JP3348074B2 - 湿式集塵機 - Google Patents

湿式集塵機

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JP3348074B2
JP3348074B2 JP2000125255A JP2000125255A JP3348074B2 JP 3348074 B2 JP3348074 B2 JP 3348074B2 JP 2000125255 A JP2000125255 A JP 2000125255A JP 2000125255 A JP2000125255 A JP 2000125255A JP 3348074 B2 JP3348074 B2 JP 3348074B2
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忠義 原田
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株式会社赤松電機製作所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工場で発生する微
細粉塵やミスト、あるいは溶接ブースで発生する溶接ヒ
ュームなど、各種作業機器周りで発生するオイルミスト
や油煙、溶接ヒュームのように、気体や蒸気中に何等か
の微細混合物を含んで、全体としては気相を呈する流体
(以下、本明細書中では「気相流体」と呼称する。)を
処理対象として、その気相流体中から塵埃を除去するた
めの湿式集塵機の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にこの種の気相流体を処理する集塵
機としては、乾式タイプと湿式タイプとの2形態がある
ことは従来より知られている。このうち、乾式タイプの
ものでは、処理対象の気相流体が溶接ヒュームのよう
に、油煙や微細塵埃とともに火の粉を含む状態の気体で
ある場合に、集塵機内での火災発生を招く可能性が高く
なるため、その防火のための手段を種々講じる必要があ
る。本発明が対象とする湿式の集塵機では、このような
火災発生のおそれを回避し易い点で有利である。この種
の湿式集塵機としては、従来より、図17,18に示す
概念図から明らかなように、フィルターによる除塵工程
の前に、高圧シャワーによる気液接触部で気相流体から
塵埃等を除去する工程があるもの〔図17参照〕、ある
いは、フィルターによる除塵工程の前に、処理対象の気
相流体を水中に浸漬させて、水中で気液接触させること
で塵埃等を除去するようにしたものがある〔図18参
照〕。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような湿式の集塵
機では、当然ながら乾式の集塵機が有する欠点、つま
り、処理対象の気相流体が、例えば、溶接物に防錆油等
が塗布されている状況下で発生した非常に粘性のある溶
接ヒュームなどのように乾燥粉塵でない場合に、集塵用
フィルターの目詰まりが早く、また塵払いの機構が有効
に働かなくなるという傾向を避ける上で有効である。ま
た、湿式であることにより、乾式の集塵機に比べては火
の粉を含む溶接ヒュームなどが火種となって火災が発生
する可能性を低くする上でも有効である。しかしなが
ら、その反面で、この種の湿式の集塵機は、図17に示
した前者の従来技術では、高圧のシャワーで大量の水を
噴射する割に、気液の接触面積及び時間が僅かであり、
この気液接触を十分に行わせるにはさらに大量の給水を
要する不都合、ならびに、その水の後処理にもコストが
かかる不都合がある。また、湿式集塵機では取りきれな
い微細粉塵を捕捉するために、水処理後にフィルターで
除塵処理しようとすると、フィルターに水がかからない
ように、相当な距離をおいて配設するなどの構成があ
り、装置の大型化を招くおそれがある。そして、図18
に示した後者の従来技術のように、処理対象の気相流体
を水中に浸漬させて供給する構造においては、気液の接
触を確実にかつ比較的長く行える利点がある反面、処理
対象の気相流体中に含まれるガスによっては、これが水
と反応して有害ガス(例えば、亜硫酸ガスや塩素ガスな
ど)を生じるおそれがある。その結果、供給水を循環さ
せて長時間使用すると、有害ガス濃度が無視できないレ
ベルに達するおそれがあるため、供給水を長期間循環使
用することができず、やはり大量の給水による処理を行
う必要があった。このように、湿式の集塵機は、乾式の
ものにはない有効な利点を有する反面、大量の水を使用
するため、除塵処理後の水処理あるいは有害ガスの処理
が必要になるばかりか、装置全体が大がかりなものとな
り易い傾向がある。さらにまた、別の従来技術として、
散水装置や衝突板をサイクロン集塵機と組み合わせて高
い集塵効率を有したベンチュリスクラバー方式による集
塵機もあるが、この場合には、混相流であるため圧損が
高く300Pa以上必要であり、また、高圧で粉塵を含
むエアーを吸引させなければならないため、送風機部分
も大きくなる。このため、装置全体がより一層大型化
し、また、ランニングコストも高くなく欠点がある。
【0004】本発明の目的は、湿式の集塵機が本来備え
ている利点を活かしながら、その欠点である大量の給水
が必要である点や、装置全体が大がかりなものとなるこ
とを回避し得た集塵機を提供することである。
【0005】
〔請求項1にかかる発明〕
請求項1にかかる発明では、ケーシング内に処理対象の
気相流体が流動する処理経路を備え、その処理経路内で
気相流体を水と接触させる気液接触部と、気液接触させ
た後の気相流体を通過させるフィルター処理部とを設け
て、通過気相流体中の微細塵埃を除去処理する湿式集塵
機において、前記気液接触部を、前記ケーシングに設け
た吸入口から吸い込まれた処理対象の気相流体の流路に
臨ませて気相流体が衝突するように位置させた衝突プレ
ートと、気相流体の流れ方向で衝突プレートの前面に向
かう吸引風の流路に水を供給する給水部と、前記衝突プ
レートの背面側に離れた位置で気相流体の流路を前記衝
突プレートの外径よりも小さくなるように絞る絞り部と
から構成し、前記衝突プレートは、前記吸入口に対向す
る前面側に、給水部から供給された水を受け止めて衝突
プレートの中心部から放射方向に向けながら前方へ戻す
ように案内する碗状の二次曲面に形成された案内面を設
けることにより、案内面に水膜を形成するように構成さ
れていることに特徴がある。
【0006】上記の技術手段を講じたことによる作用は
次の通りである。すなわち、ケーシング内における気相
流体の処理経路中に、気液接触部と、フィルター処理部
とを設けるにあたり、気液接触部で吸入口から絞り部に
至る気相流体の流路に臨ませて、気相流体が衝突するよ
うに衝突プレートを位置させ、この衝突プレートの前面
に向かう吸引風の流路に給水部からの水を供給するとと
もに、衝突プレートでは、給水部から供給された水を受
け止めて衝突プレートの中心部から放射方向に向けなが
ら前方へ戻すように案内する碗状の二次曲面に形成され
た案内面を設けてあるので、その案内面のほぼ全域に水
膜が形成される。そして、気相流体は、前記衝突プレー
トに形成された水膜に沿う状態で、衝突プレートの案内
面の中央部から放射方向に移動し、この間、気液接触状
態に維持されることになる。つまり、衝突プレートの案
内面には、そのほぼ全面に水膜が形成されているので、
その案内面の中心部から外周縁に至る放射方向の距離、
すなわち衝突プレートの半径に相当する距離だけ、水膜
に接触しながら気相流体が移動する状態となり、この距
離は、例えば、高圧のシャワーを横切る方向で移動する
場合における気相流体の気液接触距離に比べてかなり大
きな距離を稼ぐことができる。そのうえ、このように大
きな気液接触距離を得られるものでありながら、給水部
における給水量は、衝突プレートの案内面に薄い水膜が
形成される程度の僅かな量で済み、供給水量当たりの気
液接触度合を極めて高く維持することができる。その結
果、このように通風量に対する給水量が僅かであること
により、気相流体の気液接触処理に用いられる水は、あ
えて、後処理のために取り出す必要なく自然蒸発により
消失するので、その消失分を補充する程度の給水を行う
だけで連続運転が可能となる。
【0007】〔請求項2にかかる発明〕 前記湿式集塵機としては、請求項2に示すように、衝突
プレートの案内面は、その中心部から放射方向に向けて
案内面を伝って移動する水膜の移動軌跡が、断面視で
物線を描くように構成されているものを採用すると良
い。
【0008】請求項2に示すように、衝突プレートの案
内面を、その中心部から放射方向に向けて案内面を伝っ
て移動する水膜の移動軌跡が、断面視で放物線を描くよ
うに構成されているものを採用すると、給水部から供給
された水が、案内面の中央部から放射方向に向けて拡が
る際に、周方向で均一な拡がり傾向をもって万遍なく放
射方向に移動し易い。つまり、単なる扁平板や球面に比
べ、案内面が放物線断面である場合には、案内面の中央
部に衝突した水が、その後に放射方向へ拡がる際の水の
移動速度の変化率と、案内面面積の増加率との関係が近
似的な傾向を有することによって、水の拡がりをスムー
スに、かつ、面積当たりの水量に過不足がないように水
量調節されながら拡がるものと思われる。このことによ
り、途切れのない水膜の形成が可能になる。
【0009】〔請求項3にかかる発明〕前記湿式集塵機
としては、請求項3に示すように、給水部は、自然流下
状態で給水し、吸引風の風圧で供給水が衝突プレートの
中心部に向けられるように、その流下供給位置ならびに
給水量を設定して構成すると良い。
【0010】請求項3に示すように、給水部は、自然流
下状態で給水し、吸引風の風圧で供給水が衝突プレート
の中心部に向けられるように、その流下供給位置ならび
に給水量を設定して構成されている。したがって、衝突
プレート面に対する供給水の供給条件が、吸引風の風速
変化などの影響を受け難く、ムラの少ない拡散が行われ
やすい。つまり、給水部からの給水段階で予め広範囲に
散布されるように分散させて給水すると、個々の給水箇
所あたりの水量は必然的に少なくなり、個々の給水箇所
での水柱が細くなる。この状態で風速の変化や、吸入口
での吸入部位における吸引風量の偏りが生じたりする
と、風の影響を受けて衝突プレートに到達するまでの供
給水の拡散方向が一定せず、分散状況にバラツキがでや
すくなる傾向がある。これに比べて、本発明のように自
然流下状態でまとめて中央部分に給水すると、衝突プレ
ート案内面の中央部に到達するまでの間における水量が
増し水柱が太くなるので、風の影響を受けにくくなる。
また、供給水に強い噴射圧を与えて供給すると、衝突プ
レートの案内面に対する供給水の衝突に際して、噴射圧
によって加速された供給水は、衝突時に跳ね返り方向へ
の力が生じたり、拡がり時の初期速度が速くなり過ぎ
て、案内面周方向にムラなく拡がり難いものであるが、
本発明では自然流下状態で供給するものであるため、噴
射圧を与えて供給する場合に比べて、案内面への衝突に
よる水の跳ね返りが生じ難く、案内面中央部から放射方
向への供給水の拡散がスムースに行われる。そして、自
然流下状態で供給された水でありながら、吸引圧で衝突
プレート側へ引き寄せられ、そののち前記放物線を描く
案内面で案内されると、衝突プレートの中央部から外周
縁側へ移行するほど案内面上での水の移動速度は次第に
加速され、外周縁から離れる際の水の速度を増してケー
シング前壁への水(粉塵を含む)の衝突を確実に行わ
せ、これによって、気体と水及び粉塵との分離を促進
し、効果的な気液接触後の気水分離作用、ならびに粉塵
除去作用が行われる。また、衝突プレートの外周縁から
離れる際の水の速度を増して、ケーシング前壁への水が
勢いよく衝突すると、そのケーシング前壁を流れる水と
前記衝突プレート外周縁を離れた水とは激しくぶつかり
あって、そこにマイナスイオンが発生する可能性があ
る。このマイナスイオンは、最終的には排気部から清浄
気体とともに排出されるものであり、これが周辺で作業
する作業者に対する環境改善や静電気除去のために役立
つことにもなる。
【0011】〔請求項4にかかる発明〕前記湿式集塵機
としては、請求項4に示すように、絞り部は、衝突プレ
ートの背面との間に間隔を隔てて設けた支持板の中央部
に、衝突プレート径よりも小径の通気孔を形成すること
によって構成されている。
【0012】請求項4に示すように、衝突プレートの背
面との間に間隔を隔てて設けた支持板の中央部に、衝突
プレート径よりも小径の通気孔を形成することによって
絞り部を構成しているので、吸引風による吸引作用を衝
突プレートの案内面の周縁部の全体にほぼ均等に作用さ
せている。その結果、衝突プレートの案内面上での水膜
の案内を、周方向での部分的な偏りによる水膜の途切れ
が生じ難い状態での良好な拡散を行い易く構成してい
る。しかも、支持板は衝突プレートの支持部材を兼ねて
いるので、構成部材の兼用による構造の簡素化が図られ
ている。
【0013】〔請求項5にかかる発明〕前記湿式集塵機
としては、請求項5に示すように、気液接触部は、衝突
プレートの案内面と、その衝突プレート及び絞り部より
も気相流体流動方向での下手側位置で、気相流体を上下
方向ならびに左右方向へ拡散させるように通気流路の案
内面が形成された格子状ルーバーフィルターとで構成さ
れている。
【0014】請求項5に示すように、気液接触部は、衝
突プレートの案内面と、その衝突プレート及び絞り部よ
りも気相流体流動方向での下手側位置で、気相流体を上
下方向ならびに左右方向へ拡散させるように通気流路の
案内面が形成された格子状ルーバーフィルターとを備え
て構成されている。つまり、前記衝突プレートの案内面
で、途切れのない水膜による確実な気液接触を行わせる
とともに、一旦絞られた吸引風に含まれる気相流体を、
格子状のルーバーフィルターを通過させることで、強制
的に拡散させながらその吸引風に含まれる多くの水分と
再度接触させることになり、さらなる気液接触と、その
気相流体中に含まれる水分の分離とが行われる。
【0015】〔請求項6にかかる発明〕前記湿式集塵機
としては、請求項6に示すように、フィルター処理部で
は、気液接触部から供給されてきた気相流体をフィルタ
ー設置箇所に到達する前に下向きに案内する水返しボッ
クスを設け、この水返しボックスを、気液接触部から供
給される気相流体の流れを下向きに案内する幅狭の下向
き筒部と、その下向き筒部の下端よりも下位で気相流体
を下向きに案内する下端スカート部とで構成し、前記下
端スカート部を、前記下向き筒部の下端よりも幅広に形
成し、かつ、その下端スカート部の下端がフィルター処
理部に設置されているフィルター底面よりも下方に位置
するように水返しボックスを延設してある。
【0016】請求項6に示すように、フィルター処理部
では、気液接触部から供給される気相流体の流れを下向
きに案内する幅狭の下向き筒部と、その下向き筒部の下
端よりも下位で気相流体を下向きに案内する下端スカー
ト部とで水返しボックスを構成し、前記下端スカート部
を、前記下向き筒部の下端よりも幅広に形成し、かつ、
その下端スカート部の下端がフィルター処理部に設置さ
れている除塵用のフィルターの底面部分よりも下方に位
置するように水返しボックスを延設してある。このよう
に、水返しボックスを、幅狭の下向き筒部と、その下端
よりも幅広に形成した下端スカート部とで構成している
ので、フィルター処理部内でのフィルターや、フィルタ
ー処理部の側壁に対する水滴の付着を避けやすい。つま
り、水返しボックスは、気液接触部側から吸い込んだ気
相流体をフィルター処理部の室内に幅広く分散させて後
工程のフィルターによる除塵を行う目的で、その通過路
の幅寸法を比較的左右方向で幅広く構成されるものであ
る。この水返しボックスを、同一断面形状の単なる筒状
体で形成し、その最下端の開口をフィルター処理部室内
の幅程度に設定していると、水返しボックスの内壁面を
伝って下端開口から離脱しようとする水滴が、吸引風に
乗って直接フィルターに吸い込まれたり、一旦フィルタ
ー処理室の側壁部に付着した後に再度飛散してフィルタ
ーに吸い込まれるおそれがある。これに比べて、請求項
6にかかる発明では、前述のように、水返しボックス
を、幅狭の下向き筒部と、その幅狭の下向き筒部の下端
よりも幅広に形成した下端スカート部との組合せで構成
したので、下向き筒部の下端はフィルター処理部の側壁
からは離れて位置し、しかも、その下向き筒部下端より
も外側に下端スカート部が位置しているので、下向き筒
部下端から離散しようとする水滴は、フィルター処理部
の底面側へ脱落、もしくは下向き筒部よりも外側に位置
する下端開口端部の内面に拡散しながら付着し、フィル
ター側及びフィルター処理部の側壁側への移行を制限さ
れる。
【0017】〔請求項7にかかる発明〕前記湿式集塵機
としては、請求項7に示すように、給水部における揚水
ポンプから注水口への流路途中に、給水が連続的に行わ
れているか否かを検出する検出装置として、揚水レベル
の増減を検出するフローセンサーを設け、このフローセ
ンサーが揚水レベルが所定量以下に低下を検出したこと
の検出結果によって、揚水ポンプ及び吸引風の起風手段
の作動停止を行うように構成するとよい。
【0018】請求項7に記載のように、給水が連続的に
行われているか否かを検出する検出装置として、給水部
における揚水ポンプから注水口への流路途中で揚水レベ
ルの増減を検出するフローセンサーを設け、このフロー
センサーの検出結果に基づいて、揚水ポンプ及び吸引風
の起風手段の作動停止を行うように構成すると、貯水タ
ンク部での液量が十分に存在していても、実際に注水口
に水が供給されているか否かを確実に検出することがで
きる。したがって、ポンプ部分でのエアーがみなどで揚
水が行われないような状態をも早期に検出できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面の記載に基づいて説明する。 〔集塵機の全体構成〕本発明の集塵機は、図1乃至図4
に示すように、ケーシング1の内部に、吸入口10から
気相流体を吸い込み、これを排出口11から排出するよ
うに、内部に気相流体の気流を生じさせるための起風手
段80を備え、かつ、気相流体を通過させる途中で塵埃
を除去処理する処理経路を備えたものである。上記処理
経路には、吸入口10から吸引導入された気相流体を処
理経路内で水と接触させる気液接触部2と、気液接触さ
せた後の気相流体を通過させることにより気相流体中の
微細塵埃を捕捉するフィルター処理部6とを設けてあ
り、これらの気液接触部2およびフィルター処理部6を
通過させて、気相流体中の微細塵埃を除去処理した後に
排出口11からケーシング1外へ排出するように構成し
てある。前記ケーシング1は縦長の箱状に形成され、下
部位置で前記吸入口10を備えた下部室12と、上部位
置で排出口11を備えた上部室14と、中間位置でファ
イナルフィルター70を内装した中間部室13とが内部
に構成されている。
【0020】〔気液接触部の構成〕気液接触部2は、図
2,5に示すように、ケーシング1の下部室12におい
て、前記吸入口10に連なる入り口側空間に設けられて
いる。この気液接触部2では、吸入口10から吸い込ま
れ、絞り部24を通して後の処理工程へ移行する処理対
象の気相流体の流路にほぼ直交する状態に臨ませて、気
相流体のほぼ全量が衝突するように、吸入口10の内径
よりも大径の金属製の衝突プレート20が設けられ、こ
の衝突プレート20箇所よりも気相流体の流れ方向での
上手側位置に、衝突プレート20の前面に向かう吸引風
の流路に水を供給する給水部30が設けられ、前記衝突
プレート20の背面側に離れた位置に、気相流体の流路
を前記衝突プレート20の外径よりも小さくなるように
絞る絞り部24が設けられている。
【0021】<衝突プレート>前記衝突プレート20
は、前記吸入口10に対向する前面側に、給水部30か
ら供給された水を受け止めて衝突プレート20の中心部
から放射方向に向けて案内するように凹曲した形状の案
内面21を備えている。この案内面21は、図6に示す
ように、断面視で中心部から外周縁近くに至る曲面が、
単なる円弧ではなく、中心部では曲率が小さく、周縁に
近くなるほど曲率が増大する放物線、もしくはこれに近
い曲線を描くように形成されている。一例を示せば、ボ
イラー缶などの圧力容器の鏡面の曲率と同じ曲率の曲
線、もしくはこれに近い曲線が好ましく、このように案
内面21の曲率を設定することで、案内面21のほぼ全
域に途切れのない水膜を形成するように構成されてい
る。また、案内面21の周縁には、衝突プレート20の
中心線pとほぼ平行な短い立ち上がり壁22が連設され
ている。この立ち上がり壁22は、案内面21の最外周
縁箇所での曲率の変化度合いを部分的に高め、最外周縁
に達した水がそのまま無制限に放射方向に飛散すること
を抑制し、かつ、ケーシング1の下部室12の前壁に向
けて水の飛散方向を案内している。この立ち上がり壁2
2部分は、前記最外周縁に達した水、粉塵、エアーの方
向性を決定するものであるから、衝突プレート20の径
にはあまり関係なく立ち上がり寸法を定めることができ
る。ただし、他の条件にはあまり影響を及ぼさないよう
に極端に長く設定すべきではない。実際には10〜20
mm、好ましくは15mm程度に定めておくのがよい。この
ように、最外周縁に達した水、粉塵、エアーの方向性を
決定付けるとともに、最外周縁箇所での放射方向への水
の飛散を少し抑制することで、放射方向に拡散しようと
する水が、周方向で最も抵抗の少ない部分から集中的に
多く飛散してしまう状態となることを避け、案内面21
の全域において万遍なく水膜が形成され易くなる。ま
た、この立ち上がり壁22が存在することで、きわめて
僅かな加工精度のバラツキで大きな影響を受けやすい供
給水の拡散ムラを抑制することができる。換言すれば、
ある程度の加工精度のバラツキを許した加工も可能とな
り、製作加工コストの低減に有効である。しかも、立ち
上がり壁22が、案内面21の周縁に達した水及び気相
流体をケーシング1の下部室12前壁側へ案内し、前壁
に衝突させるので、気相流体と水との分離を促進し、か
つ、水に含まれている粉塵等が、前壁を伝って水ととも
に流下し、貯水タンク部34に回収される。つまり、後
述するように自然流下状態で供給された水は、吸引圧で
衝突プレート20側へ引き寄せられ、そののち前記放物
線を描く案内面21で案内されると、衝突プレート20
の中央部から外周縁側へ移行するほど案内面21上での
水の移動速度は次第に加速され、外周縁から離れる際の
水の速度を増してケーシング前壁へ衝突する。このと
き、図5に小さな丸い粒で図示したように、吸い込み気
体に含まれる塵埃は、水とともに衝突プレート20の案
内面21に沿って中央部から外周縁側に向けて流れ、加
速されてケーシング1の前壁に衝突し、気体から分離し
て水とともに前壁を伝って流下し、回収される。このよ
うに、衝突プレート20が、その案内面21の全域にわ
たってムラのない状態で水が流れるように構成されてい
ることは、上述のように気液接触面の確保や、前壁との
衝突による気液分離に有効に作用するのみならず、メン
テナンス性の向上にも有効である。つまり、例えば案内
面21の一部に水の流れ難い部分が生じると、その部位
に、水とともに流動する粉塵が付着堆積して、さらに水
の流れ難い範囲が拡がり、気液接触面積の減少を招くお
それがあり、そのような粉塵の付着を取り除くための保
守作業が頻繁に必要となるが、本発明では、そもそもそ
のような水の流れの生じ難い部分を生じさせずに気液接
触を行うことができる。
【0022】この衝突プレート20の曲面の設定方法に
ついての一例を、図11乃至図13に基づいて説明す
る。水の膜を案内面21の全体に張るためには、衝突プ
レート20の案内面21に吹き付けられる風によって案
内される供給水が、衝突プレート20で跳ね返ることな
く案内面21に沿って流れていくことが望ましい。この
衝突プレート20の案内面21となる曲面を算出決定す
る基本としたのが圧力容器に使用するサラ形の鏡板であ
り、高い内圧を受けて大きく塑性変形を起こすと、その
変形した子午線は楕円形に近くなるという事実である。
図11は、3中心曲線よりなる近似楕円形の求め方であ
る。図中、aは衝突プレートの半径、bは衝突プレート
の深さである。長方形ABCDの対角線ACを引き、∠
BAC及び∠BCAをそれぞれ二等分する直線AF及び
CFを引き、その交点をFとする。Fより直線ACに垂
線を下ろし直線ADとの交点Eとし、さらに延長し直線
CDとの交点をOとする。求めた交点E及びOを中心と
して、円弧AF及びFCを描く。上記のように、図11
の方法で近似楕円形のサラ形鏡板の形状を求めることで
きるが、a,bの組合せは無数に存在する(図12参
照)。衝突するエアーや水(粉塵を含む)の衝突する力
を案内面に沿う方向に分散させる機能は、サラ形鏡板の
a,b値によって変化する。実験の結果、サラ形の鏡板
の径を固定して曲面部高さを変化させたとき、多様な要
素はあるが、前記a,bの値は、次式 (a/3)<b<(a/1.7) を満たす関係に設定することにより、案内面21のほぼ
全域に水膜を形成することが可能である。尚、好ましく
は、次式 (a/2.5)<b<(a/2) の範囲(図12における塗りつぶし範囲)に設定してお
くと、案内面21のほぼ全域にわたってより良好な状態
に水膜を形成することができる。
【0023】上記のように寸法設定される衝突プレート
20と、吸入口10の口径や絞り部24の孔径との寸法
関係、及び、ケーシング下部室12の前壁との距離、給
水箇所との距離などは、ある一定の範囲に決定される。
図13に基づいて、衝突プレート20を集塵機に装備し
た状態での相関的な位置を説明する。 吸入口径、絞り部径 φQ 衝突プレート径 φ2a 衝突プレート曲面部深さ b 本体前壁と衝突プレート端面との距離 C 給水箇所中心と衝突プレート底面との距離 D 衝突プレートの立ち上がり部寸法 h 衝突プレート全体の高さ B
【0024】まず、吸入口10の口径φQと絞り部24
の孔径φQとは同一寸法に形成されている。そして、こ
の寸法φQと衝突プレート20の外径φ2aとの寸法比
は、実験の結果、次式 φ1.4Q≦φ2a≦φ2Q の範囲に設定する。吸入口10に対して衝突プレート2
0の外径が小さすぎると、エアー(水、粉塵を含む)が
衝突プレート20の表面に接触せず、背面に回り込む状
態となるので集塵効率が落ち、逆に、大きすぎると、エ
アーと、水及び粉塵との分離が不十分になるので、上記
の範囲に設定するのが望ましい。
【0025】上記衝突プレート20の端縁とケーシング
1の下部室12前壁との間隔C(図13(イ)において
衝突プレート20の前側における塗りつぶし部分の前後
幅)は次のように設定する。 吸入口面積S1=Q/2×Q/2×3.14 衝突プレート外周縁箇所の円柱状空間面積S2=2a×
3.14×C であるとき、 S1≦S2 の関係、つまり、 (Q/2)×(Q/2)×3.14≦2a×3.14×C C≧Q2/8a となるように設定するのが望ましい。上記計算式では、
衝突プレート20の端縁とケーシング1の下部室12前
壁との間隔Cの下限だけが求められることになるが、衝
突プレート20をケーシング1前壁から離し過ぎると、
前述した吸入口10及び絞り部と衝突プレート20との
寸法比を小さすぎた場合と同様に、エアー(水、粉塵を
含んだ状態)が衝突プレート20に当たらずに後ろに逃
げてしまうので、上記Cの距離の上限は、吸入口10か
ら吸入されたエアーが衝突プレート10の案内面に到達
し、なおかつ衝突プレート20より離れた水を含有した
エアーが正面のケース前壁に確実に衝突する範囲に設定
するのが望ましい。このように前記間隔Cを設定する
と、吸引風の圧損少なく効果的な気液接触を行い易く、
また、衝突プレート20から離れた水(粉塵を含む)
が、ケーシング1前壁との衝突によって、エアーと分離
するのに好都合である。
【0026】<支持板>前記衝突プレート20の背面側
には支持板25が設けられている。この支持板25は、
ケーシング1の下部室12に衝突プレート20を取付固
定するための支持部材であり、衝突プレート20の周辺
部との間を複数本のステー26で連結してあると共に、
中央部に、気相流体の流路を前記衝突プレート20の外
径よりも小さくなるように絞る絞り部24としての円形
孔を備えている。前記支持板25は、ケーシング1の下
部室内面の天井部分と床部分との両方に設けられたガイ
ド溝27に対して、気相流体の流路を横切る方向で抜き
差し自在に、かつ、上下端辺部分をガイド溝27に係合
させた状態で連結ボルト28により締め付け固定される
ように構成されている。
【0027】次に、衝突プレート20の外径と絞り部2
4の孔径との関係について説明する。図13に示すよう
に、衝突プレート20の中心線pと一致する中心線を有
した円形孔でかつ、吸入口10の内径と同程度の径を有
した絞り部24を設けてある。この絞り部24の孔径φ
Qと衝突プレート20の外径φ2aとの関係は、実験の
結果、次式が成り立つように構成するのがよい。 φ1.4Q≦φ2a≦φ2Q この式から外れて、絞り部24の孔径を衝突プレート2
0の外径に対して大きくしすぎると、エアー(水・粉塵
を含む)が衝突プレート表面に接触せずに背面に回り、
集塵効果が落ち、逆に小さくしすぎると衝突プレート2
0の周縁でのエアーと水の分離が不十分になる傾向があ
る。
【0028】<給水部>前記衝突プレート20の前面側
には、その衝突プレート20の前面に向かう吸引風の流
路に水を供給するための給水部30が設けられている。
この給水部30は、ケーシング1に設けられている吸入
口10のケーシング1内部側で吸入口10の周辺近くに
位置させた注水口31によって構成される。この注水口
31では、特に吐出圧を掛けて水を噴射するのではな
く、ほぼ大気圧下で、注水口31から自然流下状態で水
を吐出するように、かつ、流下する吐出水が気相流体の
吸引圧によって気相流体の流れ方向に沿うように向きを
変えられ、衝突プレート20の中心部に到達するように
構成してある。
【0029】次に、衝突プレート20の案内面21と給
水部30の注水口31との位置関係について説明する。
図13(イ)及び(ロ)に示すように、吸い込みエアー
によって衝突プレート20の中央に注水口31からの供
給水が当たることが水膜を形成する必要条件であるか
ら、ノズルの注水口31位置は下記のようにして求めら
れる。 吸入口での気体速度 f(m /sec ) 注水口での給水初速 g(m /sec ) 注水口から衝突プレート案内面までの水平距離 D 衝突プレート中心からの注水口の偏心量 E とした場合、 E:D=g:f E・f=D・g E=D・g/f D=E・f/g 上記のようにして、前記水平距離D及び偏心量Eを求め
ることができる。実験の結果、注水口31からの水の噴
出勢いを抑えた状態にして行ったときの水を拡散させる
ことができる最低風速fは、6m /sec (その他の条件
を変化させて行ったとき)であった。
【0030】次に、衝突プレート20の案内面21上に
水膜を形成するための必要最低水量について説明する。
算出方法は、衝突プレート20の案内面上に常にどの程
度の膜厚の水膜を形成するかという点に着目して算出す
る。図11に基づいて説明すると、給水口31と衝突プ
レート20との位置関係は 、2Rπ×(∠FOC/360)+2rπ×(∠AEF
/360) 上記の式を0〜360゜の範囲にて積分した値に水膜の
厚みtを掛けると π2(R2∠FOC+r2∠AEF)/180×t さらに上記の式を0〜60秒の範囲にて積分すると、 tπ2[ R2∠FOC+r2∠AEF)] /3 (m
3 ) となる。 tπ2[ R2∠FOC+r2∠AEF)] /3×100
0-2 (リットル/min ) 以上の水を供給する必要がある。
【0031】前記注水口31に対する水の供給装置は、
ケーシング1の下部室12の下方で、前記衝突プレート
20や後述する格子状ルーバーフィルター40、及び散
水域50などの気液接触部2おける余剰滴下水を回収す
るように設けた貯水タンク部34と、その貯水タンク部
34の水を揚水して前記注水口31に供給する揚水ポン
プ35とから構成されている。上記貯水タンク部34に
は、予定される液面レベルの許容範囲を検出する液面検
出センサとして、その上限と下限とに相当する箇所に、
上下一対のフロースイッチ36,37が設けられてい
る。前記貯水タンク部34の液面近く位置には、前記衝
突プレート20や後述する格子状ルーバーフィルター4
0、及び散水域50などの気液接触部2おける余剰滴下
水を回収するに際して、その回収液に含まれる塵埃を予
め除去するための第1ダストボックス32が設けてあ
る。この第1ダストボックス32は下部室の底面に対し
て着脱自在に構成された金属製の籠体33と、籠体33
に内装された不織布などからなり、ストレーナとしての
機能を果たすことになる。
【0032】<シャワー部>前記支持板25よりも気相
流体の流れ方向での下手側におけるケーシング1の下部
室内には、支持板25の絞り部24で絞られた気相流体
を、さらにその流動方向の下手側でシャワー水と接触さ
せるための散水域50が設けられている。この散水域5
0では、下部室12の天井部に、複数本の散水管51の
途中に多数の噴射孔を形成した散水ノズル52が設けら
れ、散水ノズル52からの噴出水によるシャワーと気相
流体とが気液接触されるように構成してある。
【0033】ケーシング1内において下部室12は、上
記の給水部30、衝突プレート20、散水域50、格子
状ルーバーフィルター40からなる気液接触部2が設け
られた入り口側空間と、その入り口側空間とは仕切り壁
15を挟んで区画された奥側空間とを備えている。そし
て、その奥側空間には、後述する水返しボックス55
と、除塵用のプレフィルター60とが設けられている。
【0034】<格子状ルーバーフィルター> 前記散水域50を通過した気相流体は、さらにその流動
方向の下手側におけるケーシング1の下部室内には、支
持板25の絞り部24で一旦絞られた気相流体を、再度
流路の全域に拡散させ、かつ、衝突プレート20と散水
ノズル52とによる気液接触で気相流体中に含まれる多
量の水分を除去するための格子状ルーバーフィルター4
0が設けられている。この格子状ルーバーフィルター4
0は、図7(イ)、(ロ)に示すように、吸入された気
相流体に衝突してその気相流体の流動方向を、上下また
は左右に変化させるように、鎧板と呼ばれる多数のスリ
ットを形成した金属製のヨロイ状板材41によって多数
の傾斜した衝突面42を構成している。この鎧板は、気
相流体の流動方向を変えながら通過させる多数のスリッ
トを備えた金属製のヨロイ状板材41の複数枚(図示の
例では3枚)を、流動方向の前方から順に90度づつ向
きを変えながら、これらの複数枚のヨロイ状板材41を
ひとまとまりのものとして支持する外枠との組合せで構
成してある。これらのヨロイ状板材41の夫々は、図7
に示すように、金属製板材の板面を所定幅で一定方向に
打ち出し成形して、その板面の全体にわたって多数のス
リット状の通気孔44と前記傾斜した衝突面42となる
打ち出し突片45とを形成したものである。これらのヨ
ロイ状板材41のうち、最も前面側に位置する最前段の
ヨロイ状板材41は、これらのヨロイ状板材41を前記
外枠と一体に成形されている。そして、次段のヨロイ状
板材41が、その通気孔44の長手方向を前記最前段の
ヨロイ状板材41の通気孔44の方向に対して直交する
状態に形成され、さらに、その次の段のヨロイ状板材4
1の通気孔44が直前のヨロイ状板材41の通気孔44
に対してやはり直交するように形成されている。このヨ
ロイ状板材41の衝突面42は、ヨロイ状板材41の板
面43と、そのヨロイ状板材41のスリットを形成する
ために打ち出された打ち出し突片45が備える斜め下向
き面とで構成されている。吸入気相流体は、これらの
に衝突し、このとき流体中に浮遊して運ばれる溶接ス
パッターなどの火の粉が残存していたとしても、その
との衝突で流動方向での移動速度を低減され、失速し
て落下する、もしくは流動方向を変化させながら気液接
触状態を伴って移動することになる。さらに、気相流体
中では、衝突プレート20の外周縁から飛散した水や、
散水域50で散水された水の飛沫が混在した状態で飛散
されてくるので、結果的に気液接触とともに、格子状ル
ーバーフィルター40の洗浄も連続的に行われることに
なる。また、この格子状ルーバーを通過させることで、
気相流体の処理経路長さ方向での距離としては短い範囲
で、気相流体中の水分の約90%は分離される。
【0035】〔フィルター処理部〕前記気液接触部2を
通過した気相流体は、次にフィルター処理部6を通過す
ることによって、その気相流体中の塵埃をさらに除去処
理される。フィルター処理部6は、ケーシング1の下部
室12のうち、前記気液接触部2が設けられた入り口側
空間よりも奥側の空間に配置された除塵用のプレフィル
ター60と、これよりも上位の中間部室13に配置され
た除塵用のファイナルフィルター70との組合せで構成
されている。
【0036】前記プレフィルター60が配設された奥側
空間では、気液接触部2との仕切り壁15の上方寄りの
部分に円形の連通口16が形成され、前記入り口側空間
から連通口16を介して導かれた気相流体を下向きに案
内する水返しボックス55が設けられているとともに、
その水返しボックス55を通して流入した気相流体を通
過させながら除塵処理して上方の中間部室13へ送るよ
うにプレフィルター60が配置されている。また、前記
水返しボックス55及びプレフィルター60の下側にお
ける奥側空間の底面側は、そのほぼ全域に第2ダストボ
ックス65が載置されている。この第2ダストボックス
65は、周枠の内側に網目状の底面を形成し、その底面
の上側表面にスポンジ状吸湿体を敷設したもので、その
第2ダストボックス65を通過した水分が下方に抜け
て、第2ダストボックス65よりも下側で漏斗状に傾斜
した底面の中央部に形成された小孔からさら下方に流下
して、前記貯水タンク部34と連通する回収タンク66
に戻されるように構成されている。
【0037】<水返しボックス>この水返しボックス5
5は、図8に示すように、気液接触部2から供給される
気相流体の流れを下向きに案内する下向き筒部56と、
その下向き筒部56の下端よりも下位で気相流体をさら
に下向きに案内するように連設された下端スカート部5
7とで構成されている。前記下向き筒部56は、仕切り
壁15に形成されている連通口16と同程度、もしくは
それよりもやや広めで、かつ、奥側空間の左右幅よりは
幅狭の左右幅を有した筒状体で構成され、仕切り壁15
に溶接固定されている。そして、この下向き筒部56の
下端部には、前記下向き筒部56の下端よりも左右方向
で幅広に形成され、かつ、奥部空間の左右幅と同程度の
左右幅に設定された下端スカート部57が設けられてい
る。さらに、この下端スカート部57の下端がプレフィ
ルター60のフィルター底面よりも下方に位置するよう
に、下部室12内での位置を定めて水返しボックス55
が設けてある。このように、水返しボックス55の下端
スカート部57の左右幅を下向き筒部56の幅よりも広
く設定し、かつ、フィルター底面よりも下方に位置させ
ているのは、下向き筒部56下端から離散しようとする
水滴が、下部室12の奥側空間の側壁から離れた箇所で
底面側へ脱落、もしくは下向き筒部56の下端よりも左
右外側に位置する下端スカート部57の内面に拡散しな
がら付着した状態となるようにして、落下途中の水滴が
吸引風に乗ってプレフィルター60に直接吸い込まれた
り、フィルター処理部6の側壁に付着して再度フィルタ
ー側へ飛散する状態となることを避けるためである。
【0038】<プレフィルター>下部室12の奥側空間
で前記水返しボックス55の気相流体移動方向における
下手側には、カセットタイプの4個のプレフィルター6
0が装備されている。このプレフィルター60の夫々
は、図5及び図9に示すように、下部室12の天井壁1
7部分に設けられたガイドレール64に対して、カセッ
ト枠61上端の鍔部61aを係合させて、吊り持ち状態
に係合支持、ならびにスライド移動自在に構成されてい
る。カセット枠61は、図9に示すように、吊下げ状態
で前後方向の2面及び底面が無孔の壁であり、左右方向
の2面が格子状の通気用面として構成され、その通気用
の2面の夫々に、格子状のフィルター抑え枠62が着脱
自在に装着されている。カセット枠61の天板は、その
中央部にカセット枠61の内部空間と連通する矩形の天
井開口61bが形成されている。気相流体と接触するフ
ィルター濾材63は不織布で構成されており、前記カセ
ット枠61の格子状の通気用面の外側に、その通気用面
の格子形状と同一の格子形状のフィルター抑え枠62を
外してフィルター濾材63を挟み込むように装着し、再
度、外側からフィルター抑え枠62を装着してカセット
式のプレフィルター60が構成される。下部室12の天
井部は上下二重の壁構造を有し、天井下壁には、前記ガ
イドレール64に装着された状態の各カセット枠61の
天井開口61bに対応する箇所に通気口が形成されてい
るとともに、その通気口からカセット枠61内部に向け
て逆洗用の高圧気体を吹き込む逆洗用ノズル67が、前
記天井下壁と上壁との間に配設されている。そして、こ
の上下二重の天井壁構造の間の空間が、下部室12のプ
レフィルター60から中間部室13のファイナルフィル
ター70側への気相流体の連通路18を構成し、この連
通路18の奥側が中間部室13に開口している。このプ
レフィルター60は、処理対象の気相流体中の残留オイ
ルミスト、残留塵埃、あるいは溶接ヒュームがファイナ
ルフィルター70側へ流れ込むことを極力低減するため
のものである。
【0039】<ファイナルフィルター>このファイナル
フィルター70は、プレフィルター60よりも流路下手
側(ケーシング1内では上方側)の中間部室13に配置
されており、最終的に気相流体中に残留しているオイル
ミスト、塵埃、あるいは溶接ヒュームなどを、ほぼ完全
に除去するように設けられたものであり、いわゆるHE
PAフィルターと呼ばれる直径1ミクロン程度のきわめ
て微細な繊維で作られた布状のフィルターエレメントを
折り畳んでブック状のカセットタイプに構成してある。
このカセットタイプの個々のファイナルフィルター70
は、中間部室13内において被処理気体の流れ方向に交
差する状態で小間隔置きに多数配設されるものであり、
その外郭寸法は、中間部室13に形成される気相流体の
流路を横切る方向での流路断面積とほぼ同一寸法に形成
されている。この中間部室13は、図10に示すよう
に、前記カセットタイプの個々のファイナルフィルター
70を小間隔置きに配設するためのガイド部材71を、
その天井部と底面部とに備えるとともに、その中間部室
13の横側部の開閉側壁72の開放によって横側部を開
放可能に構成されており、その開放状態で前記ファイナ
ルフィルター70を出し入れ可能に構成してある。そし
て、この中間部室13の開閉自在な開閉側壁72は、高
強度の外装板72aの内側に、ある程度弾性変形可能な
薄板状の押さえ板72bが板バネ72cを介して装着さ
れている。このように構成された開閉側壁72を装着す
ることによって、個々のファイナルフィルター70が弾
性変形可能な前記押さえ板72bを介して弾性的に押圧
される。したがって、個々のファイナルフィルター70
の製作誤差などによって多少ファイナルフィルター70
の大きさにバラツキがあっても、確実に各ファイナルフ
ィルター70を中間部室内面に密接させた状態とするこ
とができ、気相流体の無用なショートサーキットを回避
して、効率の良い除塵効果を期待し得るものである。上
記中間部室13の天井部も上下二重の壁構造を有し、そ
の壁内部に気相流体の通路19を形成している。この通
路19は、中間部室13の気相流体流れ方向での最終箇
所にあるファイナルフィルター70とケーシング1内面
との間に連通し、ここから吸い込んだ処理済みの気相流
体を上部室14の排気部8に取り込むように構成されて
いる。
【0040】<排気部> 前記中間部室13よりも流路下手側(ケーシング内では
上側)に相当する上部室14に、処理済みの気相流体を
排出するための排気部8を設けてある。この上部室14
と前記中間部室13とは、前記中間部室13との間に形
成された通路19を介して連通され、上部室14の天井
部にはさらに上側の排出口11が連通形成されて、処理
済みの気相流体の吸引排出経路が構成されている。そし
て、前記上部室14には、吸引ファン、および、吸引フ
ァンを駆動するための電動モータからなる起風手段80
が設置されている。上部室14の内側壁面に吸音材を貼
着してあって、これが吸引排出経路の終端部において吸
引ファンや電動モータを備える起風手段80で発生する
騒音を吸音し、排出口11から漏れ出す騒音レベルの低
減に役だっている。
【0041】<逆洗手段>逆洗手段90は、逆洗用の空
気を貯留するエアータンク91と、そのエアータンク9
1に圧縮空気を供給する電動式コンプレッサー92と、
前記エアータンク91の圧縮空気を前記下部室12の天
井部における連通路18に配設されている逆洗用ノズル
67に導く導管94、及び、その途中に配設した電磁式
開閉弁95とからなる。これらは、ケーシング1の上部
外面に設けてある制御パネル100での指令スイッチ操
作に基づいて、電動式コンプレッサー92の駆動・停
止、ならびに電磁式開閉弁95の開閉操作を電気的に制
御できるように構成してある。
【0042】<制御パネル>ケーシング1の上部外壁に
設けられた制御パネル100には、上記の逆洗手段90
の操作スイッチのみなず、前記排気部8の起風手段80
の駆動・停止、ならびに前記給水部30における揚水ポ
ンプ35の駆動・停止を行うための操作スイッチも設け
られている。これらの各操作スイッチの操作に基づい
て、前述の電動式コンプレッサー92や起風手段80、
ならびに揚水ポンプ35などの作動を制御する制御装置
(図外)に操作信号が入力される。また、その制御装置
では、前記給水部のフロースイッチ36,37によって
検出される貯水タンク部34における液面レベルが許容
範囲であるときにだけ、前記起風手段80や揚水ポンプ
35を作動させ、液面レベルが許容範囲を外れたときに
は、作動中の起風手段80や揚水ポンプ35を強制停止
させ、制御パネル100の警告灯を点灯させるなど、適
宜報知手段を作動させるように構成されている。さら
に、前記制御装置に対しては、給水部30における揚水
ポンプ35から注水口31への揚水経路での給水が連続
的に行われているか否かを検出する手段からの検出信号
も入力されるように構成されている。この検出手段とし
ては、図4及び図16に示すように、給水部30におけ
る揚水ポンプ35から注水口31への揚水路38aの途
中に揚水溜め部38bを設け、この揚水溜め部38b
に、給水が連続的に行われているか否かを検出する検出
装置として、揚水レベルの増減に伴って上下位置変位す
ることにより、揚水レベルが設定範囲内にあるか否かを
検出するフローセンサー39を設けてある。このフロー
センサー39は、揚水ポンプ35が正常に機能して、揚
水が所定どおりに行われていると、揚水溜め部38bに
所定量の水が貯留された状態に維持されるので、その揚
水レベルは安定しフロートセンサー39も一定高さにあ
るが、揚水ポンプ35そのものが故障したり、揚水ポン
プ35は稼動していても、エアーがみ等によって所定量
が揚水できなくなると、揚水レベルが低下するので、こ
れに伴って下降する。このように、フロートセンサー3
9が揚水レベルの増減に伴って上下位置変位することに
より、揚水レベルが設定範囲内にあるか否かが検出さ
れ、揚水レベルが所定量以下に低下を検出したことの検
出結果によって、揚水ポンプ35及び吸引風の起風手段
80の作動停止を行うように構成してある。尚、集塵機
の起動直後は、当然ながら、前記フローセンサー39は
揚水レベルの基準以下を検出しているが、揚水ポンプ3
5が起動して、給水部30の給水が始まるまでに相当す
る所定時間は、前記検出結果を無視して揚水ポンプ35
及び吸引風の起風手段80の作動が継続される。
【0043】尚、図4に示すように、前記ケーシング1
内において、下部室12に設けられた吸入口10に連な
る入り口側空間では、吸入直後の気相流体が、例えば、
揮発性ガスに火の粉が含まれたり、粉塵爆発を起こすな
ど、何らかの原因で爆発した場合に、その爆発力によっ
て装置の全体が破壊されてしまうことがないように、比
較的小さな爆発エネルギーで開放することが可能な爆発
蓋12aを設けている。この爆発蓋12aは、ケーシン
グ1の一部に強度的に少し弱い部分を形成して、爆発に
よってケーシング壁が破られて開放姿勢となるが、爆発
蓋12aそのものが吹き飛ばされることがないように構
成されている。これによって、ケーシング1の全体が破
損するほどに大きな爆発エネルギーを生じさせる前にエ
ネルギーの消散を図るように工夫されている。
【0044】〔集塵機の使用方法〕上記のように構成さ
れた集塵機を用いて除塵する方法について説明する。 <気液接触工程> [ a] 吸入口10から絞り部24に至る気相流体の流れ
方向にほぼ直交する交差する状態で設置した衝突プレー
ト20に対して、流路内における気相流体の流れにのせ
て、給水部30から前記衝突プレート20の案内面21
上で、その中心部に到達するように自然流下状態で給水
する。このときの、衝突プレート20の案内面21側に
おける諸条件の一例を示すと、概略次のとおりである。 吸入口の内径 ; 190(mm) 絞り部の孔径 ; 190(mm) 衝突プレートの直径 ; 340(mm) 風速 ; 16〜20(m/秒) 風量 ; 30〜37(m3 /分) 給水部での供給水量 ; 4(リットル/分) 貯水量(循環用貯水量); 40〜50(リットル)
【0045】[ b] 上記衝突プレート20の中心部に衝
突した気相流体ならびに供給水は、断面放物線曲面であ
る案内面21に沿って放射方向に拡散し、案内面21上
に供給水による水膜を形成し、その水膜に沿って気相流
体が移動することになる。この気相流体の移動が水膜接
触工程である。そして、衝突プレート20の背面側で
は、絞り部24によって気相流体を絞り込みながら吸引
する。これにより、衝突プレート20の前面である案内
面21に対する吸い込み気相流体ならびに供給水の衝突
に対する悪影響を及ぼす虞少なく気相流体を吸引するこ
とができる。つまり、衝突プレート20よりも気相流体
流れ方向の後方側での吸い込みが、衝突プレート20の
外周縁よりも外側からの吸い込みであると、気相流体や
供給水が衝突プレート20から外れて、水膜による気液
接触を良好に行えない場合があるが、前述のように絞り
込みながら吸引することで、そのような不都合を回避し
得る。
【0046】[ c] 上記の絞り部24を通過した気相流
体は、散水域50を通過させ、散水ノズル52からのシ
ャワー水と接触させる。散水ノズル52によるシャワー
も、特に噴出圧を掛けて噴出させたものではなく、散水
管51の孔から自然流下状態での散水によって行われ
る。このときの気液接触がシャワー接触工程である。
【0047】[ d] 上記の散水域50を通過した気相流
体は、格子状ルーバーフィルター40を通過させる。こ
こでは、絞り部24によって絞り込まれた気相流体を、
格子状ルーバーフィルター40を通過させることで、上
下方向、ならびに左右方向に移動させ、再び流路の広範
囲に気相流体を拡散させる。このとき、気相流体の流れ
には、前記衝突プレート20での気液接触、ならびに前
記散水域50での気液接触によって生じた多量の水の飛
沫が混在する状態であるため、この飛沫が格子状ルーバ
ーフィルターに付着し、格子状ルーバーフィルター40
が水に濡れた状態となる。そして、この水に濡れた状態
の格子状ルーバーフィルター40に接触する気相流体
が、ここでも気液接触されることになる。この格子状ル
ーバーフィルター40を通過する際の気液接触が拡散接
触工程である。このとき、格子状ルーバーフィルター4
0自体も、供給水の飛沫によって濡れる状態となること
で、稼動中、常に洗浄された状態と似た状態に維持され
る。
【0048】<フィルター処理工程> [ e] 散水域50を通過した気相流体は、気液接触用の
入り口側空間を出て、フィルター処理用の奥側空間に吸
い込まれる。この奥側空間では、初めに水返しボックス
55が設けてあり、ここで、気相流体の流動方向を下方
に向けて案内し、かつ、その水返しボックス55の下端
をプレフィルター60の下端よりも下方に位置させて、
できるだけ奥側空間の床面に近づけ、気相流体に含まれ
る水滴を床面側に落下させるようにしている。
【0049】[ f] 水返しボックス55を出た気相流体
は、下部室12のプレフィルター60を通過させ、下部
室12の天井壁部分に形成されている連通路18を介し
て、中間部室13のファイナルフィルター70側へ気相
流体を移行させる。
【0050】[ g] 中間部室13に供給された気相流体
は、ファイナルフィルター70を通過させることで、そ
の気相流体中の塵埃を除去され、その処理後の気相流体
が上部室14の排気部8に送り、排出口11から外部へ
排出する。
【0051】<給水処理> [ h] 前記気液接触工程、及び、フィルター処理工程の
水返しボックス55での処理工程で気相流体から分離さ
れた水は、夫々、下部室の入り口側空間の床面、ならび
に奥側空間の床面の下方に設けた貯水タンク部34に回
収し、これを再び揚水ポンプ35で給水部30へ供給す
ることにより循環使用する。このとき、貯水タンク部3
4内での貯水量が、フロースイッチ36,37で設定さ
れる許容範囲を下回ると、揚水ポンプ35の稼動ならび
に起風手段80の稼動を停止し、外部から新たな水を補
給する。
【0052】〔他の実施の形態〕 [ 1] 本発明で使用する集塵機のケーシング1として
は、前述の実施形態で示した縦長のものに限らず、横長
であるとか、自由な形態を採用すれば良く、特にその形
状に制約を受けるものではない。そして、このとき、気
相流体の吸入方向や排気方向、あるいは、給水部30に
おける水の供給方向を変化させることも自由である。例
えば、上方の天井壁側に吸入口10を設けて、上から気
相流体や水を供給されるものであってもよい。また、ケ
ーシング下方の床面側に気相流体の吸入口10を設けて
も構わないが、この場合、衝突プレートや給水部におけ
る自然流下水の供給方向は、下側からよりも、横もしく
は上からの方が望ましく、このために気相流体の流動方
向を変化させておくほうがよい。
【0053】[ 2] 衝突プレート20の案内面形状と
しては、上述の実施の形態で示した放物線断面形状、も
しくはこれに近い断面形状のものが好ましいが、必ずし
もこれに限られるものではない。つまり、実施の形態で
示したように案内面が放物線断面である場合は、案内面
の中央部に衝突した水が、その後に放射方向へ拡がる際
の水の移動速度の変化率と、案内面面積の増加率との関
係が近似的な傾向を有することによって、水の拡がりを
スムースに、かつ、面積当たりの水量に過不足がないよ
うに水量調節されながら拡がるようにしようとしたもの
であるが、水の拡がり時の速度や方向をある程度コント
ロールすることによって、案内面の広範囲に所定の水膜
を形成することが可能である。例えば、図14の
(イ),(ロ)に示すように、凹曲面の一部に、部分的
な円弧状凹入溝23を、放射方向での水の流れと交差す
るように複数個設けたり、図15(イ),(ロ)に示す
ように、微少段差を有した階段状断面のものであっても
よい。このように放射方向への水の流れに部分的な抵抗
の異なる部分を形成すると、その箇所に粉塵の付着堆積
が生じるおそれがあるが、頻繁なメンテナンス、もしく
は、自動的に堆積物を除去する手段を付加するように構
成することで使用可能である。要は、周方向での水の途
切れが無い状態で水膜を形成することによって、案内面
に沿って放射方向に移動する気相流体との接触を確実に
行え、かつ、その水膜の形成範囲を、案内面上での比較
的広い領域に形成できるようにすることによって、水膜
と気相流体との接触時間を十分に稼げるように構成され
たものであればよい。
【0054】[ 3] 気液接触部2としては、散水域5
0でのシャワー工程を行う装置、および、格子状ルーバ
ーフィルター40での気液接触工程を行う装置のうち、
いずれか一方、もしくは両方の装置を省略したものであ
ってもよい。
【0055】[ 4] 下部室12における入り口側空間
と、奥側空間との間の仕切り壁15に形成された連通口
16には、金網もしくはパンチングメタルなどを設け
て、気相流体中に含まれる水分の通過を制限するように
しても良い。
【0056】
【発明の効果】請求項1に記載のように、衝突プレート
の案内面のぼぼ全域に水膜が形成され、気相流体は、前
記案内面上を移動する間、水膜との気液接触が連続的に
行われることになる。つまり、気液接触のために使用す
る水の量の少ない割に、気相流体と水との気液接触面積
をきわめて大きくすることができる。したがって、気相
流体と水との接触を十分に行わせて、気相流体中に火の
粉を含む場合であっても、集塵機内での火災発生を招く
可能性をきわめて低くすることができるという、湿式集
塵機としての機能を果たしながら、その気液接触のため
に用いられる水の量をきわめて少なくすることが可能と
なる。その結果、処理される気相流体の量に対する給水
量の割合も僅かなもので済み、供給水の自然蒸発によっ
て消失する水を補給する程度での連続運転が可能とな
り、気液接触用に供給した水を取り出して後処理すると
いう、湿式集塵機特有のランニングコストの高騰や、施
設の大型化を避けることができる。
【0057】請求項2に記載のように、衝突プレートの
案内面を、その中心部から放射方向に向けて案内面を伝
って移動する水膜の移動軌跡が、断面視で放物線を描く
ように構成されているものを採用すると、給水部から供
給された水が均一な拡がり傾向をもって万遍なく放射方
向に移動し易い。これによって、とぎれのない水膜を良
好に形成し易く、気液接触をより良好に行うことができ
る。
【0058】請求項3に記載のように、自然流下状態で
給水し、吸引風の風圧で供給水が衝突プレートの中心部
に向けられるように、その流下供給位置ならびに給水量
を設定したので、衝突プレート面に対する供給水の供給
条件が、吸引風の風速変化などの影響を受け難く、ムラ
の少ない拡散が行われやすい。したがって、使用条件の
多少の変化に拘わらず安定した気液接触状態を維持し易
い。そして、自然流下状態で供給された水を、吸引圧
と、放物線を描く案内面の案内作用とで、衝突プレート
の中央部から外周縁側へ移行するほど案内面上で加速
し、外周縁から離れる際の水の速度を増してケーシング
前壁への水(粉塵を含む)の衝突を確実に行わせ、これ
によって、気体と水及び粉塵との分離を促進し、効果的
な気液接触後の気水分離作用、ならびに粉塵除去作用を
行なうことができる。また、衝突プレートの外周縁から
離れる際の水の速度を増して、ケーシング前壁への水が
勢いよく衝突させることにより、そこにマイナスイオン
を発生させて、作業環境の改善にも役立てることができ
る利点もある。
【0059】請求項4に記載のように、支持板の中央部
に衝突プレート径よりも小径の通気孔を形成することに
よって絞り部を構成し、吸引風による吸引作用を衝突プ
レートの案内面の周縁部の全体にほぼ均等に作用させて
いるので、衝突プレートの案内面上での水膜の案内を、
周方向での部分的な偏りによる水膜の途切れが生じ難い
状態での良好な拡散を行なえ、より一層、水膜形成を良
好に行うことができる。そして、支持板は衝突プレート
の支持部材を兼ねているので、構成部材の兼用による構
造の簡素化も図り得たものである。
【0060】請求項5に記載のように、衝突プレートの
案内面で、途切れのない水膜による確実な気液接触を行
わせるとともに、一旦絞られた吸引風に含まれる気相流
体を、格子状のルーバーフィルターを通過させること
で、強制的に拡散させながらその吸引風に含まれる多く
の水分と再度接触させ、より一層の気液接触と、気相流
体中の水分の分離を、気相流体流れ方向での短い距離で
行うことが可能となった。したがって、比較的小型の装
置でのさらなる気液接触と、気液接触後の水分分離とを
効率よく行うことができ、装置の小型化と、フィルター
処理などの後処理を効率よく行わせる上でも有効であ
る。
【0061】請求項6に記載のように、幅狭の下向き筒
部と、その幅狭の下向き筒部の下端よりも幅広に形成し
た下端スカート部との組合せで構成した水返しボックス
を用いることによって、下向き筒部下端から離散しよう
とする水滴を、フィルター処理部の底面側へ脱落、もし
くは下向き筒部よりも外側に位置する下端開口端部の内
面に拡散させ、プレフィルター、及びフィルター処理部
の側壁側への水滴の移行を制限し、プレフィルターに対
する水滴の付着を効果的に抑制して、その劣化を遅らせ
ることができる。
【0062】請求項7に記載のように、給水が連続的に
行われているか否かを検出する検出装置として、給水部
における揚水ポンプから注水口への流路途中で揚水レベ
ルの増減を検出するフローセンサーを設け、このフロー
センサーの検出結果に基づいて、揚水ポンプ及び吸引風
の起風手段の作動停止を行うように構成すると、貯水タ
ンク部での液量が十分に存在していても、実際に注水口
に水が供給されているか否かを確実に検出することがで
きる。したがって、ポンプ部分でのエアーがみなどで揚
水が行われないような状態をも早期に検出でき、給水の
行われない状態での不適切な装置作動を確実に回避し易
い。また、そのための手段も、単に揚水経路途中での揚
水レベルをフローセンサーで判断するだけの簡単な構造
で構成できるので、高価な流水量検出センサーを用いる
場合のようなコスト増を避けられる点でも有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】除塵装置の全体を示す正面図。
【図2】除塵装置の全体を示す左側面図。
【図3】除塵装置の全体を示す背面図。
【図4】除塵装置の全体を示す右側面図。
【図5】除塵装置の下部室部分を示す一部切り欠き左側
面図。
【図6】衝突プレート箇所の説明図。
【図7】格子状ルーバーフィルターを示し、(イ)は一
部切り欠き正面図、(ロ)は断面図。
【図8】水返しボックス部分を示す部分断面図。
【図9】プレフィルターを示す斜視図。
【図10】中間部室部分を示す断面図。
【図11】衝突プレートの曲面の設定方法を示す説明
図。
【図12】衝突プレートの曲面の設定範囲を示す説明
図。
【図13】気液接触部周りの寸法関係を示す説明図。
【図14】衝突プレートの他の実施形態を示し、図中
(イ)は正面図、(ロ)は断面図。
【図15】衝突プレートの他の実施形態を示し、図中
(イ)は正面図、(ロ)は断面図。
【図16】給水部における揚水レベルの検出構造を示す
説明図
【図17】従来例を示す説明図。
【図18】従来例を示す説明図。
【符号の説明】
1 ケーシング 2 気液接触部 6 フィルター処理部 10 吸入口 11 排出口 20 衝突プレート 24 絞り部 30 給水部 34 貯水タンク部 40 格子状ルーバーフィルター 50 散水域 55 水返しボックス 60 プレフィルター 70 ファイナルフィルター

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシング内に処理対象の気相流体が流
    動する処理経路を備え、その処理経路内で気相流体を水
    と接触させる気液接触部と、気液接触させた後の気相流
    体を通過させるフィルター処理部とを設けて、通過気相
    流体中の微細塵埃を除去処理する湿式集塵機であって、 前記気液接触部を、前記ケーシングに設けた吸入口から
    吸い込まれた処理対象の気相流体の流路に臨ませて気相
    流体が衝突するように位置させた衝突プレートと、気相
    流体の流れ方向で衝突プレートの前面に向かう吸引風の
    流路に水を供給する給水部と、前記衝突プレートの背面
    側に離れた位置で気相流体の流路を前記衝突プレートの
    外径よりも小さくなるように絞る絞り部とから構成し、 前記衝突プレートは、前記吸入口に対向する前面側に、
    給水部から供給された水を受け止めて衝突プレートの中
    心部から放射方向に向けながら前方へ戻すように案内す
    る碗状の二次曲面に形成された案内面を設けることによ
    り、案内面に水膜を形成するように構成されている湿式
    集塵機。
  2. 【請求項2】 衝突プレートの案内面は、その中心部か
    ら放射方向に向けて案内面を伝って移動する水膜の移動
    軌跡が、断面視で放物線を描くように構成されている請
    求項1記載の湿式集塵機。
  3. 【請求項3】 給水部は、自然流下状態で給水し、吸引
    風の風圧で供給水が衝突プレートの中心部に向けられる
    ように、その流下供給位置ならびに給水量を設定して構
    成されている請求項1または2記載の湿式集塵機。
  4. 【請求項4】 絞り部は、衝突プレートの背面との間に
    間隔を隔てて設けた支持板の中央部に、衝突プレート径
    よりも小径の通気孔を形成することによって構成されて
    いる請求項1〜3の何れか一つに記載の湿式集塵機。
  5. 【請求項5】 気液接触部は、衝突プレートの案内面
    と、その衝突プレート及び絞り部よりも気相流体流動方
    向での下手側位置で、気相流体を上下方向ならびに左右
    方向へ拡散させるように通気流路の案内面が形成された
    格子状ルーバーフィルターとを備えて構成されている請
    求項1〜4の何れか一つに記載の湿式集塵機。
  6. 【請求項6】フィルター処理部では、気液接触部から供
    給されてきた気相流体をフィルター設置箇所に到達する
    前に下向きに案内する水返しボックスを設け、 この水返しボックスを、気液接触部から供給される気相
    流体の流れを下向きに案内する幅狭の下向き筒部と、そ
    の下向き筒部の下端よりも下位で気相流体を下向きに案
    内する下端スカート部とで構成し、 前記下端スカート部を、前記下向き筒部の下端よりも幅
    広に形成し、かつ、その下端スカート部の下端がフィル
    ター処理部に設置されているフィルター底面よりも下方
    に位置するように水返しボックスを延設してある請求項
    1〜5の何れか一つに記載の湿式集塵機。
  7. 【請求項7】 給水部における揚水ポンプから注水口へ
    の流路途中に、給水が連続的に行われているか否かを検
    出する検出装置として、揚水レベルの増減を検出するフ
    ローセンサーを設け、このフローセンサーが揚水レベル
    が所定量以下に低下を検出したことの検出結果によっ
    て、揚水ポンプ及び吸引風の起風手段の作動停止を行う
    ように構成してある請求項1〜6の何れか一つに記載の
    湿式集塵機。
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