JP4081293B2 - 製紙用フェルト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は製紙用フェルトに関し、更に詳しくは、従来の製紙用フェルトと比較して、抄造する紙の表面性、平滑性を向上させると共に、強度的に優れ、長期にわたって使用することができる製紙用フェルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より製紙工程においては、ワイヤーパートで脱水された湿紙を受け取ってプレスパートへ運び、プレスロールの間を通してさらに水を絞り、同時に湿紙の表面を平滑にしてドライパートに送るために製紙用フェルトが利用されている。かかる製紙用フェルトとして従来より、ナックル部を形成するように経糸と緯糸とを交差させて織り込んで構成されている製紙用織物を基布として有する製紙用フェルトが広く用いられている。そして今日、抄造される紙の品質向上及び抄速の高速化による生産効率向上の要請に応えるために、表面性、耐摩耗性、強度、寸法安定性等の諸性質に優れた製紙用フェルトの開発が求められている。
【0003】
この点につき、従来の製紙用織物では、脱水等のために加圧された際、基布を構成する経糸と緯糸とが交差しているナックル部において特に強い圧力を受けることから、抄造される紙の表面に基布のマークがついて、その表面性を低下させるおそれがある。かかる問題を解決すべく、実質的に平行に配置された複数のヤーン(糸)により規定されたヤーン列の層を複数有する製紙用圧縮フェルトが提案されている(特表平3−501374号公報)。かかる製紙用圧縮フェルトによれば、平行に並んだ複数の層の糸系が重なる場合には、その重なり地点での圧力が和らげられることから、使用時に湿紙を載せてロール間でプレスした場合でも、紙に基布のマークがつきにくく、表面が平滑で表面性に優れた紙が得られ易いという利点がある。
【0004】
しかし、上記のように、製紙用フェルトは製紙工程において湿紙を載せてロール間でプレスされて使用されるものであるが、実質的に平行に配置された複数のヤーン(糸)により規定されたヤーン列の層を有する上記の製紙用圧縮フェルトの場合、製紙工程において使用し続け、頻繁にプレスされた場合に構造的に潰れ易い傾向にあるという問題がある。そして、使用中に構造が潰れてしまうと、製紙用フェルトの空隙率が下がり、湿紙からロールプレスにより絞り出される水の受け入れが低下する結果、湿紙の脱水効率が低下して、抄造される紙の品質の低下をもたらすおそれがある。かかる弊害を避けるためには、早期に製紙用フェルトを交換せざるを得ず、長期にわたっての使用が困難であるという問題がある。そこで従来より、抄造する紙の表面性、平滑性を向上させると共に、強度的に優れ、長期にわたって使用することができる製紙用フェルトの開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、従来の製紙用フェルトと比較して、抄造する紙の表面性、平滑性を向上させると共に、強度的に優れ、長期にわたって使用することができる製紙用フェルトを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記目的を達成するべく、製紙用フェルト及び基布の構造と製紙用フェルトの性質との関係について鋭意検討した結果、表層織布と裏層織布の中間に、糸を互いに略平行に横方向にのみ配列した不織布を入れた基布3枚重ねの製紙用フェルトとすることにより、従来の製紙用フェルトと比較して、抄造する紙に基布のナックルマークや経糸マークが付くのを防止して紙の表面性、平滑性を向上させると共に、強度的に優れ、長期にわたって使用することができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の製紙用フェルトは、表層織布と裏層織布の中間に中間層を重ね合わせて構成される基布と、該基布の表層織布側上面及び裏層織布側下面に各々表層ウェブ層及び裏層ウェブ層とからなり上記表層織布、裏層織布及び上記中間層は、ニードリングにより一体化されており、上記中間層は、径が0.12〜0.30mmのポリアミドモノフィラメント糸を2〜8本含む撚糸を互いに略平行に横方向にのみ配列した不織布であり、上記表層織布の経糸及び緯糸の径が0.15〜0.30mmであり、上記裏層織布の経糸は、径が0.20〜0.30mmのポリアミドモノフィラメント糸を2〜10本撚り合わせた撚糸であることを特徴とする。
【0008】
本発明の製紙用フェルトの一例を図1に示す。本発明の製紙用織物1Aは、表層織布31と裏層織布33の中間に中間層32を備える3枚重ねの構成である基布3と、該基布3の表層織布側上面及び裏層織布側下面に結合された表層ウェブ層21及び裏層ウェブ層22とを有する。
【0009】
本発明の製紙用フェルトにおいて、上記中間層32は、糸321を互いに略平行に横方向にのみ配列した不織布で、織り込みにより生じるナックル部を有しない構成である。かかる中間層32を有することにより、下層織布33の影響、特に太い緯糸及び経糸を用いた場合の下層織布33のナックル部や経糸の影響が紙に現れないように緩和することができると共に、中間層32自身も上記のようにナックル部を持たないことから、抄造する紙に基布のマークが付くことを防止して、紙の平滑性、表面性を向上させることができる。また、上記中間層32は、図1に示すように、上記糸321を互いに略平行に横方向にのみ配列した不織布でもよいが、上記不織布の上面及び/又は下面に目付30〜180g/mの中間ウェブ層322を有する複合型の中間層32とすることもできる(図2参照)。かかる中間ウェブ層322は、弾性層としての役割を果たす結果、マークの抑止効果が向上するので好ましい。この場合、上記中間ウェブ層322の目付が30g/m未満では、製造工程で均一なウェブが得られにくいので好ましくなく、180g/mを超えると、フェルトの通水抵抗が大きくなることから好ましくない。
【0010】
また、抄造時には通常、紙に縦方向に張力がかかるため、縦方向についた紙のマークは消えないが、横方向についた紙のマークは紙が引張られることにより緩和され易い。そして、上記中間層32は、糸321を略平行に横方向にのみ配列した構造を有していることから、マークのつく可能性は横方向のみで、縦方向に糸のマークがつくことがない。その結果、中間層32によるマークは、紙が引張られることにより緩和され易く、縦方向に糸を配列した場合と比較して、紙の平滑性、表面性を向上させることができるので好ましい。更に、上記中間層32は、糸321を略平行に横方向にのみ配列した構造を有していることから、長さの調節が容易であり、寸法合わせも容易に行うことができるので好ましい。
【0011】
上記「表層織布」は、上記中間層の上面に設けられ、緯糸及び経糸を織り込むことにより構成される織布であり、上記「下層織布」は、上記中間層の下面に設けられ、緯糸及び経糸を織り込むことにより構成される織布である。厚い1枚の織布を用いる場合、強度、脱水効率の向上及び寿命延長を図る点からは好ましいが、経糸及び緯糸の交絡が複雑になり、また、厚い織構造を得るために、緯糸の打込みに織機の構造上の強度が要求されることから、高価な織機が必要となって手間とコストがかかる。これに対し、本発明のように表層織布及び裏層織布を重ねる構成とすると、高価な織機によらずとも簡易に製造することができるのでコスト的に優れ、強度、脱水効率の向上及び寿命延長を図ることができ、また、フェルトも柔軟性が優れたものとすることができるので好ましい。
【0012】
上記表層織布及び裏層織布の織り込みパターンについては特に限定はなく、経糸1重緯糸1重の1重織りでもよく、あるいは、空隙率及び強度向上の観点から、経糸及び/又は緯糸が2重以上の多重織りとすることもできる。また、織り組織についても特に限定はなく、例えば、1重織の場合には、平組織としたり、5/1崩織、2/2崩斜文織、3/1崩斜文織等、従来の製紙用フェルトの基布の織り方として使われてきた織り組織とすることができる。また、2重織の場合には、空隙量の確保及び強度の観点から、3/1崩経2重織、表1/3崩裏平2重織、1/3崩緯2重織、5/1崩縦2重織の組織とするのが好ましい。また、上記表層織布及び裏層織布と上記中間層とを一体化する方法としては、ニードリングが挙げられる
【0013】
上記中間層の不織布を構成する上記糸や、上記表層織布及び裏層織布を構成する経糸及び緯糸の材質については特に限定はなく、必要に応じて種々のものとすることができる。例えば、材質としては、ポリアミドモノフィラメント(6ナイロン、66ナイロン、610ナイロン、612ナイロン等のモノフィラメント等)、ポリエステルモノフィラメント等、紡績糸等を使用することができる。この中で、ポリアミドモノフィラメントを用いると、耐摩耗性、圧縮回復性、耐衝撃性に優れることから好ましい。
【0014】
また、上記中間層の不織布を構成する上記糸や、上記表層織布及び裏層織布を構成する経糸及び緯糸の径についても特に限定はなく、要求性能に応じて種々のものを用いることができる。通常、上記中間層の不織布を構成する上記糸の径は、0.10〜0.30mm、好ましくは0.12〜0.28mm、更に好ましくは0.15〜0.25mmとすることができる。かかる範囲とすることにより、製紙用フェルトの平滑性を向上させ、裏層織布の基布マークを抑止することができることから好ましい。また、径が0.12〜0.30mmのポリアミドモノフィラメント糸を2〜8本含む撚糸とすると、強度的に優れ、長期間に渡ってプレスを繰り返された場合でも構造を維持して空隙を保持することができると共に、ある程度製紙用フェルトの柔軟性も確保することができるので好ましい。
【0015】
一方、上記表層織布を構成する経糸及び緯糸の径としては、通常0.15〜0.45mm、好ましくは0.15〜0.35mm、更に好ましくは0.18〜0.32mm、より好ましくは0.20〜0.30mmとすることができる。かかる範囲とすることにより、表層織布は細い経糸及び/又は緯糸で構成される織布として、表層織布を薄く平滑にすることができる。その結果、製紙用フェルトの平滑性を向上させ、更に表面性に優れた紙を抄造することができるので好ましい。また、上記表層織布を構成する緯糸として、径が0.12〜0.28mmのポリアミドモノフィラメント糸を2〜8本撚り合わせた撚糸とすると、強度的に優れ、長期間に渡ってプレスを繰り返された場合でも構造を維持して空隙を保持することができると共に、ある程度製紙用フェルトの柔軟性も確保することができるので好ましい。
【0016】
また、上記裏層織布を構成する経糸及び緯糸の径としては、通常0.15〜0.45mm、好ましくは0.17〜0.42mm、更に好ましくは0.20〜0.40mmとすることができる。かかる範囲とすることにより、従来の製紙用フェルトと比較して太い経糸及び/又は緯糸で構成されることから、強度的に優れ、頻繁にプレスされた場合でも構造を維持して空隙を確保することができる。その結果、製紙用フェルトの平滑性に影響を及ぼすことなく、製紙用フェルトの空隙率の低下を抑止して、湿紙の脱水効率を向上させると共に、製紙用フェルトの寿命延長を図ることができるので好ましい。
【0017】
また、上記のように、裏層織布として太い経糸及び/又は緯糸を用いると、強度的に優れ、頻繁にプレスされた場合でも構造を維持して空隙を確保することができるが、あまり太い糸を用いると、基布ひいては製紙用フェルトも剛直となり、取扱が困難になることもある。そこで、上記裏層織布の経糸として、径が0.08〜0.30mm、好ましくは0.10〜0.27mm、更に好ましくは0.12〜0.25mmのポリアミドモノフィラメント糸を2〜10本撚り合わせた撚糸を用いることができる。かかる撚糸を用いることにより、強度的に優れ、頻繁にプレスされた場合でも構造を維持して空隙を確保することができると共に、ある程度製紙用フェルトの柔軟性も確保することができるので好ましい。
【0018】
また、上記表層織布の経糸及び/又は緯糸の密度についても特に限定はないが、通常は15〜90本/インチ、好ましくは17〜88本/インチ、更に好ましくは19〜86本/インチである。上記表層織布の経糸及び/又は緯糸の密度を15〜90本/インチとすることにより、製紙用フェルトの平滑性を向上させ、裏層織布の基布マークを抑止することができることから好ましい。
【0019】
本発明の上記「表層ウェブ層」21及び「裏層ウェブ層」22は、図1に示すように、上記基布3の表層織布側上面及び裏層織布側下面に結合されて一体化している。かかる「表層ウェブ層」21及び「裏層ウェブ層」22を備えることにより、上記表層織布及び裏層織布の影響を小さくし、用途に応じた表面性、その他様々な特性を持つ多種多様な製紙用フェルトとすることができるので好ましい。上記「表層ウェブ層」21及び「裏層ウェブ層」22の材質、繊度については、上記目的を達成することができる限り特に限定はなく、例えば、材質として、ポリアミドスフを用いることができ、繊度についても用途に応じて種々設定することができる。また、「表層ウェブ層」21及び「裏層ウェブ層」22を形成する方法については特に限定はなく、公知の方法、例えば、ニードリング等により一体化して形成することができる。
【0020】
本発明の製紙用フェルトを構成する、上記表層織布、上記中間層を構成する不織布、上記裏層織布、上記表層ウェブ層及び上記裏層ウェブ層の目付についても特に限定はなく、要求性能に応じて種々のものとすることができる。通常、上記中間層を構成する不織布の目付は150〜700g/m、好ましくは170〜550g/m、更に好ましくは185〜400g/mである。かかる範囲とすることにより、製紙用フェルトの平滑性を向上させると共に、裏層織布の基布マークを抑止することができるので好ましい。
【0021】
上記表層織布の目付は、通常120〜360g/m、好ましくは175〜320g/m、更に好ましくは190〜300g/mである。かかる範囲とすることにより、織布が薄くなり過ぎてシワが発生し易くなることを防止すると共に、大きくなり過ぎてそれ自体のナックルマークが生じることを防止できるので好ましい。また、上記裏層織布の目付は、通常200〜1100g/m、好ましくは230〜1000g/m、更に好ましくは260〜900g/mである。かかる範囲とすることにより、強度的に優れ、長期間に渡ってプレスを繰り返された場合でも構造を維持して空隙を保持することができると共に、ある程度製紙用フェルトの柔軟性も確保することができるので好ましい。
【0022】
上記表層ウェブ層の目付は、通常400〜1100g/m、好ましくは500〜950g/m、更に好ましくは600〜800g/mである。かかる範囲とすることにより、目付が小さいために表層織布自体のナックルマークが生じることを防止すると共に、圧縮された後の厚さの回復性の低下を防止することができるので好ましい。また、上記裏層ウェブ層の目付は、通常50〜220g/m、好ましくは60〜200g/m、更に好ましくは80〜180g/mである。かかる範囲とすることにより、裏面摩耗を受けた場合でも裏面織布への損傷を引き起こしにくくすると共に、通水抵抗を好適な範囲とすることができるので好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の製紙用織物について、実施例を挙げて具体的に説明する。
実施例1の製紙用フェルト1の縦断面模式図を図1に示す。実施例1の製紙用フェルト1は、図1に示すように、表層織布31と裏層織布33の中間に中間層32を備える3枚重ねの構成である基布3と、該基布3の表層織布側上面及び裏層織布側下面に結合された表層ウェブ層21及び裏層ウェブ層22とを有する構成である。
【0024】
上記中間層32は、径が0.21mmのポリアミドモノフィラメントである糸を2本撚った撚糸2本と、12メートル番手の紡績糸1本とを撚り合わせた糸である糸321を、フェルトの横方向に27本/インチとなるように略平行に配列した目付269g/mの不織布である。
【0025】
また、上記表層織布31は、径が0.28mmのポリアミドモノフィラメントである経糸を35本/インチ、径が0.25mmのポリアミドモノフィラメントである緯糸を30本/インチ用いて平組織に織り込んだ目付226g/mの織布である。一方、上記裏層織布33は、径が0.20mmのポリアミドモノフィラメントである糸を2本撚って撚糸とし、更にこの撚糸3本を撚って撚糸(合計6本の糸を含む撚糸)とした経糸を17本/インチ、径が0.33mmのポリアミドモノフィラメントである緯糸を20本/インチ用いて平組織に織り込んだ目付280g/mの織布を用いている。
【0026】
上記基布3の表層織布側上面に結合された表層ウェブ層21は、6.7デシテックス40%、11デシテックス60%を混ぜた目付650g/mのポリアミド・スフのウェブである。また、上記基布3の裏層織布側下面に結合された裏層ウェブ層22は、11デシテックス100%で目付110g/mのポリアミド・スフのウェブである。そして、上記表層ウェブ層21及び裏層ウェブ層22は、上記基布3の表層織布側上面及び裏層織布側下面に重ねてニードリング等の公知の方法により結合している。
【0027】
尚、比較例1として、上記実施例の製紙用フェルトのうち、中間層32のみを除いて他の条件、構成は全く同様のものとした製紙用フェルトを製作した。
【0028】
そして、実施例1及び比較例1の製紙用フェルトと、坪量205g/mの試験用手漉きパルプシートとを重ね、プレスロール加圧条件34.5kN/mで実験用抄紙機によりプレスし、脱水してパルプシート側のマークについて調べた。パルプシート側のマークは、画像として入力〔図3(a)及び図4(a)〕後、2次元高速フーリエ変換し〔図3(b)及び図4(b)〕、X軸上のスペクトル強度により評価した。そのチャートを図3(c)及び図4(c)に示す。尚、図3は実施例1の製紙用フェルトを用いた結果であり、図4は、比較例1の製紙用フェルトを用いた結果である。図3(c)及び図4(c)のグラフのX軸はシート表面の一定長さ当たりのマーク発生サイクル数を示し、Y軸はそのスペクトル強度を256段階で表示したものである。図4(c)より、中間層を有しない比較例1においては、パルプシートのスペクトル強度がばらつく上、強度が大きいことから、裏層織布の経糸のマークがパルプシートに現れていることが判る。これに対し、図3(c)より、実施例1においては、パルプシートのスペクトル強度が低く、ばらつきも小さいことから、パルプシートにマークが現れず、比較例との間に明確な差異が観察された。
【0029】
また、実施例2の製紙用フェルトとして、上記実施例1の製紙用フェルト1の裏層織布33、表層ウェブ層21及び裏層ウェブ層22を以下の構成とした製紙用フェルトを製作した。即ち、実施例2の製紙用フェルトの上記裏層織布33は、径が0.20mmのポリアミドモノフィラメントである糸を2本撚って撚糸とし、更にこの撚糸5本を撚って撚糸(合計10本の糸を含む撚糸)とした経糸を15本/インチ、径が0.20mmのポリアミドモノフィラメントである糸を2本撚って撚糸とし、更にこの撚糸2本を撚って撚糸(合計4本の糸を含む撚糸)とした緯糸を20本/インチ用いて2/2(2)組織に織り込んだ目付418g/mの織布を用いている。また、実施例2の製紙用フェルトの上記表層ウェブ層21は、11デシテックス100%で目付620g/mのポリアミド・スフのウェブである。更に、実施例2の製紙用フェルトの上記裏層ウェブ層22は、11デシテックス100%で目付100g/mのポリアミド・スフのウェブである。
【0030】
更に、実施例3の製紙用フェルトとして、上記実施例1の製紙用フェルト1の表層織布31、裏層織布33、表層ウェブ層21及び裏層ウェブ層22を以下の構成とした製紙用フェルトを製作した。即ち、実施例3の製紙用フェルトの上記表層織布31は、径が0.21mmのポリアミドモノフィラメントである経糸を86本/インチ、径が0.20mmのポリアミドモノフィラメントである糸を2本撚って撚糸とし、更にこの撚糸2本を撚って撚糸(合計4本の糸を含む撚糸)とした緯糸を20本/インチ用いて5/1崩組織に織り込んだ目付280g/mの織布である。また、裏層織布33、表層ウェブ層21及び裏層ウェブ層22は上記実施例2と同じである。
【0031】
一方、比較例2及び3として、上記実施例2及び3の製紙用フェルトのうち、中間層32のみを除いて他の条件、構成は全く同様のものとした製紙用フェルトを製作した。
【0032】
そして、上記実施例2、3及び比較例2、3の各製紙用フェルトと、坪量120g/mの試験用手漉きパルプシートとを重ね、プレスロール加圧条件78.5kN/mで実験用抄紙機によりプレスし、脱水してパルプシートの表面性について実施例1と同じ方法で調べた。その結果を図5〜8に示す。また、上記実施例2、3及び比較例2、3で使用した裏層織布をプレスケール感圧紙を用いて面圧4.9MPaの定荷重で加圧した時の発色斑を画像として取り込み、織布の持つマークを調べた。その結果を図9に示す。
【0033】
また、上記実施例2、3及び比較例2、3の各製紙用フェルトと、坪量40g/mの試験用手漉きパルプシートとを重ね、プレスロール加圧条件78.5kN/mで実験用抄紙機によりプレスし、脱水してパルプシートの表面平滑性について、KRKベック平滑度試験機(HP型)を用いてJIS P8119の方法により調べた。その結果を以下の表1に示す。JIS P8119の方法により調べたベック平滑度とは、真空度を水銀柱370mmに保った時に10mlの空気が試験片面と台のガラス表面の間を通過する時間を測定した値であり、この時間が長く、値が大きい程試験片が平滑であることを示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004081293
【0035】
図9(c)より、裏層織布のマークのスペクトル強度は20付近で強く現れ、特異的スペクトルが生じていることが確認される。そして、図6(c)及び図8(c)より、中間層を有しない比較例2及び3は、パルプシートのスペクトル強度がばらつく上、強度が大きく、しかも、上記裏層織布の特異的スペクトルが大きいことから、裏層織布の経糸のマークがパルプシートに現れていることが判る。これに対し、図5(c)及び図7(c)より、中間層を有する実施例2及び3は、パルプシートのスペクトル強度が低く、ばらつきも小さいことから、パルプシートにマークが現れず、比較例2及び3より表面平滑性に優れていることが判る。特に、図5(c)及び図7(c)より、実施例2及び3では、裏層織布の上記特異的スペクトルが現れていないことから、実施例2及び3では、裏層織布のマークが生じることを抑えていることが判る。
【0036】
また、表1より、中間層を有する実施例2及び3は、中間層を持たない比較例2及び3と比較してベック平滑度が大きいことから、実施例2及び3は表面平滑性に優れていることが判る。
【0037】
尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて種々変更した実施例とすることができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の製紙用フェルトによれば、表層織布と裏層織布の中間に、糸を略平行に横方向にのみ配列した不織布を入れた基布3枚重ねの製紙用フェルトとすることにより、下層織布の影響、特に下層織布の織り込みにより生じるナックル部の影響が紙に現れないようにすることができると共に、中間層自身も織り込みによるナックル部を有しないことから、抄造する紙に基布のナックルマークや経糸マークが付くのを防止して、紙の平滑性、表面性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の製紙用フェルトの縦方向断面模式図である。
【図2】本発明の製紙用フェルトの他の例の縦方向断面模式図である。
【図3】実施例1の製紙用フェルトを用いてプレスしたパルプシート表面の入力画像(a)、2次元高速フーリエ変換パワースペクトル(b)、及びX軸上のスペクトル強度のグラフ(c)である。
【図4】比較例1の製紙用フェルトを用いてプレスしたパルプシート表面の入力画像(a)、2次元高速フーリエ変換パワースペクトル(b)、及びX軸上のスペクトル強度のグラフ(c)である。
【図5】実施例2の製紙用フェルトを用いてプレスしたパルプシート表面の入力画像(a)、2次元高速フーリエ変換パワースペクトル(b)、及びX軸上のスペクトル強度のグラフ(c)である。
【図6】比較例2の製紙用フェルトを用いてプレスしたパルプシート表面の入力画像(a)、2次元高速フーリエ変換パワースペクトル(b)、及びX軸上のスペクトル強度のグラフ(c)である。
【図7】実施例3の製紙用フェルトを用いてプレスしたパルプシート表面の入力画像(a)、2次元高速フーリエ変換パワースペクトル(b)、及びX軸上のスペクトル強度のグラフ(c)である。
【図8】比較例3の製紙用フェルトを用いてプレスしたパルプシート表面の入力画像(a)、2次元高速フーリエ変換パワースペクトル(b)、及びX軸上のスペクトル強度のグラフ(c)である。
【図9】実施例2、3及び比較例2、3で使用した裏層織布の持つマークの入力画像(a)、2次元高速フーリエ変換パワースペクトル(b)、及びX軸上のスペクトル強度のグラフ(c)である。
【符号の説明】
1A,1B;製紙用フェルト、21;表層ウェブ層、22;裏層ウェブ層、3;基布、31;表層織布、32;中間層、321;糸、322;中間ウェブ層、33;裏層織布。

Claims (4)

  1. 表層織布と裏層織布の中間に中間層を重ね合わせて構成される基布と、該基布の表層織布側上面及び裏層織布側下面に各々表層ウェブ層及び裏層ウェブ層とからなり
    上記表層織布、裏層織布及び上記中間層は、ニードリングにより一体化されており、
    上記中間層は、径が0.12〜0.30mmのポリアミドモノフィラメント糸を2〜8本含む撚糸を互いに略平行に横方向にのみ配列した不織布であり、
    上記表層織布の経糸及び緯糸の径が0.15〜0.30mmであり、
    上記裏層織布の経糸は、径が0.20〜0.30mmのポリアミドモノフィラメント糸を2〜10本撚り合わせた撚糸であることを特徴とする製紙用フェルト。
  2. 上記中間層を構成する上記不織布の上面及び/又は下面に、目付30〜180g/mの中間ウェブ層を有する請求項1記載の製紙用フェルト。
  3. 上記表層織布の目付が120〜360g/m、上記中間層を構成する不織布の目付が150〜700g/m、上記裏層織布の目付が200〜1100g/m、上記表層ウェブ層の目付が400〜1100g/m、及び上記裏層ウェブ層の目付が50〜220g/mである請求項1又は2記載の製紙用フェルト。
  4. 上記表層織布の経糸及び/又は緯糸の密度が15〜90本/インチである請求項1乃至3のいずれかに記載の製紙用フェルト。
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