JP3360145B2 - 製紙用プレスフエルトおよびその製造方法 - Google Patents

製紙用プレスフエルトおよびその製造方法

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JP3360145B2 JP29394192A JP29394192A JP3360145B2 JP 3360145 B2 JP3360145 B2 JP 3360145B2 JP 29394192 A JP29394192 A JP 29394192A JP 29394192 A JP29394192 A JP 29394192A JP 3360145 B2 JP3360145 B2 JP 3360145B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製紙用プレスフエルト
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】紙を製造する一般的原理は、ワイヤーパ
ート(濾網部)から、フエルトで水を含んだ紙料を受け
とりプレスパート(圧搾部)において水を絞ってから、
ドライパート(乾燥部)に送って紙として仕上げる。こ
の様に、フエルトは、ワイヤーパートで脱水された湿紙
を受けとって、プレスパートに運び、プレスロールの間
を通して更に水を絞り、同時にまた湿紙の表面を平滑に
して、ドライパートに送るという機能を持たせている。
従って、フエルトは、湿紙を運ぶコンベアーとしての機
能、湿紙からできるだけ水を絞り取る機能、および湿紙
の面を平滑にする機能を少なくとも持っていなければな
らず、このために、フエルトは継ぎ目がないこと、搾水
性や弾性や回復性の優れた繊維構造体であること、仕上
った紙面に凹凸が出ないようなフエルト表面を持ったも
のであることが必要である。さらに、近時は増々製紙機
における抄速が高速化されており、フエルトもこの高速
運転に耐えて走行しなければならない。そのため、耐久
性も要求され、フエルトに要求される性質というものが
より一層高度に、より一層精密になってきている。従
来、製紙用フエルトにおいて、基布として多層構造のも
のが使用されており、また、基布と一体化させる繊維バ
ット層を複数層に構成することも行われている。この際
に、紙の印刷特性を向上させるなどの目的から細い繊度
の繊維よりなる繊維バット層を、通常の太い繊度の繊維
よりなる繊維バット層上に積層することも行われてい
る。しかし、この場合、通常の太い繊度の繊維よりなる
繊維バット層を厚く構成し、当該厚手の繊維バット層の
上に、その厚みに比して格段に薄手の上記細い繊度の繊
維よりなる繊維バット層を積層するのが一般的である。
さらに、細い繊度の繊維を使用するとしても、一般に、
10デニール〜20デニールの細繊維を使用しており、
せいぜい6デニール程度のものが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記したフエ
ルトとしての各種機能を備えているとともに、特に、湿
紙の面を平滑にする機能に優れ、印刷特性がより一層向
上し、緻密な印刷面が得られ、さらには、印刷時の押圧
を小さくでき、したがって、所要印刷インキの量の低減
にも寄与し得るフエルトを提供することを目的としたも
のである。本発明は、特に、辞書や辞典などに使用する
インデイア紙や上質紙などのような薄手の紙の抄紙用フ
エルトとして好適なフエルトを提供することを目的とし
たものである。本発明の他の目的や新規な特徴について
は以下の明細書の記述及び図面の記載からも明らかにな
るであろう。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、基布層の片面
に複数層の繊維バット層をニードリングにより一体とな
した製紙用プレスフエルトであって、当該繊維バット層
のうちの湿紙と接触する側の繊維バット層は、繊度が
0.5〜3デニールの繊維を80〜100%含有して構
成されているとともにその重量が400〜800g/m
で、当該繊維バット層の内部に配された他方の繊維バ
ット層は、繊度が10〜25デニールの繊維を含有して
構成されているとともにその重量が100〜300g/
で、当該湿紙と接触する側の繊維バット層を当該他
方の繊維バット層よりも厚く構成して成ることを特徴と
する製紙用プレスフエルト、その好ましい実施態様とし
て、基布層が二重の基布よりなり、湿紙側の基布が緻密
組織、湿紙反対側の基布が粗組織により構成されている
こと、また、基布層の裏面にも、繊度が10〜25デニ
ールの繊維を含有して構成されその重量が100〜30
0g/mの繊維バット層を設けて構成されていること
を特徴とする製紙用プレスフエルト、並びに、当該製紙
用プレスフエルトの製造方法であって、粗組織の基布上
に緻密組織の基布を重ね、該緻密組織の基布上に、重量
が100〜300g/mで繊度が10〜25デニール
の繊維を含有して構成された薄手の繊維バット層を介し
て、重量が400〜800g/mで繊度が0.5〜3
デニールの繊維を80〜100%含有して構成された前
記繊維バット層に比して厚手の繊維バット層を載置する
か、または、さらに、基布層の裏面にも、繊度が10〜
25デニールの繊維を含有して構成されその重量が10
0〜300g/mの繊維バット層を載置し、ニードリ
ングにより当該粗組織の基布と緻密組織の基布よりなる
多重基布に複数層の繊維バット層を一体化せしめること
を特徴とする製紙用プレスフエルトの製造方法に係るも
のである。
【0005】
【作用】本発明では、繊維バット層を複数層で構成し、
湿紙(パルプ)と接触する表面側については、繊度の小
さい細繊維を用いて厚く層を形成し、他方の湿紙と非接
触の側については、大きい繊度の太繊維を用いて薄く層
を形成する。これは、太い繊維よりなる繊維バット層
厚く形成し、その上に細繊維よりなる繊維バット層を表
面層として薄く形成していた従来例とは逆の発想に立つ
ものであり、しかも従来試みられていなかった0.5〜
3デニールという細い繊維を使いこなす上で重要な構成
である。即ち、細繊維で造られた表面バット層に対しそ
の内側に配された湿紙と非接触の層は、繊維が太く、し
かも層を薄く形成したので、プレスフエルトによる搾水
時の水の通過抵抗を小さく抑えることができる。従っ
て、細い繊維で厚いために通過抵抗の大きい表面バット
と、通過抵抗の小さい内側層との間で搾水性のバラン
スを図ることができる。更に、基布として緻密な一重ま
たは多重組織の基布、或は粗い基布をベースとした表面
が緻密な基布を用いているので、繊維バット層表面の細
い繊維のフエルト表面が基布表面の緻密さによってその
平坦さを維持される。上記したように、繊維バット層
表面は極めて細い繊維でしかも厚く層形成されているの
で、操縦時にプレスニップ点を通過しこの繊維バット層
の表面が転写される湿紙の表面は、凹跡の幅が薄く且つ
その深さが浅くなり、表面の平坦性が格段に優れた状態
となる。平坦性の良好な湿紙は、カレンダー処理の条件
を緩和することができるので、密度増大を極力抑え弾力
性に富み、しかも平滑性に優れた紙シートを造ることが
できる。この紙シートは、印刷時に印刷ロールと受けロ
ールとの間を圧力下に通過する際に、紙シートは弾性力
に富みしかも凹部分の幅が狭いので、紙シートの凸部分
は、容易に圧縮され凹部分と同じ平面をなすように弾性
変形される。そして、印刷ロールのインクは、凹部分に
対しても凸部分と同じ様に転移され、良好な印刷仕上が
りが得られる。本発明のプレスフエルトは、インデア紙
などの薄手の紙の処理に適し、平滑性と印刷適性とを付
与することができる。
【0006】
【実施例】次に、本発明の実施例を適宜図面を参照しつ
つ説明する。図1〜3にて、1はニードルプレスフエル
ト、2は複数層の繊維バット層である。また、3aおよ
び3bはそれぞれ基布である。複数層の繊維バット層2
の上部側(湿紙と接する側)の繊維バット層4は、細い
繊度の繊維により構成されている。当該繊維バット層4
は、繊度が0.5〜3デニールの繊維を80〜100%
含有して構成されている。繊度が0.5〜3デニールの
繊維以外の適当な繊度の細繊維を20%まで含有して構
成されていてもよい。当該繊維の80%以上の繊維の繊
度は0.5〜3デニール(d)の範囲内であることが必
要である。繊度が0.5d未満では、切断し易く、毛玉
になったりし、フエルト製造上支障がある。一方、繊度
が3dを越えるときには、平滑性が不充分となり、印刷
特性の向上効果が少なくなる。80%以上の細繊維と混
合される繊維の繊度は4〜6dが適当である。混合され
る4〜6dの繊維はニードリング時湿紙と接する側のバ
ット層の締まりに寄与する。しかし、その繊維の繊度が
大きすぎたり、混合比率が高くなり過ぎるとフエルト表
面の平滑度が低下する。したがって、上記繊度範囲の繊
維を上記範囲量で含有させる。当該細繊度の繊維よりな
るもしくは当該細繊度の繊維を含んでなる繊維バット層
4の重量は、400〜800g/m好ましくは500
〜600g/mである。400g/m未満では、平
滑性が不充分となり、印刷特性の向上効果が少なくな
る。一方、800g/mを越えるときには、繊維バッ
ト層がかさ高くなり、フエルト製造上困難を生じる。当
該繊維バット層4の下部の繊維バット層5は、該繊維バ
ット層4を構成する繊維よりも、その繊度が大きいもの
を使用する。当該繊維の繊度は、10〜25dである。
繊度が10d未満では、基布の粗さを和らげる効果が小
さく、平滑性が不充分となり、印刷特性の向上効果が少
なくなる。一方、繊度が25dを越えても、この太いバ
ット繊維自体の影響で、平滑性が不充分となり、印刷特
性の向上効果が少なくなる。繊維バット層5の重量は、
100〜300g/m好ましくは120〜200g/
である。その重量が100g/m未満では、平滑
性が不充分となり、印刷特性の向上効果が少なくなる。
300g/mを越えるときには、搾水性の維持等の要
請からバット層全体の重量が制限される為に、繊度の小
さい繊維からなるバット層4の重量を小さくしなければ
ならなくなるので、やはり、平滑性が不足し、印刷特性
の向上効果が少なくなる。繊維バット層4は、繊維バッ
ト層5よりも厚くする。好ましくは、繊維バット層4:
繊維バット層5の比率は、3:1〜10:1とする。繊
維バット層4および繊維バット層5を構成する短繊維に
は、ポリアミド系繊維やポリエステル系繊維などが使用
される。当該繊維には各種材質の繊維を混合出来る。
尚、上記では、複数層の繊維バット層について二層構造
のものについて説明したが、三層以上であってもよく、
例えば、繊維バット層5を二層以上とし、いずれの層も
繊維が10〜25dの繊維を含有して構成されていると
ともに、その総重量が100〜300g/mとなるよ
うにしてもよい。
【0007】図1および図2に示す基布は、多重基布に
より構成されている。当該多重基布3aを構成する上側
の基布6は、緻密な組織の基布とし、下側の基布7はそ
れよりも粗い組織の基布とする。これら基布6、7は、
例えば、モノフイラメントの平織織布など簡易組織の織
布から構成されている。使用するフイラメントの太さや
組織密度の疎密などにより、これら基布6、7両者に差
異を設けることができる。上側の基布6に用いられる経
糸、緯糸の直径は、0.1〜0.35mm、織組織はヒ
ラ、1/3クズシ、2/2ハス等の組織の一重又は二重
組織が適当で、また、下側の基布7に用いられる経糸
は、直径0.1〜0.25mmのモノフィラメントの各
種撚り合わせ方法による撚糸を、また、緯糸は、直径
0.1〜0.35mmのモノフィラメントまたは直径
0.1〜0.20mmのモノフィラメントの撚糸が適当
で、原糸として、ポリアミド糸またはポリエステル糸が
適している。
【0008】図3に示す基布3bは、多重組織の基布に
より構成されている。当該多重組織の基布3bは、例え
ば、モノフィラメントを複数本撚り合わせたものにより
構成され、組織は、例えば経二重組織により構成され
る。ちなみに、当該多重組織の基布3bを、経糸、緯糸
共に0.20mm直径のポリアミドモノフィラメントを
4本撚り合わせたもので、経糸密度19本/cm、緯糸
密度12本/cm、組織が、経二重組織、重量565g
/mとした多重組織の基布としたところ、好結果を得
た。
【0009】図2に示すフエルト1は、図示のように、
基布層3aの裏面にも、繊度が10〜25デニールの繊
を含有して構成されその重量が100〜300g/m
の単一の繊維バット層5aを一体化させた例を示す。
このように、多重基布3aの粗組織の基布7側に、更
に、当該繊維バット層5aをニードリングすると、当該
繊維バット層5aの繊維が、粗い組織の基布7、緻密な
組織の基布6並びにバット層4,5との一体性を増加さ
せ、フエルト1の形態の安定性が向上し、フエルトが抄
紙機上で使用される時の耐摩耗性を向上させることが出
来る。
【0010】次に、当該製紙用プレスフエルト1の製法
例を示す。当該製紙用プレスフエルト1は、粗組織の基
布7上に緻密組織の基布6を重ね、該緻密組織の基布6
上に、重量が100〜300g/mで、繊度が大なる
(10〜25デニール)の繊維により構成され、かつ、
薄手の繊維バット層5を介して、重量が400〜800
g/mで、繊度が0.5〜3デニールの繊維から構成
され、繊維バット層5に比して厚手の繊維バット層4を
載置し、ニードリングにより、当該粗組織の基布7と緻
密組織の基布6よりなる多重基布3の片面に、薄手の繊
維バット層5と厚手の繊維バット層4とからなる複数層
の繊維バット層2を一体化せしめることにより製造する
ことができる。前述のように、基布層3aの裏面にも、
上記と同様の繊維バット層5aを一体化させると、当該
繊維バット層5aの繊維が、粗い組織の基布7、緻密な
組織の基布6並びにバット層4,5との一体性を増加さ
せ、フエルト1の形態の安定性を向上させ、フエルトの
耐摩耗性を向上させることが出来る。図2に示すフエル
の製法を例にとって、その具体例を説明すると、先
ず、粗組織の基布7の上に緻密組織の基布6を重ね、該
緻密組織の基布6上に、繊維バット層5を載せて、当該
繊維バット層5の側から例えば32番手の針でニードリ
ングし、次いで裏返し、粗組織の基布7の上に繊維バッ
ト層5と同じ構成の繊維バット層5aを載せて、当該繊
維バット層5aの側から例えば32番手の針でニードリ
ングし、最後に、さらに裏返し、繊維バット層5の上に
厚手の繊維バット層4を載置し、より細い例えば36番
手の針でニードリングする。なお、このような順序、針
番手とすることにより、4層の表面に太いバット繊維が
出てくることがなく、湿紙に接する面を緻密な面となす
ことができるという利点がある。図1および図3に示す
場合も同様である。
【0011】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて更に説明す
る。 実施例1 以下に、本発明に係るフェルトを用いてインデア紙を抄
紙した例について説明する。使用した抄紙機は、F面ス
トーンロールのウェットプレスを2台設置してなる幅2
640mm、抄速200m/分の長網抄紙機であり、
第1プレス、第2プレス共に従来のフエルト、第2プ
レスのみ本発明のフエルト、第1プレス、第2プレス
共に本発明のフエルトの3つのケースを比較した。尚、
本発明のフエルトとしては、次の構造のものを用いた。 表面バット層;1.5dの6ナイロン85%と4dの6
ナイロン15%とからなり、重量550g/mのもの 基布と表面バット層との間のバット層;10dの66ナ
イロン70%と2dの6ナイロン30%とからなり、重
量125g/mのもの 表面バット層:基布と表面バット層との間のバット層=
3.3:1(厚さの比率) 基布; (A)上側の基布;経糸が直径0.25mmの610ナ
イロンモノフィラメントを糸密度18本/cmで構成さ
れ、一方、緯糸が直径0.25mmの610ナイロンモ
ノフィラメントを糸密度10本/cmで構成されたヒラ
組織の一重織 (B)下側の基布;経糸が直径0.20mmの6ナイロ
ンモノフィラメントを二本撚り合わせた撚糸を糸密度1
2本/cmとしたもので、一方、緯糸が直径0.35m
mの610ナイロンモノフィラメントを糸密度8本/c
mとしたヒラ組織の一重織 従来のフエルト; 表面バット層;8dの6ナイロンスフからなり、重量1
50g/mのもの 基布と表面バット層との間のバット層;15dの66ナ
イロンスフからなり、重量490g/mのもの 表面バット層:基布と表面バット層との間のバット層=
1:3.3(厚さの比率) 基布; 経糸が直径0.20mmの6ナイロンモノフィラメント
を二本撚り合わせものをさらに三本撚り合わせ、かつ、
糸密度を18本/cmとしたもので構成され、一方、緯
糸が直径0.33mmの610ナイロンモノフィラメン
トを糸密度9.5本/cmとしてヒラ組織で製織した重
量295g/mの一重基布 上記の条件で、次の組成からなる紙料を用いて、坪量3
5g/m に抄造した。 「パルプ」 NBKP(CSF50ml) 25% LBKP(CSF150ml) 75% 「内添剤」パルプ100%当り 軽質炭酸カルシウム 20% 二酸化チタン 5% サイズ剤(アルキルケテンダイマ−) 0.2% カチオン澱粉 0.5% 尚、6%澱粉液を用いて外添サイズプレスした。上記3
種類の抄紙条件で得られた3種類のインデア紙につい
て、辞典用スミインキ(東洋インク(株)製レスポール
LT)を用いてB/B型オフセット輪転機によって、印
刷速度300RPM(約2500m/15分)でスミー
色印刷を行ない、岩田明朝体8ポイントの平仮名「の」
の文字について、下記の評価を行なった。 (1)白紙平滑性:印刷前の紙の表面の平滑性をパーカ
ープリントサーフ粗さ(単位μm)で示した。 (2)文字の白抜け:印刷された文字を顕微鏡を用いて
写真撮影し、約50倍となった印面紙上の文字について
インキ末転移の状態を目視観察し、◎(優)、○
(良)、△(可)で評価した。 (3)文字輪郭長さ:印刷された文字を版上の文字と比
較して、その輪郭の膨らみの程度を測定した。結果は、
表1に示す通りである。
【0012】
【表1】 但し、F:フエルト面、 W:ワイヤー面 上記の如く、本発明のフエルトを用いることで、紙の平
滑性が高く、しかも、文字の白抜けや輪郭がぼける現象
を抑える等の印刷性能に優れた紙を製造することができ
る。 実施例2 基布の裏面に、10dの66ナイロン70%と2dの6
ナイロン30%とからなり重量125g/mバット
をさらにニードリングした以外は実施例1と同様にし
てフエルトを構成し、実施例1と同様にして評価を行な
ったところ、実施例1と同様の結果を得、本発明のフエ
ルトを用いることで、紙の平滑性が高く、しかも、文字
の白抜けや輪郭がぼける現象を抑える等の印刷性能に優
れた紙を製造することができ、耐摩耗性も向上した。
尚、実施例1で記載の従来のフエルトにおいて、基布の
裏面に、15dの66ナイロンスフからなり重量210
g/mバット層をさらにニードリングした以外は同
様にしてフエルトを構成し、実施例1と同様にして評価
を行なったところ、実施例1におけるタイプの場合と
同様の結果を得た。
【0013】
【発明の効果】本発明によれば、上記した構成の各種多
重構成基布と複数層の繊維バット層との組合せにより、
フエルトとしての一般的な機能に優れている他、特に、
湿紙に対する平滑性に優れ、インデイア紙などの薄手の
紙に対する印刷特性が格段に優れたフエルトを得ること
ができた。印刷特性の改善のためにはスムーザープレス
加工によって紙面の平滑性を増すという手段が一般的に
はとられるが、この場合、確かに平滑性は改善される
が、薄く堅い紙となってしまう。ところが、本発明によ
プレスフエルトを用いて抄紙される紙においては、イ
ンデイア紙等において特に要求される柔らかいポーラス
な特性を損うことなく、むしろこれらの特性を向上させ
ながら、平滑性の著しく改善されたものが得られる。こ
れらの効果は、紙を構成する微細なパルプ繊維の配列が
基本的に固定化される湿紙のプレス工程において、細い
繊度の繊維よりなる柔軟で均一な表面を持つ本発明のフ
エルト表面と相接してプレスされることによって達成さ
れているものと考えられる。なお、湿紙に接するフエル
ト表面を高い圧力でのプレス時において、微視的に均一
に維持するためには、細い繊度の繊維よりなる相当量の
バット層が不可欠であると共に、その下層の緩衝的な役
割を有する太い繊度の繊維よりなるバット層ならびにこ
の太い繊度の繊維よりなるバット層をできるだけ均一に
支持すべき緻密な組織の基布が必須なのであり、これら
の条件が同時に満たされた場合に、本発明による効果が
十分に得られることが確かめられた。一方、バット繊維
を全て細い繊度の繊維のみとした場合には、バット層全
体の密度が高くなり過ぎ、プレスフエルト本来の役割で
ある通水性の低下を来すことになり、又、基布の層を緻
密な繊維の薄い基布のみとした場合には大きな張力のか
かるプレスフエルトの形態的な安定性が損われることに
なる。細い繊度と太い繊度の繊維よりなるバット層なら
びに緻密な組織である程度の厚さがあり、丈夫な基布若
しくは細いモノフイラメントよりなる緻密な組織の基布
と丈夫な粗い組織の基布との適当な組み合わせによって
このようなプレスフエルトの基本的な特性が維持されて
いるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す断面図
【図2】本発明の他の実施例を示す断面図
【図3】本発明のさらに他の実施例を示す断面図
【符号の説明】
1・・・ニードルプレスフエルト 2・・・複数層の繊維バット層 3a・・・多重基布 3b・・・多重組織の基布 4・・・繊維バット層 5・・・繊維バット層 5a・・・繊維バット層 6・・・上側基布 7・・・下側基布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 恭二 埼玉県鴻巣市鴻巣1056番地6 (72)発明者 青木 茂人 埼玉県蕨市南町2丁目11番7号 (56)参考文献 特開 昭50−43204(JP,A) 特開 昭50−52307(JP,A) 特開 昭58−87392(JP,A) 特開 昭53−58007(JP,A) 実開 平2−131597(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21F 7/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基布層の片面に複数層の繊維バット層をニ
    ードリングにより一体となした製紙用プレスフエルトで
    あって、当該繊維バット層のうちの湿紙と接触する側の
    繊維バット層は、繊度が0.5〜3デニールの繊維を8
    0〜100%含有して構成されているとともにその重量
    が400〜800g/mで、当該繊維バット層の内部
    に配された他方の繊維バット層は、繊度が10〜25デ
    ニールの繊維を含有して構成されているとともにその重
    量が100〜300g/mで、当該湿紙と接触する側
    の繊維バット層を当該他方の繊維バット層よりも厚く構
    成して成ることを特徴とする製紙用プレスフエルト。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の製紙用プレスフエルトに
    おいて、基布層が二重の基布よりなり、湿紙側の基布が
    緻密組織、湿紙反対側の基布が粗組織により構成されて
    いることを特徴とする、請求項1に記載の製紙用プレス
    フエルト。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の製紙用プレスフ
    エルトの基布層の裏面に、繊度が10〜25デニールの
    繊維を含有して構成されその重量が100〜300g/
    の繊維バット層を設けて構成されていることを特徴
    とする製紙用プレスフエルト。
  4. 【請求項4】粗組織の基布上に緻密組織の基布を重ね、
    該緻密組織の基布上に、重量が100〜300g/m
    で繊度が10〜25デニールの繊維を含有して構成され
    た薄手の繊維バット層を介して、重量が400〜800
    g/mで繊度が0.5〜3デニールの繊維を80〜1
    00%含有して構成された前記繊維バット層に比して厚
    手の繊維バット層を載置するか、または、さらに、基布
    層の裏面にも、繊度が10〜25デニールの繊維を含有
    して構成されその重量が100〜300g/mの繊維
    バット層を載置し、ニードリングにより当該粗組織の基
    布と緻密組織の基布よりなる多重基布に複数層の繊維バ
    ット層を一体化せしめることを特徴とする製紙用プレス
    フエルトの製造方法。
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