JP3358765B2 - 積層セラミック電子部品製造装置 - Google Patents

積層セラミック電子部品製造装置

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JP3358765B2
JP3358765B2 JP30663994A JP30663994A JP3358765B2 JP 3358765 B2 JP3358765 B2 JP 3358765B2 JP 30663994 A JP30663994 A JP 30663994A JP 30663994 A JP30663994 A JP 30663994A JP 3358765 B2 JP3358765 B2 JP 3358765B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層セラミック電子部品
製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】積層セラミック電子部品は、例えば可撓
性支持体上にドクターブレード法でセラミック粉、有機
バインダー、可塑剤、溶剤等を含むセラミック塗料をグ
リーンシート状に成形し、その上にパラジウム、銀、ニ
ッケル等の電極をスクリーン印刷により形成する。次に
所望の積層構造になるように一枚ずつ積層し、プレス切
断工程を経てセラミックグリーンチップを得る。このよ
うにして得られたセラミックグリーンチップ中のバイン
ダーをバーンアウトし、1000℃〜1400℃で焼成
し、得られた焼成体に銀、銀−パラジウム、ニッケル、
銅等の端子電極を形成し、セラミック電子部品を得る。
【0003】ところで、例えば、積層セラミックコンデ
ンサの場合、小型化、大容量化の手法として、1層あた
りの誘電体層の厚みを薄くし、積層数を多くすることが
考えられる。しかし、グリーンシートを可撓性支持体か
ら剥離し積層する方法では、特に薄いグリーンシートの
場合、可撓性支持体からグリーンシートがうまく剥離で
きず、積層歩留りが非常に悪くなる。また、薄いグリー
ンシートをハンドリングするため、出来上がった製品に
ショート等の特性不良が多発する。
【0004】このような問題点を解決する手段として、
グリーンシートを可撓性支持体が上になるように熱転写
する方法も提案されている(特開昭63−188926
号など)。しかし、熱転写方式の場合、誘電体層の一面
側に位置する上側の電極と他面側に位置する下側の電極
の位置合わせが悪く、さらに毎回熱転写するため、設備
能力が小さくなってしまう。
【0005】更に、グリーンシートが薄くなり、多積層
化すればするほど、一種のセラミック電子部品を得るた
めに必要な可撓性支持体の使用量が多くなり、コストア
ップを招く。
【0006】このような問題を改善するため、可撓性支
持体上で、誘電体層を形成する工程と、誘電体層上に電
極を印刷する工程とを、必要な積層数だけ繰り返すこと
により積層体を得る方法が考えられる。しかし、この方
法では、積層体の電極パターンの位置ずれを生じやす
い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、電極
パターンの位置ずれを最小にし得る積層セラミック電子
部品製造装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために本発明に係る積層セラミック電子部品製造装置
は、可撓性支持体上に形成されたグリーンシート上に電
極を印刷する印刷装置を含む。前記印刷装置は、画像処
理装置を含み、前記画像処理装置は、可撓性支持体上に
形成された画像処理用の第1のターゲットマークの画像
処理によって、前記可撓性支持体上の電極印刷位置決め
を行なう。
【0009】好ましくは、前記印刷装置は、印刷用テー
ブルと、テーブル駆動装置とを有し、前記印刷用テーブ
ルは前記可撓性支持体を受ける印刷受け面を有し前記印
刷受け面251が真空吸着面を構成しており、前記テー
ブル駆動装置は前記印刷用テーブルを駆動する。
【0010】更に好ましくは、前記テーブル駆動装置
は、前記印刷受け面251に添って仮想された直交二軸
であるX方向及びY方向と、前記二軸と直交する軸の周
りに回転するθ方向とに、前記印刷用テーブルを駆動し
得る。
【0011】更に好ましくは、前記画像処理装置は、複
数のカメラを含み、前記カメラが前記印刷用テーブルに
備えられている。積層セラミック電子部品製造装置。
【0012】更に好ましくは、定尺送り装置を備え、前
記定尺送り装置は、前記印刷装置によって処理された後
の前記可撓性支持体を真空吸着して、定尺の送りを加え
る。
【0013】更に好ましくは、 前記印刷装置は、前記
グリーンシート上に第2のターゲットマークを印刷す
る。
【0014】
【作用】印刷装置は画像処理装置を含み、画像処理装置
は、可撓性支持体上に形成された画像処理用の第1のタ
ーゲットマークの画像処理によって、可撓性支持体上の
電極印刷位置決めを行なうので、可撓性支持体上に画像
処理用の第1のターゲットマークを形成した後、電極の
印刷に当たり、第1のターゲットマークの画像処理によ
って得られた情報に基づいて、電極の印刷位置決めを行
なうことができる。このため、第1のターゲットマーク
を基準とした所定の位置に、電極を高精度で形成するこ
とができる。したがって、複雑な電極積層構造であって
も、精度よく、短時間で形成することができる。
【0015】印刷用テーブルが可撓性支持体を受ける印
刷受け面を有し、印刷受け面が真空吸着面を構成してお
り、テーブル駆動装置が印刷用テーブルを駆動する好ま
しい例では、印刷位置決めに当たって、可撓性支持体を
印刷用テーブルの印刷受け面に位置ずれを生じないよう
に確実に真空吸着し、その上で所定位置に位置決めでき
る。このため、位置決め精度が高くなる。
【0016】テーブル駆動装置が、印刷受け面に添って
仮想された直交二軸であるX方向及びY方向と、前記二
軸と直交する軸の周りに回転するθ方向とに、印刷用テ
ーブルを駆動し得る構成である場合は、印刷受け面上に
真空吸着されている可撓性支持体をX方向、Y方向及び
θ方向に動かして位置決めできる。このため、何れの方
向に位置ずれを生じた場合でも、その位置ずれを確実に
修正することができる。
【0017】画像処理装置が、複数のカメラを含み、カ
メラの受光部が印刷用テーブルに備えられている場合
は、印刷受け面に対するカメラの受光位置が固定される
ので、第1のターゲットを、常に一定の位置で、カメラ
により正確に読み取ることができる。このため、位置決
め精度が上がる。
【0018】定尺送り装置を備え、定尺送り装置が印刷
装置によって処理された後の可撓性支持体を真空吸着し
て、定尺の送りを加える場合は、例えば各印刷工程毎の
定尺送りを加え、後方で各印刷工程毎の印刷の適否を判
断できる。
【0019】印刷装置が、グリーンシート上に第2のタ
ーゲットマークを印刷する機能を有する場合は、第2の
ターゲットマークの画像処理によって得られた情報に基
づいて、電極を有するグリーンシートの積層を行なうこ
とができる。即ち、第2のターゲットマークを有するこ
とにより、複数のグリーンシート積層帯を、互いの電極
が、第2のターゲットマークを基準とした所定の位置関
係となるように、高精度で位置決めし、積層することが
できる。製版の寿命等により、これを交換した時にも、
電極と同時に形成される第2のターゲットマークに対す
る第1のターゲットマークの位置関係を見ることによ
り、第1のターゲットマークと電極との相対位置が分か
り、画像処理を行なうことができる。
【0020】本発明の他の特徴及びそれによる作用効果
は、添付図面を参照し、実施例によって更に詳しく説明
する。
【0021】
【実施例】図1は本発明に係る積層セラミック電子部品
製造装置の構成を概略的に示す図である。本発明に係る
積層セラミック電子部品製造装置は、可撓性支持体19
上に形成されたグリーンシート上に電極を印刷する印刷
装置Aを含む。可撓性支持体19は、供給ロール21か
ら引き出され、案内ローラ22を通り、印刷用のテーブ
ル25に導かれる。参照符号23は案内ローラ22を支
持する支持体、参照符号24は支持台である。
【0022】可撓性支持体19は、図5に示すように、
一面上にグリーンシート43を有すると共に、画像処理
用の第1のターゲットマークa1,b1,c1,d1及
びピッチマークe1を有する。第1のターゲットマーク
a1〜d1及びピッチマークe1は、グリーンシート4
3が塗布されている面側であって、可撓性支持体19の
幅方向の端部に形成することが望ましい。第1のターゲ
ットマークa1〜d1及びピッチマークe1は、スクリ
ーン印刷、グラビヤ印刷もしくはインクジェット印刷等
によって形成されたマークまたはスルホールなど、画像
処理できるマークであればよく、印刷受け面251は可
撓性支持体19の表裏どちらの面でもよい。また、第1
のターゲットマークa1〜d1及びピッチマークe1の
形成タイミングは、画像処理による電極印刷を行なう以
前であればいつでもよく、最初の電極形成と同時であっ
ても構わない。第1のターゲットマークa1〜d1を形
成する好ましいタイミングは、可撓性支持体用原反をス
リッタで切断する前である。可撓性支持体用原反をスリ
ッタで切断する前に第1のターゲットマークa1〜d1
を形成してあれば、スリッタで原反を所定幅に切断する
際、第1のターゲットマークa1〜d1を基準にして切
断することができる。第1のターゲットマークa1〜d
1は可撓性支持体19とのコントラストが明瞭な色で、
かつ、円形が望ましい。
【0023】印刷装置Aは、画像処理装置26を含む。
画像処理装置26は、可撓性支持体19上に形成された
画像処理用の第1のターゲットマークa1〜d1の画像
処理によって、可撓性支持体19上の電極印刷位置決め
を行なう。可撓性支持体19上に画像処理用の第1のタ
ーゲットマークa1〜d1を形成した後、電極の印刷に
当たり、第1のターゲットマークa1〜d1の画像処理
によって得られた情報に基づいて、電極の印刷位置決め
を行なうことができる。このため、第1のターゲットマ
ークa1〜d1を基準とした所定の位置に、電極を高精
度で形成することができる。したがって、複雑な電極積
層構造であっても、精度よく、短時間で形成することが
できる。
【0024】実施例において、印刷装置Aは、図2に拡
大して示すように、印刷用テーブル25と、テーブル駆
動装置261〜264を有する。テーブル25は、可撓
性支持体19を受ける印刷受け面251を有し、印刷受
け面251が真空吸着面を構成している。テーブル駆動
装置261〜264はテーブル25を駆動する。この構
造によれば、印刷位置決めに当たって、可撓性支持体1
9をテーブル25の印刷受け面251に位置ずれを生じ
ないように確実に真空吸着し、その上で所定位置に位置
決めできる。このため、位置決め精度が高くなる。
【0025】テーブル駆動装置261〜263は、印刷
受け面251に添って仮想された直交二軸であるX方向
及びY方向と、前記二軸と直交する軸の周りに回転する
θ方向とを仮想したとき、X方向駆動装置261、Y方
向駆動装置262及びθ方向駆動装置263を含んでい
る。これらの駆動装置261〜263により、テーブル
25がX方向、Y方向及びθ方向に駆動される。この構
造によれば、印刷受け面251上に真空吸着されている
可撓性支持体19をX方向、Y方向及びθ方向に動かし
て位置決めできる。このため、何れの方向に位置ずれを
生じた場合でも、その位置ずれを確実に修正することが
できる。テーブル駆動装置264はテーブル25をZ軸
の方向に駆動する。 テーブル駆動装置261〜264
は、支持台24に固定して設けられた案内レール266
および案内レール266によって支持された支持部材2
65によって支えられている。
【0026】画像処理装置26は、複数のカメラ26a
〜26dを含み、カメラ26a〜26dの受光部がテー
ブル25に備えられている。この構造により、印刷受け
面251に対するカメラ26a〜26dの位置が固定さ
れるので、第1のターゲットマークa1〜d1を、常に
一定の位置で、カメラ26a〜26dにより正確に読み
取ることができる。このため、位置決め精度が上がる。
実施例において、カメラ26a〜26dは、図2に示す
ように、支持台24によって支持され、テーブル25の
印刷受け面251に臨む受光窓から導かれた光学経路P
a〜Pdによって、印刷受け面251上を通る可撓性支
持体19上の第1のターゲットマークa1〜d1を検知
する。光学経路Pa〜Pdは受光部からの光をカメラ2
6a〜26dに入射する反射鏡260を含んでいる。ま
た、図3に示すように、カメラ26a〜26dの受光窓
は、テーブル25の四隅部にガラス56a,56b,5
6c,56dを介して埋め込まれている。カメラ26a
〜26dは、第1のターゲットマークa1〜d1の座標
(x,y)を読み取る。読み取られたデータに基づき、
図示しないコンピュータシステムによりデータ処理を行
ない、テーブル25を制御し、θ方向、x方向及びy方
向にそれぞれ必要なだけ移動させる。
【0027】図6は上述の電極印刷工程によって得られ
た電極パターン44を示し、図7は図6の側面図を示し
ている。電極パターン44を構成する各電極は、適当な
電極材料、例えばニッケル、銅等を主成分とする電極材
料によって構成されている。電極パターン44は個々の
電極が横方向及び縦方向に間隔を隔てて配列されてい
る。実施例において各電極は横方向にm行となるように
また、縦方向には奇数行列においては6行、各偶数列に
は5行となっている。電極に付された参照番号のうち1
桁目は当該電極の属する列を示し、2桁目は同じく属す
る行を示している。行数及び列数は任意である。上記電
極のうち、横方向に隣り合う電極列、例えば第1列に属
する電極211〜261と、第2列に属する電極212
〜252では対応する個々の電極(211と212)〜
(261と262)が縦方向に所定寸法Lだけ異なるよ
うに配列してある。寸法Lは電極間ピッチ2Lの1/2
が適当である。ただし、電極パターンは、テーブル25
により所望のパターンに移動できるため、図示のパター
ンである必要はない。例えば、各列の電極が同一の配列
を繰り返すパターンでもあってもよい。
【0028】印刷工程において、電極パターン44とと
もに、第2のターゲットマークa2,b2,c2,d2
及びピッチマークe2を印刷する。電極パターン44と
ともに、第2のターゲットマークa2,b2,c2,d
2及びピッチマークe2を印刷することにより、グリー
ンシート成形工程及び印刷工程を、複数回実行した後、
得られた積層グリーンシートを可撓性支持体から剥離
し、次に、剥離して得られた複数の積層グリーンシート
を積層する工程をとる場合は、互いの電極パターン44
が、第2のターゲットマークa2,b2,c2,d2を
基準とした所定の位置関係となるように、高精度で位置
決めし、積層することができる。また製版を交換した時
に、電極パターン44と同時に印刷形成される第2のタ
ーゲットマークa2,b2,c2,d2に対する第1の
ターゲットマークa1,b1,c1,d1の位置関係を
見ることにより、第1のターゲットマークa1,b1,
c1,d1と電極パターン44との相対位置が分かり、
画像処理を行なうことができる。
【0029】次に、テーブル25による位置決め及び位
置合わせの詳細について説明する。図8はテーブル25
に対する4台のカメラ26a〜26dの位置関係を示す
図である。カメラ26a〜26dは、前述した可撓性支
持体19上の第1のターゲットマークa1〜d1の位置
に対応する4点に配置されている。カメラ26a〜26
dの配置位置は設計上定まっているが、実際には配置誤
差等があるため、そのままでは座標の読み取り誤差を生
じる。これを補正する手段として、当該製造プロセスを
稼働する前に、テーブル25の下に位置するカメラ26
a〜26dの一つ、たとえばカメラ26aを基準とし
て、その中心点を原点(0、0)と定める。次に、テー
ブル25をx軸方向に移動させ、原点(0、0)に対応
する位置が、 カメラ26bの中心点に到達した時の座
標(Xb,Yb)を読み取る。これによりカメラ26a
の中心点を原点(0、0)としたときのカメラ26bの
位置が座標(Xb,Yb)として表されたことになる。
ほかのカメラ26c,26dについてもても同様にし
て、座標(Xc,Yc),(Xd,Yd)を求める。上
記の初期補正は、ディスプレイ上の画像処理を併用して
行なう。このように各カメラ26a〜26dの座標決定
において、精度の高いテーブル25を駆動して行なうの
で、座標の読み取り誤差が極めて小さくなる。参照符号
0はカメラ26a〜26dの位置を表す座標(0、
0)〜(Xd、Yd)から計算された中点である。
【0030】第1のターゲットマークa1〜d1の印刷
位置は、殆ど位置ずれがないとしても、可撓性支持体1
9は搬送されているので、テーブル25の平面内で角度
θで回転したり、X軸またはY軸の方向に位置ずれを起
していることが多い。この位置ずれを補正して、電極パ
ターン44を高精度で印刷する。その手段として、上記
初期補正の終えたカメラ26a〜26dを使用し、テー
ブル25上に真空吸着されている可撓性支持体19の第
1のターゲットマークa1〜d1の座標を、第9図に示
すように読み取る。カメラ26a〜26dによる読み取
り値は初期補正によって設定された座標(Xb〜Yb)
〜(Xd〜Yd) を加味した座標に変換する。こうし
てカメラ26aによって得られた第1のターゲットマー
クaの座標を(X1,Y1)、カメラ26bによって得
られた第1のターゲットマークbの座標を(X2,Y
2)、カメラ26cによって得られた座標を(X3,Y
3)、カメラ26dによって得られた座標を(X4,Y
4)とする。
【0031】得られた座標(X1,Y1)〜(X4,Y
4)のデータから、図9に示すように、第1のターゲッ
トマークa1〜d1によって囲まれた四辺形の最中点O
1を求める。最中点O1は、対向2辺の中点(イ)、及
び(ロ)を結ぶ線分L1の中点として求められる。この
最中点O1が印刷時の位置合わせのための原点となる。
そして線分L1に対し最中点O1を通る垂線L2を求め
る。垂線L2は通常、テーブル25のY軸に対して角度
θを有する。最中点O1及び角度θの算出は、カメラ2
6a〜26dから図示しないコンピュータシステムに入
力されるデータに基づいて、コンピュータシステムが行
なう。そして、コンピュータシステムから与えられる制
御信号に基づいて、テーブル25がθ=0になるよう
に、矢印の方向に回転駆動され、これにより、角度θが
補正される。テーブル25は、コンピュータシステムか
らの制御信号に基づき、更にX軸方向及びY軸方向に駆
動され、X軸方向及びY軸方向の位置合わせが行なわ
れ、位置合わせが完了する。図10は角度θの補正が行
なわれた後の状態を示し、図11はX軸方向の位置合わ
せが行なわれ後の状態を示し、図12はY軸方向の位置
合わせが行なわれた後の状態を示している。但し、実際
の位置合わせ動作は、角度θを補正しながら、最中点O
1を、カメラ26a〜26dの中点O0に合わせるよう
な動作になる。
【0032】ここでは、精度を上げるため、カメラ26
a〜26を4個使用しているが、第1のターゲットマー
ク2個、カメラ2個でも2点間の中点を出し、その2点
間のずれ角度θを出し、コンピューターで処理すること
により充分画像処理印刷は可能である。テーブル25は
真空吸着面なっているため、x方向、y方向、θ方向に
それぞれ正確に移動することができる。このように画像
処理を行なった後、可撓性支持体背面に接触するように
任意の距離だけ、テーブル25がz方向に移動され、ス
クリーン印刷が行なわれる。
【0033】印刷後、可撓性支持体19は定尺送り装置
29(図1参照)により一定寸法だけ移動され、引き続
き、補正用のカメラ30a〜30dのある位置に送られ
る。定尺送り装置29は、可撓性支持体19の接する面
が真空吸着面となっており、従って、可撓性支持体19
の背面が定尺送り装置29の真空吸着面に吸着固定され
る。そして、ピッチマークe1をセンサ(カメラ)26
8によって読み取ると共に、次のピッチマークe1がセ
ンサによって読み取られるまで、可撓性支持体19に定
尺送りを加える。このように、隣接するピッチマークe
1とピッチマークe1との間の間隔分の定尺送りが加え
られるので、第1のターゲットマークa1〜d2が搬送
ずれによってカメラ30a〜30dの視野からはずれる
等の不具合を生じることがない。しかも、定尺送り装置
29は、可撓性支持体19の接する面が真空吸着面とな
っているから、定尺送りの動作中に可撓性支持体19が
定尺送り装置29上で位置ずれを起すことがない。
【0034】補正用カメラ30a〜30dは、ステーシ
ョンは異なるものの、位置関係はカメラ26a〜26d
と同じである。図4は補正用カメラ30a〜30dの置
かれたステージを示す図であり、補正用カメラ30a〜
30dは、投光器301〜304から照射され、かつ、
第1のターゲットマークa1〜d1及び第2のターゲッ
トマークa2〜d2によって反射された光学像を捕ら
え、第1のターゲットマークa1〜d1及び第2のター
ゲットマークa2〜d2を検出する。投光器301〜3
04は支持腕305及び306によって支持されてい
る。ここで、パターン製版の取付け時の位置ずれは第1
のターゲットマークa1〜d1と第2のターゲットマー
クa2〜d2との間のずれを、上記の画像処理と同じ方
法で座標を読み取ることにより測定でき、図示しないコ
ンピューターシステムにより、データ処理を行なって必
要な補正量を算出し、テーブル25の制御システムにデ
ータをフィードバックし、テーブル25を駆動し、位置
補正をおこなう。上記説明では、4台のカメラ30a〜
30dを使用する場合について説明したが、8台のカメ
ラを用い、この8台のカメラによって、第1のターゲッ
トマークa1〜d1及び第2のターゲットマークa2〜
d2を同時に読み取る構成であってもよい。第1のター
ゲットマークa1〜d1と第2のターゲットマークa2
〜d2との位置関係は、予め、第1のターゲットマーク
a1〜d1を印刷した標準版(例えばガラス標準版)を
用いることによって明確化できる。精度を上げるため、
補正用カメラ30a〜30dも、4個使用しているが、
第1のターゲットマーク2個、カメラ2個でも、2点間
の中点を出し、その2点間のずれ角度θを出し、コンピ
ューターで処理することは可能である。補正用カメラ3
0a〜30dのあるステージは、X方向駆動装置30
9、Y方向駆動装置310、支持部材311、案内レー
ル312及び支持台313を備えて構成されている。
【0035】このようにして得られた電極の形成された
グリーンシート19を透過光目視検査台31、案内ロー
ラ32をへて、ローラ33ー34間で回っているベルト
コンベア36に乗せ、乾燥炉35で、例えば60℃にて
乾燥した後、案内ローラ37を通り、巻取り巻き取りロ
ーラ38で巻き取る。ローラ22、32、33、34及
び37は可撓性支持体19の印刷面には全く接触しな
い。これにより、印刷面に対するローラ22、32、3
3、34及び37の悪影響を回避できる。
【0036】<応用例>次に、本発明に係る製造装置を
用いた積層セラミックコンデンサの製造方法について説
明する。図16は本発明に係る製造方法によって製造さ
れる積層セラミックコンデンサの断面図を示す。図16
において、1は積層セラミックコンデンサ、2は誘電体
層、3は電極、4は端子電極である。図17は本発明に
係る製造方法により積層セラミックコンデンサを製造す
る場合の製造フローチャート、図18は本発明に係る製
造方法の別の例を示す製造フローチャートである。
【0037】図17の製造フローチャートにおいて、誘
電体を塗料化しておき、塗料化されたセラミック塗料を
可撓性支持体上で塗布し、グリーンシートを形成する。
次に、グリーンシートを乾燥させた後、グリーンシート
上に、本発明に係る積層セラミック電子部品製造装置を
用いて、電極を印刷する。電極印刷が終了した後、乾燥
工程に付される。以上の工程の内、グリーンシート成形
工程から画像処理による電極印刷工程を経て乾燥に至る
工程を、必要な設定積層数に達するまで、可撓性支持体
上で繰り返す。設定積層数に到達したとき、最上層に位
置する電極及びそれを支持するセラミックグリーンシト
の表面に、保護層となるグリーンシートを成形する。こ
の後、電極及びグリーンシートの積層体を切断して、積
層セラミックコンデンサを取り出し、更に、焼成、端部
電極付与等の必要な工程を経て、積層セラミックコンデ
ンサの完成品が得られる。
【0038】図17に示した上記製造方法によると、可
撓性支持体上で、セラミック塗料を塗布してグリーンシ
ートを形成するグリーンシート成形工程と、グリーンシ
ート上に電極を印刷する印刷工程とを含むから、可撓性
支持体の使用量が少なくて済むようになると共に、量産
性が向上する。
【0039】また、グリーンシートの各々を、可撓性支
持体から剥離する必要がないし、ハンドリングする必要
もない。また、熱転写工程もない。このため、高精度、
高信頼性の積層セラミック電子部品を簡単に製造するこ
とができる。また、電極のある部分と無い部分の段差
が、グリーンシートの形成と電極印刷との繰り返しによ
り吸収され、このため、段差によるクラック等の欠陥が
改善される。また、複数層のグリーンシートを、電極と
共に一体化した積層グリーンチップを得ることができる
ので、従来問題となっていたプレス後のデラミネーショ
ンは見られない。
【0040】電極印刷工程では、本発明に係る積層セラ
ミック電子部品製造装置を用いて、電極を印刷する。印
刷工程より前、または、第1回目の印刷工程と同時に、
可撓性支持体上に画像処理用の第1のターゲットマーク
を形成し、第1のターゲットマークの画像処理によって
得られた情報に基づいて電極の印刷位置決めを行なう。
これにより、第1のターゲットマークを基準とした所定
の位置に、電極を高精度で形成することができる。した
がって、複雑な電極積層構造であっても、精度よく、短
時間で形成することができる。
【0041】図18に示す製造フローチャートにおい
て、図17に示した製造フローチャートと異なる点は、
グリーンシート成形工程及び印刷工程を複数回実行し、
設定積層数に達した後、得られた積層グリーンシートを
可撓性支持体から剥離し、次に、剥離して得られた複数
の積層グリーンシートを積層することである。積層後に
プレスし、更に切断工程、焼成工程及び端部電極付与工
程等の必要な工程をへて、積層セラミックコンデンサの
完成品が得られる。
【0042】図18に示す製造方法による場合、印刷工
程は、グリーンシート上に第2のターゲットマークを印
刷する工程を含んでおり、第2のターゲットマークの画
像処理によって得られた情報に基づいて、積層グリーン
シートの積層を行なう。これにより、複数のグリーンシ
ート積層帯を、互いの電極が、第2のターゲットマーク
を基準とした所定の位置関係となるように、高精度で位
置決めし、積層することができる。保護層は別途シート
成形し、積層機により積層する。
【0043】次により具体的な実施例を参照して、更に
詳しく説明する。
【0044】<誘電体の塗料化>粒径が0.1μm〜
1.0μm程度のチタン酸バリウム、酸化クロム、酸化
イットリウム、炭酸マンガン、炭酸バリウム、炭酸カル
シウム、酸化硅素等の粉末を焼成した後、BaTiO3
100モル%として、Cr23に換算して0.3モル
%、MnOに換算して0.4モル%、BaOに換算して
2.4モル%、CaOに換算して1.6モル%、SiO
2に換算して4モル%、Y23に換算して0.1モル%
の組成になるように混合し、ボールミルにより24時間
混合し、乾燥後誘電体原料を得た。この誘電体原料10
0重量部とアクリル樹脂5重量部、塩化メチレン40重
量部、アセトン25重量部、ミネラルスピリット6重量
部を配合し、市販のφ10mmジルコニアビーズを用
い、ポット架台により24時間混合し、誘電体セラミッ
ク塗料を得た。
【0045】<グリーンシート成形>上述のようにして
得られた誘電体セラミック塗料を、連続的に供給される
可撓性支持体に塗布し、グリーンシートを成形する。第
1回目のグリーンシート成形工程は可撓性支持体上に保
護膜を形成する工程である。保護膜は、図16の積層セ
ラミックコンデンサの場合、最上層または最下層の何れ
かを構成する外装となる。
【0046】図19はグリーンシート成形工程を示す図
である。図示のグリーンシート成形工程において、可撓
性支持体19に接触するローラが、可撓性支持体の塗料
塗布面に接触しないように配置されている好ましい例で
は、グリーンシートにピンホールが発生するのを防止で
きる。
【0047】押し出し式塗布ヘッド10は、セラミック
塗料17aを、可撓性支持体19に塗布する。11は繰
り出しリール、121〜127は案内ローラ、161、
162は蛇行修正ローラ、14は乾燥炉、17は巻き取
りリールである。グリーンシート面を均一にするため、
サクションローラ151ー152間でテンションをコン
トロールし、塗布ヘッド10の追い込み寸法、ノズル角
度を制御する。
【0048】従来は、可撓性支持体19に接触するロー
ラ121〜127、151、152、161、162の
内のいくつかが、可撓性支持体19の塗料塗布面に接触
するのが普通であったが、この実施例では、可撓性支持
体19に接触するローラ121〜127、151、15
2、161、162の何れも、可撓性支持体19の塗料
塗布面には接触しないように配置されている。このよう
な構成であると、グリーンシートに剥離によるピンホー
ルが発生するのを防止できる。
【0049】また、図示実施例のように、押し出し式塗
布ヘッド10を用いると、非常に面精度がよく、かつ、
厚みバラツキの少ない均一なグリーンシートを得ること
ができる。第1回目の保護膜となるグリーンシートの成
形は、押し出し式塗布ヘッドの代わりに、従来のドクタ
ーブレード法やリバースロール法を用いてもよい。さら
に、数回繰り返して所望の厚みにしても構わない。フィ
ルタ8は最終的に異物を除去するために設置する。
【0050】図20に押し出し式塗布ヘッド10の形状
を示す。46はセラミック塗料排出用スリット、47は
上流側ノズル、48は下流側ノズル、49はセラミック
塗料だまり、53はセラミック塗料だまりへの供給口で
ある。このような押し出し式塗布ヘッドは公知である。
【0051】押し出し式塗布ヘッド10を用いた場合、
定量ポンプ6、精密定量ギヤポンプ7を使用し、フィル
タ8、質量流量計9を通して塗布ヘッド10にセラミッ
ク塗料17aを供給することが望ましい。図22は図2
0に示した押し出し式塗布ヘッド10を用いて、可撓性
支持体19上にグリーンシート43を成形する状態を示
しており、高度の面精度を持ち、厚みバラツキの極めて
小さなグリーンシート43を得ることができる。図22
において、参照符号F1は可撓性支持体19の走行方向
を示している。
【0052】図21に塗布ヘッド10の別の例を示して
ある。図21に示すノズルは複数のノズル461、46
2を有する複数系列ノズルを有する。491、492は
セラミック塗料だまり、531、532はセラミック塗
料だまり491、492への供給口である。この塗布ヘ
ッド10を用いた場合、図23に示すように、セラミッ
ク塗料だまり491に貯留されたセラミック塗料431
がスリット461を通して可撓性支持体19に塗布され
た後、塗布されたセラミック塗料層431の上にスリッ
ト462を通してもう一層のセラミック塗料層432が
塗布される。これにより、ピンホールの発生が抑制され
る。
【0053】次に、スジのないグリーンシート43を得
るためには粘度の低いセラミック塗料を使用することが
望ましい。押し出し式塗布ヘッド10はこのように粘度
の低いセラミック塗料のグリーンシート成形に向いてい
る。これは、粘度の低いセラミック塗料は、乾燥縮率が
大きいため、同一乾燥後厚みを得るのに、供給量を多く
でき、塗布ヘッド10の先端と可撓性支持体19(また
はグリーンシート)との間のギャップを大きくとり、塗
布ヘッド10によるスジの発生を回避できるためであ
る。
【0054】可撓性支持体19は、グリーンシート43
の剥離を考慮し、グリーンシート成形面に剥離処理を施
しておくのがよい。剥離処理は、可撓性支持体19の1
面上に例えばSi等でなる剥離用膜を薄くコートするこ
とによって実行することができる。このような剥離処理
を施しておくことにより、必要層数の積層工程が終了し
た後、可撓性支持体19の上に成形されている最下層の
グリーンシート43を可撓性支持体19から容易に剥離
することができる。
【0055】押し出し式塗布ヘッド10は、前述したよ
うに、スジの入らない均一なグリーンシートを形成でき
るほかに、特筆すべき利点がある。それは、一度形成し
たグリーンシート43の上に再度グリーンシートを形成
するのに非常に有効であるということである。ドクター
ブレード法においては、ドクターブレードのヘッドのエ
ッジ側が常に可撓性支持体19に接触しているため、第
1回目のグリーンシート成形時には問題ないが、第2回
目以降のグリーンシート成形時にどうしても第1のグリ
ーンシート43のエッジ側の乾燥面が接触する。このた
め第1のグリーンシート43のエッジ側が削れるという
問題がある。また、積層数が増えるにつれて、トータル
厚みが厚くなるため、ブレードの上流側に接触してしま
い、最終的には剥離してしまう。
【0056】その点、押し出し式塗布ヘッド10におい
ては、予め形成していたグリーンシート43の面上に、
次のグリーンシート43を成形する際、予め形成してい
たグリーンシート43の面に押し出し式塗布ヘッド10
が接触することがなく、削れのない良好なグリーンシー
ト43を得ることができる。
【0057】グリーンシート43の成形後、可撓性支持
体19は乾燥炉14を経て乾燥され、巻き取りリール1
7に巻き取られる(図1参照)。
【0058】<ターゲットマーク形成>次に、電極印刷
の前に、グリーンシート43を有する可撓性支持体19
上に画像処理用の第1のターゲットマークa1,b1,
c1,d1及びピッチマークe1を形成する。第1のタ
ーゲットマークa1,b1,c1,d1及びピッチマー
クe1の形成については、既に説明したので、省略す
る。
【0059】<画像処理による電極印刷>次に、可撓性
支持体19を巻き取った巻き取りリール17を用いて、
可撓性支持体19上のグリーンシート43に電極を印刷
する。電極の印刷は、本発明に係る積層セラミック電子
部品製造装置を用いて実行される。その詳細は、既に説
明したので、省略する。
【0060】<画像処理による位置合わせ>画像処理に
よる位置合わせは、本発明に係る積層セラミック電子部
品製造装置を構成する画像処理装置26によって実行さ
れる。その詳細は、既に詳述したので、省略する。
【0061】<設定積層数を得る工程> a. 図17の製造フローチャートに従う場合 上述のようにして、電極を印刷したグリーンシートを、
図19に示したグリーンシート成形工程に付し、再度、
繰り出しローラ11に取付け、蛇行修正ローラ13を通
して、第1のグリーンシート成形と同じように、所望の
グリーンシート厚みになるように制御し、グリーンシー
ト成形を行ない、次に、本発明に係る積層セラミック電
子部品製造装置の画像処理に基づいて電極を印刷する工
程を、必要とする積層数だけ繰り返す。そして、最終的
に、第2の保護層56Bを、例えば160μmの厚みと
なるように形成する。
【0062】図24は上述のようにして得られた積層体
の断面図であり、積層グリーンシート55が可撓性支持
体19上に形成されている。56Aは第1の保護層、4
3はグリーンシート、54は乾燥後の電極である。
【0063】b. 図18に示した製造フローチャート
に従う場合 図18に示した製造フローチャートに従う場合は、グリ
ーンシート成形工程及び印刷工程を複数回実行した後、
得られた積層グリーンシートを可撓性支持体から剥離
し、次に、別途シート成形された第1の保護層上に、剥
離して得られた複数の積層グリーンシートを積層する。
次に、得られた積層体の最上層に、別途シート成形され
た第2の保護層を積層する。図25にその具体例を示
す。グリーンシート成形工程及び印刷工程をQ回実行し
た後、得られた積層グリーンシート561〜56Qを可
撓性支持体から剥離し、次に、別途シート成形された第
1の保護層56A上に、剥離して得られた複数Qの積層
グリーンシート561〜56Qを積層する。積層グリー
ンシート561〜56Qは、第2のターゲットマークa
2〜d2の画像処理によって得られた情報に基づいて位
置合わせを行ないながら積層する。位置合わせは図8〜
図12で説明した通りである。次に、得られた積層体の
最上層に、別途シート成形された第2の保護層56Bを
積層する。
【0064】<設定積層数を得た後の工程>上述のよう
にして得られた積層グリーンシートを打ち抜き後プレス
し、切断することにより、図26に示す積層グリーンチ
ップが得られる。得られた積層グリーンチップを、所定
の温度条件で脱バインダ処理した後、焼成し、更に、端
子電極を焼き付け形成する。
【0065】脱バインダ及び焼成の条件は従来より周知
である。例えば、280℃で12時間脱バインダし、還
元雰囲気中で1300℃にて2時間焼成する。焼成後得
られた積層体に端子電極4(図1参照)を形成する。端
子電極4の材質及び形成方法も従来よりよく知られてい
る。例えば、銅を主成分とし、N2+H2中で800℃
にて30分焼き付けし、めっきを行なう。
【0066】<特性の評価>上述の製造方法によって得
られた積層セラミックコンデンサと、従来の製造方法に
よって得られた積層セラミックコンデンサの特性評価
を、表1に示す。表1において、試料No.1〜3は図
17の製造工程を経て得られた積層セラミックコンデン
サ、試料No.6は図18の製造工程を経て得られた積
層セラミックコンデンサ、試料No.4及び5は従来の
製造方法によって得られた積層セラミックコンデンサで
ある。
【0067】試料No.1はグリーンシート厚み8.0
μm、焼成後の誘電体層2の一層の厚み5μm、積層数
75層である。試料No.2はグリーンシート厚み2.
5μm、焼成後の誘電体層2の一層の厚み1.5μm、
積層数75層である。試料No.3はグリーンシート厚
み2.5μm、焼成後の誘電体層2の一層の厚み1.5
μm、積層数150層である。
【0068】試料No.4はグリーンシート厚み8.0
μm、焼成後の誘電体層2の一層の厚み5μm、積層数
75層である。
【0069】試料No.5はグリーンシート厚み2.5
μm、焼成後の誘電体層2の一層の厚み1.5μm、積
層数150層である。但し、試料No.5は2.5μm
という薄いグリーンシートの厚みのために、積層セラミ
ックコンデンサとして必要な特性を得ることができる程
度に積層することができなかった(積層不可)。
【0070】試料No.6はグリーンシート厚み8.0
μm、焼成後の誘電体層2の一層の厚み5μm、積層数
75層である。試料No.1〜6を通して、外形寸法
は、3.2mm×1.6mmに固定した。厚み寸法は積
層数及び一層当たりの誘電体層の厚みによって異なる。
【0071】この積層セラミックコンデンサに対し、ピ
ンホール数(個/10m)静電容量、誘電体損失、絶縁
抵抗、破壊電圧、ショート不良率、印刷ずれ及び歩留の
評価試験を行なった。表1はその評価結果を示してい
る。試料No.1〜6のそれぞれにおいて、試験に供さ
れたサンプル数は30,000個である。
【0072】表1に記載された評価試験結果について、
本発明に係る製造方法と、従来技術とを対比するに当た
り、同じグリーンシート数及び同じ積層数を有する試料
間で行なうこととする。具体的には試料No.1、6と
試料No.4との対比、試料No.2、3と試料No.
5との対比である。
【0073】a. 静電容量、誘電体損失 ヒューレットパッカード社製インピーダンスアナライザ
ーHP−4284Aで20℃にて測定した。静電容量
は、試料No.4では0.91μFであるのに対し、試
料No.1では1.01μF、試料No.6では1.0
3μFであり、本発明に係る製造方法によって得られた
試料No.1、6は、従来の製造方法による試料No.
4よりも大きな静電容量を取得できる。これは本発明で
は内部電極の重なり精度が良好であるためと推測され
る。
【0074】試料No.2、3と、試料No.5との比
較では、試料No.5はグリーンシートの厚み2.5μ
mでは積層不可であるのに対し、本発明に係る製造方法
によって得られた試料No.2、3は、2.5μmとい
う薄いグリーンシートを用いて、3.3μF、6.63
μFの静電容量を取得できる。
【0075】tanδ(%)に関しては、試料No.4
では1.88(%)であるのに対し、試料No.1では
1.86(%)、試料No.6では1.85(%)であ
り、試料No.1、6は試料No.4よりも、誘電体損
失が小さくなっている。試料No.2、3は、2.5μ
mという極めて薄いグリーンシトを用いても、1.87
(%)及び1.96(%)の誘電体損失にとどまる。
【0076】b. 絶縁抵抗及びショート不良率 ヒューレットパッカード社製高抵抗計HP−4329A
で20℃にて10V印加し、30秒後測定した。絶縁抵
抗が1000Ω以下のものをショート不良とし、各試料
No.1〜6のそれぞれにおいて、試験に供されたサン
プル数に対するショート不良発生数の割合をショート不
良率として表示した。
【0077】絶縁抵抗は、試料No.4では1.7×1
9Ωであるのに対し、試料No.1では2.0×109
Ω、試料No.6では3.1×109Ωであり、本発明
に係る製造方法によって得られた試料No.1、6は、
従来の製造方法による試料No.4よりも大きな絶縁抵
抗を取得できる。また、試料No.2、3でも7.1×
108Ω、4.6×108Ωの絶縁抵抗を確保できる。こ
れは本発明ではグリーンシート厚みが均一であるためと
推測される。
【0078】ショート不良率は、試料No.4では3
3.2(%)であるのに対し、試料No.1では0.7
(%)、試料No.6では0.4(%)であり、本発明
に係る製造方法によって得られた試料No.1、6は、
従来の製造方法による試料No.4よりもショート不良
率が著しく小さくなっている。また、試料No.2、3
でも0.8(%)、1.0(%)のショート不良率に納
まっている。
【0079】c. 破壊電圧 破壊電圧の評価は、自動昇圧試験機にて測定した。破壊
電圧は、試料No.4では150(v)であるのに対
し、試料No.1、6では230(v)であり、本発明
に係る製造方法によって得られた試料No.1、6は、
従来の製造方法による試料No.4よりも大きな破壊電
圧を確保できる。また、グリーンシート厚みが2.5μ
m(乾燥後厚み1.5μm)と非常に薄い試料No.
2、3でも90(v)、80(v)の破壊電圧を確保で
きる。
【0080】d. 印刷ずれ 積層セラミックコンデンサを図175の点線部分で切断
し、切断面において10個の電極の位置ずれ量の最大値
ΔGmax(図27参照)の平均値ΔGmax−avを
測定した。平均値ΔGmax−avは、試料No.4で
は250μmであるのに対し、試料No.1では8μ
m、試料No.6では11μmであり、本発明に係る製
造方法によって得られた試料No.1、6は、従来の製
造方法による試料No.4よりも印刷ずれが著しく小さ
くなっている。試料No.2、3でも平均値ΔGmax
−avは、12μm、13μmであり、印刷ずれが著し
く小さい。これは画像処理による効果である。
【0081】e. ピンホール数(個/10m) 本発明に係る製造方法によって得られた試料No.1〜
3及び6の何れにおいても、ピンホール数は0(個/1
0m)である。これに対して、従来の製造方法によって
得られた試料No.4では、49個/10mのピンホー
ルが認められ、試料No.5では84個/10mのピン
ホール数が認められた。従来の製造方法では、可撓性支
持体の誘電体ペースト塗布面が、塗布前及び塗布後の何
れの場合においても、ローラに接触するため、グリーン
シートに剥離によるピンホールを多発するのに対して、
本発明に係る製造方法では、可撓性支持体の誘電体ペー
スト塗布面が、塗布前及び塗布後の何れの場合において
も、ローラに接触することがないため、グリーンシート
に剥離によるピンホールが発生しないためであると推測
される。
【0082】f. 歩留 歩留は、試料No.4では33(%)であるのに対し、
試料No.1、6では92(%)であり、試料No.
2、3でも92(%)、90(%)の高歩留を確保でき
る。本発明に係る製造方法によれば、歩留が著しく改善
される。
【0083】以上を要するに、本発明によれば、従来積
層できなかった2.5μmという薄膜のグリーンシート
を精度よく積層することが可能で、しかもショート不良
率が低く、優れた特性を有する積層セラミックコンデン
サを、高歩留で製造することができる。しかも、従来の
方法でどうにか積層できる8μmというグリーンシート
厚みのところであっても、非常に良好な効果が得られ
た。
【0084】更に、従来の方法では、電極のある部分と
ない部分では、電極の厚みと電極の本数との積だけの段
差ができる。本発明においては、グリーンシート上に画
像処理印刷を行なったグリーンシートに、再度グリーン
シートを成形するため(以下、Wet on Dr
y)、この段差が解消できる方向にある。実験の結果、
電極1本あたり2μmあった段差が1.5μmの段差に
なった。このようにわずかとは言え、段差が解消され
た。電極1本あたりではわずかだが、積層数が増えると
例えば150層の場合、0.5μm×150=75μm
もの段差を解消できる。
【0085】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、電
極パターンの位置ずれを最小にし得る積層セラミック電
子部品製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層セラミック電子部品製造装置
を示す図である。
【図2】図1に示した積層セラミック電子部品製造装置
に含まれる印刷装置を示す図である。
【図3】図2に示した画像処理装置に含まれる画像処理
用カメラの配置を示す図である。
【図4】図1に示した積層セラミック電子部品製造装置
に含まれる補正用カメラの配置を示す図である。
【図5】本発明に係る積層セラミック電子部品製造装置
によって処理される可撓性支持体の一例を示す平面図で
ある。
【図6】本発明に係る積層セラミック電子部品製造装置
によって第1回目の電極を印刷した後の可撓性支持体面
の平面図である。
【図7】図6に示した可撓性支持体の側面図である。
【図8】画像処理用カメラを用いた画像情報による位置
合わせを説明する図である。
【図9】画像処理用カメラを用いた画像情報による位置
合わせを説明する図である。
【図10】画像処理用カメラを用いた画像情報による位
置合わせにおいてθ補正を説明する図である。
【図11】画像処理用カメラを用いた画像情報による位
置合わせにおいてX軸方向位置合わせを説明する図であ
る。
【図12】画像処理用カメラを用いた画像情報による位
置合わせにおいてY軸方向位置合わせを説明する図であ
る。
【図13】本発明に係る積層セラミック電子部品製造装
置によって第2回目の電極を印刷した後の可撓性支持体
面の平面図である。
【図14】図13に示した可撓性支持体の側面図であ
る。
【図15】本発明に係る積層セラミック電子部品製造装
置によって得られる電極の他の例を示す平面図である。
【図16】本発明に係る積層セラミック電子部品製造装
置を用いた製造方法によって製造される製品の一部であ
る積層セラミック電子部品の断面図である。
【図17】本発明に係る積層セラミック電子部品製造装
置を用いた積層セラミック電子部品の製造フローチャー
トを示す図である。
【図18】本発明に係る積層セラミック電子部品製造装
置を用いた積層セラミック電子部品の他の製造フローチ
ャートを示す図である。
【図19】図17及び図18に示した製造方法に置ける
グリーンシート成形工程及び成形装置を示す図である。
【図20】図19に示したグリーンシート成形装置に用
いられる押し出し式塗布ヘッドの断面図である。
【図21】図19に示したグリーンシート成形装置に用
いられる押し出し式塗布ヘッドの別の実施例を示す断面
図である。
【図22】図20に示した押し出し式塗布ヘッドを用い
たグリーンシート成形を説明する図である。
【図23】図21に示した押し出し式塗布ヘッドを用い
たグリーンシート成形を説明する図である。
【図24】図17に示した本発明に係る製造方法によっ
て得られる積層体の断面図である。
【図25】図18に示した本発明に係る製造方法によっ
て得られる別の積層体の断面図である。
【図26】図24または図25に示す積層体からプレ
ス、切断して得られた積層グリーンチップの斜視図であ
る。
【図27】電極の位置ずれ量の最大値ΔGmaxの定義
を説明する図である。
【図28】本発明に係る積層セラミック電子部品製造装
置を用いた製造方法と従来製造方法とによって得られた
試料の特性評価データを示す図である。
【符号の説明】
19 可撓性支持体 25 印刷用テーブル 26a,26b,26c,26d カメラ a1〜d1 第1のターゲットマーク a2〜d2 第2のターゲットマーク 27 製版 28 製版台 43 グリーンシート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // G06T 7/00 G06F 15/62 400 (72)発明者 白井 重彦 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 角田 栄蔵 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 千葉 和規 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 淀川 吉見 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−124848(JP,A) 実開 平4−46444(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 4/00 - 4/42 H01G 13/00 - 13/06

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷装置と、定尺送り装置と、補正用カ
    メラと、コンピュータシステムとを含む積層セラミック
    電子部品製造装置であって、 前記印刷装置は、画像処理用の第1のターゲットマーク
    を有する可撓性支持体上に形成されたグリーンシート上
    に、電極、及び、第2のターゲットマークを印刷するも
    のであって、印刷用テーブルと、テーブル駆動装置と、
    画像処理装置とを含んでおり、 前記印刷用テーブルは、前記可撓性支持体を吸着する印
    刷受け面を有しており、 前記テーブル駆動装置は、前記印刷用テーブルを駆動す
    るものであり、 前記画像処理装置は、カメラを含み、前記カメラにより
    前記第1のターゲットマークを読み取り、 前記定尺送り装置は、電極印刷後、前記可撓性支持体に
    一定寸法の送りをかけるものであり、 前記補助用カメラは、前記定尺送り装置によって送られ
    た可撓性支持体上の前記第1及び第2のターゲットマー
    クを検出するものであり、 前記コンピュータシステムは、 前記画像処理装置の前記カメラによって読み取られたデ
    ータに基づきデータ処理を行い、前記テーブル駆動装置
    を駆動し、前記可撓性支持体上の電極印刷位置決めを行
    なうとともに、 前記補助用カメラによって得られた前記第1及び第2の
    ターゲットマークのデータに基づきデータ処理を行い、
    前記第1のターゲットマークと、前記第2のターゲット
    マークとの間の位置ずれを読み取り、その補正量を算出
    し、算出された補正量により前記テーブル駆動装置を駆
    動して前記印刷テーブルの位置補正を行う積層セラミッ
    ク電子部品製造装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の積層セラミック電子部
    品製造装置であって、 前記印刷用テーブルは、前記印刷受け面が真空吸着面を
    構成する積層セラミック電子部品製造装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の積層セラミッ
    ク電子部品製造装置であって、 前記テーブル駆動装置は、前記印刷受け面に添って仮想
    された直交二軸であるX方向及びY方向と、前記二軸と
    直交する軸の周りに回転するθ方向とに、前記印刷用テ
    ーブルを駆動し得る積層セラミック電子部品製造装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の何れかに記載された積
    層セラミック電子部品製造装置であって、 前記画像処理装置は、複数のカメラを含み、前記カメラ
    の受光部が前記印刷用テーブルに備えられている積層セ
    ラミック電子部品製造装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の積層セラミック電子部
    品製造装置であって、 前記画像処理装置は、前記カメラの受光部から、前記カ
    メラに至る光学経路を有し、前記光学経路は前記受光部
    からの光を前記カメラに入射する反射鏡を含む積層セラ
    ミック電子部品製造装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5の何れかに記載された積
    層セラミック電子部品製造装置であって、 前記定尺送り装置は、前記可撓性支持体を真空吸着し
    て、定尺の送りを加える積層セラミック電子部品製造装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の積層セラミック電子部
    品製造装置であって、 前記可撓性支持体を案内するローラを備え、前記ローラ
    は前記可撓性支持体の印刷面には全く接触しない積層セ
    ラミック電子部品製造装置。
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