JP3356187B2 - インクジェットヘッド及びその駆動方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びその駆動方法

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JP3356187B2
JP3356187B2 JP9807893A JP9807893A JP3356187B2 JP 3356187 B2 JP3356187 B2 JP 3356187B2 JP 9807893 A JP9807893 A JP 9807893A JP 9807893 A JP9807893 A JP 9807893A JP 3356187 B2 JP3356187 B2 JP 3356187B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧力発生素子が発生す
る圧力によってインク滴を飛翔させ、記録紙等の記録媒
体上にインク像を形成するプリンタ等の画像記録装置に
関し、さらに詳細には、インクジェットヘッドの駆動方
法、及び、これに適したインクジェットヘッドに関す
る。
【0002】
【従来の技術】特開平3−51138号公報に開示され
ているように、インクジェットヘッド、インクジェット
ヘッド駆動回路、及び駆動電源から構成されるインクジ
ェットヘッド回路が、複数の駆動電源を有し、外部信号
によってその出力電圧を制御しインクジェットヘッドを
駆動する技術がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図11は、インクジェ
ットヘッドに用いられるインクの環境温度に対する粘度
変化を示す特性図である。
【0004】最低補償環境温度Temp.1の時、インクの粘
度νはν1のレベルにあるが、環境温度が最高補償環境
温度Temp.2まで変化すると、ν2のレベルまで減少して
しまう。こうしたインクの粘度νの変化は、ノズル、及
びインク供給路の流路抵抗にリニアに影響する為、イン
ク吐出速度、インク吐出量に大きく影響することが予測
できる。
【0005】図12は、インクジェットヘッドに用いら
れるインクの粘度変化に対するインク吐出速度とインク
吐出量の関係を示す特性図である。
【0006】このように、インク粘度νが、最低補償環
境温度に於ける粘度ν1から最高補償環境温度に於ける
粘度ν2まで変化することによって、インク吐出速度5
0とインク吐出量60は、ほぼリニアに変化してしま
う。よって、環境温度等の変化に対して安定した印字品
質を維持する為には、インク吐出速度、及びインク吐出
量の補正を行なわなければならない。
【0007】図13は、カラーインクジェットヘッドに
用いられるインクの種類(色種別)ごとに環境温度とイ
ンク粘度の関係を示す特性図である。
【0008】図13のC、M、Yの3種類の曲線はそれ
ぞれ、シアン、マゼンダ、イエローの各インクにおける
温度と粘度の特性曲線である。環境温度がTemp.3であっ
たとすると、それぞれのインクの粘度は、シアンインク
がνc、マゼンダインクがνm、イエローインクがνy、
になる。よって、カラーインクを用いたインクジェット
記録装置を構成するときは、図11、及び図12に示し
た環境温度変化だけでなく、インクの種類別にインク吐
出速度とインク吐出量を安定した印字品質を確保するた
めに制御しなくてはならない。
【0009】こうした要求から、インクジェットヘッド
を駆動する電圧を、温度検出器等からの外部信号に応じ
て増減させ、飛翔するインク滴のインク吐出速度、及び
インク吐出量を制御した場合、以下のような課題が発生
する。
【0010】ひとつは、印加電圧を発生する回路の問題
である。環境温度、及びインクの種類(インクの色別)
に応じて印加電圧の変化を要求した場合、特開平3−5
1138号公報に開示されているように、複数の電源を
有する駆動回路を構成するか、段階的な電圧増幅を行な
う増幅回路を備えた駆動回路を構成しなければならな
い。前者については、回路コストが非常に高くなってし
まい、後者については、非常に短い時間間隔での増幅特
性を要求することが困難である。
【0011】また、ふたつめの課題として、単に電圧だ
けで飛翔するインク滴の吐出量を増減させた場合、イン
ク滴が飛翔する際の吐出速度も、これに伴って増減して
しまい、印字品質を低下させてしまうことがある。
【0012】本発明は、こうした課題を解決するもので
あり、駆動電圧を変化させることなく、インク吐出量
と、インク吐出速度を最適な状態に維持し、優れた印字
品質を有するインクジェットプリンターを提供すること
を目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
ヘッドは、インクを吐出するノズルと、これに連通する
圧力室と、前記圧力室に圧力を発生させる圧力発生素子
と、前記圧力発生素子に電圧を印加する電圧印加手段を
有し、前記圧力発生素子が圧電材料と導電材料とを交互
に積層して成る積層圧電素子にて構成され、かつ前記圧
力室に満たされるインクの固有振動周期をTcとしたと
き、該Tcとは異なる前記圧力発生素子の固有振動周期
Taを有するインクジェットヘッドにおいて、前記圧力
室の容積を拡大してインクを圧力室に充填する第1の段
階と、前記圧力室の容積を収縮してインクを吐出する第
2の段階を有し、前記第1の段階で前記圧力発生素子を
駆動するための印加電圧の立ち上げまたは立ち下がり時
間をT1、前記第2の段階で前記圧力発生素子を駆動す
るための印加電圧の立ち下げまたは立ち上がり時間をT
2、とするとき、T1≧Ta、T2≧Taなる範囲で前
記第1の段階における圧力室の容積拡大速度と前記第2
の段階における圧力室の容積収縮速度を、印加電圧を変
化させずに任意に可変させる手段を有することを特徴と
する。
【0014】また、前記電圧印加手段が発生する印加電
圧の立ち下がり時間あるいは、立ち上がり時間を可変す
ることによって前記第1の段階における圧力室の容積拡
大速度と前記第2の段階における圧力室の容積収縮速度
を、外部信号に応じて変化させる手段を有することを特
徴とする。また、前記外部信号は前記インクジェットヘ
ッドの環境温度に対応する信号であるか、あるいはイン
クの種類に対応する信号であることを特徴とする。
【0015】
【0016】また、前記積層圧電素子の表面に前記導電
材料から成る共通電極とセグメント電極を形成すること
を特徴とする。
【0017】そして、前記積層圧電素子が、該積層圧電
素子のヤング率と比重に対して同等以上のヤング率と比
重を有する部材にて保持されることを特徴とする。
【0018】本発明のインクジェットヘッドの駆動方法
は、インクを吐出するノズルと、これに連通する圧力室
と、前記圧力室に圧力を発生させる圧力発生素子と、前
記圧力発生素子に電圧を印加する電圧印加手段を有し、
前記圧力発生素子が圧電材料と導電材料とを交互に積層
して成る積層圧電素子にて構成され、かつ前記圧力室に
満たされるインクの固有振動周期をTcとしたとき、該
Tcとは異なる前記圧力発生素子の固有振動周期Taを
有するインクジェットヘッドの駆動方法において、前記
圧力室の容積を拡大してインクを圧力室に充填する第1
の段階と、前記圧力室の容積を収縮してインクを吐出す
る第2の段階を有し、前記第1の段階で前記圧力発生素
子を駆動するための印加電圧の立ち上げまたは立ち下が
り時間をT1、前記第2の段階で前記圧力発生素子を駆
動するための印加電圧の立ち下げまたは立ち上がり時間
をT2、とするとき、T1≧Ta、T2≧Taなる範囲
で前記第1の段階における圧力室の容積拡大速度と前記
第2の段階における圧力室の容積収縮速度を、印加電圧
を変化させずに任意に可変させることを特徴とする。
【0019】また、前記電圧印加手段が発生する印加電
圧の、立ち下がり時間あるいは、立ち上がり時間を可変
することによって前記第1の段階における圧力室の容積
拡大速度と前記第2の段階における圧力室の容積収縮速
度を外部信号に応じて変化させることを特徴とする。ま
た、前記外部信号は前記インクジェットヘッドの環境温
度に対応する信号であるか、あるいはインクの種類に対
応する信号であることを特徴とする。
【0020】また、上記インクジェットヘッドにおい
て、T1≧Tcなる関係を有することを特徴とする。
【0021】さらに、上記インクジェットヘッドの駆動
方法において、T1≧Tcなる関係を有することを特徴
とする。
【0022】
【作用】環境温度、または、インクの種類(色種別)に
応じて、印加電圧を変化させずに、インク吐出速度と、
インク吐出量を自在に可変することによって、優れた印
字品質を有する画像記録装置を低コストにて提供するこ
とができる。
【0023】
【実施例】以下に本発明の実施例の詳細を図面を参照し
て説明する。
【0024】図1は、本発明の実施例を示すインクジェ
ットヘッドの構造説明図である。
【0025】図1に示す2は、複数のノズル1を形成し
たノズル形成基板である。ノズル1の開口面積とノズル
形成基板2の厚さは、インク吐出特性に大きな影響を及
ぼすため、精密プレス法、ニッケルの電鋳法、または、
シリコンウエハのエッチング加工等により高精度加工を
実現している。このノズル形成基板2と貼り合わされる
流路基板3は、圧力室4、セグメントインク供給路5、
共通インク室6、及びインク供給パイプ7の連通口を形
成して成る部材である。流路基板3がノズル形成基板2
と貼り合わされる際は、ノズル1が圧力室4の中央部に
位置するように接合される。こうして形成される圧力室
4、セグメントインク供給路5、共通インク室6には、
インク供給パイプ7から送られたインクが満たされる。
【0026】流路基板3の底面には、ベース基板8上に
配列される圧力発生素子10が、それぞれの圧力室4に
対応して接合される。図1に示す、圧力発生素子10
に、駆動回路100からのセグメント信号25と、共通
信号26が印加されると、圧力室4の容積が減少し圧力
が高められ、ノズル1からインクを吐出する。
【0027】図2(a),(b)はインクジェットヘッ
ドを駆動する電圧波形と圧力発生素子の変位挙動を示す
関係図である。
【0028】図3(a)は圧力室の容積が収縮している
状態、(b)は圧力室の容積が拡大している状態を示す
説明図である。
【0029】図3に示す圧力発生素子10は、電圧が印
加されると、図3(a)に示すように矢印δの方向に変
位し、圧力室の容積を収縮させ、図3(b)に示すよう
に電圧が印加されていない状態では定常状態になり、圧
力室の容積を相対的に拡大させるものである。
【0030】図2(a)に示すように、電圧波形21の
立ち下がり(放電)時間T1と、立ち上がり(充電)時
間T2が、圧力発生素子の固有振動周期Taより小さい
場合、圧力発生素子10の変位挙動22は、過度的な振
動をしめす。このような場合、図3に破線囲み部4であ
る圧力室内に残留振動が発生し、図3に示すメニスカス
17も振動が激しくなり、インクの吐出が不安定になっ
てしまう。しかしながら、図2(b)に示すように、圧
力発生素子10に印加される電圧波形21の立ち下がり
時間T1と、立ち上がり時間T2を、圧力発生素子10
の固有振動周期Taと同等以上に設定することによっ
て、圧力発生素子10は過度的な振動を発生しなくなる
ので、図3に示す圧力室4、及びメニスカス17も残留
振動の影響を受けないので、インクの吐出を安定的に維
持することができる。
【0031】図3に示した圧力発生素子10とは逆に、
電圧が印加されることによって収縮し、圧力室の容積を
拡大させ、電圧が印加されていない状態では定常状態に
なり、圧力室の容積を相対的に収縮する特性を有する圧
力発生素子を用いた場合は、図2に示す電圧波形21と
変位挙動22は上下に反転するが、本質的なT1、T2
とTaの関係は同様であり、T1≧Ta、T2≧Taの
関係を有することによってインクの吐出を安定的に維持
することができる。
【0032】圧力発生素子の固有振動周期Taは、式1
のように示される。
【0033】
【数1】
【0034】ここで、Lは図3に示す圧力発生素子10
の変位方向の長さ、ρは圧力発生素子の密度、Eは圧力
発生素子のヤング率、λは振動モードによって異なる圧
力発生素子の振動数係数であり、図3に示すように一端
固定の縦振動を用いた圧力発生素子に於ては1.875であ
る。
【0035】このように、Taは圧力発生素子の形状と
物理定数から比較的容易に決定されるので、T1、T2
も、容易に設定することができる。
【0036】図4は本発明のインクジェットヘッドを駆
動する電圧波形と圧力室内の容積変化挙動、及びメニス
カス挙動を示す関係図である。
【0037】図5は、本発明の実施例を示すインクジェ
ットヘッドの部分拡大図である。図5では、図1及び図
3に示される圧力発生素子10がより具体的な積層圧電
素子20として示されている。この積層圧電素子20は
セグメント電極15と圧電材料層13と共通電極16の
積層方向に膨張し(d33効果)、積層方向と直行する
方向に収縮する(d31効果)特性を有している。
【0038】以下に図4及び図5を参照して、d33効
果を用いたインクジェットヘッドの基本駆動方法を説明
する。
【0039】図4に示す時間t0〜t1は定常(待機)
状態である。この状態で電圧レベルはVhにあるので、
図5に示す積層圧電素子20は、破線Aに示すような変
形挙動を示しており、圧力室の容積変化23は、相対的
に圧力室の容積が収縮した状態であるC0のレベルにあ
る。また、図4に示すメニスカスレベル24はインクの
表面張力によって保持される定常レベルM0に維持され
ている。
【0040】時間t1〜t2は本インクジェットヘッド
基本駆動方法の第1の工程(請求項に示す第1の段階)
である。図4に示されるように、この状態において、電
圧波形21はVLに示すレベルまで、立ち下がり時間T
1で放電され、圧力室の容積変化23はC1のレベルま
で変化し、圧力室の容積を拡大し、圧力室内の圧力を減
圧する。この時、メニスカスレベル24はM1に示すレ
ベルまで、圧力室の内部方向へ引き込まれる。
【0041】時間t2〜t3は本インクジェットヘッド
基本駆動方法の第2の工程である。図4に示されるよう
に、この状態において、電圧波形21はVLに示すレベ
ルに維持されるので、圧力室の容積変化23も圧力室の
容積を拡大した状態であるC1のレベルに維持される。
この時、圧力室内にはノズル方向に向かうインクの慣性
流れが発生し、メニスカスは定常レベルM0に戻ろうと
する。
【0042】時間t3〜t4は本インクジェットヘッド
基本駆動方法の第3の工程(請求項に示す第2の段階)
である。図4に示されるように、この状態において、電
圧波形21は再びVhに示すレベルまで、立ち上がり時
間T2で充電され、圧力室の容積変化23をC0のレベ
ルまで変化させ、圧力室の容積を収縮し、圧力室内の圧
力を加圧するので、メニスカスはインク吐出方向へ、強
く押し出され、インク滴が飛翔する。この時のインク吐
出量は、ほぼ図4に示す斜線部Sの面積に相当する。
【0043】以上のように、時間t1〜t4の3工程に
よって本インクジェットヘッドの基本駆動方法は構成さ
れている。
【0044】しかしながら、第1の工程と第3の工程に
おいて、図4の破線31に示されるように、電圧波形の
立ち下がり時間T1と立ち上がり時間T2が圧力室に満
たされるインクの固有振動周期Tcより小さい場合は、
破線33に示す圧力室の体積変化のように振動的な挙動
を発生し、破線34に示すようなメニスカスレベルの乱
れが発生しインク吐出を不安定にする要因となる。しか
しながら、図4に示す電圧波形21の様に、T1≧T
c、T2≧Tcの関係を有する場合は、インクの吐出を
安定的に維持し、高印字品質を実現することができる。
【0045】また、d31効果を用いたインクジェット
ヘッドの駆動方法については、図4に示す電圧波形21
だけ上下に反転するが、本質的なT1、T2とTcの関
係はd33効果を用いた場合と同様であり、T1≧T
c、T2≧Tcの関係を有することによって高印字品質
を実現することが可能である。
【0046】圧力室に満たされるインクの固有振動周期
Tcは、式2のように示される。
【0047】
【数2】
【0048】ここで、Mnはノズルのイナータンス、M
iはインク供給路のイナータンス、Ciはインクのコン
プライアンス、Ccは圧力室のコンプライアンスであ
る。
【0049】また、Mn、Mi、Ci、Ccは以下のよ
うに式3から式6によって定義されている。
【0050】
【数3】
【0051】ここで、ρはインクの密度、S(x)は図2
に示すノズル形成基板2の厚さxに於けるノズルの断面
積、kはノズル形状によって決定される非定常解を考慮
した比例定数である。
【0052】
【数4】
【0053】ここで、ρはインクの密度、S(l)は図2
に示すインク供給路長さlに於ける供給路の断面積、k
は供給路形状によって決定される非定常解を考慮した比
例定数、nはノズルに対する供給路の数(本実施例にお
いては2)である。
【0054】
【数5】
【0055】ここで、vは圧力室の体積、ρはインクの
密度、cはインクの音速である。
【0056】
【数6】
【0057】ここで、ΔVは単位圧力あたりの圧力室の
変形体積、P0は単位圧力である。
【0058】このように決定されるインクの固有振動周
期Tcが小さい程、インクの吐出間隔を狭くし、高速印
字を可能にできることが確認されている。
【0059】本発明のインクジェットヘッドは、圧力発
生素子10の固有振動周期をTa、前記圧力室に満たさ
れるインクの固有振動周期をTc、前記圧力発生素子を
駆動する印加電圧の立ち下がりを時間をT1、立ち上が
り時間をT2とするとき、T1、T2≧Ta、且つT
1、T2≧Tcなる関係を有しているので、高印字品
質、高速印字を実現することが可能である。
【0060】また、図1に示す圧力発生素子10が、図
5に示すように、導電材料からなる共通電極16と圧電
材料層13と、導電材料からなるセグメント電極15と
を交互に積層して成る積層圧電素子20にて構成されて
いるので、圧力室に十分大きな圧力を伝達することが容
易である(積層圧電素子20の発生力は印加電圧に比例
し、圧電材料層13の厚さに反比例する)。
【0061】さらに、図5に示す積層圧電素子20は、
表面にもセグメント電極15と共通電極16が形成され
ているので、図1に示す駆動回路100からのセグメン
ト信号25と、共通信号26を容易に接続することがで
きる。
【0062】また、図5に示すベース基板8は、剛体で
あることが理想であり、具体的には音響インピーダンス
(ヤング率×比重)が大きいことが望ましい。よって、
図5に示すように、積層圧電素子20の一端が、積層圧
電素子20のヤング率と比重に対して同等以上のヤング
率と比重を有するベース基板8に保持されることによっ
て、圧力室4に対して効率よく圧力を伝達することがで
きる。
【0063】以下に本発明によるインクジェットヘッド
駆動方式の実施例の詳細を図面を参照して説明する。
【0064】図6は、本発明の実施例によるインクジェ
ットヘッドの駆動方法を説明する立ち下がり時間(放電
時間)T1に対するインク吐出速度とインク吐出量の特
性図である。
【0065】図7は、本発明の実施例によるインクジェ
ットヘッドの駆動方法を説明する立ち下がり時間(放電
時間)T1に対するインク滴の飛翔形態拡大図である
(本拡大図は積層圧電素子に電圧が印加されてから一定
の時間が経過した状態である)。
【0066】立ち下がり時間(放電時間)T1は最低T
aより、大きい事が前提であるが、図6に示す領域Iの
ようにT1だけを可変することによってインク吐出速度
50を変化させることなくインク吐出量60だけを変化
させることができる。
【0067】具体的には、図7に示すように立ち下がり
時間T1が、8(μs)〜20(μs)まで、圧力室の
拡大速度を変化させることによって、インク吐出速度を
変化させることなくインク吐出量だけを増減させること
ができる。このように、圧力室の容積拡大速度は圧力室
へインクを供給する量(慣性流れ量)に相関があること
が実験で確認されている。記録媒体上に転写されるイン
ク像の径(ドット径)はインク吐出量の3乗根に比例す
ると仮定すれば、インク量を8倍変化させることによっ
て、ドット径を2倍変化させることも可能である。
【0068】図8は、本発明の実施例によるインクジェ
ットヘッドの駆動方法を説明する立ち上がり時間(充電
時間)T2に対するインク吐出速度とインク吐出量の特
性図である。
【0069】図9は、本発明の実施例によるインクジェ
ットヘッドの駆動方法を説明する立ち上がり時間(充電
時間)T2に対するインク滴の飛翔形態拡大図である
(本拡大図は積層圧電素子に電圧が印加されてから一定
の時間が経過した状態である)。
【0070】立ち上がり時間(充電時間)T2は最低T
aより、大きい事が前提であるが、図8に示すようにT
2だけを可変することによってインク吐出量60を変化
させることなくインク吐出速度50だけを変化させるこ
とができる。
【0071】具体的には図9に示すように立ち上がり時
間T2が、4(μs)〜20(μs)まで変化し、圧力
室の収縮速度を変化させることによって、インク吐出量
を変化させることなくインク吐出速度だけを増減させる
ことができる。インク吐出速度は、このように圧力室の
容積収縮速度に相関があることが実験で確認されてい
る。
【0072】本発明のインクジェットヘッド駆動方法の
特徴はこうした現象を積極的に利用して、駆動回路が発
生する印加電圧を変えることなく、環境温度等によるイ
ンク物性の変化に対して安定した印字品質を確保するこ
とである。
【0073】図10は、本発明の実施例によるインクジ
ェットヘッドの駆動方法を用いたインクジェットヘッド
駆動回路の部分説明図である。
【0074】まず、インクジェットヘッド駆動回路の動
作を説明する。Tr1がONであり、Tr2がOFFで
あれば、電流Ic1が流れ、積層圧電素子20に電荷が充
電される。この時、電子ボリューム80の抵抗値と積層
圧電素子20の静電容量値によって、立ち上がり時間
(充電時間)が決定される。駆動電圧源70の電位と電
荷が充電された積層圧電素子20の間の電位差がなくな
ると、電流Ic1は、流れなくなり、積層圧電素子20の
充電状態が維持される。その後、Tr1がOFFにな
り、Tr2がONになると、電流Ic2が流れて、積層圧
電素子20に充電された電荷が放電される。この時も、
電子ボリューム81の抵抗値と積層圧電素子20の静電
容量値によって、立ち下がり時間(放電時間)が決定さ
れる。こうした動作を繰り返すことによって、図2の電
圧波形21ようなインクジェットヘッドの駆動パルスを
発生させることができる。
【0075】Tr1とTr2のスイッチングは、制御パ
ルス71と制御パルス72でによって行なわれる。これ
らの信号は、一般に印字信号と呼ばれている。
【0076】中央演算装置90は、温度検出回路91
と、インク種類検出信号92を受けて、最適充電時間と
最適放電時間のマトリクスを計算して、充電時間を制御
する電子ボリューム80と、放電時間を制御する電子ボ
リューム81に、制御信号を、シリアルインターフェイ
スで送るものである。
【0077】こうした駆動回路によって、立ち上がり時
間(充電時間)と立ち下がり時間(放電時間)を容易に
設定することができる。よって、図6から図9で説明し
た性質を利用して、環境温度、または、インクの種類
(色種別)の変化に対して安定したインク吐出速度とイ
ンク吐出量を維持し、優れた画像記録装置を実現するこ
とができる。
【0078】
【発明の効果】以上のように、本発明の駆動方法によれ
ば、環境温度、または、インクの種類(色種別)に応じ
て、印加電圧を変化させずに、インク吐出速度と、イン
ク吐出量を自在に可変することによって、優れた印字品
質を有する画像記録装置を低コストにて提供することが
できる。また、こうした優れた性質を本発明による特徴
を有したインクジェットヘッドによって効果的に実現す
ることができるので、より低価格で高性能な画像記録装
置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すインクジェットヘッドの
構造説明図である。
【図2】インクジェットヘッドを駆動する電圧波形と圧
力発生素子の変位挙動を示す関係図である。
【図3】(a)は圧力室の容積が収縮している状態、
(b)は圧力室の容積が拡大している状態を示す説明図
である。
【図4】本発明のインクジェットヘッドを駆動する電圧
波形と圧力室内の体積変化挙動、及びメニスカス挙動を
示す関係図である。
【図5】本発明の実施例を示すインクジェットヘッドの
部分拡大図である。
【図6】本発明の実施例によるインクジェットヘッドの
駆動方法を説明する立ち下がり時間(放電時間)T1に
対するインク吐出速度とインク吐出量の特性図である。
【図7】本発明の実施例によるインクジェットヘッドの
駆動方法を説明する立ち下がり時間(放電時間)T1に
対するインク滴の飛翔形態拡大図である。
【図8】本発明の実施例によるインクジェットヘッドの
駆動方法を説明する立ち上がり時間(放電時間)T2に
対するインク吐出速度とインク吐出量の特性図である。
【図9】本発明の実施例によるインクジェットヘッドの
駆動方法を説明する立ち上がり時間(放電時間)T2に
対するインク滴の飛翔形態拡大図である。
【図10】本発明の実施例によるインクジェットヘッド
の駆動方法を説明する駆動回路の部分説明図である。
【図11】本発明が解決しようとする課題を説明するイ
ンクジェットヘッドに用いられるインクの環境温度に対
する粘度変化を示す特性図である。
【図12】本発明が解決しようとする課題を説明するイ
ンクジェットヘッドに用いられるインクの粘度変化に対
するインク吐出速度とインク吐出量の関係を示す特性図
である。
【図13】本発明が解決しようとする課題を説明するカ
ラーインクジェットヘッドに用いられるインクの種類
(色種別)ごとに環境温度とインク粘度の関係を示す特
性図である。
【符号の説明】
1 ノズル 2 ノズル形成基板 3 流路基板 4 圧力室 8 ベース部材 10 圧力発生素子 20 積層圧電素子 T1 放電時間 T2 充電時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/045 B41J 2/055 B41J 2/205

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するノズルと、これに連通
    する圧力室と、前記圧力室に圧力を発生させる圧力発生
    素子と、前記圧力発生素子に電圧を印加する電圧印加手
    段を有し、前記圧力発生素子が圧電材料と導電材料とを
    交互に積層して成る積層圧電素子にて構成され、かつ前
    記圧力室に満たされるインクの固有振動周期をTcとし
    たとき、該Tcとは異なる前記圧力発生素子の固有振動
    周期Taを有するインクジェットヘッドにおいて、 前記圧力室の容積を拡大してインクを圧力室に充填する
    第1の段階と、前記圧力室の容積を収縮してインクを吐
    出する第2の段階を有し、 前記第1の段階で前記圧力発生素子を駆動するための印
    加電圧の立ち上げまたは立ち下がり時間をT1、前記第
    2の段階で前記圧力発生素子を駆動するための印加電圧
    の立ち下げまたは立ち上がり時間をT2、とするとき、
    T1≧Ta、T2≧Taなる範囲で前記第1の段階にお
    ける圧力室の容積拡大速度と前記第2の段階における圧
    力室の容積収縮速度を、印加電圧を変化させずに任意に
    可変させる手段を有することを特徴とするインクジェッ
    トヘッド。
  2. 【請求項2】 前記電圧印加手段が発生する印加電圧の
    立ち下がり時間あるいは、立ち上がり時間を可変するこ
    とによって前記第1の段階における圧力室の容積拡大速
    度と前記第2の段階における圧力室の容積収縮速度を、
    外部信号に応じて変化させる手段を有することを特徴と
    する請求項1記載のインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 前記外部信号は前記インクジェットヘッ
    ドの環境温度に対応する信号であることを特徴とする請
    求項2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 前記外部信号はインクの種類に対応する
    信号であることを特徴とする請求項2に記載のインクジ
    ェットヘッド。
  5. 【請求項5】 前記積層圧電素子の表面に前記導電材料
    から成る共通電極とセグメント電極を形成することを特
    徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の
    インクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 前記積層圧電素子が、該積層圧電素子の
    ヤング率と比重に対して同等以上のヤング率と比重を有
    する部材にて保持されることを特徴とする請求項1から
    請求項5のいずれか1項に記載のインクジェットヘッ
    ド。
  7. 【請求項7】 インクを吐出するノズルと、これに連通
    する圧力室と、前記圧力室に圧力を発生させる圧力発生
    素子と、前記圧力発生素子に電圧を印加する電圧印加手
    段を有し、前記圧力発生素子が圧電材料と導電材料とを
    交互に積層して成る積層圧電素子にて構成され、かつ前
    記圧力室に満たされるインクの固有振動周期をTcとし
    たとき、該Tcとは異なる前記圧力発生素子の固有振動
    周期Taを有するインクジェットヘッドの駆動方法にお
    いて、前記圧力室の容積を拡大してインクを圧力室に充
    填する第1の段階と、前記圧力室の容積を収縮してイン
    クを吐出する第2の段階を有し、 前記第1の段階で前記圧力発生素子を駆動するための印
    加電圧の立ち上げまたは立ち下がり時間をT1、前記第
    2の段階で前記圧力発生素子を駆動するための印加電圧
    の立ち下げまたは立ち上がり時間をT2、とするとき、
    T1≧Ta、T2≧Taなる範囲で前記第1の段階にお
    ける圧力室の容積拡大速度と前記第2の段階における圧
    力室の容積収縮速度を、印加電圧を変化させずに任意に
    可変させることを特徴とするインクジェットヘッドの駆
    動方法。
  8. 【請求項8】 前記電圧印加手段が発生する印加電圧
    の、立ち下がり時間あるいは、立ち上がり時間を可変す
    ることによって前記第1の段階における圧力室の容積拡
    大速度と前記第2の段階における圧力室の容積収縮速度
    を外部信号に応じて変化させることを特徴とする請求項
    に記載のインクジェットヘッドの駆動方法。
  9. 【請求項9】 前記外部信号は前記インクジェットヘッ
    ドの環境温度に対応する信号であることを特徴とする
    求項8に記載のインクジェットヘッドの駆動方法。
  10. 【請求項10】 前記外部信号はインクの種類に対応す
    る信号であることを特徴とする請求項8に記載のインク
    ジェットヘッドの駆動方法。
  11. 【請求項11】 T1≧Tcなる関係を有することを特
    徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項記載のイ
    ンクジェットヘッド。
  12. 【請求項12】 T1≧Tcなる関係を有することを特
    徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載
    のインクジェットヘッドの駆動方法。
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