JP3360076B2 - 有機性廃水の処理方法 - Google Patents
有機性廃水の処理方法Info
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Description
理水を活性汚泥方式で処理した場合に、処理液の水質の
悪化を生じさせることなく、処理効率が著しく改善し、
しかも余剰汚泥の格段の減量化が経済的に達成される有
機性廃水の処理方法に関する。
性廃水とも呼ぶ)を好気性微生物を含む活性汚泥により
処理する活性汚泥法は、浄化能力が高く、比較的に処理
経費が少なくて済む等の利点がある為、活性汚泥法を利
用した種々の水処理方法が提案されており、下水処理や
産業廃水処理等において広く一般に利用されている。上
記活性汚泥法では、調整槽等で被処理水のpHの調整や
原水の均一化を行なった後、処理対象となる各種有機性
廃水をエアレーションタンク(曝気槽)へと導き、この
曝気槽で、活性汚泥によりBODで示される廃水中の有
機汚濁成分を分解させて浄化処理を行っている。しか
し、特定の生物負荷条件、即ち、BOD負荷量で0.5
〜0.8kg/m3 ・day程度の状態でしか運転がで
きないため、大量の処理を行なうには、広い敷地面積を
要する大型の曝気槽か必要となる等、設備が大掛かりに
なる傾向がある。
報に、有機性廃水を、細菌処理して廃水中の有機物を酸
化分解すると共に非凝集性の細菌に変換させた後、更
に、該非凝集性細菌を固着性原生動物処理して捕食除去
させることによって、生物処理効率を向上させることが
提案されている。本発明者らの検討によれば、上記の方
法を用いると高負荷状態での運転が可能となり、活性汚
泥法による処理効率が格段に向上し、処理条件を選べ
ば、活性汚泥処理装置を大幅に小型化できることが分か
った。
ODのうちの50〜70%は微生物の維持エネルギーと
して消費されるが、残りの30〜50%は菌体の増殖に
使用されるので活性汚泥の量は次第に増加していく。こ
のため、一般的には、図4に示したように、曝気槽で処
理された廃水を沈澱槽へと導き、沈殿した活性汚泥の中
から有機性廃水の浄化処理に必要な量だけ返送汚泥とし
て曝気槽内へと戻し、それ以外の活性汚泥を余剰汚泥と
して取り除いている。このように、活性汚泥法を利用し
た水処理方法では、上記した処理効率に劣るといった問
題に加えて、大量の余剰汚泥の処理が常に問題となって
いる。
余剰汚泥の処理方法としては、余剰汚泥を脱水して水分
を分離し、固形分を焼却するか或いは産業廃棄物として
埋め立て処分等する方法、或いは余剰汚泥を嫌気性消化
処理して、メタンガス、二酸化炭素、水素、硫化水素等
に分解して減量化し、その後に分解されなかった余剰汚
泥及びその他の固形物を脱水により分離し、固形分を焼
却するか或いは産業廃棄物として処分する方法がある。
更に、近年では、余剰汚泥の減量化を目的として、余剰
汚泥の一部をオゾンにより処理した後、オゾン処理汚泥
を曝気槽に導入して好気的処理を行う方法が知られてい
る(特公昭57−19719号、特開平7−88495
号公報等参照)。又、先に挙げた特公昭56−4823
5号公報に記載された廃水の生物処理方法によっても、
生物処理の効率向上と同時に、余剰汚泥の生成量を減少
させることができるとしている。
下記に述べる様な種々の問題があった。先ず、余剰汚泥
を嫌気性消化処理を行わずに脱水機により濃縮し、焼却
或いは産業廃棄物として処分する場合には、余剰汚泥量
が多い為に、汚泥処理コストが著しく嵩むという問題が
ある。現在の汚泥の処分費は2〜3万円/m3と高く、
更に、この処分費は今後一層高騰する傾向にある。又、
埋め立て処分場の確保の問題や汚泥焼却に伴うエネルギ
ー消費の増加の問題等、地球規模の環境に及ぼす影響も
看過できない。
量化方法においては、エネルギーがメタンガスとして回
収される等の利点があるものの、消化に要する日数が2
0〜40日と長く、余剰汚泥の分解率が60%と低い
為、広い敷地面積が要求され、更に未分解余剰汚泥及び
その他の固形物を脱水機により分離し、焼却するか或い
は産業廃棄物として処分しなければならない為、非効率
で処理コストが嵩むという問題がある。更に、上記と同
様に、地球環境に及ぼす影響の問題もある。
により処理する方法は、余剰汚泥の容量をかなり減少さ
せることができるが、特別にオゾン発生装置を設ける必
要がある。そのため、小規模施設には不向きであり、処
理コストが上昇してしまい経済性に劣るという実用上の
問題がある。
されている廃水の生物処理方法では、前記したように格
段に生物処理の処理効率が向上するが、余剰汚泥の発生
量については、確かに従来の方法よりも量を減少させる
ことはできるが、余剰汚泥の発生を殆ど無くす迄には至
っていない。
は、活性汚泥法を利用した有機性廃水の処理方法におい
て、最終段階で放出される処理水の水質を悪化させるこ
となく処理効率を格段に向上させることができ、且つ余
剰汚泥量を簡便な方法で大幅に減量化させ、最適には余
剰汚泥の発生をなくすことも可能な、小規模施設にも適
用できる簡易且つ経済的な有機性廃水の処理方法を提供
することにある。
発明によって達成される。即ち、本発明は、有機物を含
む被処理水を好気的微生物を含む活性汚泥法により浄化
処理する有機性廃水の処理方法において、被処理水を第
1処理槽に導入し、該第1処理槽内で原生動物の実質的
不存在下で細菌処理し、該被処理水中に含まれる有機物
を酸化分解すると共に非凝集性細菌に変換した後、第1
処理槽からの非凝集性細菌を含む廃水を活性汚泥が存す
る第2処理槽に導入し、該第2処理槽内で非固着性原生
動物の実質的不存在下、固着性原生動物処理して非凝集
性細菌を固着性原生動物に捕食除去させる2相活性汚泥
法によって処理した後、第2処理槽内又は第2処理槽の
下流に設けられた沈殿槽内から汚泥の少なくとも一部を
抜き出して反応処理槽へと導入し、該反応処理槽内で汚
泥を構成している微生物を殺菌及び可溶化処理した後、
処理された汚泥を上記第1処理槽又は第2処理槽内へと
導入することを特徴とする有機性廃水の処理方法であ
る。
好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意
研究の結果、有機物を含有する被処理水を、好気性微生
物を含む活性汚泥法により浄化処理する場合に、被処理
水を、特公昭56−48235号公報に記載されている
ような分散性の細菌相と、固着性原生動物相とからなる
2相活性汚泥法で生物処理することによって、処理水の
水質を悪化させることなく処理効率の向上を図る一方、
第2処理槽内又は沈殿槽内から汚泥の少なくとも一部を
抜き出して、この抜き出した汚泥を殺菌及び可溶化処理
した後、処理された汚泥を上記の活性汚泥処理系に再度
導入し、引き続き活性汚泥法により処理すれば、更に、
余剰汚泥の発生を格段に減少させて極めて僅かにするこ
とができることを知見して本発明に至った。
成する細菌相と原生動物相とからなる2相活性汚泥法に
よる生物処理について説明する。2相活性汚泥法は、活
性汚泥による廃水の生物処理が、細菌による有機物の
酸化分解資化反応過程と、凝集性及び沈降性のよい汚
泥の生成過程の2つの過程からなり、特に、これらの過
程のの過程が律速となっていることに鑑みなされたも
のである。即ち、先ず、活性汚泥の沈降性を考慮せずに
有機物の除去のみを目的とする非固着性原生動物の実質
的不存在下で細菌処理を行なう細菌相で、有機物を細菌
によって効率よく酸化分解させると共に、この有機物を
栄養源とする細菌の増殖を促進させる。次に、この様な
細菌相で処理された細菌を含む廃水を、細菌の捕食と残
存有機物の処理を目的とした活性汚泥を含む固着性原生
動物相へ導入し、ここで、非固着性原生動物の不存在
下、固着性原生動物処理することによって、上記で増殖
した細菌を原生動物により捕食除去させる。
相で処理された被処理水中に含まれる細菌は非凝集性の
ものであり、個々の菌体に分散した原生動物に極めて捕
食され易い状態となっているので、原生動物による細菌
除去率は極めて高いものとなる。更に、この原生動物処
理によって得られた被処理水は、上記したような過程に
よって増殖した固着性原生動物を汚泥として含むので、
この汚泥は、分離性に非常に優れたものであり、沈殿槽
等の慣用の固液分離手段によって容易に分離することが
可能である。加えて、汚泥が除かれて得られる最終処理
水は、有機物及び原生動物を含まないため、極めて清浄
なものとなる。この結果、2相活性汚泥法によって有機
性廃水を処理すれば、通常の場合の2〜3倍程度の高負
荷運転が可能となり、且つ汚泥の生成量を約1/2程度
に減量化することができる。
理の細菌相で使用する細菌としては、好気性のものであ
れば任意であり、例えば、アルカリゲネス属菌、シュウ
ドモナス属菌、バチルス属菌、アエロバクター属菌、フ
ラボバクテリウム属菌等が挙げられる。この様な細菌
は、通常、廃水中に生存しており、廃水中の有機物を栄
養源として増殖するので、有機性廃水を被処理水とする
本発明においては、特に外部から添加する必要はない。
しかし、廃水の浄化処理を円滑に行なうためには、必要
に応じて適当な種菌を浄化処理の開始時に外部から添加
してもよい。その際に使用する種菌としては、例えば、
バイオコア BP、OF−10(以上、商品名 環境エ
ンジニアリング(株)製)等の微生物製剤が好適に利用
できる。
うな好気性細菌による処理が行なわれ、第1処理槽から
排出される廃水(以下、単に、第1処理水と呼ぶ)中に
含まれる有機物は細菌によって酸化分解され、これと共
に細菌自体はこの有機物を栄養源として増殖する。従っ
て、第1処理槽における細菌処理による現象のみをみれ
ば、廃水中の有機物が細菌に変換したと言うこともでき
る。本発明者らの検討によれば、この場合の第1処理槽
における溶解性有機物の除去率は、95〜98%という
高い値を示した。又、有機物の細菌への変換率といった
点からみると、約40〜50%程度であり、有機物10
0重量部は、約40〜50重量部の細菌に変換される。
は、上記の細菌処理を原生動物の実質的不存在下で行う
ことを要する。その結果、処理された廃水中に含まれる
細菌は非凝集性のものとなり、廃水中に細菌凝集塊、所
謂汚泥を生じることが有効に防止され、このような細菌
処理の結果得られる第1処理水は、汚泥を実質上含まず
に、有機物が変換した微細な粒子状に分散した細菌を含
んだものとなる。この様な分散状の細菌は原生動物の好
栄養源となるものであるので、次に行なう原生動物を含
む活性汚泥相で構成した第2処理槽における原生動物処
理において、その処理効率を著しく高める効果を有す
る。逆に、上記した第1処理槽で行なわれる細菌処理に
おいて、原生動物が共存していた場合には、細菌相にお
いて、原生動物に捕食され易い細菌が捕食されてしまう
ため、捕食されにくい細菌が主に増殖することになり、
細菌相で細菌凝集塊が生じ易くなってしまう。この様な
細菌凝集塊は原生動物によって捕食されにくいので、活
性汚泥を存する第2処理槽で、このような細菌凝集塊を
含む第1処理水の処理を行なった場合には、これらが原
生動物処理過程を通過してしまうことが生じ、原生動物
処理における処理効率が損なわれる原因となる。尚、本
発明における“原生動物の実質的不存在下”とは、原生
動物の増殖を制止し、その結果、細菌処理過程中に原生
動物の出現が見られない状態を意味する。
原生動物の増殖を制止し、細菌処理過程において原生動
物が実質的に不存在の状態とする方法としては、細菌と
原生動物との性状の差異を利用する下記に挙げる方法が
使用できる。例えば、細菌と原生動物との間にはその増
殖速度に大きな差異があり、細菌の増殖速度は原生動物
のそれに比して極めて高いことから、この増殖速度の差
を利用すれば、細菌処理過程における原生動物の出現を
制止することができる。即ち、この原理に従えば、被処
理廃水を、原生動物の最大比増殖速度以上及び細菌の最
大比増殖速度以下の滞留時間で細菌処理過程を通過させ
ることによって、原生動物の出現を制止した状態で細菌
処理を達成することができる。本発明においては、例え
ば、被処理廃水を細菌処理過程を通過させる場合に、そ
の滞留時間を原生動物の最大比増殖速度以上及び細菌の
比増殖速度以下、例えば、滞留時間D=3〜10/da
yの範囲に調節することによって、原生動物が実質的に
存在しない状態で細菌処理行なうことが可能となる。
の制止は、温度、pH等の環境条件を調節することによ
っても達成することができる。即ち、細菌は広い範囲の
環境条件で増殖できるが、原生動物の生育し得る環境条
件は細菌に比較して狭い範囲に限定される。例えば、原
生動物は温度40℃以上ではその増殖が著しく抑制され
るので、細菌処理過程の温度を40℃以上に保持すれ
ば、原生動物の出現を制止することができる。又、原生
動物は、pH4以下又はpH10以上ではその増殖が抑
制されることから、処理過程のpH値を4以下又は10
以上の範囲に保持すれば、原生動物の出現を制止させる
ことが可能となる。
で説明したように、第1処理槽での細菌処理によって、
廃水中に含有されている有機物を、微細な粒子状態で分
散した細菌に変換するが、その後、第1処理槽からの第
1処理水を活性汚泥を存する第2処理槽で原生動物処理
することによって、これらの細菌を原生動物によって効
率よく捕食除去させる。本発明においては、更に、この
原生動物処理過程において、細菌を捕食した原生動物
を、被処理水中から容易に分離できるようにするため、
第2処理槽中に固液分離性のよい固着性原生動物のみを
存在させ、固液分離性の悪い非固着性原生動物が実質的
に不存在の状態で処理を行なう。
子や固体物質に対して固着し易い性質を持った原生動
物、或いは原生動物相互が固着凝集し易い性質を持った
原生動物を意味する。この様なものとしては、例えば、
ボルチセラ、エピステイリス、オペルクラリア、カルケ
シウム、ズータニウム等、有柄固着型の繊毛虫類が挙げ
られるが、固体表面をホフクするようなアスピデスカ、
ユープロテス等も汚泥と共に沈降し易いことから利用し
得る。一方、本発明で言う非固着性原生動物とは、上記
のような性質を有しない原生動物を意味する。
理槽で行なう固着性原生動物処理は、上記で述べたよう
に、非固着性原生動物の増殖を制止し、非固着性原生動
物が実質的に不存在となる状態で行なう必要があるが、
この様な状態は、原生動物の固着性と非固着性を利用し
て形成することができる。即ち、固着性原生動物は、処
理系内に、固着するための担体となり得る適当な固体物
質が存在していると、この固体物質に固着して集殖する
ようになる。これに対し、非固着性原生動物にはこの様
な特性はない。従って、原生動物処理において、被処理
廃水を固着性原生動物用担体の存在下、原生動物の最大
比増殖速度以上の滞留時間で処理過程を通過させれば、
非固着性(自由遊泳性)の原生動物を処理系外へと流去
させる一方、固着性の原生動物を処理系内に滞留させ、
増殖させることが可能となる。本発明の有機性廃水の処
理方法においては、後述するように、この原生動物処理
を活性汚泥の存在下で処理するため、活性汚泥が固着性
原生動物のための担体として機能し、容易に非固着性原
生動物が実質的に不存在となる状態を形成することがで
きる。本発明においては、更に第2処理槽内に、例え
ば、砂、石等の固体粒子や、板状体、布状物、濾紙等を
担体として併存させ、固着性原生動物がより固着し易い
環境としてもよい。本発明において、上記した固着性原
生動物処理を行なう第2処理槽として、従来から活性汚
泥処理方法に用いられている曝気槽を用いればよい。
述べたように、細菌処理が終了した第1処理水を、非固
着性原生動物の不存在下、固着性原生動物処理し、廃水
中に含まれる細菌を原生動物によって捕食除去するが、
この結果、第2処理槽内には細菌を栄養源として増殖し
た固着性原生動物が汚泥として存在することになる。即
ち、第2処理槽で生じる現象のみをみれば、固着性原生
動物処理によって、被処理廃水中の細菌が固着性原生動
物に変換され、汚泥を形成したとも言える。先に述べた
様に、本発明においては、第1処理槽内での細菌処理に
よって廃水中の有機物が細菌に変換されるが、その細菌
は、非凝集性の微粒子状のものであって、廃水中に個々
の菌体に分散した状態で存在しているため、原生動物に
よって極めて捕食され易くなっている。従って、第2処
理槽における原生動物による細菌除去率は、約95〜9
7%という極めて高い値が得られる。又、原生動物処理
における細菌の原生動物への変換という点からみると、
細菌の約30〜40%が原生動物に変換される。ここ
で、前述した第1処理槽での有機物の細菌への変換率が
約40〜50%程度であったことを勘案すると、100
重量部あった有機物は、約40〜50重量部の細菌に変
換して減量化され、更に、第2処理槽で約12〜20重
量部の原生動物(汚泥)に変換して、更に減量化された
と言える。よって、2相活性汚泥処理によれば、同じ量
の有機物を処理した場合に、従来の活性汚泥法と比較し
て汚泥の発生量を減少させることができる。
動物処理によって得られる廃水(以下、単に、第2処理
水と呼ぶ)は、上記で述べたように、増殖した固着性原
生動物を汚泥として含む。従って、この汚泥は、活性汚
泥等の固体粒子や固体物質に対して固着し易い性質を有
し、分離性に非常に優れ、沈殿槽や沈殿池等の慣用の固
液分離手段によって廃水中から容易に分離することが可
能である。この結果、得られる最終処理水は、有機物及
び原生動物を含まない濁りのない極めて清浄なものとな
る。
に、上記の2相活性汚泥処理の後、第2処理槽内又は第
2処理槽の下流に設けられた沈殿槽内から汚泥の少なく
とも一部を抜き出して反応処理槽へと導入し、該反応処
理槽内で汚泥を構成している微生物を殺菌及び可溶化処
理をする。そして、その後、処理した汚泥を第1処理槽
又は第2処理槽に再度導入して引き続き活性汚泥法によ
り処理する。このような2相活性汚泥処理と、汚泥の殺
菌及び可溶化処理とを組み合わせることによって、従来
は得ることのできなかった下記の優れた効果が得られ
る。即ち、高負荷運転が可能となり、従来と比較して極
めてに高い処理効率が達成される一方、得られる処理水
の水質を悪化させることなく、余剰汚泥の発生を格段に
減少させることができる。更に、処理条件を選べば、余
剰汚泥の発生量を略ゼロとするところまで減量化でき
る。
汚泥処理だけでは、処理効率を向上させ、且つ余剰汚泥
の発生をかなり減量化させることができるものの、余剰
汚泥の発生量を全くなくすことはできない。一方、汚泥
の一部を殺菌及び可溶化処理し、この可溶化された活性
汚泥を曝気槽に戻して処理すれば、余剰汚泥の発生量を
格段に減量化することはできるが、曝気槽において高い
負荷量がかかるので処理効率が損なわれることが生じ
る。そこで、本発明の有機性廃水の処理方法では、通常
の活性汚泥法におけるよりも高負荷運転が可能な2相活
性汚泥処理と、汚泥の一部を殺菌及び可溶化処理する過
程とを組み合わせる構成とする。本発明者らの検討によ
れば、後述するように、夫々の過程を活性汚泥法に単独
で組み込んだ場合と比較し、単なる相乗効果以上の上記
した顕著な効果が得られた。
び可溶化の方法として、金属イオンを触媒とした酸化剤
による酸化分解による方法を用いた場合に、簡易な処理
によって顕著な効果が得られる。即ち、例えば、沈殿槽
から送られる返送汚泥の一部を引き抜き、引き抜いた汚
泥を金属イオンを触媒とした酸化剤による酸化分解によ
る方法で処理すると、その理由は明白ではないが、一つ
には、強力な酸化剤である・OH(ヒドロキシルラジカ
ル)が発生する為、該ヒドロキシルラジカルによって活
性汚泥を構成している微生物の細胞壁が分解或いは傷つ
き、活性汚泥を構成している微生物が殺菌されると共に
一部可溶化される。この処理された汚泥を再び第1処理
槽中に戻して生物的処理を行えば、これらの微生物は、
殺菌及び可溶化処理により、曝気槽内の処理を受けてい
ない正常な微生物によって捕食され易くなっているの
で、微生物の栄養源となって生活エネルギーとして消費
されてしまう。従って、余剰汚泥の発生量を加味して、
殺菌及び可溶化処理を行う引く抜き汚泥の量を決定すれ
ば、余剰汚泥の発生を100%抑制することも可能とな
る。尚、上記では、引き抜き汚泥を処理する方法とし
て、金属イオンを触媒とした酸化剤による酸化分解によ
る方法を例として挙げたが、本発明はこれに限定され
ず、汚泥を構成している微生物の細胞壁が分解或いは傷
つき、活性汚泥を構成している微生物が殺菌されると共
に一部可溶化されて、被処理汚泥が、正常な微生物によ
って分解され易い状態となり得るものであればいずれの
方法でもよい。
いて図1に示した処理フローに基づいて更に具体的に説
明する。本発明の有機性廃水の処理方法おいては、図4
に示した通常の活性汚泥法による処理フローと比較する
と明らかなように、通常の活性汚泥法における活性汚泥
処理を、2相の過程に分けて行なった後、被処理水を沈
殿槽等に導入して汚泥を沈殿させ、沈殿槽から汚泥の少
なくとも一部を取り出し被処理汚泥とし、該汚泥を殺菌
及び可溶化処理過程へと導いて処理し、その後、処理汚
泥を再び活性汚泥処理系(第1処理槽或いは第2処理
槽)に導入して循環処理する。
1処理槽と、これに続く固着性原生動物処理及び活性汚
泥処理を行なう第2処理槽とによって2相活性汚泥処理
を行ない、その後、沈殿槽からの汚泥の一部を被処理汚
泥として取り出し、殺菌及び可溶化処理し、第1処理槽
或いは第2処理槽に戻す例を示したが、本発明はこれに
限定されない。例えば、図2に示したように、第1処理
槽と第2処理槽とを一体の処理槽としてもよいし、図示
してないが、返送汚泥の一部を引き抜いて被処理汚泥と
してもよいし、或いは返送ライン中に、殺菌及び可溶化
処理する過程を設けてもよい。又、沈殿槽を設けずに、
曝気槽(第2処理槽)内の汚泥の一部を抜き出して被処
理汚泥としてもよい。しかし、現状の活性汚泥処理によ
る有機廃水の処理フローに大きな変更を加えずに、簡便
に本発明の方法を組み入れるには、従来の曝気槽を第2
処理槽として使用し、別に、細菌処理をするための第1
処理槽を設け、更に、返送汚泥の一部を引き抜き、新設
した殺菌及び可溶化処理過程(反応処理槽)へと導いて
処理した後、第2処理槽へと再度処理した汚泥を返送汚
泥と共に導入することが好ましい。
来より生物処理で使用されている、空気又は酸素通気用
の曝気管を備えたものを用いることができる。又、原生
動物処理に供される活性汚泥を存する第2処理槽として
は、標準型曝気槽、固定床や回転円板型の曝気槽等、従
来より活性汚泥処理に用いられている処理槽をいずれも
使用することができる。
槽への被処理廃水の供給速度としては、原生動物の出現
を制止するため、その滞留時間が原生動物の最大比増殖
速度以上、通常、3〜10/dayになるように選定す
ることが好ましい。更に、滞留時間に寄らず、被処理水
の温度やpH等の他の因子により原生動物の出現を制止
してもよい。又、第1処理槽における細菌処理に続く第
2処理槽においては、沈殿槽等から返送されてくる固着
性原生動物凝集体からなる汚泥の存在下、曝気処理され
るが、この際の被処理水の供給速度は、その滞留時間が
原生動物の最大比増殖速度以上、通常、3〜5/day
になるように選定することが好ましい。しかし、上記の
いずれの場合も最適滞留時間等は、被処理水の種類や処
理条件によって変化し、一義的には定めることができな
いので、適宜に予備実験を行なって定めることが好まし
い。更に、例えば、処理する廃水中の有機物の濃度が比
較的高く、所定の滞留時間で運転すると、第2処理槽へ
導入されてくる細菌の負荷が高くなり過ぎる場合には、
所望の滞留時間を得るために、外部から希釈水を第2処
理槽内に導入することができるように構成してもよい。
過程へと導く、第2処理槽又は沈殿槽等からの被処理汚
泥の量としては、対象とする有機性廃水の種類や、殺菌
及び可溶化処理過程における処理条件にもよるが、生成
汚泥量の1.5〜5倍量程度とするのが好ましい。この
結果、本発明の処理方法で有機性廃水を処理した場合に
は、従来の様な余剰汚泥が発生することが殆どなくな
り、余剰汚泥の引き抜き及びこれに続く煩雑な余剰汚泥
処理が不要になる。加えて、本発明によって処理された
処理水の水質は、従来一般に行われている活性汚泥法に
よって処理された処理水に比べて劣ることなく、むしろ
処理水の水質は向上する。
理する方法は、いかなる方法でもよいが、特に、殺菌及
び可溶化する方法が、金属イオンを触媒とする酸化剤に
よる酸化分解である場合、更に好ましくは、反応液を加
温した状態で、金属イオンを触媒とする酸化剤による酸
化分解である場合に優れた効果が得られる。以下、これ
について説明する。
公知の化学酸化方法において使用されている酸化剤、例
えば、過酸化水素、過酸化カルシウム、過硫酸アンモニ
ウム、アルキルヒドロペルオキシド、過酸化エステル、
過酸化ジアルキル又はジアシル等が使用されるが、コス
トや副生物等の点からみて過酸化水素が最も好ましい。
過酸化水素等の酸化剤の使用量は、特に限定されず処理
する汚泥の内容によって変化するが、好ましい使用量と
しては、汚泥1g(dry)に対して0.05〜0.0
01gとなる範囲である。
鉄、チタン、セリウム、銅、マンガン、コバルト、バナ
ジウム、クロム、鉛のイオン等が挙げられ、これらの金
属イオンを有すれば、その使用形態は、金属、金属酸化
物、金属塩、錯体等のいずれでもよい。上記したイオン
のうち本発明において特に好ましいものは鉄イオンであ
る。鉄イオンには、従来技術においては第一鉄イオンが
使用されたが、本発明においては第一鉄イオンは勿論、
第二鉄イオンも有効であり、更に鉄屑等の如き金属鉄や
鉄イオンをイオン交換樹脂等で固定した固定鉄イオンも
使用することができる。この触媒としての鉄イオンの使
用量は、過酸化水素等の酸化剤100mg/l当たり約
20〜1000mg/lで十分な処理効果を上げること
ができる。
る酸化分解に使用する反応処理槽を図解的に示したが、
被処理汚泥は、先ず、触媒再生槽に導入される。該触媒
再生槽では、触媒が加えられ、更に、槽内がpH3以下
の酸性に保たれ、且つ40〜100℃程度に加温され
て、触媒として加えた金属等が金属イオンとなって活性
を有するように処理される。次に、この状態の金属イオ
ンを含む被処理汚泥は、反応槽へと導かれ、ここで過酸
化水素等の酸化剤が適宜な濃度となる様に添加されて酸
化処理される。
が約2〜3.5に保たれる様に調節して反応を行なうこ
とが好ましい。更に、酸化反応は反応液を加温して行う
ことが好ましい。加温温度としては、好ましくは40℃
〜100℃の範囲、更に好ましくは50℃〜80℃の範
囲である。処理温度が40℃未満である場合には、酸化
に時間がかかり、酸化効率が不十分で且つ過酸化水素等
の酸化剤の利用効率が不十分である。又、100℃を超
える温度としても、それ以上の処理効果を期待すること
ができず、更に過酸化水素等の酸化剤の自己分解が大き
くなり、利用効率が低下すると共に、加熱エネルギー消
費が大になるだけで特別の利点はない。引き抜き汚泥を
含む反応液を加熱する手段としては、水蒸気等の吹込
み、工場における他の温水等による熱交換等、任意の手
段を利用することができ、反応液が適宜の温度に加温さ
れ維持されれば、加温方法は特に限定されない。
ズ、撹拌機の性能、温度等によって異なるが、例えば、
引き抜き汚泥(固形分約1重量%)の量が10m3で酸
化温度が50℃で充分な撹拌が行われる場合には、約
0.5〜3時間の反応温度で充分であり、引き抜き汚泥
を構成している微生物の殆どが死滅することが確認され
た。
た反応液を中和槽へと導入し、水酸化ナトリウム等のア
ルカリを加えて反応液をpH6.5〜7.5にして中和
する。その後、中和した反応液を、第1処理槽内へと導
入して活性汚泥処理系へと戻し、被処理水と共に更に活
性汚泥処理を行なう。
に引き抜き汚泥を殺菌及び可溶化処理する他の方法とし
ては、例えば、超音波発生機による超音波処理が挙げら
れる。この場合には、引き抜き汚泥に、超音波発生機に
よる超音波を用いて、処理出力0.1〜10kW程度
で、処理時間1〜30分間、処理温度20℃〜100
℃、処理pH3〜10の条件で処理することが好まし
い。
菌及び可溶化処理を酵素処理によって行ってもよい。こ
の際に使用される酵素としては、プロテアーゼ、α−ア
ミラーゼ、リパーゼ、グルカナーゼ、セルラーゼ等を使
用し、処理温度10〜100℃、処理pH4〜10の範
囲で行なうことが好ましい。酵素の添加量は、酵素の種
類や処理汚泥の種類によって異なるが、引き抜き汚泥
(固形分約1重量%)の量が10m3の場合、酵素の添
加量を約0.001〜1kg程度とすることが好まし
い。
理の方法としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウムの添
加、UV照射処理、光酸化触媒を添加して行うUV照射
処理、或いは機械的な破壊等が挙げられる。又、これら
の方法は単独で用いても勿論よいが、上記で挙げた各種
の処理を組み合わせて用いてもよい。例えば、引き抜き
汚泥(固形分約1重量%)の量が10m3の場合、0.
05〜1kgの範囲内で、次亜塩素酸ナトリウムを添加
して超音波処理したり、酵素を添加して酵素処理を行う
共に超音波処理を行うことも好ましい。
細に説明する。実施例1 図1に示したフローに従って建設した500リットル/
day規模のパイロットプラントを使用して、有機性廃
水を含む被処理水の活性汚泥処理を行った。下記の表1
に被処理水に用いた原水性状を示したが、食品工場から
の有機性廃水を用いた。
て、実容量が100リットルの大きさの、空気の曝気管
を備えたものを用い、又、空気の通気量が20リットル
/min.となるような条件で稼働させた。又、第1処
理槽への被処理水の供給速度は、滞留時間が5/day
とし、その際の処理温度は40℃とした。本実施例にお
いては、種菌として、バイオコアBPを10g添加し
た。上記した第1処理槽で細菌処理された第1処理水を
導入し、固着性原生動物処理する第2処理槽には、実容
量400リットルの大きさの曝気槽を用い、稼働条件
を、通気量8リットル/min.に調整した。又、この
第2処理槽には、原生動物用支持担体として、活性汚泥
3,000ppmを添加した。そして、約2週間の馴養
を行なった後、試験に供した。上記の第1及び第2処理
槽の構成で、BOD負荷量2.0kg/m3・dayで
2相活性汚泥処理を行った。その後、図1に示した様
に、第2処理槽で処理されて得られた第2処理水を沈殿
槽に導入して固液分離した。
ら活性汚泥処理系へと返送する返送汚泥ライン中に、汚
泥の一部を引き抜き殺菌及び可溶化処理する過程とし
て、反応処理槽を設けておき、該反応処理槽へと返送汚
泥の一部を導いて熱酸化処理を行った。本実施例では、
触媒として鉄触媒を用い、試験開始当初の処理槽中に鉄
イオンとして100mg/リットルになるようにFe
(OH)3を添加し、酸化剤としては過酸化水素を用い
た。又、酸化分解反応槽の反応液の温度は、ヒータによ
って50℃に加温した。
略図を示したが、該反応槽では、汚泥を含む反応液中の
過酸化水素の濃度が200mg/lになるように過酸化
水素を添加し、pH3.5に保ちながら、滞留時間を6
0分間として反応させた。反応前後の汚泥の生菌数を測
定したところ、反応前が109cells/mlであったのに
対し、反応後は、104cells/mlであり、殆どの微生
物が死滅し、可溶化が進行していることがわかった。反
応終了後、汚泥を中和槽内に導き入れ、中和槽内に水酸
化ナトリウムを添加し、pHを7.0に調整して中和
後、処理槽に再び戻し、活性汚泥処理を引き続き行っ
た。又、鉄触媒再生槽中のpHを3.5、反応温度を6
0℃とし、滞留時間は30分間で運転して鉄のイオン化
を行った。
入BOD当たりの汚泥生成量を測定して表2に示した
が、余剰汚泥の生成が全く見られず、余剰汚泥として汚
泥を引き抜き除去する必要がなかった。従って、余剰汚
泥の処理過程を省略することが可能であることがわかっ
た。又、処理水の水質は、後述する通常の処理を行う比
較例1の場合と比べて、同等以上であり、水質が向上す
ることがわかった。
に加熱反応処理槽を設けない以外は実施例1と同様にし
て、図4に示した従来のフローに従って活性汚泥処理試
験を行った。尚、活性汚泥槽として1,500リットル
の曝気槽を用いた。得られた処理水の水質及び汚泥転換
率を実施例1と同様に測定し、表2に示した。この結
果、実施例1と比べると、BOD負荷量(処理効率)、
処理水の水質が劣り、又、余剰汚泥がかなり発生した。
みを組み入れた構成とした500リットル/day規模
のパイロットプラント建設し、実施例1で使用したと同
様の原水を用いて活性汚泥処理を行った。そして、得ら
れた処理水の水質及び汚泥転換率を実施例1と同様に測
定し、表2に示した。この結果、実施例1と同様に余剰
汚泥発生をなくすことができたが、BOD負荷量(処理
効率)、処理水の水質については実施例1よりも劣って
いた。
トプラントから汚泥を殺菌・可溶化処理する反応処理槽
を外した以外は実施例1と同様にして、実施例で使用し
たと同様の原水を2相活性汚泥法で処理した。そして、
得られた処理水の水質及び汚泥転換率を実施例1と同様
に測定し、表2に示した。この結果、実施例1と同様の
高いBOD負荷量(処理効率)と、処理水の水質の向上
が達成された。しかし、比較例1よりも余剰汚泥の発生
量を減少させることができたが、余剰汚泥の発生をなく
すことはできなかった。
泥法を利用した有機性廃水の処理方法において、最終段
階で放出される処理水の水質を悪化させることなく、極
めて高い処理効率が達成されて処理装置の小型化が達成
されると同時に、余剰汚泥の量を大幅に減量化させるこ
とができ、最適な条件を選定すれば余剰汚泥の発生をな
くすことも可能となり、有機性廃水の浄化処理が簡易且
つ経済的になされる。
一例である。
略図である。
応処理槽の概略図である。
例である。
槽のみを組み入れた例を示す概略図である。
いた従来例を示す概略図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 有機物を含む被処理水を好気的微生物を
含む活性汚泥法により浄化処理する有機性廃水の処理方
法において、被処理水を第1処理槽に導入し、該第1処
理槽内で原生動物の実質的不存在下で細菌処理し、該被
処理水中に含まれる有機物を酸化分解すると共に非凝集
性細菌に変換した後、第1処理槽からの非凝集性細菌を
含む廃水を活性汚泥が存する第2処理槽に導入し、該第
2処理槽内で非固着性原生動物の実質的不存在下、固着
性原生動物処理して非凝集性細菌を固着性原生動物に捕
食除去させる2相活性汚泥法によって処理した後、第2
処理槽内又は第2処理槽の下流に設けられた沈殿槽内か
ら汚泥の少なくとも一部を抜き出して反応処理槽へと導
入し、該反応処理槽内で汚泥を構成している微生物を殺
菌及び可溶化処理した後、処理された汚泥を上記第1処
理槽又は第2処理槽内へと導入することを特徴とする有
機性廃水の処理方法。 - 【請求項2】 殺菌及び可溶化処理の方法が、金属イオ
ンを触媒とした酸化剤による酸化分解である請求項1に
記載の有機性廃水の処理方法。 - 【請求項3】 酸化分解を、金属イオンが鉄イオンで、
酸化剤が過酸化水素であり、且つ被処理液を40〜10
0℃に加温した条件で行う請求項2に記載の有機性廃水
の処理方法。
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