JP3348857B2 - 加水分解安定ナイロン膜 - Google Patents
加水分解安定ナイロン膜Info
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Description
熱湯殺菌に耐えうるナイロン構造に関する。特に,本願
は食品及び飲料水処理産業で必要とされる殺菌の多重サ
イクルに適した多孔性かつ加水分解安定のナイロン膜に
関する。そのような膜は,ナイロン1モルあたり少なく
とも0.9モルアミノ末端基から成り好適にはナイロン1
モルあたり少なくとも1.3モル以上のアミノ末端基から
成る高分子量のナイロンから作られる。
ド基−CONH−の存在により特徴づけられるポリアミドポ
リマーの仲間に付けられた名称である。注目すべきは,
ナイロン内のアミド基はフリーラジカルまたは他の酸化
試薬のような活性原子により分割されるため,このポリ
マーは非常に弱い構造であることがわかる。ナイロンは
二酸及びジアミンを重縮合を通じ反応させることにより
形成され,その結果ナイロン66,6,610,46などのさまざ
まなナイロンが形成される。
に,酸化防止剤などの添加剤が利用されてきた。ナイロ
ン安定性を改善する際に有用な酸化防止剤の例として,
アルキレートフェノール,ポリフェノール化合物,芳香
族アミン及び有機亜リン酸塩などが含まれる。注目すべ
きは,酸化防止剤または同様の添加物をナイロンに混合
することは,酸化防止剤が酸化原子を攻撃しナイロン分
子の分解を防止するという原理に基づいて,熱変質及び
光酸化の両方に対し改良された抵抗力を与えるためであ
ることが示された。
剤を混入する方法に関し,多くの特許が為された。例え
ば,Thompsonの米国特許第3,180,849号では,ナイロンへ
の酸化防止安定剤として,フェニルハロホスフィンを添
加し,一方,Rothrockの米国特許第2,493,597号では,亜
リン酸塩エステルを添加する。さらに,Stamatoffによる
米国特許第2,630,421号は,ナイロンの熱酸化に対する
抵抗用に,芳香族アミン及びフェノールを協力して結合
させることを述べている。他にナイロンの酸化に対抗す
ると報告されているものに,Tazewellの米国特許第3,47
7,986号に説明されるようなニトロキシド及びヒドラジ
ルなどの安定ラジカルがある。さらに,Stokesの米国特
許第3,454,412号は低溶融ナイロン用にUVアブソーバ及
び酸化防止剤との混合を説明する。
て有用な実用寿命を延長するが,他の多くの応用分野に
おいては蒸気及び/または熱湯の存在下で安定なナイロ
ンが要求されている。ナイロンは常に熱湯に対する変質
が問題とされてきたので,改良された加水分解に耐える
ナイロンの品質が長く探求されてきた。
水分解ナイロン品質は,熱による型成形品に対し商業的
に有効である。しかし,これらの改良された品質は本質
的には酸化防止剤を混入したナイロンであり,それゆえ
本質的にナイロンの酸化防止的品質である。そのような
ナイロンの一例は,デラウエア州ワシントンにあるE.I.
Du Pont de Nemours Co.から購入可能な酸化防止的品質
Zytel 122Lである。該Zytel 122Lは77℃の熱湯環境下
で,同じくE.I.Du Pont de Nemours Co.から購入可能な
無添加ナイロン品質Zytel 101と比較して3倍の実用寿
命を有する。
変化は,単に熱湯に関係するのではなく,熱湯と水に溶
けた酸素の組み合わせに関係することがはっきりした。
したがって,水中酸素量はナイロンの実用寿命に反比例
する。例えば,酸素が消費され交換されないままのよど
んだ熱湯は,酸素が連続的に有効な流れる熱湯に比べ,
ナイロンに与える変化が小さい。また予想されるよう
に,該変化は温度にも依存する。
添加剤を使用するZytel 122Lのようなナイロンは,非常
にさまざまなプラスチック部品を生成するための射出ま
たは押し出し型成形樹脂として広く利用されてきた。し
かし,この種の酸化防止剤混入ナイロンは膜形成時に加
水分解による変質を防止できない。
うな溶剤内の溶解ナイロン及び他の成分により生成され
る。ドープは薄い層状にされメタノール及び/または水
のような不溶剤系を含むバス内で急冷され,その際に微
細孔が生成された高分子膜内に形成される。ナイロンを
溶解させるための溶剤としてギ酸が使用されるところの
微細孔ナイロン膜を形成する方法の詳細はここに参考文
献として組み込む,Marinaccioらによる米国特許第3,87
6,738号,Kinghtらによる米国特許第5,084,179号及びPau
lによる米国特許第4,340,479号に説明されている。
ルのような酸化原子により攻撃を受けやすいアミド基を
有し,したがって多くの応用に対し加水分解変質に対す
る抵抗力は不十分である。そのような応用の例として,
食品及び飲料産業,製薬,エレクトロニクス及び他の加
水分解安定性が要求されるところの応用におけるフィル
ター(濾過)が上げられる。好適には,フィルターカー
トリッジ用のフィルターエレメントは加水分解安定なナ
イロン膜から成り,当該膜は支持織布上への注ぎ込み
(cast)である。好適には上記応用に対し有効であるよ
うに,これらのカートリッジは圧力釜内の120℃の飽和
蒸気で少なくとも20時間及び/または約80℃の熱湯流で
少なくとも200時間の連続サイクルに耐えなければなら
ない。
して採用されるときでも,加水分解変質に対する抵抗力
が改善されない場合がある。ナイロンのペレット内に発
見された酸化防止的効果が,膜が形成される際に失われ
ているのである。その理由は,ナイロン内の酸化防止剤
がナイロン溶剤(ギ酸)内で不溶であるか,その酸化防
止効果が無効になるか,または少なくとも高分子溶液内
の他の化合物の存在により化学的反応力を失ったもので
あると考えられる。膜形成後に当該膜に酸化防止剤を適
用することは効果的であるが,そのように使用された酸
化防止剤は,食品に接触するためエンドユース用の連邦
規則(Code of Federal Regulations(CFR))の承認を
得なければならず,製薬またはエレクトロニクス産業に
おける応用に対してそれらを除去することは不可能であ
る。
り返しに耐え得る加水分解安定なナイロン膜が要求され
る。本願はこれらの膜を与える方法について説明する。
の混合剤を添加することなく,加水分解安定な多孔性ナ
イロン膜を生成する方法を与えることである。
に耐え得るナイロン膜を生成する方法を与えることであ
る。
ィルターに使用可能なナイロン膜であって,該フィルタ
ーは酸化防止剤を使用せずしたがって連邦規則(CFR)
の発行する政府規格に適合するところのナイロン膜を生
成する方法を与えることである。
業においてフィルターに使用可能なナイロン膜を生成す
る方法を与えることである。
てフィルターに使用可能なナイロン膜を生成する方法を
与えることである。
加水分解安定ナイロン膜の製造方法を与えることであ
る。
作られたフィルターカートリッジの製造方法を与えるこ
とである。
とも20時間の圧力釜と,約80℃の熱湯流で少なくとも20
0時間の連続サイクルに耐え得るナイロン膜を与えるこ
とである。
カートリッジ型に製造されたナイロン膜を与えることで
ある。
説明で明らかにされる。
造方法は,ナイロン1モルに対し少なくとも約0.9モル
のアミノ末端基を有するナイロンを与える段階と,該ア
ミノ末端基に影響を及ぼさずナイロンを膜状に加工する
段階と,から成る。
する方法はナイロン1モルに対し少なくとも約0.9モル
のアミノ末端基を有するナイロンを与える段階と,該ア
ミノ末端基に影響を及ぼさずナイロンを膜状に加工する
段階と,その膜をフィルターカートリッジに加工する段
階と,から成る。
ロン1モルに対し少なくとも約0.9モルのアミノ末端基
を有するナイロンを与える段階と,当該液体を膜に通過
させる段階と,から成る。
ナイロン1モルに対し少なくとも約0.9モルのアミノ末
端基を有するナイロンと,分子解離を起こすことなく圧
力釜及び熱湯殺菌に耐えうる膜と,から成る。
のアミノ末端基を有する3種類のナイロンの酸化安定性
を描いたグラフである。
圧力釜及び熱湯殺菌の反復サイクルに耐えうるナイロン
膜の製造に関する。そのような加水分解安定膜はとりわ
け食品及び飲料産業の分野の濾過として有効であり,ま
た常温でのサブミクロン粒子の濾過や使用サイクル中の
熱湯殺菌が要求されるような分野でも有効である。した
がって,約120℃の飽和蒸気下で少なくとも20時間の圧
力釜と,約80℃の熱湯流で少なくとも200時間の連続サ
イクルに耐え得るナイロン膜を与えることが好適であ
る。
採用されるナイロンの特定の化学的構造に帰因する。す
なわち,1モルのナイロンに対し少なくとも0.9モルのア
ミノ末端基であって,好適には1.3モルから最高2モル
までの1.82モルのアミノ末端基を有する特定のナイロン
構造が,上記のような環境下でフィルターとして応用す
る際に温度および加水分解に関する安定性の要求を満足
させる。したがって,加水分解安定膜は上記特定の量の
アミノ末端基を有するタイプのナイロンを選択すること
によって達成される。
成するための酸化防止剤のような添加物を必要としな
い。さらに,膜の安定性は単に特定の末端基を有する特
定のタイプのナイロンを選択することにより達成される
ため,元来の膜形成工程はそのまま残る。換言すれば,
参考文献として組み込む米国特許第3,876,738号,5,084,
179号及び4,340,479号に開示されるような方法及び冷却
液はそのまま使用できる。生成された気孔径は約0.01〜
2ミクロンの範囲で膜形成中に制御可能であるが,本願
は必ずしもその範囲に限定することを意図しない。上記
プロセスで製造される膜と違い,本願発明に係る膜は加
水分解安定である。しかし,本願の実行の際にはアミノ
末端基は注ぎ込み及び冷却操作中に影響を受けてはなら
ないことが要求される。
及び量がナイロン膜の熱及び酸化原子に対する化学的安
定性を支配することがわかった。しかし,これらの末端
基の数及び種類は重合反応を停止させる停止化学薬品
(terminating chemical)に依存している。ナイロンポ
リマーの分子量は膜形成に適切である平均分子量として
25000から約42000である。
せることによって作られる。例えば,ナイロン66はアジ
ピン酸とヘキサメチレンジアミンから作られる。ナイロ
ン66は反応を停止させるために添加された停止化学薬品
に依存するカルボン,アミノまたはその他の末端基を有
する。もし,アミノ化合物が停止剤として添加される
と,ナイロンはより多くのアミノ末端基を含むことにな
る。
の種類及び量がナイロン膜の酸化及び加水分解変質に対
する安定性に重大な影響を及ぼすことを発見した。もし
ナイロン内に十分な量のアミノ末端基が存在すれば,そ
のようなナイロンでできた膜は120℃での圧力釜または
長時間の80℃での熱湯流に対して変質することなく耐え
うる。アミノ末端基はナイロン内のアミド基に対するフ
リーラジカルの反応を抑制するフリーラジカルスカベン
ジャとして機能すると思われる。そのような抑制効果が
酸化原子の存在で発生する変質からナイロン膜を保護す
る。
作用して弱く傷つきやすい結合を強化し,それによって
ナイロン膜の安定性を促進することが理論的には可能で
ある。どんなメカニズムで膜の安定性が得られるのかは
別としても,結果的には多くのアミノ末端基を含むナイ
ロンは圧力釜または熱湯流の環境下での膜の実用寿命を
非常に改善した。さらに,以下に示されるように本発明
に係る加水分解安定ナイロン膜から作られたフィルター
カートリッジ及びポリエステル不織布上への注ぎ込み
は,変質せずに460時間以上の間80℃の熱湯流に耐えう
ることがわかった。一方,少量のアミノ末端基を有する
従来のナイロンから作られたカートリッジの場合には同
じ環境下で60時間しかもたなかった。
乾燥時の形態安定性のみに影響を与え,熱及び酸化原子
に対する化学的安定性には影響を及ぼさないと思われ
る。以下に示されるように,ナイロン構造の結晶度,分
子量,形態及び末端基の効果を考慮して酸化変質に対す
るナイロン膜の安定性を調査した結果は,末端基のみが
化学的安定度に影響を与えることを示している。
のアミノ末端基を有する特殊ナイロンが圧力釜または熱
湯流の環境下で優れた膜安定性をもたらすことを示すた
めに,いくつかのテストがなされ以下に詳細に示され
る。
記適正量のアミノ末端基を有するように使用される。し
かし,重要なことは,本願以前は典型的な膜製造用の商
業的ナイロンの製造において,末端基の種類及び量は制
御されていなかったということである。したがって,膜
製造に適した商業用ナイロンはアミノ末端基の内容量に
基づいて選択されていなかった。ナイロン6またはナイ
ロン46などのナイロンは本願発明の思想から離れること
なく使用されうるが,好適にはアジピン酸とヘキサメチ
レンジアミンとの縮重合により生成されるナイロン66が
ナイロン膜製造に使用される。実際に,ナイロン1モル
に対し少なくとも0.9モルのアミノ末端基を有しかつ食
品または飲料等へのフィルターとして適している限り,
膜を形成可能なあらゆるナイロンが本願発明の実行のた
めに採用され得る。
ルボキシル基及びアミノ末端基の両方を含む。しかし,
ナイロン内の末端基の種類及び量は重合反応を停止する
ためのエンドキャップ法に依存している。反応を停止さ
せナイロンを生成するにはさまざまな方法が存在するた
め,ナイロン内のアミノ末端基の量は生産者ごとに異な
り,同じ生産者でもロットごとに異なるということが予
想され以下に示される。したがって,どのナイロンが適
しておりかつ加水分解安定ナイロン膜の生成の際使用す
るために選択すべきかを決定するために,アミノ末端基
の量が評価されなければならない。
ために,異なる生産者のいくつかのナイロン66サンプル
が評価された。ナイロン内のアミノ末端基は微量分析法
を使って決定される。従って,最初ナイロンはフェノー
ル−メタノール溶剤内で融解される。融解後,それは電
圧摘定を使用して標準的な塩化水素酸により目的点まで
摘定される。サンプルの2.0グラムが±1.0mgの精度で計
測され,体積濃度68/32パーセントのフェノール/メタ
ノール溶液75mlを含む100ml用サンプルビン内に入れら
れる。該サンプルは完全に融解するめで予熱された撹拌
ブロック上に50℃で2時間放置される。混合物が室温ま
で冷却されたのち,それは0.02Nの塩化水素酸で摘定さ
れる。サンプル溶液は屈曲点を過ぎて摘定される。75ml
のフェノール/メタノール溶液を電圧摘定することによ
ってブランク摘定が準備される。その結果,以下の方程
式にしたがって,サンプルナイロン1モルあたりのアミ
ノ末端器のモル数が計算できる。
定液の体積,Cは摘定液のモル濃度,Dはナイロン分子量で
割り算されたサンプル重量(g)である。
ミノ末端基に対する試験結果は,以下の表1に示されて
いる。
あるE.I.DuPont社製の熱重量解析機モデル951を使用し
て熱重量解析することにより計測される。約20mgのナイ
ロンペレットが大気中で毎分10℃ずつ加熱され,サンプ
ル重量の変化が期間の関数としてモニターされる。図面
は,異なる量のアミノ末端基を有する。3種類のサンプ
ルの重量変化を示している。とりわけ,1.66モルの最大
量のアミノ末端基を含む曲線Cのサンプル(生産者Aの
ナイロン66ロット番号1)は350℃以上で酸化安定性を
示し,0.57モルのアミノ末端基を含む曲線Aのサンプル
(生産者B)は300℃以下で分解されているのがわか
る。他に,0.79モルのアミノ末端基を含む曲線Bのサン
プル(生産者Aのナイロン66ロット番号2)はそれら2
つの温度の間で分解される。3種類すべてのサンプルは
同一の酸化環境下にさらされているため,大量のアミノ
末端基の存在によりナイロンの安定性がもたらされたこ
とはこれらのTGA測定から明白である。
特許第3,876,738号,Knightの米国特許第5,074,179号及
びPallの米国特許第4,340,479号に記載されているよう
な方法に従って,上記のようなナイロンから形成され
る。特に,ナイロンはドープ液を形成するべく好適には
溶剤(ギ酸)及び不溶剤(メタノール)の混合物から成
る溶液内で溶解される。その後該ドープ液は好適にメタ
ノール及び水から成る冷却液内の不織布上へ注ぎ込まれ
る。生成された多孔膜は乾燥される。
された膜は特徴的に公称表面孔径が0.45ミクロンと見積
もられ,30psi付近の初期泡立ち点(IBP)と34psi付近の
泡一面点(FAOP)を有する厚さ約5〜6ミルで形成され
る。IBP及びFAOPを決定するために,膜の泡試験が実行
された。特に,直径47mmの膜のサンプルディスクが,該
ディスクの端をシールされて特別の試験ホルダ内に載置
される。膜の上方またはその表面に接触して穴あきステ
ンレススチール製の支持スクリーンが存在し,膜の底面
に大気圧がかけられたとき膜が変形したり破れたりしな
いようにしている。膜及び支持スクリーンの上方に,該
ホルダは蒸留水を導くための深さ1インチのくぼみを有
する。泡の最初の流れが湿った膜から静水プールへ放出
されるまで,調整大気圧が上昇させられる。この泡の最
初の流れが放出された大気圧が初期泡立ち点(IBP)と
呼ばれる。この方法の詳細は,ASTM方法F316−7に記載
されている。
各膜に対するこのテストの結果は,以下の表2に示され
ている。膜はその後120℃で5時間圧力釜にかけられ,
再び乾燥される。ナイロン膜内のアミノ末端基の量が再
び解析され,その結果も表2に示されている。
間の関係の決定 膜の加水分解安定性は,機械的完全性の指標であると
ころの破裂強度を試験することにより,かる膜の多孔構
造の完全性の測定であるところのIBP及び拡散を測定す
ることによって決定された。これらの試験により,ナイ
ロン内のアミノ末端基の量とそのようなナイロンから生
成された膜の加水分解安定性との間には関係があるとい
うことがわかった。
的完全性または安定性を決定するために使用された。こ
の試験は,圧力ゴム隔膜を通じて直径1.2インチの領域
に対し制御された増加速度で加えられたとき,膜の破断
に必要な静水圧をポンド/平方インチの単位で決定す
る。試験中,膜は最初から平坦でその周囲を保持される
が,圧力の増加に従い自由に曲がることができる。膜が
破裂する点は膜破裂強度と呼ばれる静水圧を定義する。
この試験結果も表2に示される。
膜形成方法によって影響を受けないことを示している。
オリジナルのナイロンペレット内に発見されたのと実質
的に同数のアミノ末端基が生成された膜内に発見され
た。
基との間には関係が無いことも示している。実際に,生
産者Aロット1のナイロン66の分子量は表1の他のナイ
ロンよりほんの少しだけ小さいが,最大数のアミノ末端
基を含む。
ナイロンはより強い膜を形成したが,加水分解安定性に
対しては効果が無かった。言い換えれば,ポリマー構造
内のナイロンチェーンの長さは膜の加水分解安定性に影
響を及ぼさない。もしナイロン内のアミド基を保護する
のに十分な量のアミノ末端基が存在しなければ,ナイロ
ン内のすべてのアミド基は酸化原子による攻撃に対し等
しく傷つきやすい。
み込むMeyeringらの米国特許第4,579,698号に記載され
た方法によりカートリッジ型に形成される。特に,膜は
登録商標“Hollytex"として購入可能な厚さ約2〜2.5ミ
ルのポリエステル不織布上に注がれる。複合フィルター
膜は長さ方向に対して横に畳まれた上流及び下流サポー
トによりインターリーブされ,縦方向にサイドをプリー
ツ加工され,かつ円筒形に形成される。その後該円筒
は,コアの中空内への流れ用のアパーチャにより与えら
れた円筒形コア全体に滑らされる。フィルター膜及びコ
アはアパーチャにより与えられた外側円筒膜内に挿入さ
れる。該円筒の端部はエンドキャップによりフィルター
カートリッジを形成するよう封止される。該カートリッ
ジは適当なハウジング内に導入され,その結果流れはフ
ィルターエレメントの内部を通じて外側から流れること
ができる。膜カートリッジの完全性は以下に述べるよう
な湿った膜を通過する通気量を測定することにより非破
壊的方法で試験される。
より3gpm(ガロン毎分)で10分間湿らされる。湿らされ
ると同時に,カートリッジはハウジング内に導入され入
口圧力ラインを通じて圧力レギュレータへ接続される。
出力ラインはフィルターからプラスチックビーカーへと
導かれ,スポイトに接続されているビュレットに接続さ
れる。テスト装置が組み立てられると,入口ライン圧力
はゆっくり10psigまで上昇させられ,カートリッジはそ
の圧力で約1分間安定化される。プラスチックビーカー
は脱イオン水で満たされる。その後水はスポイトを使用
してビュレット内に100mlまで吸入される。ビュレット
を満たした水はアセンブリ上に移される。タイマーを使
用して,カートリッジからの全大気流が測定され,カー
トリッジを通過した大気量はキャリブレーションされた
ビュレットを読むことによって,及び水のミルリットル
すなわちビュレット内の大気量を評価することによって
決定される。
ト四方の膜材料を有するフィルターカートリッジが80℃
の水を3gpmで連続して流すことにより加水分解抵抗用に
試験される。一定時間の後,各カートリッジはアセンブ
リからはずされ,湿ったカートリッジを通過する大気の
拡散速度を計測することによりその完全性を試験する。
0.45ミクロン膜の一体式カートリッジは好適には10psi
で1ml/min以下の大気拡散速度を有する。とりわけ,膜
がナイロンの加水酸化により発生する分裂を示すやいな
や,拡散速度の急激な変化が観測される。したがって,
分裂が発生するときを決定することは概して簡単であ
る。大気拡散試験の結果は以下の表3に示されている。
イロンは非常に優れた加水安定性を有することが明白で
ある。
記試験条件の下で60時間継続され,大量のアミノ末端基
を有する生産者Aロット1のサンプルナイロンは460時
間の熱湯流の後でも劣化の兆しもなかった。
ル,好適には1.3モル,より好適には1.6モルのアミノ末
端基を有するような特定の化学的性質のナイロンが従来
のナイロン膜で頻繁に起きていた加水分解に対する抵抗
力を増加させるために使用される。ナイロン内のアミノ
末端基は,単一膜形状ばかりか,そのような材料から作
られたフィルターカートリッジ形状においても加水分解
安定性に対して重要であることがわかった。使用前にフ
ィルターエレメントが圧力釜または熱湯流により消毒さ
れまたは滅菌されることが要求されるような飲料及び生
物学的液体を含むいわゆる滅菌濾過に対し,本願発明の
濾過カートリッジ及び膜はそのような取り扱いに対し抵
抗力を有し,そのような条件の下で完全性を維持する。
すことでより深い理解が可能となる。これらの実施例は
請求の範囲に記載された発明を表し支持するものである
が,その発明を必ずしも限定するものではない。
在しないことを示すために,ナイロン1モルに対し1.66
モルのアミノ末端基を有する18重量%のナイロン66の注
入液と,溶媒としてのギ酸と不溶液としてのメタノール
の所定の割合の(表4に記載のギ酸及びメタノールの割
合)混合物とから成るナイロンドープが所望の膜多孔度
を生成するよう準備された。当該ナイロンドープは,約
5から8ミルの最終膜厚を有するような微孔膜を形成す
るべく注がれる。25重量%のメタノールと75重量%の水
から成る急冷バスがドープ膜を微孔膜に変換するのに使
用される。湿ったゲル状の膜は85℃で15分間乾燥され
る。
下の表4により詳細に記載されている。
記録されると,湿ったサンプル膜を通過した大気流がレ
ギュレータとサンプルホルダーとの間のライン上にある
流量計で計って100cc/minに達するまで大気圧はさらに
上昇させられる。この流量での大気圧が泡一面点(Foam
−All−Over−Point(FAOP))である。
工されたナイロン66膜は,120℃で12時間圧力釜で熱せさ
れる。約0.01から2ミクロンの孔径を有する膜が本願発
明の実行に対し好適であることがわかる。各膜の破裂強
度が決定され,その結果は以下の表5に示されている。
ナイロン1モルに対し0.9モル以下のアミノ末端基を有
する他の膜サンプルは3時間以内で劣化したため表5に
は含まれない。
ン膜の破裂強度について大きな変化は生じなかった。こ
の結果から,さらに加水安定性は大量のアミノ末端基を
有するナイロンから作られた膜の多孔度により影響を受
けないことが明白となった。
増加または減少の効果が試験された。理論的には,ナイ
ロンドープ内の大量のナイロン固体が単位表面積あたり
大量のナイロン分子を有する膜を形成し,このドープ内
のナイロンの溶解度を制限するファクターにより酸化変
質に対する膜の安定性の改良へとつながる。したがっ
て,異なる量のナイロン66固体が2つのタイプのナイロ
ンのいずれかから微孔膜用のドープを作るために使用さ
れ,その内のひとつ(生産者Aロット1)は大量のアミ
ノ末端基を有し,他(生産者Bロット2)は,少量のア
ミノ末端基を有する。各膜の破裂強度は決定され,結果
は以下の表6内に記載されている。
が増加するにしたがって増加し,その結果膜の安定性が
改良されたことがわかる。しかし,たとえ大量のナイロ
ン固体が使用されて(サンプルNo.30)初期強度が改良
されても,ナイロン1モルに対し0.57モルのアミノ末端
基を有するナイロン(生産者B)(サンプルNo.29)か
ら生成された膜は圧力釜で熱せられると劣化する。それ
に対し,ナイロン1モルに対し1.66モルのアミノ末端基
を有するナイロン(生産者Aロット1)から生成された
膜は,たとえ固体含有率が16%で最低であっても(サン
プルNo.33)非常に優れた安定性を示した。
水分解安定性への影響を決定するべく,いずれも約0.45
ミクロンの孔を有する膜サンプルであって,一方は大量
のアミノ末端基含有ナイロンを含む生産者Aロット1の
18%ナイロン固体ドープから注がれ,他方は少量のアミ
ノ末端基含有ナイロンを含む16%ナイロン固体ドープか
ら注がれた膜厚の異なる2つの膜に対し,より厚い膜の
方がより薄い膜に比べ高い強度をもたらすことがわかっ
た。それぞれの膜の破裂強度が決定され,その結果が表
7に示されている。
も増加するということを立証している。しかし,たとえ
より厚い膜が生成され初期強度が改良されても,ナイロ
ン1モルに対し0.57モルのアミノ末端基を有するナイロ
ン(生産者B)から生成されたサンプルNo.34,35の膜は
圧力釜に耐えられなかった。一方,ナイロン1モルに対
し1.66モルのアミノ末端基を有するナイロン(生産者A
ロット1)から生成されたサンプルNo.36〜38の膜は約
4ミルの厚さにおいても優れた安定性を示した。
溶剤と不溶剤の性質及びドープ内の割合などの溶解パラ
メータにより影響されるため,膜の異なる孔径を作成す
るべくナイロンを溶解させながら,ドープ内の溶剤と不
溶剤を変化させずに温度の効果を調べる試験が行われ
た。特に,温度によって変化するナイロン溶解効果が生
成後の膜の加水安定性とどのような関係にあるかが評価
され,その結果が以下の表8に示されている。
たナイロン膜は概して大きな流量のより大きな孔を有し
かつ少し強度が低いが,これらの膜の加水分解安定性に
関しては概してこれまでのデータと一致しており,すな
わちオリジナルのナイロン原料内に十分大量のアミノ末
端基を有する膜は少量のアミノ末端基を含む膜と同じよ
うには簡単に分解しないということがわかった。
によるナイロン膜は少量のアミノ末端基を含むナイロン
から生成された従来のナイロン膜に比べ改良された加水
分解安定性を有することが明白となった。さらに,ここ
に開示された生成方法は加水分解安定ナイロン膜を生成
する際に非常に効果的である。本願発明の膜は濾過の応
用分野に対し,フィルターカートリッジ用の膜として特
に適しているが,それに限定するつもりはない。本願発
明の膜及び方法は他の付属品及び方法とともに別々に使
用することができ,また食品及び飲料,医薬及びエレク
トロニクス産業の分野の応用に対し特に有用である。
性下で再使用可能性及び安定性が要求されるような転写
吸い取り膜として採用されうる。本願発明の膜はまた他
の応用に対し修正することも可能である。
とも約0.9モルのアミノ末端基を有するナイロンの選択
及び利用に関して説明されてきたが,重合反応を停止さ
せるべく加えられた化学物質に依存して他の末端基で終
端されたナイロンから加水分解安定性を得ることが可能
である。他の末端基が膜生成中に活性の損失の無いフリ
ーラジカルスカベンジャのような活性をもたらすところ
で,加水分解安定性もまた示される。そのような方法に
おいて,安定化末端基はポリマー分子の一部であってフ
ィルターを汚染する膜から分離可能な保護コーティング
または付加物ではないため,生成ナイロン膜はCFRに許
容される。
ミノ末端基含有量を有する膜を形成するナイロンに関し
て説明されてきた。加水分解安定膜を与えるための混合
物を形成するべく2つまたはそれ以上のナイロンを結合
することもまた可能である。適当な混合可能ナイロンポ
リマーは多量のアミノ末端基を有する低分子量ナイロン
と少量のアミノ末端基を有する高分子量のナイロンを含
み,混合物は加水分解安定性を与えるべく多量のアミノ
末端基を含む十分な量のナイロンポリマーを含む。ある
混合物は液体混合により生成され,また他の混合物は選
択ナイロンのタイプにより溶解混合または機械的混合に
より生成されうる。唯一の制限は選択されたナイロンが
所望のフィルター応用に適しているということである。
び使用方法が上記目的を達成することが明らかとなっ
た。したがって,請求の範囲に記載された発明の思想の
範囲でさまざまな修正が可能であり,その範囲から離れ
ることなく特定のコンポーネントエレメントを選択する
ことができることがわかる。特に,本願発明に従う膜は
特定の膜厚,多孔度,若しくは孔径を有するものに,ま
たは特定のナイロン固体のドープから生成されるものに
限定されない。さらに,膜及びカートリッジを形成する
ための他の装置及び道具と,ここに開示されたものを取
り替えることも可能である。したがって,本願の態様は
請求の範囲に記載された発明の思想の範囲内ですべての
修正及び変更を含むものである。
Claims (26)
- 【請求項1】加水分解安定ナイロン膜を生成する方法で
あって、 ナイロン1モルに対し少なくとも0.9モルのアミノ末端
基を有するナイロンを与える工程と、 該ナイロンを膜に加工する工程と、 から成る方法。 - 【請求項2】請求項1に記載の方法であって、前記ナイ
ロンはナイロン1モルに対し少なくとも1.3モルのアミ
ノ末端基を有する、 ところの方法。 - 【請求項3】請求項1に記載の方法であって、前記ナイ
ロンはナイロン1モルに対し1.7モル以上のアミノ末端
基を有する、 ところの方法。 - 【請求項4】請求項1に記載の方法であって、前記ナイ
ロンから生成された前記膜は、120℃の飽和蒸気内で20
時間以上の圧力釜サイクルを繰り返した後でも、加水分
解安定のままである、 ところの方法。 - 【請求項5】請求項1に記載の方法であって、前記ナイ
ロンから生成された前記膜は、80℃の熱湯流で200時間
以上のサイクルを繰り返した後でも、加水分解安定のま
まである、 ところの方法。 - 【請求項6】請求項1に記載の方法であって、前記膜に
加工する工程が、前記ナイロンを溶液中で溶解させる工
程と、 微孔膜を形成するべく前記溶液を冷却液内に注ぐ工程
と、 から成るところの方法。 - 【請求項7】請求項6に記載の方法であって、前記溶液
はギ酸及びメタノールの混合液から成り、前記冷却水は
メタノール、水、及びギ酸から成る、 ところの方法。 - 【請求項8】請求項6に記載の方法であって、前記膜加
工工程は、さらに0.01〜2ミクロンの範囲の孔径を有す
る膜を形成するべく前記微孔膜を乾燥させる工程を含
む、 ところの方法。 - 【請求項9】フィルターカートリッジを製造する方法で
あって、 ナイロン1モルに対し少なくとも0.9モルのアミノ末端
基を有するナイロンを与える工程と、 該ナイロンを膜に加工する工程と、 該膜をフィルターカートリッジに加工する工程と、 から成る方法。 - 【請求項10】請求項9に記載方法であって、前記ナイ
ロンがナイロン1モルに対し少なくとも1.3モルのアミ
ノ末端基を有する、 ところの方法。 - 【請求項11】請求項9に記載の方法であって、前記ナ
イロンがナイロン1モルに対し1.7モル以上のアミノ末
端基を有する、 ところの方法。 - 【請求項12】請求項9に記載の方法であって、前記フ
ィルターカートリッジに加工する工程が、 前記膜をプリーツ加工する工程と、 それからカートリッジを形成する工程と、 を含むところの方法。 - 【請求項13】請求項12に記載の方法であって、前記プ
リーツ加工されたカートリッジの膜は円筒形かつ長さが
可変であり飲料及び生物学的液体を濾過するのに利用可
能である、 ところの方法。 - 【請求項14】請求項12に記載の方法であって、前記プ
リーツ加工されたカートリッジの膜は円筒形かつ長さが
可変であり薬剤液を濾過するのに利用可能である、 ところの方法。 - 【請求項15】請求項12に記載の方法であって、前記プ
リーツ加工されたカートリッジの膜は円筒形かつ長さが
可変であり電子部品の製造に関する液体を濾過するのに
利用可能である、 ところの方法。 - 【請求項16】請求項9に記載の方法であって、分子解
離を起こすことなく加熱または熱湯により前記カートリ
ッジの膜を消毒しかつ滅菌する工程をさらに含む、 ところの方法。 - 【請求項17】液体を濾過する方法であって、 ナイロン1モルに対し少なくとも0.9モルのアミノ末端
基を有するナイロンから製造されたナイロン膜を与える
工程と、 該ナイロン膜に液体を通過させる工程と、 から成る方法。 - 【請求項18】請求項17に記載の液体を濾過する方法で
あって、前記液体は、飲料水、生物学的液体、薬剤液及
び電子部品製造に関する液体から選択されたグループか
ら選ばれる、 ところの方法。 - 【請求項19】請求項17に記載の液体を濾過する方法で
あって、前記ナイロン膜はプリーツ加工されカートリッ
ジに形成される、 ところの方法。 - 【請求項20】加水分解安定ナイロン膜であって、 ナイロン1モルに対し1.3モル以上のアミノ末端基を有
するナイロンであって、その膜は分子解離を起こすこと
なく圧力釜及び/または熱湯滅菌に耐えうるところのナ
イロンから成る、 ところのナイロン膜。 - 【請求項21】請求項20に記載の加水分解安定ナイロン
膜であって、前記ナイロンがナイロン1モルに対し1.7
モル以上のアミノ末端基を有する、 ところのナイロン膜。 - 【請求項22】請求項20に記載の加水分解安定ナイロン
膜であって、前記ナイロンから製造された前記膜は、12
0℃の飽和蒸気内で20時間以上の圧力釜サイクルを繰り
返した後でも、加水分解安定のままである、 ところのナイロン膜。 - 【請求項23】請求項20に記載の加水分解安定ナイロン
膜であって、前記ナイロンから生成された前記膜は、80
℃の熱湯流で少なくとも200時間のサイクルを繰り返し
た後でも、加水分解安定のままである、 ところのナイロン膜。 - 【請求項24】請求項20に記載のナイロン膜から形成さ
れたフィルターカートリッジ。 - 【請求項25】請求項24に記載のフィルターカートリッ
ジであって、前記ナイロン膜がプリーツ加工される、 ところのフィルターカートリッジ。 - 【請求項26】請求項24に記載のフィルターカートリッ
ジであって、前記カートリッジは円筒形である、 ところのフィルターカートリッジ。
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