JP3363236B2 - 積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサの製造方法

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JP3363236B2
JP3363236B2 JP02985794A JP2985794A JP3363236B2 JP 3363236 B2 JP3363236 B2 JP 3363236B2 JP 02985794 A JP02985794 A JP 02985794A JP 2985794 A JP2985794 A JP 2985794A JP 3363236 B2 JP3363236 B2 JP 3363236B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は誘電体磁器層の積層状態
に特徴を持つ積層セラミックコンデンサの製造方法に関
するものである。 【0002】 【従来の技術】積層セラミックコンデンサは、誘電体磁
器材料の粉末と有機バインダーとを混合したスラリーを
用いた誘電体グリーンシートと、その表面に導電性ペー
ストを用いて内部電極パターンを印刷したものとを多数
積層して焼成することにより形成され、小型で大容量の
コンデンサとして広く使用されている。上記のように形
成される積層セラミックコンデンサには、特に内部電極
が形成された誘電体磁器層の間において、焼成後に層間
の剥離が生じるデラミネーションと言われる現象や、誘
電体磁器に割れが生じるクラックと言われる現象が発生
し、コンデンサの電気的特性及び機械的特性並びに信頼
性が、ばらついたり不良になったりするという問題があ
った。 【0003】これらデラミネーション(以下、デラミと
略す)やクラックの対策として、特開昭59−90915 号公
報には、内部の積層状態を分割して形成する積層セラミ
ックコンデンサが提案されている。図3(a)に、同公
報に開示された積層セラミックコンデンサの内部構造を
縦断面図で示す。同図によれば、積層セラミックコンデ
ンサの内部を、誘電体磁器層1と内部電極2とが交互に
連続して所定の層数積層されている2つ以上の部分A及
びBに分割し、それらAとBとの間に、内部電極2が形
成されていない誘電体磁器層1を積層した、ブランク層
としての中間層Cを設けている。なお、3は端子電極で
ある。そして、この中間層Cに、焼成時の誘電体磁器層
1と内部電極2との熱収縮の差によって生じる内部応力
を吸収させることにより、デラミやクラックの発生を抑
えることができるというものである。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
59−90915 号公報に提案されたコンデンサの構造によっ
ても、厚みが10μm以下と薄い誘電体磁器層を100 層以
上積層して形成されるような、小型大容量の積層セラミ
ックコンデンサにおいては、中間層Cの前後に部分A及
びBの内部応力が集中してかかるため、図3(b)の縦
断面図中に示したように、中間層Cの前後の層でデラミ
4が発生することを抑えきれなかった。 【0005】従って、特に、厚みの薄い誘電体磁器層を
多数積層して形成する小型大容量の積層セラミックコン
デンサに対して、デラミやクラックが発生しないコンデ
ンサ並びにその製造方法が要望されていた。 【0006】 【0007】本発明の目的は、上記の問題点を解決し
て、デラミやクラックが発生しない、電気的、機械的特
性並びに信頼性に優れた、小型大容量の積層セラミック
コンデンサの製造方法を提供することにある。 【0008】 【0009】 【課題を解決するための手段】 本発明の積層セラミッ
クコンデンサの製造方法は、表面に内部電極パターンが
印刷された誘電体グリーンシートを複数枚積層して形成
される容量発生領域用積層体を少なくとも2つ準備する
と共に、誘電体グリーンシートを複数枚積層して形成さ
れ、上下両面から50μm以上離れた誘電体グリーンシ
ート間に、500℃以下の温度で熱分解する有機結合剤
を、中央部に配した中間層領域用積層体を少なくとも1
つ準備し、次に前記各容量発生領域用積層体間に中間層
領域用積層体を介在積層させてコンデンサ用積層体を形
成し、然る後、前記コンデンサ用積層体を焼成して各誘
電体グリーンシートと内部電極パターンとを焼結一体化
し、各容量発生領域間に中間層領域を介在させた積層セ
ラミックコンデンサとすると共に中間層領域の内部で前
記有機結合剤を飛散させて各容量発生領域から50μm
以上離れた位置に空隙を設けることを特徴とするもので
ある。 【0010】 【作用】本発明にかかる積層セラミックコンデンサは、
誘電体磁器層と内部電極とが交互に積層された複数個の
容量発生領域が、それら各容量発生領域の間に、複数の
誘電体磁器層が積層された中間層領域を介在させて積み
重ねられており、中間層領域の内部には、その上下いず
れの容量発生領域中の内部電極からも50μm以上離れ
た位置に空隙を設けたものである。 【0011】このような構成により、焼成時に誘電体グ
リーンシートと内部電極パターンとの熱収縮の差によっ
て生じる応力が、中間層領域内の空隙に集中するので、
誘電体磁器層と内部電極との間もしくは誘電体磁器層同
士の間、又は容量発生領域と中間層領域との間におけ
る、デラミあるいは誘電体磁器のクラックが発生しなく
なる。従って、電気的、機械的特性並びに信頼性に優れ
た、小型大容量の積層セラミックコンデンサが得られる
ものである。 【0012】本発明の積層セラミックコンデンサの製造
方法は、まず、誘電体グリーンシートの表面に導電性ペ
ーストからなる内部電極パターンを印刷したものを交互
に積層して、焼成後に誘電体磁器層と内部電極とが交互
に積層された容量発生領域となる容量発生領域用積層体
を複数個形成し、それら複数の容量発生領域用積層体の
間に、複数の誘電体グリーンシートを積層して形成さ
れ、その上下両面のいずれからも50μm以上離れた誘
電体グリーンシートの間に500℃以下の温度で熱分解
する有機結合剤を配した、中間層領域用積層体を介在さ
せて積層してコンデンサ用積層体とする。そして、この
コンデンサ用積層体を焼成して焼結一体化し、各容量発
生領域間に中間層領域を介在させた積層セラミックコン
デンサとすると共に、中間層領域内の内部で各容量発生
領域から50μm以上離れた位置に、有機結合剤を熱分
解して飛散させることにより形成される空隙を設けるよ
うにしたものである。 【0013】上記製造方法により、積層体の焼成時に中
間層領域内に所望の空隙が形成され、誘電体グリーンシ
ートと内部電極パターンとの熱収縮の差によって生じる
応力をその空隙に集中させることができ、誘電体磁器層
と内部電極との間もしくは誘電体磁器層同士の間、又は
容量発生領域と中間層領域との間における、デラミある
いは誘電体磁器のクラックが発生しなくなる。従って、
電気的、機械的特性並びに信頼性に優れた、小型大容量
の積層セラミックコンデンサが得られるものである。 【0014】また、このようにして中間層領域内に空隙
を形成しても、この空隙と直近の内部電極との距離が50
μm以上あるため、容量発生領域の特性に空隙が悪影響
を及ぼすことがないので、コンデンサとしての電気的あ
るいは機械的特性には問題を生じることはなく、信頼性
を損なうこともない。 【0015】特に、誘電体磁器層の厚みが10μm以下と
薄く、内部電極の積層数が100 層以上であるような、小
型で大容量の積層セラミックコンデンサにおいては、デ
ラミやクラックが発生しやすいが、本発明の構成並びに
製造方法によれば、良好な特性の積層セラミックコンデ
ンサを安定して得ることができる。 【0016】 【実施例】以下、本発明の積層セラミックコンデンサの
製造方法について、具体例に基づいて詳述する。図1
は、本発明にかかる積層セラミックコンデンサの構成の
一実施例を示す断面図である。同図は中間層領域に1つ
の空隙を設けた例を示しており、同図中、5は誘電体磁
器層を示し、6は内部電極、7は端子電極であり、8は
空隙である。このように、誘電体磁器層5と内部電極6
とが交互に積層された2つの容量発生領域D及びEの間
に、誘電体磁器層5のみが積層された中間層領域Fが形
成されており、その中間層領域Fの内部に、その上下い
ずれの容量発生領域中の内部電極6からも、同図中にG
で示した距離が50μm以上離れた位置に、空隙8が形
成されている。 【0017】図1においては、2つの容量発生領域の間
に1つの中間層領域が形成されている例を示したが、大
容量化のために3つの容量発生領域を有し、それらの間
に各々1つずつ、計2つの中間層領域を介在させたもの
でもよく、あるいは、更に多くの容量発生領域が中間層
領域を介して積層されたものであってもよい。 【0018】本発明の積層セラミックコンデンサに用い
られる誘電体粉末には、例えばチタン酸バリウム(Ba
TiO3 )、チタン酸ランタン(LaTiO3 )、チタ
ン酸マグネシウム(MgTiO3 )、ジルコン酸カルシ
ウム(CaZrO3 )、スズ酸ストロンチュウム(Sr
SnO3 )、チタン酸カルシウム(CaTiO3 )等が
ある。これをポリビニルブチラール、ポリビニルアルコ
ール(PVA)、ポリビニルブチラート、アクリル系樹
脂(アクリルポリマー水性エマルジョン)等のバインダ
ーと充分に混合粉砕したスラリーから、ロールコーター
法、ドクターブレード法等の方法により厚み5〜20μm
の誘電体グリーンシートに成形して使用する。 【0019】また、内部電極となる導電性ペーストに
は、Pd、Ag、Pd−Ag合金、Ni、Cu、Pb、
Pt等の電極材料からなる粉末と、エチルセルロース、
エチルハイドロセルロース、メチルセルロース等のバイ
ンダーとを、よく混合粉砕してペースト状にしたものが
用いられる。この導電性ペーストは、スクリーン印刷
法、あるいは転写印刷法、グラビア印刷法等により、誘
電体グリーンシート上に内部電極パターンとして印刷さ
れて、積層、圧着され、焼成されることにより、内部電
極を形成する。 【0020】本発明の積層セラミックコンデンサの容量
発生領域は、上記の誘電体グリーンシートと内部電極と
が交互に積層されて形成される。この容量発生領域の形
成に当たっては、内部電極パターンを印刷した誘電体グ
リーンシートをあらかじめ所定の層数積層したものを一
度に仮圧着してもよいし、内部電極パターンの印刷と誘
電体グリーンシートの積層と仮圧着とを交互に繰り返し
て、所定の層数積層してもよい。 【0021】また、複数の誘電体磁器層が積層された中
間層領域の形成に当たっても同様に、複数の誘電体グリ
ーンシートをあらかじめ所定の層数積層したものを、容
量発生領域の間に介在させて積み重ねて一度に圧着して
もよいし、容量発生領域の上に、誘電体グリーンシート
の積層と仮圧着とを交互に繰り返して、所定の層数積層
してもよい。更に、中間層領域を介在させて次の容量発
生領域を積層してコンデンサ用積層体を形成するに当た
っても、上記と同様に、所定の層数積層したものを先の
容量発生領域及び中間層領域と共に一度に圧着してもよ
いし、中間層領域の上に内部電極パターンの印刷と誘電
体グリーンシートの積層と仮圧着とを交互に繰り返して
所定の層数積層して、コンデンサ用積層体としてもよ
い。 【0022】本発明の積層セラミックコンデンサの中間
層領域の内部には、その上下いずれの容量発生領域中の
内部電極からも50μm以上離れた位置に、空隙を形成す
ることを特徴とする。この空隙は、上記の位置に積層す
る誘電体グリーンシート上に、500 ℃以下の温度で熱分
解する有機結合剤を印刷等により配したものを用いて積
層体を形成し、それを焼成することにより形成される。
即ち、上記の有機結合剤が配された誘電体グリーンシー
トを積層して圧着した積層体を、300 〜500 ℃の温度で
加熱して、いわゆる脱バインダー処理すると、有機結合
剤が熱分解して飛散し、有機結合剤が配されていた部分
の誘電体磁器層間に薄い剥がれが生じる。次いで、これ
を1100〜1400℃の温度で焼成すると、この薄い剥がれに
誘電体グリーンシート(誘電体磁器層)と内部電極パタ
ーン(内部電極)との熱収縮の差によって生じる応力が
集中して、この部分に空隙が形成される。このように、
容量発生領域に生じた熱応力が、中間層領域に空隙を形
成することによってそこに逃がされるため、焼成後の積
層セラミックコンデンサには、熱応力に起因するデラミ
やクラックが発生しなくなる。 【0023】空隙の形成に使用される有機結合剤は、50
0 ℃以下の温度、好適には300 〜500 ℃の温度で熱分解
することが望ましい。 【0024】このような有機結合剤としては、誘電体グ
リーンシートあるいは導電性ペーストのバインダーとし
て例示した、エチルセルロース、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラート、ア
クリル系樹脂(アクリルポリマー水性エマルジョン)、
エチルハイドロセルロース、メチルセルロース等を用い
ることができ、その他にも酢酸ビニル等がある。中で
も、グリーンシートに用いたバインダーと同じものを用
いると、有機結合剤とグリーンシートのバインダーとが
反応してグリーンシート表面が侵される、いわゆるシー
トのアタックが生じなくなる。即ち、有機結合剤が配さ
れたグリーンシート面が侵されず、シート上に印刷され
た有機結合剤のパターンが収縮するというような異常が
生じない、といった点で好ましい。 【0025】誘電体磁器層に空隙を形成するに当たっ
て、誘電体グリーンシートに有機結合剤を配する方法と
しては、スクリーン印刷法、あるいは凸版直印刷法、凸
版オフセット印刷法、凹版直印刷(グラビア印刷)法、
凹版転写印刷法、平版印刷法等の印刷法がある。これら
の中では、スクリーン印刷法、あるいはグラビア印刷法
が好ましい。 【0026】また、有機結合剤を配した後のシートを積
層して圧着する方法としては、金型プレスもしくは水圧
プレスがある。その方法や条件は、圧着する誘電体グリ
ーンシートや内部電極パターン、有機結合剤等の材質や
特性等に応じて、適宜選択される。 【0027】そして、焼成条件としては、使用する誘電
体材料や内部電極材料によっても異なるが、良好な空隙
の形成のためには、特に昇温速度が重要である。例え
ば、焼成条件を1350℃、2時間とする場合、昇温速度を
250 〜300 ℃/時に設定することが好ましく、この範囲
であれば適正な大きさの空隙が形成される。昇温速度が
350 〜500 ℃/時と大きいと空隙が大きくなり過ぎ、10
0 〜200 ℃/時と小さいと空隙が小さくなり過ぎる傾向
がある。 【0028】焼成に際しては、予備乾燥を行なって脱バ
インダー処理することが好ましい。これにより有機結合
剤が熱分解して飛散し、有機結合剤が配されていた部分
の誘電体磁器層間に薄い剥がれが生じ、次いで行なう焼
成によって、この部分に空隙が形成される。予備乾燥条
件としては、20〜25℃/時の昇温速度で300 〜500 ℃ま
で昇温し、同じく20〜25℃/時の降温速度で室温へ戻す
ことが好ましい。 【0029】このようにして有機結合剤を配し、積層、
圧着、焼成することによって、本発明の積層セラミック
コンデンサの中間層領域において、所望の空隙が安定し
て形成されるので、デラミやクラックの発生しない良好
な特性のコンデンサを安定して得ることができる。 【0030】ここで、図1に示した構成の積層セラミッ
クコンデンサの製造方法の一実施例を、図2(a)及び
(b)に示す。図2(a)は、誘電体グリーンシートと
内部電極パターン、及び有機結合剤の積層状態を示す分
解斜視図であり、図2(b)は、それらを積層して圧着
した状態を示す縦断面図である。これらの図において
D、E及びFは、それぞれ図1と同じ容量発生領域もし
くは中間層領域を表している。図2(a)に示したよう
に、まず容量発生領域Dを形成するために、焼成後に内
部電極6となる内部電極パターン10が印刷された、焼成
後に誘電体磁器層5となる誘電体グリーンシート9が、
例えば50層以上交互に積層される。この内部電極パター
ン10は、後から形成される端子電極に接続できるように
印刷されている。次に、中間層領域Fを形成するため
に、複数の誘電体グリーンシート9が、好ましくは60μ
m以上の厚みとなるように積層され、次いで、焼成後に
空隙8を形成するための有機結合剤11が印刷によりほぼ
中央部に配された誘電体グリーンシート9が積層され、
更に、複数の誘電体グリーンシート9が、好ましくは60
μm以上の厚みとなるように積層される。ここで、誘電
体グリーンシート9を好ましくは60μm以上の厚みにな
るように積層するのは、焼成後に誘電体グリーンシート
9が誘電体磁器層5となってその厚みが収縮しても、内
部電極6と空隙8との距離が50μm以上となるようにす
るためである。最後に、容量発生領域Eを形成するため
に再び、端子電極に接続できるように内部電極パターン
10が印刷された誘電体グリーンシート9が、例えば50層
以上交互に積層される。同図(b)には、これらを圧着
した状態のコンデンサ用積層体の縦断面図を示してお
り、この例では、中間層領域Fの中央に空隙を形成する
ための有機結合剤11を内在したものとなる。そして、こ
れを脱バインダーして焼成することにより、図1に示し
た、中間層領域Fの中央に空隙8を有する積層セラミッ
クコンデンサとなる。 【0031】図2(a)のように各層を積層するに当た
っては、あらかじめ内部電極パターンや有機結合剤が印
刷された誘電体グリーンシートを積層したものを一度に
圧着してもよいし、上記の層構成となるように、誘電体
グリーンシートの積層、内部電極あるいは有機結合剤の
印刷及び仮圧着を繰り返してもよい。 【0032】また、大容量化のために更に多くの容量発
生領域と中間層領域とが交互に形成されるコンデンサに
ついても、上記と同様にして各領域を形成すればよい。 【0033】空隙の厚み、面積、あるいは個数について
は、製作する積層セラミックコンデンサの大きさや容
量、使用する誘電体グリーンシートの厚み等にも関係す
るが、以下に示す範囲に設定すれば、電気的及び機械的
特性に悪影響を与えることなくデラミの発生を抑制でき
て好ましい。 【0034】空隙の面積は、図1及び図2に示すように
内部電極6がコンデンサの中央部において重なり合う部
分の面積(有効面積)に対して、その面積の0.5 〜1.1
倍の範囲であることが望ましい。空隙の面積がこの範囲
より小さくなると、容量発生領域からの応力を吸収しき
れなくなって、デラミが発生する傾向がある。また、こ
の範囲より大きくなると、空隙に集中した応力がコンデ
ンサの外へ逃げるため、表面クラックが発生する傾向が
ある。 【0035】空隙の形状は、上記面積範囲内であれば、
長方形、正方形、平行四辺形、円形、楕円形、その他不
定形など、どのような形状であってもよい。 【0036】空隙の厚みは5〜20μmの範囲であること
が好ましく、この範囲であれば応力を効果的に吸収で
き、かつ特性に悪影響を与えることもない。 【0037】空隙の個数は1個でも複数個でもよい。空
隙が複数個の場合には、それらの面積の合計が上記の範
囲内であることが必要である。そして、表面クラックを
発生させないために、上記有効面積から1.1 倍の面積を
越える外側に存在しないことが望ましい。また、複数個
の空隙は同一面内に形成することが望ましいが、上下い
ずれの容量発生領域中の内部電極6からも距離Gが50μ
m以上離れた位置であれば、いくつかの面に形成されて
いてもよい。 【0038】以下、具体例に基づいて詳述する。 〔例1〕誘電体磁器層の材料としてチタン酸バリウムを
主成分とするEIA規格のX7R特性の各粉末を用意
し、バインダーとしてアクリル系樹脂(アクリルポリマ
ー水性エマルジョン)を用意した。これらをアトライタ
ーを用いて混合粉砕し、得られたスラリーから、ドクタ
ーブレード法により厚さ10μmの誘電体グリーンシート
を成形した。一方、内部電極の材料として、Pd及びA
gの各粉末に、バインダーとしてエチルセルロースを加
えて混練し、導電性ペーストを作製した。また、中間層
領域に空隙を形成するための有機結合剤としては、熱分
解温度が450℃であるポリビニルブチラールを用意し
た。 【0039】まず、誘電体グリーンシートに導電性ペー
ストを、スクリーン印刷法により厚み2μm、幅1mm
で、後から形成される端子電極に接続されるように各々
の片端までの長さで印刷し、50層になるように交互に積
層した。次いで、誘電体グリーンシートのみを7層積層
し、その上に有機結合剤をスクリーン印刷法により、厚
み5μm、幅1mm、長さ2mmで印刷したものを積層
し、更に、誘電体グリーンシートのみを8層積層した。
そして再び、上記と同様に導電性ペーストを印刷した誘
電体グリーンシートを、50層になるように交互に積層し
た。 【0040】この積層体を金型プレスにより室温で40〜
100 kg/cm2 の条件で仮圧着して一体化し、それを
長さ2.5 mm×幅1.5 mm角の個々のグリーンチップに
切断した。次いで、乾燥機によ23℃/時の昇温条件で40
0 ℃、4時間の条件で脱バインダーした後、300 ℃/時
の昇温条件で1350℃、2時間の条件で焼成して、長さ2
mm×幅1.2 mm角で厚さ約0.9 mmのチップ試料を得
た。そして、このチップ試料の両端面にAgペーストを
塗布し、800 ℃で焼成して端子電極を形成した後Ni−
Snメッキを行ない、積層セラミックコンデンサ試料
(イ)を得た。 【0041】このようにして作製した試料(イ)の外観
を倍率40倍の双眼顕微鏡により評価したところ、クラッ
クの発生は認められなかった。また、試料(イ)の内部
状態を調べるために、この試料を樹脂で固めて250 番の
研磨紙で粗研磨して断面を出し、次いで800 番、1500番
の研磨紙で順次研磨して鏡面状態にして、粒径0.5 μm
のダイヤモンドペーストで仕上研磨した。この試料
(イ)の縦断面を、50倍の実体顕微鏡を用いて観察した
ところ、中間層領域の中央部に厚み10μmの空隙が、内
部電極から53μmの距離で形成されていた。また、コン
デンサ内部にはデラミの発生は認められず、良好な焼成
状態であった。そして、同様に作製した試料20個につい
て、たわみ強度測定器及び抗折力測定器によって機械的
特性を調べたところ、いずれも不良の発生はなく、良好
で安定した機械的特性であった。 【0042】更に、試料(イ)の静電容量をLCRメー
ター(YHP製#4274A)を用いて測定したとこ
ろ、238000pFであった。加えて、同様に作製した試料
について静電容量のバラツキを調べたところ、±20%
(190400pF〜285600pF)の範囲内であり、バラツキ
の少ない安定した電気的特性であった。 【0043】〔例2〕中間層領域の形成に当たって、有
機結合剤を印刷した誘電体グリーンシートを積層しなか
った以外は、〔例1〕と同様にして、積層セラミックコ
ンデンサ試料(ロ)を作製した。 【0044】この試料(ロ)について、〔例1〕と同様
に評価したところ、内部の焼成状態においては、誘電体
磁器層と内部電極との間、または容量発生領域と中間層
領域との間で、100 個中85個(不良率85%)に、デラミ
が発生しているのが認められた。 【0045】更に、試料(ロ)の静電容量は、中心値は
試料(イ)と同じであったものの、バラツキは±40%
(142800pF〜333200pF)の範囲内であり、試料
(イ)よりもバラツキが大きく、安定性に劣る結果であ
った。 【0046】〔例3〕誘電体磁器層の材料としてチタン
酸バリウムを主成分とするEIA規格のY5V特性の材
料組成を調整し、バインダーとしてアクリル系樹脂を用
意した。これらをアトライターを用いて混合粉砕し、得
られたスラリーを用いて、ドクターブレード法により厚
さ10μmの誘電体グリーンシートを成形した。一方、内
部電極材料として、Pd粉末にバインダーとしてエチル
ハイドロセルロースを加えて混練し、導電性ペーストを
作製した。また、中間層領域に空隙を形成するための有
機結合剤としては、分解温度が300 ℃であるアクリル系
樹脂を用意した。 【0047】まず、誘電体グリーンシートに導電性ペー
ストを、スクリーン印刷法により厚み2μm、幅2mm
で、後から形成される端子電極に接続されるように各々
の片端までの長さで印刷し、50層になるように交互に積
層した。次いで、誘電体グリーンシートのみを7層積層
し、その上に有機結合剤をスクリーン印刷法により厚み
7μm、幅1mm、長さ2mmで印刷したものを積層
し、更に、誘電体グリーンシートのみを8層積層した。
そして再び、上記と同様に導電性ペーストを印刷した誘
電体グリーンシートを、50層になるように交互に積層し
た。 【0048】この積層体を、金型プレスにより仮圧着し
て一体化し、それを長さ3.8 mm×幅2.0 mm角の個々
のグリーンチップに切断した。次いで、乾燥機により40
0 ℃、4時間の条件で脱バインダーした後、300 ℃/時
の昇温条件で1350℃、2時間の条件で焼成して、長さ3.
2 mm×幅1.6 mm角で厚さ約1.0 mmのチップ試料を
得た。そして、このチップ試料の両端面にAgペースト
を塗布し、焼成して端子電極を形成した後、Ni−Sn
メッキを行ない、積層セラミックコンデンサ試料(ハ)
を得た。 【0049】このようにして作製した試料(ハ)の外観
を倍率40倍の双眼顕微鏡により評価したところ、〔例
1〕と同様にクラックの発生は認められなかった。ま
た、試料(ハ)の内部状態を調べるために、〔例1〕と
同様にして研磨し、その縦断面を、50倍の実体顕微鏡を
用いて観察したところ、中間層領域の中央部に厚み17μ
mの空隙が、内部電極から60μmの距離で形成されてい
た。また、コンデンサ内部にはデラミの発生は認められ
ず、良好な焼成状態であった。そして、同様に作製した
試料20個について、たわみ強度測定器及び抗折力測定器
によって機械的特性を調べたところ、いずれも不良の発
生はなく、良好で安定した機械的特性であった。 【0050】更に、試料(ハ)の静電容量を〔例1〕と
同様に測定したところ、330000pFであった。加えて、
同様に作製した試料について静電容量のバラツキを調べ
たところ、±10%(297000pF〜363000pF)の範囲内
であり、バラツキの少ない安定した電気的特性であっ
た。 【0051】〔例4〕〔例3〕の試料を作製するに当た
って、焼成時の昇温速度を400 ℃/時と大きくした他は
〔例3〕と同様にして、積層セラミックコンデンサ試料
(ニ)を得た。 【0052】このようにして作製した試料(ニ)の外観
を倍率40倍の双眼顕微鏡により評価したところ、全数の
表面にクラックの発生が認められた。また、試料(ハ)
の内部状態を調べるために〔例1〕と同様に研磨し、そ
の縦断面を50倍の実体顕微鏡を用いて観察したところ、
焼成時の昇温速度が大きかったことに起因して、中間層
領域に厚み約150 μmの空隙が、内部電極から約10μm
の距離で形成されていた。また、同様に作製した試料の
全数にも内部にクラックの発生が認められ、試料(ハ)
よりも劣る結果であり、コンデンサとしての評価は不可
能であった。 【0053】 【0054】 【発明の効果】本発明によれば、容量発生領域の間の中
間層領域に、有機結合剤を配した誘電体グリーンシート
を積層するという製造上簡便な方法で空隙を形成し、焼
成後にデラミやクラックが発生しない、電気的、機械的
特性が良好でかつ安定な、信頼性に優れた小型大容量の
積層セラミックコンデンサが得られる、積層セラミック
コンデンサの製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例の構成を示す縦断面図である。 【図2】(a)及び(b)は、本発明の実施例を示す分
解斜視図及び縦断面図である。 【図3】(a)及び(b)は、従来の積層セラミックコ
ンデンサの例を示す縦断面図である。 【符号の説明】 1、5・・・誘電体磁器層 2、6・・・内部電極 3、7・・・端子電極 4・・・・・デラミネーション(デラミ) 8・・・・・空隙 9・・・・・誘電体グリーンシート 10・・・・内部電極パターン 11・・・・有機結合剤

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】【請求項1】 表面に内部電極パターンが印刷された誘
    電体グリーンシートを複数枚積層して形成される容量発
    生領域用積層体を少なくとも2つ準備すると共に、誘電
    体グリーンシートを複数枚積層して形成され、上下両面
    から50μm以上離れた誘電体グリーンシート間に、5
    00℃以下の温度で熱分解する有機結合剤を、中央部に
    配した中間層領域用積層体を少なくとも1つ準備し、次
    に前記各容量発生領域用積層体間に中間層領域用積層体
    を介在積層させてコンデンサ用積層体を形成し、然る
    後、前記コンデンサ用積層体を焼成して各誘電体グリー
    ンシートと内部電極パターンとを焼結一体化し、各容量
    発生領域間に中間層領域を介在させた積層セラミックコ
    ンデンサとすると共に中間層領域の内部で前記有機結合
    剤を飛散させて各容量発生領域から50μm以上離れた
    位置に空隙を設けることを特徴とする積層セラミックコ
    ンデンサの製造方法。
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