JP3725345B2 - 加工物の位置合わせ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、切断機、例えば卓上マルノコ盤等における加工物の位置合わせ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、加工物の切断、切削等の作業を行う加工機械として、例えば図9に示すような卓上マルノコ盤が知られている。図9に示す卓上マルノコ盤は、ベース100に、操作レバー105を有するターンテーブル101が、ベース100に対して回動可能に設けられている。ターンテーブル101の両側には、ベース100から延びる固定テーブル102が設けられている。固定テーブル102には、加工物W3を位置決めするためのフェンス103が設けられている。また、例えば、固定テーブル102の一方には、加工物W3を固定するためのバイス装置110が設けられている。 バイス装置110としては、例えば、加工物W3を上方から締付けて固定テーブル102に固定するタイプのもの、いわゆる、たてバイスが設けられている。また、ターンテーブル101には、ホルダ107を介して丸のこ部104が設けられている。この丸のこ部104には、切断刃がターンテーブル101に対して垂直方向に回転可能に設けられている。さらに、ターンテーブル101には、溝部を有する刃切板106が設けられており、この溝部は、加工物W3を切断する場合に、切断刃の逃がしとなる。加工物W3を切断する場合には、例えば以下のような操作を行う。まず、操作レバー105を図9の矢印120あるいは121方向に回動させて、加工物W3を切断する角度の調整を行う。そして、図9の二点鎖線で示すように、加工物W3を固定テーブル102間に架け渡してフェンス103に押し当てる。次に、加工物W3をフェンス103に押し当てた状態で図9の矢印122方向あるいは123方向に手動で移動させ、加工物W3の切断線の切断開始端を切断刃に対して位置合わせする。加工物W3の位置合わせが終了したら、バイス装置110によって加工物W3を固定する。そして、切断刃によって加工物W3を切断する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の加工機械は、加工物を手動で移動させることによって加工物の切断刃に対する位置合わせを行っている。このため、加工物の位置を微調整するのが困難であり、加工物の位置合わせに時間がかかっていた。本発明は、このような問題点に鑑み創案されたものであり、加工物の切断刃に対する位置合わせを容易に短時間で行うことができる加工物の位置合わせ装置を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、前記各請求項に記載した構成の位置合わせ装置とした。
請求項1に記載の加工物の位置合わせ装置によれば、シャフト部材を第1回動軸を中心にして回動操作すると、固定パッドがフェンスの端面に沿って移動し、従ってこの固定パッドが係合された加工物がフェンスの端面に沿って移動し、これによりフェンスの端面に対する加工物の当接位置ひいては丸のこ部の切断刃に対する加工物の位置(加工位置)を微調整することができる。このようにシャフト部材の回動操作によって加工物の位置を微調整することができるので、手操作により移動させる場合に比してより簡単に加工物の位置を微調整することができる。
また、バイス装置のシャフト部材を締め込んで、固定パッドとフェンスとの間に加工物を挟み込むことにより当該加工物をテーブル上に固定することができる。シャフト部材の締め込み力を弱めて固定パッドを加工物に接触させた状態でシャフト部材を第1回動軸を中心にして回動操作すると、固定パッドと加工物との間の摩擦力により固定パッドが加工物に係合されて加工物がフェンスの端面に沿って移動し、これにより当該加工物のフェンスに対する当接位置、ひいては丸のこ部の切断刃に対する加工物の位置が微調整される。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。本発明の第1の実施の形態を図1及び図2により説明する。なお、図1は第1の実施の形態の側面断面図であり、図2は平面図である。図1及び図2に示すように、ベースにはターンテーブルが、ベースに対して回動可能に設けられ、このターンテーブルの両側には、前記ベースから延びる固定テーブル1が設けられている。また、加工物W1を位置決めするためのフェンス3が切断刃の切断線に対して両側に設けられている。フェンス3は、固定テーブル1に設けられた孔1bとフェンス3に設けられた孔3bにボルト7を挿通することによって固定テーブル1に取り付けられる。また、固定テーブル1には、フェンス3の一方に対向する位置にバイス台2が設けられ、フェンス3の他方に対向する位置に従来構造のバイス装置が設けられている。バイス台2は、固定部材5を固定テーブル1に設けられた凹部1aに嵌合させた状態で、ボルト6によって固定テーブル1に取り付けられている。なお、フェンス3の他方に対向する位置に設けられた従来構造のバイス装置は、省略することもできる。
【0006】
バイス台2には、バイス装置4が設けられている。このバイス装置4は、シャフト部材10、第1回動軸20、バイス部材30等により構成されている。シャフト部材10の一端側には操作用のノブ11が設けられ、他端側には加工物W1を押圧してフェンス3との間に固定する固定パッド12が設けられている。加工物W1は、一方のフェンス3の端面3aと固定パッド12の端面12aとの間に挟まれた状態で固定テーブル1上に固定される。また、シャフト部材10は、第1回動軸20に設けられている挿通孔21に挿通されているとともに、シャフト部材10に設けられているネジ溝13aがバイス部材30のネジ面32aと螺合状態あるいは螺合解除状態に切替可能にバイス部材30に挿通されている。シャフト部材10のネジ溝13aがバイス部材30のネジ面32aと螺合状態にある場合には、ノブ11を時計方向あるいは反時計方向に回動させることによってシャフト部材10を図1の矢印46方向あるいは47方向に移動させることができる。一方、シャフト部材10のネジ溝13aがバイス部材30のネジ面32aと螺合解除状態にある場合には、ノブ11を図1の矢印46方向あるいは47方向に移動させることによってシャフト部材10を図1の矢印46方向あるいは47方向に移動させることができる。固定パッド12は第2回動軸14を備えており、この第2回動軸14を中心にして図2の矢印40または41方向に回動可能である。また、第2回動軸14とバイスシャフト13との連結部には、加工物W1をフェンス3の端面3aに押圧する方向に固定パッド12を付勢するばね部材15が設けられている。
【0007】
第1回動軸20には、差込ピン22が設けられている。この差込ピン22は、バイス台2に設けられている複数のピン孔2a〜2fに嵌合可能であり、またピン孔2a〜2fの何れかに嵌合されたときに第1回動軸20を中心に回動可能な形状に形成されている。バイス部材30は、差込ピン22に固定あるいは回動可能に取り付けられる。これにより、差込ピン22をピン孔2a〜2fから抜き出すことにより、バイス装置4をバイス台2から取り外すことができる。
【0008】
バイス部材30の一実施例の構成を図3〜図5に示す。バイス部材30は、ハウジング31、リリースナット32,32、ナットホルダー33、略U字形状のばね部材35を備えている。ハウジング31の内側面には、カム面37,38を有するロック凹部36が形成されている。カム面37,38のY−Y線方向の径L3とX−X線方向の径L4は、L3<L4となるように形成されている。このロック凹部36内に、リリースナット32,32、ナットホルダー33、ばね部材35、バイスシャフト13が配設される。リリースナット32,32は、外側面はロック凹部36のカム面37,38に沿って摺動可能に形成され、内側面にはシャフト部材10のネジ溝13aと螺合可能なネジ面32aが形成されている。また、リリースナット32,32は、側面の所定箇所にナットホルダー33に形成された孔33bの径より小径の孔32bが形成されている。また、孔32bは、ばね部材35の端部と嵌合可能な形状に形成されている。ナットホルダー33には、リリースナット32,32を弾性挟持する取付部33aが設けられているとともに、シャフト部材10を弾性挟持する挟持片33cが設けられている。取付部33aには、リリースナット32,32を直径方向へ移動することを許容する所定の径を有する孔33bが形成されている。リリースナット32,32をナットホルダー33の取付部33aに嵌め込んだ状態で、ばね部材35の両端を孔33b、32bに挿通する。これにより、リリースナット32,32は、ばね部材35によって外側方向に付勢される。したがって、リリースナット32,32は、カム面37,38の内径に応じてばね部材35の作用により孔33bの径の範囲内で移動する。
【0009】
リリースナット32,32が図4に示す位置にある場合には、カム面37,38の内径が大きいため、シャフト部材10のネジ溝13aとリリースナット32,32のネジ面32aとの螺合が解除された状態にある。この状態では、ノブ11、したがってシャフト部材10を図1の矢印46方向あるいは47方向に容易に移動させることができる。加工物W1をフェンス3に位置決めした後、ノブ11、したがってシャフト部材10を矢印46方向に移動させて固定パッド12の端面12aを加工物W1の端面に当接させる。しかる後、ノブ11、したがってシャフト部材10を時計方向に回動させると、バイスシャフトを挟持片34,34によって弾性挟持しているナットホルダー33も共に時計方向に回動する。ナットホルダー33が図4に示す位置から図5に示す位置まで回動すると、カム面37,38の内径が小さくなる。
【0010】
したがって、リリースナット32,32がばね部材35の付勢力に抗して内側方向に移動する。これにより、シャフト部材10のネジ溝13aとリリースナット32,32のネジ面32aとが螺合する。この状態で、さらにノブ11、したがってシャフト部材10を時計方向に回動させると、ネジ溝13aとネジ面32aとの螺合によってシャフト部材10が図1に矢印46方向に移動し、加工物W1が強固に固定される。加工物W1を切断した後、ノブ11、したがってシャフト部材10を反時計方向に回動させると、ネジ溝13aとネジ面32aとの螺合によってシャフト部材10が図1の矢印47方向に移動するとともに、ナットホルダー33も反時計方向に回動する。ナットホルダー33が図5に示す位置から図4に示す位置まで回動すると、カム面37,38の内径が大きくなる。したがって、リリースナット32,32は、ばね部材35の付勢力によって外側方向に移動し、シャフト部材10のネジ溝13aとリリースナット32,32のネジ面32aとの螺合が解除される。この状態では、ノブ11、したがってシャフト部材10を図1の矢印47方向に容易に移動させることができる。
【0011】
次に、本発明の第1実施の形態の位置合わせ装置の動作を説明する。まず、第1回動軸20の差込みピン22をピン孔2a〜2fのいずれかに差し込み、バイス装置4を所定の位置に設置する。ピン22を差し込むピン孔の位置は、加工物W1の大きさに応じて選択することができる。また、ピン22を差し込むピン孔の位置は、ノブ11の回動距離に対する第2回動軸14、したがって固定パッド12の回動距離の比、すなわち固定パッドの移動量に応じて選択することもできる。すなわち、ピン22を差し込むピン孔の位置を変更することにより、固定パッド12が取り付けられている第2回動軸14から第1回動軸20までの長さL1とノブ11から第1回動軸20までの長さL2との比L1/L2を変更することができる。比L1/L2が小さいほど、ノブ11が同一量だけ回動した場合の第2回動軸14の回動量、すなわち固定パッド12の移動量が小さくなる。これにより、固定パッド12の移動量を微調整することができ、後述するように加工物W1の位置合わせの微調整を容易に行うことができる。次に、加工物W1を、フェンス3,3に押し付けた状態で固定テーブル1上に載置する。この時、加工物W1は概略的に位置合わせする。次に、ノブ11を図1の矢印46方向に移動させて固定パッド12の端面12aを加工物W1の端面に当接させる。
【0012】
加工物W1の位置合わせを行う場合には、加工物W1をフェンス3の端面3aと固定パッド12の端面12aとによって軽く挟持した状態とする。この状態で、ノブ11を第1回動軸20を中心として図2の矢印42方向あるいは43方向に回動させると、第2回動軸14は第1回動軸20を中心として図2の矢印41方向あるいは40方向に回動する。ここで、固定パッド12は第2回動軸14を中心にして回動可能に取り付けられているとともに、端面12aが加工物W1の端面に押圧されているため、第2回動軸14の矢印41方向あるいは40方向へ回動した場合、固定パッド12は、端面12aと加工物W1の端面とが面接触するように第2回動軸14を中心に回動しながら図2の矢印45方向あるいは44方向に移動する。この時、固定パッド12が矢印45方向あるいは44方向へ移動すると、加工物W1の端面と固定パッド12の端面12aとの間の摩擦力によって、加工物W1も矢印45方向あるいは44方向に移動する。これにより、加工物W1の位置合わせを行うことができる。この時の加工物W1の移動量は、差込みピン22を差し込むピン孔2a〜2fを選択することによって変更することができる。なお、加工物W1の端面と固定パッド12の端面12aとの間の摩擦力が大きすぎる場合あるいは小さすぎる場合には加工物W1を移動させることができないため、フェンス3の端面3aと固定パッド12の端面12aとによる加工物W1の挟持力を適切に調整する必要がある。しかしながら、本実施の形態では、第2回動軸14とバイスシャフト13との連結部にばね部材15を設けているため、位置合わせ可能な挟持力の幅を広げることができる。したがって、フェンス3の端面3aと固定パッド12の端面12aとによる加工物W1の挟持力の調整が容易となる。加工物W1の位置合わせを行った後は、ノブ11を、バイスシャフト13の軸回り時計方向に回動させて、加工物W1をフェンス3の端面3aと固定パッド12の端面12aとの間に強固に挟持して固定する。このとき、ばね部材15は、完全に押し縮められ、弾性体としての弾性機能を喪失した状態にある。
【0013】
以上のように構成した第1実施の形態の加工物の位置合わせ装置によれば、ノブ11を第1回動軸20を中心として回動させることによって、加工物W1の位置合わせを行うことができるため、加工物W1を手動で移動させる場合に比し、加工物W1の位置合わせが容易であり、短時間に位置合わせを行うことができる。また、加工物W1を固定する固定パッド12を加工物の位置合わせに用いているため、構成が簡単である。また、第2回動軸14、したがって固定パッド12から第1回動軸20までの長さL1とノブ11から第1回動軸20までの長さL2との比を選択することによって固定パッド12の移動量、したがって加工物W1の移動量を調整することができる。また、第2回動軸14およびばね部材15を設けたため、加工物W1の位置合わせを行う場合に、固定パッド12が加工物W1の押圧を維持することができる。また、固定パッド12による加工物W1の挟持力の調整が容易である。
【0014】
第1実施の形態では、バイス部材30に、リリースナット32とシャフト部材10の螺合が解除可能な機構を設けたが、この機構は省略することもできる。また、シャフト部材10を第1回動軸20及びバイス部材30によって支持したが、シャフト部材10をバイス部材30のみで支持することもできる。また、ピン孔2a〜2fは円柱形状の孔としたが、差込ピン22と嵌合可能であれば、ピン孔の形状や数等は種々変更可能である。また、ターンテーブルに対して反対側に、従来構造のバイス装置、例えば、たてバイス、又は、よこバイスを備えることもできる。この場合には、加工物W1の他端側も固定テーブル1に固定可能である。また、バイス台2にバイス装置4を設けたが、バイス装置4、ピン孔2a〜2f等は、固定テーブル1に設けることもできる。この場合は、バイス台2を省略することができる。
【0015】
次に、前記特許請求の範囲に記載した発明には含まれないが、以下説明する関連発明によっても同様の作用効果を得ることができる。図6〜図8にはこの関連発明に係る位置合わせ装置が示されている。図6はこの関連発明に係る位置合わせ装置の側面断面図であり、図7は平面図であり、図8は補助テーブルの斜視図である。ベースにはターンテーブルが、ベースに対して回動可能に設けられ、このターンテーブルの両側には、前記ベースから延びる固定テーブル58が設けられている。また、加工物W2を位置決めするためのフェンスが切断刃の切断線に対して両側に設けられている。固定テーブル58の一方には補助ベース50が設けられており、接続部材57を補助ベース50の孔55、56に挿通させて固定テーブル58に固定される。また、補助ベース50には、補助テーブル60、補助テーブル60を移動させる移動装置70、加工物W2を補助テーブル60上に固定するバイス装置97が設けられている。補助テーブル60には、加工物W2を位置決めするためのフェンス99が設けられている。バイス装置97には、従来構造のバイス装置、いわゆる、たてバイスが設けられている。また、ターンテーブルと補助テーブル60の間に設けられた固定テーブル58には、従来構造のバイス装置、例えば、よこバイス、又は、たてバイスを設けることもできる。
【0016】
補助テーブル60は、図8に示すように、天板61、板部材62〜65、板部材62と63及び64と65をそれぞれ連結する支持棒66及び67を有している。補助テーブル60の支持棒66及び67は、補助ベース50に設けられている支持孔51及び52にそれぞれ摺動可能に挿通される。これにより、補助テーブル60は補助ベース50に対して図7の矢印94方向あるいは95方向に移動可能に取り付けられる。また、補助テーブル60の天板61には孔68および69が設けられている。移動装置70は、レバープレート72、シャフト部材73、レバーブロック77、ロックプレート78を備えている。シャフト部材73は、一端側に操作用のノブ71を有し、他端側にネジ溝75が形成されている。レバーブロック77には、シャフト部材73のネジ溝75と螺合可能なネジ溝が形成されている。レバーブロック77は、ピン86、87によってレバープレート72に取り付けられている。また、ロックプレート78が、シャフト部材73の端面76と当接可能な位置に取り付けられている。レバープレート72には、孔80〜83が形成されている。孔80は、後述するレバープレートの回動運動を補助テーブル60の往復運動に変換するために長孔形状に形成されている。レバープレート72の孔80と補助テーブル60の孔69との間には、スリーブ88を介してピン84が設けられている。また、レバープレート72の孔81と補助ベース50の孔54との間には、スリーブ89を介してピン85が設けられている。補助テーブル60の孔68は、ピン85の取付用として設けられている。ピン84およびピン85は、いわゆる段付きネジで構成されており、ピンの軸のうち、スリーブ88およびスリーブ89と嵌合する部分の長さL5は、レバープレート72の材厚よりも若干長く形成されている。したがって、ピン84を設けることにより、レバープレート72と補助テーブル60とが、完全に固定されることがない。また、ピン85を設けることにより、レバープレート72と補助ベース50とが完全に固定されることがない。そして、スリーブ88およびスリーブ89を設けると、ピン84および85を中心とした回動がより円滑になる。バイス装置97は、補助テーブル60上に設けられており、先端部に加工物W2を押圧する固定パッド98を有している。
【0017】
以上の構成により、ノブ71を図7の矢印92方向あるいは93方向に移動させて図7の二点鎖線71aあるいは71bの位置に移動させると、レバープレート72がピン85を中心として補助ベース50に対して時計方向あるいは反時計方向に回動し、図7の二点鎖線72aあるいは72bの位置に移動する。そして、レバープレート72がピン85を中心として時計方向あるいは反時計方向に回動すると、ピン84によってレバープレート72の回動力が補助テーブル60に伝達される。この時、補助テーブル60は支持棒66及び67と支持孔51及び52によって支持されているため、図7の矢印94方向あるいは95方向に移動し、図7の二点鎖線60aあるいは60bの位置に移動する。
【0018】
なお、シャフト部材73等により本発明の操作手段が構成されている。また、レバープレート72、支持孔51、52、支持棒66、67、孔80、ピン84等により本発明の運動変換手段が構成されている。
【0019】
次に、関連発明に係る位置合わせ装置の動作を説明する。補助テーブル60を補助ベース50に対して固定する場合は、ノブ71、したがってシャフト部材73を時計方向に回動させる。シャフト部材73の時計方向の回動により、シャフト73部材に形成されているネジ溝75とレバーブロック77に形成されているネジ溝との螺合によってシャフト部材73が図6の矢印90方向に移動する。そして、シャフト部材73の端面76によってロックプレート78が矢印90方向に押圧される。シャフト部材73の矢印90方向への移動によってロックプレート78が補助ベース50の端面53を強力に押圧すると、シャフト部材73が移動不能となる。これにより、補助ベース50に対する補助テーブル60の移動がロックされる。なお、ロックプレート78は、補助ベース50に対して補助テーブル60をロックする時に、加工物W2の位置がずれるのを防止するためのものである。
【0020】
加工物W2の位置合わせを行う場合には、補助テーブル60が補助ベース50に固定された状態で、加工物W2をフェンス99に押し当て、補助テーブル60上の所定の位置に載置する。また、固定テーブル58に設けられたよこバイスによる、加工物W2の固定は解除しておく。次に、バイス装置97の固定パッド98を図6の矢印91方向に下降させ、固定パッド98と補助テーブル60との間に加工物W2を挟持して固定する。次に、ノブ71を反時計方向に回動させて、ロックプレート78、したがってシャフト部材73の端面76をベース53の端面53から引き離して補助テーブル60のロック状態を解除する。補助テーブル60のロックを解除した状態で、ノブ71を図7の矢印93方向に二点鎖線71aの位置まで移動させると、レバープレート72はピン85を中心として二点鎖線72aの位置まで回動する。そして、ピン84によってレバープレート72と連結された補助テーブル60は、図7の矢印94方向に二点鎖線60aの位置まで移動する。また、ノブ71を二点鎖線71bの位置まで移動させた場合には、レバープレート72はピン85を中心として二点鎖線72bの位置まで回動する。そして、レバープレート72の回動によって、補助テーブル60は図7の矢印95方向に二点鎖線60bの位置まで移動する。なお、レバープレート72と補助テーブル60を連結するピン84を、図6の96の位置に変更した場合は、変更前と比べて補助テーブル60の移動方向が逆になり、また移動量も変化する。この場合には、ピン85を中心として回動させるノブ71の回動方向とそれにより移動する補助テーブル60の移動方向が、同じ向きになる。加工物W2の位置合わせを終了したら、ノブ71を時計方向に回動させてシャフト73の端面76によりロックプレート78、したがって補助ベース50の端面53に押圧する。これにより、補助ベース50に対する補助テーブル60の移動がロックされる。次いで、固定テーブル58に設けられたバイス装置により、加工物W2を固定テーブルおよびフェンスに押し当てて強固に固定する。
【0021】
関連発明に係る加工物の位置合わせ装置によれば、ノブ71を移動させることによって加工物W2の位置合わせを行うことができるため、加工物W2を手動で移動させる場合に比して加工物W2の位置合わせを容易に行うことができ、また短時間に行うことができる。また、補助テーブル60を移動させるために必要なノブ71の操作力が小さくてすむ。
【0022】
以上の関連発明に係る位置合わせ装置では、補助テーブル60を補助ベース50に対して往復移動させる手段を支持孔51、52、支持棒66、67、ピン84等によって構成したが、補助テーブル60を加工物W2の位置合わせ方向に移動させることができればよい。また、ターンテーブルと補助テーブル60の間の固定テーブル58に、従来構造のバイス装置を設けたが、このバイス装置は、省略することもできる。また、この種のバイス装置を、補助テーブル60と反対側の固定テーブルに設けることもできる。また、シャフト部材73、レバープレート72を介して補助テーブル60を移動させるように構成したが、補助テーブル60を移動させる手段としては、これに限定されない。また、電動機等によって駆動してもよい。また、レバープレート72の形状や孔の位置等は加工物の移動量等に応じて適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施の形態の側面断面図である。
【図2】 本発明の第1実施の形態の平面図である。
【図3】 バイス部材の拡大分解斜視図である。
【図4】 バイス部材の作動を説明する図である。
【図5】 バイス部材の作動を説明する図である。
【図6】 関連発明に係る位置合わせ装置の側面断面図である。
【図7】 関連発明に係る位置合わせ装置の平面図である。
【図8】 補助テーブルの斜視図である。
【図9】 従来の卓上マルノコ盤の平面図である。
【符号の説明】
1、58、102…固定テーブル
2…バイス台
4、97、110…バイス装置
10、73…シャフト部材
12、98…固定パッド
14…第2回動軸
15、35…ばね部材
20…第1回動軸
30…バイス部材
50…補助ベース
51、52…支持孔
60…補助テーブル
66、67…支持棒
70…移動装置
72…レバープレート
77…レバーブロック
78…ロックプレート
Claims (1)
- 加工物を切断する切断刃を有する丸のこ部と、前記加工物を載置するテーブルと、端面に前記加工物を押圧して位置決めするフェンスを備えた加工機に用いられる前記加工物の位置合わせ装置であって、
ネジ溝が形成され、該ネジ溝がバイス部材のネジ面と螺合状態に挿通されるとともに、前記テーブルの上面に対して直交して設けた第1回動軸の挿通孔に挿通されて該第1回動軸を中心にして回動可能かつ軸方向に移動可能に設けられたシャフト部材と、該シャフト部材の先端に前記第1回動軸と平行に設けた第2回動軸を中心にして回動可能に支持されて、前記加工物を前記フェンスの端面に押圧する固定パッドを備え、
前記固定パッドを前記加工物に押圧して該加工物を前記フェンスの端面との間に挟み込んだ状態で、前記シャフト部材を前記第1回動軸を中心にして回動させ、かつ前記固定パッドを前記第2回動軸を中心にして回動させて、前記加工物と前記固定パッドとの間の摩擦力によって当該加工物を前記フェンスの端面に沿って移動させて、該加工物の前記切断刃に対する位置合わせを行う構成、かつ前記第1回動軸は前記テーブル側に設けた複数のピン孔の何れかに差し込んで前記テーブルに対して直交して設けられ、任意のピン孔を選択して前記第1回動軸の前記テーブルに対する位置を変更することにより、前記第2回動軸から前記第1回動軸間の長さ L1 と前記シャフト部材の後端に設けたノブと前記第1回動軸間の長さ L2 との比 L1 / L2 を変更して、前記固定パッドの移動量を微調整可能な構成とした位置合わせ装置。
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