JP4090587B2 - 工業用織物 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製紙用織物、不織布製造用織物、汚泥等の脱水や搾水に用いられる織物、建材製造用ベルト、コンベアベルト等の工業用織物に関し、特に製紙用織物、中でも抄紙用織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来使用されている工業用織物としては、例えば抄紙用織物や抄紙用キャンバス等の製紙用織物、不織布製造用織物、汚泥等の脱水織物、建材製造用ベルト、コンベアベルト等多くのものがある。これらの工業用織物は、使用時に経糸方向に張力を受けながら走行するため伸びや巾方向の収縮が発生しないよう寸法安定性が要求される。また、蛇行したり皺が発生しないように走行安定性、姿勢安定性が要求される。さらに走行中に駆動ロール等に接触して摩耗を受けるので耐摩耗性も要求される。また、表面に物を載置して搬送したり加工したりすることからいえば表面が平滑であることが要求される。このような問題は工業用織物共通の問題であるが、未だ満足できる解決がなされていないのが現状である。工業用織の中でもっとも厳しくこれらの性能を要求される製紙用織物、特に抄紙用織物は、上記の性能に加えて後述する抄紙独自の諸性能を要求されるが、抄紙用織物について説明すればほとんどの工業用織物共通の問題とその解決について説明でき理解できるので、以下抄紙用織物を代表して本発明を説明することとする。製紙方法は周知の技術であって、まずパルプ繊維等を含む製紙原料が、ヘッドボックスからエンドレスに形成されて抄紙機のロール間に掛けられ走行している抄紙用織物上に供給される。抄紙用織物の原料が供給される側が製紙面(抄紙用織物以外では上層面と呼ばれている)、その反対側が走行面である。供給された原料は抄紙用織物の走行にともなって移送され、移送中に織物の走行面側に設置されたサクションボックスやフォイル等の脱水装置によって、水分が除去され、湿紙が形成される。すなわち、抄紙用織物が一種のフィルターとして機能し、パルプ繊維と水を分離するのである。この抄紙ゾーンで形成された湿紙は、次にプレスゾーンとドライヤーゾーンに移送される。プレスゾーンでは、湿紙は抄紙用フェルトに移されて、抄紙用フェルトとともにプレスロール間でニップ圧によって搾水され、さらに水分が除去される。ドライヤーゾーンでは、湿紙は抄紙用キャンバスに移されて移送され、乾燥されて紙が製造される。
【0003】
製紙用織物は、合成樹脂モノフィラメント等の経糸、緯糸を用いて織機で製織される。無端状に形成するには周知の織継やピンシーム等によって無端状に形成されるか、袋織り織機により製織の段階で無端状に形成される。
袋織りの場合は織機上と使用時では経糸と緯糸の関係が逆になる。
本明細書において、経糸とは、製紙機械の機械方向すなわち織物の進行方向に伸びている糸であり、緯糸とは、製紙機械の機械横断方向すなわち織物の巾方向に伸びている糸である。
【0004】
製紙用織物、特に抄紙用織物に対しては従来より多くの要求がある。表面平滑性の向上、紙のワイヤーマーク発生防止、製紙の歩留まりの向上、良好なろ水性、耐摩耗性、寸法安定性、走行安定性等である。近年、抄紙スピードの高速化、中性抄造の増加、填料の使用量の増加、製紙会社のコストダウン政策にともない、上記要求に対しての早期解決が強く望まれている。抄紙スピードが高速になると、必然的に脱水スピードが高速になり、脱水力も強力になる。製紙原料は抄紙用織物を介して脱水されるのであるから、水分は抄紙用織物の糸間に形成されている網目を通って除去される。この網目空間がろ水空間である。ところが、製紙原料から除去されるのは水分けではなく、細かい繊維や填料等も一緒に抜け出てしまうため製紙の歩留まりが低下する。また、織物上に残って形成された湿紙も脱水力によって、織物製紙面に押しつけられるため、糸が存在している部分では、糸が湿紙にくい込み、逆に糸が存在しない網目間では湿紙が網目間にくい込んで、湿紙表面上に糸と網目のマークを発生させる傾向が強い。また、網目間には繊維がより滞留して繊維密度が過密になるため、紙に繊維密度の粗密が発生したり、紙に厚薄が生じる。
【0005】
これがワイヤーマーク、▲ろ▼水マークと呼ばれるものである。
また、織物の湿紙のくい込みが大きくなったり、繊維のささり込みが発生すると湿紙をフェルトへ移送する場合の湿紙剥離性が悪くなるという問題も発生する。ワイヤーマークを完全に無くすことは不可能であるが、これを極力小さく、目立たなくするために、織物の製紙面を細かくして、繊維支持性と平滑性の向上を図らなくてはならない。
脱水スピードが高速になり、脱水力が強力になると、当然繊維の抜けやワイヤーマークの発生は顕著になるため、さらなる向上が必要となる。
また、繊維は織物走行方向に配向するため、特に緯糸の繊維支持性を向上させる必要がある。
また、高速の条件下で良好に脱水するためには優れた▲ろ▼水性が要求される。優れた▲ろ▼水性を有すれば、脱水の真空圧を抑えることができ、前述した網目間への繊維のもぐり込みや抜けが少なくなり、ワイヤーマークの発生をなくし、歩留まりを向上させることが可能となる。
また、抄紙スピードが高速になると、ロール回転部等で織物に含まれている水が遠心力により飛び散って水しぶきが発生し、その水滴が湿紙におちてマークを発生させる問題が生ずるため、織物の保水性を小さくすることも要求されている。
【0006】
一方、中性抄造の増加は耐摩耗性の向上に対する要求をさらに強いものとすることになった。
中性抄造は填料として炭酸カルシウムを使用するため、酸性抄造で使用するクレーとは異なり走行面の糸を激しく摩耗させる。また、抄紙スピードの高速化や、繊維の滞留による▲ろ▼水低下にともなう過剰▲ろ▼水が条件をさらに苛酷にする。
耐摩耗性を向上させるためには、織物組織を緯糸摩耗型組織にしたり、糸の材質を変更したりという対策がとられている。
【0007】
一般的に使用中の織物の耐摩耗性の向上と姿勢安定性の維持の点からは、織物の緯糸に耐摩耗作用を受け持たせることが好ましい。経糸が摩耗すると当然のことではあるが、引張強度が低下して織物の寸法が伸び、さらに摩耗して経糸が摩耗切断すると織物自体が切断し使用寿命が尽きるため緯糸で経糸の摩耗を防ぐのである。
また、耐摩耗性の優れているポリアミドモノフィラメントを緯糸に使用することも試みられているが、この試みは織物の構造自体を改善するものではなく、単に使用する材料の性質を利用するだけであって、画期的効果は得られず、反面ポリアミドモノフィラメントは剛性が小さいため織物の姿勢安定性が悪いという欠点があった。
また、走行面の緯糸に太い糸を使用することも試みられたが、経糸と緯糸のバランスが崩れ、クリンプ性が悪化してワイヤーマーク発生の原因となる等の欠点があり実用上問題があった。
紙のワイヤーマークの発生を防止するためには経糸および緯糸の本数密度を増やし、繊維の支持性を向上させることが考えられるが、そのためには経糸、緯糸の線径を細くする必要がある。
しかし、現在一般的に使用されている周知の経糸1重緯糸2重織物では線径を細くすると耐摩耗性、剛性、姿勢安定性が低下する問題がある。
この様に、製紙用織物は、耐摩耗性や剛性を向上させようと線径を太くすると表面性が損なわれ、紙にワイヤーマークが発生し、逆に表面性を向上させようと線径を細くして本数密度を増やすと耐摩耗性や剛性が低下するというように、いわば相反する問題を抱えていた。
【0008】
この耐摩耗性と姿勢の安定性の問題は無端状で回転する全ての工業用織物に共通するものである。
上述の問題を解決するために製紙面側と走行面側とをそれぞれ別々の経糸、緯糸を用いて構成して、両層の織物を接結糸によって一体化させた織物の試みもなされている。すなわち、製紙面側織物には線径の小さい経糸、緯糸を使用して緻密な製紙面を形成し、走行面側織物には線径の大きい経糸、緯糸を使用して耐摩耗性の大きい走行面を形成するのである。
【0009】
しかしながら、これも必ずしも満足いくものではなかった。なぜならば接結糸と製紙面側の糸とが交差する接結部において、接結糸が製紙面側織物を走行面側に引き込むために製紙面側織物表面に凹みが発生し、実際に紙を抄いた時に、この凹みのマークが紙に転写されワイヤーマークを発生する。
また、この凹みを極力少なくするために、接結糸の線径を小さくしたり接結糸の本数を少なくすると、接結力が弱くなるため、接結糸が製紙面側織物と走行面側織物の間で揉まれて内部摩耗が起こり接結糸が切断したり伸びてさらに接結力が弱くなって、製紙面側織物と走行面側織物の間に隙間が発生したり、分離するという問題が発生し、短時間で使用寿命が尽きてしまった。
【0010】
ところで、効果的に繊維の支持性を向上させ、紙にワイヤーマークを発生させずに、良質な紙を抄造するためには、好適には緯糸でパルプ繊維を支持する必要がある。なぜならば、一般的にヘッドボックスから抄紙用織物上に供給されるパルプ繊維は機械方向、すなわち経糸方向に配向するからである。経糸間の凹みを緯糸で分断して繊維を支持することにより、繊維が経糸間に滞留するのを防止することができる。
しかし、緯糸だけで製紙面を形成すればよいという訳ではない。織物である以上、経糸が緯糸の上側に位置する部分が必ずあり、この経糸と緯糸が同一平面を形成することによって、表面が平滑で、ワイヤーマークを発生させない製紙面を得ることができるからである。同一平面を形成しつつ、緯糸の繊維支持性を向上させることが必要である。
また、製紙スピードが高速になって、瞬間脱水の傾向がさらに強くなり、年々抄紙用織物に対する条件が苛酷になるにつれ剛性、特に巾方向の剛性向上の要求が重要になってきた。
巾方向の剛性が小さいと走行中に波状の皺が発生し、皺の凹部には凸部と比較して紙料がより集まり、当然に凹部の紙は厚く重くなり、突部の紙は薄く軽くなって、巾方向の重さのむら、いわゆるBD不良が発生するのである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題に鑑みて、表面側と走行面側とをそれぞれ別々の経糸、緯糸を用いて構成して、両層の織物を接結糸によって一体化させた工業用織物であって接結糸と上層織物の糸との交差部において、上層織物表面に凹みが発生せず、経糸と緯糸が同一平面を形成して、なおかつ支持点数が多く表面平滑性が良好で、さらに緯糸の支持性を向上させた工業用織物、特に製紙用織物を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
「1. 上層経糸と上層緯糸とからなる上層織物と、下層経糸と下層緯糸とからなる下層
織物と、上層織物と下層織物とを接続する接結糸とからなる工業用二層織物において、隣接する2本以上の上層経糸の上側を通過して織り込まれる補助緯糸が上層緯糸間に配置され、接結糸が補助緯糸の両側に配置されており、該両側に配置された接結糸は、隣接する2本以上の上層経糸の上側を通過する接結糸であって、補助緯糸が上層経糸の下側に位置している部分において上層経糸の上側に位置し、かつ該両側に配置された接結糸は、一方の接結糸が上層経糸の上側に位置して製紙面を形成している部分では他方の接結糸が下方に下がって下層経糸の下側に位置し、一方の接結糸が層経糸の下側に位置している部分では他方の接結糸が上層経糸の上側に位置していることを特徴とする、上層織物に補助緯糸を配置した二層構造の工業用織物。
2. 補助緯糸が上層経糸の下側に主に位置している部分において接結糸が上層経糸の上
側に主に位置している、1項に記載された、上層織物に補助緯糸を配置した二層構造の工業用織物。
3. 一方の接結糸が上層経糸の上側に主に位置して製紙面を形成している部分では他方
の接結糸が下方に下がって下層経糸の下側に主に位置し、一方の接結糸が上層経糸の下側に主に位置している部分では他方の接結糸が上層経糸の上側に主に位置している、1項または2項に記載された、上層織物に補助緯糸を配置した二層構造の工業用織物。
4. 補助緯糸が2本の上層経糸の上側を通過して製紙面を形成した後3本の上層経糸の
下側を通過する組織の繰返であって、接結糸が、補助緯糸が下側を通過する3本の上層経糸の上側を通過して製紙面を形成する、1項ないし3項のいずれか1項に記載された、上層織物に補助緯糸を配置した二層構造の工業用織物。
5. 補助緯糸が2本の上層経糸を通過して製紙面を形成した後3本の上層経糸の下側を
通過する組織の繰返であって、接結糸が、補助緯糸が下側を通過する3本の上層経糸の上側を通過して製紙面を形成し、次いで隣接する本の上層経糸と下層経糸の間を通過し、次いで隣接する2本の下層経糸の下側を通過し、次いで隣接する2本の上層経糸と下層経糸の間を通過する組織の繰返である、1項ないし4項のいずれか1項に記載された、上層織物に補助緯糸を配置した二層構造の工業用織物。
6. 上層織物が平織組織である、1項ないし5項のいずれか1項に記載された、上層織
物に補助緯糸を配置した二層構造の工業用織物。」に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、上層織物の上層緯糸間に、連続する2本以上の上層経糸の上側を通過して製紙面を形成する補助緯糸を配置し、この補助緯糸の両側に連続する2本以上の上層経糸の上側を通過して製紙面を形成するとともに上層と下層の織物を接結する接結糸を配置し、一方の接結糸が上層経糸の上側に位置して製紙面を形成している部分では他方の接結糸が下方に下がって下層経糸の下側に位置し、一方の接結糸が上層経糸の下側に位置して部分では他方の接結糸を上層経糸の上側に位置するようにしたところに特徴がある。
【0014】
上層緯糸間に配置した補助緯糸が、連続する2本以上の上層経糸の上側を通過して織り込まれ製紙面を形成するため、緯糸の繊維支持性が向上し、さらに巾方向の剛性の向上にも寄与する。
また、補助緯糸の両側に配置する接結糸とを上記のように位置させたため、この3本の糸が交互に上層経糸の上側を通過して製紙面を形成し、巾方向の全体にわたって均一に繊維支持性を向上させることができる。
また、接結糸は直接上層経糸を下方に引き込み、補助緯糸も組織に織り込まれた結果上層経糸を下方に引き込むこととなるために巾方向の全体にわたって均一に上層織物を下方に引き込むことができる。このように完全組織全体を均一に下方に引き込むのである。
従って従来の上層経糸複数本ごとに上層経糸1本の上を通過し、複数の繰返単位ごとに接結していた接結糸とは異なり製紙面に虫食い状の凹みを発生させることがない。
また、上層緯糸間に接結糸が2本配置されているため接結力が強く、上層織物と下層織物の密着性が良いので接結糸が両織物の間で揉まれて内部摩耗が発生して接結力が弱くなったり、両織物の間に隙間が発生したり、分離する等の問題が生じない。
【0015】
補助緯糸、接結糸の組織は上記の構成であればその他は特に限定されないが、補助緯糸が、連続する2本の上層経糸の上側を通過して製紙面を形成した後3本の上層経糸の下側を通過して織り込まれる組織とし、接結糸を補助緯糸が下側を通過する3本の上層経糸の上側を通過する組織とすると、全ての上層経糸の上側に、補助緯糸と接結糸を配置させることができ、巾方向の全体にわたって均一に繊維支持性を向上させることができる。すなわち、補助緯糸は製紙面側に上層経糸2本のクリンプを形成し、接結糸は上層経糸3本のクリンプを形成する。また、補助緯糸と接結糸とが形成する製紙面を同一平面とすることができ、実質的な繊維支持効率を最も効率良く発揮させるとができる。ここでクリンプとはナックルとナックルの間に製紙面側または走行面側に突出して形成される糸部分を言う。ナックルとは経糸と緯糸が交差している部分を言う。本来、糸が形成するクリンプは実際には水平に直線的に形成されるものではなく弓なりに突出する。そして突出量はクリンプの長さが長いほど大きくなる。従って、上層経糸2本分の補助緯糸のクリンプと上層経糸3本分の接結糸のクリンプとでは、3本のクリンプがより突出して同一平面を形成するのが困難と思われるが3本分のクリンプを形成する糸を接結糸とすることによりクリンプがより下方に引き込まれ、2本分のクリンプと同一平面を形成することができるのである。
【0016】
なお、接結糸は3本の上層経糸の上側を通過させた後、続く3本の上層経糸と下層経糸の間を通過させ、そして次の1本の下層経糸の下を通過させ、次いで3本の上層経糸と下層経糸の間を通過させる組織とすると3本の上層経糸の上を通過して製紙面を形成するクリンプ部分を中心に左右対称な組織となり、クリンプの片側が突出したり凹んだりすることがなく左右対称に均一に効率良く製紙面を形成して、平滑性が良好となり好ましい。
また、接結糸を3本の上層経糸の上側を通過させた後、続く3本の上層経糸と下層経糸の間を通過させ、そして次の2本の下層経糸の下側を通過させ、次いで2本の上層経糸と下層経糸の間を通過させる組織とした場合は、接結糸と下層経糸との織り込み位置が擦れ難くなって製織性が安定する利点がある。詳細は実施例にて図面を参照して説明する。
また、上層織物の組織は特に限定されるものではないが、平織り組織が好適である。
平織り組織は経糸と緯糸が1本ずつ交互に織合わされている組織であるので繊維支持点数が最も多く表面平滑性が良好で、織り込み回数が多いため特に斜め方向の剛性も良好である。
【0017】
上層織物で繊維支持点数が多く平滑な製紙面を形成し、さらに補助緯糸と接結糸で緯糸方向の繊維支持性を向上させるのである。
平織組織の他には次のような組織がある。
連続する2本の上層緯糸の上側を通った後連続する2本の上層緯糸の下側を通る上層経糸を、順次上層緯糸1本分ずらして配置して形成した4シャフトの織物や、連続する2本の上層緯糸の上側を通った後連続する3本の上層緯糸の下側を通る上層経糸を、順次上層緯糸3本分ずらして配置して形成した5シャフトの織物等である。
前記4シャフトの織物の組織は上層経糸、上層緯糸ともに2本分の長さのクリンプのみを形成するためクリンプのバランスが良く平滑性が良好で、平織組織より繊維支持点は少なくなるが緯糸が製紙面に形成するクリンプの距離が長くなるため、緯糸の繊維支持性が良好である。また5シャフトの織物の組織は上層経糸のクリンプ部分が隣接する経糸間で隣り合う部分がないため上層経糸間の経糸方向に長い溝が発生しないのでワイヤーマークの発生がなく、上層緯糸の繊維支持性が良好である。
勿論この他にも3シャフト、6シャフト等も使用される。
下層織物については、特に限定されないが、耐摩耗性の点から緯糸摩耗型組織が好適である。上層織物に対する糸本数の密度も特に限定されず、下層経糸や下層緯糸を上層の1/2〜2/3等の密度にしても良い。
ただし、下層緯糸の密度は、耐摩耗性と関連があるため上層織物と同密度が最も好適である。余り少なくすると耐摩耗性が低下するので好ましくない。
【0018】
本発明に使用される糸としては織物に望まれる特性に応じて自由に選択することができ、特に制限されない。例えば、モノフィラメントの他、マルチフィラメント、スパンヤーン、捲縮加工や嵩高加工等をどこした一般的にテクスチャードヤーン、バルキーヤン、ストレッチャーヤーンと称される加工糸、モール糸、或いはこれ等をより合わせたりして組み合わせた糸等が使用できる。また、糸の断面形状も円形だけでなく四角形状、星型、矩形状、偏平形状、楕円形状、中空等の糸が使用される。また糸の材質としても自由に選ぶことができ、ポリエステル、ナイロン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデンポリプロピレン、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ウール、綿、金属等が使用される。勿論、共重合やこれ等の材質に目的に応じて種々の物質をブレンドした糸を使用しても良い。一般的には上層経糸、下層経糸、上層緯糸には剛性があり、寸法安定性が優れているポリエステルモノフィラメントを用いることが好ましく、線径が小さく耐シャワー性、耐フィブリル性、耐内部摩耗性が要求される補助緯糸、接結糸にはナイロンモノフィラメントを用いることが好ましい。ただし、織継性を考慮した場合は、接結糸に形状安定性の高いポリエステルモノフィラメントを使用するのがよい。また、耐摩耗性を要求される下層緯糸にはポリエステルモノフィラメントとナイロンモノフィラメントを交互に配置する等、交織するのが剛性を確保しつつ耐摩耗性を向上できるので好ましい。糸の線径もメッシュ等の製紙用織物に要求される特性によって自由に選ぶことができ特に限定はされないが、補助緯糸、接結糸は表面性等の観点から上層緯糸の線径の60%〜90%の線径であることが好ましい。また、組織上は本来1本の糸であるところに、同組織で糸を複数本引き揃えて配置することもできる。細い線径の糸を複数本引き揃えて配置することによって、表面性の向上と、織物の厚みを薄くすることができる。
【0019】
【実施例】
本発明の実施例をあげて具体的に説明する。
図1、4、5、6、は、本発明の実施例の完全組織を示す意匠図である。
完全組織とは、織物組織の最小の繰り返し単位であって、この完全組織が上下左右につながって織物全体の組織が形成される。
図2は図1の実施例の製紙面側の一部平面図、図3は図1の実施例の緯糸に沿った断面図である。
意匠図において、経糸はアラビア数字、例えば1、2、3、で示し、緯糸はダッシュを付したアラビア数字、例えば1′、2′、3′、で示す。
また、×印は上層経糸が上層緯糸の上側に位置していることを示し、○印は下層経糸が下層緯糸の下側に位置していることを示し、▲黒四角▼印は補助緯糸および接結糸が上層経糸の上側に位置していることを示し、□印は接結糸が下層経糸の下側に位置していることを示す。
上層と下層の経糸、緯糸は上下に重なって配置されている。本実施例では本数密度が同じであるため、上層の経糸、緯糸の真下に下層の経糸、緯糸が配置されている。
なお、意匠図では糸が上下に正確に重なって上層の経糸、緯糸の真下に下層の経糸、緯糸が配置されていることになっているが、これは図面の都合上の問題であって、実際の織物ではずれて配置されても構わないものである。
実際に、上層織物と下層織物の密着性を改善させて剛性を向上したり網厚を薄くしたりする目的で、接結糸の組織を非対称(上層経糸の上側から下層経糸の下側への傾斜角度を左右で異ならせる)にして故意に重なりをずらすこともある。
【0020】
実施例1
図1が本発明の実施例1の完全組織を示す意匠図、図2がその一部の製紙面を示す平面図、図3が緯糸に沿った断面図である。
図1の意匠図において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10が経糸であり上層経糸と下層経糸が上下に重なって配置され、同番号で示されている。4′、8′、12′、16′、20′、24′、28′、32′、36′、40′が緯糸であって上層緯糸と下層緯糸が上下に重なって配置され、同番号で示されている。
2′、6′、10′、14′、18′、22′、26′、30′、34′、38′が補助緯糸で、1′、3′、5′、7′、9′、11′、13′、15′、17′、19′、21′、23′、25′、27′、29′、31′、33′、35′、37′、39′が接結糸である。
意匠図により、上層織物は1本の上層経糸と1本の上層緯糸が交互に上下に織合わされる平織組織であることがわかる。平織組織は上記の構成であるから、繊維支持点数がもっとも多く、表面平滑性が非常に良好な製紙面が得られるのである。下層織物は走行面側に下層経糸4本分の長さのクリンプを形成して経糸の摩耗を防ぐ緯糸摩耗型であり、耐摩耗性が優れていることがわかる。
次に補助緯糸をみてみると、例えば補助緯糸10′は上層経糸1、2、3と下層経糸1、2、3の間を通過し、次いで上層経糸4、5の上側を通過し、次いで上層経糸6、7、8と下層経糸6、7、8の間を通過し、次いで上層経糸9、10の上側を通過している。即ち、2本の上層経糸の上側を通過して製紙面を形成した後3本の上層経糸の下側を通過する組織の繰り返しであることがわかる。隣接する2本の上層経糸の上側を通過してクリンプを形成し、製紙面を形成しているため緯糸の繊維支持性が向上する。
そして、この補助緯糸10′の両側に接結糸9′、11′が配置されている。接結糸9′は上層経糸1と下層経糸1の間を通過し、次いで下層経糸2の下側を通過して下層織物と織りなし、次いで上層経糸3、4、5と下層経糸3、4、5の間を通過し、次いで上層経糸6、7、8の上側を通過し、次いで上層経糸9、10と下層経糸9、10の間を通過しており、接結糸11′は上層経糸1、2、3の上側を通過し、次いで上層経糸4、5、6と下層経糸4、5、6の間を通過し、次いで下層経糸7の下側を通過して下層織物と織りなし、次いで上層経糸8、9、10と下層経糸8、9、10の間を通過している。
どちらの接結糸も隣接する3本の上層経糸の上側を通過してクリンプを形成し、製紙面を形成しているため緯糸の繊維支持性が向上する。
また、どちらの接結糸も補助緯糸が製紙面を形成するために上側を通過している上層経糸(4、5と9、10)以外の上層経糸(1、2、3と6、7、8)の上側を通過して製紙面を形成している。
また、2本の接結糸同士も互いに異なる上層経糸の上側を通過しており、一方の接結糸が上層経糸の上側に位置して製紙面を形成している部分では他方の接結糸が下方に下がって下層経糸の下側に位置し、一方の接結糸が上層経糸の下側に位置している部分では他方の接結糸が上層経糸の上側に位置している。
したがって、補助緯糸と接結糸の計3本の糸が交互に上層経糸の上側を通過して製紙面を形成し、巾方向の全体に渡って均一に繊維支持性を向上させることができる。
さらに、本実施例では全ての上層経糸の上側を通過させて製紙面を形成しているため最も効率よく繊維支持性を向上させることができる。
図2に示した平面図からも、上層経糸と上層緯糸が平織組織で織り合わされて繊維支持点の多い製紙面が形成され、かつ上層緯糸間に補助緯糸、接結糸が配置され、全ての上層経糸の上側をそのいずれかの糸が通過してクリンプを形成し、緯糸の繊維支持性が良好な製紙面を形成していることがよく理解できる。
図3に示した緯糸に沿った断面図からも、補助緯糸10′、接結糸9′、接結糸11′が交互に製紙面に現れて同一平面を形成しており、さらに接結糸9′は下層経糸2の下側、接結糸11′は下層経糸7の下側を通って織り合わされ接結糸として機能していることが理解できる。
また、下層緯糸12′が走行面側にクリンプを形成して下層経糸を摩耗から保護していることが理解できる。
なお、上層緯糸12′は図面が複雑になるため図示しなかった。
また、接結糸が上側を通過してクリンプを形成している部分の上層経糸6、7、8と上層経糸1、2、3とは、接結糸9′、接結糸11′によって直接的に下方に引き込まれている。また補助緯糸10′が上側を通過してクリンプを形成している部分の上層経糸4、5と上層経糸9、10とは、上層経糸6、7、8と上層経糸1、2、3とが接結糸9′、接結糸11′に下方に引き込まれるので、上層経糸6、7、8と上層経糸1、2、3の下方に位置する補助緯糸10′が結果的に下方に引き込まれることによって、間接的に下方に引き込まれることがわかる。
したがって、巾方向の全体に渡って均一に上層織物を引き込むことができるのである。
また、上層経糸を引き込む強さは、当然に直接引き込む接結糸の力の方が強いので、接結糸の方が下方へ沈み込む。しかし、本実施例では接結糸のクリンプの長さを補助緯糸の2本より長い3本分としたため、本来は引き込む力が同じであればクリンプの長い接結糸が突出するのであるが、接結糸の引き込む力が強いので両糸のクリンプを同一平面に形成させることができるのである。
また、接結糸の組織が、製紙面側にクリンプを形成している位置と下層経糸の下側を通過する位置の距離が経糸3本分で同一(例えば接結糸11′であれば経糸4、5、6の3本と8、9、10の3本)で、クリンプ部分を中心に左右対称の組織である。したがって、クリンプの片側が突出したり凹んだりすることがなく、左右対称に均一に製紙面を形成することができる。
【0021】
実施例2
図4が本発明の実施例2の完全組織を示す意匠図である。
糸と符号の関係は実施例1と同じである。緯糸は4′、8′、12′、16′、20′、24′、28′、32′、36′、40′である。2′、6′、10′、14′、18′、22′、26′、30′、34′、38′が補助緯糸で1′、3′、5′、7′、9′、11′、13′、15′、17′、19′、21′、23′、25′、27′、29′、31′、33′、35′、37′、39′が接結糸である。
まず上層織物をみてみると、例えば上層経糸2は連続する2本の上層緯糸4、8の上側を通った後連続する3本の上層緯糸12、16、20の下側を通る組織であり、上層緯糸の組織は1本の上層経糸1の上側を通り、次いで1本の上層経糸2の下側を通り、次いで2本の上層経糸3、4の上側を通り、次いで1本の上層経糸5の下側を通る組織であることがわかる。
上層織物は、上記のように形成されており、製紙面側には上層経糸の上層緯糸2本分のクリンプと、上層緯糸の上層経糸2本分のクリンプと1本分のナックルが形成されている。この上層経糸の上層緯糸2本分のクリンプと、上層緯糸の上層経糸2本分のクリンプが製紙面の同一平面を形成し、平滑な製紙面を提供するのである。上層緯糸の上層経糸1本分のナックルは、2本分のクリンプより距離が短い分多少低く凹むため前記同一平面を形成することはできないが、緯糸の繊維支持性の向上には充分に貢献し、また、剛性の向上も図られるのである。
また、本実施例は意匠図からわかるように上層経糸のクリンプ部分が隣接する経糸間で隣り合う部分がない(例えば、上層経糸1のクリンプは上層緯糸12′、16′の部分で形成され、上層経糸2のクリンプは上層緯糸4′、8′の部分で形成されており互いに隣り合っていない)ため、上層経糸間の経糸方向の溝が、緯糸によって分断されており、上層緯糸の繊維支持性が良好である。
次に補助緯糸をみてみると、例えば補助緯糸18′、は上層経糸1、2および4、5の上側に配置され、上層経糸2本分のクリンプを2個所で形成している。そして、補助緯糸18′の両側に接結糸17′、19′が配置されており、接結糸17′は上層経糸6、7の上側を通過してクリンプを形成し、下層経糸10、1の下側を通過して下層織物と織りなし、接結糸19′は上層経糸9、10の上側を通過してクリンプを形成し、下層経糸5、6の下側を通過して下層織物と織りなしている。
補助緯糸、接結糸ともに製紙面側に2本分のクリンプを形成し、また補助緯糸が上層経糸の下側に主に位置している部分において接結糸が上層経糸の上側に主に位置し、接結糸同士も互いに異なる上層経糸の上側を経過し、一方の接結糸が上層経糸の上側に主に位置して製紙面を形成している部分では他方の接結糸が下方に下がって下層経糸の下側に位置し、一方の接結糸が上層経糸の下側に主に位置している部分では他方の接結糸を上層経糸の上側に主に位置していることがわかり、巾方向の全体に渡って均一に繊維支持性を向上させていることが理解できる。
【0022】
実施例3
図5が本発明の実施例3の完全組織を示す意匠図である。
糸と符号の関係は前述の実施例と同じである。
まず上層織物をみてみると、上層織物の組織は実施例1と同じく平織組織であって、繊維支持点数が最も多く、表面平滑性が非常に良好な製紙面が得られる。次に補助緯糸をみてみると、例えば補助緯糸26′は上層経糸1、2および5、6の上側に配置され、上層経糸2本分のクリンプを2個所で形成している。
そして、補助緯糸26′の両側に接結糸25′、27′が配置されており、接結糸25′は上層経糸3、4の上側を通過してクリンプを形成し、下層経糸8の下側を通過して下層織物と織りなし、接結糸27′は上層経糸7、8の上側を通過してクリンプを形成し、下層経糸4の下側を通過して下層織物と織りなしている。補助緯糸、接結糸ともに製紙面側に2本分以上のクリンプを形成し、また、補助緯糸が上層経糸の下側に位置している部分において接結糸が上層経糸の上側に位置し、接結糸同士も互いに異なる上層経糸の上側を通過し、一方の接結糸が上層経糸の上側に位置して製紙面を形成している部分では他方の接結糸が下方に下がって下層経糸の下側に位置し、一方の接結糸が上層経糸の下側に位置している部分では他方の接結糸が上層経糸の上側に位置していることがわかり、巾方向の全体に渡って均一に繊維支持性を向上させていることが理解できる。
【0023】
実施例4
図6が本発明の実施例4の完全組織を示す意匠図である。
糸と符号の関係は前述の実施例と同じである。
まず上層織物をみると、上層織物の組織は実施例1と同じく平織組織であって、繊維支持点数が最も多く、表面平滑性が非常に良好な製紙面が得られる。次に補助緯糸をみてみると、例えば補助緯糸14′は上層経糸1、2および6、7の上側に配置され、上層経糸2本分のクリンプを2個所で形成している。そして、補助緯糸14′の両側に接結糸13′、15′が配置されており、接結糸13′は上層経糸3、4、5の上側を通過してクリンプを形成し、下層経糸9、10の下側を通過して下層織物と織りなし、接結糸15′は上層経糸8、9、10の上側を通過してクリンプを形成し、下層経糸4、5の下側を通過して下層織物と織りなしている。
補助緯糸、接結糸ともに製紙面側に2本分以上のクリンプを形成し、また、補助緯糸が上層経糸の下側に主に位置している部分において接結糸が上層経糸の上側に主に位置し、接結糸同士もお互いに異なる上層経糸の上側を通過し、一方の接結糸が上層経糸の上側に主に位置して製紙面を形成している部分では他方の接結糸が下方に下がって下層経糸の下側に位置し、一方の接結糸が上層経糸の下側に主に位置している部分では他方の接結糸が上層経糸の上側に主に位置していることがわかり、巾方向の全体に渡って均一に繊維支持性を向上させていることが理解できる。接結糸の組織を上記組織としたことにより、接結糸が下層緯糸と織り合わされる位置が製織時にずれる、いわゆる越境の問題がなくなる効果がある。以下その理由を説明する。
例えば接結糸15′をみてみると、下層経糸4、5の下側で織り合わされている。この接結糸と下層経糸が織り合わされている位置というのは、経糸4が下層経糸8′を下側から織り込んだ後上方へ向かう途中で、経糸5が下層経糸20′を下側から織り込むのに下方へ向かう途中であって、上方へ向かう途中の経糸と下方へ向かう途中の経糸が交差している部分である。すなわち、接結糸が両経糸によって挟まれている状態となって、その位置に固定され、織り込み位置がずれることがないのである。
【0024】
従来例
図7は従来の製紙用2層織物の完全組織を示す、緯糸に沿った断面図である。
製紙面側織物は平織組織で形成されている。
接結糸1′によって、製紙面側経糸1の部分のみが走行面側に引き込まれ凹み41が形成されていることがよく理解できる。
【0025】
比較試験
次に図1に示した本発明の実施例と図7に示した従来例との比較試験を示して本発明の効果を説明する。
織物構成と試験結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
Figure 0004090587
【0027】
(註)
シート平滑度:中質紙配合の原料パルプを使用し、タッピスタンダードシートテストマシンで坪量70g/m相当の紙シートを抄造し、常法に従って平滑シートを作成し、ベックの平滑度計にて織物面に接していた紙の平滑度を測定した。
ワイヤーマーク:視覚によって判定した。
従来例は、接結糸による凹み部分の紙が厚くなり、この厚い部分が斜めの連続した黒い線となって見える。実施例にはこのようなマークは見えない。
接結強度:巾40mm、長さ約300mmのサンプルを用意し、長さ方向の80mm程度の部分を製紙面側織物と走行面側織物とが分離するように接結糸のみをカッターで切断してチャック取付部分を形成する。そして、分離してそれぞれ製紙面側織物と走行面側織物のみになった部分を引張試験機のチャックに取り付け、荷重を掛け、分離してない部分が分離される時の平均強度を測定し、測定値をcm当たりに換算した。
実施例は上層織物が破断してしまうほど接結強度が強く、測定不可であった。
【0028】
【発明の効果】
本発明の二層構造の工業用織物は、接結糸と上層の糸との交差部で上層織物表面に凹みが発生せず、経糸、緯糸、補助緯糸、接結糸が同一平面を形成して製紙面が平滑で、かつ緯糸の繊維支持性が非常に良好で、ワイヤーマークがない平滑な紙を製造することができ、接結力が強く、リテンションもよく、高速の抄紙スピードにも対応できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の完全組織を示す意匠図である。
【図2】図1に示した実施例の一部平面図である。
【図3】図1に示した実施例の緯糸に沿った断面図である。
【図4】本発明の実施例2の完全組織を示す意匠図である。
【図5】本発明の実施例3の完全組織を示す意匠図である。
【図6】本発明の実施例4の完全組織を示す意匠図である。
【図7】従来例の緯糸に沿った断面図である。
【符号の説明】
1 : 経糸
2 : 経糸
3 : 経糸
4 : 経糸
5 : 経糸
6 : 経糸
7 : 経糸
8 : 経糸
9 : 経糸
10 : 経糸
4′: 緯糸
8′: 緯糸
12′: 緯糸
16′: 緯糸
20′: 緯糸
24′: 緯糸
28′: 緯糸
32′: 緯糸
36′: 緯糸
40′: 緯糸
10 : 緯糸
2′: 補助緯糸
6′: 補助緯糸
10′: 補助緯糸
14′: 補助緯糸
18′: 補助緯糸
22′: 補助緯糸
26′: 補助緯糸
30′: 補助緯糸
34′: 補助緯糸
38′: 補助緯糸
1′: 接結糸
3′: 接結糸
5′: 接結糸
7′: 接結糸
9′: 接結糸
11′: 接結糸
13′: 接結糸
15′: 接結糸
17′: 接結糸
19′: 接結糸
21′: 接結糸
23′: 接結糸
25′: 接結糸
27′: 接結糸
29′: 接結糸
31′: 接結糸
33′: 接結糸
35′: 接結糸
37′: 接結糸
39′: 接結糸
41 : 凹み

Claims (6)

  1. 上層経糸と上層緯糸とからなる上層織物と、下層経糸と下層緯糸とからな
    る下層織物と、上層織物と下層織物とを接続する接結糸とからなる工業用二層織物において、隣接する2本以上の上層経糸の上側を通過して織り込まれる補助緯糸が上層緯糸間に配置され、接結糸が補助緯糸の両側に配置されており、該両側に配置された接結糸は、隣接する2本以上の上層経糸の上側を通過する接結糸であって、補助緯糸が上層経糸の下側に位置している部分において上層経糸の上側に位置し、かつ該両側に配置された接結糸は、一方の接結糸が上層経糸の上側に位置して製紙面を形成している部分では他方の接結糸が下方に下がって下層経糸の下側に位置し、一方の接結糸が層経糸の下側に位置している部分では他方の接結糸が上層経糸の上側に位置していることを特徴とする、上層織物に補助緯糸を配置した二層構造の工業用織物。
  2. 補助緯糸が上層経糸の下側に主に位置している部分において接結糸が上層
    経糸の上側に主に位置している、請求項1に記載された、上層織物に補助緯糸を配置した二層構造の工業用織物。
  3. 一方の接結糸が上層経糸の上側に主に位置して製紙面を形成している部分
    では他方の接結糸が下方に下がって下層経糸の下側に主に位置し、一方の接結糸が上層経糸の下側に主に位置している部分では他方の接結糸が上層経糸の上側に主に位置している、請求項1または2に記載された、上層織物に補助緯糸を配置した二層構造の工業用織物。
  4. 補助緯糸が2本の上層経糸の上側を通過して製紙面を形成した後3本の上
    層経糸の下側を通過する組織の繰返であって、接結糸が、補助緯糸が下側を通過する3本の上層経糸の上側を通過して製紙面を形成する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載された、上層織物に補助緯糸を配置した二層構造の工業用織物。
  5. 補助緯糸が2本の上層経糸を通過して製紙面を形成した後3本の上層経糸
    の下側を通過する組織の繰返であって、接結糸が、補助緯糸が下側を通過する3本の上層経糸の上側を通過して製紙面を形成し、次いで隣接する本の上層経糸と下層経糸の間を通過し、次いで隣接する2本の下層経糸の下側を通過し、次いで隣接する2本の上層経糸と下層経糸の間を通過する組織の繰返である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載された、上層織物に補助緯糸を配置した二層構造の工業用織物。
  6. 上層織物が平織組織である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載され
    た、上層織物に補助緯糸を配置した二層構造の工業用織物。
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