JP2004148296A - ミスト分離装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】 フアンを含めた構成要素の全てがミスト含有空気流からミストを分離
、除去するために最大限の役割を果たすように構成され、且つ、動力のロスを出来るだけ減らして、比較的少い動力で優れたミスト分離効果を発揮できると共に、フアンや電極等に付着したミストを確実に洗浄することができるように工夫したミスト分離装置を提供する。
【解決手段】 一次分離室2と二次分離室3とから成り、一次分離室2は吸引口4とデミスター6を有する一次分離前室2Aと、この前室2Aと二次分離室3に通じる一次分離後室2Xによって構成され、一次分離前室2Aと後室2Xの間に吸引用のフアン8を設け、二次分離室3にフイルター又は電気集塵ユニット11を設ける。二次分離室3の上側部に洗浄水を噴射するスプレーノズル21を設け、一次分離室2の下側部を噴射された洗浄水DWの貯留タンク30とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フアンの回転によって吸引されて来るミスト含有空気流から、ミストを分離、捕集することができるように工夫したミスト分離装置に関するものである。
従来の一般的なミスト分離装置は、例えば特許文献1に記載の「電気集塵機用出力電圧調整装置」に見られるように、フアンの回転によって吸引口から吸い込まれて来るミスト含有空気流を、デミスター、フイルター、荷電極部、集塵極部、及び、上記のフアンの順に通過させることにより、ミストを分離、捕集して吐出口から外部に排出するように構成している。
また、特許文献2に記載の「垂直間式油煙静電集塵装置」には、設置スペースを小さくて済む縦置き集塵機が開示されており、ミスト含有気流は集塵機の下方に設けられた入口から取り入れられ、電気集塵極を通過して電気集塵された後、最上部にある排気フアンを介して外部に放出される。更に、フアンと集塵電極の間には洗浄管が設けられ、下方にある電極へ洗浄液を噴霧して洗浄するように構成されている。
しかし、上記特許文献1に記載のミスト分離装置(電気集塵機)の構成からすると、前処理の性能、つまり、一次分離性能を高めようとすると、デミスターやフイルターの目を細かくする必要があり、その結果、デミスターやフイルターが目詰りし易くなると共に、負荷が大きくなった分、フアンの動力(モータ)を増大させる必要が生じていた。
要するに従来のミスト分離装置では、フアンは、ミスト含有空気を吸引口から吸込んで吐出口から排出する吸引力を発揮させるためのものであるから、前記一次分離性能と後処理の二次分離性能を高めようとすると、その分、フアンの動力を増大させる必要が生じて、装置全体の大型化と高価格化を招く問題があった。
また、上記従来のミスト分離装置に於いて、フアンの働きと言えば、専らミスト含有空気流を吸引して排出するための吸引力を発揮させるだけのものであって、それ自体がミスト分離性能を高めて、ミスト除去効率を向上させる機能を備えていないため、フアンの動力の大型化を図ったとしても、上述したように装置全体の大型化と高価格化を招くだけで、それが直ちに性能アップに繋がらない問題があった。
一方、上記特許文献2に記載の電気集塵装置は、最上部に設けたフアンにより、ミスト含有気流を吸引して電気集塵極板を通過させ、これを外部に排出させるだけの機能しか備えていないため、電気集塵極板にて捕集しきれなかった油煙(ミスト)がフアンに付着し、このミストがフアンの回転に従って再び空気中に排出されてしまう問題がある。また、この特許文献2に記載の電気集塵装置では、集塵電極に対して洗浄管より洗浄液を噴霧して洗浄する構成に成っているが、しかし、上記のフアンはこの洗浄管よりも上部に取付けられている関係上、フアンを洗浄液にて洗浄することができないため、フアンに付着したミストの排出を防止することができなかった。
特開平6−114286号公報(図2、図3) 実用新案登録第3089152号公報
従って本発明の技術的課題は、フアンを含めた構成要素の全てがミスト含有空気流からミストを分離、除去するために最大限の役割を果たすように構成され、且つ、動力のロスを出来るだけ減らして、比較的少い動力で優れたミスト分離効果を発揮できるように工夫したミスト分離装置を提供することである。
更に本発明の他の技術的課題は、電極やフアン、或は、ミスト含有気流の流通路といった各所の洗浄を可能にして、フアン等に付着したミストが再び外部に排出されないように工夫したミスト分離装置を提供することである。
上記の技術的課題を解決するために本発明で講じた手段は以下の如くである。
(1) 上記請求項1に記載の如く、フアンの回転によって発生する吸引力により、吸引口から吸引されて来るミスト含有空気流からミストを分離回収するように構成したミスト分離装置であって、上記ミストの分離回収を、デミスターを備えた一次分離室で行った後、フイルター又は電気集塵ユニットを備えた二次分離室で行うように構成すると共に、上記ミスト含有空気を吸引するフアンを、少くとも上記二次分離室よりも上流部の空気通路内に設けたことを特徴とする。
(2) 上記請求項2に記載の如く、フアンの回転によって発生する吸引力により、ミスト含有空気を吸引口からデミスターを備えた一次分離室に吸引してミストの一次分離を行い、次いで、上記フアンの下流に設けた電気集塵ユニットを備える二次分離室へ送ってミストの二次分離を行った後、装置外に放出するように構成したミスト分離装置であって、装置の全体を上記一次分離室の上側部に上記の二次分離室を設けた上下積層構造と成し、二次分離室の上側部には電気集塵ユニットの電極を洗浄する洗浄水噴射装置を設けると共に、上記一次分離室の底部側を上記二次分離室に噴射された洗浄水が貯留される貯留タンク部と成し、且つ、上記フアン及びデミスターがこの貯留タンク部に溜った洗浄水に浸漬するように構成したことを特徴とする。
(3) 上記請求項3に記載の如く、前記貯留タンク部の底面に洗浄水の排水口を設けると共に、この貯留タンク部の上部一側に上記ミスト含有空気の吸引口を開口形成したことを特徴とする。
(4) 上記請求項4に記載の如く、噴射装置から洗浄水を噴射して電極を洗浄する洗浄時において、所定時間洗浄水を噴射した後、又は、所定量の洗浄水を噴射した後に、フアンを回転するように構成すると共に、このフアンの回転を貯留タンク内の洗浄水が排水された後でも一定時間続行するように構成したことを特徴とする。
(5) 上記請求項5に記載の如く、貯留タンクに設けた排水口から排水される洗浄水の排水量よりも、噴射装置から噴射される洗浄水の噴射量の方を多く設定することによって、洗浄時に洗浄水が貯留タンクに溜るように構成したことを特徴とする。
(6) 上記請求項6に記載の如く、前記一次分離室を、一側に空気吸引口を設け、内部に前記デミスターを備えた一次分離前室と、前記二次分離室に通じる一次分離後室とによって構成し、これ等一次分離前室と後室の間に前記フアンを備えたフアン室を設けると共に、このフアン室には、フアンの回転によって一次分離前室側から吸引されて来る一次分離処理を行ったミスト含有気流を、下流の一次分離後室の内壁面に向けて誘導放出して衝突させるガイド部材を具備せしめたことを特徴とする。
(7) 上記請求項7に記載の如く、前記デミスターの全体を断面角筒状又は円筒状の略籠型形状に形成して、このデミスターを前記一次分離前室の内部に全ての外部側面を一次分離前室の内部側面から離した状態で、且つ、開放された一端口側を前記フアン室と一次分離前室を仕切る仕切板に接した状態に装着すると共に、このデミスターの一端口に囲まれた上記仕切板の面に、上記一次分離前室とフアン室を連通する連通穴を開口したことを特徴とする。
(8) 上記請求項8に記載の如く、前記一次分離室と二次分離室を設けた機体の側面に、これ等各分離室の口を塞ぐ扉体を開閉自在又は取外し自在に取付けると共に、前記一次分離前室内に装着したデミスターの開放された両端口を、上記扉体の内側面と前記フアン室と一次分離前室を仕切る仕切板によって塞ぐように構成したことを特徴とする。
(9) 上記請求項9に記載の如く、断面略筒状に形成したミスト含有空気の吸引口に、吸引口を通って吸引されて来るミスト含有空気を衝突させて拡散する衝突板を一体に設けると共に、この吸引口を前記一次分離前室の外側壁の任意の部分に開口した取付穴に対して、吸引口を外に向け、衝突板を一次分離前室の内側に位置させた状態に取付け自在に構成したことを特徴とする。
(10) 上記請求項10に記載の如く、前記一次分離後室の内底部に、前記フアンからの直接的な気流を遮断し、且つ、一端口から流入して来る上記フアンの気流に押されて、上記一次分離後室の内壁面へのミスト含有空気流の衝突によって分離されて溜った油滴を、上記の一端口から排油口を設けた前記一次分離前室に通じる他端口に向けて誘導して排出することができる気流遮断排出通路を設けたことを特徴とする。
(11) 上記請求項11に記載の如く、前記一次分離室の上段に前記二次分離室を積層した二層構造に構成すると共に、これ等一次分離室と二次分離室の間には、一次分離されたミスト含有空気流を整流して二次分離室に送り込む整流室を設けたことを特徴とする。
前記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、吸引されたミスト含有空気は、一次分離室に設けたデミスターによって比較的粒子の大きな油滴やミストが分離、除去された後、二次分離室に於いてフイルター或は電気集塵ユニツトによる細かなミストの分離、除去が行われるが、このミスト含有空気を吸引するフアンは、少くとも上記二次分離室よりも上流部分、即ち、一次分離室と二次分離室の間の空気通路内に設けられていて、一次分離室へのミスト含有空気の吸引は上記フアンの吸引力を利用し、二次分離室への一次処理済み空気流の供給は上記フアンの排気力を利用している。
従って、一次と二次の各分離室に於ける処理抵抗(負荷)を全て最終段に設けたフアンに負担させる従来装置に比較的して、フアン用動力の負担を大幅に軽減することができるものであって、比較的小型の動力を用いて高いミスト分離効果を発揮することを可能にする。
前記(2)で述べた請求項2に係る手段によれば、ミスト含有空気を吸引し、一次分離室でミストを一次分離した後、フアンの遠心力によりフアンに付着した油滴を分離し、更に上部に積層して設けられた電気集塵極によりミストを捕集するように構成したから、狭い設置スペースの中で、より効率の良いミスト捕集が可能となるが、特に、最上部の電気集塵極に対して洗浄水を噴射して洗浄するから、洗浄水は積層して設けられた集塵機の下部に流れ、電極の各部を始め、下方にある集塵機各部(整流板空気通路)の広い範囲で洗浄することができる。また、一次分離室の底部には、集塵極洗浄用に噴射されて下方に流れ落ちた洗浄水を受けて貯留する貯留タンクを設けたから、タンクに浸かっている各種機器、例えばフアンの翼とか、デミスタ、フアンから二次集塵室への通路等の各部を洗浄水に浸すことが可能であり、フアンを回転させることで、フアン自身は元より、フアンによってはじき飛ばされた洗浄水により、洗浄効果を更に増進させることを可能にする。
前記(3)で述べた請求項3に係る手段によれば、一次分離室底部の貯留タンク底面に使用済洗浄水を排出する出口を設け、同じく一次分離室の上部一側に空気吸引口を設けたから、洗浄水は空気吸引口より下側の貯留タンク内に溜り、従って、吸引口が塞がれたり、吸引口から洗浄水が漏れだすこともなく、フアンを回転させてフアンの洗浄を行うことができる。
前記(4)で述べた請求項4に係る手段によれば、洗浄時において、所定時間、又は、所定量の洗浄水を噴射した後、フアンを回転させてフアンの洗浄を行うため、タンクに溜った水が全て排出される迄、フアンの洗浄を始め、各部の洗浄を可能にする。また、タンク内の洗浄水が全て外部に排出された後も、引き続きフアンを一定時間回し続けて、フアンを始め、電極、各種ガイドを乾燥させることができるから、漏電とか、細菌の発生等による不衛生な状態がなくなる。
前記(5)で述べた請求項5に係る手段によれば、電極に向けて噴射される洗浄水の量とタンクから排出される洗浄水の量を、噴射される側を多くするようなバランスにしたから、タンク内に所定量の洗浄水を貯留するのに、また、所定の時間だけ貯留タンク内に洗浄水を溜めておくのに、特別のバルブとか、流量制御とかの手段を不要にして、装置の簡略化を図ることができる。
前記(6)で述べた請求項6に係る手段によれば、一次分離室を前室と後室に分け、且つ、その中間の空気通路内にフアンを備えたフアン室を設け、フアンの回転により生ずるミストの分離効果と、フアンの回転で勢いを増した空気流を後室の壁面に対して直角に衝突させることで更に多くのミストを分離除去し、次いで、ミストが減った空気流を二次分離室のフイルター、又は、電気集塵ユニットに送って、残ったミストの捕集を行うことになるから、フイルターや電気集塵ユニットの負荷が減少し、フイルター交換や電極の洗浄等のメンテナンス作業を省力化させることを可能にする。
前記(7)で述べた請求項7に係る手段によれば、一次分離前室の中には、ほぼ部屋全体に広がる程の略籠状に形成されたデミスターを設けたから、気流は拡散減速されてデミスター全外周からデミスター内部に流入するため、より多くの沈降作用とデミスターとの広い接触面積とが相剰して、ミストの捕集効率をより高めることを可能にする。
前記(8)で述べた請求項8に係る手段によれば、扉体を開くか取外すことによって、一次分離室及び二次分離室に対するメンテナンスを容易に行うことができ、また、開放されたデミスターの両端口は仕切板と扉体の内側面によって夫々塞がれているため、空気吸引口より一次分離前室内に吸引(導入)されたミスト含有空気の全てをデミスターに対して接触通過させて、ミストの一次分離と捕集をより確実に行うことを可能にする。
前記(9)で述べた請求項9に係る手段によれば、吸引口に対して衝突板を直接取付け、且つ、一次分離前室の外側壁に対して取外し自在、及び、取付位置変更自在としたから、如何なる工場のレイアウトにおいても自在に対応できると共に、変更に伴う衝突板の取付位置の変更等を必要としないため、吸引口の位置変更や交換作業等を、極めて簡単に、且つ、正確に行うことを可能にする。
前記(10)で述べた請求項10に係る手段によれば、一次分離後室に、フアンからの気流を直接的に受けず、且つ、フアンの気流で押し流された油滴が誘導される気流遮断排出通路を設けたから、一次分離後室で分離された油滴は、フアンの気流にて押し流されながら気流遮断通路内にで誘導移動され、気流遮断通路に連接された一次分離室への排出口へと自然に誘導されることになるため、分離、捕集した油滴(オイル)の処理を効率良く行うことを可能にする。
前記(11)で述べた請求項11に係る手段によれば、一次分離室から二次分離室への通路を垂直方向へと変えてミストの沈降を行い、次いで、二次分離室と同等の広い面積を持つ整流室に空気流が導入されるから、一層空気流は減速されてフイルター又は電気集塵ユニット内を通過することになるため、ミストの捕集と除去がより効果的に行われる。
以上述べた次第で、本発明に係るミスト分離装置によれば、フアンの吸引作用と送風作用を有効に利用して、ミスト含有空気の吸引と、一次分離室及び二次分離室に於けるミストの捕集、分離と、ミストを分離処理した後の清浄空気の排出を効果的に、且つ、効率良く行うことができるため、フアンの動力を増大しなくても一次と二次の各分離室の性能を容易に高めることができる。
従って、全体がコンパクトで高性能なミスト分離装置を、比較的低コストにて提供できる利点を発揮できるものであって、分離したオイルをフアンの気流を利用し、而かも、このフアンの気流に影響されずにスムーズに誘導排出できるようにした点、並びに、ミスト含有空気の吸引口を、工場のレイアウト等に合せて衝突板と一体に一次分離室の任意の部分に自在に取付けることができる機能性を備える点と相俟って、各種ミスト含有空気の処理に用いて頗る好適なものである。
更に本発明によれば、集塵電極の洗浄を可能にするだけではなく、フアンやデミスター、或は、ミストの流通路といった箇所に付着しているミストも洗浄することができるため、ミストの再排出による空気汚染を防止することを可能にした、極めて衛生的で実用的なミスト分離装置を提供することができる。
以下に、上述した本発明に係るミスト分離装置の実施の形態を図面と共に説明すると、図1は本発明の全体を内部を透視した状態で示した正面図、図2と図3と図4は、夫々本発明の内部構造を明らかにするために上記図1のX−X線とY−Y線に沿って示した側断面図と、Z−Z線に沿って示した平断面図、図5はデミスターの構成を示した斜視図であって、これ等の図面に於いて夫々符号1で全体的に示したミスト分離機は、大きく分けて底面にベース板1K,1Kを設けた下層の一次分離室2と、この一次分離室2の上段に積層され、且つ、天井面に排気口1Vを設けた二次分離室3との上下二層構造に造られている。
上記の二次分離室3の内部3Aには、フイルター(図示省略)又は電気集塵ユニット11が設けられ、一次分離室2の内部には一次分離前室2Aと、一次分離後室2Xと、例えばシロッコフアンのようなフアン8を収めたフアン室2Bと、このフアン8を回転するモータ8Mを収めたモータ室2Cが設けられていて、一次分離後室2Xの垂直方向に延びる上面部通路2X′(図3参照)が、整流室2Hを介して前記二次分離室3の内部3Aに連通している。尚、二次分離室3内に上記フイルターを設けた場合は、後述する洗浄水を用いた洗浄装置の使用ができないことは勿論である。
2Dは上記一次分離前室2Aと後室2X及びフアン室2Bの各間を仕切る仕切板、2D′は一次分離前室2Aの天井板、2Eは一次分離前室2Aに隣接して一次分離室2内に上記フアン室2Bとモータ室2Cを仕切り形成する断面略L字状に形成した仕切板、2E′はこれ等モータ室2Cとフアン室2Bの間を仕切る仕切板であって、一次分離前室2Aとフアン室2Bとモータ室2Cを仕切り形成した一次分離室2の残りのスペースが、前述した一次分離後室2Xに成っている。
以上の構成から明らかなように、下層の一次分離室2には、図4に示した平断面図に示すように、一次分離前室2Aと一次分離後室2Xの間にフアン室2Bが設けられた構成に成っていて、これ等の3室2A,2B,2Xがミスト含有空気の流通路上に設けられているが、前記モータ室2Cはモータ8Mをミストと後述する洗浄水DWから守るために、上記の各仕切板2E及び2E′によって上記ミスト含有空気の流通路、及び、後述する貯留タンク30から完全に隔離されていて、外気に連通している。また、この一次分離室2の上段全体が、整流室2Hを含む二次分離室3に成っている。
次に、4は断面略円筒状又は角筒状に形成した吸引口、5は複数本の連結片5A…を介して吸引口4の後端口側に設けた円盤状又は角盤状の衝突板、5B…は各連結片5A…の間に開口した流通口で、吸引口4側から入って来た空気流は、衝突板5に当って流れを各流通口5B…の方向に拡散する仕組に成っている。
以上の如く衝突板5を一体に設けた吸引口4は、上記一次分離前室2Aの外側壁面に予め設けてある取付穴(図示省略)に、吸引口4を外に向け、衝突板5を一次分離前室2Aに向けた状態に嵌込み、且つ、取付けフランジ4Aを外壁面にネジ止めすることによって取付けられるものであって、吸引口4は上記の取付穴の穿設位置を変えることにより、一次分離前室2Aに対して任意の位置に、而かも、取外し自在(交換自在)に取付けることを可能にしている。
6は全体を目の細かな金網を用いて断面角筒状又は円筒状の略籠型形状に形成したデミスターで、このデミスター6は取付枠(図示省略)に支持された状態で、図2に示すように前記吸引口4の衝突板5の内側に位置させると共に、前記一次分離前室2Aの内部に対してその全外側面と一次分離前室2Aの内壁面との間に夫々間隔2A′をあけた状態に装着されている。
図1に於いて、1Tは上記開放された一次分離室2(具体的には一次分離前室2A)と二次分離室3の前面口を塞ぐことができるように、ミスト分離機1に対して開閉自在又は取外し自在に構成したメンテナンス用の扉体で、前記デミスター6の開放された両端口は、閉じた状態の扉体1Tの内側面と、前記一次分離前室2Aと前記フアン室2B及び一次分離後室2Xの間を仕切る仕切板2Dの内壁面との間に挟まれて塞がれる仕組に成っている。
図2と図5に於いて、2Sは上記デミスター6の一端口の内側6Hに位置する上記仕切板2Dの部分に設けた連通穴、図3に於いて7は、フアン8の回転によって一次分離前室2Aより上記の連通穴2Sを通してフアン室2B側に吸引されて来るミスト含有空気流を、前記仕切板2Eに設けた誘導口7Aより、前記一次分離後室2Xの内壁面に向けて勢い良く誘導放出して直角に衝突させるスクロール(ガイド部材)を示す。
更に図面に於いて9は、上記一次分離後室2Xの内底面部分に、入口9Aを一次分離後室2X側に開口し、出口9Bを上記一次分離前室2A内に向けて開口させて設けると共に、全体を断面略角筒形状に形成した気流遮断排出通路である。この通路9は、前記内壁面へのミスト含有空気流の衝突によって分離されて一次分離後室2Xの底に溜ったオイルを、上記フアン8の気流に押されて、また気流による拡散や飛散等の影響を受けることなく、入口9Aより気流遮断排出通路9内を通して出口9B、即ち、一次分離前室2A側に誘導しながら排出することができ、また、一次分離前室2A側に押し流されたオイルは、前室2Aの底に溜ったオイルと一緒に後述する排水口10より機体外部に適宜排出回収される仕組に成っている。
更に図1乃至図3に於いて、12は前記一次分離後室2Xに対してその垂直な上面部通路2X′を介して連通され、且つ、一次分離室2の全体と同様の広い面積を有する前記整流室2H内に、一次分離室2と二次分離室3を仕切るように水平に設けた整流板(パンチ板)で、1Zはその取付板を示す。また、11Tは電装部を示す。
次に、図1乃至図3に於いて、1Hは上記二次分離室3の上側に位置させた状態で、上記ミスト分離機1の天井部に設けたスプレー室、20…はこのスプレー室1H内に配管した洗浄水(水道水等)の給水管、21…はこれ等各給水管20…に設けた洗浄水噴射装置としてのスプレーノズルで、これ等各スプレーノズル21からは、図6に示したフローチャートの如くカレンダータイマーや押し釦スイッチ(図示省略)の操作に従って、上記二次分離室3の電気集塵ユニット11(具体的には集塵電極)に向けて洗浄水が一定時間、又は、一定量が噴射されて、集塵電極を洗浄する仕組に成っている。また、22A…と23A…は、上記集塵電極の取付用碍子11X…に対して洗浄水を噴射するスプレーノズル、22,23はこれ等各スプレーノズル22A,23Aに対して洗浄水を給水する給水管である。
30は上記一次分離室2の底部側に構成した上記洗浄水DW(洗浄汚水)を貯留するための貯留タンク、10は貯留タンク30の底部に設けた洗浄水DWの排水口で、この排水口10に接続した排水管10Zの途中には、図2に示すように排水を溜めて外気の吸引を防止するU字部10Z′が設けられている。また、上記各スプレーノズル21…、22A…、23A…から噴射される洗浄水の時間当たりの噴射量よりも、上記排水口10から排水される洗浄水DW(洗浄汚水)の時間当たりの排水量を少くするために、上記の排水口10や排水管10Zを小径に造ったり、或は、上記のU字部10Z′が設けられる。
更に図2に於いて、31は上記貯留タンク30に溜った洗浄水DWの量を検出するレベルスイッチで、このレベルスイッチ31は貯留タンク30に溜った洗浄水DWの量が図示したレベル、具体的には、上記フアン8とデミスター6の一部が浸漬されるレベルに達すると、上記各スプレーノズル21…、22A…、23A…からの洗浄水の噴射を止めて、洗浄水DWの貯留量が一定量以上にならないように、即ち、洗浄水DWが吸引口4から流出しないように調整する仕組に成っている。
本発明に係るミスト分離装置は以上述べた如き構成であるから、ミスト含有空気の発生源と上記吸引口4の間をダクト等(図示省略)で接続して、フアン8をモータ8Mで回転すると、フアン8の回転による吸引作用が吸引口4に及んでミスト含有空気を吸引することができる。吸引口4から吸引されて来るミスト含有空気は、先ず内側の衝突板5に当って拡散されながら一次分離前室2Aに流入し、次いで、拡散減速されてデミスター6の全外側面からデミスター6の内側6Hに流入するため、より多くの沈降作用と、デミスター6との広い面積での接触作用とにより、ミストの分離、捕集がより効果的に行われる。
上記一次分離前室2Aでの分離、捕集作用を受けたミスト含有空気は、続いて連通穴2Sを通ってフアン室2B側に吸引され、次いで、フアン8の排気作用とスクロール7の誘導作用を受けて、勢い良く一次分離後室2X側に放出されて内壁面に対して直角に衝突するため、更に多くのミストを分離することができる。
この様に、一次分離室2の前室2Aと後室2Xで多くのミストが分離された後のミスト含有空気は、前記フアン8の排気作用(送気作用)を受けて上面部通路2X′より広大な整流室2Hに流入し、ここで整流板12による整流を受けて更にその流速が減速されるため、二次分離室3のフイルター又は電気集塵ユニット11によるミストの分離、捕集をより効果的に行うことができると共に、空気流に含まれているミストの多くは、一次分離室2の前室2Aと後室2Xで分離、捕集済みであるから、フイルターや電気集塵ユニット11の負荷を軽減して、メンテナンス作業の省力化を図ることができる。
一方、上記電気集塵ユニット11の電極や、デミスター6、フアン8及び、排気通路に対する洗浄は、図6に示したフローチャートに従って行われる。即ち、始めのステップS1でカレンダータイマーや押し釦スイッチ等により、洗浄信号がINされると、次のステップS2に進んで高電圧OFF、フアン8のOFFといったEM停止処理が成され、次いで、ステップS3に進んでプレーノズル21…、22A…、23A…から洗浄水が噴射されて、洗浄が開始される。
上記の洗浄運転は、ステップS4で、例えば1分タイマーのタイムオーバー、或は、水位レベルスイッチ31のONによって停止され、この時、貯留タンク30には洗浄水DW(洗浄汚水)が溜った状態に成っている。図1乃至図4に於いて夫々斜線で示した部分は、上記貯留タンク30に溜った洗浄水DWの貯留範囲を示したものであって、前記フアン8とデミスター6の一部(下側部)がこの溜った洗浄水DWに浸漬されている。
この状態から次のステップS5でフアン8が回転すると、ステップS6に進んで溜った洗浄水DWによってフアン8が洗浄され、フアン8の回転による洗浄水DWの飛散によってデミスター6や、その他周辺の通路、壁面等が清浄され、その後、洗浄水DWの排水が済むと、ステップS7に進んでフアン8の空転によってデミスター6や電極等を乾燥させ、この空転による乾燥を例えばタイマーで9分間行って洗浄と乾燥を完了した後、ステップS8で再び高電圧とフアン8をONして、ミストの回収運転を再開する。
本発明に係るミスト分離装置の全体を説明した正面図。 図1のX−X線に沿った側断面図。 図1のY−Y線に沿った側断面図。 図1のZ−Z線に沿った平断面図。 デミスターの構成を説明した斜視図。 洗浄運転の手順を説明したフローチャート。
符号の説明
1 ミスト分離機
2 一次分離室
2A 一次分離前室
2X 一次分離後室
2S 連通穴
2H 整流室
3 二次分離室
4 吸引口
5 衝突板
6 デミスター
7 スクロール(ガイド部材)
8 フアン
9 気流遮断排出通路
9A 入口
9B 出口
10 排水口
11 電気集塵ユニット又はフイルター
12 整流板
21 噴射装置としてのスプレーノズル
30 貯留タンク
DW 洗浄水(洗浄汚水)

Claims (11)

  1. フアンの回転によって発生する吸引力により、吸引口から吸引されて来るミスト含有空気流からミストを分離回収するように構成したミスト分離装置であって、
    上記ミストの分離回収を、デミスターを備えた一次分離室で行った後、フイルター又は電気集塵ユニットを備えた二次分離室で行うように構成すると共に、上記ミスト含有空気を吸引するフアンを、少くとも上記二次分離室よりも上流部の空気通路内に設けたことを特徴とするミスト分離装置。
  2. フアンの回転によって発生する吸引力により、ミスト含有空気を吸引口からデミスターを備えた一次分離室に吸引してミストの一次分離を行い、次いで、上記フアンの下流に設けた電気集塵ユニットを備える二次分離室へ送ってミストの二次分離を行った後、装置外に放出するように構成したミスト分離装置であって、
    装置の全体を上記一次分離室の上側部に上記の二次分離室を設けた上下積層構造と成し、二次分離室の上側部には電気集塵ユニットの電極を洗浄する洗浄水噴射装置を設けると共に、上記一次分離室の底部側を上記二次分離室に噴射された洗浄水が貯留される貯留タンク部と成し、且つ、上記フアン及びデミスターがこの貯留タンク部に溜った洗浄水に浸漬するように構成したことを特徴とするミスト分離装置。
  3. 前記貯留タンク部の底面に洗浄水の排水口を設けると共に、この貯留タンク部の上部一側に上記ミスト含有空気の吸引口を開口形成したことを特徴とする請求項2に記載のミスト分離装置。
  4. 噴射装置から洗浄水を噴射して電極を洗浄する洗浄時において、所定時間洗浄水を噴射した後、又は、所定量の洗浄水を噴射した後に、フアンを回転するように構成すると共に、このフアンの回転を貯留タンク内の洗浄水が排水された後でも一定時間続行するように構成したことを特徴とする請求項2に記載のミスト分離装置。
  5. 貯留タンクに設けた排水口から排水される洗浄水の排水量よりも、噴射装置から噴射される洗浄水の噴射量の方を多く設定することによって、洗浄時に洗浄水が貯留タンクに溜るように構成したことを特徴とする請求項2、3又は4に記載のミスト分離装置。
  6. 前記一次分離室を、一側に空気吸引口を設け、内部に前記デミスターを備えた一次分離前室と、前記二次分離室に通じる一次分離後室とによって構成し、これ等一次分離前室と後室の間に前記フアンを備えたフアン室を設けると共に、このフアン室には、フアンの回転によって一次分離前室側から吸引されて来る一次分離を行ったミスト含有気流を、下流の一次分離後室の内壁面に向けて誘導放出して衝突させるガイド部材を具備せしめたことを特徴とする請求項1又は2に記載のミスト分離装置。
  7. 前記デミスターの全体を断面角筒状又は円筒状の略籠型形状に形成して、このデミスターを前記一次分離前室の内部に全ての外部側面を一次分離前室の内部側面から離した状態で、且つ、開放された一端口側を前記フアン室と一次分離前室を仕切る仕切板に接した状態に装着すると共に、このデミスターの一端口に囲まれた上記仕切板の面に、上記一次分離前室とフアン室を連通する連通穴を開口したことを特徴とする請求項1、2又は6に記載のミスト分離装置。
  8. 前記一次分離室と二次分離室を設けた機体の側面に、これ等各分離室の口を塞ぐ扉体を開閉自在又は取外し自在に取付けると共に、前記一次分離前室内に装着したデミスターの開放された両端口を、上記扉体の内側面と前記フアン室と一次分離前室を仕切る仕切板によって塞ぐように構成したことを特徴とする請求項1、2、6又は7に記載のミスト分離装置。
  9. 断面略筒状に形成したミスト含有空気の吸引口に、吸引口を通って吸引されて来るミスト含有空気を衝突させて拡散する衝突板を一体に設けると共に、この吸引口を前記一次分離前室の外側壁の任意の部分に開口した取付穴に対して、吸引口を外に向け、衝突板を一次分離前室の内側に位置させた状態に取付け自在に構成したことを特徴とする請求項1、2、6、7又は8に記載のミスト分離装置。
  10. 前記一次分離後室の内底部に、前記フアンからの直接的な気流を遮断し、且つ、一端口から流入して来る上記フアンの気流に押されて、上記一次分離後室の内壁面へのミスト含有空気流の衝突によって分離されて溜った油滴を、上記の一端口から排油口を設けた前記一次分離前室に通じる他端口に向けて誘導して排出することができる気流遮断排出通路を設けたことを特徴とする請求項1、2、6、7、8又は9に記載のミスト分離装置。
  11. 前記一次分離室の上段に前記二次分離室を積層した二層構造に構成すると共に、これ等一次分離室と二次分離室の間には、一次分離されたミスト含有空気流を整流して二次分離室に送り込む整流室を設けたことを特徴とする請求項1、2、6、7、8、9又は10に記載のミスト分離装置。
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