JP2001063042A - インクジェット記録ヘッドの駆動方法及びその回路 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドの駆動方法及びその回路

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JP2001063042A JP23779199A JP23779199A JP2001063042A JP 2001063042 A JP2001063042 A JP 2001063042A JP 23779199 A JP23779199 A JP 23779199A JP 23779199 A JP23779199 A JP 23779199A JP 2001063042 A JP2001063042 A JP 2001063042A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電アクチュエータの信頼性及び耐久性を損
なわず、安価・小型の構成で、滴径20μm以下の微小
なインク滴を吐出する。 【解決手段】 開示されるインクジェット記録ヘッドの
駆動方法は、駆動波形信号の波形を、圧力発生室の体積
を増加させる方向に、電圧を印加する第1の電圧変化プ
ロセス81と、圧力発生室の体積を減少させる方向に、
電圧を印加する第2の電圧変化プロセス83とを少なく
とも有して構成し、第1の電圧変化プロセス81での電
圧変化時間tを、圧力発生室内に発生する圧力波の固
有周期Tの略1/3から略2/3までの範囲の長さに
設定すると共に、第2の電圧変化プロセス83の開始時
刻を第1の電圧変化プロセス81の終了時刻の直後に設
定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、インクジェット
記録ヘッドの駆動方法及びその回路に関し、詳しくは、
ノズルを備えたインクジェット記録ヘッドを駆動して、
微小なインク滴をノズルから選択的に吐出させて紙やO
HP(overhead projector)フィルム等の記録媒体に文
字や画像を記録するインクジェット記録ヘッドの駆動方
法及びその回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、インクジェット記録ヘッドの
1つとして、ノズル及びそれに対応した圧力発生室を備
え、この圧力発生室に対応した位置に設けられた圧電ア
クチュエータ等の圧力発生手段に画像データに応じて駆
動波形信号を印加して、インクが充填された圧力発生室
の体積を急激に変化させることにより、ノズルからイン
ク滴を吐出させて紙やOHPフィルム等の記録媒体上に
文字や画像を記録するドロップ・オン・デマンド(drop
on demand)型インクジェット記録ヘッドが広く知られ
ている(例えば、特公昭53−12138号公報や特開
平10−193587号公報参照)。
【0003】図14は、そのようなインクジェット記録
ヘッドのうち、カイザー(Kyser)型と呼ばれるインク
ジェット記録ヘッドの基本構成を示す概略断面図であ
る。この例のインクジェット記録ヘッドは、同図に示す
ように、圧力発生室1と、図示せぬインクタンクと連結
されて圧力発生室1にインクを供給するための共通イン
ク室2と、この共通インク室2と圧力発生室1とを連通
させるためのインク供給孔(インク供給路)3と、イン
ク滴7を吐出させるノズル4と、圧力発生室1の同図中
下板を構成する振動板5と、振動板5の下面に取り付け
られた圧電アクチュエータ6とから概略構成されてい
る。
【0004】このような構成において、記録動作時に
は、画像データに応じて圧電アクチュエータ6を駆動し
て振動板5を変位させ、これにより、圧力発生室1の体
積を急激に変化させて圧力発生室1に圧力波(音響波)
を発生させる。この圧力波によって、圧力発生室内1に
充填されているインクの一部がノズル4を通って外部に
噴射され、インク滴7となって吐出する。吐出したイン
ク滴7は、記録媒体上に着弾し、記録ドットを形成す
る。このような記録ドットの形成を画像データに基づい
て繰り返し行うことにより、記録媒体上に文字や画像が
記録されることになる。
【0005】ところで、この種のインクジェット記録ヘ
ッドにおいては、通常、1個のインク滴が記録媒体上に
着弾して1個の記録ドット(画素)を形成し、記録ドッ
トの径の大きさと画質とは略反比例の関係にある。した
がって、近年の画像品質に対する要求の高まりに応じる
ためには、径の小さい記録ドットを記録媒体上に形成す
る必要がある。粒状感の少ない滑らかな画像(高画質)
を得るための記録ドットの径(ドット径)は、人間の目
の識別能力からすると、40μm以下であるとされ、さ
らに、30μm以下であれば、画像のハイライト部にお
いても個々の記録ドットが目視で認識しづらくなるた
め、画像品質は飛躍的に向上する。
【0006】インク滴の径(滴径)とドット径との関係
は、インク滴の飛翔速度(滴速)、インク物性(粘度、
表面張力)、記録媒体の種類等に依存するが、通常、ド
ット径はインク滴径の2倍程度となる。したがって、3
0μmのドット径を得るには、滴径を15μm程度にす
ることが必要となる。なお、この明細書において、滴径
とは、1回のインク滴の吐出によりノズルから放出され
るインク総量(サテライトを含む)を1個の球状の滴の
径に換算したものを意味する。ここで、サテライトと
は、インク滴(主滴)がノズルから放出される際に、そ
の背後に副次的に形成される小さなインク滴をいう。
【0007】一方、所定の開口径を有するノズルから得
られる滴径の最小値は、その開口径(ノズル径)と同等
程度であることが、経験上わかっている。したがって、
15μmの滴径を得るには、ノズル径を15μm以下と
することが要求される。しかし、ノズル径を15μm以
下にするには、製造面で多くの困難が伴うと共に、ノズ
ルの目詰まりの発生確率が増加するため、インクジェッ
ト記録ヘッドの信頼性及び耐久性が著しく損なわれるこ
ととなる。このため、実際には、20〜25μm程度が
ノズル径の当面の下限である。したがって、滴径が15
μm以下のインク滴を安定的に吐出するのは困難であっ
た。加えて、インク滴の微小化にだけ注目してノズル径
を小さくしていくと、所望の解像度に見合う最大滴径の
インク滴が吐出困難になるという問題も発生する。
【0008】上記した不都合を解決する手段として、従
来から、例えば、特開昭55−17589号公報に開示
されているように、図15に示す逆台形状の駆動波形信
号を圧電アクチュエータに印加して、インク滴の吐出直
前にいわゆる「メニスカス制御」を行うことにより、ノ
ズル径よりも小さなインク滴を吐出させるインクジェッ
ト記録ヘッドの駆動方法が提案されている。
【0009】図15に示す駆動波形信号は、圧力発生室
の体積を増加させるために、基準電圧V(>0V)に
設定されている圧電アクチュエータの印加電圧Vを、例
えば、0Vにまで減少させる第1の電圧変化プロセス8
と、0Vにまで減少した印加電圧Vを暫時(時間t
保持する電圧保持プロセス9と、この後、圧力発生室の
体積を減少させてインク滴を吐出させると共に、次の吐
出動作に備えさせるために、圧電アクチュエータの印加
電圧Vを電圧Vの高さにまで増加させる第2の電圧変
化プロセス10とから構成されている。なお、駆動波形
信号の電圧の増減による圧電アクチュエータの動きは、
圧電アクチュエータの構造や分極方向等に依存するの
で、上記した圧電アクチュエータの動きとは逆向きに動
く圧電アクチュエータも存在するが、この逆動作の圧電
アクチュエータに対しては、駆動波形信号の電圧も逆向
きにすれば、上記したと同様の吐出動作をするので、こ
の明細書においては、説明を簡単にするため、駆動波形
信号の電圧を増加させると圧力発生室の体積が減少し、
駆動波形信号の電圧を減少させると圧力発生室の体積が
増加するように動く圧電アクチュエータを代表させて説
明する。
【0010】図16は、図15に示す駆動波形信号を圧
電アクチュエータに印加した際におけるノズル11の開
口面11aのメニスカス12の動きを模式的に表した図
である。まず、インク滴の吐出が不必要な時は、図16
(a)に示すように、メニスカス12はノズル11の開
口面11aにある。そして、インク滴の吐出が必要にな
った時に、まず、圧力発生室の体積を増加させるため
に、駆動波形信号の第1の電圧変化プロセス8を圧電ア
クチュエータに印加すると、図16(b)に示すよう
に、ノズル11の開口面11aにあったメニスカス12
がノズル11の内部に引き込まれ、メニスカス12の形
状が凹状になる(「引き」のプロセス)。その後、圧力
発生室の体積を減少させるために、駆動波形信号の第2
の電圧変化プロセス10を圧電アクチュエータに印加す
ると、図16(c)に示すように、メニスカス12の中
央部に液柱13が形成され、次いで、液柱13の先端部
が分離して、図16(d)に示すように、インク滴14
が吐出する(「押し」のプロセス)。この時に吐出され
るインク滴14の滴径は、液柱13の太さとほぼ等し
く、ノズル11の径よりも小さい。
【0011】ところが、図15に示す逆台形状の駆動波
形信号を用いた従来のインクジェット記録ヘッドの駆動
方法においては、現実に得られるインク滴の滴径は25
μm程度が限界であり、高画質化の要求に充分に応える
ことができない。そこで、発明者は、図17に示す波形
を有する駆動波形信号を圧電アクチュエータに印加する
ことにより、さらに微小なインク滴の吐出させるインク
ジェット記録ヘッドの駆動方法について、特願平10−
318443号において開示した。図17に示す駆動波
形信号は、圧力発生室の体積を増加させてメニスカスを
後退させるために、基準電圧V(>0V)に設定され
ている圧電アクチュエータの印加電圧Vを、例えば、0
Vにまで減少させる第1の電圧変化プロセス15と、0
Vにまで減少した印加電圧Vを暫時(時間t)保持す
る第1の電圧保持プロセス16と、圧力発生室の体積を
減少させてメニスカスの中央部に液柱を形成させるため
に、圧電アクチュエータの印加電圧Vを電圧Vの高さ
にまで増加させる第2の電圧変化プロセス17と、電圧
にまで増加した印加電圧Vを暫時(時間t)保持
する第2の電圧保持プロセス18と、圧力発生室の体積
を増加させて液柱先端部からインク滴を早期に分離させ
るために、電圧Vに保持された印加電圧Vを、例え
ば、0Vにまで減少させる第3の電圧変化プロセス19
と、0Vにまで減少した印加電圧Vを暫時(時間t
保持する第3の電圧保持プロセス20と、圧力発生室の
体積を減少させてインク滴吐出後に残存する圧力波の残
響を抑止するために、圧電アクチュエータの印加電圧V
を電圧Vの高さにまで増加させる第4の電圧変化プロ
セス21とから構成されている。すなわち、図17に示
す駆動波形信号は、インク滴の早期分離及び残響抑制を
目的とした圧力波制御を従来の「メニスカス制御」方式
に加えたものであり、これにより、滴径が20μm程度
のインク滴を安定に吐出させることができる。
【0012】ところが、図17に示す波形を有する駆動
波形信号を用いた従来のインクジェット記録ヘッドの駆
動方法においては、滴径が20μm以下のインク滴を吐
出させることは困難であり、特に、滴径が15μm以下
のインク滴を吐出させることは不可能である。そこで、
発明者等は、図18に示す波形を有する駆動波形信号を
圧電アクチュエータに印加することにより、滴径が15
μm以下のインク滴の吐出させるインクジェット記録ヘ
ッドの駆動方法について、特願平11−20613号に
おいて開示した。図18に示す駆動波形信号は、圧力発
生室の体積を増加させてメニスカスを後退させるため
に、圧電アクチュエータと振動板とからなる駆動部の固
有振動の固有周期Tよりも大きくかつ圧力発生室内に
発生する圧力波の固有周期Tよりも小さな立ち下げ時
間tで、基準電圧V(>0V)に設定されている圧
電アクチュエータの印加電圧Vを、例えば、電圧(V
−V)にまで減少させる第1の電圧変化プロセス22
と、電圧(V−V)にまで減少した印加電圧Vを暫
時(時間t)保持する第1の電圧保持プロセス23
と、圧力発生室の体積を減少させてメニスカスの中央部
に液柱を形成させるために、固有周期Tよりも小さな
立ち上げ時間tで、圧電アクチュエータの印加電圧V
を電圧(V−V +V)の高さにまで増加させる第
2の電圧変化プロセス24と、電圧(V−V
)にまで増加した印加電圧Vを暫時(時間t)保
持する第2の電圧保持プロセス25と、圧力発生室の体
積を増加させて液柱先端部からインク滴を早期に分離さ
せるために、固有周期Tよりも小さな立ち下げ時間t
で、電圧(V−V+V)に保持された印加電圧
Vを、例えば、0Vにまで減少させる第3の電圧変化プ
ロセス26と、0Vにまで減少した印加電圧Vを暫時
(時間t)保持する第3の電圧保持プロセス27と、
圧力発生室の体積を減少させてインク滴吐出後に残存す
る圧力波の残響を抑止するために、圧電アクチュエータ
の印加電圧Vを基準電圧Vの高さにまで増加させる第
4の電圧変化プロセス28とから構成されている。すな
わち、図18に示す駆動波形信号は、圧電アクチュエー
タ自体の固有振動を利用した吐出メカニズムを従来の
「メニスカス制御」方式に加えたものであり、これによ
り、圧電アクチュエータ自体の固有振動が励起され、メ
ニスカスに周波数の高い振動を発生させることができる
ので、滴径が15μm以下のインク滴を吐出させること
ができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図18に示
す波形を有する駆動波形信号を用いた従来のインクジェ
ット記録ヘッドの駆動方法においては、圧電アクチュエ
ータの変形速度が増加するため、圧電アクチュエータの
信頼性及び耐久性が著しく損なわれることとなる。ま
た、上記したように、圧電アクチュエータ自体の固有振
動を励起するためには、固有周期Tよりも小さな立ち
上げ時間t及び立ち下げ時間t(例えば、1μs)
で、圧電アクチュエータの印加電圧Vを変化させる必要
がある。この場合、瞬間的に大きな電流が圧電アクチュ
エータに流れるため、インクジェット記録ヘッドの駆動
回路、特に、圧電アクチュエータの駆動回路には、瞬間
的に大きな電流を供給できる電流駆動能力の高い半導体
集積回路等の回路部品を用いる必要がある。したがっ
て、回路部品のコストが増大すると共に、大きな電流が
回路に流れることにより発生する発熱量も増大するた
め、放熱対策も必要となる。これにより、インクジェッ
ト記録ヘッドの駆動回路のコスト及びサイズが増大して
しまうという欠点があった。
【0014】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
もので、圧電アクチュエータの信頼性及び耐久性を損な
うことなく、また、安価かつ小型の構成で、滴径20μ
m以下の微小なインク滴を吐出することができるインク
ジェット記録ヘッドの駆動方法及びその回路を提供する
ことを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、インクが充填される圧力発
生室と、該圧力発生室に圧力を発生させる圧力発生手段
と、上記圧力発生室に連通されるノズルとを備え、上記
圧力発生手段に駆動波形信号を印加して、上記圧力発生
室の体積を変化させることにより、上記ノズルからイン
ク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドの駆動方法
に係り、上記駆動波形信号の波形を、上記圧力発生室の
体積を増加させる方向に、電圧を印加する第1の電圧変
化プロセスと、上記圧力発生室の体積を減少させる方向
に、電圧を印加する第2の電圧変化プロセスとを少なく
とも有して構成し、上記第1の電圧変化プロセスでの電
圧変化時間を、上記圧力発生室内に発生する圧力波の固
有周期Tの略1/3から略2/3までの範囲の長さに
設定すると共に、上記第2の電圧変化プロセスの開始時
刻を上記第1の電圧変化プロセスの終了時刻の直後に設
定したことを特徴としている。
【0016】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載のインクジェット記録ヘッドの駆動方法に係り、上記
駆動波形信号の波形における、上記第1の電圧変化プロ
セスでの電圧変化時間を、上記固有周期Tの略1/2
の長さに設定したことを特徴としている。
【0017】また、請求項3記載の発明は、請求項1又
は2記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方法に係
り、上記駆動波形信号の波形における、上記第1の電圧
変化プロセスの終了時刻と上記第2の電圧変化プロセス
の開始時刻との時間間隔を、上記固有周期Tの略1/
5以下の長さに設定したことを特徴としている。
【0018】また、請求項4記載の発明は、請求項1乃
至3のいずれか1に記載のインクジェット記録ヘッドの
駆動方法に係り、上記駆動波形信号の波形における、上
記第2の電圧変化プロセスでの電圧変化時間を、上記固
有周期Tの略1/3以下の長さに設定したことを特徴
としている。
【0019】また、請求項5記載の発明は、請求項1乃
至4のいずれか1に記載のインクジェット記録ヘッドの
駆動方法に係り、上記駆動波形信号の波形に、上記第2
の電圧変化プロセスに次いで、上記圧力発生室の体積を
増加させる方向に、電圧を印加する第3の電圧変化プロ
セスを含ませることを特徴としている。
【0020】また、請求項6記載の発明は、請求項5記
載のインクジェット記録ヘッドの駆動方法に係り、上記
駆動波形信号の波形における、上記第3の電圧変化プロ
セスでの電圧変化時間を、上記固有周期Tの略1/3
以下の長さに設定したことを特徴としている。
【0021】また、請求項7記載の発明は、請求項5又
は6記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方法に係
り、上記駆動波形信号の波形における、上記第2の電圧
変化プロセスの終了時刻と上記第3の電圧変化プロセス
の開始時刻との時間間隔を、上記固有周期Tの略1/
5以下の長さに設定したことを特徴としている。
【0022】また、請求項8記載の発明は、請求項5乃
至7のいずれか1に記載のインクジェット記録ヘッドの
駆動方法に係り、上記駆動波形信号の波形における、上
記第3の電圧変化プロセスでの電圧変化量を上記第2の
電圧変化プロセスでの電圧変化量よりも大きく設定した
ことを特徴としている。
【0023】また、請求項9記載の発明は、請求項5乃
至8のいずれか1に記載のインクジェット記録ヘッドの
駆動方法に係り、上記駆動波形信号の波形に、上記第3
の電圧変化プロセスに次いで、上記圧力発生室の体積を
減少させる方向に、電圧を印加する第4の電圧変化プロ
セスを含ませることを特徴としている。
【0024】また、請求項10記載の発明は、請求項9
記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方法に係り、上
記駆動波形信号の波形における、上記第4の電圧変化プ
ロセスでの電圧変化時間を、上記固有周期Tの略1/
2以下の長さに設定したことを特徴としている。
【0025】また、請求項11記載の発明は、請求項9
又は10記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方法に
係り、上記駆動波形信号の波形における、上記第3の電
圧変化プロセスの終了時刻と上記第4の電圧変化プロセ
スの開始時刻との時間間隔を、上記固有周期Tの略1
/3以下の長さに設定したことを特徴としている。
【0026】また、請求項12記載の発明は、請求項1
乃至11のいずれか1に記載のインクジェット記録ヘッ
ドの駆動方法に係り、上記固有周期Tは、15μs以
下であることを特徴としている。
【0027】また、請求項13記載の発明は、請求項1
乃至12のいずれか1に記載のインクジェット記録ヘッ
ドの駆動方法に係り、上記圧力発生手段は、電気機械変
換素子であることを特徴としている。
【0028】また、請求項14記載の発明は、請求項1
3記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方法に係り、
上記電気機械変換素子は、圧電アクチュエータであるこ
とを特徴としている。
【0029】また、請求項15記載の発明は、インクが
充填される圧力発生室と、該圧力発生室に圧力を発生さ
せる圧力発生手段と、上記圧力発生室に連通されるノズ
ルとを備え、上記圧力発生手段に駆動波形信号を印加し
て、上記圧力発生室の体積を変化させることにより、上
記ノズルからインク滴を吐出させるインクジェット記録
ヘッドの駆動回路に係り、上記圧力発生室の体積を増加
させる方向に、電圧を印加する第1の電圧変化プロセス
と、上記圧力発生室の体積を減少させる方向に、電圧を
印加する第2の電圧変化プロセスとを少なくとも有して
構成され、上記第1の電圧変化プロセスでの電圧変化時
間が、上記圧力発生室内に発生する圧力波の固有周期T
の略1/3から略2/3までの範囲の長さに設定され
ると共に、上記第2の電圧変化プロセスの開始時刻を上
記第1の電圧変化プロセスの終了時刻の直後に設定され
た波形を有する駆動波形信号を発生する波形発生手段を
備えてなることを特徴としている。
【0030】また、請求項16記載の発明は、請求項1
5記載のインクジェット記録ヘッドの駆動回路に係り、
上記波形発生手段は、上記第1の電圧変化プロセスでの
電圧変化時間が、上記固有周期Tの略1/2の長さに
設定された波形を有する駆動波形信号を発生することを
特徴としている。
【0031】また、請求項17記載の発明は、請求項1
5又は16記載のインクジェット記録ヘッドの駆動回路
に係り、上記波形発生手段は、上記第1の電圧変化プロ
セスの終了時刻と上記第2の電圧変化プロセスの開始時
刻との時間間隔が、上記固有周期Tの略1/5以下の
長さに設定された波形を有する駆動波形信号を発生する
ことを特徴としている。
【0032】また、請求項18記載の発明は、請求項1
5乃至17のいずれか1に記載のインクジェット記録ヘ
ッドの駆動回路に係り、上記波形発生手段は、上記第2
の電圧変化プロセスでの電圧変化時間が、上記固有周期
の略1/3以下の長さに設定された波形を有する駆
動波形信号を発生することを特徴としている。
【0033】また、請求項19記載の発明は、請求項1
5乃至18のいずれか1に記載のインクジェット記録ヘ
ッドの駆動回路に係り、上記波形発生手段は、上記第2
の電圧変化プロセスに次いで、上記圧力発生室の体積を
増加させる方向に、電圧を印加する第3の電圧変化プロ
セスを含んだ波形を有する駆動波形信号を発生すること
を特徴としている。
【0034】また、請求項20記載の発明は、請求項1
9記載のインクジェット記録ヘッドの駆動回路に係り、
上記波形発生手段は、上記第3の電圧変化プロセスでの
電圧変化時間が、上記固有周期Tの略1/3以下の長
さに設定された波形を有する駆動波形信号を発生するこ
とを特徴としている。
【0035】また、請求項21記載の発明は、請求項1
9又は20記載のインクジェット記録ヘッドの駆動回路
に係り、上記波形発生手段は、上記第2の電圧変化プロ
セスの終了時刻と上記第3の電圧変化プロセスの開始時
刻との時間間隔が、上記固有周期Tの略1/5以下の
長さに設定された波形を有する駆動波形信号を発生する
ことを特徴としている。
【0036】また、請求項22記載の発明は、請求項1
9乃至21のいずれか1に記載のインクジェット記録ヘ
ッドの駆動回路に係り、上記波形発生手段は、上記第3
の電圧変化プロセスでの電圧変化量が上記第2の電圧変
化プロセスでの電圧変化量よりも大きく設定された波形
を有する駆動波形信号を発生することを特徴としてい
る。
【0037】また、請求項23記載の発明は、請求項1
9乃至22のいずれか1に記載のインクジェット記録ヘ
ッドの駆動回路に係り、上記波形発生手段は、上記第3
の電圧変化プロセスに次いで、上記圧力発生室の体積を
減少させる方向に、電圧を印加する第4の電圧変化プロ
セスを含んだ波形を有する駆動波形信号を発生すること
を特徴としている。
【0038】また、請求項24記載の発明は、請求項2
3記載のインクジェット記録ヘッドの駆動回路に係り、
上記波形発生手段は、上記第4の電圧変化プロセスでの
電圧変化時間が、上記固有周期Tの略1/2以下の長
さに設定された波形を有する駆動波形信号を発生するこ
とを特徴としている。
【0039】また、請求項25記載の発明は、請求項2
3又は24記載のインクジェット記録ヘッドの駆動回路
に係り、上記波形発生手段は、上記第3の電圧変化プロ
セスの終了時刻と上記第4の電圧変化プロセスの開始時
刻との時間間隔が、上記固有周期Tの略1/3以下の
長さに設定された波形を有する駆動波形信号を発生する
ことを特徴としている。
【0040】また、請求項26記載の発明は、請求項1
5乃至25のいずれか1に記載のインクジェット記録ヘ
ッドの駆動回路に係り、上記固有周期Tは、15μs
以下であることを特徴としている。
【0041】また、請求項27記載の発明は、請求項1
5乃至26のいずれか1に記載のインクジェット記録ヘ
ッドの駆動回路に係り、上記圧力発生手段は、電気機械
変換素子であることを特徴としている。
【0042】また、請求項28記載の発明は、請求項2
7記載のインクジェット記録ヘッドの駆動回路に係り、
上記電気機械変換素子は、圧電アクチュエータであるこ
とを特徴としている。
【0043】
【作用】この発明の構成によれば、圧電アクチュエータ
の信頼性及び耐久性を損なうことなく、また、安価かつ
小型の構成で、滴径20μm以下の微小なインク滴を吐
出することができる。
【0044】
【発明の理論的妥当性】まず、集中定数系等価回路モデ
ルを用いて、この発明の妥当性の理論的根拠について説
明する。図9(a)は、図1(a)に示すインクジェッ
ト記録ヘッドのインク充填状態における等価回路図であ
る。図9において、mは圧電アクチュエータ36と振
動板35とからなる駆動部のイナータンス(音響質量)
[kg/m]、mはインク供給孔33のイナータン
ス、mはノズル34のイナータンス、rは駆動部の
音響抵抗[Ns/m]、rはインク供給孔33の音
響抵抗、rはノズル34の音響抵抗、cは駆動部の
音響容量[m/N]、cは圧力発生室31の音響容
量、cはノズル34の音響容量、uは圧力発生室3
1における体積速度[m/s]、uはインク供給孔
33における体積速度、uはノズル34における体積
速度、φはインクに与えられる圧力[Pa]を表してい
る。ここで、圧電アクチュエータ36に高剛性の積層型
圧電アクチュエータを使用するとすれば、駆動部のイナ
ータンスm、音響抵抗r及び音響容量cは無視で
きる。また、圧力波の解析時には、ノズル34の音響容
量cも無視できる。したがって、図9(a)の等価回
路は、近似的に、図9(b)の等価回路で表される。ま
た、インク供給孔33とノズル34のイナータンス
,mとの間で、m =kmの関係式が、インク
供給孔33とノズル34の音響抵抗r,rとの間
で、r=krの関係式がそれぞれ成り立つと仮定し
て、図10(a)に示すように、立ち上がり角度θを持
つ駆動波形信号を入力した場合について回路解析を行う
と、0≦t≦tの立ち上がり時間内におけるノズル3
4における粒子速度v'[m/s]は、式(1)で与
えられる。式(1)において、Aはノズル34の開口
部の面積であり、ノズル34における粒子速度v'
は、ノズル34における体積速度uをノズル34の開
口部の面積Aで除した値をいう。
【0045】
【数1】
【0046】次に、図10(b)に示すような、複雑な
形状(台形状)の駆動波形信号を用いた場合の粒子速度
は、駆動波形信号の節部(A,B,C,Dの各点)で発
生する圧力波を重ね合わせてゆくことによって求めるこ
とができる。すなわち、図10(b)の駆動波形信号を
用いた場合に発生する、ノズル34における粒子速度v
[m/s]は、式(2)で与えられる。
【0047】
【数2】
【0048】ここで、図11に示す駆動波形信号を用い
た場合の粒子速度の時間変化を、式(1)の振動成分の
みを考慮して、式(2)を用いて求めた結果を図12に
示す。図11に示す駆動波形信号は、圧力発生室の体積
を増加させてメニスカスを後退させるために、基準電圧
(>0V)に設定されている圧電アクチュエータの
印加電圧Vを、例えば、0Vにまで減少させる第1の電
圧変化プロセス41と、0Vにまで減少した印加電圧V
を暫時(時間t)保持する電圧保持プロセス42と、
この後、圧力発生室の体積を減少させてインク滴を吐出
させると共に、次の吐出動作に備えさせるために、圧電
アクチュエータの印加電圧Vを電圧Vの高さにまで増
加させる第2の電圧変化プロセス43とを有している。
図12において、各細線a〜dは、図11に示す駆動波
形信号の各節部A,B,C,Dにおいてそれぞれ発生す
る粒子速度の時間変化を表しており、太線sは、各粒子
速度を重ね合わせた合計の粒子速度の時間変化、すなわ
ち、実際にメニスカスにおいて生じる粒子速度の時間変
化を表している。
【0049】(1) 図11に示す駆動波形信号におい
て、時間tを圧力発生室内に発生する圧力波の固有周
期T(=2π/E)の1/2に設定すると共に、時
間tを極めて短く設定した場合、図12(a)に示す
ように、節部A,B,Cにおいて発生する粒子速度の時
間変化の位相はほぼ一致する。そのため、時間範囲(t
>t+t)では、粒子速度の非常に急激な増加が生
じる。次に、このような粒子速度に非常に急激な変化が
生じた際のメニスカスの形状変化について、図12及び
図13を参照して、説明する。図12(a)に示す粒子
速度の時間変化がメニスカス54に加わると、時間範囲
において、メニスカス54はノズル51の開口面か
らノズル51の内部に引き込まれ、凹状となる。次に、
時間範囲Tにおいて、メニスカス54はノズル51の
外側に向かって押し出される。上記したように、メニス
カス54を凹状にした状態でメニスカス54に「押し」
を加えると、メニスカス54の中央部に細い液柱52が
形成される。
【0050】この液柱52の形成メカニズムについて詳
細に検討された例はないが、発明者等は、インク滴の吐
出観察実験及び流体解析によって、形成される液注52
の太さがメニスカス54を押し出す際の液面の速度に依
存することを明らかにした。すなわち、凹状のメニスカ
ス54に対して、ノズル51の外側に向かって押し出す
ように圧力を加えると、図13に示すように、メニスカ
ス54の各部は液面の法線方向(図中矢印)に移動しよ
うとする。その結果、ノズル51の中央部に多量のイン
クが集中し、この局所的なインクの体積の増加によって
ノズル51の中央部に液注52が形成される。この時、
液面の移動速度が速い場合には、ノズル51の中央部で
のインクの体積が増加する速度も大きくなるため、非常
に細い液注52が速い成長速度で形成される(図13
(a)参照)。これに対し、液面の移動速度が遅い場合
には、ノズル51の中央部でのインクの体積が増加する
速度も小さくなるため、液注52は太くなり、成長速度
も遅くなる(図13(b)参照)。
【0051】なお、上記したように、「メニスカス制
御」方式を用いてノズル51から吐出されるインク滴5
3の滴径は、形成される液柱52の太さとほぼ等しい。
また、インク滴の飛翔速度(滴速)は、液柱52の成長
速度とほぼ等しい。したがって、微小なインク滴を高速
で吐出させるためには、「押し」のプロセスの際の液面
移動速度を増加させ、ノズル51の中央部において急激
なインクの体積増加を生じさせることが重要な条件とな
る。
【0052】上記した観点から考察すると、図11に示
す駆動波形信号において、時間tを固有周期Tの1
/2に設定すると共に、時間tを極めて短く設定する
ことは、微小なインク滴を吐出するために非常に有利な
条件となる。すなわち、このような条件の下では、図1
2(a)に示すように、図11に示す駆動波形信号の節
部A,B,Cにおいて発生する粒子速度の時間変化の位
相はほぼ一致するので、時間範囲(t>t+t)で
は、粒子速度が急激に増加し、液面の移動速度が大きく
なる。そのため、ノズル51の中央部において急激なイ
ンクの体積増加が生じるので、細い液柱52が形成さ
れ、その結果、非常に微小なインク滴53を高速で吐出
させることが可能となる。つまり、液柱52の形成時に
メニスカス54の液面の移動速度を急激に増加させるこ
とが、微小なインク滴53を吐出させる上で重要な条件
となるのである。
【0053】(2) 一方、図11に示す駆動波形信号
において、時間tを固有周期Tの1/2に設定しな
かった場合には、図12(b)に示すように、節部A,
B,Cにおいて発生する粒子速度の時間変化の位相は一
致しなくなり、各粒子速度を重ね合わせた合計の粒子速
度の時間変化(太線s)は、非常に緩慢な変化となって
しまう。すなわち、時間tが固有周期Tの1/2よ
り短い場合には、節部Aによって発生した粒子速度が負
であるうちに節部Bによって正の粒子速度が発生してし
まうため、両者が相殺し合い、メニスカス54の液面の
移動速度の増加が鈍化してしまう。一方、時間tが固
有周期Tの1/2より長い場合には、節部Bによって
正の粒子速度が発生する前に節部Aによって発生した粒
子速度が正となってしまうため、やはり、メニスカス5
4の液面の移動速度の急激な増加を得ることができなく
なる。このような条件の下では、ノズル51の中央部に
おいて急激なインクの体積増加が発生し難くなるため、
形成される液柱52の太さは太くなり、その結果、吐出
されるインク滴53の滴径は大きく、滴速も遅くなって
しまう(図13(b)参照)。したがって、高画質記録
に要求される滴径20μm以下の微小なインク滴を得る
ことは不可能になる。
【0054】以上説明したように、「メニスカス制御」
方式を用いてノズル51から吐出されるインク滴53の
滴径及び滴速は、図11に示す駆動波形信号における第
1の電圧変化プロセス41の電圧変化時間tと、第1
の電圧変化プロセス41の終了時刻と第2の電圧変化プ
ロセス43の開始時刻との時間間隔、すなわち、電圧保
持プロセス42での電圧保持時間tとに大きく依存
し、電圧変化時間tを固有周期Tの約1/2に設定
すると共に、電圧保持時間tを充分短く設定すること
により、非常に微小な滴径のインク滴を高速で吐出させ
ることができる。なお、この場合、圧電アクチュエータ
自体の固有振動を利用しないので、圧電アクチュエータ
の信頼性及び耐久性が損なわれることはなく、また、イ
ンクジェット記録ヘッドの駆動回路、特に、圧電アクチ
ュエータの駆動回路は、従来の構成と特に変わることは
ないため、インクジェット記録ヘッドの駆動回路のコス
トやサイズが増大することはない。
【0055】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用い
て具体的に行う。 A.第1の実施例 まず、この発明の第1の実施例について説明する。図1
(a)は、この発明の第1の実施例であるインクジェッ
ト記録ヘッドの駆動方法を適用したインクジェット記録
装置に搭載されるインクジェット記録ヘッドの構成の一
例を示す断面図、同図(b)は、同インクジェット記録
ヘッドを分解して示す分解断面図である。この例のイン
クジェット記録ヘッドは、図1(a)に示すように、必
要に応じてインク滴37を吐出させて、記録媒体上に文
字や画像を印刷するドロップ・オン・デマンド・カイザ
ー型マルチノズル式記録ヘッドに係り、図1に示すよう
に、細長立方体形状にそれぞれ形成され、かつ、図中紙
面垂直方向に並べられた複数の圧力発生室31と、各圧
力発生室31の図中底面を構成する振動板35と、この
振動板35の裏面に、かつ、各圧力発生室31に対応し
て並設された複数の圧電アクチュエータ36と、図示せ
ぬインクタンクと連結されて、各圧力発生室31にイン
クを供給するための共通インク室(インクプール)32
と、この共通インク室32と各圧力発生室31とを一対
一に連通させるための複数のインク供給孔(インク供給
路)33と、各圧力発生室31と一対一に設けられ、各
圧力発生室31の屈曲上方に突起した先端部からインク
滴37を吐出させる複数のノズル34とから概略構成さ
れている。ここで、共通インク室32、インク供給孔3
3、圧力発生室31及びノズル34によって、インクが
この順に移動する流路部が形成され、圧電アクチュエー
タ36と振動板35とから、圧力発生室31内のインク
に圧力波を加える駆動部が構成され、流路部と駆動部と
の接点が、圧力発生室31の底面(すなわち、振動板3
5の図中上面)となっている。
【0056】圧電アクチュエータ36は、圧電定数d
33を利用した縦振動モードであって、積層型圧電セラ
ミックスからなり、その圧力発生室31に変位を加える
ための駆動柱の形状は、長さ(L)が690μm、幅
(W)が1.8μm、奥行き長さ(図1の紙面垂直方向
の長さ)が120μmである。圧電アクチュエータ36
を構成する圧電材料には、その密度ρが8.0×10
[kg/m]、その弾性係数Eが68GPaであ
るものを用いている。そして、実測した圧電アクチュエ
ータ36自体の固有周期Tは、1.0μsであった。
【0057】この実施例のヘッド製造工程では、図1
(b)に示すように、精密プレス加工で円形に穿孔され
ることで、複数のノズル34が列状に又は千鳥状に配列
されたノズルプレート34aと、共通インク室32の空
間部が形成されたプールプレート32aと、インク供給
孔33が穿孔された供給孔プレート33aと、複数の圧
力発生室31の空間部が形成された圧力発生室プレート
31aと、複数の振動板35を構成する振動プレート3
5aとを予めエッチング等により穿孔加工して用意した
後、これらのプレート31a〜35aを厚さ約5μmの
図示せぬ熱硬化性樹脂による接着剤層を用いて接着接合
して積層プレートを作成し、次に、作成された積層プレ
ートと圧電アクチュエータ36とを熱硬化性樹脂による
接着剤層やエポキシ系接着剤層を用いて接合すること
で、上記構成のインクジェット記録ヘッドを製造するこ
とが行われる。なお、この例では、振動プレート35a
には、電鋳(エレクトロフォーミング)で成形された厚
さ50〜75μmのニッケル板が用いられるのに対し、
他のプレート31a〜34aには、厚さ50〜75μm
のステンレス板が用いられる。また、この例のノズル3
4は、開口径略30μm、裾径略65μm、長さ略75
μmとされ、圧力発生室31側に向かって径が徐々に増
加するテーパ形状に形成されている。また、インク供給
孔33も、ノズル34と同一形状に形成されている。
【0058】次に、図2及び図3を参照して、この例の
インクジェット記録装置を構成して、上記構成のインク
ジェット記録ヘッドを駆動する駆動回路の電気的構成に
ついて説明する。この例のインクジェット記録装置は、
図示せぬCPU(中央処理装置)やROMやRAM等の
メモリを有している。CPUは、ROMに記憶されたプ
ログラムを実行して、RAMに確保された各種レジスタ
やフラグを用いて、インターフェイスを介してパーソナ
ル・コンピュータ等の上位装置から供給された画像デー
タに基づいて、記録媒体上に文字や画像を記録するため
に、装置各部を制御する。
【0059】まず、図2に示す駆動回路は、図4に示す
増幅駆動波形信号に対応した駆動波形信号を発生して電
力増幅した後、圧電アクチュエータ36に供給して駆動
することにより、滴径が常に略同じインク滴37を吐出
させて、記録媒体上に文字や画像を記録させるもので、
波形発生回路61と、増幅回路62と、スイッチング回
路63とから概略構成されている。波形発生回路61
は、デジタル・アナログ変換回路と積分回路とから構成
され、CPUによりROMの所定の記憶エリアから読み
出された駆動波形データをアナログ変換した後、積分処
理して図4に示す増幅駆動波形信号に対応した駆動波形
信号を生成する。増幅回路62は、波形発生回路61か
ら供給された駆動波形信号を電力増幅して、図4に示す
増幅駆動波形信号として出力する。スイッチング回路6
3は、例えば、トランスファ・ゲートからなり、入力端
が増幅回路62の出力端に接続され、出力端が圧電アク
チュエータ36の一端に接続され、制御端に、図示せぬ
駆動制御回路において画像データに基づいて生成され、
供給された制御信号が入力されると、オンとなって、増
幅回路62から出力される増幅駆動波形信号(図4参
照)を圧電アクチュエータ36に印加する。圧電アクチ
ュエータ36は、このとき、印加される増幅駆動波形信
号に応じた変位を振動板35に与え、振動板35の変位
により、圧力発生室31を急激に体積変化(増加・減
少)させて、インクが充填された圧力発生室31に所定
の圧力波を発生させ、この圧力波によってノズル34か
ら滴径が20μm程度の微小なインク滴37を吐出させ
る。なお、この実施例のインクジェット記録ヘッドで
は、インクが充填された圧力発生室31内における圧力
波の固有周期Tは、10μsである。吐出したインク
滴37は、記録媒体上に着弾し、記録ドットを形成す
る。このような記録ドットの形成を画像データに基づい
て繰り返し行うことにより、記録媒体上に文字や画像が
2値記録される。
【0060】次に、図3に示す駆動回路は、ノズル34
から吐出するインク滴の滴径を多段階(この例では、滴
径40μm程度の大滴、30μm程度の中滴、20μm
程度の小滴の3段階)に切り替えて、多階調で記録媒体
上に文字や画像を記録させる、いわゆる滴径変調型の駆
動回路であり、滴径に応じた3種類の波形発生回路71
a,71b,71cと、これらの波形発生回路71a,
71b,71cと一対一に接続された増幅回路72a,
72b,72cと、圧電アクチュエータ36,36,…
と一対一に接続された複数個のスイッチング回路73,
73,…とから概略構成されている。波形発生回路71
a〜71cは、いずれも、デジタル・アナログ変換回路
と積分回路とから構成され、これらの波形発生回路71
a〜71cのうち、波形発生回路71aは、CPUによ
りROMの所定の記憶エリアから読み出された大滴吐出
用の駆動波形データをアナログ変換した後、積分処理し
て大滴吐出用の駆動波形信号を生成する。波形発生回路
71bは、CPUによりROMの所定の記憶エリアから
読み出された中滴吐出用の駆動波形データをアナログ変
換した後、積分処理して中滴吐出用の駆動波形信号を生
成する。また、波形発生回路71cは、CPUによりR
OMの所定の記憶エリアから読み出された小滴吐出用の
駆動波形データをアナログ変換した後、積分処理して図
4に示す増幅駆動波形信号に対応した小滴吐出用の駆動
波形信号を生成する。増幅回路72aは、波形発生回路
71aから供給された大滴吐出用の駆動波形信号を電力
増幅して大滴吐出用の増幅駆動波形信号として出力す
る。増幅回路72bは、波形発生回路71bから供給さ
れた中滴吐出用の駆動波形信号を電力増幅して中滴吐出
用の増幅駆動波形信号として出力する。また、増幅回路
72cは、波形発生回路71cから供給された小滴吐出
用の駆動波形信号を電力増幅して小滴吐出用の増幅駆動
波形信号(図4参照)として出力する。
【0061】また、スイッチング回路73は、図示せぬ
第1,第2,第3のトランスファ・ゲートから構成さ
れ、第1のトランスファ・ゲートの入力端が増幅回路7
2aの出力端に接続され、第2のトランスファ・ゲート
の入力端が増幅回路72bの出力端に接続され、第3の
トランスファ・ゲートの入力端が増幅回路72cの出力
端に接続され、第1,第2,第3のトランスファ・ゲー
トの出力端が対応する共通の圧電アクチュエータ36の
一端に接続されている。そして、図示せぬ駆動制御回路
において画像データに基づいて生成された階調制御信号
が第1のトランスファ・ゲートの制御端に供給される
と、第1のトランスファ・ゲートがオンとなって増幅回
路72aから出力される大滴吐出用の増幅駆動波形信号
を圧電アクチュエータ36に印加する。圧電アクチュエ
ータ36は、このとき、印加される増幅駆動波形信号に
応じた変位を振動板35に与え、この振動板35の変位
により、圧力発生室31を急激に体積変化(増加・減
少)させて、インクが充填された圧力発生室31に所定
の圧力波を発生させ、この圧力波によってノズル34か
ら大滴のインク滴37を吐出させる。図示せぬ駆動制御
回路において画像データに基づいて生成された階調制御
信号が第2のトランスファ・ゲートの制御端に供給され
ると、第2のトランスファ・ゲートがオンとなって増幅
回路72bから出力される中滴吐出用の増幅駆動波形信
号を圧電アクチュエータ36に印加する。圧電アクチュ
エータ36は、このとき、印加される増幅駆動波形信号
に応じた変位を振動板35に与え、振動板35の変位に
より、圧力発生室31を急激に体積変化(増加・減少)
させて、インクが充填された圧力発生室31に所定の圧
力波を発生させ、この圧力波によってノズル34から中
滴のインク滴37を吐出させる。また、図示せぬ駆動制
御回路において画像データに基づいて生成された階調制
御信号が第3のトランスファ・ゲートの制御端に供給さ
れると、第3のトランスファ・ゲートがオンとなって増
幅回路72cから出力される小滴吐出用の増幅駆動波形
信号(図4参照)を圧電アクチュエータ36に印加す
る。圧電アクチュエータ36は、このとき、印加される
増幅駆動波形信号に応じた変位を振動板35に与え、振
動板35の変位により、圧力発生室31を急激に体積変
化(増加・減少)させて、インクが充填された圧力発生
室31内に所定の圧力波を発生させ、この圧力波によっ
てノズル34から小滴のインク滴37を吐出させる。吐
出したインク滴37は、記録媒体上に着弾し、記録ドッ
トを形成する。このような記録ドットの形成を画像デー
タに基づいて繰り返し行うことにより、記録媒体上に文
字や画像が多階調記録される。この実施例では、2値記
録専用のインクジェット記録装置には、図2の駆動回路
が組み込まれ、階調記録も行うインクジェット記録装置
には、図3の駆動回路が組みまれる。
【0062】上記した増幅駆動波形信号は、図4に示す
ように、圧力発生室31の体積を増加させてメニスカス
を後退させるために、圧力発生室31内に発生する圧力
波の固有周期Tの1/2の立ち下げ時間tで、基準
電圧Vに設定されている圧電アクチュエータ36の印
加電圧Vを、電圧(V−V)にまで減少させる第1
の電圧変化プロセス81と、電圧(V−V)にまで
減少した印加電圧Vを暫時(時間t)保持する第1の
電圧保持プロセス82と、圧力発生室31の体積を減少
させてメニスカスの中央部に液柱を形成させるために、
立ち上げ時間t で、圧電アクチュエータ36の印加電
圧Vを電圧(V−V+V)の高さにまで増加させ
る第2の電圧変化プロセス83と、電圧(V−V
)にまで増加した印加電圧Vを暫時(時間t)保
持する第2の電圧保持プロセス84と、圧力発生室31
の体積を減少させてインク滴37を吐出させると共に、
次の吐出動作に備えさせるために、圧電アクチュエータ
36の印加電圧Vを基準電圧Vの高さにまで増加させ
る第3の電圧変化プロセス85とから構成されている。
【0063】次に、この例のインクジェット記録ヘッド
の駆動方法について、以下に示す駆動波形信号の波形条
件でインク滴37の吐出実験を行った。すなわち、 基準電圧V=25V 第1の電圧変化プロセス81での電圧変化量V=15V 第2の電圧変化プロセス83での電圧変化量V=12V 第1の電圧変化プロセス81での電圧変化時間t=5μs 第1の電圧保持プロセス82での電圧保持時間t=0.3μs 第2の電圧変化プロセス83での電圧変化時間t=1.5μs 第2の電圧保持プロセス84での電圧保持時間t=6μs 第3の電圧変化プロセス85での電圧変化時間t=20μs にそれぞれ設定し、第1の電圧変化プロセス81での電
圧変化時間tを変化させて、滴径の変化を調べた。な
お、電圧保持時間tは、式(3)を満足するように設
定し、第1の電圧変化プロセス81での電圧変化量V
は、メニスカス後退時の後退量が一定になるように設定
し、第2の電圧変化プロセス83での電圧変化量V
は、常に、滴速が6m/sとなるようにそれぞれ調整
した。
【0064】
【数3】t+t=1/2T…(3)
【0065】図5は、第1の電圧変化プロセス81での
電圧変化時間tとインク滴37の滴径との関係を示す
特性図である。図5を参照すると、電圧変化時間t
圧力発生室31内に発生する圧力波の固有周期Tの1
/2である時、インク滴37の滴径が最小となり、微小
なインク滴を吐出させるのに最適な条件であることが分
かる。実験では、滴径21μmのインク滴が滴速6.2
m/sで吐出されることが観察された。これに対し、比
較のために、図4に示す増幅駆動波形信号において、電
圧変化時間tを2μsに設定すると共に、電圧保持時
間tを3μsに設定してインク滴37の吐出実験を行
った結果、電圧変化量V及びV等をどのように調整
しても、吐出可能なインク滴の最小滴径は、25μmで
あった。
【0066】なお、図5から分かるように、電圧変化時
間tは、固有周期Tの1/2に完全に一致させる必
要はなく、固有周期Tの1/2にほぼ一致していれ
ば、微小なインク滴を吐出させることができる。具体的
には、電圧変化時間tは、式(4)を満足することが
望ましい。
【0067】
【数4】1/3T≦t≦2/3T…(4)
【0068】また、第1の電圧保持プロセス82での電
圧保持時間tは、図4に示す節部B及び節部Cによっ
て発生する粒子速度の位相を一致させるために、可能な
限り短いことが望ましいが、式(5)を満足するのであ
れば、微小なインク滴を吐出させることができる。
【0069】
【数5】t≦1/5T…(5)
【0070】さらに、第2の電圧変化プロセス83での
電圧変化時間tは、液柱形成に充分な粒子速度がメニ
スカスに生じるように可能な限り短いことが望ましい。
具体的には、電圧変化時間tは、式(6)を満足する
ことが望ましい。
【0071】
【数6】t≦1/3T…(6)
【0072】このように、この例の構成によれば、図4
に示す増幅駆動波形信号において、電圧変化時間t
固有周期Tの約1/2に設定すると共に、電圧保持時
間t を充分短く設定することにより、滴径20μm程
度の微小なインク滴を安定して吐出させることができ
る。なお、この場合、図18に示す従来の駆動波形信号
における立ち上げ時間tや立ち下げ時間tのよう
に、図4に示す増幅駆動波形信号における電圧変化時間
,t,tを圧電アクチュエータ36自体の固有
周期Tよりも短く設定する必要がない。したがって、
圧電アクチュエータ36自体の固有振動が励起されない
ので、圧電アクチュエータ36に流れる電流が増大した
り、圧電アクチュエータの信頼性及び耐久性が損なわれ
ることはない。
【0073】B.第2の実施例 次に、この発明の第2の実施例について説明する。図6
は、この発明の第2の実施例であるインクジェット記録
ヘッドの駆動方法に採用される増幅駆動波形信号の波形
プロファイルの一例を示す図である。この第2の実施例
では、増幅駆動波形信号は、図6に示すように、圧力発
生室31の体積を増加させてメニスカスを後退させるた
めに、圧力発生室31内に発生する圧力波の固有周期T
の1/2の立ち下げ時間tで、基準電圧Vに設定
されている圧電アクチュエータ36の印加電圧Vを、電
圧(V−V)にまで減少させる第1の電圧変化プロ
セス86と、電圧(V−V)にまで減少した印加電
圧Vを暫時(時間t)保持する第1の電圧保持プロセ
ス87と、圧力発生室31の体積を減少させてメニスカ
スの中央部に液柱を形成させるために、立ち上げ時間t
で、圧電アクチュエータ36の印加電圧Vを電圧(V
−V+V)の高さにまで増加させる第2の電圧変
化プロセス88と、電圧(V−V+V)にまで増
加した印加電圧Vを暫時(時間t)保持する第2の電
圧保持プロセス89と、圧力発生室31の体積を増加さ
せて液柱先端部からインク滴37を早期に分離させるた
めに、立ち下げ時間tで、電圧(V−V+V
に保持された印加電圧Vを、電圧(V−V)にまで
減少させる第3の電圧変化プロセス90と、電圧(V
−V)にまで減少した印加電圧Vを暫時(時間t
保持する第3の電圧保持プロセス91と、圧力発生室3
1の体積を減少させてインク滴37を吐出させると共
に、次の吐出動作に備えさせるために、圧電アクチュエ
ータ36の印加電圧Vを基準電圧Vの高さにまで増加
させる第4の電圧変化プロセス92とから構成されてい
る。
【0074】次に、この例のインクジェット記録ヘッド
の駆動方法について、以下に示す駆動波形信号の波形条
件でインク滴37の吐出実験を行った。すなわち、 基準電圧V=25V 第1の電圧変化プロセス86での電圧変化量V=15V 第2の電圧変化プロセス88での電圧変化量V=12V 第1の電圧変化プロセス86での電圧変化時間t=5μs 第1の電圧保持プロセス87での電圧保持時間t=0.3μs 第2の電圧変化プロセス88での電圧変化時間t=1.5μs 第2の電圧保持プロセス89での電圧保持時間t=0.2μs 第3の電圧変化プロセス90での電圧変化時間t=1.5μs 第3の電圧保持プロセス91での電圧保持時間t=6μs 第4の電圧変化プロセス92での電圧変化時間t=20μs にそれぞれ設定して、インク滴37の吐出実験を行っ
た。この結果、滴径16μmのインク滴が滴速6.0m
/sで吐出されることが観察された。
【0075】このように、この例の構成によれば、図6
に示す増幅駆動波形信号において、第2の電圧変化プロ
セス88の直後に第3の電圧変化プロセス90を設け、
圧力発生室31の体積を増加させて液柱先端部からイン
ク滴37を早期に分離させているので、上記した第1の
実施例の増幅駆動波形信号(図4参照)を採用した場合
に比べて、さらに微小なインク滴37を吐出させること
ができる。なお、第2の電圧保持プロセス89での電圧
保持時間tは、液柱先端部からインク滴37を早期に
分離させる効果を大きくさせるためには、可能な限り短
いことが望ましい。具体的には、電圧保持時間tは、
式(7)を満足することが望ましい。
【0076】
【数7】t≦1/5T…(7)
【0077】また、第3の電圧変化プロセス90での電
圧変化時間tは、液柱先端部からインク滴37を早期
に分離させる際に充分な粒子速度がメニスカスに生じさ
せるためには、可能な限り短いことが望ましい。具体的
には、電圧変化時間tは、式(8)を満足することが
望ましい。
【0078】
【数8】t≦1/3T…(8)
【0079】C.第3の実施例 次に、この発明の第3の実施例について説明する。図7
は、この発明の第3の実施例であるインクジェット記録
ヘッドの駆動方法に採用される増幅駆動波形信号の波形
プロファイルの一例を示す図である。この第3の実施例
では、増幅駆動波形信号は、図7に示すように、圧力発
生室31の体積を増加させてメニスカスを後退させるた
めに、圧力発生室31内に発生する圧力波の固有周期T
の1/2の立ち下げ時間tで、基準電圧Vに設定
されている圧電アクチュエータ36の印加電圧Vを、電
圧(V−V)にまで減少させる第1の電圧変化プロ
セス93と、電圧(V−V)にまで減少した印加電
圧Vを暫時(時間t)保持する第1の電圧保持プロセ
ス94と、圧力発生室31の体積を減少させてメニスカ
スの中央部に液柱を形成させるために、立ち上げ時間t
で、圧電アクチュエータ36の印加電圧Vを電圧(V
−V+V)の高さにまで増加させる第2の電圧変
化プロセス95と、電圧(V−V+V)にまで増
加した印加電圧Vを暫時(時間t)保持する第2の電
圧保持プロセス96と、圧力発生室31の体積を増加さ
せて液柱先端部からインク滴37を早期に分離させるた
めに、立ち下げ時間tで、電圧(V−V+V
に保持された印加電圧Vを、例えば、0Vにまで減少さ
せる第3の電圧変化プロセス97と、0Vにまで減少し
た印加電圧Vを暫時(時間t)保持する第3の電圧保
持プロセス98と、圧力発生室31の体積を減少させて
インク滴37吐出後に残存する圧力波の残響を抑止する
ために、立ち下げ時間tで、圧電アクチュエータ36
の印加電圧Vを電圧Vの高さにまで増加させる第4の
電圧変化プロセス99と、圧力発生室31の体積を減少
させてインク滴37を吐出させると共に、次の吐出動作
に備えさせるために、基準電圧Vの高さにまで増加さ
せる第5の電圧変化プロセス100とから構成されてい
る。
【0080】次に、この例のインクジェット記録ヘッド
の駆動方法について、以下に示す駆動波形信号の波形条
件でインク滴37の吐出実験を行った。すなわち、 基準電圧V=25V 第1の電圧変化プロセス93での電圧変化量V=15V 第2の電圧変化プロセス95での電圧変化量V=12V 第3の電圧変化プロセス97での電圧変化量V=16V 第4の電圧変化プロセス99での電圧変化量V=14V 第1の電圧変化プロセス93での電圧変化時間t=5μs 第1の電圧保持プロセス94での電圧保持時間t=0.3μs 第2の電圧変化プロセス95での電圧変化時間t=1.5μs 第2の電圧保持プロセス96での電圧保持時間t=0.2μs 第3の電圧変化プロセス97での電圧変化時間t=1.5μs 第3の電圧保持プロセス98での電圧保持時間t=1.5μs 第4の電圧変化プロセス99での電圧変化時間t=2μs 第5の電圧変化プロセス100での電圧変化時間t=15μs にそれぞれ設定して、インク滴37の吐出実験を行っ
た。この結果、滴径14μmのインク滴が滴速6.3m
/sで吐出されることが観察された。
【0081】ここで、図7に示す増幅駆動波形信号を用
いた場合の粒子速度の時間変化を、式(1)の振動成分
のみを考慮して、式(2)を用いて求めた結果を図8に
示す。図8において、各細線a〜dは、図7に示す増幅
駆動波形信号の各節部A,B,C,Dにおいてそれぞれ
発生する粒子速度の時間変化を表しており、太線sは、
各粒子速度を重ね合わせた合計の粒子速度の時間変化、
すなわち、実際にメニスカスにおいて生じる粒子速度の
時間変化を表している。この例の構成によれば、図7に
示す増幅駆動波形信号において、第1の電圧変化プロセ
ス93での電圧変化時間tを圧力発生室内に発生する
圧力波の固有周期Tの1/2に設定しているので、図
8から分かるように、節部A,B,Cにおいて発生する
粒子速度の時間変化の位相はほぼ一致する。そのため、
時間範囲Tでは、粒子速度の非常に急激な増加が生じ
る。また、図7に示す増幅駆動波形信号において、第3
の電圧変化プロセス97を設け、第3の電圧変化プロセ
ス97での電圧変化量Vを第2の電圧変化プロセス9
5での電圧変化量Vよりも高く設定しているので、図
8から分かるように、時間範囲Tでは、粒子速度が急
激に減少する。これにより、液柱先端部からインク滴3
7がより早期に分離させることができ、上記した第2の
実施例の増幅駆動波形信号(図6参照)を採用した場合
に比べて、さらに微小なインク滴37を吐出させること
ができる。
【0082】また、この例の構成によれば、図7に示す
増幅駆動波形信号において、第3の電圧変化プロセス9
0の直後に立ち下げ時間tを有する第4の電圧変化プ
ロセス99を設け、第1〜第3の電圧変化プロセス9
3,95,97で発生し、インク滴37吐出後に残存す
る圧力波の残響を抑止しているので、前回のインク滴3
7の吐出時に発生した圧力波が次回のインク滴37の吐
出時に影響を及ぼすことがない。したがって、増幅駆動
波形信号の周波数がより高い場合でも、安定してインク
滴37を吐出させることができる。上記した第1及び第
2の実施例の増幅駆動波形信号(図4及び図6参照)を
採用した場合には、増幅駆動波形信号の周波数を8kH
z以上に設定すると、インク滴37の吐出状態が多少不
安定になったのに対し、この例の増幅駆動波形信号(図
7参照)を採用した場合には、増幅駆動波形信号の周波
数が12kHzまではインク滴37が安定して吐出する
ことが確認された。図8においても、時間範囲T
は、粒子速度の時間変化が非常に小さくなることが示さ
れている。さらに、この例の構成によれば、インク滴3
7の吐出方向等の飛翔特性も改善されることが確認され
た。これは、上記したように、図7に示す増幅駆動波形
信号において、第4の電圧変化プロセス99を設け、イ
ンク滴37吐出後に残存する圧力波の残響を抑止してい
るので、インク滴37を吐出した直後のメニスカスが安
定し、サテライトの吐出方向等の飛翔状態が安定化及び
均一化するからである。
【0083】なお、第3の電圧保持プロセス98での電
圧保持時間tは、効果的に残響を抑制するためには、
可能な限り短いことが望ましい。具体的には、電圧保持
時間tは、式(9)を満足することが望ましい。
【0084】
【数9】t≦1/3T…(9)
【0085】また、第4の電圧変化プロセス99での電
圧変化時間tは、残響抑制用の圧力波を効率的に発生
させるためには、可能な限り短いことが望ましい。具体
的には、電圧変化時間tは、式(10)を満足するこ
とが望ましい。
【0086】
【数10】t≦1/2T…(10)
【0087】以上、この発明の実施例を図面を参照して
詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られる
ものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計
の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上述
の各実施例では、この発明によるインクジェット記録ヘ
ッドの駆動方法をノズルから着色インクを吐出させて紙
やOHPフィルム等の記録媒体上に文字や画像を記録す
るプリンタ、プロッタ、複写機、ファクシミリ等のイン
クジェット記録装置に適用する例を示したが、これに限
定されない。すなわち、記録媒体として高分子フィルム
やガラスを用いても良いし、ノズルから吐出する液体と
して溶融状態のハンダを用いても良い。つまり、この発
明によるインクジェット記録ヘッドの駆動方法は、例え
ば、ノズルから着色インクを吐出させて高分子フィルム
やガラス上にディスプレイ用のカラーフィルタを作製す
る液滴噴射装置や、ノズルから溶融状態のハンダを吐出
させて基板上に部品実装用のバンプを形成する液滴噴射
装置など、液滴噴射装置一般に適用しても良い。
【0088】また、上述の各実施例では、ノズル34の
形状をテーパ状にする例を示したが、これに限定されな
い。同様に、ノズル34の開口形状は、円形状に限ら
ず、長方形や三角形やその他の形状でも良い。また、ノ
ズル34、圧力発生室31、インク供給孔33のそれぞ
れの位置関係も、この実施例で示した構造に限定される
ものではなく、例えば、ノズル34を圧力発生室31の
中央部等に配置してももちろん良い。また、上述の各実
施例では、細長立方体形状に形成された圧力発生室31
を用いる例を示したが、これに限定されず、圧力発生室
31の形状はどのようなものでも良い。
【0089】また、上述の各実施例では、圧電アクチュ
エータ36への印加電圧が常に正極性となるようにバイ
アス電圧(基準電圧)Vを設定する例を示したが、こ
れに限定されず、圧電アクチュエータ36に負極性の電
圧を印加しても問題ない場合には、バイアス電圧V
して、0Vなど、他の電圧を設定するように構成しても
良い。また、上述の各実施例では、インクジェット記録
ヘッドとして、カイザー型を用いる例を示したが、圧力
発生手段によって圧力発生室内に圧力変化を生じさせる
ことにより、ノズルからインク滴を吐出させるインクジ
ェット記録ヘッドである限り、カイザー型に限定されな
い。インクジェット記録ヘッドとして、例えば、圧電ア
クチュエータに設けた溝を圧力発生室とするインクジェ
ット記録ヘッドを用いても良い。
【0090】また、上述の各実施例では、圧力発生室内
に発生する圧力波の固有周期Tが10μsであるイン
クジェット記録ヘッドについての実験結果を示したが、
固有周期Tがこれと異なる場合においても、上述の各
実施例で述べたと略同様の効果が得られる。ただし、固
有周期Tが長すぎると、微小なインク滴の形成が困難
となるため、滴径15〜20μm程度の微小なインク滴
を吐出させるためには、固有周期Tは15μs以下に
設定することが望ましい。また、上述の各実施例では、
圧電アクチュエータ36に圧電定数d33を利用した縦
振動モードの圧電アクチュエータを用いる例を示した
が、これに限定されず、圧電アクチュエータ36とし
て、圧電定数d31を利用した縦振動モードの圧電アク
チュエータなど、他の形態の圧電アクチュエータを用い
ても良い。
【0091】また、上述の各実施例では、圧力発生手段
として、積層型圧電セラミックスからなる圧電アクチュ
エータ36を用いる例を示したが、これに限定されず、
単板型等他の構造の圧電アクチュエータ、別種の電気機
械変換素子や磁歪素子、あるいは静電アクチュエータを
用いても、上記した効果と略同様の効果を得ることがで
きる。また、上述の各実施例では、図2及び図3に示す
駆動回路を用いる例を示したが、これに限定されず、図
4、図6又は図7に示す増幅駆動波形信号を圧電アクチ
ュエータ36に印加できるのであれば、他の構成の駆動
回路を用いても良い。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の構成に
よれば、駆動波形信号において、第1の電圧変化プロセ
スでの電圧変化時間を、圧力発生室内に発生する圧力波
の固有周期Tの略1/3から略2/3までの範囲の長
さに設定すると共に、第2の電圧変化プロセスの開始時
刻を第1の電圧変化プロセスの終了時刻の直後に設定し
たので、滴径20μm程度の微小なインク滴を安定して
吐出させることができる。また、圧電アクチュエータ自
体の固有振動が励起されないので、圧電アクチュエータ
に流れる電流が増大したり、圧電アクチュエータの信頼
性及び耐久性が損なわれることはない。これにより、安
価かつ小型の構成で、滴径20μm以下の微小なインク
滴を吐出することができる。また、この発明の別の構成
によれば、駆動波形信号において、第2の電圧変化プロ
セスの直後に第3の電圧変化プロセスを設け、圧力発生
室の体積を増加させて液柱先端部からインク滴を早期に
分離させているので、さらに微小なインク滴を吐出させ
ることができる。また、この発明の別の構成によれば、
駆動波形信号において、第3の電圧変化プロセスの直後
に第4の電圧変化プロセスを設け、インク滴吐出後に残
存する圧力波の残響を抑止しているので、駆動波形信号
の周波数がより高い場合でも、安定してインク滴を吐出
させることができると共に、インク滴の吐出方向等の飛
翔特性も改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、この発明の第1の実施例であるイン
クジェット記録ヘッドの駆動方法を適用したインクジェ
ット記録装置に搭載されるインクジェット記録ヘッドの
構成の一例を示す断面図、同図(b)は、同インクジェ
ット記録ヘッドを分解して示す分解断面図である。
【図2】同インクジェット記録ヘッドを駆動する滴径非
変調型駆動回路の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】同インクジェット記録ヘッドを駆動する滴径変
調型駆動回路の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】同インクジェット記録ヘッドの駆動方法に採用
される増幅駆動波形信号の波形プロファイルの一例を示
す図である。
【図5】第1の電圧変化プロセスでの電圧変化時間t
とインク滴の滴径との関係を示す特性図である。
【図6】この発明の第2の実施例であるインクジェット
記録ヘッドの駆動方法に採用される増幅駆動波形信号の
波形プロファイルの一例を示す図である。
【図7】この発明の第3の実施例であるインクジェット
記録ヘッドの駆動方法に採用される増幅駆動波形信号の
波形プロファイルの一例を示す図である。
【図8】図7に示す増幅駆動波形信号を用いた場合の粒
子速度の時間変化の一例を示す図である。
【図9】この発明に適用されるインクジェット記録ヘッ
ドのインク充填状態における等価回路図である。
【図10】同インクジェット記録ヘッドの駆動方法の妥
当性の理論的根拠を説明するための波形図である。
【図11】同インクジェット記録ヘッドの駆動方法の妥
当性の理論的根拠を説明するための波形図である。
【図12】同インクジェット記録ヘッドの駆動方法の妥
当性の理論的根拠を説明するための波形図である。
【図13】同インクジェット記録ヘッドの駆動方法の妥
当性の理論的根拠を説明するための波形図である。
【図14】従来技術を説明するための図で、ドロップ・
オン・デマンド型インクジェット記録ヘッドのうち、カ
イザー型と呼ばれるインクジェット記録ヘッドの基本構
成を示す概略断面図である。
【図15】従来におけるインクジェット記録ヘッドの駆
動方法に採用される駆動波形信号の波形プロファイルの
一例を示す図である。
【図16】従来のインクジェット記録ヘッドの駆動方法
におけるインク滴吐出過程を説明するためのノズル開口
面近傍の断面図である。
【図17】従来における別のインクジェット記録ヘッド
の駆動方法に採用される駆動波形信号の波形プロファイ
ルの一例を示す図である。
【図18】従来におけるさらに別のインクジェット記録
ヘッドの駆動方法に採用される駆動波形信号の波形プロ
ファイルの一例を示す図である。
【符号の説明】
31 圧力発生室 34 ノズル 36 圧電アクチュエータ(圧力発生手段) 37 インク滴 61,71〜71 波形発生回路(波形発生手段) 62,72〜72 増幅回路(波形発生手段) 63,73 スイッチング回路(波形発生手
段) 81,86,93 第1の電圧変化プロセス 83,88,95 第2の電圧変化プロセス 90,97 第3の電圧変化プロセス 99 第4の電圧変化プロセス

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクが充填される圧力発生室と、該圧
    力発生室に圧力を発生させる圧力発生手段と、前記圧力
    発生室に連通されるノズルとを備え、前記圧力発生手段
    に駆動波形信号を印加して、前記圧力発生室の体積を変
    化させることにより、前記ノズルからインク滴を吐出さ
    せるインクジェット記録ヘッドの駆動方法であって、 前記駆動波形信号の波形を、 前記圧力発生室の体積を増加させる方向に、電圧を印加
    する第1の電圧変化プロセスと、 前記圧力発生室の体積を減少させる方向に、電圧を印加
    する第2の電圧変化プロセスとを少なくとも有して構成
    し、 前記第1の電圧変化プロセスでの電圧変化時間を、前記
    圧力発生室内に発生する圧力波の固有周期Tの略1/
    3から略2/3までの範囲の長さに設定すると共に、前
    記第2の電圧変化プロセスの開始時刻を前記第1の電圧
    変化プロセスの終了時刻の直後に設定したことを特徴と
    するインクジェット記録ヘッドの駆動方法。
  2. 【請求項2】 前記駆動波形信号の波形における、前記
    第1の電圧変化プロセスでの電圧変化時間を、前記固有
    周期Tの略1/2の長さに設定したことを特徴とする
    請求項1記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方法。
  3. 【請求項3】 前記駆動波形信号の波形における、前記
    第1の電圧変化プロセスの終了時刻と前記第2の電圧変
    化プロセスの開始時刻との時間間隔を、前記固有周期T
    の略1/5以下の長さに設定したことを特徴とする請
    求項1又は2記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方
    法。
  4. 【請求項4】 前記駆動波形信号の波形における、前記
    第2の電圧変化プロセスでの電圧変化時間を、前記固有
    周期Tの略1/3以下の長さに設定したことを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれか1に記載のインクジェッ
    ト記録ヘッドの駆動方法。
  5. 【請求項5】 前記駆動波形信号の波形に、前記第2の
    電圧変化プロセスに次いで、前記圧力発生室の体積を増
    加させる方向に、電圧を印加する第3の電圧変化プロセ
    スを含ませることを特徴とする請求項1乃至4のいずれ
    か1に記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方法。
  6. 【請求項6】 前記駆動波形信号の波形における、前記
    第3の電圧変化プロセスでの電圧変化時間を、前記固有
    周期Tの略1/3以下の長さに設定したことを特徴と
    する請求項5記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方
    法。
  7. 【請求項7】 前記駆動波形信号の波形における、前記
    第2の電圧変化プロセスの終了時刻と前記第3の電圧変
    化プロセスの開始時刻との時間間隔を、前記固有周期T
    の略1/5以下の長さに設定したことを特徴とする請
    求項5又は6記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方
    法。
  8. 【請求項8】 前記駆動波形信号の波形における、前記
    第3の電圧変化プロセスでの電圧変化量を前記第2の電
    圧変化プロセスでの電圧変化量よりも大きく設定したこ
    とを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1に記載のイ
    ンクジェット記録ヘッドの駆動方法。
  9. 【請求項9】 前記駆動波形信号の波形に、前記第3の
    電圧変化プロセスに次いで、前記圧力発生室の体積を減
    少させる方向に、電圧を印加する第4の電圧変化プロセ
    スを含ませることを特徴とする請求項5乃至8のいずれ
    か1に記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方法。
  10. 【請求項10】 前記駆動波形信号の波形における、前
    記第4の電圧変化プロセスでの電圧変化時間を、前記固
    有周期Tの略1/2以下の長さに設定したことを特徴
    とする請求項9記載のインクジェット記録ヘッドの駆動
    方法。
  11. 【請求項11】 前記駆動波形信号の波形における、前
    記第3の電圧変化プロセスの終了時刻と前記第4の電圧
    変化プロセスの開始時刻との時間間隔を、前記固有周期
    の略1/3以下の長さに設定したことを特徴とする
    請求項9又は10記載のインクジェット記録ヘッドの駆
    動方法。
  12. 【請求項12】 前記固有周期Tは、15μs以下で
    あることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1に
    記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方法。
  13. 【請求項13】 前記圧力発生手段は、電気機械変換素
    子であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか
    1に記載のインクジェット記録ヘッドの駆動方法。
  14. 【請求項14】 前記電気機械変換素子は、圧電アクチ
    ュエータであることを特徴とする請求項13記載のイン
    クジェット記録ヘッドの駆動方法。
  15. 【請求項15】 インクが充填される圧力発生室と、該
    圧力発生室に圧力を発生させる圧力発生手段と、前記圧
    力発生室に連通されるノズルとを備え、前記圧力発生手
    段に駆動波形信号を印加して、前記圧力発生室の体積を
    変化させることにより、前記ノズルからインク滴を吐出
    させるインクジェット記録ヘッドの駆動回路であって、 前記圧力発生室の体積を増加させる方向に、電圧を印加
    する第1の電圧変化プロセスと、前記圧力発生室の体積
    を減少させる方向に、電圧を印加する第2の電圧変化プ
    ロセスとを少なくとも有して構成され、前記第1の電圧
    変化プロセスでの電圧変化時間が、前記圧力発生室内に
    発生する圧力波の固有周期Tの略1/3から略2/3
    までの範囲の長さに設定されると共に、前記第2の電圧
    変化プロセスの開始時刻を前記第1の電圧変化プロセス
    の終了時刻の直後に設定された波形を有する駆動波形信
    号を発生する波形発生手段を備えてなることを特徴とす
    るインクジェット記録ヘッドの駆動回路。
  16. 【請求項16】 前記波形発生手段は、前記第1の電圧
    変化プロセスでの電圧変化時間が、前記固有周期T
    略1/2の長さに設定された波形を有する駆動波形信号
    を発生することを特徴とする請求項15記載のインクジ
    ェット記録ヘッドの駆動回路。
  17. 【請求項17】 前記波形発生手段は、前記第1の電圧
    変化プロセスの終了時刻と前記第2の電圧変化プロセス
    の開始時刻との時間間隔が、前記固有周期T の略1/
    5以下の長さに設定された波形を有する駆動波形信号を
    発生することを特徴とする請求項15又は16記載のイ
    ンクジェット記録ヘッドの駆動回路。
  18. 【請求項18】 前記波形発生手段は、前記第2の電圧
    変化プロセスでの電圧変化時間が、前記固有周期T
    略1/3以下の長さに設定された波形を有する駆動波形
    信号を発生することを特徴とする請求項15乃至17の
    いずれか1に記載のインクジェット記録ヘッドの駆動回
    路。
  19. 【請求項19】 前記波形発生手段は、前記第2の電圧
    変化プロセスに次いで、前記圧力発生室の体積を増加さ
    せる方向に、電圧を印加する第3の電圧変化プロセスを
    含んだ波形を有する駆動波形信号を発生することを特徴
    とする請求項15乃至18のいずれか1に記載のインク
    ジェット記録ヘッドの駆動回路。
  20. 【請求項20】 前記波形発生手段は、前記第3の電圧
    変化プロセスでの電圧変化時間が、前記固有周期T
    略1/3以下の長さに設定された波形を有する駆動波形
    信号を発生することを特徴とする請求項19記載のイン
    クジェット記録ヘッドの駆動回路。
  21. 【請求項21】 前記波形発生手段は、前記第2の電圧
    変化プロセスの終了時刻と前記第3の電圧変化プロセス
    の開始時刻との時間間隔が、前記固有周期T の略1/
    5以下の長さに設定された波形を有する駆動波形信号を
    発生することを特徴とする請求項19又は20記載のイ
    ンクジェット記録ヘッドの駆動回路。
  22. 【請求項22】 前記波形発生手段は、前記第3の電圧
    変化プロセスでの電圧変化量が前記第2の電圧変化プロ
    セスでの電圧変化量よりも大きく設定された波形を有す
    る駆動波形信号を発生することを特徴とする請求項19
    乃至21のいずれか1に記載のインクジェット記録ヘッ
    ドの駆動回路。
  23. 【請求項23】 前記波形発生手段は、前記第3の電圧
    変化プロセスに次いで、前記圧力発生室の体積を減少さ
    せる方向に、電圧を印加する第4の電圧変化プロセスを
    含んだ波形を有する駆動波形信号を発生することを特徴
    とする請求項19乃至22のいずれか1に記載のインク
    ジェット記録ヘッドの駆動回路。
  24. 【請求項24】 前記波形発生手段は、前記第4の電圧
    変化プロセスでの電圧変化時間が、前記固有周期T
    略1/2以下の長さに設定された波形を有する駆動波形
    信号を発生することを特徴とする請求項23記載のイン
    クジェット記録ヘッドの駆動回路。
  25. 【請求項25】 前記波形発生手段は、前記第3の電圧
    変化プロセスの終了時刻と前記第4の電圧変化プロセス
    の開始時刻との時間間隔が、前記固有周期T の略1/
    3以下の長さに設定された波形を有する駆動波形信号を
    発生することを特徴とする請求項23又は24記載のイ
    ンクジェット記録ヘッドの駆動回路。
  26. 【請求項26】 前記固有周期Tは、15μs以下で
    あることを特徴とする請求項15乃至25のいずれか1
    に記載のインクジェット記録ヘッドの駆動回路。
  27. 【請求項27】 前記圧力発生手段は、電気機械変換素
    子であることを特徴とする請求項15乃至26のいずれ
    か1に記載のインクジェット記録ヘッドの駆動回路。
  28. 【請求項28】 前記電気機械変換素子は、圧電アクチ
    ュエータであることを特徴とする請求項27記載のイン
    クジェット記録ヘッドの駆動回路。
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