JP3351238B2 - 鋳込み成形によるカーボン材料の製造方法 - Google Patents

鋳込み成形によるカーボン材料の製造方法

Info

Publication number
JP3351238B2
JP3351238B2 JP12237796A JP12237796A JP3351238B2 JP 3351238 B2 JP3351238 B2 JP 3351238B2 JP 12237796 A JP12237796 A JP 12237796A JP 12237796 A JP12237796 A JP 12237796A JP 3351238 B2 JP3351238 B2 JP 3351238B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
carbon
resin
sintering
slurry
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP12237796A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09286665A (ja
Inventor
中野達明
佐藤昌利
寒川喜光
北川和男
島村哲朗
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
CITY OF KYOTO
Original Assignee
CITY OF KYOTO
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by CITY OF KYOTO filed Critical CITY OF KYOTO
Priority to JP12237796A priority Critical patent/JP3351238B2/ja
Publication of JPH09286665A publication Critical patent/JPH09286665A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3351238B2 publication Critical patent/JP3351238B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Producing Shaped Articles From Materials (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水系でカーボン粉
末を処理し、軽量、高強度で多孔質な複雑形状をもつカ
ーボン体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のカーボン焼成体はフラン樹脂、フ
ェノール樹脂等の熱硬化性樹脂初期縮合物をそのまま
か、その熱硬化性樹脂と熱硬化性樹脂を炭化焼成した粉
末を出発原料とし、それらを加熱しシート状か、板状ま
たはブロック状の単一形状に成形した後硬化させ、不活
性雰囲気下で焼成炭化するものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複雑形
状の製品は熱硬化性樹脂初期縮合物だけで成形し、熱硬
化後機械加工して目的の形状を得、それを1〜10℃/
hの昇温速度で1000℃〜2800℃までという長時
間(即ち、数日〜40日位)をかけて焼成しなければな
らなかった。
【0004】また、カーボン粉は水とのぬれが悪いた
め、カーボン粉を液中で分散するのには有機溶媒が用い
られていた。しかし、溶剤を用いた作業環境は人体にと
って有害であり、カーボン粉を人体に無害の水で処理す
る技術の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するため、カーボン粉末の水系処理可能な鋳込み成形
による高強度カーボン材料の製造方法を創出した。この
方法は、a)自己焼結性の無いカーボン粉末に焼結助剤
として熱硬化性樹脂の初期縮合物の粉体を添加すること
により自己焼結性を有するようにした混合粉末、または
自己焼結性の有るカーボン粉末を、0.5〜4.0重量
%の解膠剤と共に水に添加し、b)前記水に添加した粉
末と解膠剤を前記水中に分散させるため、それらの混合
物中の粉塊が平均粒子径10μm以下、混合物全体とし
ての粘度が150mPa・s以下の泥しょうとなるまで
混合・粉砕し、c)前記泥しょうを所望形状の鋳込み型
に流し込んで成形体とし、d)前記成形体を真空中又は
不活性ガス中において800°C以上の温度で焼成す
る、ものである。
【0006】上記の構成によれば、鋳込み成形で得られ
る限度において製品形状の複雑性を達成するものであ
り、出発原料をカーボン粉末主体とし、これには必要に
応じた量の焼結助剤(熱硬化性樹脂初期宿合物)を添加
するのみとして、従来のように最短でも数日かかるとい
う焼成時間を24時間程度に短縮したものである。
【0007】また上記の構成では、従来はカーボン粉末
等を液中で分散させるために常識的な解膠剤の添加率と
されてきた0.1〜0.2重量%という値を見直し、こ
れよりかなり多い量の解膠剤(0.5〜4.0重量%)
を添加することにより、カーボン粉末等を人体に無害の
水中に分散させるようにしたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の基本概念に沿って
種々実験を行った結果から、好ましい実施例及び比較例
として区分されたものにつき説明する。
【0009】実施例1 紙‐フェノール樹脂複合基板を窒素雰囲気下600℃で
加熱処理を行い、カーボン前駆体を得、それを磁製のボ
ールミルで平均粒径10μmに粉砕し、カーボン前駆体
粉末を得る。この粉100gにフェノール樹脂初期縮合
物を10重量%と解膠剤を0.5重量%の割合でイオン
交換水100ml中に添加し、72時間湿式ボールミル
で混合粉砕した。これにより得られた泥しょうは、泥し
ょう中の粉末の平均粒径が6.0μm、粘度が25mP
a・sの特性を示し、その泥しょうを用いて、直径12
mm、長さ120mmの丸棒が3本とれる石膏型で鋳込
み成形した。得られた成形体は3時間後脱型し、1日の
自然乾燥後、窒素雰囲気下600℃まで昇温速度50℃
/h、それ以降は100℃/hの昇温速度により最高温
度1500℃まで加熱し、2時間保持するという加熱プ
ロセスにより焼成した。その物性を表(後出)に示す。
【0010】実施例2 紙‐フェノール樹脂複合基板を窒素雰囲気下600℃で
加熱処理を行い、カーボン前駆体を得、それを磁製のボ
ールミルで平均粒径10μmに粉砕し、カーボン前駆体
粉末を得る。この粉100gにフェノール樹脂初期縮合
物を10重量%と解膠剤を2重量%の割合でイオン交換
水100ml中に添加し、72時間湿式ボールミルで混
合粉砕した。これにより得られた泥しょうは、泥しょう
中の粉末の平均粒径が4.9μm、粘度が26mPa・
sの特性を示し、その泥しょうを用いて、直径12m
m、長さ120mmの丸棒が3本とれる石膏型で鋳込み
成形した。得られた成形体は3時間後脱型し、1日の自
然乾燥後、窒素雰囲気下600℃まで昇温速度50℃/
h、それ以降は100℃/hの昇温速度により最高温度
1500℃まで加熱し、2時間保持するという加熱プロ
セスにより焼成した。その物性を表(後出)に示す。
【0011】実施例3 紙‐フェノール樹脂複合基板を窒素雰囲気下600℃で
加熱処理を行い、カーボン前駆体を得、それを磁製のボ
ールミルで平均粒径10μmに粉砕し、カーボン前駆体
粉末を得る。この粉100gにフェノール樹脂初期縮合
物を10重量%と解膠剤を4重量%の割合でイオン交換
水100ml中に添加し、72時間湿式ボールミルで混
合粉砕した。これにより得られた泥しょうは、泥しょう
中の粉末の平均粒径が7.6μm、粘度が30mPa・
sの特性を示し、その泥しょうを用いて、直径12m
m、長さ120mmの丸棒が3本とれる石膏型で鋳込み
成形した。得られた成形体は3時間後脱型し、1日の自
然乾燥後、窒素雰囲気下600℃まで昇温速度50℃/
h、それ以降は100℃/hの昇温速度により最高温度
1500℃まで加熱し、2時間保持するという加熱プロ
セスにより焼成した。その物性を表(後出)に示す。
【0012】実施例4 紙‐フェノール樹脂複合基板を窒素雰囲気下600℃で
加熱処理を行い、カーボン前駆体を得、それを磁製のボ
ールミルで平均粒径10μmに粉砕し、カーボン前駆体
粉末を得る。この粉100gにフェノール樹脂初期縮合
物を20重量%と解膠剤を2重量%の割合でイオン交換
水100ml中に添加し、72時間湿式ボールミルで混
合粉砕した。これにより得られた泥しょうは、泥しょう
中の粉末の平均粒径が6.7μm、粘度が30mPa・
sの特性を示し、その泥しょうを用いて、直径12m
m、長さ120mmの丸棒が3本とれる石膏型で鋳込み
成形した。得られた成形体は3時間後脱型し、1日の自
然乾燥後、窒素雰囲気下600℃まで昇温速度20℃/
h、それ以降は100℃/hの昇温速度により最高温度
1500℃まで加熱し、2時間保持するというプロセス
により焼成した。その物性を表(後出)に示す。
【0013】実施例5 カーボンブラック(三菱化学(株)製、#3250B)
100gにフェノール樹脂初期縮合物を10重量%と解
膠剤3重量%の割合でイオン交換水400ml中に添加
し、48時間湿式ボールミルで混合粉砕した。これによ
り得られた泥しょうは、泥しょう中の粉末の平均粒径が
1.5μm、粘度が30mPa・sの特性を示し、その
泥しょうを用いて、直径12mm、長さ120mmの丸
棒が3本とれる石膏型で鋳込み成形した。得られた成形
体は3時間後脱型し、1日の自然乾燥後、窒素雰囲気下
600℃まで昇温速度20℃/h、それ以降は100℃
/hの昇温速度により最高温度1500℃まで加熱し、
2時間保持するという加熱プロセスにより焼成した。そ
の物性を表(後出)に示す。
【0014】実施例6 自己焼結性を有するメソフェーズカーボン粉(大阪ガス
(株)、MSMB−6−G)100gに解膠剤を2重量
%の割合でイオン交換水100ml中に添加し、48時
間ボールミルで混合粉砕した。これにより得られた泥し
ょうは、泥しょう中の粉末の平均粒径が3.6μm、粘
度が22mPa・sの特性を示し、その泥しょうを用い
て、直径12mm、長さ120mmの丸棒が3本とれる
石膏型で鋳込み成形した。得られた成形体は3時間後脱
型し、1日の自然乾燥後、窒素雰囲気下600℃まで昇
温速度20℃/h、それ以降は100℃/hの昇温速度
により最高温度1500℃まで加熱し、2時間保持する
という加熱プロセスにより焼成した。その物性を表(後
出)に示す。
【0015】比較例1 紙‐フェノール樹脂複合基板を窒素雰囲気下600℃で
加熱処理を行い、カーボン前駆体を得、それを磁製のボ
ールミルで平均粒径10μmに粉砕し、カーボン前駆体
粉末を得る。この粉100gに解膠剤を2重量%の割合
でイオン交換水100ml中に添加し、72時間湿式ボ
ールミルで混合粉砕した。これにより得られた泥しょう
は、泥しょう中の粉末の平均粒径が9.6μm、粘度が
28mPa・sの特性を示し、その泥しょうを用いて、
直径12mm、長さ120mmの丸棒が3本とれる石膏
型で鋳込み成形した。得られた成形体は3時間後脱型
し、1日の自然乾燥後、窒素雰囲気下600℃まで昇温
速度50℃/h、それ以降は100℃/hの昇温速度に
より最高温度1500℃まで加熱し、2時間保持すると
いう加熱プロセスにより焼成した。その物性を表(後
出)に示す。
【0016】比較例2 紙‐フェノール樹脂複合基板を窒素雰囲気下600℃で
加熱処理を行い、カーボン前駆体を得、それを磁製のボ
ールミルで平均粒径10μmに粉砕し、カーボン前駆体
粉末を得る。この粉100gにフェノール樹脂初期縮合
物を10重量%、イオン交換水100ml中に添加し、
72時間湿式ボールミルで混合粉砕した。これにより得
られた泥しょうは、泥しょう中の粉末の平均粒径が6.
2μm、粘度が45mPa・sの特性を示し、その泥し
ょうを用いて、直径12mm、長さ120mmの丸棒が
3本とれる石膏型で鋳込み成形したところ、石膏型中で
の乾燥時にクラックが入り、良好な鋳込み成形体はとれ
なかった。
【0017】比較例3 紙‐フェノール樹脂複合基板を窒素雰囲気下600℃で
加熱処理を行い、カーボン前駆体を得、それを磁製のボ
ールミルで平均粒径10μmに粉砕し、カーボン前駆体
粉末を得る。この粉100gにフェノール樹脂初期縮合
物を10重量%と解膠剤を4.5重量%の割合でイオン
交換水100ml中に添加し、72時間湿式ボールミル
で混合粉砕した。これにより得られた泥しょうは、泥し
ょう中の粉末の平均粒径が8.0μm、粘度が28mP
a・sの特性を示し、その泥しょうを用いて、直径12
mm、長さ120mmの丸棒が3本とれる石膏型で鋳込
み成形したところ、脱型時の乾燥収縮は小さく、良好な
鋳込み成形体はとれなかった。
【0018】比較例4 紙‐フェノール樹脂複合基板を窒素雰囲気下600℃で
加熱処理を行い、カーボン前駆体を得、それを磁製のボ
ールミルで平均粒径18μmに粉砕し、カーボン前駆体
粉末を得る。この粉100gにフェノール樹脂初期縮合
物を10重量%と解膠剤を2重量%の割合でイオン交換
水100ml中に添加し、24時間湿式ボールミルで混
合粉砕した。これにより得られた泥しょうは、泥しょう
中の粉末の平均粒径が10.3μm、粘度が27mPa
・sの特性を示し、その泥しょうを用いて、直径12m
m、長さ120mmの丸棒が3本とれる石膏型で鋳込み
成形した。得られた成形体は3時間後脱型し、1日の自
然乾燥後、窒素雰囲気下600℃まで昇温速度50℃/
h、それ以降は100℃/hの昇温速度により最高温度
1500℃まで加熱し、2時間保持するという加熱プロ
セスにより焼成した。その物性を表(後出)に示す。
【0019】比較例5 紙‐フェノール樹脂複合基板を窒素雰囲気下600℃で
加熱処理を行い、カーボン前駆体を得、それを磁製のボ
ールミルで平均粒径10μmに粉砕し、カーボン前駆体
粉末を得る。この粉100gにフェノール樹脂初期縮合
物を10重量%と解膠剤を2重量%の割合でイオン交換
水80ml中に添加し、24時間湿式ボールミルで混合
粉砕した。これにより得られた泥しょうは、泥しょう中
の粉末の平均粒径が8.9μm、粘度が150mPa・
sの特性を示し、その泥しょうを用いて、直径12m
m、長さ120mmの丸棒が3本とれる石膏型で鋳込み
成形したところ、石膏型での乾燥収縮が不均一のため
か、均一な鋳込み成形体はとれなかった。得られた成形
体は3時間後脱型し、1日の自然乾燥後、窒素雰囲気下
600℃まで昇温速度50℃/h、それ以降は100℃
/hの昇温速度により最高温度1500℃まで加熱し、
2時間保持するという加熱プロセスにより焼成した。そ
の物性を表(後出)に示す。
【0020】比較例6 紙‐フェノール樹脂複合基板を窒素雰囲気下600℃で
加熱処理を行い、カーボン前駆体を得、それを磁製のボ
ールミルで平均粒径10μmに粉砕し、カーボン前駆体
粉末を得る。この粉100gにフェノール樹脂初期縮合
物を10重量%と解膠剤を2重量%の割合でイオン交換
水70ml中に添加し、24時間湿式ボールミルで混合
粉砕した。これにより得られた泥しょうは、泥しょう中
の粉末の平均粒径が9.5mm、粘度が220mPa・
sの特性を示し、その泥しょうを用いて、直径12m
m、長さ120mmの丸棒が3本とれる石膏型で鋳込み
成形したところ、石膏型での乾燥収縮が不均一のためク
ラックが入り良好な鋳込み成形体はとれなかった。
【0021】なお、当業者であれば、自己焼結性の無い
カーボン粉として本発明の実施に用いられるものには、
前述したカーボン前駆体粉とカーボンブラック以外に黒
鉛粉末、炭素粉末、ガラス状カーボン粉等を容易に思い
つくが、これらのものは、単独でもある程度の焼結性を
発揮するものであると考えられる。
【0022】また、本発明の実施において、自己焼結性
の無いカーボン粉として用いられるカーボン前駆体は、
実施例で述べた紙‐フェノール樹脂複合基板の加熱処理
によって得たものだけでなく、フェノール樹脂単独、エ
ポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、フルフリルア
ルコール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びポリイミ
ド樹脂のいずれか1種類又はこれらを組み合わせたもの
を含む硬化物を、紙‐フェノール樹脂複合基板の場合と
同様、真空中又は不活性ガス中で400℃〜800℃、
好ましくは600℃で熱処理して得ることも可能であ
る。
【0023】表は、以上の実施例及び比較例の配合比
率、泥しょう中粉末の平均粒径、泥しょうの粘度及び焼
成体の物性を示すものである。
【0024】
【表1】
【0025】上表から明らかな通り、自己焼結性の無い
カーボン粉末等に焼結性を与えるための、熱硬化性樹脂
初期縮合物の量は、実施例1〜3及び5、並びに比較例
2〜6において10重量%、実施例4において20重量
%としたが、これは自己焼結性の無いカーボン粉末から
の焼成体として要求される最低限の強度を得るために
は、従来より前記縮合物を0.5重量%以上添加しなけ
ればならないという慣例を考慮して、これを十分に上回
る量としたものである。当然ながら、カーボン前駆体に
縮合物を添加しなかった比較例1においては、焼成体の
曲げ強さが7.2と他の実施例及び比較例に比して格段
に小さかったことからしても、本発明において、自己焼
結性の無いカーボン粉末等に添加すべき熱硬化性樹脂初
期縮合物の量は、従来周知の下限と、“添加”という意
味合からの上限を用いて0.5〜50重量%、好ましく
は実施例における10〜20重量%程度の量を指すもの
である。
【0026】解膠剤の量は、実施例中最低量の0.5重
量%でも、比較例2(0重量%)のように泥しょうの乾
燥中にクラックがみられるという欠点はなく、焼成体と
しての物性(かさ密度、気孔率及び曲げ強さ)も曲げ強
さが他の実施例に比してやや低い外はそれほど遜色のな
い焼成体が得られたものであり、したがって、解膠剤の
最低限は0.5重量%程度と考えて差し支えない。ま
た、他の実施例において、2、3、4重量%と値を変え
た範囲内では、大まかにはその数値が低い方が曲げ強さ
が大きくなったと考えられる。そして、比較例3におい
て、解膠剤の量を4.5重量%とした場合、泥しょうは
乾燥収縮しない結果となり、したがって、解膠剤の添加
上限値は4重量%程度と考えることができる。
【0027】前述したパラメータの限界値設定のために
用いなかった比較例4、5及び6においては、水中混合
物の粉砕粒径が実施例1〜6の平均粒径(最大7.6μ
m)よりかなり高く、10μm前後である。この場合、
比較例4の10.3μmにおいては、焼成体の曲げ強さ
(平均22.8)が全体に弱く、しかも、バラツキが大
きいため、実用的でないことがわかる。次に、比較例5
において、平均粒径は8.9μmであるが、この場合
は、混合物への添加水量を典型的な100mlから80
mlまで少なくして、粘度を他の例(数10mPa・m
以下)より極めて高い150mPa・sとしたため、そ
の要因もあって曲げ強さ(32.5)のバラツキがやや
大きくなったと考えられる。したがって、粘度を数10
mPa・sまで下げれば、この例における平均粒径8.
9μmでも十分な曲げ強さが得られるのではないかと考
えられる。さらに、比較例6においても、平均粒径は
9.5μmであるが、この場合はさらに、粘度を220
mPa・sまで高めたため、乾燥時にクラックが入った
ものと考えられる。結局、これらの条件を勘案して、平
均粒径は他のパラメータが通常程度である場合において
は、10μm程度を上限とするのが妥当である。
【0028】上記比較例5においては、泥しょう粘度が
150mPa・sとかなり高い値であったため、曲げ強
さがやや弱く、かつバラツキもやや多くなったことはす
でに述べた通りであるが、これには粉末平均粒径が8.
9μmとかなり10μmに近い大きさであったことも1
つの要素であったと考えられる。したがって、泥しょう
粘度150mPa・sは十分実用可能な値として粘度値
上限の目安になると考えられる。
【0029】なお、この種のカーボン粉末の成形体の焼
成温度は、通常800℃以上でなければならないとされ
ている。実施例等においては、この条件を十分に満たす
ものとして焼成温度及び時間を決定したものである。
【0030】
【発明の効果】本発明は、以上述べた通り、水系でカー
ボン粉末を処理し、軽量かつ高強度で多孔質な複雑形状
をもつカーボン体の製造方法を提供するものである。出
発物質としてのカーボン粉には、熱硬化性樹脂の硬化物
を再利用してカーボン前駆体とすることができ、公害防
止及び資源リサイクルに寄与するものである。
【0031】また、本発明においては、鋳込み成形で得
られる限りにおいて、複雑な形状のカーボン成形体を短
時間で焼成することができる。例えば、従来の熱硬化性
樹脂初期縮合物だけから複雑形状のカーボン焼成体を得
ていた場合の平均30日程度という長時間に比して、初
期昇温速度が20℃/hと比較的遅い場合でも、常温か
ら600℃まで約29時間、そこから1500℃まで1
00℃/hで9時間、さらに、保持時間(2時間)を併
せても計40時間程度であり、初期昇温速度を50℃と
した場合には、それより17時間短い23時間で良いこ
とになる。
【0032】また、カーボン粉の泥しょう化は、水によ
って行うことができるため、従来のような溶剤による場
合の危険性を回避することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 394024411 北川 和男 京都府京都市南区西九条唐橋町41番地 (73)特許権者 394024433 島村 哲朗 京都府京都市伏見区向島二ノ丸町68番地 の61 (73)特許権者 596053068 京都市 京都府京都市中京区寺町通御池上る上本 能寺前町488番地 (72)発明者 中野達明 滋賀県大津市におの浜1丁目1−57− 919 (72)発明者 佐藤昌利 京都府京都市中京区西ノ京東月光町1番 地 (72)発明者 寒川喜光 滋賀県大津市清風町38番3号 (72)発明者 北川和男 京都府京都市南区西九条唐橋町41番地 (72)発明者 島村哲朗 京都府京都市伏見区向島二ノ丸町68番地 の61 (56)参考文献 特開 平1−317109(JP,A) 特公 昭59−469(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/52

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)自己焼結性の無いカーボン粉末に焼
    結助剤として熱硬化性樹脂の初期縮合物の粉体を添加す
    ることにより自己焼結性を有するようにした混合粉末、
    又は自己焼結性の有るカーボン粉末を、0.5〜4.0
    重量%の解膠剤と共に水に添加し、 b)前記水に添加した粉末と解膠剤を前記水中に分散さ
    せるため、それらの混合物中の粉塊が平均粒子径10μ
    m以下、混合物全体としての粘度が150mPa・s以
    下の泥しょうとなるまで混合・粉砕し、 c)前記泥しょうを所望形状の鋳込み型に流し込んで成
    形体とし、 d)前記成形体を真空中又は不活性ガス中において80
    0°C以上の温度で焼成することを特徴とする鋳込み成
    形による高強度カーボン材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記自己焼結性の無いカーボン粉末とし
    て、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユ
    リア樹脂、フラン樹脂、フルフリルアルコール樹脂、不
    飽和ポリエステル樹脂及びポリイミド樹脂のうち少なく
    とも1種類を含む硬化物を真空中又は不活性ガス中で4
    00°C〜800°Cで熱処理してカーボン前駆体と
    し、このカーボン前駆体を粒径100μm以下まで微粉
    化したものを用い、これに前記焼結助剤として、10〜
    20重量%の熱硬化性樹脂の初期縮合物の粉体を添加す
    ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記自己焼結性の無いカーボン粉末とし
    て、カーボンブラック粉末、黒鉛粉末、炭素粉末、又は
    ガラス状カーボン粉末を用いることを特徴とする請求項
    1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記焼結助剤としての熱硬化性樹脂の初
    期縮合物が、少なくとも40%の残炭率を有する物であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載
    の方法。
  5. 【請求項5】 前記解膠剤として、ポリカルボン酸型、
    ナフタレン・スルホン酸ホルマリン宿合型、アクリル
    酸、無水マレイン型等の水系高分子分散剤を用いること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方
    法。
JP12237796A 1996-04-19 1996-04-19 鋳込み成形によるカーボン材料の製造方法 Expired - Fee Related JP3351238B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12237796A JP3351238B2 (ja) 1996-04-19 1996-04-19 鋳込み成形によるカーボン材料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12237796A JP3351238B2 (ja) 1996-04-19 1996-04-19 鋳込み成形によるカーボン材料の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09286665A JPH09286665A (ja) 1997-11-04
JP3351238B2 true JP3351238B2 (ja) 2002-11-25

Family

ID=14834335

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12237796A Expired - Fee Related JP3351238B2 (ja) 1996-04-19 1996-04-19 鋳込み成形によるカーボン材料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3351238B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09286665A (ja) 1997-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6491891B1 (en) Gelcasting polymeric precursors for producing net-shaped graphites
JP3699992B2 (ja) 炭化ケイ素系耐熱性超軽量多孔質構造材及びその製造方法
US20020011683A1 (en) Silicon carbide body honeycomb bodies and method of producing the same
CN101323536A (zh) 氮化硼多孔陶瓷保温材料、制备方法及其应用
JPH08143364A (ja) 繊維強化炭化ケイ素複合セラミックス成形体の製造方法
JPS6350310B2 (ja)
JP3351238B2 (ja) 鋳込み成形によるカーボン材料の製造方法
JPS63288974A (ja) 繊維強化セラミックスの製造方法
JP2001226174A (ja) 炭化ケイ素系耐熱性軽量多孔質構造材の製造方法
WO2001098207A1 (en) Plasticizable mixture and method of using
JP4054872B2 (ja) アルミナ多孔質セラミックス及びその製造方法
JPH089504B2 (ja) 高密度炭化ケイ素焼結体の製造方法
JP4004180B2 (ja) 炭素・黒鉛複合成形体の製造方法
JP4642392B2 (ja) 多孔性炭素材料の製造方法、及び該多孔性炭素材料、該多孔性炭素材料を用いた摺動部品
KR100646212B1 (ko) 고기공율 고강도 다공질세라믹스의 제조방법 및 그세라믹스소재
CN114538944A (zh) 一种碳纤维窑具的制备配方及制备工艺
JPH02129071A (ja) 炭化硅素系セラミックスの製造方法
JP5093639B2 (ja) 炭素/セラミックス複合材の製造方法
CN116947490A (zh) 一种低温烧结致密块体陶瓷材料及其制备方法
JPS623071A (ja) 炭素−セラミツクス複合材の製造法
JP2005272300A (ja) 炭化ケイ素系耐熱性超軽量多孔質構造材及びその製造方法
JPS60112609A (ja) 硬質炭素成形品の製造法
JPH0722931B2 (ja) 粉体の焼結前駆体の成形法
JP2536513B2 (ja) 不透過性炭素材の製造法
JPH06305811A (ja) 二ホウ化チタン系セラミックスの鋳込成形方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees