JP3349673B2 - 杭打用圧力水の噴射装置、および、同噴射方法 - Google Patents

杭打用圧力水の噴射装置、および、同噴射方法

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JP3349673B2
JP3349673B2 JP34632098A JP34632098A JP3349673B2 JP 3349673 B2 JP3349673 B2 JP 3349673B2 JP 34632098 A JP34632098 A JP 34632098A JP 34632098 A JP34632098 A JP 34632098A JP 3349673 B2 JP3349673 B2 JP 3349673B2
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valve spool
hole
pile
valve
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充 川田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シートパイル,H
型鋼,鋼管杭,ハット型土留部材など、何らかの既製杭
を地盤中へ打ち込む際、該既製杭の打ち込みを促進する
ために圧力水を噴射する装置、および同方法に関するも
のである。
【0002】ただし、本発明において杭を打つとは、既
製杭を地中に貫入せしめることを言い、衝撃力を加えて
叩き込むことに限定されない。例えば静圧を加えて杭を
地中に押し込むことも、また例えば杭に振動を与えて自
重で地盤中に沈下せしめることも、杭を打つことに含ま
れる。
【0003】
【従来の技術】図6は、杭打作業に際して圧力水および
/または圧力空気の噴射を併用している状態を示す概要
的な正面図であって、本来は従来例を描いたものである
が縮尺が小さくて細部が表されていないので、本図を本
発明の実施例として見ても別段の矛盾を生じない。
【0004】杭1を地盤中へ打ち込むには、圧力機2に
よって杭を把持して下方へ押圧したり、または、杭に起
振機3を取り付けて振動を与えることにより自重で沈下
させたりする。しかし、地盤が硬質の場合、押圧や振動
だけでは杭1が地盤中に貫入しないので、該杭1の下端
にノズル4を取り付けて、パイプ5によって圧力水およ
び/または圧力空気を供給し、ノズル4から下方に向け
て噴射する。噴射された圧力流体は杭1の下端部付近の
地盤を撹拌して掘り弛め、杭の沈下を助長する。基本操
作としては杭1を地球に対して鉛直に保持して鉛直に打
ち込むが、地盤は必ずしも均質でないため、杭1が僅か
に傾斜して打ち込まれることも有る。また、工事の種類
によっては、意識的に傾斜させて打ち込む場合も有る。
本発明においては説明の便宜上、本図6に示した基本的
な作業状態における上,下に基づいて上,下を呼称す
る。また、各図面に往復矢印を付記して、上方をマーク
Uで、下方をマークDで表して図面相互の対照を便なら
しめた。従って、往復矢印U−Dは、杭1が地球に対し
て傾いているときにおいても、杭の長手方向を表してい
る。地球を基準として見るならば前記往復矢印U−Dは
必ずしも鉛直方向を表しておらず、斜め上下方向を表し
ている場合(杭を傾斜させて打設するときなど)も有
る。上,下の呼称に関する上述の定義から明らかなよう
に、使用されていない杭打機および/またはその付属機
器が単品で横たえられて置かれている場合にも、その機
器が図6に示した基準姿勢になった場合を想定して、
上,下の呼称を理解されたい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図6に示したようにし
てノズル4から圧力流体を噴射するため、杭1にパイプ
5、およびノズル4を取り付けて杭打ち作業を行ない、
杭1を所定深度まで打ち込んだ後は上記のノズル4およ
びパイプ5を地盤内に放置する工法(いわゆる、埋め殺
す方式)も現に実用されている。しかし、資源の節約を
図る場合には、ノズル4およびホース6を杭1に仮付け
しておいて杭打ち作業を行ない、杭1が所定深度まで打
ち込まれた後、ノズル4およびホース6を地上に引き抜
いて再利用する工法も多く実用されている。上述のごと
くノズル4およびホース6を引き抜く際、圧力水の供給
を停止しておけば別段の問題を生じないのであるが、過
失,故障など、何らかの事情で圧力水の供給を継続しつ
つノズル4およびホース6を地上に引き抜くと、ノズル
4から噴出する圧力水流の反動によってホース6が飛び
跳ねるように躍り回って重大な人心事故を生じた実例が
有る。このような事故の防止について、作業管理者とし
ては作業手順や操作基準を制定して教育の徹底を図るべ
きであるが、前述のような操作誤りの絶無を期すること
は容易でない。特に、例えば操作系の機器が故障したり
して、作業員の意に反して圧力水の送給が停止されなか
った場合、ノズル4は地下に在って噴射状態を視認でき
ないので、圧力水を噴射しているノズルを地上に引き抜
いてしまう虞れが有る。本発明は上述の事情に鑑みて為
されたものであって、何らかの事情により噴射中のノズ
ルを地上に引き抜いても、ホースが跳ね回って人身事故
を発生させる虞れの無い圧力水の噴射装置、および同噴
射方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の目的(ホースの跳
ね回り防止)を達成するため本発明は、ホース先端から
噴出する圧力水の反動を減殺する。先に図6を参照して
略述したように、杭打作業を促進するために噴射する流
体としては、水が用いられる場合も有り、空気が用いら
れる場合も有り、また、水と空気とが併用される場合も
有る。しかし、水に比して空気は比重が小さいので反動
も少ない。人心事故を生じるような反動を生じるのは主
として水の反動に因る。この点に着目して本発明は、水
の噴射による反動を減殺するものである。後に詳しく述
べるように本発明は、水の噴射と空気の噴射とを併用す
る杭打工事にも適用することができる。しかし、この場
合(気水併用)においても、本発明を適用して水の反動
を減殺することによって目的(反跳防止)を達成する。
この場合、圧力空気の噴射は、公知技術を適用して併用
すれば足りる。次に、本発明の1実施形態に対応する図
1を参照して本発明の基本的原理を略述すると次のとお
りである。すなわち、杭1に係着されていた圧力水ホー
ス6が上方に引き抜かれて該杭1に対する係合が外れた
とき、該圧力水ホース先端から噴出する水流の反動によ
って圧力水ホースが跳ね回る危険を防止するため、圧力
水ホース6先端にバルブボディ7を接続するとともに、
該バルブボディ7の中に直管状バルブスプール8を摺動
自在に嵌合しておく。一方、杭1に対して有底筒状のバ
ルブボディホルダ9を固着しておき、前記バルブボディ
7を該バルブボディホルダ9に挿入すると、(A)図の
ようにバルブスプール8が押し上げられ、圧力水は該バ
ルブスプール8を上下に流通して、下方に向けて噴射さ
れる(矢印a)。圧力水ホース6が(B)図のように引
き上げられると、バルブスプール8が水圧で押し下げら
れ、管壁透孔8bが露出して、これからも圧力水が放出
されるので、下方に向かう噴射水流が弱まり、反動も小
さくなる。
【0007】以上に説明した原理に基づいて、請求項1
に係る発明装置の構成は、圧力水ホースに接続された直
筒状のバルブボディと、上記バルブボディ内に摺動可能
に嵌合された直管状のバルブスプールと、杭に固着され
て、前記バルブボディを挿脱可能に内嵌せしめる有底筒
状のバルブボディホルダ、および、その底壁に設けられ
た透孔と、を具備しており、前記直管状バルブスプール
の管壁に透孔が穿たれるとともに、該直管状バルブスプ
ールの中心孔の少なくとも片方の端がノズル噴射孔とし
て機能し得るようになっており、かつ、バルブボディが
バルブボディホルダの中に挿入されると、バルブスプー
ルがバルブボディホルダの底部に当接して押動され、該
バルブスプール管壁の孔がバルブボディ内に位置せしめ
られて外部空間との連通を遮断されるようになっている
とともに、バルブボディがバルブボディホルダから抜き
出されると、バルブスプールが水圧を受けてバルブボデ
ィの中から半ば抜け出た状態になって、該バルブスプー
ルの管壁孔が露出し、前記の圧力水ホースからバルブボ
ディに供給された圧力水の一部が該管壁孔から放出され
るようになっており、前記バルブスプールがバルブボデ
ィホルダの底部によって押し上げられている状態におい
ても、水圧によって半ば抜け出た状態においても、該バ
ルブスプールの中心孔の片方の端は閉塞されることなく
外部空間に開口,連通していることを特徴とする。以上
に説明した請求項1の発明装置によると、圧力水ホース
に送給された圧力水は常時直筒状のバルブボディ内に連
通され、かつ直管状のバルブスプールの中心孔を通って
下方に向けて開口し、外界に連通されている。従って、
該バルブボディがバルブボディホルダに挿入されている
か否かに拘らず、圧力水ホースに圧力水が送給されると
管状のバルブスプールの下端から該圧力水が噴出する。
そして、前記バルブボディがバルブボディホルダに挿入
されて嵌着されている状態においては、該バルブボディ
ホルダが杭に固着されているので、前記バルブボディは
バルブボディホルダを介して杭に固着されている。この
状態において、バルブスプールがバルブボディホルダの
底部で押し上げられているので、該バルブスプールの管
壁の孔から圧力水が流出することなく、供給された圧力
水の全量がバルブスプールから下方に向けて噴出する。
このため、杭打用の圧力水噴射装置として必要な性能を
発揮することができる。前記のバルブボディがバルブボ
ディホルダから抜け出すと、バルブボディ内のバルブス
プールを押し上げていた力が消失するので、該バルブス
プールは圧力水の水圧によって押し出されて、その管壁
の孔がバルブボディ外に露出する。この状態において、
圧力水ホースに供給された圧力水の一部が管状バルブス
プールの中心孔から噴出するとともに、該圧力水の一部
は管壁の孔から噴出する。このようにして、管状のバル
ブスプールの中心孔から噴出する圧力水流の一部が管壁
の透孔に分流し、バルブスプール中心孔内の水圧が低下
するので、該バルブスプール中心孔の下端からの噴射水
流が弱まり、その反動が減少する。
【0008】請求項2に係る発明装置の構成は、前記請
求項1の発明装置の構成要件に加えて、前記直管状のバ
ルブスプールの片方の端が、中心孔の口径を絞られてノ
ズル噴射孔を形成しているとともに、該直管状バルブス
プールの他方の端は、外周面がフランジ状の大径に形成
されており、かつ、前記直筒状のバルブボディの中心孔
は、その軸心方向の片方がバルブスプールのフランジ状
大径部と摺動自在に嵌合し得る口径の大径孔に形成され
るとともに、軸心方向の他方の側は、バルブスプールの
フランジ状部以外と摺動自在に嵌合する口径の小径孔に
形成されていて、上記の大径孔と小径孔との境界に形成
される段差面にバルブスプールのフランジ状大径部の端
面に当接することによってバルブスプールの抜け止め手
段が構成され、上述のように当接した状態において前記
バルブスプールの管壁孔がバルブボディの外部に露出す
るようになっていることを特徴とする。以上に説明した
請求項2の発明装置によると、段付中心孔を有するバル
ブボディの中に、段付外周面を有するバルブスプールが
摺動可能に嵌合されているので、バルブスプールがバル
ブボディ内で摺動するとき、片方の側に向けて摺動する
とバルブスプールが抜け出し、他方の側に向けて摺動す
るとフランジ状部の端面が段付中心孔の段差面に当接し
てストッパとなり、抜け出しが阻止される。すなわち、
半ば突出した状態で停止する。上述のように、片方の側
へ自由に抜け出す構造であるため、その逆順にバルブボ
ディの中へバルブスプールを挿入して組み立てる操作が
容易である。また、他方の側へ半分抜け出して突出し得
る摺動ストロークを有しているので水圧によって突出せ
しめることにより、バルブスプールの管壁の透孔をバル
ブボディから露出せしめることができる。しかも上述の
ように半ば抜け出して突出したときにストッパとして作
用する構成部分が、段付透孔の段差面とフランジ状の大
径部の端面とであるから構造力学的に丈夫であり、高い
水圧が掛かって高速で摺動したために激しく衝突して
も、容易に破損する虞れや、早期に損耗する虞れが無
い。
【0009】請求項3に係る発明装置の構成は、前記請
求項2の発明装置の構成要件に加えて、前記直筒状バル
ブボディに形成されている大径孔の側の端部付近の外周
面にオネジが形成されており、圧力水ホースの口金にメ
ネジを有する継手部材が取り付けられていて、上記の口
金と、メネジを有する部材と、前記のオネジとによって
ネジ式の管継手が構成されており、かつ、前記バルブボ
ディの、オネジを形成されている端部以外の箇所、望ま
しくはオネジと反対側の端部付近の外周面に、挟持形の
工具を係合せしめ得る係合部が形成されていることを特
徴とする。以上に説明した請求項3の発明装置による
と、バルブボディが圧力水ホースに対して、ネジ式の管
継手によって接続された構造であるから、該圧力水ホー
スに対してバルブボディを比較的容易に着脱することが
でき、しかも高い水圧に耐えることができ、漏水の虞れ
も無い。上記バルブボディの中にはバルブスプールを組
み込まねばならないので、このバルブボディを圧力水ホ
ースに対して容易に、確実に組み付け得るということ
は、この部分の構成部材を組み立てる作業の生産性を高
めるという観点から大きい価値を有している。さらに、
前記のバルブスプールは圧力水を噴出して土砂を撹拌す
る部材であるから、土砂の激しい接触,衝突を受けて損
耗が進行する。このため、該バルブスプールを補給用の
新品と交換する必要が有る。上述の理由により、バルブ
スプールを収納しているバルブボディを圧力水ホースに
対して、単に装着容易というだけではなく、着脱容易で
なければならない。こうした観点からも、ネジ式の管継
手によってバルブボディが圧力水ホースに装着されてい
るという本請求項の構成は好適である。ネジ式管継手は
上述のような利点を有しているが、その着脱作業に際し
ては比較的大きい回転トルクを加えなければならない。
こうした観点において本請求項に係るバルブボディは挟
持形の工具(例えばスパナ,パイプレンチ,バイスな
ど)に係合する部分を備えているので、前記ネジ式管継
手の着脱操作を容易に行ない得る。作業が容易であると
いうことは、作業の能率を高めるのみでなく、作業の安
全性を確保するためにも有効である。
【0010】請求項4に係る発明装置の構成は、前記請
求項1,同2の発明装置の構成要件に加えて、前記バル
ブボディの小径孔に対して摺動自在に嵌合されているバ
ルブスプールの、ノズル噴射孔として機能し得る構成部
分が設けられている側の端部付近の外周面にスナップリ
ングが装着されていて、該バルブスプールがバルブボデ
ィ内に向かって摺動せしめられる場合、上記スナップリ
ングがバルブボディの端面に当接してストッパとして機
能し、バルブボディ内に入り込む方向の摺動ストローク
を制限するようになっており、かつ、上記スナップリン
グがストッパとして作用している状態において、バルブ
ボディの小径孔の内周面に対向するように位置せしめ
て、バルブスプールの外周に形成されたリング溝にOリ
ングが嵌め合わされて圧力水の漏洩を防止するようにな
っていることを特徴とする。以上に説明した請求項4の
発明装置によると、バルブボディに対して摺動自在に嵌
合収納されているバルブスプールが、バルブボディの端
面から突出した箇所にスナップリングが嵌着されている
ので、このスナップリングを取り外さない限り、バルブ
スプールがバルブボディ内に入り込む方向に摺動してそ
の方向に摺動を続けてバルブボディの中心孔を突き抜け
て脱出してしまう虞れが無い。このようにして、バルブ
ボディとバルブスプールとがサブアッセンブリとして結
合され、その取扱いが容易である。しかも、上記スナッ
プリングは比較的簡単に着脱できるので、該スナップリ
ングを取り外してバルブスプールをバルブボディの中か
ら容易に抜き出すこともできる。該バルブスプールは、
使用に伴って損耗して交換しなければならなくなる部材
であるから、上述のようにして抜き出し得ること、並び
に、これと逆の手順で嵌め入れて組み付け得ることは、
メンティナンス性という観点から非常に好適である。さ
らに、バルブボディの内周面とバルブスプールの外周面
との間にOリングが装着されて漏水を防止されているの
で、圧力水流の一部がこの箇所に分流して悪影響を生じ
る虞れが無い。すなわち、杭打作業時にバルブスプール
の中心孔から下方に噴出する圧力水流が弱められたり、
乱されたりすることなく、有効な噴射が行なわれる。
【0011】請求項5に係る発明装置の構成は、前記請
求項1〜同4の発明装置の構成要件に加えて、前記圧力
水ホースに沿わせて、もしくは該圧力水ホースに嵌合し
て圧力空気ホースが設けられるとともに、前記直筒状の
バルブボディの筒壁の中に、ほぼ軸心と平行な空気流路
が穿たれていて、圧力水と一緒に圧力空気を噴射し得る
ようになっていることを特徴とする。以上に説明した請
求項5の発明装置によると、請求項1ないし請求項4の
内の何れか任意の発明装置によって圧力水流を噴射し、
かつ圧力水流の反動に因る圧力水ホースの反跳を防止し
つつ、上記圧力水流の噴射に伴せて圧力空気を噴射せし
めることができる。本請求項5の発明に特有の構成は、
単に圧力空気の噴射を併用するだけであって、圧力空気
噴射の反動を減殺するための格別な構成は設けられてい
ない。しかし、空気は水に比して比重が小さく、空気流
噴射の反動は危険を伴うほど大きくないので、請求項1
に係る構成によって圧力水噴射の反動を減殺すれば、圧
力空気流噴出の反動は別段の弊害を生じない。
【0012】請求項6に係る発明装置の構成は、前記請
求項1ないし請求項4の発明装置の構成要件に加えて、
前記の大径孔と小径孔とよりなる中心孔を有する直筒状
のバルブボディの外周面に、大径孔側が小径で小径孔側
が大径をなす段差面が形成されるとともに、前記有底筒
状のバルブボディホルダの筒壁が、上記段差面を含めて
その付近を覆っており、上記バルブボディホルダの筒壁
に、ほぼ半径方向に穿たれた孔に杆状の部材が挿通,固
定されて、その一部が前記段差面に当接して「バルブボ
ディホルダに対するバルブボディの抜け止め作用」を果
たし得るようになっており、かつ、バルブボディに対し
て強大な抜け出し方向の力が加えられたとき、前記杆状
の部材が剪断されて、バルブボディの抜け出しが許容さ
れるようになっていることを特徴とする。以上に説明し
た請求項6の発明装置によると、バルブボディホルダか
らバルブボディが抜け出す方向に面して段差面が形成さ
れている。ここに、上記バルブボディホルダは有底筒状
の部材であるから、該バルブボディホルダに対するバル
ブボディの挿入方向,脱出方向は必然的に定まってお
り、前記の段差面は挿入方向を背にして抜け出し方向に
面して形成されることになる。そして、バルブボディホ
ルダに固定された杆状部材が、耐剪力によってバルブボ
ディの抜け出しを阻止しており、かつ、強大な(例えば
トン単位の)引抜力を受けると剪断されて抜け出しを許
容するようになる。その結果、杭打作業中はバルブボデ
ィが確実にバルブボディホルダに対して抜け止めされ、
該バルブボディは「杭に固着されたバルブボディホル
ダ」を介して杭に対して確実に装着されている。そし
て、杭が所定深度まで打ち込まれた後、圧力水ホースを
強大な(トン単位の)力で上方に引っ張ると、該圧力水
ホースに接続されているバルブボディに上向き方向の、
すなわちバルブボディホルダから引き抜く方向の力か加
えられて、前記杆状の部材が剪断されて抜け止め機能を
喪失し、バルブボディは圧力水ホースの先端に接続され
たまま地上に引き抜かれる。このようにして、バルブス
プールを収納したバルブボディを杭の下端部に対して確
実に固定された状態を維持することと、杭から離脱させ
て地上に引き出すこととを、「圧力水ホースに引張力を
与えるか否か」によって、地上から操作し、制御するこ
とができる。圧力水ホースおよびバルブボディ(バルブ
スプールを収納している)を地上に引き抜いて回収する
と、次のサイクルの杭打作業に再使用することができて
経済的である。
【0013】請求項7に係る発明装置の構成は、前記請
求項1ないし請求項6の発明の構成要件に加えて、前記
直管状バルブスプールの管壁に設けられている透孔の設
置個数が複数個であって、その中心線に関して対称に、
周方向に配列されるとともに、前記管壁に設けられてい
る透孔の方向が、直管状バルブスプールの半径方向に比
して傾斜しており、前記のノズル噴射孔として機能する
中心孔の端部から噴出する水流の方向と、前記の管壁に
設けられている傾斜した透孔から噴出する水流の方向と
が、鈍角をなすようになっていることを特徴とする。以
上に説明した請求項7の発明方法によると、バルブスプ
ールの管壁に設けられている複数個の透孔が対称に配列
されているので、該複数の透孔のそれぞれから噴出する
水流が相互に対称方向に向かう。従って、それぞれの水
流の反動が相互に打ち消し合って減少する。さらに、バ
ルブスプール中心孔から噴出する圧力水の反動方向を基
準として考察すると、管壁の透孔から噴出する複数条の
水流の反動の合力は、上記基準方向と反対方向の分力を
有する。なすわち、反動が相殺される。本請求項7の構
成においては、中心孔からの噴出流の反動と管壁透孔か
らの噴出流の反動とが相殺するが、必ずしも零とはなら
ない。しかし、相殺されることによって反動に因る危険
性は著しく軽減される。さらに、本請求項7の構成の範
囲内で設計的配慮によって反動を実用上ほとんどゼロと
見做し得る程度まで減少せしめることも可能である。以
上を要約して概要的に見えるならば、本請求項7に係る
噴射装置のバルブスプール中心孔および同管壁孔から圧
力水を噴出させると、立体的な放射状に噴射される。従
って、特定の1方向に噴射される場合のような「圧力水
ホースの跳ね回り現象」が防止される。
【0014】請求項8に係る発明装置の構成は、前記請
求項1ないし請求項7の発明の構成要件に加えて、前記
有底筒状のバルブボディホルダの底壁の下面に溝が設け
られていて、上記の溝は「該バルブボディホルダの、杭
に対する取付面」に対してほぼ平行であり、かつ、前記
バルブボディホルダの底壁に設けられた透孔が、上記の
溝の溝底面に開口していることを特徴とする。以上に説
明した請求項8の発明装置によると、溝底面に開口して
いる透孔を通って噴射された圧力水流が、溝によって多
少の整流作用を受け、溝の長手方向に広がりを生じ、溝
幅方向の拡散を抑制される。上記の溝は「バルブボディ
ホルダの、杭に対する取付面」とほぼ平行である。すな
わち、バルブボディホルダが杭の板状部分に取り付けら
れている場合、前記の溝は杭の板面とほぼ平行である
(杭は単純な板状部材ではないが、シートパイルであっ
ても、H型鋼であっても、鋼管杭であっても、バルブボ
ディホルダが固着される箇所を局部的に見れば平板状、
もしくは平板に類似した形状である。ここに、平板に類
似した形状とは、例えば円筒の一部をいうが、小部分を
抽出して見れば近似的に平板と見做し得る)。従って、
上記の溝の底部から噴出されたジェット水流は溝の影響
を受け、純粋の円錐状をなさず、楕円錐に類似した扁平
な形状をなし、杭の板状部の幅方向に拡散され、杭の板
状部の厚さ方向の拡散を抑制される。このような形状の
噴射水流は、杭の貫入を促進するためのジェット水流と
して好適である。
【0015】請求項9に係る発明方法の構成は、杭を地
盤中に打ち込む際、杭の下端部付近からほぼ下方に向け
て圧力水を噴射する方法において、圧力水ホースの先端
に直筒状のバルブボディを接続するとともに、該バルブ
ボディの中に「管壁に透孔を穿たれた直管状のバルブス
プール」を摺動自在に嵌合して装着しておき、予め杭の
下端部に固着されている有底筒状のバルブボディホルダ
の中へ前記のバルブボディを挿入し、上記バルブボディ
ホルダの底壁によってバルブスプールを押し上げる形
に、該バルブスプールをバルブボディに対して相対的に
上昇せしめて、前記管壁の透孔と外部空間との連通を遮
断し、この状態で圧力水を送給しつつ杭の打込み作業を
行ない、杭を打ち込んでいるとき、前記圧力水ホースか
ら供給された圧力水を、バルブボディの中に流入させ、
直管状バルブスプールの上端から下端まで流通せしめ、
上記直管状バルブスプールの下端から噴出する圧力水流
を、バルブボディホルダの底壁に穿たれている孔もしく
は切欠を通って杭の下方に噴射せしめ、杭の打ち込みを
終了するに際して、前記のバルブボディをバルブボディ
ホルダの中から抜き出すことにより、該バルブボディホ
ルダの底壁によるバルブスプールの押し上げ力を自動的
に消失せしめ、上述のごとくバルブボディを引き抜いた
状態において、圧力水ホースに対する圧力水供給が停止
されていなければ、該圧力水の水圧によってバルブボデ
ィ内のバルブスプールを押し出す方向に摺動せしめて、
該バルブスプール管壁の透孔をバルブボディから露出せ
しめ、圧力水の一部を上記透孔に分流せしめることによ
ってバルブホルダ下端からの噴出水流の圧力および流速
を低下させることを特徴とする。以上に説明した請求項
9の発明方法によると、杭を打ち込む際、圧力水ホース
先端に接続されているバルブボディをバルブボディホル
ダの中に挿入すると、該バルブホルダ、およびその中に
収納されている直管状バルブスプールが杭に対して位置
決めされるとともに、該直管状バルブスプールの中心孔
が下方に向けて開口し、かつ、該直管状バルブスプール
管壁の透孔からの圧力水噴出が自動的に阻止される。こ
のため、圧力水ホースから供給された圧力水の全流量が
杭の下端部から下方に向けて噴射され、該杭の打ち込み
が促進される。圧力水ホースに圧力水が供給されて、バ
ルブボディ内に水圧が掛かっている状態で、該バルブボ
ディをバルブボディホルダの中から引き抜くと、バルブ
スプールが水圧で押し出される方向に摺動せしめられ、
該バルブスプール管壁の透孔がバルブボディ外に露出
し、バルブボディ内の圧力水の一部が該管壁の透孔から
放出される。管壁の透孔に圧力水が分流せしめられる
と、該圧力水の流路断面積が増加するのでバルブスプー
ル内の水圧が低下する。このため、該バルブスプール中
心孔から噴出するジェット水流が弱まり、従って、その
反動も弱くなる。その結果、圧力水ホースが噴出水流の
反動によって跳ね回る虞れが無くなり、人身事故を招く
危険が防止される。
【0016】請求項10に係る発明方法の構成は、前記
請求項9の発明方法の構成要件に加えて、直筒状のバル
ブボディ中に直管状バルブスプールを嵌合して装着する
際、着脱可能な抜け止め部材を取り付けておき、水の噴
射を伴う杭打作業の遂行によって前記バルブスプールの
経時的損耗が進行して使用に耐えなくなったとき、前記
の抜け止め部材を取り外して、バルブボディの中からバ
ルブスプールを抜き出し、補給用のバルブスプールをバ
ルブボディの中に嵌め入れ、抜け止め部材を取り付けて
修復することにより、バルブスプール以外の構成部品の
内、バルブボディホルダ以外の主要構成部品を反復使用
することを特徴とする。以上に説明した請求項10の発
明方法によると、バルブボディに対するバルブスプール
の抜け止め手段が着脱可能であるから、この抜け止め手
段を取り外すことによってバルブボディの中から容易に
バルブスプールを取り出して交換することができる。バ
ルブスプールは消耗性の構成部材であるから、交換可能
であることの実用上の効果が大きい。また、上述のよう
に容易に交換できるということは、バルブスプールだけ
を交換してバルブボディを反復使用できることを意味
し、当該発明装置を用いる場合のランニングコスト低減
に有効である。また、迅速・容易かつ安価に消耗性部品
(バルブスプール)を交換し得るので、常に良好な整備
状態で稼働することができ、ひいては杭打作業の能率を
向上せしめることができる。バルブスプールを交換した
後、抜け止め手段を施しておけば、不測の脱落トラブル
を生じる虞れが無い。
【0017】請求項11に係る発明方法の構成は、前記
請求項9の発明方法の構成要件に加えて、前記直筒状の
バルブボディの外周面に、下方が大径で上方が小径の段
差面を形成するとともに、上記バルブボディに外嵌され
る有底筒状のバルブボディホルダの側壁に対して杆状の
部材を取り付けて、該杆状部材を前記の段差面に当接せ
しめ、もしくは、至近距離で対向せしめてバルブボディ
の抜け止め機能を果たさしめ、上述のようにしてバルブ
ボディがバルブボディホルダから抜け出さないようにし
た状態で、バルブスプールの中心孔から圧力水を噴射し
ながら杭の打込作業を遂行し、杭の打込作業を終了する
に際して、地上から圧力水ホースに対して引き上げ方向
の引張力を与え、この引張力によって前記杆状部材を剪
断することにより抜け止め機能を喪失せしめ、前記の引
張力により、バルブボデイをバルブボディホルダの中か
ら抜き出し、地上に引き上げて回収することを特徴とす
る。以上に説明した請求項11の発明方法によると、バ
ルブボディホルダからのバルブボディの抜け出しを、杆
状部材と段差面との当接により、該杆状部材の耐剪力で
阻止した状態で圧力水噴射を行なうので、杭打作業中に
バルブボディが意に反してバルブボディホルダから抜け
出す虞れが無く、当該圧力水噴射装置の作動信頼性を高
からしめる。そして、圧力水ホースの引張力によって前
記杆状部材が剪断されて抜け止めが解除される。この場
合、杆状部材の剪断に要する力は設計的に容易に、しか
も比較的高精度で算定し、制御することができる。この
ため、例えば錆び付きによって所定の力で引き抜きがで
きなくなるといった種類のトラブルを生じる虞れが無
く、必要に応じて確実に抜け止め機能を喪失させて危険
を未然に防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る圧力水の噴
射方法を実施するために構成した圧力水噴射装置の1実
施形態を示す正面断面図であって、(A)は圧力水ホー
スで送給した圧力水を杭の下方に噴射している状態を描
き、(B)は圧力水ホースを上方へ引き抜いている途中
の状態を描いてある。本図1において符号6を付して示
したのは、杭打用の圧力水を送給するための圧力水ホー
スであって、その先端にはホース口金6a、および袋ナ
ット6bが取り付けられている。上記袋ナット6bによ
って、圧力水ホース6の先端に直筒状(本実施形態にお
いては直円筒状)のバルブボデイ7が連結されている。
この連結構造の詳細については、図3を参照して後述す
る。本発明において直筒状とは、直筒に類似した形状の
意であって、立体幾何学的に厳密な直筒であることを要
しない。後に説明する直管状も同様に、概ね直管形状で
あることをいう。上記直筒状のバルブボディ7の中に、
直管状のバルブスプール8が摺動可能に嵌合されてい
る。このバルブスプール8は、図2および図3を参照し
て後に詳述するようにフランジ状部が設けられていて、
厳密に直管形状ではなく、その管壁に相当する箇所に透
孔8bが穿たれている。なお、本発明において筒状と管
状とを厳密には区分しない。立体幾何学的には管も筒で
あり、一般通念としては、非常に長いものは筒と言わず
に管と言うが、両者の間の境界は不明確である。本発明
においては便宜上、長さが直径の2倍以上の筒状部材を
管状と呼称したが、これを筒状と言いかえても別段の矛
盾を生じない。一方、有底筒状のバルブボディホルダ9
が杭1の下端部に固着(本例では溶接)されており、前
記バルブボディ7は本図(A)に示したようにバルブボ
ディホルダ9に差し込まれ、リベット10で抜け止めさ
れている。
【0019】本図1(A)のように、バルブボディ7を
バルブボディホルダ9に嵌め込んで抜け止め(リベット
10)を施されると、バルブボディ7が杭1に対して位
置決めされる。そして、バルブボディ7の中に摺動可能
に収納されているバルブスプール8は、この(A)図の
状態ではバルブボディホルダ9の底壁によりバルブボデ
ィの中へ相対的に押し上げられる。この(A)図の状態
で、バルブスプール8は、バルブボディ7およびバルブ
ボディホルダ9を介して杭1に対して自動的に位置決め
されている。
【0020】前記直管状のバルブスプール8の中心孔の
下端部は若干絞られており、圧力水ホース6に供給され
た圧力水は上記の絞り部から下方へ矢印aのように噴出
する。すなわち、上記の絞り部8aはノズル噴射孔とし
て機能する。この(A)図に示された状態では、バルブ
スプール8がバルブボディホルダ9の低壁に押し上げら
れてバルブボディ7内に押し込まれているので、管壁の
透孔8bがバルブボディ7内に位置し、該バルブボディ
7の外部に連通していない。このため、圧力水ホース6
からバルブボディ7に流入した圧力水の全流量がバルブ
スプール8の中心孔を流下し、バルブボディホルダ9の
底壁に穿たれた透孔9aを通って下方に噴射(矢印a)
される。
【0021】本図1(A)の状態で圧力水を杭1の下端
部から下方に向けて噴射しつつ、該杭1を地盤内に打ち
込み、打ち込み終えると、地上から圧力水ホース6を強
大な力で上方へ引っ張る(本実施形態では、図外のリー
ルで巻き取る形で引き上げた。該リールの最大巻取能力
は約2トンである)。すると、バルブボディ7の抜け止
め機能を果たしていたリベット10が剪断されて、本図
1(B)のようにバルブボディ7がバルブボディホルダ
9から抜き出され、引き上げられる。上述のようにして
圧力水ホース6を地上へ引き抜くに際して、圧力水源か
らの圧力水送給を断っておくことが作業基準であるが、
「発明が解決しようとする課題」の項で述べたように、
上記の作業基準が何らかの事情で守られなかった場合に
も重大事故の発生を防止することが本発明の目的であ
る。そこで、本図1(B)の状態で圧力水ホース6に圧
力水が供給されている場合について考察する。バルブス
プール8の上端面に水圧Pが掛かるので、バルブボディ
7の中から下方へ半ば押し出されて突出する(このバル
ブスプール8の下降摺動のストッパとして作用する機構
については、図2,図3を参照して後に詳しく述べ
る)。
【0022】バルブスプール8の下方突出により、管壁
の透孔8bから側方へ、矢印bのように圧力水の一部が
分流して噴出する。この状態においてもバルブスプール
8の下端のノズル噴射孔として作用する部分8b(直管
状バルブスプールの中心孔の下端部)からも矢印a方向
の噴射は継続しているが、前記矢印b方向に圧力が抜け
るのでバルブスプール8内の圧力が低下し、矢印a方向
の噴出水流は流速が低下する。この場合、符号8aを付
して示した中心孔下端部(ノズル噴射孔として作用する
部分)が絞られていると、矢印b方向の分流流量に対す
る矢印a方向の本流流量の比率が小さくなり、矢印a方
向の噴出水流の反動がいっそう小さくなる。本図1は、
本発明に係る構成部分の要部を示し、圧力水を噴射した
り分流させたりするための構成部材のみを描いてある。
図示を省略するが、この圧力水噴射制御に、圧力空気噴
射を併用することも可能である。圧力空気噴射に必要な
事項は、バルブボディ7に圧力空気を供給するための構
成と、供給された圧力空気を下方に向けて(矢印aとほ
ぼ平行に)噴出させるための構成である。上記圧力空気
の供給は、圧力水ホース6に沿わせて圧力空気ホース
(図示省略)を設けることにより、または、圧力水ホー
ス6に外嵌して圧力空気ホース(図示省略)を設けるこ
とによって行ない得る。圧力空気の噴射は、バルブボデ
ィ7の筒壁の中に軸心方向の空気流通路(図示省略)を
設けることによって行ない得る。圧力空気の噴出の反動
は、圧力水噴出の反動に比して小さいので、圧力空気の
反動のみによっては人身事故を招くほどのホースの反跳
を生じない。
【0023】図2は、前掲の図1に示した実施形態の圧
力水噴射装置が、同図1(A)のように圧力水の噴射を
行ない得るようになっている状態における要部拡大断面
図である。ただし、本図2において図の左方が基準姿勢
における上方であり、図の右方が基準姿勢における下方
であって、上,下の呼称はこれに基づく。この基準姿勢
を往復矢印U(上方)−D(下方)で標記してある。こ
の図2においては、前掲の図1(A)において略述した
ようにバルブボディホルダ9が有底筒状をなしていて、
底壁9bがバルブスプール8の下端面に当接して、これ
をバルブボディ7内に押し入れている。こうした構造機
能から理解されるように、バルブボディホルダ9の底壁
9bの役目はバルブスプール8を押し上げる(矢印U方
向)ことである。従って、外観形状が「底」という印象
を与えなくても、バルブスプール8に当接して押し上げ
る構成部分(例えば突起など)を有していれば、本発明
における有底筒状のバルブボディホルダを構成すること
ができる。また、図示の透孔9dはノズル噴射孔8aか
らの圧力水噴射(矢印a)を妨げないための構成である
から、必ずしも透孔でなくても、例えば切欠であっても
空隙であっても良い。
【0024】バルブボディ7は直筒状の部材であるが、
その外周面にも内周面にも段付部が形成されている。先
ず内周面について見ると、図の右半部(矢印D方向・基
準姿勢における下半部、ただし、正確に1/2であるこ
とを要しない)は小径孔7aに、同じく左半部(矢印U
方向・上半部)は大径孔7bになっている。一方、直管
状のバルブスプール8の左端(上端)にフランジ状の大
径部8cが形成されていて、このフランジ状大径部8c
が前記の大径孔7bと摺動自在に嵌合している。該直管
状バルブスプール8のフランジ8c以外の部分は前記小
径孔7aと摺動自在に嵌合している。この嵌合部からの
漏水を防止するため、バルブスプール8の外周面に設け
たリング溝にOリング11が嵌着されている。この部分
に漏水が有ると、矢印a方向の噴射圧力水流が弱められ
たり乱されたりするが、前記のOリング11によってそ
の虞れが無くなっている。図3は、前掲の図1に示した
実施形態の圧力水噴射装置が、同図1(B)のように圧
力水ホースを引き上げつつある状態における要部拡大断
面図である。ただし、本図3においても前掲の図2にお
けると同様に、基準姿勢における上,下方向を往復矢印
U−Dで標記してある。図2,図3を併せて参照。バル
ブボディ7内に水圧か掛かると、バルブスプール8は図
3のごとく矢印P方向に押し出され、管壁透孔8bを露
出せしめる。この状態で、バルブスプール8のフランジ
8cの端面が、バルブボディ7の段差面7fに当接して
抜け止めされる。バルブスプール8の矢印D方向摺動は
大きい水圧によって押動される上に、激しく段差面7f
に衝突する虞れ無しとしないが、段差面7fとフランジ
8cとによって衝止される構造であるから外れたり毀れ
たりする虞れが無い。
【0025】バルブボディ7に対するバルブスプール8
の矢印U方向の摺動は、着脱可能な抜け止め部材(本例
ではスナップリング12)によって阻止されている。こ
のバルブスプール8は矢印a方向に圧力水を噴出し、図
に記されている矢印a付近の土砂を激しく撹拌する。撹
拌された土砂はバルブスプールの端面付近に接触してこ
れを摩耗させるので、これを補給用の新品と着脱交換し
なければならないので該バルブスプール8の矢印U方向
摺動のストッパ手段は着脱可能なスナップリングになっ
ている。この方向の摺動は水圧と反対方向であり、スト
ッパ部分が激しく衝突することも無いので、スナップリ
ング12によって抜け止めしておいても破損する虞れは
無い。バルブスプール8を、バルブボディ7から矢印U
方向に抜き出し得るよう、該バルブボディ7は圧力水ホ
ースに対してネジ式管継手(図3)を介して着脱可能
に、かつ漏水しないように接続されている。上記ネジ式
管継手は、ホース口金6aに対して取り付けられたメネ
ジ部材(本例では袋ナット6b)と、バルブボディ7の
外周面の矢印U方向端部に形成されたオネジ7cとの組
み合わせによって構成されている。上記ネジ式管継手を
着脱するには、袋ナット6bに対してバルブボディ7を
相対的に回転させなければならない。このためには、該
バルブボディ7を工具によって挟持することが必要であ
る。本実施形態においてはバルブボディ7の外周面にス
パナを掛けたりバイスで挟んだりできるように2面取7
eを設けた。この構成部分の役目から明らかなように、
本発明を実施する際は必ずしも2面取に限らず、要する
に挟持形の工具(治具を含む)を係合し得る部分を設け
れば良い。
【0026】(図2参照)バルブボディ7の外周面には
段差面7dが形成されている。この段差面7dは矢印U
方向(上方)に面し、矢印D方向(下方)を背にしてい
る。すなわち、この段差面7dのU(上方)側は小径の
円柱面となりD(下方)側は大径の円柱面となってい
る。上記大径の円柱面は、有底筒状のバルブボディホル
ダ9の中心孔に対して摺動自在に嵌合している。本発明
において中心孔とは、中心線にほぼ沿った中空部という
ほどの意味であって、当該部材の外周面に対して厳密に
同心であることを要しない。前記バルブボディホルダ9
の側壁9aに穿たれた透孔にリベット10が圧入固着さ
れ、前記の段差面7dに当接し、もしくは至近距離で対
抗してバルブボディ7の抜け止め機能を果たしている。
この図2の状態で、作業者の意に反してバルブボディ7
がバルブボディホルダ9から抜け出そうとすると、リベ
ット10が耐剪力によって抜け出しを阻止し、作業者の
意志によって抜き出し方向の力を加えるとリベット10
が剪断されて抜け止め機能を喪失する。この構造によれ
ば、設計的に耐剪力(抜け止め力)を設定し、管理する
ことが容易である。上述の構造,機能から明らかなよう
に、抜け止め阻止用の部材はリベットに限らず、杆状の
部材であれば良い。
【0027】図4は、前記と異なる実施形態を示し、バ
ルブスプールがバルブボディに対して基準姿勢における
下方(矢印D方向)に摺動して、管壁に穿たれた透孔が
露出した状態の断面図である。本例では、管壁に穿たれ
た透孔8dが半径方向に比して矢印U方向(上方)に傾
斜している。このため、ノズル噴射孔8aからの圧力水
噴射方向(矢印a)と、傾斜した管壁透孔8dからの圧
力水噴出方向(矢印b′)とのなす角θが鈍角になって
いる。上記の管壁透孔8dは、基準姿勢において斜め上
方を向いている。このような管壁透孔の複数個が、バル
ブスプール8の中心線Zに関して対称に、該バルブスプ
ール8の周方向に配列されている。これにより、本図4
の状態で噴出する圧力水流は、3次元空間内で立体的に
放射状をなす。このため、各噴出流の反動が相互に打ち
消し合って弱くなり、圧力水ホースを跳ね回らせる虞れ
が無い。
【0028】図5は、本発明の1実施形態を示し、バル
ブボディホルダを斜め下方から見て描いた外観図であ
る。バルブボディホルダ9の底壁9bの下面に溝9cが
形成されている。説明の便宜上、杭1の長手方向を基準
姿勢における上下方向(矢印U−D)に合わせた状態
で、該杭1の幅方向をX方向とし、その板状部の厚さ方
向をY方向とする。バルブボディホルダ9の、杭1に対
する取付面はX方向と平行であり、かつU−D方向とも
平行である。前記の溝9cはX方向と平行ならしめる。
バルブボディホルダ9のの底壁に穿たれた透孔9aは、
前記の溝9cの溝底に開口している。
【0029】バルブスプール8の下端部から下方(矢印
D方向)に向けて噴射された圧力水流は、障害物の無い
空中に噴出したときはU−Dを中心線としてD方向に広
がる円錐状をなすが、本例のようにX方向の溝底から噴
射された圧力水流は、図示の矢印a′,a′…のごとく
X方向にフリーに拡散されるとともにY方向の拡散を制
約されて楕円錐状となる。この拡散状態は杭1の幅寸法
と一致し、かつ、該杭1の厚さ方向には余り拡散しない
ことになる。このため、杭1の地中貫入を促進するため
の噴射水流として好ましい状態である。本実施形態(図
5)においては、バルブボディホルダ9の底壁9bの下
端に、該バルブボディホルダの取付面と平行な溝を形成
するという簡単な構成によって、前述した望ましい噴出
水流の状態を現出した。
【0030】
【発明の効果】以上に本発明の実施形態を上げてその構
成・機能を明らかならしめたように、請求項1の発明装
置によると、圧力水ホースに送給された圧力水は常時直
筒状のバルブボディ内に連通され、かつ直管状のバルブ
スプールの中心孔を通って下方に向けて開口し、外界に
連通されている。従って、該バルブボディがバルブボデ
ィホルダに挿入されているか否かに拘らず、圧力水ホー
スに圧力水が送給されると管状のバルブスプールの下端
から該圧力水が噴出する。そして、前記バルブボディが
バルブボディホルダに挿入されて嵌着されている状態に
おいては、該バルブボディホルダが杭に固着されている
ので、前記バルブボディはバルブボディホルダを介して
杭に固着されている。この状態において、バルブスプー
ルがバルブボディホルダの底部で押し上げられているの
で、該バルブスプールの管壁の孔から圧力水が流出する
ことなく、供給された圧力水の全量がバルブスプールか
ら下方に向けて噴出する。このため、杭打用の圧力水噴
射装置として必要な性能を発揮することができる。前記
のバルブボディがバルブボディホルダから抜け出すと、
バルブボディ内のバルブスプールを押し上げていた力が
消失するので、該バルブスプールは圧力水の水圧によっ
て押し出されて、その管壁の孔がバルブボディ外に露出
する。この状態において、圧力水ホースに供給された圧
力水の一部が管状バルブスプールの中心孔から噴出する
とともに、該圧力水の一部は管壁の孔から噴出する。こ
のようにして、管状のバルブスプールの中心孔から噴出
する圧力水流の一部が管壁の透孔に分流し、バルブスプ
ール中心孔内の水圧が低下するので、該バルブスプール
中心孔の下端からの噴射水流が弱まり、その反動が減少
する。
【0031】請求項2の発明装置によると、段付中心孔
を有するバルブボディの中に、段付外周面を有するバル
ブスプールが摺動可能に嵌合されているので、バルブス
プールがバルブボディ内で摺動するとき、片方の側に向
けて摺動するとバルブスプールが抜け出し、他方の側に
向けて摺動するとフランジ状部の端面が段付中心孔の段
差面に当接してストッパとなり、抜け出しが阻止され
る。すなわち、半ば突出した状態で停止する。上述のよ
うに、片方の側へ自由に抜け出す構造であるため、その
逆順にバルブボディの中へバルブスプールを挿入して組
み立てる操作が容易である。また、他方の側へ半分抜け
出して突出し得る摺動ストロークを有しているので水圧
によって突出せしめることにより、バルブスプールの管
壁の透孔をバルブボディから露出せしめることができ
る。しかも上述のように半ば抜け出して突出したときに
ストッパとして作用する構成部分が、段付透孔の段差面
とフランジ状の大径部の端面とであるから構造力学的に
丈夫であり、高い水圧が掛かって高速で摺動したために
激しく衝突しても、容易に破損する虞れや、早期に損耗
する虞れが無い。
【0032】請求項3の発明装置によると、バルブボデ
ィが圧力水ホースに対して、ネジ式の管継手によって接
続された構造であるから、該圧力水ホースに対してバル
ブボディを比較的容易に着脱することができ、しかも高
い水圧に耐えることができ、漏水の虞れも無い。上記バ
ルブボディの中にはバルブスプールを組み込まねばなら
ないので、このバルブボディを圧力水ホースに対して容
易に、確実に組み付け得るということは、この部分の構
成部材を組み立てる作業の生産性を高めるという観点か
ら大きい価値を有している。さらに、前記のバルブスプ
ールは圧力水を噴出して土砂を撹拌する部材であるか
ら、土砂の激しい接触,衝突を受けて損耗が進行する。
このため、該バルブスプールを補給用の新品と交換する
必要が有る。上述の理由により、バルブスプールを収納
しているバルブボディを圧力水ホースに対して、単に装
着容易というだけではなく、着脱容易でなければならな
い。こうした観点からも、ネジ式の管継手によってバル
ブボディが圧力水ホースに装着されているという本請求
項の構成は好適である。ネジ式管継手は上述のような利
点を有しているが、その着脱作業に際しては比較的大き
い回転トルクを加えなければならない。こうした観点に
おいて本請求項に係るバルブボディは挟持形の工具(例
えばスパナ,パイプレンチ,バイスなど)に係合する部
分を備えているので、前記ネジ式管継手の着脱操作を容
易に行ない得る。作業が容易であるということは、作業
の能率を高めるのみでなく、作業の安全性を確保するた
めにも有効である。
【0033】請求項4の発明装置によると、バルブボデ
ィに対して摺動自在に嵌合収納されているバルブスプー
ルが、バルブボディの端面から突出した箇所にスナップ
リングが嵌着されているので、このスナップリングを取
り外さない限り、バルブスプールがバルブボディ内に入
り込む方向に摺動してその方向に摺動を続けてバルブボ
ディの中心孔を突き抜けて脱出してしまう虞れが無い。
このようにして、バルブボディとバルブスプールとがサ
ブアッセンブリとして結合され、その取扱いが容易であ
る。しかも、上記スナップリングは比較的簡単に着脱で
きるので、該スナップリングを取り外してバルブスプー
ルをバルブボディの中から容易に抜き出すこともでき
る。該バルブスプールは、使用に伴って損耗して交換し
なければならなくなる部材であるから、上述のようにし
て抜き出し得ること、並びに、これと逆の手順で嵌め入
れて組み付け得ることは、メンティナンス性という観点
から非常に好適である。さらに、バルブボディの内周面
とバルブスプールの外周面との間にOリングが装着され
て漏水を防止されているので、圧力水流の一部がこの箇
所に分流して悪影響を生じる虞れが無い。すなわち、杭
打作業時にバルブスプールの中心孔から下方に噴出する
圧力水流が弱められたり、乱されたりすることなく、有
効な噴射が行なわれる。
【0034】請求項5の発明装置によると、請求項1な
いし請求項4の内の何れか任意の発明装置によって圧力
水流を噴射し、かつ圧力水流の反動に因る圧力水ホース
の反跳を防止しつつ、上記圧力水流の噴射に伴せて圧力
空気を噴射せしめることができる。本請求項5の発明に
特有の構成は、単に圧力空気の噴射を併用するだけであ
って、圧力空気噴射の反動を減殺するための格別な構成
は設けられていない。しかし、空気は水に比して比重が
小さく、空気流噴射の反動は危険を伴うほど大きくない
ので、請求項1に係る構成によって圧力水噴射の反動を
減殺すれば、圧力空気流噴出の反動は別段の弊害を生じ
ない。
【0035】請求項6の発明装置によると、バルブボデ
ィホルダからバルブボディが抜け出す方向に面して段差
面が形成されている。ここに、上記バルブボディホルダ
は有底筒状の部材であるから、該バルブボディホルダに
対するバルブボディの挿入方向,脱出方向は必然的に定
まっており、前記の段差面は挿入方向を背にして抜け出
し方向に面して形成されることになる。そして、バルブ
ボディホルダに固定された杆状部材が、耐剪力によって
バルブボディの抜け出しを阻止しており、かつ、強大な
(例えばトン単位の)引抜力を受けると剪断されて抜け
出しを許容するようになる。その結果、杭打作業中はバ
ルブボディが確実にバルブボディホルダに対して抜け止
めされ、該バルブボディは「杭に固着されたバルブボデ
ィホルダ」を介して杭に対して確実に装着されている。
そして、杭が所定深度まで打ち込まれた後、圧力水ホー
スを強大な(トン単位の)力で上方に引っ張ると、該圧
力水ホースに接続されているバルブボディに上向き方向
の、すなわちバルブボディホルダから引き抜く方向の力
か加えられて、前記杆状の部材が剪断されて抜け止め機
能を喪失し、バルブボディは圧力水ホースの先端に接続
されたまま地上に引き抜かれる。このようにして、バル
ブスプールを収納したバルブボディを杭の下端部に対し
て確実に固定された状態を維持することと、杭から離脱
させて地上に引き出すこととを、「圧力水ホースに引張
力を与えるか否か」によって、地上から操作し、制御す
ることができる。圧力水ホースおよびバルブボディ(バ
ルブスプールを収納している)を地上に引き抜いて回収
すると、次のサイクルの杭打作業に再使用することがで
きて経済的である。
【0036】請求項7の発明方法によると、バルブスプ
ールの管壁に設けられている複数個の透孔が対称に配列
されているので、該複数の透孔のそれぞれから噴出する
水流が相互に対称方向に向かう。従って、それぞれの水
流の反動が相互に打ち消し合って減少する。さらに、バ
ルブスプール中心孔から噴出する圧力水の反動方向を基
準として考察すると、管壁の透孔から噴出する複数条の
水流の反動の合力は、上記基準方向と反対方向の分力を
有する。なすわち、反動が相殺される。本請求項7の構
成においては、中心孔からの噴出流の反動と管壁透孔か
らの噴出流の反動とが相殺するが、必ずしも零とはなら
ない。しかし、相殺されることによって反動に因る危険
性は著しく軽減される。さらに、本請求項7の構成の範
囲内で設計的配慮によって反動を実用上ほとんどゼロと
見做し得る程度まで減少せしめることも可能である。以
上を要約して概要的に見えるならば、本請求項7に係る
噴射装置のバルブスプール中心孔および同管壁孔から圧
力水を噴出させると、立体的な放射状に噴射される。従
って、特定の1方向に噴射される場合のような「圧力水
ホースの跳ね回り現象」が防止される。
【0037】請求項8の発明装置によると、溝底面に開
口している透孔を通って噴射された圧力水流が、溝によ
って多少の整流作用を受け、溝の長手方向に広がりを生
じ、溝幅方向の拡散を抑制される。上記の溝は「バルブ
ボディホルダの、杭に対する取付面」とほぼ平行であ
る。すなわち、バルブボディホルダが杭の板状部分に取
り付けられている場合、前記の溝は杭の板面とほぼ平行
である(杭は単純な板状部材ではないが、シートパイル
であっても、H型鋼であっても、鋼管杭であっても、バ
ルブボディホルダが固着される箇所を局部的に見れば平
板状、もしくは平板に類似した形状である。ここに、平
板に類似した形状とは、例えば円筒の一部をいうが、小
部分を抽出して見れば近似的に平板と見做し得る)。従
って、上記の溝の底部から噴出されたジェット水流は溝
の影響を受け、純粋の円錐状をなさず、楕円錐に類似し
た扁平な形状をなし、杭の板状部の幅方向に拡散され、
杭の板状部の厚さ方向の拡散を抑制される。このような
形状の噴射水流は、杭の貫入を促進するためのジェット
水流として好適である。
【0038】請求項9の発明方法によると、杭を打ち込
む際、圧力水ホース先端に接続されているバルブボディ
をバルブボディホルダの中に挿入すると、該バルブホル
ダ、およびその中に収納されている直管状バルブスプー
ルが杭に対して位置決めされるとともに、該直管状バル
ブスプールの中心孔が下方に向けて開口し、かつ、該直
管状バルブスプール管壁の透孔からの圧力水噴出が自動
的に阻止される。このため、圧力水ホースから供給され
た圧力水の全流量が杭の下端部から下方に向けて噴射さ
れ、該杭の打ち込みが促進される。圧力水ホースに圧力
水が供給されて、バルブボディ内に水圧が掛かっている
状態で、該バルブボディをバルブボディホルダの中から
引き抜くと、バルブスプールが水圧で押し出される方向
に摺動せしめられ、該バルブスプール管壁の透孔がバル
ブボディ外に露出し、バルブボディ内の圧力水の一部が
該管壁の透孔から放出される。管壁の透孔に圧力水が分
流せしめられると、該圧力水の流路断面積が増加するの
でバルブスプール内の水圧が低下する。このため、該バ
ルブスプール中心孔から噴出するジェット水流が弱ま
り、従って、その反動も弱くなる。その結果、圧力水ホ
ースが噴出水流の反動によって跳ね回る虞れが無くな
り、人身事故を招く危険が防止される。
【0039】請求項10の発明方法によると、バルブボ
ディに対するバルブスプールの抜け止め手段が着脱可能
であるから、この抜け止め手段を取り外すことによって
バルブボディの中から容易にバルブスプールを取り出し
て交換することができる。バルブスプールは消耗性の構
成部材であるから、交換可能であることの実用上の効果
が大きい。また、上述のように容易に交換できるという
ことは、バルブスプールだけを交換してバルブボディを
反復使用できることを意味し、当該発明装置を用いる場
合のランニングコスト低減に有効である。また、迅速・
容易かつ安価に消耗性部品(バルブスプール)を交換し
得るので、常に良好な整備状態で稼働することができ、
ひいては杭打作業の能率を向上せしめることができる。
バルブスプールを交換した後、抜け止め手段を施してお
けば、不測の脱落トラブルを生じる虞れが無い。
【0040】請求項11の発明方法によると、バルブボ
ディホルダからのバルブボディの抜け出しを、杆状部材
と段差面との当接により、該杆状部材の耐剪力で阻止し
た状態で圧力水噴射を行なうので、杭打作業中にバルブ
ボディが意に反してバルブボディホルダから抜け出す虞
れが無く、当該圧力水噴射装置の作動信頼性を高からし
める。そして、圧力水ホースの引張力によって前記杆状
部材が剪断されて抜け止めが解除される。この場合、杆
状部材の剪断に要する力は設計的に容易に、しかも比較
的高精度で算定し、制御することができる。このため、
例えば錆び付きによって所定の力で引き抜きができなく
なるといった種類のトラブルを生じる虞れが無く、必要
に応じて確実に抜け止め機能を喪失させて危険を未然に
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧力水の噴射方法を実施するため
に構成した圧力水噴射装置の1実施形態を示す正面断面
図であって、(A)は圧力水ホースで送給した圧力水を
杭の下方に噴射している状態を描き、(B)は圧力水ホ
ースを上方へ引き抜いている途中の状態を描いてある。
【図2】前掲の図1に示した実施形態の圧力水噴射装置
が、同図1(A)のように圧力水の噴射を行ない得るよ
うになっている状態における要部拡大断面図である。た
だし、本図2において図の左方が基準姿勢における上方
であり、図の右方が基準姿勢における下方であって、
上,下の呼称はこれに基づく。この基準姿勢を往復矢印
U(上方)−D(下方)で標記してある。
【図3】前掲の図1に示した実施形態の圧力水噴射装置
が、同図1(B)のように圧力水ホースを引き上げつつ
ある状態における要部拡大断面図である。ただし、本図
3においても前掲の図2におけると同様に、基準姿勢に
おける上,下方向を往復矢印U−Dで標記してある。
【図4】前記と異なる実施形態を示し、バルブスプール
がバルブボディに対して基準姿勢における下方(矢印D
方向)に摺動して、管壁に穿たれた透孔が露出した状態
の断面図である。
【図5】本発明の1実施形態を示し、バルブボディホル
ダを斜め下方から見て描いた外観図である。
【図6】杭打作業に際して圧力水および/または圧力空
気の噴射を併用している状態を示す概要的な正面図であ
って、本来は従来例を描いたものであるが縮尺が小さく
て細部が表されていないので、本図を本発明の実施例と
して見ても別段の矛盾を生じない。
【符号の説明】
1…杭、2…圧入機、3…起振機、4…ノズル、5…パ
イプ、6…圧力水ホース、6a…ホース口金、6b…袋
ナット、7…バルブボディ、7a…大径孔、7b…小径
孔、7c…オネジ、7d…段差面、7e…2面取(挟持
形工具の係合部の1例)、7f…段差面、8,8′…バ
ルブスプール、8a…ノズル噴射孔、8b…管壁に穿た
れた透孔、8c…フランジ、8d…斜め上方向き管壁
孔、9…バルブボディホルダ、9a…側壁、9b…底
壁、9c…溝、10…杆状部材の1例としてのリベッ
ト、10′…剪断されたリベット、11…Oリング、1
2…着脱自在な抜け止め手段の1例としてのスナップリ
ング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米山 吉人 東京都品川区西五反田7丁目10番4号 トーメン建機株式会社内 (72)発明者 永渕 和幸 東京都品川区大崎1丁目6番4号 調和 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−209357(JP,A) 登録実用新案3056203(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 7/24 E02D 13/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧力水ホースに接続された直筒状のバル
    ブボディと、 上記バルブボディ内に摺動可能に嵌合された直管状のバ
    ルブスプールと、 杭に固着されて、前記バルブボディを挿脱可能に内嵌せ
    しめる有底筒状のバルブボディホルダ、および、その底
    壁に設けられた透孔と、を具備しており、 前記直管状バルブスプールの管壁に透孔が穿たれるとと
    もに、該直管状バルブスプールの中心孔の少なくとも片
    方の端がノズル噴射孔として機能し得るようになってお
    り、 かつ、バルブボディがバルブボディホルダの中に挿入さ
    れると、バルブスプールがバルブボディホルダの底部に
    当接して押動され、該バルブスプール管壁の孔がバルブ
    ボディ内に位置せしめられて外部空間との連通を遮断さ
    れるようになっているとともに、 バルブボディがバルブボディホルダから抜き出される
    と、バルブスプールが水圧を受けてバルブボディの中か
    ら半ば抜け出た状態になって、該バルブスプールの管壁
    孔が露出し、前記の圧力水ホースからバルブボディに供
    給された圧力水の一部が該管壁孔から放出されるように
    なっており、 前記バルブスプールがバルブボディホルダの底部によっ
    て押し上げられている状態においても、水圧によって半
    ば抜け出た状態においても、該バルブスプールの中心孔
    の片方の端は閉塞されることなく外部空間に開口,連通
    していることを特徴とする、杭打用圧力水の噴射装置。
  2. 【請求項2】 前記直管状のバルブスプールの片方の端
    が、中心孔の口径を絞られてノズル噴射孔を形成してい
    るとともに、 該直管状バルブスプールの他方の端は、外周面がフラン
    ジ状の大径に形成されており、 かつ、前記直筒状のバルブボディの中心孔は、その軸心
    方向の片方がバルブスプールのフランジ状大径部と摺動
    自在に嵌合し得る口径の大径孔に形成されるとともに、 軸心方向の他方の側は、バルブスプールのフランジ状部
    以外と摺動自在に嵌合する口径の小径孔に形成されてい
    て、 上記の大径孔と小径孔との境界に形成される段差面にバ
    ルブスプールのフランジ状大径部の端面に当接すること
    によってバルブスプールの抜け止め手段が構成され、上
    述のように当接した状態において前記バルブスプールの
    管壁孔がバルブボディの外部に露出するようになってい
    ることを特徴とする、請求項1に記載した杭打用圧力水
    の噴射装置。
  3. 【請求項3】 前記直筒状バルブボディに形成されてい
    る大径孔の側の端部付近の外周面にオネジが形成されて
    おり、 圧力水ホースの口金にメネジを有する継手部材が取り付
    けられていて、上記の口金と、メネジを有する部材と、
    前記のオネジとによってネジ式の管継手が構成されてお
    り、 かつ、前記バルブボディの、オネジを形成されている端
    部以外の箇所、望ましくはオネジと反対側の端部付近の
    外周面に、挟持形の工具を係合せしめ得る係合部が形成
    されていることを特徴とする、請求項2に記載した杭打
    用圧力水の噴射装置。
  4. 【請求項4】 前記バルブボディの小径孔に対して摺動
    自在に嵌合されているバルブスプールの、ノズル噴射孔
    として機能し得る構成部分が設けられている側の端部付
    近の外周面にスナップリングが装着されていて、該バル
    ブスプールがバルブボディ内に向かって摺動せしめられ
    る場合、上記スナップリングがバルブボディの端面に当
    接してストッパとして機能し、バルブボディ内に入り込
    む方向の摺動ストロークを制限するようになっており、 かつ、上記スナップリングがストッパとして作用してい
    る状態において、バルブボディの小径孔の内周面に対向
    するように位置せしめて、バルブスプールの外周に形成
    されたリング溝にOリングが嵌め合わされて圧力水の漏
    洩を防止するようになっていることを特徴とする、請求
    項1もしくは請求項2に記載した杭打用圧力水の噴射装
    置。
  5. 【請求項5】 前記圧力水ホースに沿わせて、もしくは
    該圧力水ホースに嵌合して圧力空気ホースが設けられる
    とともに、 前記直筒状のバルブボディの筒壁の中に、ほぼ軸心と平
    行な空気流路が穿たれていて、圧力水と一緒に圧力空気
    を噴射し得るようになっていることを特徴とする、請求
    項1ないし請求項4の内の何れか一つに記載した杭打用
    圧力水の噴射装置。
  6. 【請求項6】 前記の大径孔と小径孔とよりなる中心孔
    を有する直筒状のバルブボディの外周面に、大径孔側が
    小径で小径孔側が大径をなす段差面が形成されるととも
    に、 前記有底筒状のバルブボディホルダの筒壁が、上記段差
    面を含めてその付近を覆っており、 上記バルブボディホルダの筒壁に、ほぼ半径方向に穿た
    れた孔に杆状の部材が挿通,固定されて、その一部が前
    記段差面に当接して「バルブボディホルダに対するバル
    ブボディの抜け止め作用」を果たし得るようになってお
    り、かつ、バルブボディに対して強大な抜け出し方向の
    力が加えられたとき、前記杆状の部材が剪断されて、バ
    ルブボディの抜け出しが許容されるようになっているこ
    とを特徴とする、請求項2ないし請求項4の内の何れか
    一つに記載した杭打用圧力水の噴射装置。
  7. 【請求項7】 前記直管状バルブスプールの管壁に設け
    られている透孔の設置個数が複数個であって、その中心
    線に関して対称に、周方向に配列されるとともに、 前記管壁に設けられている透孔の方向が、直管状バルブ
    スプールの半径方向に比して傾斜しており、 前記のノズル噴射孔として機能する中心孔の端部から噴
    出する水流の方向と、前記の管壁に設けられている傾斜
    した透孔から噴出する水流の方向とが、鈍角をなすよう
    になっていることを特徴とする、請求項1ないし請求項
    6の内の何れか一つに記載した杭打用圧力水の噴射装
    置。
  8. 【請求項8】 前記有底筒状のバルブボディホルダの底
    壁の下面に溝が設けられていて、 上記の溝は「該バルブボディホルダの、杭に対する取付
    面」に対してほぼ平行であり、 かつ、前記バルブボディホルダの底壁に設けられた透孔
    が、上記の溝の溝底面に開口していることを特徴とす
    る、請求項1ないし請求項7の内の何れか一つに記載し
    た杭打用圧力水の噴射装置。
  9. 【請求項9】 杭を地盤中に打ち込む際、杭の下端部付
    近からほぼ下方に向けて圧力水を噴射する方法におい
    て、 圧力水ホースの先端に直筒状のバルブボディを接続する
    とともに、該バルブボディの中に「管壁に透孔を穿たれ
    た直管状のバルブスプール」を摺動自在に嵌合して装着
    しておき、 予め杭の下端部に固着されている有底筒状のバルブボデ
    ィホルダの中へ前記のバルブボディを挿入し、 上記バルブボディホルダの底壁によってバルブスプール
    を押し上げる形に、該バルブスプールをバルブボディに
    対して相対的に上昇せしめて、前記管壁の透孔と外部空
    間との連通を遮断し、この状態で圧力水を送給しつつ杭
    の打込み作業を行ない、 杭を打ち込んでいるとき、前記圧力水ホースから供給さ
    れた圧力水を、バルブボディの中に流入させ、直管状バ
    ルブスプールの上端から下端まで流通せしめ、 上記直管状バルブスプールの下端から噴出する圧力水流
    を、バルブボディホルダの底壁に穿たれている孔もしく
    は切欠を通って杭の下方に噴射せしめ、 杭の打ち込みを終了するに際して、前記のバルブボディ
    をバルブボディホルダの中から抜き出すことにより、該
    バルブボディホルダの底壁によるバルブスプールの押し
    上げ力を自動的に消失せしめ、 上述のごとくバルブボディを引き抜いた状態において、
    圧力水ホースに対する圧力水供給が停止されていなけれ
    ば、該圧力水の水圧によってバルブボディ内のバルブス
    プールを押し出す方向に摺動せしめて、該バルブスプー
    ル管壁の透孔をバルブボディから露出せしめ、圧力水の
    一部を上記透孔に分流せしめることによってバルブホル
    ダ下端からの噴出水流の圧力および流速を低下させるこ
    とを特徴とする、杭打用圧力水の噴射方法。
  10. 【請求項10】 直筒状のバルブボディ中に直管状バル
    ブスプールを嵌合して装着する際、着脱可能な抜け止め
    部材を取り付けておき、 水の噴射を伴う杭打作業の遂行によって前記バルブスプ
    ールの経時的損耗が進行して使用に耐えなくなったと
    き、前記の抜け止め部材を取り外して、バルブボディの
    中からバルブスプールを抜き出し、 補給用のバルブスプールをバルブボディの中に嵌め入
    れ、抜け止め部材を取り付けて修復することにより、バ
    ルブスプール以外の構成部品の内、バルブボディホルダ
    以外の主要構成部品を反復使用することを特徴とする、
    請求項9に記載した杭打用圧力水の噴射方法。
  11. 【請求項11】 前記直筒状のバルブボディの外周面
    に、下方が大径で上方が小径の段差面を形成するととも
    に、 上記バルブボディに外嵌される有底筒状のバルブボディ
    ホルダの側壁に対して杆状の部材を取り付けて、該杆状
    部材を前記の段差面に当接せしめ、もしくは、至近距離
    で対向せしめてバルブボディの抜け止め機能を果たさし
    め、 上述のようにしてバルブボディがバルブボディホルダか
    ら抜け出さないようにした状態で、バルブスプールの中
    心孔から圧力水を噴射しながら杭の打込作業を遂行し、 杭の打込作業を終了するに際して、地上から圧力水ホー
    スに対して引き上げ方向の引張力を与え、この引張力に
    よって前記杆状部材を剪断することにより抜け止め機能
    を喪失せしめ、 前記の引張力により、バルブボデイをバルブボディホル
    ダの中から抜き出し、地上に引き上げて回収することを
    特徴とする、請求項9に記載した杭打用圧力水の噴射方
    法。
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