JP3363068B2 - 水噴射推進船 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は水噴射推進船に係
り、特にその船底に開口した水取入口から水取入用ダク
トを介し推進機本体に至る構造に関する。 【０００２】 【従来の技術】この種の構造として従来においては、例
えば特公昭５３−２１１９７号公報に記載のものがあ
る。これは、インペラを収納する推進機本体を船の前方
に伸び出させて水取入用ダクトの下部ダクト壁をこれに
よって形成する構成である。そして、この推進機本体を
船体にねじ止めすることによって容易に脱着できるよう
にしている。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】しかし、この構造にお
いては、推進機本体の下部が前方に突出して水取入用ダ
クトの一部を構成するため、インペラまわりの整備点検
のためには推進機本体全体を船体から取外さなければ作
業者の手が届かず、従って、その組立や整備点検が依然
として困難である。また、この推進機本体の前方側周縁
と船体との間は精度よくシ−ルされなければならない
が、前述のように整備点検時ごとに推進機本体を脱着す
る作業が必要となると、煩雑なシ−ル作業がその度に必
要となるという問題もある。 【０００４】さらに、水取入用ダクトの内面形状が推進
機本体によって形成されているため、推進機本体の脱着
作業ごとに変化する恐れがあり、これによって船の航走
性能が安定しなくなる恐れがある。 【０００５】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされてたもので、その目的とするところは、水
取入用ダクトをその内面形状が変化することがないよう
な構造としてシール性を確保することができる水噴射推
進船を提供するにある。 【０００６】 【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するために、船底に開口した水取入口が、水取
入用ダクトを介して、出力軸と一体回転するインペラを
収納するインペラケーシングに連通する水噴射推進船に
おいて、上記水取入用ダクトを、船体によって形成した
上部ダクト壁と、この上部ダクト壁の後部を下方から覆
う下部ダクト壁とで構成し、この下部ダクト壁の後端部
を上記出力軸を取り囲むように環状に形成し、この環状
の部分に上記インペラケーシングの前端部を結合したも
のである。 【０００７】 【作用】水取入用ダクトを構成する上部ダクト壁を船体
で構成したので、構造が簡単になる。さらに、下部ダク
ト壁の後端部を、出力軸を取り囲むように環状に形成
し、この環状の部分にインペラを収納するインペラケー
シングの前端部を結合したので、水取入用ダクトを上部
ダクト壁と下部ダクト壁の２部品で形成したにもかかわ
らず、水取入用ダクトとインペラケーシングとの間のシ
ールを確実なものにすることができる。 【０００８】 【発明の実施の形態】以下本発明を図面に示す実施形態
に基いて説明する。 【０００９】図１に本発明に係る水噴射推進船の一実施
形態の全体が示されている。符号１０はエンジンであ
り、そのクランク軸１１はカップリング１２を介して出
力軸１４に連結され、この出力軸１４は後述する推進機
本体１６内に至っている。船底１８の後部寄りには水取
入口２０が形成され、この水取入口２０は船体２２によ
ってその上部ダクト壁が形成される水取入用ダクト２４
を介し、出力軸１４と一体回転するインペラを収納する
インペラケーシング４６内に連通してる。２６は操向ノ
ズルである。なお２７は前記エンジン１０を船底１８に
支持させるためのブラケット、２８は燃料タンク、２９
はハンドルである。 【００１０】水取入用ダクト２４は、断面略円形であっ
て水取入口２０から後方に向かい斜め上方に立ち上がる
形状を呈しており、船体２２によって形成された上部ダ
クト壁３７と、この上部ダクト壁３７の後部を下方から
覆う下部ダクト壁３８とから構成されている。この下部
ダクト壁３８の後端部は出力軸１４を取り囲むように環
状に形成されており、この環状の部分にインペラケーシ
ング４６の前端部が結合されている。また、下部ダクト
壁３８は、上部ダクト壁３７と一体になって断面略円形
の水取入用ダクト２４を構成する形状を有している。 【００１１】水取入口２０には、図２に示すように、船
の前後方向に並列に延在する柵状のスクリ−ン３０が、
その前方端をボルトによって船体２２に脱着可能に取付
けられ、その後方端をボルトによって後述する水取入用
ダクト２４に脱着可能に取付けられている。ここで、下
部ダクト壁３８に、スクリ−ン３０の後方端が、ボルト
によって脱着可能に取付けられている。３６はスクリ−
ン３０の後端からさらに後方において船体２２に固着あ
るいは脱着可能に装着され、前記推進機本体１６を下方
より保護する保護プレ−トである。水取入用ダクト２４
の内周壁とこれから上方に連続して延在する船体２２の
内周壁には、環状のゴム、スポンジ等からなるシ−ル材
４０が配置される。シ−ル材４０の内周に推進機本体１
６の前端の開口部を形成する嵌合ダクト４２が挿入嵌合
されている。ここで、水取入用ダクト２４は、上部ダク
ト壁３７、下部ダクト壁３８及び嵌合ダクト４２とから
構成されており、嵌合ダクト４２は、水取入用ダクト２
４と後方の船体２２と推進機本体１６との間の空間とを
既述のようにシ−ル材４０を介してシールしている。シ
−ル材４０は弾性変形し、この前記シ−ル材４０によっ
て水取入用ダクト２４は後方の船体２２と推進機本体１
６との間の空間ひいては外部からシールされている。推
進機本体１６の前記嵌合ダクト４２の後端にはインペラ
ケ−シング４６が連結され、インペラケ−シング４６内
には前記出力軸１４に固着されて出力軸１４とともに回
転するインペラ４７が収納されている。さらに、嵌合ダ
クト４２の下部が船体２２の前方に斜め下方に延長され
ており、操向ダクト２６にはラダー６０が船底１８より
下方に突出された状態で固定されている。 【００１２】本実施形態によれば、水取入用ダクトを構
成する上部ダクト壁３７を船体２２で構成したので、構
造が簡単になる。また、下部ダクト壁３８の後端部を、
出力軸１４を取り囲むように環状に形成し、この環状の
部分にインペラ４７を収納するインペラケーシング４６
の前端部を結合したので、水取入用ダクト２４を上部ダ
クト壁３７と下部ダクト壁３８の２部品で形成したにも
かかわらず、水取入用ダクト２４とインペラケーシング
４６との間のシールを確実なものにすることができる。
さらに、操向ダクト２６の回動に伴ってラダー６０もそ
の方向に回動するため、舵取り性能が飛躍的に向上す
る。 【００１３】 【発明の効果】本発明によれば、水取入用ダクトを構成
する上部ダクト壁を船体で構成したので、構造が簡単に
なる。さらに、下部ダクト壁の後端部を、出力軸を取り
囲むように環状に形成し、この環状の部分にインペラを
収納するインペラケーシングの前端部を結合したので、
水取入用ダクトを上部ダクト壁と下部ダクト壁の２部品
で形成したにもかかわらず、水取入用ダクトとインペラ
ケーシングとの間のシールを確実なものにすることがで
きる。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明に係る水噴射推進船の第１実施形態の全
体を示す断面図である。 【図２】図１の要部拡大断面図である。 【符号の説明】 １６・・・推進機本体 １８・・・船底 ２０・・・水取入口 ２２・・・船体 ２４・・・水取入用ダクト ３０・・・スクリ−ン ３７・・・上部ダクト壁 ３８・・・下部ダクト壁 ４６・・・インペラケーシング

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 船底に開口した水取入口が、水取入用ダ
   クトを介して、出力軸と一体回転するインペラを収納す
   るインペラケーシングに連通する水噴射推進船におい
   て、上記水取入用ダクトを、船体によって形成した上部
   ダクト壁と、この上部ダクト壁の後部を下方から覆う下
   部ダクト壁とで構成し、上部ダクト壁の内周壁にシール
   材を配置するとともに下部ダクト壁の後端部を上記出力
   軸を取り囲むように環状に形成し、この環状の部分を前
   記シール材の内周に挿入嵌合し、さらに、この環状の部
   分と上記インペラケーシングの前端部とを結合したこと
   を特徴とする水噴射推進船。