JP3364304B2 - 水産資材用繊維 - Google Patents
水産資材用繊維Info
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Description
るものであり、詳しくは、フッ化ビニリデン系樹脂より
成り、水中において外観が見え難い性質を有する水産資
材用繊維に関するものである。
繊維は、屈折率が水に近くて水中では一般に見え難いと
言う特徴を有するため、水産資材用の繊維、例えば、釣
糸、魚網などに賞用されている。ところで、特に、延縄
の枝縄などの場合は、大きな直線強度が必要とされ、繊
維径が1.5mm以上であることが望ましい。
ような大きな繊維径においては、フッ化ビニリデン系樹
脂延伸繊維の水中における見え難さも限界となり、高い
漁獲量を期待し得る程の透明性を維持することは出来な
い。本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、
その目的は、大きな繊維径においても水中で見え難い性
質を有する水産資材用繊維を提供することにある。
的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、意外にも、特定
量の高級脂肪酸金属塩を含有させて得られる特定性状の
フッ化ビニリデン系樹脂組成物により、上記の目的を容
易に達成し得ることを知得し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の要旨は、フッ化ビニリデン系樹脂1
00重量部に対して高級脂肪酸の金属塩を0.001〜
0.5重量部含有し且つ褐色に着色された樹脂組成物か
ら成ることを特徴とする水産資材用繊維に存する。
おいて、フッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニ
リデンの単独重合体の他、フッ化ビニリデンと他の単量
体との共重合体またはこれらの混合物が用いられる。フ
ッ化ビニリデンと共重合可能な他の単量体としては、フ
ッ化ビニル、三フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレ
ン、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン等の1種ま
たは2種以上が挙げられる。フッ化ビニリデン系樹脂の
インヒレント粘度(ηinh)は、通常、1.30以
上、好ましくは1.35〜2.00、更に好ましくは
1.40〜1.80の範囲である。
体において、フッ化ビニリデン単位の含有量は、通常、
70モル%以上とされる。また、フッ化ビニリデン系樹
脂には、その性質を妨げない限り、フッ化ビニリデン系
樹脂に対して相溶性を有する他の樹脂を混合してもよ
い。本発明においては、特に、フッ化ビニリデンと六フ
ッ化プロピレンとの共重合体が好適に用いられる。
常、炭素数14以上の脂肪酸が用いられ、直鎖状または
分岐状の何れであってもよく、また、不飽和結合を有し
ていてもよい。しかしながら、通常は、直鎖状の飽和ま
たは不飽和脂肪酸が用いられ、具体例としては、ミリス
チン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン
酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ベヘ
ン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸などの
直鎖飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸
などの直鎖不飽和脂肪酸が挙げられる。これらの中で
は、特に、ステアリン酸が好適である。
の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウ
ム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、銅、亜鉛、
アルミニウム等が用いられる。これらの中では、特に、
カルシウムが好適である。
成物は、フッ化ビニリデン系樹脂と高級脂肪酸の金属塩
から成るが、金属塩は、フッ化ビニリデン系樹脂100
重量部に対して0.001〜0.5重量部、好ましくは
0.005〜0.05の範囲でなければならない。金属
塩の割合が上記の範囲未満の場合は、水中における透明
性が優れた繊維は得られず、また、上記の範囲を超える
場合は、透明性の効果が頭打ちになるばかりか、繊維の
強度が低下すると言う問題がある。
れていることが重要である。本発明において、褐色に着
色されているとは、黒褐色のように強く着色されている
ことを意味するのではなく、飴色のように薄く着色され
ていることを意味する。具体的には、ハーゼン色数法に
おける色数が5〜100の範囲に着色されているのが好
ましい。
を用い、適宜の処理温度および処理時間の条件下に熱処
理行なうことによって達成することが出来る。そして、
通常は、繊維の製造工程において、溶融押出機における
溶融温度と滞留時間とを調節して行なうのが簡便であ
る。この場合、溶融紡糸の温度としては、通常200〜
350℃、好ましくは220〜300℃の範囲にするの
がよい。上記の着色樹脂組成物により、水中における透
明性が優れた繊維が得られる理由は、必ずしも明らかで
はないが、高級脂肪酸の金属塩の作用により、フッ化ビ
ニリデン系樹脂の結晶構造などが変化し、その結果、水
中における屈折率が変化したことによるものと推定され
る。
とすることが出来るが、通常、繊維径が1.5mm以上
の場合に本発明による利益が大きい。また、繊維径の上
限は、溶融紡糸可能な範囲で任意に大きくすることが出
来るが、通常は、7mm以下とするのがよい。
に限定されず、従来公知の各種の方法を任意に採用する
ことが出来る。一例としては、溶融押出機を用いてフッ
化ビニリデン系樹脂を溶融紡糸した後、得られた未延伸
糸を冷却し、次いで、未延伸糸を予熱した後、延伸し、
緩和熱処理を行なう方法などが挙げられる。この様にし
て得られた本発明の水産資材用繊維は、大気中において
は褐色に着色されて見えるが、水中においては外観が見
え難い性質を有する。
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の例に
おいて、得られた延伸繊維の水中における透明性の評価
は、次の方法によって行なった。
m、深さ50cmのガラス製水槽内に予め濾過した天然
海水を水位40cmとなるように入れ、試料繊維の下部
に重りを付けて水槽内の略中央に沈め、水槽から3m離
れた距離から肉眼によって観察し、繊維の外観が見える
か否かによって評価した。なお、評価試験は、照度35
0ルクスの室内において行なった。
92重量部と六フッ化プロピレン8重量部から得られた
インヒレント粘度1.47の共重合体ペレットとに対し
て0.05重量%のステアリン酸カルシウムを添加し、
ノズル温度265℃の条件下で溶融紡糸し、糸径4.4
7mmの未延伸糸を得、105℃のグリセリン浴中に導
入して徐冷した。なお、溶融押出機における樹脂の滞留
時間は、約10分であった。
リン浴中で予熱し、150℃のグリセリン浴中で約6.
4倍に一段延伸し、130℃の熱乾中で約12%の緩和
処理を行ない、4.46m/分の速度で巻き取った。溶
融押出機における押し出し速度は20g/分、予熱浴中
の滞留時間は約23秒、延伸浴中の滞留時間は約7秒で
あった。得られた繊維の直径は、1.9mmであり、ハ
ーゼン色数法における色数が45であり、飴色に着色し
ていた。そして、上記の透明性の評価を行なった結果、
水中における存在が確認出来ないほど透明に見えた。
なわない以外は、実施例1と同様にして繊維径1.8m
mの繊維を得た。得られた繊維は殆ど着色しておらず、
上記の透明性の評価を行なった結果、繊維の外観が確認
され、水中における透明性は不充分であった。
は、約5分に変更した以外は、実施例1と同様にして繊
維径1.9mmの繊維を得た。得られた繊維は殆ど着色
しておらず、上記の透明性の評価を行なった結果、繊維
の外観が確認され、水中における透明性は不充分であっ
た。
は、大きな繊維径であっても水中で外観が見え難い性質
を有する。従って、本発明の水産資材用繊維は、延縄の
枝縄などとして特に好適である。
Claims (4)
- 【請求項1】 フッ化ビニリデン系樹脂100重量部に
対して高級脂肪酸の金属塩を0.001〜0.5重量部
含有し且つハーゼン色数が5〜100の範囲の褐色に着
色された樹脂組成物から成ることを特徴とする水産資材
用繊維。 - 【請求項2】 繊維径が1.5〜7mmの範囲である請
求項1に記載の水産資材用繊維。 - 【請求項3】 フッ化ビニリデン系樹脂がフッ化ビニリ
デンと六フッ化プロピレンとの共重合体である請求項1
又は2に記載の水産資材用繊維。 - 【請求項4】 高級脂肪酸の金属塩がステアリン酸カル
シウムである請求項1〜3の何れかに記載の水産資材用
繊維。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32997593A JP3364304B2 (ja) | 1993-12-01 | 1993-12-01 | 水産資材用繊維 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32997593A JP3364304B2 (ja) | 1993-12-01 | 1993-12-01 | 水産資材用繊維 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07157912A JPH07157912A (ja) | 1995-06-20 |
JP3364304B2 true JP3364304B2 (ja) | 2003-01-08 |
Family
ID=18227371
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32997593A Expired - Fee Related JP3364304B2 (ja) | 1993-12-01 | 1993-12-01 | 水産資材用繊維 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3364304B2 (ja) |
-
1993
- 1993-12-01 JP JP32997593A patent/JP3364304B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH07157912A (ja) | 1995-06-20 |
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