上で実施される
場合には、第2段目から最終段目の1段前までの重縮合
反応は、上記1段目の反応条件と最終段目の反応条件と
の間の条件下で行われる。たとえば重縮合反応工程が3
段階で実施される場合には、第2段目の重縮合反応は、
通常、反応温度260〜295℃、好ましくは270〜
285℃で、圧力50〜2Torr、好ましくは40〜
5Torrの条件下で行われる。
【0030】上記のような(A)液相重縮合工程におい
て製造されるポリエステル樹脂の、25℃のo-クロロフ
ェノール中で測定される極限粘度は、通常0.8〜1.
5dl/g、好ましくは0.8〜1.2dl/gであ
る。なおこれらの液相重縮合反応工程の最終段目を除く
各段階において到達される極限粘度は特に制限されない
が、各段階における極限粘度の上昇の度合が滑らかに分
配されることが好ましい。
【0031】なお本明細書において、極限粘度[η]
は、ポリエステル樹脂1.2gをo-クロロフェノール1
5ml中に加熱溶解した後、冷却して25℃で測定され
た溶液粘度から算出される。
【0032】上記のような液相重縮合反応は、重縮合触
媒の存在下に行われる。重縮合触媒としては、二酸化ゲ
ルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニ
ウムテトラn-ブトキシドなどのゲルマニウム化合物、三
酸化アンチモンなどのアンチモン触媒またはチタニウム
テトラブトキシドなどのチタン触媒を用いることができ
る。
【0033】これらの重縮合触媒のうち二酸化ゲルマニ
ウム化合物を用いると、色相および透明性に優れたポリ
エステル樹脂が得られるので好ましい。重縮合触媒は、
ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との合計重量に対し
て、重縮合触媒中の金属重量換算で、0.0005〜
0.2重量%、好ましくは0.001〜0.05重量%
の割合で用いられることが望ましい。
【0034】重縮合反応は、安定剤の共存下に実施され
ることが好ましい。安定剤としては、トリメチルホスフ
ェート、トリエチルホスフェート、トリn-ブチルホスフ
ェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホス
フェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エス
テル類、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホ
スファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの
亜リン酸エステル類、メチルアッシドホスフェート、イ
ソプロピルアッシドホスフェート、ブチルアッシドホス
フェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェ
ート、ジオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステ
ルおよびリン酸、ポリリン酸などのリン化合物が用いら
れる。
【0035】上記のような安定剤は、ジカルボン酸とジ
ヒドロキシ化合物との合計重量に対して、安定剤中のリ
ン原子重量換算で、0.001〜0.1重量%、好まし
くは0.002〜0.02重量%の割合で用いられるこ
とが望ましい。
【0036】これらの重縮合触媒および安定剤は、前記
のようなエステル化工程(A-1)において供給すること
もできるし、重縮合反応工程(A-2)の第1段目の反応
器に供給することもできる。
【0037】このようにして、最終液相重縮合反応器か
ら得られたポリエステル樹脂(a)は、通常、溶融押出
成形法によって粒状(チップ状)に成形される。(B)予備結晶化工程 本発明では、必要に応じてこのようにして得られたポリ
エステル樹脂(a)に予備結晶化を行ってもよい。
【0038】この予備結晶化工程は、ポリエステル樹脂
(a)を、乾燥状態で昇温結晶化温度(Tc1)〜融点未
満の温度、好ましくはTc1より10℃高くかつ融点より
40℃以上低い温度下に、1〜30分間、好ましくは5
〜20分間保つことによって行われる。
【0039】たとえばポリエステル樹脂がポリエチレン
テレフタレートである場合には、具体的に、160〜2
00℃、好ましくは165〜190℃の温度に1〜30
分間加熱する。
【0040】この予備結晶化工程は、酸素濃度が15p
pm以下の不活性ガス雰囲気中、好ましくは10ppm
以下の不活性ガス雰囲気中、より好ましくは5ppm以
下の不活性ガス雰囲気中で行われることが望ましい。不
活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガス
などが挙げられる。
【0041】このような条件でポリエステル樹脂(a)
を予備結晶化すると、ホルムアルデヒド含有率が極めて
少ないポリエステル樹脂を製造することができる。予備
結晶化されたポリエステル樹脂(a)は、結晶化度が2
0〜50%であることが望ましい。
【0042】予備結晶化工程では、いわゆるポリエステ
ル樹脂の固相重縮合反応は進行せず、予備結晶化された
ポリエステル樹脂(a)の極限粘度は、液相重縮合工程
(A)で得られたポリエステル樹脂(a)の極限粘度と
ほぼ同じであり、予備結晶化されたポリエステル樹脂
(a)の極限粘度と、予備結晶化前のポリエステル樹脂
(a)の極限粘度との差は、通常0.06dl/g以下
である。
【0043】(C)固相重縮合工程 本発明では、前記のようにして得られたポリエステル樹
脂(a)、または予備結晶化されたポリエステル樹脂
(a)を固相重縮合する。
【0044】固相重縮合工程は、少なくとも1段からな
り、重縮合温度が通常190〜230℃、好ましくは1
95〜225℃であり、圧力が通常、1kg/cm2 G
〜10Torr、好ましくは常圧〜100Torrの条
件下で、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガスなどの不活
性ガス雰囲気下で固相重縮合反応が実施される。これら
の不活性ガスの中では窒素ガスが好ましい。この不活性
ガスの酸素濃度は15ppm以下、好ましくは10pp
m以下、より好ましくは5ppm以下であることが望ま
しい。
【0045】なお、酸素濃度は、微量酸素濃度計により
測定する。このような条件でポエステル樹脂(a)を固
相重縮合すると、ホルムアルデヒド含有率が極めて少な
いポリエステル樹脂を製造することができる。
【0046】このようして得られたポリエステル樹脂
(b)の極限粘度は、通常0.5〜1.4dl/g、好
ましくは0.7〜1.3dl/gであることが望まし
い。また、このポリエステル樹脂(b)の密度は、通常
1.37g/cm3 以上、好ましくは1.38g/cm
3 以上、さらに好ましくは1.39g/cm3 以上であ
ることが望ましい。
【0047】上記のようにポリエステル樹脂(a)を固
相重縮合することによって、ホルムアルデヒド含有率が
極めて少ないポリエステル樹脂を製造することができ
る。本発明の方法により得られたポリエステル樹脂のホ
ルムアルデヒド含有率は、通常40ppb以下、好まし
くは30ppb以下、特に好ましくは20ppb以下で
ある。
【0048】本発明のポリエステル樹脂は、テレフタル
酸を含むジカルボン酸またはそのエステル誘導体と、エ
チレングリコールを含むジヒドロキシ化合物またはその
エステル誘導体とを、重縮合触媒の存在下に液相重縮合
させ、次に必要に応じて酸素濃度が15ppm以下の不
活性ガス雰囲気で予備結晶化した後、酸素濃度が15p
pm以下の不活性ガス雰囲気で融点以下の温度に加熱し
て固相重縮合して得られ、o-クロロフェノール中で測定
される極限粘度[η]が0.5〜1.4dl/gの範囲
にあり、ホルムアルデヒド含有率が40ppb以下であ
る。
【0049】従来のポリエステル樹脂のホルムアルデヒ
ド含有率は、通常60〜1000ppb程度であり、こ
のようにホルムアルデヒド含有率が極めて低いポリエス
テル樹脂は現在まで知られていない。本発明のポリエス
テル樹脂は、たとえば食品包装用のシート、フィルムま
たはボトルなどの用途に好適に用いられる。
【0050】
【発明の効果】本発明に係るポリエステル樹脂の製造方
法は、ホルムアルデヒド含有率が極めて低いポリエステ
ル樹脂が得られる。
【0051】本発明のポリエステル樹脂は、ホルムアル
デヒド含有率が極めて低いのでボトル形成用プリフォー
ム、ボトル、シートなどに好適に用いられる。
【0052】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0053】なお、ホルムアルデヒド含有率の測定およ
び成形物の透明性の評価は、下記のようにして行った。 [ホルムアルデヒド含有率の測定]ポリエステル樹脂か
ら試験片を約2g採取し、SPEX社製冷凍粉砕機にて
冷凍粉砕する。得られたポリエステル樹脂粉末1gをバ
イヤル瓶に入れ、蒸留水2mlを加え、水とポリエステ
ル樹脂粉末とをよく混ぜる。キャップをしめた後バイヤ
ル瓶を120℃で1時間加熱する。加熱後氷水中にて冷
却し、水溶液を別のバイヤル瓶に移し、0.25% 2,
4-ジニトロフェニルヒドラゾン 6N塩酸溶液 0.2
mlとヘキサン1mlを加え、密栓する。攪拌し誘導体
化反応後、ヘキサン相をガスクロマトグラフ測定した。
【0054】
【実施例1】表1に示すジカルボン酸とジヒドロキシ化
合物とを、液相重縮合し、次いで予備結晶化(酸素濃
度:10ppm)後、固相重縮合(酸素濃度:5pp
m)して極限粘度[η]が0.70dl/g、ジヒドロ
キシ化合物成分中のジエチレングリコール(DEG)成
分含有率が2.3モル%のポリエステル樹脂を得た。得
られたポリエステル樹脂のホルムアルデヒド含有率を測
定した。結果を表1に示す。
【0055】
【実施例2】表1に示すジカルボン酸とジヒドロキシ化
合物とを、液相重縮合し、次いで予備結晶化(酸素濃
度:10ppm)後、固相重縮合(酸素濃度:5pp
m)して極限粘度[η]が0.70dl/g、ジヒドロ
キシ化合物成分中のDEG成分含有率が3.6モル%の
ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の
ホルムアルデヒド含有率を測定した。結果を表1に示
す。
【0056】
【実施例3】表1に示すジカルボン酸とジヒドロキシ化
合物とを、液相重縮合し、次いで予備結晶化(酸素濃
度:5ppm)後、固相重縮合(酸素濃度:2ppm)
して極限粘度[η]が0.75dl/g、ジカルボン酸
成分中のイソフタル酸成分含有率が2モル%、ジヒドロ
キシ化合物成分中のDEG成分含有率が3.6モル%の
ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の
ホルムアルデヒド含有率を測定した。結果を表1に示
す。
【0057】
【実施例4】表1に示すジカルボン酸とジヒドロキシ化
合物とを、液相重縮合し、次いで予備結晶化(酸素濃
度:10ppm)後、固相重縮合(酸素濃度:5pp
m)して極限粘度[η]が0.85dl/g、ジヒドロ
キシ化合物成分中のDEG成分含有率が3.6モル%の
ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の
ホルムアルデヒド含有率を測定した。結果を表1に示
す。
【0058】
【実施例5】表1に示すジカルボン酸とジヒドロキシ化
合物とを、液相重縮合し、次いで予備結晶化(酸素濃
度:10ppm)後、固相重縮合(酸素濃度:5pp
m)して極限粘度[η]が0.75dl/g、ジヒドロ
キシ化合物成分中のDEG成分含有率が3.6モル%、
シクロヘキサンジメタノール(CHDM)成分含有率が
2モル%のポリエステル樹脂を得た。得られたポリエス
テル樹脂のホルムアルデヒド含有率を測定した。結果を
表1に示す。
【0059】
【実施例6】表1に示すジカルボン酸とジヒドロキシ化
合物とを、液相重縮合し、次いで予備結晶化(酸素濃
度:10ppm)後、固相重縮合(酸素濃度:5pp
m)して極限粘度[η]が1.10dl/g、ジヒドロ
キシ化合物成分中のDEG成分含有率が3.6モル%の
ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の
ホルムアルデヒド含有率を測定した。結果を表1に示
す。
【0060】
【比較例1】表1に示すジカルボン酸とジヒドロキシ化
合物とを、液相重縮合し、次いで予備結晶化(酸素濃
度:100ppm)後、固相重縮合(酸素濃度:45p
pm)して極限粘度[η]が0.70dl/gの、ジヒ
ドロキシ化合物成分中のDEG成分含有率が3.6モル
%ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂
中のホルムアルデヒド含有率を測定した。結果を表1に
示す。
【0061】
【比較例2】表1に示すジカルボン酸とジヒドロキシ化
合物とを、液相重縮合し、次いで予備結晶化(酸素濃
度:120ppm)後、固相重縮合(酸素濃度:60p
pm)して極限粘度[η]が0.75dl/gの、ジヒ
ドロキシ化合物成分中のDEG成分含有率が2.3モル
%ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂
中のホルムアルデヒド含有率を測定した。結果を表1に
示す。
【0062】
【表1】

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)テレフタル酸を含むジカルボン酸ま
    たはそのエステル誘導体と、エチレングリコールを含む
    ジヒドロキシ化合物またはそのエステル誘導体とを、重
    縮合触媒の存在下に液相重縮合させてポリエステル樹脂
    (a)を製造する液相重縮合工程と、(C)前記ポリエ
    ステル樹脂(a)を、酸素濃度が15ppm以下の不活
    性ガス雰囲気で融点以下の温度に加熱して、o-クロロフ
    ェノール中で測定される極限粘度[η]が0.5〜1.
    4dl/gの範囲にあるポリエステル樹脂(b)を製造
    する固相重縮合工程とを含み、得られるポリエステル樹
    脂のホルムアルデヒド含有率を40ppb以下とするこ
    とを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】(A)テレフタル酸を含むジカルボン酸ま
    たはそのエステル誘導体と、エチレングリコールを含む
    ジヒドロキシ化合物またはそのエステル誘導体とを、重
    縮合触媒の存在下に液相重縮合させてポリエステル樹脂
    (a)を製造する液相重縮合工程と、(B)前記ポリエ
    ステル樹脂(a)を、酸素濃度が15ppm以下の不活
    性ガス雰囲気で昇温結晶化温度(Tc1)以上で、かつ融
    点未満の温度に1〜30分間保つ予備結晶化工程と、
    (C)前記予備結晶化工程を経たポリエステル樹脂
    (a)を、酸素濃度が15ppm以下の不活性ガス雰囲
    気中で融点以下の温度に加熱してo-クロロフェノール中
    で測定される極限粘度[η]が0.5〜1.4dl/g
    の範囲にあるポリエステル樹脂(b)を製造する固相重
    縮合工程とを含み、得られるポリエステル樹脂のホルム
    アルデヒド含有率を40ppb以下とすることを特徴と
    するポリエステル樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ジカルボン酸中のイソフタル酸の含
    有率が0〜10モル%の範囲にあり、前記ジヒドロキシ
    化合物中のジエチレングリコールの含有率が0〜10モ
    ル%、シクロヘキサンジメタノールの含有率が0〜10
    モル%の範囲にある請求項1または2に記載のポリエス
    テル樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方
    法により得られることを特徴とするポリエステル樹脂。
  5. 【請求項5】 o-クロロフェノール中で測定される極限
    粘度[η]が0.5〜1.4dl/gの範囲にあり、ホ
    ルムアルデヒド含有率が40ppb以下であることを特
    徴とするポリエステル樹脂。
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