JP3360986B2 - ハロゲン化有機化合物の分解方法およびハロゲン化有機化合物の分解装置 - Google Patents

ハロゲン化有機化合物の分解方法およびハロゲン化有機化合物の分解装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フロン等のハロゲ
ン化有機化合物を紫外線により分解・無害化するハロゲ
ン化有機化合物の分解方法および分解装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化有機化合物は、化学工業等の
各種の分野で広く使用されてきたが、例えば有機塩素系
化合物であるトリクロロエチレンやPCB(ポリクロロ
ビフェニル)は人体に対して有害の可能性があり、さら
にフッ素を含むクロロフルオロカーボン、いわゆる特定
フロンはオゾン層を破壊して地球環境を悪化させる可能
性がある。そこで、これらハロゲン化有機化合物を分解
して無害化する方法が種々検討されている。
【0003】例えば、液相中のハロゲン化有機化合物を
対象とする無害化方法としては、触媒分解法、紫外線等
を利用する電子線分解法、ナトリウム分解法等が研究さ
れている。これらのうち、最も実用化の可能性が高い紫
外線分解法においては、分解効率を上げるために、アル
カリを含むアルコール溶媒中にハロゲン化有機化合物、
例えばフロンを溶解した状態で紫外線を照射することが
行われてきた。
【0004】しかし、アルカリを含むアルコール溶媒中
でハロゲン化有機化合物に紫外線を照射する方法は、脱
水素置換反応(還元反応)が行われて、最終的にハイド
ロフルオロカーボンや炭化水素にする際に、中間生成物
からハイドロフルオロカーボンや炭化水素への反応が妨
げられ、塩素を 1つまたは 2つ含む中間生成物としての
クロロフルオロカーボンが残留するという難点を有して
いた。例えば、フロンとしてR11(CCl3 F)の分解を行
った場合、R11からR21(CHCl2 F)への塩素離脱反
応はほぼ100%進行するものの、R21からR31(CH2
ClF)への反応やR31からR41(CH3 F)への反応効率
が低下し、R21やR31のような塩素を含む中間生成
物が最終的に残留してしまう。
【0005】上述したような中間生成物の残留を防止す
るために、例えば特開平 6-63177号公報には、アルカリ
の不存在下でアルコール溶媒等にフロンのようなハロゲ
ン化有機化合物を溶解し、まずこの状態で紫外線を照射
し、この紫外線照射後にはじめてアルカリ処理を行う、
2段階のハロゲン化有機化合物の分解方法が記載されて
いる。この方法によれば、中間生成物の残留が大幅に抑
制され、クロロフルオロカーボン(中間生成物としての
ハイドロクロロフルオロカーボンを含む)をほぼ100%分
解することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た紫外線照射とアルカリ処理とを順に行う 2段階のハロ
ゲン化有機化合物の分解方法においては、紫外線照射工
程で当初のクロロフルオロカーボン等のハロゲン化有機
化合物をほぼ100%分解するのに、例えば30分以上という
ような長時間を要し、分解処理効率が低いと共に、長時
間紫外線を照射することで溶媒が高温となるために、反
応系に悪影響を及ぼすおそれがあった。このように、従
来の 2段階のハロゲン化有機化合物の分解方法では、当
初の紫外線照射工程における分解処理効率を高め、紫外
線の照射時間を短縮することが課題とされていた。
【0007】本発明は、上述したような課題に対処する
ためになされたもので、紫外線照射工程における分解処
理効率を高めることによって、紫外線の照射時間を短縮
することを可能にしたハロゲン化有機化合物の分解方法
および分解装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために研究を進めた結果、前述した従来の2
段階のハロゲン化有機化合物の分解方法では、溶媒中に
酸素が含まれることによって、紫外線の照射当初のエネ
ルギーが酸素ラジカルの生成反応に消費されてしまい、
またその酸素ラジカルが本来目的とする還元反応とは逆
の酸化反応を起こし、その結果としてハロゲン化有機化
合物の分解処理効率が低下し、紫外線を長時間照射しな
ければ当初のハロゲン化有機化合物をほぼ100%分解する
ことができないことを見出した。
【0009】本発明は、このような知見に基いてなされ
たもので、本発明のハロゲン化有機化合物の分解方法
は、請求項1に記載したように、ハロゲン化有機化合物
を溶媒中に溶解し、この状態で前記ハロゲン化有機化合
物に紫外線を照射する第1の工程と、前記紫外線照射後
の前記ハロゲン化有機化合物を含む溶媒をアルカリ処理
する第2の工程と、前記第2の工程を経た前記溶媒から
前記ハロゲン化有機化合物の分解生成物を除去し、前記
溶媒を再生する第3の工程とを具備し、前記溶媒を予め
低濃度酸素系とする処理を行うことを特徴としている。
【0010】また、本発明のハロゲン化有機化合物の分
解装置は、請求項3に記載したように、下部にハロゲン
化有機化合物を溶媒中に撹拌しながら溶解させるガス導
入口を有し、前記溶媒中に溶解された前記ハロゲン化有
機化合物に紫外線を照射する紫外線照射槽と、前記紫外
線照射槽に供給前の溶媒を、低濃度酸素ガスの導入処理
および減圧処理から選ばれる少なくとも 1つの処理によ
り低濃度酸素系とする溶媒脱酸素化手段と、前記紫外線
照射後の前記ハロゲン化有機化合物を含む溶媒にアルカ
リ処理を施すアルカリ処理槽とを具備することを特徴と
している。
【0011】本発明のハロゲン化有機化合物の分解方法
においては、ハロゲン化有機化合物を溶解する溶媒を予
め低濃度酸素系としているため、紫外線によるエネルギ
ーが酸素ラジカルの生成反応に消費されることを防止す
ることができる。従って、紫外線の照射当初からそのエ
ネルギーをハロゲン化有機化合物の分解反応に利用する
ことが可能となるため、ハロゲン化有機化合物の分解処
理効率を高めることができる。すなわち、紫外線の照射
時間を短縮することが可能となる。また、本発明のハロ
ゲン化有機化合物の分解装置は、紫外線照射槽に供給前
の溶媒を低濃度酸素系とする溶媒脱酸素化手段を有して
いるため、同様にハロゲン化有機化合物の分解処理効率
を高めることが、すなわち紫外線の照射時間を短縮する
ことが可能となる。
【0012】なお、本発明で言う低濃度酸素系とは、空
気中放置により溶解している酸素濃度より少なくとも低
濃度の状態を指すものであり、溶媒中の酸素がハロゲン
化有機化合物の分解反応を実質的に阻害しない酸素濃度
状態とすることが好ましい。具体的には溶媒中の溶存酸
素量を0.1ppm以下とすることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0014】図1は、本発明のハロゲン化有機化合物の
分解装置の一実施形態を示す図である。同図に示すハロ
ゲン化有機化合物の分解装置は、例えばガス状フロン等
のハロゲン化有機化合物を分解する装置として用いられ
る。
【0015】同図において、1は気密系の紫外線(U
V)照射槽であり、このUV照射槽1の上部には溶媒投
入口2が設けられている。この溶媒投入口2は、溶媒ポ
ンプ3が介挿された配管4を介して溶媒タンク5に接続
されている。溶媒タンク5内には、フロン等のハロゲン
化有機化合物の溶解に適した溶媒6、例えばアルコール
系溶媒、ニトリル系溶媒等が収容されている。上記した
ような溶媒のうち、特にイソプロパノール(IPA)が
好適である。なお、以下では溶媒6としてIPAを用い
た例について述べる。すなわち、溶媒タンク5内に収容
されたIPA6は処理の開始に先立って溶媒ポンプ3に
よりUV照射槽1内に所定量投入される。UV照射槽1
の底部には、例えばガス状フロンをIPA6中に撹拌し
ながら溶解させるフロン導入口としてバブラー7が設け
られている。このバブラー7は、フロン投入口8と配管
9により接続されている。フロン投入口8から導入され
たガス状フロンは、UV照射槽1内のIPA6をバブリ
ングにより撹拌しながら、IPA6中に溶解される。
【0016】また、UV照射槽1の上部にはガス排出口
10が設けられており、IPA6中に溶解しきれなかっ
たフロンはガス排出口10から排出されると共に、配管
11およびポンプ12を介して、再度バブラー7からI
PA6中に還流される。IPA6中のフロンの濃度が所
定濃度になるまで、上記溶解・撹拌が繰り返される。な
お、フロン投入口8からは、UV照射槽1内の圧力を監
視しながら(図示せず)、逐次ガス状フロンが投入でき
るように構成されている。
【0017】そして、UV照射槽1の中央部には、電源
13に接続された紫外線(UV)ランプ14が配置され
ており、UV照射槽1内のIPA6中に溶解されたフロ
ンに、アルカリがほとんど存在しない状態でUVランプ
14から紫外線が照射される。なお、図中15はUVラ
ンプ14の保護管であり、UVランプ14との空隙にエ
アーを導入することによりUVランプ14を冷却してい
る。UVランプ14としては、主波長 254nmの低圧水銀
灯が好ましく、出力 32W程度の通常のUVランプを用い
てもよいが、本発明では後に詳述するように、紫外線照
射時間の短縮により溶媒の高温化を抑制することが可能
であるため、例えば200Wの高出力UVランプを用いるこ
とができる。これによって、 1度に大量のフロンを処理
することが可能となる。
【0018】上述したUV照射槽1でアルカリの不存在
下での紫外線照射工程(第1の工程)が行われ、この第
1の工程を経た紫外線照射後のフロンを含むIPAは、
アルカリ処理工程(第2の工程)が実施されるアルカリ
処理槽21に、弁22および移送ポンプ23が介挿され
た配管24を介して送られる。すなわち、配管24は弁
22を介してUV照射槽1の底部に接続されており、こ
の弁22を開くと共に移送ポンプ23を作動させること
によって、紫外線照射後のフロンを含むIPAは溶媒投
入口25からアルカリ処理槽21に送られる。
【0019】アルカリ処理槽21の上部には、アルカリ
槽26に接続されたアルカリ投入口27が設けられてお
り、アルカリ槽26には粉末アルカリ28が収容されて
いる。粉末アルカリ28としては、離脱させてハロゲン
を塩の形で分離し得るものであれば種々のものを使用す
ることができるが、良好な性能が得られるナトリウムや
カリウムを用いることが好ましい。これらはアルコール
系溶媒に対して溶解性に優れるアルコラート(例えばナ
トリウムアルコラート)として用いることが好ましい。
以下では、粉末アルカリ28としてナトリウムアルコラ
ートを用いた例について述べる。
【0020】また、アルカリ処理槽21内の上部には洗
浄液噴射口29が設けられており、この洗浄液噴射口2
9は洗浄液槽30に洗浄液ポンプ31が介挿された配管
32を介して接続されている。洗浄液槽30には、例え
ばNaCl水溶液33のようなアルカリ水溶液が洗浄液とし
て収容されている。そして、紫外線照射後のフロンを含
むIPAをナトリウムアルコラート28等のアルカリで
処理した後に、アルカリ処理槽21内に洗浄液噴射口2
9からNaCl水溶液33等の洗浄水がシャワー噴射(シャ
ワー洗浄)されるよう構成されている。
【0021】さらに、アルカリ処理槽21の底部には排
出口34が設けられており、この排出口34は切替弁3
5、36を介して、IPAタンク(溶媒タンク)5と廃
液タンク37に接続されている。そして、上述したシャ
ワー洗浄を実施すると、生成塩と過剰なアルカリは洗浄
液側に移行し、最終的に再生されたIPA6′と生成塩
や過剰なアルカリを含むNaCl水溶液(廃液)33′の 2
相に分離するため、例えばセンサ38で液の透過率を監
視しながらアルカリ処理後の再生・分離されたIPA
6′と廃液33′とを分別し、切替弁35、36により
それぞれIPAタンク5および廃液タンク37に排出す
る。
【0022】上述したUV照射槽1およびアルカリ処理
槽21を有するハロゲン化有機化合物の分解装置は溶媒
脱酸素化手段として、溶媒(IPA6)中への窒素ガス
導入系41を有している。すなわち、IPAタンク(溶
媒タンク)5内には、窒素ボンベ42に切替弁43を介
して接続された窒素ガス導入口44が配置されており、
この窒素ガス導入口44からUV照射槽1に投入する前
のIPA6中に窒素ガスが導入される。このように、I
PA6を予め窒素パージ(窒素置換)することによっ
て、IPA6中の溶存酸素をフロンの分解反応を実質的
に阻害しない濃度、例えば0.1ppm以下まで除去すること
ができる。すなわち、溶媒としてのIPA6を低濃度酸
素系とすることができる。
【0023】窒素ボンベ42は切替弁43および切替弁
45を介して、バブラー7に接続された配管9にも接続
されており、切替弁43および切替弁45を切替えるこ
とによって、UV照射槽1内を窒素置換する、すなわち
低濃度酸素系とすることが可能とされている。すなわ
ち、溶媒脱酸素化手段としての窒素ガス導入系41は、
UV照射槽1内の脱酸素化手段としても機能する。さら
に、UV照射槽1内のIPA6中に窒素ガスをバブリン
グにより導入することも可能であり、これによってガス
状のフロンのバブリング導入によりIPA6中に溶解し
た酸素を除去することができる。
【0024】なお、上記実施形態では溶媒脱酸素化手段
として窒素ガス導入系41を用いた例について説明した
が、溶媒の脱酸素化は窒素ガスに限らず、アルゴンやヘ
リウム等の他の不活性ガスを用いて行ってもよい。さら
に、溶媒脱酸素化手段は低濃度酸素ガスの導入処理に限
らず、減圧処理や前述との組合せによって実施すること
も可能である。すなわち、IPAタンク5やUV照射槽
1に真空ポンプ等の排気手段を接続し、これらの槽内を
減圧することによって溶媒やUV照射槽1内を低濃度酸
素系とすることができる。
【0025】次に、上記構成のハロゲン化有機化合物の
分解装置を用いたフロンの分解工程(分解方法)にいて
説明する。
【0026】まず、予めIPAタンク5内のIPA6中
に窒素ボンベ42から N2 ガスを導入し、IPA6を窒
素パージすることによって、IPA6中の溶存酸素を予
め除去する。これに続いて、切替弁43、45を切替え
て N2 ガスをUV照射槽1内に導入し、系内を完全に窒
素パージしておく。
【0027】そして、IPAタンク5から低濃度酸素系
とされたIPA6を、溶媒ポンプ3によりUV照射槽1
内に投入する。UV照射槽1内にIPA6が所定量貯留
された後、ガス状フロンをフロン投入口8から導入し、
バブラー7でバブリングにより撹拌しながらIPA6中
にフロンを溶解させる。溶解しきれなかったフロンは、
UV照射槽1内部の気相中に放出されるが、ポンプ12
によりバブラー7へ再び還流され、所定濃度になるまで
溶解・撹拌を繰り返す。
【0028】上述した循環バブリングを実施しながら、
UVランプ14から紫外線を照射すると、IPA6に溶
解したフロン、すなわちクロロフルオロカーボン(例え
ばR11やR12等)は、溶媒和効果により効率よく塩
素が 1個水素置換したハイドロクロロフルオロカーボン
(例えばR11の場合にはR21、R12の場合にはR
22)に100%分解する(第1の工程)。この第1の工程
はアルカリがほとんど存在しない状況下で実施される。
【0029】この際、紫外線照射前に溶媒、すなわちI
PA6を予め低濃度酸素系としていると共に、UV照射
槽1内を窒素パージして低濃度酸素系としているため、
紫外線照射によるエネルギーが酸素ラジカルの生成反応
に消費されることなく、紫外線の照射当初からそのエネ
ルギーをフロンの分解反応に有効に利用することができ
る。従って、フロンの分解処理効率を高めることがで
き、紫外線の照射時間を短縮することが可能となる。な
お、紫外線の照射は、IPA6中のフロン濃度が循環バ
ブリングにより所定濃度に到達した後、あらためて窒素
パージを実施し、その後に行うようにしてもよい。こう
することによって、フロンのバブリングにより増加した
酸素が除去され、より一層フロンの分解処理効率を高め
ることができる。
【0030】所定時間経過した後、バブリングおよび紫
外線照射を終了する。紫外線照射後(反応後)のIPA
を、弁22を開放すると共に移送ポンプ23を作動させ
ることによって、アルカリ処理槽21に移送する。
【0031】アルカリ処理槽21では、まず紫外線照射
後のIPA、すなわち塩素が 1個水素置換したハイドロ
クロロフルオロカーボンを含むIPAに、アルカリ槽2
6からナトリウムアルコラート28等の粉末アルカリを
添加する。ナトリウムアルコラート28を添加すると、
第1の工程での分解生成物であるR21(R12を分解
対象とした場合はR22)がさらに脱塩素し、R31
(R32)、さらにはR41(R42)を経て、最終的
にはCH4 等に分解して、100%脱塩素する(第2の工
程)。この第2の工程ではじめてアルカリ処理すること
によって、分解の中間生成物(例えばR21やR31、
あるいはR22やR32)が残留することなく、100%脱
塩素することができる。
【0032】アルカリ処理が終了した後、NaCl水溶液3
3等の洗浄液を洗浄液噴射口29からシャワーする。こ
のシャワー洗浄を実施すると、フロンから離脱した塩素
やフッ素とアルカリとによる生成塩(NaCl,NaF)や過剰
なアルカリは洗浄液側に移行し、最終的に再生されたI
PA6′と廃液33′との 2相に分離する。分離したI
PA6′は副反応生成物としてアセトンを微量含んでい
るが、アセトンは無アルカリ系では紫外線の光増感剤と
して有効に用いられるため、IPAの再使用が可能とな
る。すなわち、洗浄後のIPA6′はIPAタンク5に
戻され、再使用される(第3の工程)。なお、廃液3
3′は廃液タンク37に排出して貯蔵され、通常の焼却
処理で処理される。IPAタンク5に返送されたIPA
6は再び窒素パージすることによって、IPA6中の溶
存酸素を除去し、次の紫外線照射工程に備える。
【0033】以上の工程を連続して行う場合について、
図2のタイムチャートを参照して説明する。図3は連続
してバッチ処理を行う場合のタイムチャートである。
【0034】まず、前回のアルカリ処理後の洗浄処理で
再生されたIPA6′には、アルカリ処理や再生時に再
び空気中の酸素が溶解しているため、再生IPA6′を
IPAタンク5に返送する度に窒素パージを行う必要が
ある。
【0035】そこで、UV照射槽1でUV照射(1) を行
っている間に、IPAタンク21を窒素パージ(2) し、
次回の使用溶媒に備える。そして、UV照射(1) が終
り、アルカリ処理槽21にUV照射後の溶媒を移送した
後、UV処理槽1の窒素パージ(3) を行い、次いで (2)
で窒素パージしたIPAをUV処理槽1に投入し、次回
の処理に備える。
【0036】上述したように、溶媒の窒素パージすなわ
ち低濃度酸素系処理を、UV照射すなわち第1の工程と
並行して行うことによって、連続処理中における窒素パ
ージにかかる処理時間は初期の 1回が余分にかかるのみ
となり、トータル処理時間はほぼ従来の処理時間と同等
で行うことが可能となる。
【0037】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。なお、以下の実施例は上記実施形態のハロゲン化
有機化合物の分解装置を用いた具体的なフロンの分解例
である。
【0038】実施例 まず、UV照射槽1に投入したIPA6に、フロンとし
てR11を0.2mol/Lの割合で溶解させた。この際、予め
窒素パージにより低濃度酸素系(溶存酸素量=0.1ppm)
としたIPA6を用いた例(実施例)と、窒素パージを
行うことなく溶存酸素量が10ppm のIPAを用いた例
(比較例)とを、それぞれ実施した。なお、実施例につ
いてはUV照射槽1内の窒素パージも実施した。これら
実施例および比較例において、それぞれ約 200Wの高出
力UVランプを用いて、R11の分解を行った。
【0039】図3に、上記実施例および比較例における
R11の分解挙動(第1の工程による分解挙動)を比較
して示す。図3から明らかなように、窒素パージを行っ
ていない比較例の場合には、フロン(R11)の分解反
応は紫外線の照射開始から10分経過した後に始まり、25
分後にようやく100%分解する。これに対して、窒素パー
ジを行った実施例では、紫外線の照射開始直後から反応
が始まり、照射開始から 3分でフロン(R11)が100%
分解している。このように、溶媒を予め低濃度酸素系と
することによって、フロンの紫外線照射による分解処理
効率、すなわち紫外線の照射時間を大幅に短縮すること
ができる。窒素置換を行わない場合の立上がりが遅れる
原因としては、紫外線のエネルギーがIPA中の溶存酸
素のラジカル化に消費するために起こると考えられる。
【0040】また、高出力UVランプを用いた場合、溶
媒の吸収による発熱が問題となる。窒素置換を行ってい
ない場合、図3中の溶媒温度曲線から明らかなように、
30分のUV照射中に溶媒温度が55℃程度まで達するた
め、次の第2の工程のアルカリ処理による反応熱により
溶媒が沸騰したり、重合物を作る等して、反応系に悪影
響を及ぼすおそれがある。これに対して、窒素置換を行
えばUV照射時間は 3分程度で済み、溶媒温度は30℃以
下であるため、上記の問題点を克服することができる。
すなわち、アルカリ処理工程(第2の工程)を安定して
実施することが可能となる。
【0041】このように、低濃度酸素系溶媒によるフロ
ンの紫外線分解反応は、処理効率の大幅な向上をもたら
し、バブリングによるフロンの溶解・撹拌が容易に実施
可能となるだけでなく、UVランプの高出力化にも対応
可能となる。さらに、前述したように窒素パージ工程の
並列処理を行うことで、処理時間の増大を防止すること
ができる。
【0042】なお、上述した実施形態および実施例にお
いては、本発明をR11やR12等の特定フロンの分解
処理に適用した例について説明したが、本発明はこれに
限定されるものではなく、トリクロロエチレンやポリ塩
化ビフェニル(PCB)、あるいはHCFC22やHF
C134aのような代替フロン等、難分解性物質である
各種のハロゲン化有機化合物の分解処理に適用すること
が可能である。また、本発明の方法は例えば 1槽式の装
置等に応用することも可能である。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば予
め溶媒を低濃度酸素系とすることによって、紫外線照射
工程における分解処理効率を高めることができる。従っ
て、紫外線の照射時間を短縮することが可能となり、ハ
ロゲン化有機化合物の処理効率の向上や処理コストの低
減を図ることができる。さらに、高出力型の紫外線ラン
プの使用が可能となることから、一度に大量のハロゲン
化有機化合物を処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のハロゲン化有機化合物の分解装置の
一実施形態を示す図である。
【図2】 本発明のハロゲン化有機化合物の分解処理に
おける処理タイムチャートの一例を示す図である。
【図3】 図1に示すハロゲン化有機化合物の分解装置
を用いたフロンの分解挙動を従来法による分解挙動と比
較して示す図である。
【符号の説明】
1……紫外線照射槽 6……溶媒 7……バブラー 14…紫外線ランプ 21…アルカリ処理槽 41…溶媒脱酸素化手段としての窒素ガス導入系 42…窒素ボンベ 44…窒素ガス導入口
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−109351(JP,A) 特開 昭49−41344(JP,A) 特開 平6−63177(JP,A) 特開 平4−293517(JP,A) 特開 平8−759(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A62D 3/00 C07B 35/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化有機化合物を溶媒中に溶解
    し、この状態で前記ハロゲン化有機化合物に紫外線を照
    射する第1の工程と、 前記紫外線照射後の前記ハロゲン化有機化合物を含む溶
    媒をアルカリ処理する第2の工程と、 前記第2の工程を経た前記溶媒から前記ハロゲン化有機
    化合物の分解生成物を除去し、前記溶媒を再生する第3
    の工程とを具備し、 前記溶媒を予め低濃度酸素系とする処理を行うことを特
    徴とするハロゲン化有機化合物の分解方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のハロゲン化有機化合物の
    分解方法において、 前記溶媒の低濃度酸素系処理を前記第1の工程ないし第
    3の工程と並行して行うことを特徴とするハロゲン化有
    機化合物の分解方法。
  3. 【請求項3】 下部にハロゲン化有機化合物を溶媒中に
    撹拌しながら溶解させるガス導入口を有し、前記溶媒中
    に溶解された前記ハロゲン化有機化合物に紫外線を照射
    する紫外線照射槽と、 前記紫外線照射槽に供給前の溶媒を、低濃度酸素ガスの
    導入処理および減圧処理から選ばれる少なくとも 1つの
    処理により低濃度酸素系とする溶媒脱酸素化手段と、 前記紫外線照射後の前記ハロゲン化有機化合物を含む溶
    媒にアルカリ処理を施すアルカリ処理槽とを具備するこ
    とを特徴とするハロゲン化有機化合物の分解装置。
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