JP3352256B2 - 居住性を高めたガラス板 - Google Patents

居住性を高めたガラス板

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JP3352256B2 JP31368894A JP31368894A JP3352256B2 JP 3352256 B2 JP3352256 B2 JP 3352256B2 JP 31368894 A JP31368894 A JP 31368894A JP 31368894 A JP31368894 A JP 31368894A JP 3352256 B2 JP3352256 B2 JP 3352256B2
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
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    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/34Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions
    • C03C17/3411Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials
    • C03C17/3429Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials at least one of the coatings being a non-oxide coating
    • C03C17/3435Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials at least one of the coatings being a non-oxide coating comprising a nitride, oxynitride, boronitride or carbonitride

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、簡単な2層の積層膜を
被膜し、ガラス板の透明性とミラー効果ならびに断熱性
をバランスよく持たせ、同時に満足しうるものとするこ
とで、人や環境に優しくかつガラスらしさと存在観を発
現せしめ、淡いブルー系のガラス面反射色調を呈しかつ
電波透過性を有する居住性を高めたガラス板に関し、建
築用窓材としてはもちろん、ビルディング等各種の用途
においてその機能を活かすことができる居住性や環境性
に優れたガラス板を提供するものである。
【0002】
【従来技術】一般に反射率を高くした高性能熱線反射ガ
ラスは数多く提案されかつ商品化されており、そのなか
で高透過率を有する赤外線反射ガラスがあり、またさら
に無反射ガラス等が知られている。
【0003】例えば、特開昭63ー134232号公報には、高
透過率を有する赤外反射物品が記載されており、透明基
板上に基板側から順次透明酸化物の第1層、銀の第2
層、透明酸化物の第3層、銀の第4層、透明酸化物の第
5層から成る5層コーティングが設けられた赤外反射物
品において、該銀層の厚みが11nm以下であり、可視光線
透過率が70%以上であるものが開示され、実施例として
例えばガラス基板/TiO2(膜厚35nm)/Ag(膜厚10nm)
/TiO2(膜厚70nm)/Ag(膜厚10nm)/TiO2(膜厚35n
m)で、可視光線透過率が78.7%、可視光線反射率が8.5
%、太陽エネルギー透過率が53.2%、太陽エネルギー
反射率が28.2%、10μにおける反射率が95%で反射色が
グリーン色である等、赤外域で高い反射率と可視域で高
い透過率を有し、反射色をかなり自由に変化させること
ができるというものが記載されている。
【0004】また例えば、特開昭63ー218513号公報に
は、TiO X 薄膜及びそれを用いた光学素子が記載されて
おり、分子式:TiO X (ただし1<x<2)で表わされ
る薄膜状酸化チタン系物質、ならびに基板上に該薄膜を
形成した光学素子が開示され、蒸発源としてTiO を用
い、一旦真空チャンバー内を高真空にした後、酸素ガス
を導入して酸素分圧を5×10-3〜8×10-4Torrに設定し
て真空蒸着を行うことによって基板上に形成し、紫色を
呈しないしかも帯電しないようにするとともに、ことに
合成樹脂基板ではスキン層とともに薄膜が基板から剥離
するようなこともない、膜厚が0.001 〜20μm程度で屈
折率ndが2.2 〜2.4 であるものであって、実施例とし
て、PMMA基板/TiO X (1<x<2)〔膜厚488nm 、nd
=2.32 〕の無色透明で帯電なしかつ密着性良好なもの、
PMMA基板/TiO X (1<x<2)〔膜厚488nm 、nd=2.3
2 〕/SiO X 〔膜厚488nm 、nd=1.46 〕あるいはPMMA基
板/SiO X (1<x<2)〔膜厚550nm 、nd=1.65 〕/T
iO X (1<x<2)〔膜厚550nm 、nd=2.32 〕/SiO
X 〔膜厚550nm 、nd=1.46 〕の反射防止膜、さらにPMMA
基板/SiO X (1<x<2)〔膜厚632.8nm nd=1.46 〕
/TiO X (1<x<2)〔膜厚632.8nm 、nd=2.3〕の反
射膜が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】上記した従来の各公
報に開示されている、例えば特開昭63ー134232号公報に
記載の高透過率を有する赤外反射物品では、5層と多層
で複雑であり、かつ赤外域で高い反射率と可視域で高い
透過率を有するとしたとしても、銀層を備えるため耐薬
品性あるいは耐候性が劣り、単板での使用にたえるもの
ではない。また銀層の可視域における反射を防止するた
め透明酸化物層を用い、光学的干渉作用を利用すること
により可視域の透過率を上昇させる必要があり、実施例
に見られるように、例えばTiOx膜を合計140nm の膜厚で
積層するため生産性に優れるとは言い難く、しかも銀層
のため電波シールド性であるというものであって、必ず
しも簡単な膜構成で、あくまでもガラスらしさを充分に
アピールし、そのなかでバランスよい光学特性を有し、
しかも電波透過性を有するものとは言い難いものであ
る。
【0006】また例えば特開昭63ー218513号公報に記載
のTiO X 薄膜及びそれを用いた光学素子では、真空蒸着
法により作成したTiO X (ただし1<x<2)薄膜は成
膜時ならびに成膜後において充分安定したものであると
は言い難く、耐薬品性、耐候性あるいは耐摩耗性等耐久
性に不安があって、必ずしも建築用窓材等屋外には採用
し難いものである。
【0007】
【問題点を解決するための手段】従来のかかる問題点に
鑑みてなしたものであって、本発明は、特定した簡単な
膜構成とその膜厚の組み合わせでなり、可視光透過率と
可視光反射率ならびに熱的遮蔽係数を特定することで、
ガラスらしさを充分発揮してアピールし、透明感と存在
観、意匠性ならびに透視性とミラー性および断熱性を発
現するなかで、バランスよい光学特性を有し、耐薬品
性、耐候性あるいは耐摩耗性等耐久性を備え、しかもソ
フトな淡いブルー系ガラス面反射色調を呈しかつ電波透
過性を有する居住性を高めたガラス板を安価に提供する
ことができるものである。
【0008】すなわち本発明は、薄膜層を表面に形成し
たガラス板において、ガラス面側から第1層目として膜
厚が7.5nm 以上11.0nm以下であるTiNx薄膜、第1層の上
に第2層目として膜厚が40nm以上55nm以下であるSnOx薄
膜の積層膜からなり、可視光透過率が57〜63%であっ
て、しかもガラス面と膜面の可視光反射率を25%以下で
かつガラス面と膜面の可視光反射率差が6.0 %以下であ
り、さらに熱的遮蔽係数が0.77以下であるものとしたこ
とを特徴とする居住性を高めたガラス板。
【0009】ならびに、前記居住性を高めたガラス板に
おける刺激純度が、19%以下であることを特徴とする上
述した居住性を高めたガラス板。さらに、前記透明基板
の板厚が、5〜19mmであることを特徴とする上述した居
住性を高めたガラス板。
【0010】さらにまた、前記居住性を高めたガラス板
が、電波透過性を有することを特徴とする上述した居住
性を高めたガラス板をそれぞれ提供するものである。こ
こで、ガラス板としては、例えば建築用窓材としてはも
ちろん、ビルディング等各種のガラス板状体等に用いら
れる市販のソーダライムガラスである無機質ガラス板状
体、ことにフロートガラスが最適であり、またはポリカ
ーボネートやアクリルなどである有機質からなる所謂ガ
ラス板状体等であってもよく、平板状あるいは曲げ板ガ
ラスであり、さらに強化ガラス、合わせガラス、複層ガ
ラスならびに表面処理ガラス等各種加工処理ガラスまた
は各種用途ガラスであってもよい。また、該ガラス板の
形状としては、とくに限定するものではないが、長辺と
短辺でなる略四辺形でなるものが最も好ましく採用でき
るものである。
【0011】また、前記表面に薄膜層を形成したガラス
板において、薄膜層がガラス面側から第1層目として膜
厚が7.5nm 以上11.0nm以下であるTiNx薄膜、第1層の上
に第2層目として膜厚が40nm以上55nm以下であるSnOx薄
膜の積層膜からなるとしたのは、まずTiNx(x について
は、スパッタ時のArガスとN2ガスの流量比で決まる。例
えば x=0.5 〜1.0 )薄膜については、熱線吸収ガラス
程度の熱的性能である遮蔽係数0.77以下を確保しつつ、
他の光学特性についても例えば熱線反射ガラスの光学特
性の可視光反射率ほど高くにはいたらないものとでき、
断熱性能等を有する機能性膜として量産に適しておりか
つガラスとの密着性もよいため、第1層目に選び。つぎ
にSnOx(1<x≦2)薄膜については、TiNx薄膜の保護
膜となって耐久性を高めしかも干渉膜として有用であっ
て、居住性の一つとしてガラス面の可視光反射率が25%
以下という低反射性能が必要なため、断熱薄膜/酸化物
薄膜の構成のなかでTiOx薄膜やTaOx薄膜と比較してガラ
ス面での可視光反射率に影響が少なく、しかも他の酸化
物薄膜に比べて成膜速度が速く生産性に優れる等のた
め、第2層目に選び。該両者の2層の積層膜として簡単
な膜構成とし、複雑な工程も要しないようにすること
で、コスト低減ができるものとした。
【0012】また、前記TiNx薄膜層の膜厚を7.5nm 以上
11.0nm以下とし、前記SnOx薄膜層の膜厚を40nm以上55nm
以下としたのは、TiNx薄膜層の膜厚が7.5nm 未満でSnOx
薄膜層の膜厚が40nm未満であれば、例えば可視光透過率
が63%を超え透視性が強くなってしまい、熱的性能であ
る遮蔽係数が0.77を超えて断熱性が満足するものでなく
なり、またTiNx薄膜層の膜厚が11.0nmを超えかつSnOx薄
膜層の膜厚が55nmを超えるものであれば、例えばことに
可視光透過率が低くなり、可視光反射率も高くなり過
ぎ、ガラス面と膜面の可視光反射率差を6.0 %を大きく
超えることとなって到底居住性を高めたガラス板とは言
えないものとなるためである。好ましくはTiNx薄膜層の
膜厚が7.5nm 以上10.5nm以下とし、SnOx薄膜層の膜厚が
40nm以上50nm以下程度である。
【0013】さらに、可視光透過率を57〜63%とし、し
かもガラス面と膜面の平均可視光反射率を25%以下でか
つガラス面と膜面の可視光反射率差を6.0 %以下であ
り、さらに熱的遮蔽係数が0.77以下であるものとしたの
は、可視光透過率が57%未満もしくは可視光反射率が25
%を超える範囲においては、可視光反射性能、特にガラ
ス面の反射性能が高くなりすぎ、透視性が下がり、可視
光透過率が63%を超えもしくは熱的遮蔽係数が0.77以上
の範囲においては、反射性能が下がりすぎ、所定のミラ
ー効果を得ることができなくなり、例えば日射透過率が
60%を超えるあるいは熱的性能である遮蔽係数が0.77を
超えるようになってめざす断熱性を発揮することができ
なくなるからである。
【0014】またガラス面と膜面の可視光反射率差を6.
0 %以下としたのは、可視光反射率差が6.0 %を超える
と透明性能が活かされなくなるという問題、例えばガラ
ス中での吸収あるいは多重反射等があるからである。可
視光反射率差として好ましいのは5.7 %程度以下、より
好ましくは5.0 %程度以下であり、より格段に透視性と
ミラー性をバランスせしめることとなる。
【0015】また熱的遮蔽係数が0.77以下であるものと
したのは、積層薄膜付きガラスでありながら、熱線吸収
ガラス程度の可視光透過率と可視光反射率と遮蔽係数等
を持たせ確保するようにするなかで断熱性を付与せしめ
るためである。
【0016】一般に光学的特性は透過率、反射率、吸収
率の組み合わせであり、そのバランスにより異なる面も
あるが、上述の範囲内にあれば、透過性と反射性すなわ
ちミラー性ならびに断熱性を同時にバランスよく、人や
環境に優しいものとなってより居住性を満足することが
できる。
【0017】さらに、前記刺激純度を19%以下であるも
のとしたのは、刺激純度が19%を超えると、可視光反射
率や断熱性を考慮したなかでも、ギラツキ感が発現し易
くなり、違和感が生じ易く、人や環境に優しいものとは
言い難くなるためである。
【0018】またさらに、電波透過性を有するガラス板
としたのは、電波反射型であると周辺の住民にTVにゴ
ースト現象等の所謂電波障害を発生させるためである。
さらに、前記薄膜の積層膜がTiNx薄膜とSnOx薄膜の組み
合わせとしたのは、ガラス面反射色調では若干青味がか
った色合いを呈するもののどちらかと言えば透過光では
ニュートラル色調に近い色合いとなるためでもあり、2
層でデザイン的にも所期の可視光透過性を得て必要な透
視性を持ち、所期の可視光反射性を有してミラー効果を
適当にもたらすようにでき、しかも断熱性を付与するこ
とができるからである。
【0019】さらにまた、前記透明基板の板厚が、5〜
19mmであるとしたのは、例えば4mm以下は風荷重からみ
てビル用の外壁材としては使用できない場合が大半であ
り、また例えば19mmを超えるとガラス内の吸収率が高く
なるので透過率と反射率の両面を同時に満足することが
できない。好ましい板厚としては例えば約6〜15mm程度
である。
【0020】
【作用】前述したように、本発明の居住性を高めたガラ
ス板によれば、透明基板の表面に薄膜層を形成したガラ
ス板において、ガラス面側から第1層目として膜厚が7.
5nm 以上11.0nm以下であるTiNx薄膜、第1層の上に第2
層目として膜厚が40nm以上55nm以下であるSnOx薄膜の積
層膜からなり、可視光透過率が57〜63%であって、しか
もガラス面と膜面の可視光反射率を25%以下でかつガラ
ス面と膜面の可視光反射率差が6.0 %以下であるものと
し、さらに熱的遮蔽係数が0.77以下であるものとしたこ
とにより、積層薄膜付きガラスでありながら、クリアガ
ラスの優れた特性と熱線反射ガラスの特性とを活かしつ
つ、熱線吸収ガラスに匹敵する特性を発現せしめるよう
にし、ガラスらしさを充分発揮して意匠性をアピール
し、透明感と存在観ならびに透視性とミラー性を発現す
るなかで、断熱性をも含めバランスよい光学特性を有し
同時に満足しうるものとなし、耐薬品性、耐候性あるい
は耐摩耗性等耐久性を備え、しかも淡いブルー系のガラ
ス面反射色調を呈しかつ電波透過性を有する居住性を高
めたガラス板を簡単な膜構成等で安価に提供することが
でき、例えば中庭において、ビルディング内の中庭を大
きく見せることができるミラー性、室内からよく見える
ようにする透視性を同時に達成でき、さらに例えば省エ
ネルギー効果を持ちながらホテル等での室内からの夜景
を楽しむという、人や環境に快適でかつ最適なるものと
することができる卓効を奏する。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし本発明は係る実施例に限定されるものではな
い。
【0022】実施例1 大きさ300 ×300mm2、厚さ6mmのフロートクリアガラス
(Fl6) を中性洗剤、水すすぎ、イソプロピルアルコール
で順次洗浄し、乾燥した後、DCマグネトロンスパッタリ
ング装置の真空槽内にセットしてあるTiとSnのターゲッ
トに対向して上方を往復できるようセットし、次に前記
槽内を真空ポンプで約5×10-6Torrまでに脱気した後、
該真空槽内にN2ガスとArガス〔但し、ArガスとN2ガスの
ガス流量比はN2/(Ar+N2) の値が0.5 〜1.0 (なお、該
1.0 の値の際はArガス流量が零である)の範囲であれば
よい。〕を導入して真空度を約2×10-3Torrに保持し、
前記Tiのターゲットに約1.0kw の電力を印加し、前記混
合ガスによるDCマグネトロン反応スパッタの中を、前記
Tiのターゲット上方においてスピード約340mm /min で
前記板ガラスを搬送することによって約10nm厚さのTiNx
(例えば、x が0.8程度)薄膜を第1層として成膜し
た。成膜が完了した後、Tiターゲットへの印加を停止し
た。
【0023】次いで、前記板ガラスを前記真空槽中にお
いたまま、前記槽内を真空ポンプで約5×10-6Torrまで
に脱気した後、該真空槽内にO2ガスとArガス〔但し、Ar
ガスとO2ガスのガス流量比はO2/(Ar+O2) の値が0.5 〜
1.0 (なお、該1.0 の値の際はArガス流量が零である)
の範囲であればよい。〕を導入して真空度を約2×10 -3
Torrに保持し、前記Snのターゲットに約1.0kw の電力を
印加し、前記混合ガスによるDCマグネトロン反応スパッ
タの中を、前記Snのターゲット上方においてスピード約
182mm /min で前記板ガラスを搬送することによって前
記板ガラスのTiNx薄膜表面上に約50nm厚さのSnOx(1<
x≦2)薄膜を第2層として積層成膜した。成膜が完了
した後、Snターゲットへの印加を停止した。
【0024】得られた積層薄膜付き板ガラスについて、
可視光透過率(Tv:380 〜780nm )、可視光反射率(R
v:380 〜780nm )、可視光反射率差、刺激純度(Pv:3
80 〜780nm )ならびに日射透過率(Ts:340 〜1800n
m)と日射反射率(Rs:340 〜1800nm)等については340
型自記分光光度計(日立製作所製)により測定し、所
定の波長毎の透過率、反射率の各データとJIS Z 8722、
JIS R 3106によってそれぞれその光学的特性(光源:D
65 2°視野)を求め、その一部を表1に可視光透過
率、平均可視光反射率、可視光反射率差および刺激純度
について示した。
【0025】また、熱的性能としては、JIS R 3106に基
づいて日射熱取得率を求め、3mmの厚さのフロート板ガ
ラス(透明)の日射熱取得率(η値=太陽の日射を受け
たガラスから、どの程度の日射が室内に入ってくるかを
示す数値=0.88)を1とした場合の日射熱取得率の相対
値を求め、遮蔽係数(Shading Coefficient=S.C.) とし
て示した。なお例えば、3mmの厚さのフロート板ガラス
(透明)の日射透過率は約0.86程度である。また例えば
6mmの厚さのフロート板ガラス(透明)の遮蔽係数(S.
C.) は約0.95程度である。
【0026】また、耐久性としては、JIS R 3221に基づ
いて、耐薬品性テストについては、酸とアルカリの各1
規定、25℃溶液に約6時間浸漬後の可視光透過率の変化
量(△Ts, %)で評価し、例えば△Tsが4.0 %以下であ
れば合格とした。さらに、テーバーテストについては、
摩耗輪(CS-10F)、荷重 500g、100 回回転後の可視光
透過率の変化量(△Ts, %)で評価し、例えば△Tsが4.
0 %以下であれば合格とした。
【0027】また、表面抵抗率については、105 Ω/口
以下のものは四探針抵抗測定装置RT-8(NAPSON社製)、
105 Ω/口〜105 MΩ/口のものは表面高抵抗計HIREST
A HT-210(三菱油化社製)によって測定し、1kΩ/口
以上であるものを電波透過性を有するものとした。
【0028】さらに、生産性等を加味したコスト上良好
なもの、および上述した各特性ならびに外観上等から所
期の居住性を高めたガラス板となったものを総合的な評
価として○印、所期のものではないものを×印でそれぞ
れ表1に示した。
【0029】その結果、G(ガラス) /TiNx(10nm)/Sn
Ox(50nm)と2層膜の構成でなる積層薄膜付き板ガラス
は、表1に示すように、可視光透過率(Tv)が61.3%、
ガラス面の可視光反射率(Rv)が24.3%かつガラス面と
膜面の可視光反射率差(△Rv)が4.9%であって、ガラ
ス面の刺激純度も13.9%であり、透明性とミラー効果を
バランスよく持ち、人や環境に対して優しく、しかも日
射透過率(Ts)が55.4%、遮蔽係数(S.C.)が0.74であ
る等断熱性を持ち、例えば冷房負荷軽減効果も大きく発
揮するものである。
【0030】さらに、耐久性も例えば耐薬品性およびテ
ーバーのテストでの可視光透過率の変化量(△Ts)も約
0.5 %以下と合格するものであり、ガラス面の反射色調
が淡いブルー系であって電波透過性もあり、所期の居住
性を高めたガラス板であった。
【0031】実施例2〜3 表1に示すように、実施例1においるフロートクリアガ
ラスの板厚のみ、実施例2で8mm(Fl8) と実施例3で12
mm(FL12) と替え、実施例1と同様の方法で同様の膜構
成として実施例1と同様の積層薄膜付き板ガラスを得
た。
【0032】得られた積層薄膜付き板ガラスについて実
施例1と同様に各機器を用いて各測定を行い評価した。
その結果、得られた積層薄膜付き板ガラスは、表1に示
すように、板厚が増大するにつれ、可視光透過率が少々
低下し、可視光反射率が同等か多少低下し、ガラス面と
膜面の可視光反射率差が減少し、日射透過率ならびに遮
蔽係数も少々低下する等の変化はあるものの、色調や電
波透過性も含めいずれも所期のめざす値内であり、実施
例1と同様に所期の居住性を高めたガラス板であった。
【0033】実施例4〜7 実施例1と同様に厚さ6mmのフロートクリアガラス(Fl
6) を用い、実施例1と同様の膜構成で膜厚のみ表1に
示すような値に変化させ、積層薄膜付き板ガラスを得
た。
【0034】得られた積層薄膜付き板ガラスについて実
施例1と同様に各機器を用いて各測定を行い評価した。
その結果、得られた積層薄膜付き板ガラスは、表1に示
すようになり、実施例1と同様に可視光透過率、可視光
反射率、可視光反射率差および刺激純度等の各光学特性
はもちろん、日射透過率や遮蔽係数等の熱的性能、色調
や電波透過性も含めいずれもめざす範囲内にあり、めざ
す所期の居住性を高めたガラス板であった。
【0035】比較例1 実施例1と同様にして板ガラス上に成膜し、表1に示す
ように、TiNx薄膜の膜厚を約7.5nm とし、SnOx薄膜の膜
厚を約60nmとやや厚めとした。
【0036】得られた積層薄膜付きガラスについて実施
例1と同様に各機器を用いて各測定をし評価した。その
結果、積層薄膜付き板ガラスは、ガラス面側の可視光反
射率が25%を超え、しかもガラス面と膜面の可視光反射
率差が6.0 %を超えるようになり、ミラー性が生じ過ぎ
てバランスがよいものとは言い難く、ギラツキ感もあ
り、必ずしも所期の居住性を高めたガラス板とは言い難
いものであった。
【0037】比較例2 実施例1と同様にして板ガラス上に成膜し、表1に示す
ように、TiNx薄膜の膜厚を約5.5nm とやや薄めとし、Sn
Ox薄膜の膜厚を約40nmとした。
【0038】得られた積層薄膜付きガラスについて実施
例1と同様に各機器を用いて各測定をし評価した。その
結果、積層薄膜付き板ガラスは、可視光透過率が63%を
超え、しかも熱的性能である遮蔽係数が0.77を超えるよ
うになり、必ずしも所期の居住性を高めたガラス板とは
言い難いものであった。
【0039】比較例3 実施例1と同様にして板ガラス上に成膜し、表1に示す
ように、TiNx薄膜の膜厚を約11.5nmとやや厚めとし、Sn
Ox薄膜の膜厚も約60nmとやや厚めとした。
【0040】得られた積層薄膜付きガラスについて実施
例1と同様に各機器を用いて各測定をし評価した。その
結果、積層薄膜付き板ガラスは、ガラス面側の可視光反
射率が25%を大きく超えかつガラス面と膜面の可視光反
射率差が6.0 %を大きく超えるようになり、ミラー性が
勝ち過ぎることとなってバランスがとれたものとは言い
難く、人や環境に優しいとは言い難く、所期の居住性を
高めたガラス板とは言い難いものであった。
【0041】比較例4 表1に示すように、実施例1と同様の板ガラスを用い、
実施例1と同様にしてTiターゲットのみセットし、スピ
ード約286mm /min で前記板ガラスを搬送することによ
って約9.5nm 厚さのTiNx薄膜を第1層として成膜した。
成膜が完了した後、Tiターゲットへの印加を停止した。
【0042】次いで、前記板ガラスを前記真空槽中にお
いたまま、前記槽内を真空ポンプで約5×10-6Torrまで
に脱気した後、該真空槽内にO2ガスとArガス〔但し、Ar
ガスとO2ガスのガス流量比はO2/(Ar+O2) の値が0.5 〜
1.0 (なお、該1.0 の値の際はArガス流量が零である)
の範囲であればよい。〕を導入して真空度を約2×10 -3
Torrに保持し、前記Tiのターゲットに約3.0kw の電力を
印加し、前記混合ガスによるDCマグネトロン反応スパッ
タの中を、前記Snのターゲット上方においてスピード約
93mm/min で前記板ガラスを搬送することによって、前
記板ガラスのTiNx薄膜表面上に約30nm厚さのTiOx(1<
x≦2)薄膜を第2層として積層成膜した。成膜が完了
した後、Tiターゲットへの印加を停止した。
【0043】得られた積層薄膜付きガラスについて実施
例1と同様に各機器を用いて各測定をし評価した。その
結果、積層薄膜付き板ガラスは、可視光透過率が57%よ
り低く、ガラス面側の可視光反射率が25%を超え、しか
もガラス面の刺激純度が19%を超えるようになり、ギラ
ツキ感が強まり必ずしも人や環境に優しいものとは言い
難く、所期の居住性を高めたガラス板とは言い難いもの
であった。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】以上前述したように、本発明によれば、
積層薄膜層を表面に形成したガラス板の膜構成ならびに
その膜厚を特定し、可視光透過率、可視光反射率ならび
に可視光反射率差、さらには熱的遮蔽係数等を特定した
ものとしたことにより、ガラスらしさを充分発揮して意
匠性をアピールし、透明感と存在観ならびに透視性とミ
ラー性を発現させて断熱性とともにバランスよく同時に
満足しうるものとでき、耐久性を備え、しかも淡いブル
ー系色調のガラス面反射色でニュートラルの透過色調を
呈しかつ電波透過性を有する等、人や環境に優しく居住
性を高めたガラス板を簡単な膜構成等で安価に提供する
ことができ、建築用窓材としてはもちろん、ビルディン
グ等各種の用途にその機能を発揮する、居住性と環境性
に優れたガラス板を提供するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−294032(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 15/00 - 23/00 B32B 1/00 - 35/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜層を表面に形成したガラス板におい
    て、ガラス面側から第1層目として膜厚が7.5nm 以上1
    1.0nm以下であるTiNx薄膜、第1層の上に第2層目とし
    て膜厚が40nm以上55nm以下であるSnOx薄膜の積層膜から
    なり、可視光透過率が57〜63%であって、しかもガラス
    面と膜面の可視光反射率を25%以下でかつガラス面と膜
    面の可視光反射率差が6.0 %以下であり、さらに熱的遮
    蔽係数が0.77以下であるものとしたことを特徴とする居
    住性を高めたガラス板。
  2. 【請求項2】 前記居住性を高めたガラス板における刺
    激純度が、19%以下であることを特徴とする請求項1記
    載の居住性を高めたガラス板。
  3. 【請求項3】 前記透明基板の板厚が、5〜19mmである
    ことを特徴とする請求項1乃至2記載の居住性を高めた
    ガラス板。
  4. 【請求項4】 前記居住性を高めたガラス板が、電波透
    過性を有することを特徴とする請求項1乃至3記載の居
    住性を高めたガラス板。
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