JP3354502B2 - 水産動物のウイルス病予防又は抑制剤 - Google Patents
水産動物のウイルス病予防又は抑制剤Info
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- Japan
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- fish
- extract
- preventive
- feed
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- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A40/00—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
- Y02A40/80—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
- Y02A40/81—Aquaculture, e.g. of fish
Landscapes
- Medicines Containing Plant Substances (AREA)
- Feed For Specific Animals (AREA)
- Farming Of Fish And Shellfish (AREA)
- Fodder In General (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水産動物のウイル
ス性伝染性疾患、とくにイリドウイルスの1種による感
染症の予防又は抑制剤に関するものであり、水産業上有
用なものである。
ス性伝染性疾患、とくにイリドウイルスの1種による感
染症の予防又は抑制剤に関するものであり、水産業上有
用なものである。
【0002】
【従来の技術】近年、魚類の養殖が盛んに行われるに伴
い、魚病による被害も増加し、業界にとって大きな問題
となっている。この中で、1990年に四国のマダイ養殖場
で発見されたイリドウイルス感染症が、日本各地の養殖
場で大きな被害を引き起こしている。イリドウイルス感
染症は、その後、マダイだけでなくブリ、カンパチ、シ
マアジ、スズキ、イシダイ、イシガキダイ、ヒラメなど
高級養殖魚に広く発生することがわかり、最近もその発
生が増加する傾向にある。マダイの調査例では、年間の
死亡率が最大で20%に達し、被害は20〜100gの稚魚に発
生することが大きな問題となっている。本症は新規疾病
であり、現在のところ効果的な予防又は抑制法はない。
養殖場における対策として、これ以上病気を拡散させな
いための防疫的処置があり、養殖用網の交換、養殖水域
の移動、養殖密度の低減、給餌中断、感染死亡魚の廃棄
等が行われるが、いずれも効果的でなく、作業にかかる
手間と費用も大きい。
い、魚病による被害も増加し、業界にとって大きな問題
となっている。この中で、1990年に四国のマダイ養殖場
で発見されたイリドウイルス感染症が、日本各地の養殖
場で大きな被害を引き起こしている。イリドウイルス感
染症は、その後、マダイだけでなくブリ、カンパチ、シ
マアジ、スズキ、イシダイ、イシガキダイ、ヒラメなど
高級養殖魚に広く発生することがわかり、最近もその発
生が増加する傾向にある。マダイの調査例では、年間の
死亡率が最大で20%に達し、被害は20〜100gの稚魚に発
生することが大きな問題となっている。本症は新規疾病
であり、現在のところ効果的な予防又は抑制法はない。
養殖場における対策として、これ以上病気を拡散させな
いための防疫的処置があり、養殖用網の交換、養殖水域
の移動、養殖密度の低減、給餌中断、感染死亡魚の廃棄
等が行われるが、いずれも効果的でなく、作業にかかる
手間と費用も大きい。
【0003】他の対策としての薬物療法には、グルタチ
オン、グリチルリチンなどを有する魚類用抗ウイルス症
剤(特開平 8-38065号公報)があり、経口投与と薬浴の
併用によりヒラメ稚魚のイリドウイルス感染症による死
亡率の低減が報告されている。しかし、薬浴は手間と費
用がかかるため実用化されていないばかりでなく、マダ
イ等重要被害魚であるスズキ目の魚類に対しての有効性
は示されていない。一方、魚類ウイルス病に対する化学
療法剤(特公昭52-39897号、特公昭56-52883号公報)で
は、イリドウイルスに有効なものが報告されていない。
また、化学療法剤は耐性菌の出現や魚への残留性及び安
全性の面で問題が多く、抗生物質等に代わる安全で有効
なイリドウイルス感染症の予防又は抑制剤の開発が強く
望まれている。
オン、グリチルリチンなどを有する魚類用抗ウイルス症
剤(特開平 8-38065号公報)があり、経口投与と薬浴の
併用によりヒラメ稚魚のイリドウイルス感染症による死
亡率の低減が報告されている。しかし、薬浴は手間と費
用がかかるため実用化されていないばかりでなく、マダ
イ等重要被害魚であるスズキ目の魚類に対しての有効性
は示されていない。一方、魚類ウイルス病に対する化学
療法剤(特公昭52-39897号、特公昭56-52883号公報)で
は、イリドウイルスに有効なものが報告されていない。
また、化学療法剤は耐性菌の出現や魚への残留性及び安
全性の面で問題が多く、抗生物質等に代わる安全で有効
なイリドウイルス感染症の予防又は抑制剤の開発が強く
望まれている。
【0004】以上の方法の他に、ワクチンによる方法が
考えられるが、現在まだ実用化されていない。さらに、
ユーカリ抽出物を細菌性魚病の予防及び治療に使用した
例があるが(特開平4-360839号公報)、ウイルス病に対
する有効性については示されていない。
考えられるが、現在まだ実用化されていない。さらに、
ユーカリ抽出物を細菌性魚病の予防及び治療に使用した
例があるが(特開平4-360839号公報)、ウイルス病に対
する有効性については示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、水産
動物のウイルス性感染症、具体的には養殖魚及び甲殻類
のイリドウイルス感染症に対して、投与が容易な経口投
与により、有効かつ安全な予防又は抑制剤を提供するこ
とにある。
動物のウイルス性感染症、具体的には養殖魚及び甲殻類
のイリドウイルス感染症に対して、投与が容易な経口投
与により、有効かつ安全な予防又は抑制剤を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究した結果、天然物で安全なユ
ーカリに着目し、この抽出物が魚類培養細胞のイリドウ
イルス感染を抑制し細胞の変性を低下させること、さら
に魚類の飼料に配合して経口投与することによりイリド
ウイルス感染症による魚類の死亡率を低下させることを
見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成させたもの
である。
を達成するために鋭意研究した結果、天然物で安全なユ
ーカリに着目し、この抽出物が魚類培養細胞のイリドウ
イルス感染を抑制し細胞の変性を低下させること、さら
に魚類の飼料に配合して経口投与することによりイリド
ウイルス感染症による魚類の死亡率を低下させることを
見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成させたもの
である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、詳細に説
明する。ユーカリは古くから薬用成分として利用されて
おり、その精油はユーカリ油として日本薬局法や食品添
加物公定書などに記載され、その有効性と安全性が確認
されている。しかしながら、今回得られた魚類のイリド
ウイルス感染症に対する知見は、後述の実施例にも示す
ように発明者らが新規に発見したものであり、有効な対
策のない現状においては、極めて優れた効果といえる。
ここで、本発明で使用されるユーカリは、学名、Eucaly
ptus globulus Labill.、和名、ユーカリノキに代表さ
れる、フトモモ科ユーカリ属の植物とその他近縁植物を
言い、例えば、E. polybractea R. T. Baker、E. dives
Schauer、E. smithii R. T. Baker、E. australiana B
aker and Smith、E. elaeophora F. vonMueller、E. si
deroxylon Woolls 、E. leucoxylon F. von Mueller等
のいかなるユーカリを用いてもよいが、望ましくは、Eu
calyptus globulus 及びEucalyptus sitriodora を用い
る。
明する。ユーカリは古くから薬用成分として利用されて
おり、その精油はユーカリ油として日本薬局法や食品添
加物公定書などに記載され、その有効性と安全性が確認
されている。しかしながら、今回得られた魚類のイリド
ウイルス感染症に対する知見は、後述の実施例にも示す
ように発明者らが新規に発見したものであり、有効な対
策のない現状においては、極めて優れた効果といえる。
ここで、本発明で使用されるユーカリは、学名、Eucaly
ptus globulus Labill.、和名、ユーカリノキに代表さ
れる、フトモモ科ユーカリ属の植物とその他近縁植物を
言い、例えば、E. polybractea R. T. Baker、E. dives
Schauer、E. smithii R. T. Baker、E. australiana B
aker and Smith、E. elaeophora F. vonMueller、E. si
deroxylon Woolls 、E. leucoxylon F. von Mueller等
のいかなるユーカリを用いてもよいが、望ましくは、Eu
calyptus globulus 及びEucalyptus sitriodora を用い
る。
【0008】またユーカリ抽出物の製法は、特に限定さ
れないが、例えば以下のようにして抽出物が得られる。
使用されるユーカリの部分としては、ユーカリの葉、枝
及び樹皮のいずれか又はこれらの混合物がある。このユ
ーカリの部分をそのまま生の状態で、若しくは乾燥した
ものを、水、有機溶剤又はこれらの混合物を用いて各種
温度で抽出する。抽出及び分画に用いる有機溶剤として
は、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イ
ソプロパノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、
クロロホルム、石油エーテル、ヘキサン、ベンゼン等が
あげられる。好ましくは、エタノールが使用される。抽
出は、抽出一般で使用される各種温度で行われるが、例
えば0〜100 ℃、抽出効率の点で好ましくは20〜90℃で
行うことが適当である。
れないが、例えば以下のようにして抽出物が得られる。
使用されるユーカリの部分としては、ユーカリの葉、枝
及び樹皮のいずれか又はこれらの混合物がある。このユ
ーカリの部分をそのまま生の状態で、若しくは乾燥した
ものを、水、有機溶剤又はこれらの混合物を用いて各種
温度で抽出する。抽出及び分画に用いる有機溶剤として
は、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イ
ソプロパノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、
クロロホルム、石油エーテル、ヘキサン、ベンゼン等が
あげられる。好ましくは、エタノールが使用される。抽
出は、抽出一般で使用される各種温度で行われるが、例
えば0〜100 ℃、抽出効率の点で好ましくは20〜90℃で
行うことが適当である。
【0009】次いで、有効成分を各種有機溶剤、好まし
くはアルコールで分画し、またはクロマトグラフィー等
により分画精製してユーカリ抽出物を得る。更に必要で
あればこれらを任意に濃縮、乾固してもよい。また、抽
出物は、液体及び固体等の態様の如何を問わない。ユー
カリ抽出物の魚類飼料への配合方法は、特に限定される
ことはなく、一般的な常法により配合することができ
る。すなわち、固形ペレット状またはペースト状などの
飼料製造時にユーカリ抽出物を混合し攪拌して製する。
または、あらかじめ製造された市販の飼料にユーカリ抽
出物を含浸添加してもよい。ユーカリ抽出物の配合量
は、飼料重量当たり抽出物乾燥重量で、一般に0.01%〜
20%であり、好ましくは0.1 %〜10%である。0.01%よ
り少なくなると効果が薄くなり、20%より多くなると飼
料としての食いつき性が低下するので好ましくない。
くはアルコールで分画し、またはクロマトグラフィー等
により分画精製してユーカリ抽出物を得る。更に必要で
あればこれらを任意に濃縮、乾固してもよい。また、抽
出物は、液体及び固体等の態様の如何を問わない。ユー
カリ抽出物の魚類飼料への配合方法は、特に限定される
ことはなく、一般的な常法により配合することができ
る。すなわち、固形ペレット状またはペースト状などの
飼料製造時にユーカリ抽出物を混合し攪拌して製する。
または、あらかじめ製造された市販の飼料にユーカリ抽
出物を含浸添加してもよい。ユーカリ抽出物の配合量
は、飼料重量当たり抽出物乾燥重量で、一般に0.01%〜
20%であり、好ましくは0.1 %〜10%である。0.01%よ
り少なくなると効果が薄くなり、20%より多くなると飼
料としての食いつき性が低下するので好ましくない。
【0010】このようにして得られたユーカリ抽出物
は、飼料に配合して経口投与する他、直接注射により、
又は沐浴により適用してもよい。適用される水産動物に
は、養殖魚及び甲殻類、特にマダイ、ブリ、カンパチ、
シマアジ、スズキ、イシダイ、イシガキダイ、ヒラメ、
ウナギ、アユ、クルマエビなどの高級養殖魚がある。以
下、本発明の実施例及び試験例によりその詳細を説明す
るが、これにより本発明の範囲が限定されるものではな
い。また、イリドウイルスによる病害が化学療法等によ
り予防又は抑制された臨床知見は未だ内外にないことを
付言し、本発明が水産業の生産性向上効果の著明に大き
いことを示す。
は、飼料に配合して経口投与する他、直接注射により、
又は沐浴により適用してもよい。適用される水産動物に
は、養殖魚及び甲殻類、特にマダイ、ブリ、カンパチ、
シマアジ、スズキ、イシダイ、イシガキダイ、ヒラメ、
ウナギ、アユ、クルマエビなどの高級養殖魚がある。以
下、本発明の実施例及び試験例によりその詳細を説明す
るが、これにより本発明の範囲が限定されるものではな
い。また、イリドウイルスによる病害が化学療法等によ
り予防又は抑制された臨床知見は未だ内外にないことを
付言し、本発明が水産業の生産性向上効果の著明に大き
いことを示す。
【0011】
【実施例】実施例1ユーカリ抽出物の製造 ユーカリ(Eucalyptus globulus Labill. )の生葉20kg
を90℃で1時間乾燥し、乾燥葉9.6kg を得た。これにエ
タノール60リットルを加え、時々攪拌しながら室温(20
℃)で放置し、3日間抽出した。これを3度繰り返した
後、抽出液をろ紙によりろ過し、ろ液を減圧濃縮乾固し
て、ユーカリ抽出物の乾燥エキス1.04kgを得た。
を90℃で1時間乾燥し、乾燥葉9.6kg を得た。これにエ
タノール60リットルを加え、時々攪拌しながら室温(20
℃)で放置し、3日間抽出した。これを3度繰り返した
後、抽出液をろ紙によりろ過し、ろ液を減圧濃縮乾固し
て、ユーカリ抽出物の乾燥エキス1.04kgを得た。
【0012】実施例2魚類用の1重量%ユーカリ配合ペレット飼料の製造 実施例1で得たユーカリ抽出物の乾燥エキス10gをエタ
ノール20mlに溶解した。これをマダイ用のペレット状飼
料(まだいEP2.5 号 伊藤忠飼料製)1kgに含浸攪拌
して混合した後、風乾して魚類用の1重量%ユーカリ抽
出物配合ペレット飼料を調製した。
ノール20mlに溶解した。これをマダイ用のペレット状飼
料(まだいEP2.5 号 伊藤忠飼料製)1kgに含浸攪拌
して混合した後、風乾して魚類用の1重量%ユーカリ抽
出物配合ペレット飼料を調製した。
【0013】実施例3ブリ用の0.5 重量%ユーカリ配合ペレット飼料の製造 実施例1で得たユーカリ抽出物の乾燥エキス5gを、冷
凍イワシ60重量%と配合飼料40重量%からなるモイスト
ペレット1kgに練り込んで、ブリ用の0.5 重量%ユーカ
リ配合ペレット飼料を調製した。
凍イワシ60重量%と配合飼料40重量%からなるモイスト
ペレット1kgに練り込んで、ブリ用の0.5 重量%ユーカ
リ配合ペレット飼料を調製した。
【0014】試験例1魚類培養細胞のイリドウイルス感染に対する抗ウイルス
効果試験 24穴マイクロプレートにBME−4培地で培養したGF
細胞( 3.4×105cells/ml )を 500μl/ウェルずつ分注
して単層培養した。一方、原液のイリドウイルス液(10
-2.7TCID50/ml )をBME−4培地で希釈して、1
0、102 、103 、104 倍希釈液を調製し、試験管に 500
μlずつ分注した。ここで、TCID50とは、ウイルス
細胞変性効果の測定指標である。具体的には、一定系列
のウイルス段階希釈液を同様条件下で培養した多くの細
胞培養に接種して、細胞変性効果の現れた培養瓶を数
え、50%の培養瓶に細胞変化効果の現れるウイルス希釈
倍数がTCID50である。次に、各ウィルス希釈液に10
0ppm濃度のユーカリ抽出物を添加し、攪拌後、25℃で1
時間処理した。その後、GF細胞を単層培養した24穴マ
イロプレートから培地を抜き取り、各ユーカリ処理ウイ
ルス希釈液を 300μl×2ウェルずつ接種した。これを
プレートミキサーで攪拌して、ウイルスを細胞に吸着さ
せた。1時間後に撹拌液を抜き取り、BME−4培地を
500μl/ウェルずつ分注し、25℃で培養しながら細胞変
性効果(CPE)を観察した(ユーカリ区)。
効果試験 24穴マイクロプレートにBME−4培地で培養したGF
細胞( 3.4×105cells/ml )を 500μl/ウェルずつ分注
して単層培養した。一方、原液のイリドウイルス液(10
-2.7TCID50/ml )をBME−4培地で希釈して、1
0、102 、103 、104 倍希釈液を調製し、試験管に 500
μlずつ分注した。ここで、TCID50とは、ウイルス
細胞変性効果の測定指標である。具体的には、一定系列
のウイルス段階希釈液を同様条件下で培養した多くの細
胞培養に接種して、細胞変性効果の現れた培養瓶を数
え、50%の培養瓶に細胞変化効果の現れるウイルス希釈
倍数がTCID50である。次に、各ウィルス希釈液に10
0ppm濃度のユーカリ抽出物を添加し、攪拌後、25℃で1
時間処理した。その後、GF細胞を単層培養した24穴マ
イロプレートから培地を抜き取り、各ユーカリ処理ウイ
ルス希釈液を 300μl×2ウェルずつ接種した。これを
プレートミキサーで攪拌して、ウイルスを細胞に吸着さ
せた。1時間後に撹拌液を抜き取り、BME−4培地を
500μl/ウェルずつ分注し、25℃で培養しながら細胞変
性効果(CPE)を観察した(ユーカリ区)。
【0015】なお、比較例として、ユーカリ抽出物を加
えない区(対照区)を設けて同様に試験した。BME−
4培地は、Basal Medium Eagle(Gibco BRL 製)にFeta
l Bovine Serum(Gibco BRL 製)を4%添加して調製し
た。本試験例におけるユーカリ抽出物の抗ウイルス効果
を
えない区(対照区)を設けて同様に試験した。BME−
4培地は、Basal Medium Eagle(Gibco BRL 製)にFeta
l Bovine Serum(Gibco BRL 製)を4%添加して調製し
た。本試験例におけるユーカリ抽出物の抗ウイルス効果
を
【図1】に示す。イリドウイルス接種3日後の 400倍視
野当たり(0.0625mm2 当たり)のウイルス変性細胞数
(CPE)を比較すると、ユーカリ区は対照区に比べて
CPEが極めて少なく、ユーカリ抽出物に抗ウイルス効
果があることが示された。
野当たり(0.0625mm2 当たり)のウイルス変性細胞数
(CPE)を比較すると、ユーカリ区は対照区に比べて
CPEが極めて少なく、ユーカリ抽出物に抗ウイルス効
果があることが示された。
【0016】試験例2マダイ稚魚のイリドウイルス感染症に対する抗ウイルス
効果試験 (1)実験期間:平成9年9月23日〜10月10日 (2)試験群の設定:体重約20gのマダイ稚魚を10尾ず
つ2群に分け、1群は対照群として基本飼料(まだいE
P2.5 号)のみで飼育し、2群は試験群として本発明の
実施例2で調製した魚類用の1重量%ユーカリ配合ペレ
ット飼料を用いて10日間飼育した。1日の1重量%ユー
カリ配合ペレット飼料の給餌量は、魚体重の2.5 %とし
て各群に5g/日与えた。ユーカリ抽出物の投与量は1日
当たり 250mg/kg であった。 (3)感染方法及び水槽飼育:(2)のような給餌方法
にて10日間飼育したマダイに、イリドウイルス液(10
-2.5TCID50/ml )を0.1 mlずつ腹腔内注射した後、
500リットル水槽2基に各群を分けて25℃で7日間飼育
し、生存数を調査した。 (4)実験結果および考察:ウィルス液の接種日を0日
とした、マダイ稚魚の生存数を
効果試験 (1)実験期間:平成9年9月23日〜10月10日 (2)試験群の設定:体重約20gのマダイ稚魚を10尾ず
つ2群に分け、1群は対照群として基本飼料(まだいE
P2.5 号)のみで飼育し、2群は試験群として本発明の
実施例2で調製した魚類用の1重量%ユーカリ配合ペレ
ット飼料を用いて10日間飼育した。1日の1重量%ユー
カリ配合ペレット飼料の給餌量は、魚体重の2.5 %とし
て各群に5g/日与えた。ユーカリ抽出物の投与量は1日
当たり 250mg/kg であった。 (3)感染方法及び水槽飼育:(2)のような給餌方法
にて10日間飼育したマダイに、イリドウイルス液(10
-2.5TCID50/ml )を0.1 mlずつ腹腔内注射した後、
500リットル水槽2基に各群を分けて25℃で7日間飼育
し、生存数を調査した。 (4)実験結果および考察:ウィルス液の接種日を0日
とした、マダイ稚魚の生存数を
【表1】に示す。ユーカリ抽出物を投与した試験群はウ
イルス接種7日後においても10尾すべてが生存してお
り、有意な抗ウイルス効果が確認された。また、対照群
の死亡魚の死因がイリドウイルスによることは、その病
理解剖所見、組織検査における病性鑑定で確かめられ
た。また、試験群については、イリドウイルスによる病
状はまったく認められなかった。
イルス接種7日後においても10尾すべてが生存してお
り、有意な抗ウイルス効果が確認された。また、対照群
の死亡魚の死因がイリドウイルスによることは、その病
理解剖所見、組織検査における病性鑑定で確かめられ
た。また、試験群については、イリドウイルスによる病
状はまったく認められなかった。
【0017】
【表1】 表1 ウイルス接種後のマダイ稚魚の生存数 日付 経過日数[日] 対照群[尾] 試験群[尾] 9.10.3 0 10 10 10.4 1 9 10 10.5 2 9 10 10.6 3 7 10 10.7 4 7 10 10.8 5 6 10 10.9 6 6 10 10.10 7 6 10
【0018】
【発明の効果】本発明に従ってユーカリ抽出物を混合し
た飼料を魚類に経口投与することにより、水産動物のイ
リドウイルス病を有効かつ安全に予防又は抑制すること
ができる。特に、このユーカリ抽出物を含有する飼料を
使用して、水産動物の養殖場における上記病気の被害を
軽減もしくは防止できる。
た飼料を魚類に経口投与することにより、水産動物のイ
リドウイルス病を有効かつ安全に予防又は抑制すること
ができる。特に、このユーカリ抽出物を含有する飼料を
使用して、水産動物の養殖場における上記病気の被害を
軽減もしくは防止できる。
【図1】ウイルス変性細胞数(CPE)の比較
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23K 1/00 - 1/18 A61K 35/78
Claims (4)
- 【請求項1】ユーカリのエタノール抽出物を含むことを
特徴とする水産動物のイリドウイルス病予防又は抑制
剤。 - 【請求項2】ユーカリのエタノール抽出物がユーカリノ
キから得られる請求項1に記載の予防又は抑制剤。 - 【請求項3】水産動物がマダイ、ブリ、カンパチ、シマ
アジ、スズキ、イシダイ、イシガキダイ、ヒラメ、ウナ
ギ、アユ及びクルマエビからなる群から選択される請求
項1に記載の予防又は抑制剤。 - 【請求項4】請求項1乃至3のいずれかに記載の予防又
は抑制剤を含むことを特徴とする水産動物用飼料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23300298A JP3354502B2 (ja) | 1998-08-19 | 1998-08-19 | 水産動物のウイルス病予防又は抑制剤 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23300298A JP3354502B2 (ja) | 1998-08-19 | 1998-08-19 | 水産動物のウイルス病予防又は抑制剤 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000060437A JP2000060437A (ja) | 2000-02-29 |
JP3354502B2 true JP3354502B2 (ja) | 2002-12-09 |
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ID=16948284
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23300298A Expired - Fee Related JP3354502B2 (ja) | 1998-08-19 | 1998-08-19 | 水産動物のウイルス病予防又は抑制剤 |
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---|---|
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---|---|---|---|---|
JP5158352B2 (ja) * | 2008-01-30 | 2013-03-06 | ライオンハイジーン株式会社 | 抗ウイルス剤 |
JP5270619B2 (ja) * | 2010-07-09 | 2013-08-21 | 国立大学法人 鹿児島大学 | 養魚用飼料およびその製造方法 |
-
1998
- 1998-08-19 JP JP23300298A patent/JP3354502B2/ja not_active Expired - Fee Related
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