JP4132001B2 - 経糸2重緯糸2重構造の製紙用織物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は製紙用織物に関し、特には抄紙用織物に関する。
【0002】
【従来の技術】
製紙方法は周知の技術であって、まずパルプ繊維等を含む製紙原料が、ヘッドボックスからエンドレスに形成されて抄紙機のロール間に掛け入れられ走行している抄紙用織物上に供給される。
抄紙用織物の原料が供給される側が製紙面、その反対側が走行面である。
供給された原料は抄紙用織物の走行に伴って移動し、移動中に織物の走行面側に設置されたサクションボックスやフォイル等の脱水装置によって、水分が除去され、湿紙が形成される。すなわち、抄紙用織物がフィルターとして機能し、パルプ繊維と水を分離するのである。この抄紙ゾーンで形成された湿紙は、次にプレスゾーンとドライヤーゾーンに移送される。
【0003】
プレスゾーンでは、湿紙は抄紙用フェルトによって移送され製紙用フェルトとともにプレスロール間でニップ圧によって搾水され、さらに水分が除去される。ドライヤーゾーンでは、湿紙は抄紙用キャンバスによって移送され、乾燥されて紙が製造される。
製紙用織物は、合成樹脂モノフイラメント等の経糸、緯糸を用いて織機で製織される。無端状に形成するには周知の織継やピンシーム等によって無端状に形成されるか、袋織り織機により製織の段階で無端状に形成される。
袋織りの場合は織機上と使用時では経糸と緯糸の関係が逆になる。
本明細書にて、経糸とは、製紙機械の機械方向すなわち織物の進行方向に伸びている糸であり、緯糸とは、製紙機械の機械横断方向すなわち織物の巾方向に伸びている糸である。
【0004】
製紙用織物、特に抄紙用織物に対しては従来より多くの要求がある。
表面平滑性の向上、紙のワイヤーマーク発生防止、製紙の歩留まりの向上、良好なろ水性、耐摩耗性、寸法安定性、走行安定性等である。
近年、抄紙スピードの高速化、中性抄造の増加、填料の使用量の増加、製紙会社のコストダウン政策にともない、上記要求に対しての早期解決が強く望まれている。
抄紙スピードが高速になると、必然的に脱水スピードが高速になり、脱水力も強力になる。製紙原料は抄紙用織物を介して脱水されるのであるから、水分は抄紙用織物の糸間に形成されている網目を通って除去されるのである。これがろ水空間である。ところが、製紙原料から除去されるのは水分だけではなく、細かい繊維や填料等も一緒に抜け出てしまい、リテンション(製紙の歩留まり)が低下してしまうのである。また、織物上に残って形成された湿紙も脱水力によって、織物製紙面に押しつけられるため、糸が存在している部分では、糸が湿紙にくい込み、逆に糸が存在しない網目間では湿紙が網目間にくい込んで、湿紙表面上に糸と網目のマークを発生させてしまうのである。
【0005】
また、網目間には繊維がより滞留するために繊維密度が過密になり、繊維密度の粗密も発生する。
これがワイヤーマーク、ろ水マークと呼ばれるものである。
また、繊維の滞留が発生するとろ水性が低下し過剰な脱水が必要となって悪循環となり、紙の地合、印刷適正等の紙の品質に影響を及ぼす。
また、湿紙のくい込みが大きくなったり、繊維のささり込みが発生すると湿紙をフェルトへ移送する場合の湿紙剥離性が悪くなってしまうという問題も発生してしまう。ワイヤーマークを完全に無くすことは不可能であるが、これを極力小さく、目立たなくするために、織物の製紙面を細かくして、繊維支持性と平滑性の向上を図らなくてはならない。
【0006】
脱水スピードが高速になり、脱水力が強力になると、当然繊維の抜けやワイヤーマークの発生は顕著になるため、さらなる向上が必要となる。
また、繊維は織物走行方向に配向するため、特に緯糸の繊維支持性を向上させる必要があるのである。
また、高速の条件下で良好に脱水するためには優れたろ水性が要求される。優れたろ水性を有すれば、脱水の真空圧を抑えることができ、前述した網目間への繊維のもぐり込みや抜けが少なくなり、ワイヤーマークの発生をなくし、リテンションを向上させることが可能となるのである。
また、抄紙スピードが高速になると、ロール回転部等で織物に含まれている水が飛び散って水しぶきが発生し、その水滴が湿紙に落ちてマークを発生させてしまう問題も起きてくるため、織物の保水性を小さくすることも要求されてくる。
【0007】
一方、中性抄造の増加は耐摩耗性の向上に対する要求をさらに強いものとすることになった。
中性抄造は填料として炭酸カルシウムを使用することが多く、走行面の糸を激しく摩耗させるのである。また、抄紙スピードの高速化や繊維の滞留によるろ水性低下にともなう過剰脱水が条件をさらに過酷にする。
耐摩耗性を向上させるためには、織物組織を緯糸摩耗型の組織にしたり、糸の材質を変更したりという対策がとられている。
一般的に使用中の織物の耐摩耗性の向上と姿勢安定性の維持の点からは、織物の緯糸に耐摩耗作用を受け持たせることが好ましい。経糸が摩耗すると当然のことではあるが、引張強度が低下して織物の寸法が伸び、さらに摩耗して経糸が摩耗切断すると織物自体が切断してしまって使用寿命が尽きてしまうからである。
また、耐摩耗性の優れているポリアミドモノフイラメントを緯糸に使用することも試みらているが、この試みは織物の構造自体を改善するものではなく、単に使用する材料の性質を利用するだけであって、画期的効果は得られず、反面ポリアミドモノフイラメントを用いた織物は姿勢安定性が悪いという欠点があった。
また、走行面の緯糸に太い糸を使用する事も試みられたが、経糸と緯糸のバランスが崩れ、クリンプ性が悪化してワイヤーマーク発生の原因となる等の欠点があり実用上問題があった。
【0008】
紙のワイヤーマークの発生を防止するためには経糸および緯糸の本数密度を増やし、繊維の支持性を向上させることが考えられるが、そのためには経糸、緯糸の線径を細くする必要がある。
しかし、現在一般的に使用されている周知の経糸1重緯糸2重織物では線径を細くすると耐摩耗性、剛性、姿勢安定性が低下してしまう。
このように、製紙用織物は、耐摩耗性や剛性を向上させようと線径を太くすると表面性が損なわれ、紙にワイヤーマークが発生してしまうし、逆に表面性を向上させようと線径を細くして本数密度を増やすと耐摩耗性や剛性が低下してしまうというように、いわば相反する問題を抱えていた。
【0009】
上述の問題を解決するために製紙面側と走行面側とをそれぞれ別々の経糸、緯糸を用いて構成して、両層の織物を接結糸によって一体化させた織物での試みもなされている。すなわち、製紙面側織物には線径の小さい経糸、緯糸を使用して緻密な製紙面を形成し、走行面側織物には線径の大きい経糸、緯糸を使用して耐摩耗性の大きい走行面を形成するのである。
しかしながら、これも必ずしも満足いくものではなかった。なぜならば接結糸と製紙面側の糸とが交差する接結部において、接結糸が製紙面側織物を走行面側に引き込むために製紙面側織物表面に凹みが発生し、実際に紙を抄いた時に、この凹みのマークを紙に転写するようにワイヤーマークとして発生させてしまうのである。
【0010】
また、この凹みを極力少なくするために、接結糸の線径を小さくしたり接結糸の本数を少なくすると、接結力が弱くなってしまうため、接結糸が製紙面側織物と走行面側織物の間で揉まれて内部摩耗が起こり、さらに接結力が弱くなって、製紙面側織物と走行面側織物の間に隙間が発生したり、分離してしまうという問題が発生し、すぐに使用寿命が尽きてしまった。
ところで、効果的に繊維の支持性を向上させ、紙にワイヤーマークを発生させずに良質な紙を抄造するためには、好適には緯糸で繊維を支持する必要がある。なぜならば、一般的にヘッドボックスから抄紙用織物上に供給されるパルプ繊維は機械方向、すなわち経糸方向に配向するからである。経糸間の凹みを緯糸で分断して繊維を支持してやることにより、繊維が経糸間に滞留するのを防止するのである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題に鑑みて、製紙面側と走行面側の経糸、緯糸を用いて構成した織物であっても接結糸と製紙面側の糸との交差部において、製紙面側織物表面に凹みが発生せず、表面平滑性が良好で、緯糸の繊維支持性を向上させた製紙用織物を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
「1.走行面側経糸と走行面側緯糸とからなる走行面側織物と、製紙面側経糸と、製紙面側経糸と走行面経糸の両糸と織り合わされる製紙面側緯糸とからなる経糸2重緯糸2重構造の製紙用織物において、製紙面側緯糸が2本1組で配置され、組を形成する個々の製紙面側緯糸が交互に製紙面に現れて製紙面側経糸と織り合わされ、2本1組で連続する3本または4本の製紙面側経糸の上側を通過した後1本の製紙面側経糸の下側を通過する組織または2本1組で全ての製紙面側経糸の上側を通過する組織を形成する場合において、2本1組で連続する3本または4本の製紙面側経糸の上側を通過した後1本の製紙面側経糸の下側を通過する組織を形成する場合は、個々の製紙面側緯糸が連続する3本または4本の製紙面側経糸の上側を通過する組織または連続する2本の製紙面側経糸の上側を通過した後1本の製紙面側経糸の下側を通過し、次いで連続する2本の製紙面側経糸の上側を通過する組織であり、2本1組で全ての製紙面側経糸の上側を通過する組織を形成する場合は、個々の製紙面側緯糸が連続する4本または5本の製紙面側経糸の上側を通過する組織であり、いずれも製紙面に現れない部分で走行面側経糸と織り合わされることを特徴とする経糸2重緯糸2重構造の製紙用織物。
2.走行面側織物が緯糸摩耗型である請求項1記載の経糸2重緯糸2重構造の製紙用織物。
3.走行面側織物が平織り組織である請求項1記載の経糸2重緯糸2重構造の製紙用織物。
4.走行面側経糸が2本平行に同組織で配置された畝織り組織である請求項1記載の経糸2重緯糸2重構造の製紙用織物。
」に関する。
【0013】
本発明の製紙用織物は、製紙面側と走行面側の経糸、緯糸を用いて構成した織物であっても製紙面側経糸のみと織り合わされる製紙面側緯糸が存在せず、全ての製紙面側緯糸が製紙面を形成するとともに走行面側緯糸とも織り合わされて接結糸としての機能をも有している。従って、製紙面側織物を形成している織物とは別個の接結糸が製紙面を引き込んで凹みを発生させることがなく、また製紙面を形成する緯糸間に高低差が発生することもないため表面平滑性が非常に良好となる。また、接結力も非常に強く内部摩耗が発生する問題もない。
【0014】
さらに、製紙面側緯糸が2本1組で形成され、組を形成する個々の製紙面側緯糸が交互に製紙面に現れて製紙面側経糸と織り合わされ、
2本1組で連続する3本または4本の製紙面側経糸の上側を通過した後1本の製紙面側経糸の下側を通過する組織を形成するか、あるいは全ての製紙面側経糸の上側を通過する組織を形成するため緯糸の繊維支持性が非常に良好となるのである。
【0015】
走行面側織物については、特に限定されないが、前述したように耐摩耗性が良好な緯糸摩耗型の組織が好適である。
ただし、ティッシュ製造用等の場合のように網厚が薄いことが要求される場合には平織り組織を採用するのが好ましい。経糸を複数本同組織でそろえて配置する畝織り組織としても良い。
製紙面側織物に対する糸本数の密度も特に限定されず、走行面側経糸や走行面側緯糸を製紙面側の1/2や2/3等の密度にしても良い。
ただし、特に走行面側緯糸の密度は、耐摩耗性との関連があるため同密度が好適である。あまり少なくすると耐摩耗性が低下してしまうのである。
【0016】
本発明に使用される糸としては、製紙用織物に望まれる特性によって自由に選択でき特に限定されない。例えばモノフイラメントの他、マルチフイラメント、スパンヤーン、捲縮加工や嵩高加工等を施した一般的にテクスチャードヤーン、バルキーヤーン、ストレッチヤーンと称される加工糸、モール糸、あるいはこれらをより合わせる等して組み合わた糸等が使用できる。また、糸の断面形状も円形だけでなく四角形状や星型等の矩形状の糸や楕円形状、中空等の糸が使用できるまた、糸の材質としても、自由に選択でき、ポリエステル、ナイロン、ポリフェニレンサルファイド、ポリふっかビニリデン、ポリプロ、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、綿、ウール、金属等が使用できる。
勿論、共重合体やこれらの材質に目的に応じて色々な物質をブレンドしたり含有させた糸を使用しても良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。図1、2、3、4、5は、本発明の実施例の完全組織を示す意匠図である。完全組織とは、織物組織の最小の繰り返し単位であって、この完全組織が上下左右につながって織物全体の組織が形成される。意匠図において、経糸はアラビア数字、例えば1,2,3,で示し、緯糸はダッシュを付したアラビア数字、例えば1',2',3',で示す。また、?印は走行面側経糸が走行面側緯糸の下側に位置していることを示し、?黒四角?印は製紙面側緯糸が製紙面側経糸の上側に位置していることを示し、?印は製紙面側緯糸が走行面側経糸の下側に位置していることを示す。製紙面側と走行面側の経糸、緯糸は上下に重なって配置されている。本実施例では本数密度が同じであるため製紙面側の経糸、緯糸の真下に走行面側の経糸、緯糸が配置されている。尚、意匠図では糸が上下に正確に重なって製紙面側の経糸、緯糸の真下に走行面側の経糸、緯糸が配置されることになっているが、これは図面の都合上であって、実際の織物ではずれて配置されても構わないものである。
【0018】
実施例1
図1が本発明の実施例1の完全組織を示す意匠図である。
図1の意匠図において、1,2,3,4,5,6,7,8が経糸であり製紙面側経糸と走行面側経糸が上下に配置されている。
1′、2′、4′、5′、7′、8′、10′、11′、13′、14′、16′、17′、19′、20′、22′、23′が製紙面側緯糸であり、1′と2′、4′と5′、7′と8′、10′と11′、13′と14′、16′と17′、19′と20′、22′と23′がそれぞれ組を形成している。
3′、6′、9′、12′、15′、18′、21′、24′が走行面側緯糸である。
意匠図より本実施例は、全体で16シャフトの織物であることが分かる。
【0019】
まず製紙面側緯糸をみてみると、製紙面側緯糸1'は製紙面側経糸5、6、7の上側を通って製紙面側経糸3本分のクリンプを形成しており、また、製紙面側緯糸1'と組を形成している製紙面側緯糸2'は製紙面側経糸1、2、3の上側を通って製紙面側経糸3本分のクリンプを形成している。そして、組を形成する製紙面側緯糸1'、2'が協働して製紙面側経糸3本分のクリンプを製紙面側経糸1本置きに形成する、実質上緯糸1本分の組織を形成しているのである。製紙面を形成する全ての糸が緯糸方向のロングクリンプを形成するため緯糸方向の繊維支持性が良好となる。
【0020】
また、製紙面側緯糸1′は走行面側経糸2の下側を、製紙面側緯糸2′は走行面側経糸6の下側を通ることによって、製紙面側経糸と走行面側織物を連結しており、接結糸として機能しているのである。
また、製紙面側緯糸1′、2′ともに3本の製紙面側経糸の上側を通ってクリンプを形成し、1本の走行面側経糸の下側を通っており、互いに経糸4本分ずらして配置した同組織の製紙面側緯糸であることがわかる。
【0021】
製紙面側織物を形成している織物とは別個の接結糸が製紙面を引き込んで凹みを発生させるのではなく、製紙面を形成する緯糸が全て同じ製紙面側緯糸であるため、緯糸間に高低差が発生することがなく、かつ表面平滑性が非常に良好となる。 また、接結力も非常に強く内部摩耗が発生する問題もない。
次に走行面側織物をみてみると、走行面側緯糸が走行面側に走行面側経糸3本分のクリンプを形成する緯糸摩耗型であることがわかる。
【0022】
実施例2
図2が本発明の実施例2の完全組織を示す意匠図である。
図2の意匠図において、1,2,3,4,5,6,7,8が経糸であり製紙面側経糸と走行面側経糸が上下に配置されている。
1′、3′、4′、6′が製紙面側緯糸であり、1′と3′、4′と6′がそれぞれ組を形成している。
2′、5′が走行面側緯糸である。
意匠図より本実施例も全体で16シャフトの織物であることが分かる。
【0023】
まず製紙面側緯糸をみてみると製紙面側緯糸1'は製紙面側経糸4、5、6、7の上側を通って製紙面側経糸4本分のクリンプを形成しており、また、製紙面側緯糸3'が製紙面側緯糸1'と組を形成し、製紙面側経糸8、1、2、3の上側を通って製紙面側経糸4本分のクリンプを形成している。2本の製紙面側緯糸の間には走行面側緯糸2'が配置されているが、2本の製紙面側緯糸は走行面側緯糸2'の両側に密着配置され、特に製紙面側では近接し合って配置されるのである。そして、組を形成する製紙面側緯糸1'、3'が協働して全ての製紙面側経糸の上側にクリンプを形成する実質上緯糸1本分の組織を形成しているのである。製紙面を形成する全ての糸が緯糸方向のロングクリンプを形成し、全ての経糸の上側に製紙面側緯糸が配置されるために緯糸方向の繊維支持性が最も良好となる。
【0024】
次に走行面側織物をみてみると、走行面側経糸が2本同組織で配置され、1本の走行面側緯糸の上下を交互に通過する畝織りの平織り組織で形成されていることがわかる。平織り組織であるため網厚を薄くすることが可能となるためティッシュ製造用の抄紙機に好適である。
実際の織物では製紙面側経糸1、2の間の下方に走行面側経糸1、2が隣接して配置される。
【0025】
実施例3
図3が本発明の実施例3の完全組織を示す意匠図である。
本実施例では、製紙面側緯糸が連続する4本の製紙面側経糸の上側を通過する組織で、2本1組の製紙面側緯糸で連続する4本の上側を通過した後1本の製紙面側経糸の下側を通過する組織を形成する実施例である。織物全体としては20シャフトである。
【0026】
実施例4
図4が本発明の実施例4の完全組織を示す意匠図である。
本実施例では、製紙面側緯糸が連続する5本の製紙面側経糸の上側を通過する組織で、2本1組の製紙面側緯糸で全ての製紙面側経糸の上側を通過する組織を形成する実施例である。織物全体としては20シャフトである。
【0027】
実施例5
図5が本発明の実施例5の完全組織を示す意匠図である。
本実施例では、製紙面側緯糸が連続する2本の製紙面側経糸の上側を通過した後1本の製紙面側経糸の下側を通過し、次いで連続する2本の製紙面側経糸の上側を通過する組織で、2本1組の製紙面側緯糸で連続する4本の上側を通過した後1本の製紙面側経糸の下側を通過する組織を形成する実施例である。織物全体としては20シャフトである。本実施例では2本分のクリンプを合わせて4本分のクリンプを形成させているため個々のクリンプが他実施例より短く織り込みが多いために網厚を薄くでき、剛性を向上させることができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の製紙用2層織物は、前述のように全ての製紙面側緯糸が緯糸方向のロングクリンプを形成し、かつ接結糸として機能しているため、製紙面側緯糸間に高低差が発生せず製紙面が平滑で、かつ緯糸方向の繊維支持性が非常に良好で、ワイヤーマークが無い平滑な紙を製造することができ、接結力が強く、高速の抄紙スピードにも対応できるという優れた効果を奏するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の完全組織を示す意匠図である。
【図2】本発明の実施例2の完全組織を示す意匠図である。
【図3】本発明の実施例3の完全組織を示す意匠図である。
【図4】本発明の実施例4の完全組織を示す意匠図である。
【図5】本発明の実施例5の完全組織を示す意匠図である。
【符号の説明】
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10 経糸
3',6',9',12',15',18',21',24' 走行面側緯糸
1',2',4',5',7',8',10',11',13',14',16',17',19',20',22',23' 製紙面側緯糸
Claims (4)
- 走行面側経糸と走行面側緯糸とからなる走行面側織物と、製紙面側経糸と、製紙面側経糸と走行面経糸の両糸と織り合わされる製紙面側緯糸とからなる経糸2重緯糸2重構造の製紙用織物において、製紙面側緯糸が2本1組で配置され、組を形成する個々の製紙面側緯糸が交互に製紙面に現れて製紙面側経糸と織り合わされ、2本1組で連続する3本または4本の製紙面側経糸の上側を通過した後1本の製紙面側経糸の下側を通過する組織または2本1組で全ての製紙面側経糸の上側を通過する組織を形成する場合において、2本1組で連続する3本または4本の製紙面側経糸の上側を通過した後1本の製紙面側経糸の下側を通過する組織を形成する場合は、個々の製紙面側緯糸が連続する3本または4本の製紙面側経糸の上側を通過する組織または連続する2本の製紙面側経糸の上側を通過した後1本の製紙面側経糸の下側を通過し、次いで連続する2本の製紙面側経糸の上側を通過する組織であり、2本1組で全ての製紙面側経糸の上側を通過する組織を形成する場合は、個々の製紙面側緯糸が連続する4本または5本の製紙面側経糸の上側を通過する組織であり、いずれも製紙面に現れない部分で走行面側経糸と織り合わされることを特徴とする経糸2重緯糸2重構造の製紙用織物。
- 走行面側織物が緯糸摩耗型である請求項1記載の経糸2重緯糸2重構造の製紙用織物。
- 走行面側織物が平織り組織である請求項1記載の経糸2重緯糸2重構造の製紙用織物。
- 走行面側経糸が2本平行に同組織で配置された畝織り組織である請求項1記載の経糸2重緯糸2重構造の製紙用織物。
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-
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