JP3358784B2 - 金型固定装置 - Google Patents

金型固定装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リンクと弾性部材
を用いて金型を弾性部材の付勢力で確実に固定する金型
固定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図10〜11は特公平1−24576号
公報に記載された従来の金型固定装置を示すものであ
る。この装置61は、基板62に回動自在に軸支された
操作レバー63と、該操作レバー63にリンク64を介
して連結され、基板62に沿ってスライド自在な操作カ
ム65と、基板62に回動自在に軸支され、操作カム6
5で駆動される固定爪66とを備える。
【0003】操作レバー63は図面に直交する方向に回
動される。操作カム65にはテーパ突起67が形成さ
れ、固定爪66には、該テーパ突起67に密着するテー
パ面68が形成されている。操作カム65は矢印ハ方向
に図示しないばねで付勢されている。
【0004】図11の金型解放状態からレバー63を回
動することにより、操作カム65が矢印ハ方向に移動
し、固定爪66のテーパ面68にテーパ突起67が接触
し、図10の如く固定爪が起立する。ばね付勢のもとで
テーパ突起67がテーパ面68に楔作用で食い込み、そ
れにより固定爪66が金型69をしっかりと固定する。
ここで金型69とは端子圧着機のアプリケータや樹脂成
形金型等であり、この装置61で複数種のアプリケータ
等を容易に着脱且つ固定可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の金型固定装置61にあっては、金型の固定性能は良
好であるが、テーパ突起67と固定爪66のテーパ面6
8の加工精度をシビアに管理する必要があるため、コス
ト高になりやすいという問題があった。
【0006】本発明は、金型を確実に固定でき、且つコ
ストを低減し得る金型固定装置を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、装置本体に回動自在に設けられた金型固
定爪と、該金型固定爪に一端を連結された長リンクと、
該長リンクの他端に連結した短リンクと、該短リンクを
一端方に回動自在に支持し、他端方を装置本体に固定し
た弾性部材と、該短リンクの回動軸に連結した操作レバ
ーとで構成される第一の金型固定装置を採用する。該弾
性部材が、金属ブロックにスリットを切欠加工してばね
性を付与したものであってもよい。また、回動自在な金
型固定爪と、該金型固定爪に一端を連結された長リンク
と、該長リンクの他端に連結した短リンクと、該短リン
クを回動自在な操作レバーとを備え、該長リンクの途中
に弾性部材が介在された第二の金型固定装置を採用す
る。該弾性部材が複数の皿ばねであり、前記長リンクが
スライド部を備え、一方のスライド部に該皿ばねの一方
が、他方のスライド部に該皿ばねの他方がそれぞれ支持
された構造であってもよい。上記第一及び第二の装置に
おいては、前記長リンクが操作レバーの回動途中で前記
弾性部材を撓ませるように短く設定され、該弾性部材を
撓ませることで、金型を固定する力を発生させる。ま
た、金型固定状態において前記短リンクが水平を行き過
ぎて止まる。また、前記長リンクに、右ねじ部と左ねじ
部を有する長さ調整機構を設けてもよい。
【0008】以下に上記構成に基づく作用を説明する。
第一及び第二の装置において、レバーを回すと短リンク
が一体に回り、リンクのロック位置で弾性部材が撓み、
付勢力を発生し、長リンクに続く固定爪が弾性部材の付
勢力でもって金型を固定する。金型固定状態において短
リンクが水平を行き過ぎて止まることで、短リンクがロ
ックされ、弾性部材の付勢によるリンクの逆転が防止さ
れる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態の具体
例を図面を用いて詳細に説明する。図1〜図3は本発明
に係る金型固定装置の一実施例を示す斜視図、図4は同
じく平面図、図5〜図6は同じく側面図である。
【0010】該金型固定装置1は図1〜図3の如く、端
子圧着機のアプリケータ(金型)2を載せるベースブロ
ック3と、ベースブロック3にボルト4で固定されて水
平に張り出した基板5と、該基板5の前端方にボルト6
で固定された弾性部材7と、該弾性部材7の前端方に軸
8で回動自在に支持された短リンク(第一リンク)9
と、該軸8に一体的に固定された操作レバー10と、ベ
ースブロック3に軸11で回動自在に支持された金型固
定爪12と、該固定爪12と短リンク9との間に連結さ
れた長リンク(第二リンク)13とを備える。各部材は
主に金属で形成されている。
【0011】該ベースブロック3の後端方には鉤部14
が設けられ、図3の如く該鉤部14と固定爪12との間
にアプリケータ2のベース板15が挟持固定される。ベ
ースブロック3は図5の如くフレーム16に固定され
る。ベースブロック3と基板5とで装置本体17を成
す。アプリケータ2(図3)は、上型18を含むスライ
ド部19と、下型20やベース板15を含むフレーム部
21とで成り、上部のシャンク22を図示しないシリン
ダ等に連結してスライド部19を昇降させ、図示しない
電線に端子を圧着させるものである。端子の種類に応じ
て複数種のアプリケータ2を金型固定装置1に脱着固定
可能である。
【0012】該ベースブロック3の前端方には上下に貫
通した略長方形状の切欠孔23(図1)が設けられ、該
切欠孔23内に固定爪12が回動自在に設けられてい
る。該固定爪12は、側面壁24と正面壁25とで略L
字状に形成され、側面壁24から正面壁25にかけて前
記軸11が貫通し、軸11から偏心して側面壁24の前
端寄り(図1)に長リンク13の一端のピロージョイン
ト27がボルト軸28(図4)で軸支されている。該正
面壁25には、ボルト軸28から概略180°方向に爪
部26が形成され、図5の如く爪部26は切欠孔23か
ら上方に突出する。ベースブロック3の上面と基板5の
上面とは同一平面に位置する。
【0013】基板5の先端方に固定された前記弾性部材
7は、図5の如く直方体の金属ブロック30の後半部に
上下から複数(本例では三本)のスリット31を互い違
いに並列に切欠加工して、略クランク状ないし略矩形波
状に屈曲したばね部(付勢部)32を構成したものであ
る。該スリット31により金属ブロック30の剛性が下
げられ、弾性が付与されている。弾性部材7の撓み量は
僅かなものであり(例えば1mm程度ないしそれ以下)、
ばね定数はかなり高い。金属ブロック30にスリット3
1を入れて弾性部材7を構成することで、高いばね力の
付与と形状のコンパクト化を図っている。
【0014】該弾性部材7のばね部32の後板部33は
弾性部材7の他の部位よりも一段高く突出されてボルト
6で基板5の裏面に固定され、他の部位は基板5に若干
の隙間Sを存して、基板5に沿って前後方向撓み可能に
接している。該弾性部材7の前半部は厚肉に形成され、
この厚肉部34の上部に横方向の軸孔35(図4)が形
成され、該軸孔35にレバー10の回動軸8が貫通して
短リンク9に連結している。前記軸孔35(図4)には
回動摺接用のブシュ36が圧入され、回動軸8はブシュ
36内に隙間なく径方向のガタつきなく挿入されてい
る。
【0015】弾性部材7は固定爪12の付勢とレバー1
0及びリンク9の軸受とを兼ねており、装置1のコンパ
クト化と組付の簡素化(軸受と付勢部を同時に組付でき
る)及びコスト低減に寄与している。
【0016】なお、弾性部材7の前半部にばね部32を
形成して前端側を基板5に固定し、後半部にレバー10
を軸支させることも可能である。この場合はリンク9の
動きに対応して弾性部材の動作が逆に、すなわち圧縮動
作が引張動作に、引張動作が圧縮動作になる。
【0017】前記回動軸8の一端はクランプ37(図
1)を介してレバー10に連結されている。また、回動
軸8の他端は短リンク9の基端方に溶接38(図4)等
の手段で固定されている。短リンク9の先端方にボール
ジョイント39を介して前記長リンク13が連結されて
いる。長リンク13の後端方は前述の如く固定爪12に
連結している。
【0018】図1,図5の如くレバー10の起立状態で
短リンク9と長リンク13は一直線上に水平に位置し、
レバー10が垂直をやや通り越して後方にやや回動した
状態で短リンク9は水平をやや通り越して角度θでやや
斜め上向きに位置する(図5)。
【0019】レバー10の起立状態で固定爪12は起立
して位置し、図3の如くアプリケータ2が固定される。
また、図2,図6の如くレバー10を前方に倒した状態
で短リンク9は斜め下向きに位置し、長リンク13は前
下がりに傾斜し、固定爪12はその正面壁25が水平に
位置する。正面壁25は基板5の上面と同一平面とな
り、アプリケータ2を基板5からベースブロック3へ滑
らせてスムーズに移動させることができる。
【0020】図7に図5,図6の各リンク9,13と固
定爪12の作動線図を示す如く、図6のレバー10の倒
し状態で短リンク9及び固定爪12(軸11と軸28と
を結ぶ線)は図7の実線の如くそれぞれ外向きに開き、
短リンク9は固定爪12よりも長く、且つ長リンク13
は軸8と軸11との間隔39よりも長く形成されて、非
平行な不等辺リンク形状を呈している。
【0021】この状態からレバー10を起こし方向(時
計方向)に回動させると、図7で短リンク9及び固定爪
12が時計方向に回動して鎖線の如く水平に達する手間
イで所謂ロック状態を起こす。すなわち長リンク13が
水平に位置した状態で弾性部材7が長リンク13を水平
方向(前方)にばね付勢するように、長リンク13がや
や短めに設定されている。
【0022】上記ロック状態からさらにレバー10を時
計方向に回動させると、長リンク13の短い寸法分だけ
図5において弾性部材7が前方に圧縮されて撓み、長リ
ンク13が回動を続け、短リンク9が水平をやや行き過
ぎた時点で(水平基準線に対して角度θ回動した時点
で)基板5に当接して停止する。θは例えば2〜3°程
度である。
【0023】この弾性部材7の圧縮時の付勢力(復元方
向の力)で長リンク13が前方に引っ張られ、それによ
りアプリケータ2が固定爪12で強固に固定される。す
なわち、長リンク13は弾性部材7の前端方に短リンク
9を介して軸支されているから、弾性部材7の復元力で
引っ張られ、固定爪12を金型挟持方向(時計方向)に
回動付勢する。
【0024】また、短リンク9が水平を僅かに行き過ぎ
て止まるように設定されたことで、弾性部材7の復元力
に抗してリンク9及びレバー10が確実にロック(係
止)され(前述のロックとは意味が違う)、アプリケー
タ2の固定状態が確保される。
【0025】図7のリンク9をロック位置イから更に回
動させるようにする弾性部材7の圧縮ストロークすなわ
ち長リンク13を短くした分の寸法は極めて小さいもの
であり、小さなストロークで大きなばね力を得るのに本
実施例の弾性部材7は好適なものである。
【0026】長リンク13は図4の如く断面六角形のシ
ャフト40の一端方に右ねじ部41、他端方に左ねじ部
42を有して、各ジョイント27,39にねじ締め嵌合
されており、シャフト40を周方向に回動することで、
各ねじ部41,42が各ジョイント27,39の雌ねじ
部43,44に螺入されて、長リンク13の長さが調整
される。この長さ調整機構により前述のリンク9のロッ
ク位置イ(図7)を任意に得ることができ、それにより
弾性部材7の付勢力(ばね強さ)を調整して、金型の種
類等に応じた適切な固定力を得ることができる。
【0027】図8〜図9は上記弾性部材7に代えて長リ
ンク13′の途中に弾性部材としての皿ばね45を介在
させた実施例を示すものである。
【0028】皿ばね45を用いたのは小さなストローク
で大きなばね力を得るためであり、これにより金型固定
装置のコンパクト化が図られる。図8の如く長リンク1
3′は筒状の太軸部(一方のスライド部)46と、太軸
部46内に先端方が挿入される中実ないし中空の細軸部
(他方のスライド部)47とを備える。各軸部46,4
7の先端方には円孔48,49と長孔50,51とが所
定の間隔をおいて形成されている。各円孔48,49に
は固定ピン52が圧入固定され、長孔50,51には固
定ピン53を摺動自在である。
【0029】皿ばね45は例えば一対づつ腹合わせに接
合した状態で太軸部46の外周に内孔54が挿通され、
図9の如く太軸部46の内孔55に細軸部47が挿入さ
れ、前後のピン52,53の間に複数の皿ばね45が弾
設支持される。各皿ばね45は圧縮された状態で組み込
まれる。太軸部46と細軸部47はばね付勢のもとで長
孔50,51の寸法範囲内で矢印ロの如く前後に伸縮可
能である。
【0030】そして、図5,図6(但し弾性部材7はな
く、短リンク9は基板5に支持される。その他の構成は
前例同様である)の如く操作レバー10を起こし上げる
途中で長リンク13′が短い寸法分だけ伸長し(伸長し
た状態においても皿ばね45は復元力で両軸46,47
を外向きに付勢している)、図5のレバー起立状態で皿
ばね45が軸46,47を伸長方向に付勢する。これに
より固定爪12が前例同様に金型挟持方向に付勢され、
強固な固定力が発揮される。
【0031】なお、皿ばね45に代えて小ストロークで
高い荷重を発揮するばね定数の高いコイルばねを用いる
ことも可能である。図8〜図9の実施例によれば、長リ
ンク13′の途中に小型でストロークの小さい皿ばね4
5を配設したから、装置がコンパクト化される。
【0032】
【発明の効果】以上の如くに、本発明の請求項1によれ
ば、弾性部材がばね作用と軸受としての役目を兼ねるか
ら、構造が簡素化、コンパクト化し、組付工数も低減さ
れて、低コスト化が可能となる。また、請求項2によれ
ば、小さな撓みストロークで大きなばね力を得ることが
でき、一層のコンパクト化が図られる。また、請求項3
によれば、長リンクの途中に弾性部材を設けるから、リ
ンクの撓みの影響を受けることなく、固定爪に直接ばね
力を伝達でき、金型の固定が確実化する。また、請求項
4によれば、小さな撓みストロークで大きなばね力を得
ることができ、コンパクト化が図られる。また、請求項
5によれば、確実に弾性部材を撓ませることができ、金
型の固定が確実化する。また、請求項6によれば、短リ
ンク及びレバーが回動完了位置でロックされ、金型の固
定が安定に確保される。また、請求項7によれば、長リ
ンクの長さを簡単に変更でき、それによりばね力を変え
て、金型に見合った固定力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金型固定装置の一実施例を示す斜
視図である。
【図2】同じく金型を解放している状態を示す斜視図で
ある。
【図3】同じく金型を固定した状態を示す斜視図であ
る。
【図4】上記金型固定装置を示す平面図である。
【図5】同じく金型を固定した状態を示す側面図であ
る。
【図6】同じく金型を解放した状態を示す側面図であ
る。
【図7】リンクの作動状態を示す説明図である。
【図8】他の実施例(付勢部)を示す分解斜視図であ
る。
【図9】同じく組付状態を示す断面図である。
【図10】従来例の金型固定状態を示す縦断面図であ
る。
【図11】同じく金型解放状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 金型固定装置 7 弾性部材 8 回動軸 9 短リンク 10 操作レバー 12 金型固定爪 13,13′ 長リンク 17 装置本体 30 金属ブロック 31 スリット 41 右ねじ部 42 左ねじ部 45 皿ばね 46 太軸部(スライド部) 47 細軸部(スライド部)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 装置本体に回動自在に設けられた金型固
    定爪と、該金型固定爪に一端を連結された長リンクと、
    該長リンクの他端に連結した短リンクと、該短リンクを
    一端方に回動自在に支持し、他端方を装置本体に固定し
    た弾性部材と、該短リンクの回動軸に連結した操作レバ
    ーとで構成されることを特徴とする金型固定装置。
  2. 【請求項2】 前記弾性部材が、金属ブロックにスリッ
    トを切欠加工してばね性を付与したものであることを特
    徴とする請求項1記載の金型固定装置。
  3. 【請求項3】 回動自在な金型固定爪と、該金型固定爪
    に一端を連結された長リンクと、該長リンクの他端に連
    結した短リンクと、該短リンクを回動自在な操作レバー
    とを備え、該長リンクの途中に弾性部材が介在されたこ
    とを特徴とする金型固定装置。
  4. 【請求項4】 前記弾性部材が複数の皿ばねであり、前
    記長リンクがスライド部を備え、一方のスライド部に該
    皿ばねの一方が、他方のスライド部に該皿ばねの他方が
    それぞれ支持されたことを特徴とする請求項3記載の金
    型固定装置。
  5. 【請求項5】 前記長リンクが操作レバーの回動途中で
    前記弾性部材を撓ませるように短く設定され、該弾性部
    材を撓ませることで、金型を固定する力を発生させるこ
    とを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の金型固定
    装置。
  6. 【請求項6】 金型固定状態において前記短リンクが水
    平を行き過ぎて止まることを特徴とする請求項1〜5の
    何れかに記載の金型固定装置。
  7. 【請求項7】 前記長リンクに、右ねじ部と左ねじ部を
    有する長さ調整機構が設けられたことを特徴とする請求
    項1〜6の何れかに記載の金型固定装置。
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